(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020083
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】ARマーカーによる切手レス郵便システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/32 20120101AFI20230202BHJP
【FI】
G06Q50/32
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021125262
(22)【出願日】2021-07-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】302064762
【氏名又は名称】株式会社日本総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】生田 裕也
(72)【発明者】
【氏名】礒部 紫帆
(72)【発明者】
【氏名】片岡 美優
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 拓海
(72)【発明者】
【氏名】森田 大輝
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 和祥
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC45
(57)【要約】
【課題】ARマーカーを用いることで、郵便に関するユーザの煩わしさを解消することができ、かつ郵便物でやりとりをする人のこだわりにも寄り添うことができ、柔軟で拡張性に富んだ郵便システムを提供する。
【解決手段】郵便物に切手の貼り付けを不要とする郵便システムにおいて、センタサーバ100が、郵便物の送付人であるユーザのユーザ端末10から、当該郵便物に貼り付け又は印刷されたARマーカーとしての画像、及び当該ARマーカーを読み取ったときに表示されるARコンテンツを受信するARコンテンツ受信手段105と、ARマーカー及びARコンテンツを格納するARコンテンツDB103と、郵便物の配送料を決定し、ARコンテンツに含まれた決済情報に基づいて配送料の決済を実行可能な金融機関に対し決済要求を送信する配送料決済手段107とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ARマーカーを用いた郵便システムであって、
前記郵便システムのセンタサーバは、
郵便物の発送人であるユーザのユーザ端末から、前記郵便物に貼り付け又は印刷されたARマーカーとしての画像、及び当該ARマーカーを読み取ったときに表示されるARコンテンツを受信するARコンテンツ受信手段と、
前記ARマーカー及び前記ARコンテンツを格納するARコンテンツDBと、
前記郵便物の配送料を決定し、前記ARコンテンツに含まれた決済情報に基づいて前記配送料の決済を実行可能な金融機関に対し決済要求を送信する配送料決済手段と、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
ARマーカーを用いた宅配便システムであって、
前記宅配便システムのセンタサーバは、
宅配物の発送人であるユーザのユーザ端末から、前記宅配物に貼り付け又は印刷されたARマーカーとしての画像、及び当該ARマーカーを読み取ったときに表示されるARコンテンツを受信するARコンテンツ受信手段と、
前記ARマーカーの画像及び前記ARコンテンツを格納するARコンテンツDBと、
前記宅配物の配送料を決定し、前記ARコンテンツに含まれた決済情報に基づいて前記配送料の決済を実行可能な金融機関に対し決済要求を送信する配送料決済手段と、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項3】
前記センタサーバ又は受取人のユーザ端末は、前記格納されたARコンテンツの表示内容を制御するARコンテンツ表示制御手段を備え、前記ARコンテンツDBに格納されたARコンテンツを内容ごとに管理し、当該ARコンテンツを表示したときの位置情報、日時情報、又は表示したデバイスの識別情報に応じて、前記ARコンテンツを表示する内容を変更することを特徴とする請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ARコンテンツ表示制御手段は、宅配物の配達前と配達後によって、前記ARコンテンツの表示する内容を変更することを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
配達物を配達する配達員が携帯する配達員端末が、前記配達物の受取人側のポストのARマーカーを読み取る手段を備え、前記配達員端末に対応付けられた配達物に関するARコンテンツを再生することを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
送付人のユーザ端末又は前記センタサーバは、特定の画像を前記ARマーカーとして設定するARコンテンツ作成手段を備え、前記ARマーカーを配達物に関連付け、前記ARコンテンツの表示条件を設定する手段を備えることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記ARコンテンツ作成手段は、自動生成可とされた特定の画像のデザインを自動的に変更する手段を備えることを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
ARマーカーを用いた配達システムのセンタサーバが実行する方法であって、
配達物の発送人であるユーザのユーザ端末から、ARマーカーとしての画像及び当該ARマーカーを読み取ったときに表示されるARコンテンツを受信するステップと、
前記ARマーカー及び前記ARコンテンツをデータベースに格納するステップと、
前記配達物の配送料を決定し、前記ARコンテンツに含まれた決済情報に基づいて前記配送料の決済を実行可能な金融機関に対し決済要求を送信するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の各ステップをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切手が不要な郵便システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からの切手を用いた郵便物を利用する人は、切手を購入してハガキや封筒に貼る手間、住所を書く手間や書き損じの懸念、投函後の住所や名前等の個人情報の流出の不安、誤配達の不安といった様々な煩わしさを感じている。また、郵便局にとっては、郵便物の量によっては、人員が足りなくなるといった問題を抱えていた。そこで、郵便物に切手を貼る手間などのわずらわしさを軽減するため、切手を用いない(切手レスの)郵便システムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、切手の備蓄を不要とし且つ郵便料金の算出も不要とする郵便料金後払いシステムが開示されている。このシステムによれば、ユーザは端末装置によりネットワーク(インターネット)を介し発行機関に接続して郵便料金後払いのバーコード発行を申し込む。このとき氏名等の自己を特定する個人情報とクレジットカード番号等の決済方法を決める情報とを入力する。この個人識別情報を付加されたバーコードデータが発行機関からインターネット経由でユーザに配信される。ユーザは配信されたバーコードデータに郵便の種類データを入力して付加し、自分のプリンタで印刷し、その印刷したバーコードを郵便物に切手の代わりに貼り付ける。郵便局では郵便物の重量とバーコードから郵便の種類とユーザを特定する情報を読み取り、登録されているクレジットカード番号のクレジット会社に重量と種類に応じた料金を請求する。
【0004】
また、特許文献2には、ユーザによる利用に対して企業等のスポンサーが小額でかつ事前の手続きが不要な利用料金の肩代わりの通信サービスを提供すると共に、通信サービスに関与するユーザ、企業、及び通信事業者のそれぞれに対してもメリットがある電子切手を利用したデータ通信システムが開示されている。このシステムは、電子切手が電子的に添付されたデータ情報を受信する手段と、送信されたデータ情報の送信に対する通信料金
の一部又は全額及び受信されたデータ情報の受信に対する通信料金の一部又は全額を電子切手により代替する課金手段とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-163334号公報
【特許文献2】特開2002-251575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、バーコードやQRコード(登録商標)を用いた郵便システムでは、バーコード等を読み取りデバイスにかざした後の挙動としては、URLリンクでWebブラウザを開くものが中心であり、郵便物にデザイン性を持たせることや、GPS情報(位置情報)や時間情報との連動、表示されるコンテンツの変更やタイミングによる変更は困難であった。
【0007】
一方、今日では拡張現実(AR:Augmented Reality)の技術を用いた様々なサービスが登場している。拡張現実とは、写真やイラストなどの特定の画像をARマーカーとして設定し、そのARマーカーにデバイスをかざすだけで、バーチャルの視覚情報を重畳表示させることで、目の前にある世界を“仮想的に拡張する”技術である。バーコードやQRコード(登録商標)とARマーカーでは、マーカーをデバイスにかざすことで、予め紐づけされたコンテンツを閲覧できるという点で共通するが、上記のように、マーカーのデザイン性や視覚性、位置情報や時間情報との連動などの拡張性、柔軟性で大きく異なる。
【0008】
したがって、本発明では、上記のような課題にかんがみ、切手やバーコードの代わりにARマーカーを用い、ユーザの郵便に関する煩わしさを解消することができ、かつ現物の郵便物でやりとりをする人のこだわりにも寄り添うことができる柔軟で拡張性に富んだ郵便システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、以下のような解決手段を提供する。
【0010】
(1)ARマーカーを用いた郵便システムであって、前記郵便システムのセンタサーバは、郵便物の発送人であるユーザのユーザ端末から、前記郵便物に貼り付け又は印刷されたARマーカーとしての画像、及び当該ARマーカーを読み取ったときに表示されるARコンテンツを受信するARコンテンツ受信手段と、前記ARマーカー及び前記ARコンテンツを格納するARコンテンツDBと、前記郵便物の配送料を決定し、前記ARコンテンツに含まれた決済情報に基づいて前記配送料の決済を実行可能な金融機関に対し決済要求を送信する配送料決済手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
(2)ARマーカーを用いた宅配便システムであって、前記宅配便システムのセンタサーバは、宅配物の発送人であるユーザのユーザ端末から、前記宅配物に貼り付け又は印刷されたARマーカーとしての画像、及び当該ARマーカーを読み取ったときに表示されるARコンテンツを受信するARコンテンツ受信手段と、前記ARマーカーの画像及び前記ARコンテンツを格納するARコンテンツDBと、前記宅配物の配送料を決定し、前記ARコンテンツに含まれた決済情報に基づいて前記配送料の決済を実行可能な金融機関に対し決済要求を送信する配送料決済手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
(3)上記(1)又は(2)の構成において、前記センタサーバ又は受取人のユーザ端末は、前記格納されたARコンテンツの表示内容を制御するARコンテンツ表示制御手段を備え、前記ARコンテンツDBに格納されたARコンテンツを内容ごとに管理し、当該ARコンテンツを表示したときの位置情報、日時情報、又は表示したデバイスの識別情報に応じて、前記ARコンテンツを表示する内容を変更することを特徴とする。
【0013】
(4)上記(3)の構成において、前記ARコンテンツ表示制御手段は、宅配物の配達前と配達後によって、前記ARコンテンツの表示する内容を変更することを特徴とする。
【0014】
(5)上記(1)から(4)までのいずれか1つの構成において、配達物を配達する配達員が携帯する配達員端末が、前記配達物の受取人側のポストのARマーカーを読み取る手段を備え、前記配達員端末に対応付けられた配達物に関するARコンテンツを再生することを特徴とする。
【0015】
(6)上記(1)から(5)までのいずれか1つの構成において、送付人のユーザ端末又は前記センタサーバは、特定の画像を前記ARマーカーとして設定するARコンテンツ作成手段を備え、前記ARマーカーを配達物に関連付け、前記ARコンテンツの表示条件を設定する手段を備えることを特徴とする。
【0016】
(7)上記(6)の構成において、前記ARコンテンツ作成手段は、自動生成可とされた特定の画像のデザインを自動的に変更する手段を備えることを特徴とする。
【0017】
(8)ARマーカーを用いた配達システムのセンタサーバが実行する方法であって、配達物の発送人であるユーザのユーザ端末から、ARマーカーとしての画像及び当該ARマーカーを読み取ったときに表示されるARコンテンツを受信するステップと、前記ARマーカー及び前記ARコンテンツをデータベースに格納するステップと、前記配達物の配送料を決定し、前記ARコンテンツに含まれた決済情報に基づいて前記配送料の決済を実行可能な金融機関に対し決済要求を送信するステップと、を含むことを特徴とする。
【0018】
(9)上記(8)に記載の各ステップをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、切手の代わりにARマーカーを用いることで、ユーザの郵便に関する煩わしさを解消することができ、かつ現物の郵便物でやりとりをする人のこだわりにも寄り添うことができ、柔軟で拡張性に富んだ郵便システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】切手の代わりとしてのARマーカーを用いた「ARマーカーハガキ」のイメージを表す図である。
【
図2】郵便物でやりとりする人のこだわりを表す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るサービスの概念を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る郵便システムの機能構成を示す図である。
【
図5】受取人側の郵便受けポストの処理フローを示す図である。
【
図6】送付人・受取人情報登録画面の一例を示す図である。
【
図8】本システムの変形例である宅配便システムの機能構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以降の図においては、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号又は符号を付している。また、機能構成の図において、機能ブロック間の矢印は、データの流れ方向、又は処理の流れ方向を表す。
【0022】
従来、ハガキや封筒などの郵便物には、切手を貼るスペースと郵便番号の欄が印刷されているが、
図1は、切手の代わりとしてのARマーカーを用いた「ARマーカーハガキ」のイメージを表す図である。本発明の郵便システムが取り扱うことができるARマーカーハガキやARマーカー封筒には、切手欄や住所欄はなく、図示するようなARマーカーとしての特定の画像が印刷されている。ここでARマーカーとは、デジタルコンテンツをデバイス画面上に表示するために使用されるマークや画像であり、画像認識技術により、色の濃淡や形状なども認識可能である。ARマーカーを読み取って表示されるデジタルコンテンツを「ARコンテンツ」と呼ぶ。なお、ARマーカーハガキにもユーザが直接文字やイラストを書き込んでもよいが、それらの情報はARコンテンツとして扱われない。なお、ARマーカーハガキ、ARマーカー封筒、ARマーカー付のその他の郵便物を、まとめて「AR郵便物」と呼ぶことがある。
【0023】
このようにAR技術を活用することで、ARコンテンツに配達情報や決済情報を登録できるので、郵便局にて配達料決定後、決済情報をもとに後日決済ができる。また、ARマーカー、ARコンテンツは、オンラインで一括管理するので、ユーザが個々のARアプリを使うよりもシステムも効率が上がる。さらにAR郵便物には個人情報が書かれていないため、セキュリティの保護にもつながる。
【0024】
本システムが取り扱う郵便物では、様々なイラストや写真などの画像をARマーカーとして設定することができ、郵便物の送付人、受取人(宛先)の住所情報、及びメッセージ(本文)などの情報をARコンテンツとして含ませる。ARマーカーは、バーコードのように白黒の情報に限らず、カラーの画像(静止画、動画)であってもよく、ARカメラなどのARコンテンツ読み取り手段にかざすことで、そのARマーカーの画像に紐づけされたARコンテンツをデバイス上に再現することができる。
【0025】
図2は、郵便物でやりとりする人のこだわりを表す図である。郵便物には、電子メールにはない、現物性、儀礼性、証拠性といった特徴がある。また、郵便物そのものに親しみを感じることもある。普段は電子メールを使っている人であっても、このような郵便物の魅力を見出している人は、イラストや絵柄を添えるなどして思いを込めて郵便物を作成している。個人にとっては、親しい人への郵便物の発送準備の煩わしさも楽しさに変わるものである。企業やお店にとっては、絵柄やロゴマーク、企業イメージの画像などを郵便物に貼ることで宣伝材料にもなる。また、カラフルな画像が描かれたオリジナル「絵封筒」を作成することもできる。
【0026】
このように、現物の郵便物にARマーカーとしての画像を付加することによって、郵便物(現物)でやりとりをする人のこだわりに寄り添ったり、郵便物のデザイン性を高めたりすることができる。したがって、電子的な郵便がいかに発達しても、今後も現物の郵便物がなくなることはないと考えられる。
【0027】
図3は、本発明の実施形態に係るサービスの概略を示す図である。このサービスは、以下の流れで成り立っている。
(1)郵便物を送りたい人(送付人)は、ARマーカーが付加されたハガキ、封筒、ダンボール箱などを用いて郵便物を準備し、自身のユーザ端末から、配送に必要な情報及び配送料の決済情報を入力した後、郵便ポストなどから投函する。ここで、ARマーカーの作成は、既存のAR作成アプリケーション(以下、アプリ)をインストールしたスマートフォンなどから行なってもよいし、本サービス専用のアプリを利用してもよい。
(2)投函された郵便物を集荷した郵便局は、ARコンテンツを読み取り、ARコンテンツに含まれる配送先情報と郵便物の郵便種別、サイズ、重量から配送料金を計算して、データベースに格納する。
(3)次に郵便局は、ARコンテンツの決済情報に書かれたカード番号又は口座番号の金融機関に対して計算された配送料の引き落としの決済要求を送信する。ここでは配達前に決済要求を出しているが、配達完了後に決済要求を出すようにしてもよい
(4)郵便局は、配送料の決済情報を確認した後、その郵便物を配送に回し、受取人が郵便物を受け取るまで配送状況のトラッキングを行う。なお、図の点線の矢印で示すように、金融機関は、郵便局に対して郵便物のARコンテンツに含まれた宛先情報を読み取って、配達地域ごとに自動で振り分ける振り分け機器(自動振り分け装置)のリースを行ってもよい。
【0028】
図4は、本発明の実施形態に係る郵便システム(以下、本システムと呼ぶ)の機能構成を示す図である。本システムは、図示するように、郵便局のセンタサーバ100が、郵便物の送付人側のユーザ端末10及び受取人側のユーザ端末20に、インターネット1を介して通信可能に接続される。また、郵便局(集荷側)110及び郵便局(配達側)120もセンタサーバ100と郵便局内のネットワーク2を介して交信可能に接続される。郵便局内のネットワーク2は専用回線であってもよいしインターネット上の疑似専用回線であってもよい。
【0029】
また、街中に設置された郵便ポスト115も、センタサーバ100に郵便局内のネットワーク2を介して交信できる機能を備えていてもよい。郵便ポスト115がARコンテンツ読取手段116を備えていれば、郵便物の配送状況のトラッキングをこの時点から開始できる。また、郵便物の受取人側の郵便受けポスト30も、インターネット1を介して、センタサーバ100及び受取人側のユーザ端末20と交信できる機能を備えていてもよい。
【0030】
また、郵便局の配達員が携帯する配達員端末130は、郵便局内のネットワーク2と接続される。また、配達員端末130にはARコンテンツ読取手段(図示せず)として、スマートフォンのカメラやスマートグラスを備える。また、配達員端末130は、さらに受取人側の郵便受けポスト30と近距離無線通信を行う機能を備えていてもよい。またさらに、インターネット1を介して、ARコンテンツに含まれた電話番号を用いてユーザ端末20とSMSで通知できる機能を備えていてもよい。以下、
図4の各機能ブロックについて順に説明する。
【0031】
センタサーバ100は、データベースとして、ユーザDB101、配送料DB102、ARコンテンツDB103、及び配送状況トラッキングDB104を備えている。また、センタサーバ100は、機能処理手段として、ARコンテンツ受信手段105、ARコンテンツ表示制御手段、及び配送料決済手段107を備えている。
【0032】
ARコンテンツ受信手段105は、郵便物の発送人であるユーザのユーザ端末10から、郵便物に貼り付け又は印刷されたARマーカーの画像及びそのARコンテンツを受信して、ARコンテンツDB103に格納する機能を有する。
【0033】
ARコンテンツ表示制御手段106は、ARマーカーを読み取った場所、日時によって、ARコンテンツを表示する内容を変化させる機能を有する。例えば、郵便物が届く前と届いた後では、別のARコンテンツを表示するように制御してもよい。つまり、郵便物の現在の位置情報に基づいて、郵便物が届くまでは発送人又は受取人の情報や配送状況を表示し、郵便物が届いた後はARコンテンツの本文のメッセージを表示するなどである。また、ARコンテンツ表示制御手段106は、ARコンテンツを表示させたデバイス(ユーザ端末、郵便局員の端末等)の識別情報に基づいて、表示させる内容を変化させるようにしてもよい。また、受取人側のユーザ端末20のアプリケーションにも同様の機能のARコンテンツ表示制御手段23が備えられる。また、配達員端末130に表示されるARコンテンツは、プライバシーの観点から、受取人(場合によっては送付人も)の住所情報に限定するようにもできる。なお、配達員端末130は、センタサーバ100のARコンテンツ表示制御手段106によって表示内容の制御を受けるものとする。
【0034】
また、ARコンテンツ表示制御手段106は、郵便局(配達側)の端末でまとまって受信したコンテンツの中から、部分的にどの内容を表示するかを選択できるようにしてもよい。また、センタサーバ100は、配達し終わった後の情報を配達トラッキングDB104から削除していく機能も備える。
【0035】
配送料決済手段107は、郵便物の配送料を、ARコンテンツに含まれた決済情報に基づいて、配送料の決済を実行可能な金融機関(図示せず)に対し、決済要求を送信する機能を有する。郵便物の配送料は、配送料DB102に基づいて集荷側の郵便局で決定される。配送料が決定されると、ARコンテンツに含まれた決済情報(例えば、引き落とし口座番号、クレジットカード番号など)に基づいて、その決済を実行する金融機関に対して決済要求が送信される。決済要求は、集荷側の郵便局が郵便物を受領し、配送料が決定された後に送信されるようにしてもよいし、郵便物の配達完了後に送信されるようにしてもよい。なお、決済には着払いも可能である。着払いの郵便物又は書留の郵便物は、受取人側のユーザ端末20に事前に連絡がいくようにしてもよい。
【0036】
また、配送料決済手段107は、全く関係のない人間がARコンテンツを読み取って情報が漏れてしまうことを防ぐため、読み取りをする端末に応じて決済要求をする制御、あるいは配達員端末130から配達完了を受け付けたときのみ決済要求をするなどの制御を行う機能も備える。また、配送料決済手段107は、ARコンテンツが何回も読み取られると何度も決済してしまうことを防ぐため、決済要求を送信するとARコンテンツに支払済みマークが付く等の機能も備える。
【0037】
ユーザDB101は、本システムに登録したユーザの個別情報を格納したデータベースである。ARコンテンツに含まれる送付先の住所、氏名、電話番号などは、ユーザDB101から自動的に作成してもよい。なお、本システムは、ユーザ登録をしていないユーザであっても利用可能であるが、サービスの全機能を受けるためにはユーザ登録をしておくことが望ましい。
【0038】
配送料DB102は、郵便物のサイズ・重量、配達地域、郵便種別(普通、速達、書留等)に応じた配送料を格納したデータベースである。
【0039】
ARコンテンツDB103は、ユーザごとに、ARマーカーの画像及びそのARマーカー読み取り時に表示されるARコンテンツの内容を格納したデータベースである。ARコンテンツをデータベース化することで、ARコンテンツを編集して、再利用や他のユーザとの共有が可能となる。また、ARコンテンツ表示制御手段106が表示する内容を状況によって変化させることを可能にするため、ARコンテンツを全体だけでなく、内容ごとにも識別子を持たせ、コンテンツをその内容に分けて管理する。例えば、郵便物の配達員端末で、場所が郵便局又は配達先等で表示が変わるようにする、また、受取人のユーザ端末で、時間が受取前と受け取った直後又は所定日で表示が変わるようにするためである。
【0040】
また、受取人は、受け取る前には自分宛ての郵便物に貼られた又は印刷されたARマーカーを読めないので、センタサーバ100は、受取人が所定のサイトを参照することで、自分宛てに送られたARマーカーを読み取れるようにする手段を提供するようにしてもよい。また、ARマーカーはアプリの中で読み取れるだけでなく、PC等に届いたARマーカーをスマホのカメラで読み取ると、配送状況が読み取れる等の機能を提供してもよい。
【0041】
配送状況トラッキングDB104は、ARマーカーが付加された郵便物を追跡し、移動場所の位置情報や日時情報の記録を格納するデータベースである。位置情報、日時情報は郵便物が郵便ポストや郵便局の各拠点でARマーカーが読み取られるたびに記録され、最終的に、受取人側の郵便ポスト若しくは宅配ボックスに郵便物が届けられたこと、又は受取人に郵便物が手渡しされたことを確認後に記録が終了する。また、センタサーバ100は、配送状況トラッキングDB104を参照して、所定の管理サイト上で郵便物の配送状況が見られるような手段を提供する。
【0042】
街中に設置された郵便ポスト115は、ポストに投函される郵便物のARマーカーからARコンテンツを読み取るARコンテンツ読取手段116を備えていてよい。このとき必要な情報のみを取得するだけでもよい。郵便物を投函する人は、投函前に、郵便物をユーザ端末10又はARコンテンツ読取手段116にかざし、内容を確認することができる。ARコンテンツ読取手段116で読み取られた郵便物のARコンテンツは、日時情報、位置情報がセンタサーバ100に送信され、その時点から郵便物のトラッキングが可能となる。なお、郵便物が投函された後に、ポスト内でARマーカーを読み取れるようにするには、ポスト内に郵便物の表面を確実に読み取るための仕組みが必要となるため、ARコンテンツ読取手段116は、集荷員がもつ端末(スマートフォン、スマートグラス等)や集荷用の車両に備えた専用の装置であってもよい。
【0043】
郵便局(集荷側)110及び郵便局(配達側)120は、それぞれARコンテンツ読取手段112,122を備えており、更に配送物自動振り分け装置111,121を備えていてもよい。配送物自動振り分け装置111,121は、従来、郵便番号によって自動的に振り分けられていた郵便物を、ARコンテンツ内の宛先情報を自動的に読み取り、各配達地域に振り分けるための専用の装置である。なお、配送物自動振り分け装置111,121は、決済情報を提携する金融機関からリースされるようにしてもよい。
【0044】
配達員端末130は、主として、郵便局のネットワーク2に接続され、郵便局とのやりとりを行うための端末であるが、インターネット1にも接続可能であり、ユーザ側とのやりとりも可能である。配達員端末130が、ユーザの自宅近くに来たときに、そこに配達すべき郵便物があることを音や振動で配達員に知らせたり、配達員が郵便物を郵便受けポスト30に投函したことを受取人側のユーザ端末20に知らせたりすることができる。また、AR郵便物には住所が記載されていないため、配達員が投函先の郵便受けポストを確認できるように、配達員端末130又は配達員が装着したスマートグラスでARコンテンツの宛先を読み取り、投函先の郵便受けポスト30の位置を表示するようにしてもよい。マンションのなどの集合ポストでは誤配達防止のために特に有用である。
【0045】
また、受取人側(受取人の個人宅、勤務先など)の郵便受けポスト30は、ポストに貼付された/又は表示された「ポスト用ARマーカー」を配達員端末130で読み取ると、当該端末に対応付けられた配達物に関連するARコンテンツが再生されるようにしてもよい。また、配達員が配達物を配送拠点で受け取る際に、配達員の配達員端末130と配達物が関連付けられるようなっていることが望ましい。配達先住所に対応付けられた「ポスト用ARマーカー」がDBに登録されることによって、配達先で取得した「ポスト用ARマーカー」で、配達員が配達先住所に応じた配達物に関するARコンテンツを対応付け可能となる。また、郵便受けポスト30が、配達員端末近接検知手段31を備えていてもよい。配達員端末近接検知手段31は、配達員端末130と近接無線通信手段(NFC:Near Field Communication)で交信し、配達員が受取人側の郵便受けポスト30に近接したときに、投函すべき郵便物がないかを調べることができる。そして投函すべき郵便物があるときは、その郵便受けポストの位置を表示したり、同時にユーザ端末20にその旨を送信したりするようにしてもよい。
【0046】
送付人側のユーザ端末10は、ARコンテンツ作成手段11及びARマーカー印刷手段12を備えている。なお、ARコンテンツ作成手段は、ARコンテンツ作成手段108として、センタサーバ100にも備えられるようにしてもよい。また、ARコンテンツ作成手段11又はARコンテンツ作成手段108は、単にARマーカーを郵便物に貼り付けるだけでなく、ARマーカーに配達物を関連づけ、そのARコンテンツの表示条件(例えば、ARマーカーの特定の内容を表示する条件や、郵便局員や配達員がARコンテンツの特定の一部情報だけを見られる等の条件)を設定するための機能も有する。
【0047】
ARコンテンツの作成は、スマートフォンの既存のAR作成アプリを利用してもよいが、ARマーカーをラベルに印刷し、郵便物に貼り付けるためのラベルプリンタ13と接続されていることが望ましい。もちろんハガキや封筒に直接印刷可能なプリンタがある場合は、それを利用してもよいし、ARコンテンツ作成手段11を、あて名印刷ツールやハガキ印刷ツールに組み込むようにしてもよい。なお、ARコンテンツ作成手段11の具体的な画面については後述する。
【0048】
受取人側のユーザ端末20は、ARコンテンツ読取手段21(例えば、スマートフォンのカメラ)を備えている。このことにより、受け取った郵便物のコンテンツを端末で再現することができる。また、受取人側のユーザ端末20は、郵便物通知受信手段22を備えていてもよい。ここで郵便物通知とは、郵便局や配達員が郵便物のARマーカーを読み取ったタイミングで、その情報をユーザ端末20に通知するものである。通知する内容は、受取人のユーザが任意に指定できるようにすることが望ましい。そのようにすることで、受取人は、郵便物が来ること、配達予定日時間帯、送付元の名称などを予め知ることができる。また、受取人側の郵便受けポスト30からもこのような通知を受け取るようにすれば、郵便物が来てないかをどうかを調べるためにいちいち郵便受けポストに確認に行く手間が省ける。
【0049】
図5は、受取人側の郵便受けポストの処理フローを示す図である。本システムでは、受取人側の郵便受けポスト30(以下、ここでは符号は省略する)は、単に配達された郵便物を収納するだけでなく、ARマーカーが付加された郵便物を最初に受け付け、ユーザに連絡するための処理を行う。以下のフローでは、マンションの集合ポストを例にして、その処理を説明する。ただし、集合ポストには、配達員を検知するセンサーが備えられているものとする。
【0050】
まず、集合ポストのセンサーは、ステップS10において、配達員の端末が所定の距離内に近接したことを検知すると、ステップS11において、配達員端末と近距離通信手段により交信し、配達員が配達しようとしている郵便物の宛名を取得する。ただし、配達員端末には、配達員が配達しようと保持している郵便物のすべての郵便物のARコンテンツに含まれた送付先の部屋番号が予め読み取られているものとする。次に、ステップS12において、集合ポスト内の特定の部屋番号宛ての郵便物があるか否かをチェックする。
【0051】
集合ポストのセンサーは、ステップS12において、集合ポスト内の特定の部屋番号宛ての郵便物があると判断したときは、ステップS13において、配達員に対して、なんらかの方法でその部屋の郵便受けポストヘの投函指示を発信する。例えば、音声で投函先の部屋番号を発するようにしたり、当該投函先ポストに設置されたLEDを光らせたりする。AR郵便物の表面には、宛先の住所や部屋番号が書かれていないが、配達員は郵便物をスマートフォンやスマートグラスにかざすことで投函先の部屋番号を確認できる。もちろん、配達員がスマートグラスを装着している場合は、郵便物を見ただけで部屋番号が浮き出て表示される。
【0052】
最後に、ステップS14において、配達員端末は、郵便物を投函した部屋番号の受取人のユーザ端末に、郵便物を投函した旨の情報を通知するようにしてもよい。このとき、その郵便物の送付人の情報も一緒に送信してもよい。このようにすることで、宛先が書かれていないAR郵便物であっても確実に受取人に届けることができる。なお、配達先がマンションでなく一戸建て住宅の場合は、その住居の郵便受けポスト単体で集合ポストと同様の機能を果たすが、投函先のポストは1つだけなので、処理は簡単である。
【0053】
図6は、送付人・受取人情報登録画面の一例を示す図である。ここでは、AR郵便物の送付人のユーザは、スマートフォンにインストールされた専用アプリを用いて、送付人・受取人の情報を画面から登録する例を示している。ここでは、左の画面200から、送付人の「お名前」、「郵便便番号」、「住所」、「電話番号」、「決済情報」を入力している。「決済情報」とは、郵便物の配送料を配達後に(又は配達前であってもよい)決済するための方法である。
【0054】
またユーザは、右の画面201から送付人の情報を入力している。ここでは、例として、受取人の「お名前」、「郵便番号」、「住所」、「電話番号」を入力している。いずれの登録情報も、入力は手書きで行ってもよいが、手書きは自動的にテキストコードに変換される。なお、本サービスへの問い合わせは、電話番号でも簡単にできるものとする。
【0055】
ここで、専用アプリで住所の宛先を変更するときなどは、パスワードを共有することで受取人側からも情報を変更できるようにするとより利便性が向上する。また、受取人のユーザがARコンテンツに含まれる送付人の情報を変更して郵便物の転送を行うことも可能となる。そのときは、受取人の情報を変えるだけなので転送が簡単となる。また、送付人が間違えた送付先の住所を入力していても、サーバのDBの履歴情報と比較して、情報に差異があれば、住所を修正してくれるようにしてもよい。また、家族の中で誰宛てに郵便が来るのか事前にわかるようにするため、専用アプリの通知によって、発送者と配送情報を受取人に共有するようにしてもよい。このようにすることによって誰宛ての郵便物が来るのかが事前にわかるようになる。
【0056】
図7は、ARコンテンツの作成・登録手順を示す図である。図示するように、ARコンテンツの登録は、まず画像ライブラリ210からARマーカーとして登録したい画像を選択する。画像ライブラリ210には、カテゴリに分類された画像が予め用意されているが、ユーザ自身が撮った写真やイラストの画像などを追加することもできる。画像ライブラリ210から特定の画像を選択したときに、その画像を以前に利用したことがある場合、すなわち、ARマーカーの画像とARコンテンツが既に結び付けられている場合は、ARコンテンツ作成画面211のように、「この画像は利用済みです」と表示され、「画像を編集」、「ARコンテンツを編集」、「別の画像を選択」、のいずれかのボタンを押すことで、画像を編集したり、ARコンテンツを編集したりして、画像とARコンテンツの結び付けを新たに作成することができる。
【0057】
また、画像に「自動生成可」と表示されているときは、その画像を自動的に編集した画像を生成することもできる。画像の自動編集は、公知の画像処理技術を使って容易に実現できる。例えば、送付人のメッセージの内容から、画像のキャラクターのポーズや表情を変えた画像を提案するようにしてもよい。また、このとき、画像に送付人がなんらかの加筆をするように促してもよい。ARコンテンツ編集画面212の例では、キャラクターのポーズを変えた画像が自動的に生成され、送付人である子供が「ガオー」という文字を加筆し、さらにARコンテンツ中のメッセージも編集して、単身赴任中の親に催促のハガキを送る準備をしている様子が示されている。また、郵便物が配送された後であってもARコンテンツにメッセージを追加することもできる。なお、この例ではARコンテンツは文字情報だけにしているが、画像(静止画、動画)や音声を含んでもよい。
【0058】
また、ARマーカーとして登録する画像は配送中のみ被らなければよいので、同じ画像を使いまわしすることも可能である。そのときは画像に関連づけられたARコンテンツだけを変更すればよい。このようにすることで、返信にも同じ画像を用いることもできる。また、送付人が別の郵便を送る際に、ARコンテンツを変更して再利用することも可能である。なお、ここで取り上げた郵便システムとは異なるが、社内の社内便システムにおいて、封筒の再利用も促すこと可能となる。
【0059】
また、画像にテキストやパターンを組み込むことで同じ画像を差別化することで、ARマーカー付のハガキなどを大量生産して販売することも可能となる。このとき、送付者が自分で画像に加筆することを前提とすれば、同じ画像をプリントしたハガキなども販売が可能となる。また、事前に料金の振込先を設定した画像を送付しあうことで、配送料金の代替も可能となる。また、大量の郵便物を発送する場合は、郵便局が配送計画を立てやすくなる。
【0060】
(変形例)
上記の実施形態では、郵便局の郵便システムについて説明したが、本発明は、変形例として、宅配便システムにも適用が可能である。宅配便の送付には切手は不要だか、送付伝票を作成して宅配物に貼る必要があり、その送付伝票の情報をARマーカーに置き換えることで、郵便システムと同様のサービスを提供することが可能である。具体的には、
図4で示した機能構成図で、集荷側の郵便局110、配達側の郵便局120を、それぞれ集荷側の宅配営業所110A、配達側の宅配営業所120Aに置き換え、さらに郵便受けポスト30を宅配ボックス30Aに置き換えればよい。
図8にこの宅配便システムの機能構成を示すが、機能構成は
図4の場合とほぼ同様なので説明は省略する。なお、「郵便」と「宅配便」はどちらも「物」の配達という点では同じであるが、「郵便」は書状やハガキも配達するという違いがある。ただし、両者を区別する必要がない場合は、郵便システムと宅配便システムをまとめて「配達システム」と呼び、郵便物と宅配物をまとめて「配達物」と呼び、郵便受けポストと宅配ボックスをまとめて単に「ポスト」、と呼ぶことにする。なお、「郵便」の一種に「ゆうパック」というものがあるが、これは「宅配便」と同じサービスに属する。
【0061】
以上説明した本システムの機能構成は、あくまで一例であり、一つの機能ブロック(データベース及び機能処理部)を分割したり、複数の機能ブロックをまとめて一つの機能ブロックとして構成したりしてもよい。各機能処理部は、装置に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスク等の記憶装置に格納されたコンピュータ・プログラムを読み出し、CPUにより実行されたコンピュータ・プログラムによって実現される。すなわち、各機能処理部は、このコンピュータ・プログラムが、記憶装置に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信インターフェース装置)を制御することによって実現される。また、本発明の実施形態におけるデータベース(DB)は、商用データベースであってよいが、単なるテーブルやファイルの集合体をも意味し、データベースの内部構造自体は問わないものとする。
【0062】
(実施形態の効果)
本システムによれば、切手やバーコードの代わりにARマーカーを用いることで、ユーザの郵便に関するユーザの煩わしさ(切手を購入して郵便物に貼る手間、住所を書く手間、書き損じの懸念、投函後の住所や名前等の個人情報の流出の不安、誤配達の不安など)を解消することができ、かつ郵便物でやりとりをする人のこだわり(現物性、証拠性、儀礼性,視覚性など)に寄り添うことができ、柔軟で拡張性に富んだ郵便システムを提供することができる。
【0063】
また、ARマーカーとARコンテンツを関連付けて郵便物のコンテンツとして格納するので、いろいろなバリエーションに飛んだコンテンツを作成することができる。また、郵便物の配送料をARコンテンツに含ませることで、配送料の決済を実行可能な金融機関に対し決済要求を送信するので配送料の支払いを自動的にできる。
【0064】
また、サーバに格納されたコンテンツの表示内容を、コンテンツを表示した位置情報、日時情報、表示したユーザに応じて、臨機応変に変化させることができる。例えば、郵便物の配達前には送付人と受取人の情報のみを表示させ、配達後には本文のコンテンツ内容を表示するなどすることで、不要な情報開示を防ぐことができる。
【0065】
また、配達物(郵便物又は宅配物)を配達する配達員が携帯する配達員端末が、配達物の受取人側のポストのARマーカーを読み取る手段を備え、配達員端末に対応付けられた配達物に関するARコンテンツ(主として宛先)を再生することができるので、宛先が書かれていない配達物であってもその配達先のポストを確認することができる。
【0066】
また、送付人側のユーザ端末又はセンタサーバに、ARコンテンツ作成手段、ARマーカーと配達物関連付ける手段を備えるので、その機能を使えば容易にAR配達物を作成することができる。
【0067】
また、ARコンテンツ作成手段に、ユーザが用意した画像のデザインを自動的に変更可能な手段を備えることで、多数の画像をユーザが用意しなくとも、AR用の画像を使いまわしたり、大量生産したりすることができる。
なお、上記の実施形態の効果は、配便システムについてもほぼ同様である。
【0068】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲に限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。なお、上記の実施形態では、本発明を物の発明として、郵便システム(又は宅配便システム)について説明したが、本発明は、方法の発明又はコンピュータ・プログラムの発明としても捉えることもできる。
【符号の説明】
【0069】
1 インターネット
2 郵便局内のネットワーク
10 ユーザ端末(送付人側)
11 ARコンテンツ作成手段
12 ARマーカー印刷手段
13 ラベルプリンタ
20 ユーザ端末(受取人側)
21 ARコンテンツ読み取り手段(受取人側)
22 配送通知受信手段
23 ARコンテンツ表示制御手段(ユーザ端末側)
30 受取人側郵便受けポスト
30A 受取人側宅配ボックス
31 配達員端末近接検知手段
100 センタサーバ
101 ユーザDB
102 配送料DB
103 ARコンテンツDB
104 配送状況トラッキングDB
105 ARコンテンツ受信手段
106 ARコンテンツ表示制御手段(センタサーバ側)
107 配送料決済手段
108 ARコンテンツ作成手段
110 郵便局(集荷側)
110A 宅配営業所(集荷側)
111 配送物自動振り分け装置(集荷側)
112 ARコンテンツ読取手段(集荷側)
120 郵便局(配達側)
120A 宅配営業所(配達側)
121 配送物自動振り分け装置(配達側)
122 ARコンテンツ読取手段(配達側)
130 配達員端末
200 送付人の情報登録画面
201 受取人の情報登録画面
210 画像ライブラリ
211 ARコンテンツ表示画面
212 ARコンテンツ編集画面