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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020091
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/80 20060101AFI20230202BHJP
   E02F 9/00 20060101ALI20230202BHJP
   E02F 3/76 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
E02F3/80 A
E02F9/00 A
E02F3/76 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021125275
(22)【出願日】2021-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺内 昇平
(72)【発明者】
【氏名】河野 篤史
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015AA00
2D015DA01
2D015GB06
(57)【要約】
【課題】フレームを伝播する振動を抑制して固体伝播音を低減する。
【解決手段】作業機械は、第一連結部を有した第一フレームと、第一方向に延びる一対の側壁部を備え、第一連結部に対して回動可能に連結される第二連結部を有した第二フレームと、を備え、第一連結部と第二連結部とのうち、少なくとも第二連結部は、第一方向と交差する第二方向に離間して設けられた複数のブラケット部を有し、一対の側壁部を渡るように一対の側壁部に固定された連結部本体と、一対の側壁部に対して非固定状態にされる一方で、複数のブラケット部に固定されて複数のブラケット部を第二方向に繋ぐ遷移部材と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一連結部を有した第一フレームと、
第一方向に延びる一対の側壁部を備え、前記第一連結部に対して回動可能に連結される第二連結部を有した第二フレームと、
を備え、
前記第一連結部と前記第二連結部とのうち、少なくとも前記第二連結部は、
前記第一方向と交差する第二方向に離間して設けられた複数のブラケット部を有し、一対の前記側壁部を渡るように一対の前記側壁部に固定された連結部本体と、
複数の前記ブラケット部に固定された遷移部材と、
を備える作業機械。
【請求項2】
前記遷移部材は、板状に形成されている
請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記連結部本体は、
前記遷移部材から前記第一方向に離間して設けられ、複数の前記ブラケット部を前記第二方向に繋ぐ補強部材を備える
請求項1又は2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記補強部材は、一対の前記側壁部に固定されている
請求項3に記載の作業機械。
【請求項5】
前記補強部材は、前記ブラケット部、及び一対の前記側壁部に対し、溶接部を介して固定されている
請求項4に記載の作業機械。
【請求項6】
前記遷移部材は、
前記第二フレームを構成する他の部材よりも薄い厚さで形成されている
請求項1から5の何れか一項に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
ダンプトラック、ホイールローダ、及び、モータグレーダ等の作業機械においては、悪路走破性を向上するなどのために、フロントフレームとリアフレームとをアーティキュレート機構を用いて結合している場合がある。
特許文献1には、アーティキュレート機構を有したモータグレーダが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-55359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のアーティキュレート機構を有した作業機械では、エンジンや油圧ポンプで発生する振動がフレームからキャブまで伝播して固体伝播音としてオペレータの耳元騒音を悪化させる場合がある。
本開示は、このような課題に鑑みてなされたものであり、フレームを伝播する振動を抑制して固体伝播音を低減することが可能な作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る作業機械は、第一連結部を有した第一フレームと、第一方向に延びる一対の側壁部を備え、前記第一連結部に対して回動可能に連結される第二連結部を有した第二フレームと、を備え、前記第一連結部と前記第二連結部とのうち、少なくとも前記第二連結部は、前記第一方向と交差する第二方向に離間して設けられた複数のブラケット部を有し、一対の前記側壁部を渡るように一対の前記側壁部に固定された連結部本体と、複数の前記ブラケット部に固定された遷移部材と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
上記態様の作業機械によれば、フレームを伝播する振動を抑制して固体伝播音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一実施形態に係るモータグレーダの側面図である。
図2】上記モータグレーダの連結部近傍のフロントフレーム及びリアフレームを拡大した側面図である。
図3】上記連結部の部分断面図である。
図4】上記連結部の斜視図である。
図5】本開示の一実施形態に係るリアフレーム及び第二連結部の斜視図である。
図6】上記リアフレーム及び第二連結部の分解斜視図である。
図7】本開示の一実施形態に係る遷移部材を車両前後方向の後側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の一実施形態について図1図7を参照して詳細に説明する。本実施形態では、作業機械としてモータグレーダを一例にして説明する。
<作業機械>
図1は、本開示の一実施形態に係るモータグレーダの側面図である。
図1に示すように、本実施形態の作業機械であるモータグレーダ10は、前輪11と、後輪12と、フロントフレーム(第一フレーム)2Fと、リアフレーム(第二フレーム)2Rと、運転室3と、作業機4と、エンジン室6と、を少なくとも備えている。本実施形態のモータグレーダ10は、フロントフレーム2Fの左右の片側に一輪ずつ計二つの前輪11を有している。さらにモータグレーダ10は、リアフレーム2Rの左右の片側に二輪ずつ計四つの後輪12を有している。
【0009】
エンジン室6は、リアフレーム2R上に設けられ、エンジンや油圧ポンプ(何れも図示せず)などの構成部品を収容している。上記後輪12は、このエンジンの出力によって駆動される。
本実施形態のモータグレーダ10は、作業機4としてブレード13を備えている。このブレード13を備えることでモータグレーダ10は、整地作業、除雪作業、軽切削、材料混合などの作業を行なうことが可能となっている。
なお、以下の説明において、モータグレーダ10の進行方向を前方と称し、後退方向を後方と称する。また、モータグレーダ10の前端及び後端を結ぶ第一方向を車両前後方向Dxと称し、車両前後方向Dxの前方側である第一側を前方側Dx1、後方側である第二側を後方側Dx2と称する。また、車両前後方向Dxに対し上下に交差する第二方向を車両上下方向Dyと称し、車両前後方向Dx及び車両上下方向Dyの両方に対し水平に交差する第三方向を車幅方向Dzと称する。また、以下の説明において、左右とは、運転室3から進行方向を向いたときの左右方向を意味する。
【0010】
運転室3は、フロントフレーム2F上に設けられている。運転室3は、オペレータが搭乗するための室内空間を形成している。本実施形態の運転室3は、フロントフレーム2Fのうちモータグレーダ10の車両前後方向Dxの後部に配置されている。図2に示すように、本実施形態の運転室3の後部は、フロントフレーム2Fとリアフレーム2Rとの連結される連結部5の近傍から上方に延びる支持フレーム7によって下方から支持されている。運転室3の内部には、旋回操作のための操舵装置、変速操作のための変速レバー、作業機4を操作するための操作レバー、ブレーキペダル、アクセルペダル(何れも図示せず)などが設けられている。オペレータが操舵装置を操作することにより前輪11の向きが変更される。
【0011】
<連結部>
図3は、上記モータグレーダの連結部の部分断面図である。図4は、連結部を斜め前方から見た斜視図である。
図1から図4に示すように、フロントフレーム2Fとリアフレーム2Rとは、連結部5により連結されている。本実施形態では、フロントフレーム2Fの後端部21がリアフレーム2Rの前端部22に連結されている。フロントフレーム2Fの後端部21には、第一連結部31が設けられ、リアフレーム2Rの前端部22には第二連結部32が設けられている。本実施形態の第一連結部31と第二連結部32とは、車両上下方向Dyに延びる軸a1回りに回動可能に連結されている。フロントフレーム2F及びリアフレーム2Rは、高張力鋼などの金属により形成されている。
【0012】
フロントフレーム2Fとリアフレーム2Rとの少なくとも一方は、車両前後方向Dxに延びる一対の側壁部33を備えている。図3図4に示すように、本実施形態では、少なくともリアフレーム2Rの前端部22に左右一対の側壁部33を備えている場合を例示している。本実施形態の側壁部33は、車両前後方向Dx及び車両上下方向Dyに延びる板状に形成されている。なお、上記に加えて、フロントフレーム2Fもリアフレーム2Rと同様に車両前後方向Dxに延びる側壁部を備えていてもよい。
【0013】
図5は、本開示の一実施形態に係るリアフレーム及び第二連結部の斜視図である。図6は、リアフレーム及び第二連結部の分解斜視図である。
連結部5は、第一連結部31と第二連結部32とを備えている。第一連結部31と第二連結部32との少なくとも一方は、連結部本体40と、遷移部材61とを備えている。図5図6に示すように、本実施形態で例示するモータグレーダ10は、リアフレーム2Rに設けられた第二連結部32に連結部本体40と、遷移部材61とを備えている。
【0014】
<連結部本体>
連結部本体40は、リアフレーム2Rの一対の側壁部33を、車幅方向(第三方向)Dzに渡るように設けられている。これら連結部本体40は、一対の側壁部33に固定されている。
【0015】
図6に示すように、連結部本体40は、軸ユニット41と、補強部材44とを備えている。本実施形態では、軸ユニット41は、車両上下方向Dyに間隔をあけて二つが設けられている。一つの軸ユニット41は、二つのブラケット部42と、一つの軸部43と、を備えている。本実施形態の二つの軸ユニット41は、同一構成となっている。
【0016】
<ブラケット部>
ブラケット部42は、車両上下方向Dyから見て概略三角形の平板状をなしている。複数(具体的には、四つ)のブラケット部42は、車両上下方向Dyから見て同一形状をなし、互いに上下に間隔をあけて平行に配置されている。本実施形態のブラケット部42は、車幅方向Dzの中央で且つ車両前後方向Dxの前方側Dx1に頂角45を有する概略二等辺三角形状に形成されている。本実施形態の頂角45の角度は、鈍角とされている。
【0017】
図6に示すように、本実施形態のブラケット部42は、概略二等辺三角形の底角の位置に形成された二つの底角部46に、車両前後方向Dxに直線状に延びる直線部47を有している。これら二つの直線部47は、車幅方向Dzで側壁部33から離間している。このブラケット部42は、例えば、リアフレーム2Rと同様に高張力鋼などの金属により形成することができる。本実施形態のブラケット部42は、二つで一組をなしており、二組設けられている。これら二組のブラケット部42は、上下に間隔をあけて設けられている。
【0018】
<軸部>
軸部43は、車両上下方向Dyに延びる円柱状をなし、二つのブラケット部42に上下両側から挟まれるように支持されている。これら軸部43に、フロントフレーム2Fの第一連結部31の二つのアーム31A(図3図4参照)が回動可能に連結される。ここで、第一連結部31のアーム31Aは、フロントフレーム2Fの後端部21から車両前後方向Dxの後方側Dx2に延びている。
【0019】
本実施形態の軸部43の両端部には、フランジ部48が接合されている。軸部43は、これらフランジ部48を介してブラケット部42に対してボルト等の締結部材により接合されている。なお、本実施形態の軸部43の車幅方向Dzの両側には、軸部43を挟む二つのブラケット部42に渡るように支持部材49が設けられている。支持部材49は、ブラケット部42に対して溶接部(図示せず)を介して接合されている。ブラケット部42と支持部材49とを接合する溶接部(図示せず)としては、隅肉溶接やスポット溶接等の溶接により形成された溶接部を例示できる。これら支持部材49により、例えば、軸部43を取り付ける前の二つのブラケット部42の間隔を保持可能とされている。
【0020】
<補強部材>
補強部材44は、複数のブラケット部42を車両上下方向Dyに繋いでいる。本実施形態では、例えば、後述する補強部材44の第二開口部53の位置にブラケット部42が位置するように、補強部材44と複数のブラケット部42とが溶接されている。補強部材44は、更に、一対の側壁部33に固定されている。本実施形態の補強部材44は、側壁部33に対して溶接部(図示せず)を介して剛に接合されている。補強部材44は、例えば、リアフレーム2Rと同様に、高張力鋼などの金属によって形成されている。補強部材44は、ブラケット部42の車両前後方向Dxの前方側Dx1の前縁部42Fに溶接部(図示せず)を介して固定されている。なお、補強部材44と一対の側壁部33とを接合する溶接部(図示せず)、及び、ブラケット部42と補強部材44とを接合する溶接部(図示せず)としては、隅肉溶接やスポット溶接等の溶接により形成された溶接部を例示できる。
【0021】
本実施形態の補強部材44は、車両上下方向Dyから見て、ブラケット部42の前縁部42Fの二つの斜辺に沿って形成され後方側Dx2に凹となるV字状をなしている。補強部材44は、更に、配管・ケーブル類PC(図3参照)を挿通するための第一開口部50と、第一連結部31のアーム31Aを挿通させるための切欠き部51と、を有している。第一開口部50は、前方側Dx1から見て、補強部材44の車幅方向Dzの中央の位置を避けるように形成されている。本実施形態の第一開口部50は、車幅方向Dzに延びる長孔状をなし、左右に一つずつ設けられている。これら第一開口部50は、車両上下方向Dyの中央に位置している。一方で、切欠き部51は、車幅方向Dzの中央に位置しており、上下に一つずつ形成されている。これら二つの切欠き部51のうちの一方は、補強部材44の上縁から下方に向かって凹むように形成され、他方は、補強部材44の下縁から上方に向かって凹むように形成されている。つまり、本実施形態の補強部材44は、車両前後方向Dxから見て上下対称及び左右対称な形状をなしている。なお、本実施形態の補強部材44は、第一開口部50の上下両側に車幅方向Dzに長い長孔状の第二開口部53を複数備えている場合を例示しているが、これら第二開口部53は適宜設ければ良く、省略してもよい。また、第二開口部53は、四つに限られない。三つ以下や五つ以上の第二開口部53を設けてもよい。
【0022】
<遷移部材>
図5から図7に示すように、遷移部材61は、複数の軸ユニット41に固定されている。遷移部材61は、リアフレーム2Rからフロントフレーム2Fへのエネルギー伝播経路上に設置されている。遷移部材61には、リアフレーム2Rが持つ振動エネルギーが遷移する。遷移部材61は、この遷移した振動エネルギーを熱エネルギーに変換する減衰構造である。遷移部材61は、板形状をなし、振動することで遷移した振動エネルギーを熱エネルギーに変換する。
【0023】
遷移部材61は、複数の軸ユニット41を車両上下方向Dyに繋いでいる。より具体的には、遷移部材61は、複数の軸ユニット41の有する複数のブラケット部42の後縁部42Rに固定され、これら複数のブラケット部42を車両上下方向Dyに繋いでいる。本実施形態で例示する遷移部材61の輪郭は、車両前後方向Dxの後方側Dx2から見て矩形をなしており、車幅方向Dzに直線状に延びる上辺61a及び下辺61bと、車両上下方向Dyに直線状に延びる左辺61c及び右辺61dとを備えている。
【0024】
本実施形態の遷移部材61は、遷移された振動エネルギーを熱エネルギーに変換させるため、補強部材44よりも薄い平板状に形成されている。遷移部材61の厚さとしては12mm、補強部材44の厚さとしては32mmを例示できる。遷移部材61は、補強部材44やブラケット部42等の他の部材よりも振動し易い厚さであれば良く、上記厚さに限られない。この遷移部材61は、上記ブラケット部42や補強部材44と同様に、高張力鋼などの金属により形成することができる。遷移部材61は、最も上方のブラケット部42と最も下方のブラケット部42とに渡るように配されて、全てのブラケット部42に溶接部(図示せず)を介して固定されている。この遷移部材61とブラケット部42とを固定する溶接部(図示せず)についても、隅肉溶接やスポット溶接等の溶接により形成される溶接部を例示できる。
【0025】
その一方で、遷移部材61は、一対の側壁部33に対して非固定状態になっている。図7に示すように、本実施形態の遷移部材61は、側壁部33からそれぞれ車幅方向Dzに離間している。言い換えれば、遷移部材61の左辺61cと車幅方向Dz左側の側壁部33とは、所定距離Lだけ車幅方向Dzに離れており、遷移部材61の右辺61dと車幅方向右側の側壁部33とは、所定距離Lだけ車幅方向Dzに離れている。
【0026】
ここで、遷移部材61の厚さを変化させることで、遷移部材61に遷移する振動エネルギーの周波数特性が変化する。言い換えれば、遷移部材61の厚さを変化させることで、遷移部材61によって最も効率よく遷移させることが可能な振動エネルギーの周波数帯を変化せることができる。遷移部材61の厚さを変化させる手法としては、板厚を変化させるものに限られず、例えば、薄板状の部材を重ねて遷移部材61の厚さを変化させるようにしてもよい。なお、遷移部材61により効率よく遷移可能な振動エネルギーの周波数帯は、溶接の種類を変化させることでも変化させることができる。そのため、上述した遷移部材61の板厚と溶接の種類との各条件を組み合わせて、ターゲットとなる振動エネルギーの周波数帯を調整するようにしてもよい。なお、ターゲットとなる振動エネルギーの周波数帯としては、500Hz帯を例示できる。
【0027】
本実施形態の遷移部材61は、その中央部に配管・ケーブル類PCを通すための貫通孔61hを有している。本実施形態の貫通孔61hは、車両前後方向Dxから見て矩形に形成されている場合を例示しているが、貫通孔61hの形状は矩形に限られない。
【0028】
<作用効果>
以上のように、本実施形態の作業機械であるモータグレーダ10の第二連結部32では、ブラケット部42が、車両上下方向Dyに離間して複数設けられ、このブラケット部42が固定された補強部材44が一対の側壁部33を渡るように一対の側壁部33に固定されている。さらに、遷移部材61が、一対の側壁部33に対して非固定状態にされる一方で、複数の連結部本体40に固定されて複数の連結部本体40を車両上下方向Dyで繋いでいる。この場合、エンジン室6に収容されたエンジンや油圧ポンプ等で発生した振動が、リアフレーム2Rの側壁部33から連結部本体40に伝わったとしても、この振動エネルギーを遷移部材61に遷移させることができる。また、遷移部材61が、一対の側壁部33に対して非固定状態にされることで、遷移部材61の振動を生じさせ易くして、振動エネルギーをより効率よく熱エネルギーに変換させることが可能となる。そのため、リアフレーム2Rからフロントフレーム2Fを介して運転室3へ伝播する振動を抑制して、運転室3における固体伝播音を低減することが可能となる。
【0029】
本実施形態では、更に、遷移部材61が、車両前後方向Dx及び車両上下方向Dyに広がる平板状に形成されている。このように遷移部材61が平板状に形成されることで、容易に遷移部材61を形成することができる。したがって、第二連結部32の構成が複雑化することを抑制できる。
【0030】
本実施形態では、更に、補強部材44が、遷移部材61から車両前後方向Dxに離間して設けられて複数のブラケット部42を車両上下方向Dyに繋いでいる。このようにすることで、ブラケット部42が変形する振動モードを抑制できるため、ブラケット部42における振動エネルギーを低減して運転室3における固体伝播音をより一層低減することができる。
【0031】
本実施形態では、更に、補強部材44が、一対の側壁部33に溶接部を介して剛に接合されているため、リアフレーム2R前部の剛性を向上してリアフレーム2Rの変形を抑制することができる。
【0032】
<その他の実施形態>
以上、本開示の実施の形態について説明したが、本開示はこれに限定されることなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
上記実施形態では、本開示をモータグレーダに適用した例について説明したが、他のアーティキュレート機構を有している作業機械であれば良く、例えば、ダンプトラックやホイールローダ等の作業機械に適用してもよい。また、運転室3、エンジン室6をリアフレーム2R上に備える作業機械を一例にして説明したが、フロントフレーム2F上に運転室3、エンジン室6の少なくとも一方を備える作業機械であってもよい。
【0033】
上記実施形態では、リアフレーム2Rに設けられた第二連結部32に遷移部材61を設ける場合について説明したが、第二連結部32と同様に、フロントフレーム2Fに設けられた第一連結部31においても、アーム31Aを支持するブラケット部(図示せず)を車両上下方向Dyに間隔をあけて設けるとともに、これらブラケット部を車両上下方向Dyに渡る遷移部材を設けるようにしてもよい。また、このようにフロントフレーム2F側に遷移部材を設ける場合、リアフレーム2Rに設けられた第二連結部32の遷移部材61を省略するようにしてもよい。
【0034】
上記実施形態では、一対の側壁部33を補強部材44によって剛に接合する場合について説明した。しかし、補強部材44は、必要に応じて設ければ良く、例えば、補強部材44を省略して、第二連結部32のブラケット部42によって一対の側壁部33を剛に接続するようにしてもよい。この場合も、遷移部材61は、複数のブラケット部42を車両上下方向Dyに接続しつつ、側壁部33に非固定状態とすればよい。
【0035】
上記実施形態では、第二連結部32に、一体に形成された一つの遷移部材61を設ける場合について説明した。しかし、遷移部材61の構成は、リアフレーム2Rの他の部材である側壁部33、ブラケット部42、及び補強部材44等よりも振動し易ければよく、この構成に限られない。遷移部材61は、例えば、複数に分割された遷移部材61を、車幅方向Dzに並べて第二連結部32に設けるなどの、振動し易い形状を有するようにしてもよい。
【0036】
上記実施形態おいて、補強部材44に第一開口部50を形成し、遷移部材61に貫通孔61hを形成する場合について説明したが、配管・ケーブル類PCを配索するスペースを他に確保可能な場合には、これら第一開口部50や貫通孔61hを省略するようにしてもよい。また、補強部材44が、車両前後方向Dx及び車両上下方向Dyに接合面の無い連続した一つの部材からなる場合を例示したが、補強部材44は、板材や棒材等の複数の部材を組み合わせて形成するようにしてもよい。
【0037】
上記実施形態では、車両前後方向Dxから見て遷移部材61の輪郭が矩形をなす場合について説明したが、遷移部材61の輪郭は矩形に限られない。遷移部材61は、複数のブラケット部42を車両上下方向Dyに接続し、リアフレーム2Rの振動エネルギーを遷移可能な形状であればよい。
【0038】
上記実施形態では、リアフレーム2R、ブラケット部42、補強部材44及び遷移部材61を高張力鋼などの金属により形成する場合について説明した。しかし、これらを形成する金属は高張力鋼に限られない。また、リアフレーム2R、ブラケット部42、補強部材44及び遷移部材61は、必要に応じて、例えば、炭素繊維強化プラスチック等の複合材料を用いるなど、金属以外の他の材料を組み合わせて用いてもよい。
【符号の説明】
【0039】
2F…フロントフレーム 2R…リアフレーム 3…運転室 4…作業機 5…連結部 6…エンジン室 7…支持フレーム 10…モータグレーダ 11…前輪 12…後輪 13…ブレード 21…後端部 22…前端部 31…第一連結部 31A…アーム 32…第二連結部 33…側壁部 40…連結部本体 41…軸ユニット 42…ブラケット部 42F…前縁部 42R…後縁部 43…軸部 44…補強部材 45…頂角 46…底角部 47…直線部 48…フランジ部 49…支持部材 50…第一開口部 51…切欠き部 53…第二開口部 61…遷移部材 61a…上辺 61b…下辺 61c…左辺 61d…右辺 61h…貫通孔 a1…軸 PC…配管・ケーブル類
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7