(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000201
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】経口組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7034 20060101AFI20221222BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20221222BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20221222BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221222BHJP
A23L 33/17 20160101ALI20221222BHJP
A61K 36/38 20060101ALN20221222BHJP
A23L 2/52 20060101ALN20221222BHJP
A23L 2/39 20060101ALN20221222BHJP
A61K 131/00 20060101ALN20221222BHJP
【FI】
A61K31/7034
A61P7/00
A61P31/00
A61P43/00 111
A23L33/17
A61K36/38
A23L2/00 F
A23L2/00 Q
A23L2/52
A61K131:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100889
(22)【出願日】2021-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】眞志喜 桜
(72)【発明者】
【氏名】藤木 航平
(72)【発明者】
【氏名】高野 晃
【テーマコード(参考)】
4B018
4B117
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LB10
4B018LE01
4B018LE03
4B018MD20
4B018MD42
4B018ME14
4B117LC04
4B117LE01
4B117LK15
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA08
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4C086GA17
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA51
4C086ZB31
4C086ZC41
4C088AB12
4C088AC04
4C088BA09
4C088BA21
4C088MA52
4C088NA14
4C088ZA51
4C088ZB31
4C088ZC41
(57)【要約】
【課題】本発明は、グリコアルブミンを低下させる及び/又はアルブミンの糖化を抑制するための組成物の提供を目的とするものである。
【解決手段】本発明者らは、グリコアルブミンを低下させる又はアルブミンの糖化を抑制する組成物を探索する中で、マクルリン又はその配糖体がグリコアルブミンを低下させる効果及び/又はアルブミンの糖化を抑制する効果を奏することを見出し、本発明を完成するに至った。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マクルリン又はその配糖体を含有するグリコアルブミン低下用経口組成物。
【請求項2】
マクルリン又はその配糖体を含有するアルブミンの糖化抑制用経口組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マクルリン又はその配糖体を含有する経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アルブミンは、生体内の重要な組織や血液等の体液中に存在して様々な働きをするタンパク質である。アルブミンは血液中に多くあり、栄養・代謝物質の運搬や浸透圧の維持等において役割を果たすことが知られている(非特許文献1)。また、血液中のアルブミン量が低下すると感染症に対する抵抗力が弱くなり、抗生物質投与時における効果が低下することが知られており、感染症に対する生体防御においても役割を果たすことが示唆されている(非特許文献2)。
【0003】
しかしながら、アルブミンが血中のグルコースと結合(糖化)してグリコアルブミンになってしまうと、アルブミンの有する正常な機能が失われ、上述したような本来の役割を十分に果たすことができなくなる。アルブミンは糖化されやすいタンパク質であるため、アルブミンの糖化を抑制し、グリコアルブミンを低下させる組成物の開発が求められてきた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】“チクバ外科・胃腸科・肛門科病院 NST 第32号平成29年2月発行”、[online]、[2021年6月1日検索]、インターネット<URL:http://www.chikubageka.jp/assets/files/pdffolder/nstletter32.pdf>
【非特許文献2】柴田博、“メディアミルクセミナーNo.15 2007年12月発行”、 [online]、[2021年6月1日検索]、インターネット<URL:https://www.j-milk.jp/report/media/f13cn00000000v2a-att/berohe000000k29r.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した背景を鑑みてなされたものであり、グリコアルブミンを低下させる及び/又はアルブミンの糖化を抑制するための組成物の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、グリコアルブミンを低下させる又はアルブミンの糖化を抑制する組成物を探索する中で、マクルリン又はその配糖体がグリコアルブミンを低下させる効果及び/又はアルブミンの糖化を抑制する効果を奏することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
[1]マクルリン又はその配糖体を含有するグリコアルブミン低下用経口組成物。
[2]マクルリン又はその配糖体を有効成分とするグリコアルブミン低下用経口組成物。
[3]前記マクルリン又はその配糖体がロダンテノンBであることを特徴とする、[1]又は[2]に記載のグリコアルブミン低下用経口組成物。
[4]前記マクルリン又はその配糖体がマンゴスチンの果皮由来であることを特徴とする、[1]又は[2]に記載のグリコアルブミン低下用経口組成物。
[5]マクルリン又はその配糖体を含有するアルブミンの糖化抑制用経口組成物。
[6]マクルリン又はその配糖体を有効成分とするアルブミンの糖化抑制用経口組成物。
[7]前記マクルリン又はその配糖体がロダンテノンBであることを特徴とする、[5]又は[6]に記載のグリコアルブミン低下用経口組成物。
[8]前記マクルリン又はその配糖体がマンゴスチンの果皮由来であることを特徴とする、[5]又は[6]に記載のグリコアルブミン低下用経口組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明の組成物は、グリコアルブミンを低下させる効果及び/又はアルブミンの糖化を抑制する効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[1.マクルリン又はその配糖体]
本発明の経口組成物は、マクルリン又はその配糖体を含有することを特徴とする。本発明の経口組成物に含有されるマクルリン又はその配糖体としては、植物から精製したものや化学合成して得たものや市販されている試薬を用いてもよく、マクルリン又はその配糖体を含有する植物を用いてもよい。
【0010】
本発明に用いるマクルリン又はその配糖体としては、より高い効果を得ることができる点から、ロダンテノンBが特に好ましい。ロダンテノンBは、マクルリン配糖体の一種の化合物である。ロダンテノンBとしてロダンテノンBを含有する植物を用いる場合には、より高い効果を得ることができる点から、マンゴスチンを用いることが好ましく、マンゴスチンの果皮を用いることが特に好ましい。
【0011】
マンゴスチンは、フクギ科フクギ属の植物であるGarcinia mangostanaのことを意味する。マンゴスチンの果皮とは、マンゴスチンの果実の皮部分を意味する。マンゴスチンの果皮を用いる場合には、果皮とともに果実や種等の部位を含んでもよい。本発明の経口組成物に使用されるマンゴスチンの果皮としては、例えば、粉末、顆粒等の粉砕物や、搾汁物や、抽出物を用いることができる。搾汁物や抽出物は、液状やスラリー状であってもよいが、乾燥粉末として用いることが好ましい。これらの中でも、本発明の効果の観点から、粉砕物、抽出物が好ましく、抽出物が特に好ましい。なお、本発明において抽出物とは、抽出物の乾燥粉末(抽出物を乾燥して粉末化したもの)を包含する概念である。
【0012】
マンゴスチン果皮の抽出物としては、抽出液や、その希釈液又は濃縮液、又はそれらの乾燥粉末等を挙げることができる。抽出に使用される溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどの低級アルコール;酢酸エチル、酢酸メチルなどの低級エステル;アセトン;これらと水との混合溶媒などが挙げられる。これらの中でも、本発明の効果の観点から、水、エタノール又は含水エタノールが好ましく、水が特に好ましい。また、得られた抽出物を必要に応じてスプレードライ、フリーズドライ等によって粉末化してもよく、粉末化を行う際に賦形剤を添加してもよい。
【0013】
[2.グリコアルブミン低下又はアルブミンの糖化抑制]
(グリコアルブミン低下)
本発明においてグリコアルブミン低下とは、血中グリコアルブミンの数値を改善することを意味し、血中グリコアルブミン量の低下、血中グリコアルブミン量の上昇抑制を含む概念である。すなわち、本発明の経口組成物を摂取することにより、摂取しない場合に比べて、血中グリコアルブミンの量が低下する効果、又は、血中グリコアルブミン量の上昇が抑制される効果を得ることができる。
【0014】
本発明の経口組成物は、グリコアルブミン低下用経口組成物として用いることができ、かかる経口組成物としては、マクルリン又はその配糖体を含有し、グリコアルブミン量を低下させる又はグリコアルブミン量の上昇を抑制できる点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物(広告媒体)のいずれかに、グリコアルブミンの低下又は上昇抑制の機能を表示したものが本発明の範囲に含まれる。本発明のグリコアルブミン低下用経口組成物は、マクルリン又はその配糖体を有効成分として表示するものであってもよいが、製品の包装等に、マクルリン又はその配糖体が有効成分として表示されているものに限られない。例えば、有効成分を特定していないものであってもよい。また、一般的な食品であっても、用途を示唆して製造販売されるものは本発明の範囲に含まれる。例えば、摂取した人の個人的感想として、グリコアルブミンの低下又は上昇抑制に言及する体験談をホームページ等に記載して販売される食品等についても、本発明の範囲に含まれる。また、グリコアルブミンの低下又は上昇抑制を示す論文等を機能性の科学的根拠とし、マクルリン又はその配糖体を機能性関与成分とする機能性表示食品であって、血中タンパクの糖化を抑制する機能を届出表示とする機能性表示食品についても、実質的に当該届出表示はグリコアルブミンの低下又は上昇抑制のことを意味しているため、本発明の範囲に含まれる。
【0015】
グリコアルブミン低下用経口組成物の具体例としては、「グリコアルブミンを低下する機能がある」、「グリコアルブミンを改善する機能がある」、「グリコアルブミンの上昇を抑制する」等を製品の包装等に表示した食品を例示することができる。
【0016】
(アルブミンの糖化抑制)
本発明においてアルブミンの糖化抑制とは、血中アルブミンの糖化を抑制する効果を含む概念である。すなわち、本発明の経口組成物を摂取することにより、摂取しない場合に比べて、血中アルブミンの糖化が抑制される効果を得ることができる。
【0017】
本発明の経口組成物は、アルブミンの糖化抑制用経口組成物として用いることができ、かかる経口組成物としては、マクルリン又はその配糖体を含有し、アルブミンの糖化を抑制できる点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物(広告媒体)のいずれかに、アルブミンの糖化を抑制する機能を表示したものが本発明の範囲に含まれる。本発明のアルブミンの糖化抑制用経口組成物は、マクルリン又はその配糖体を有効成分として表示するものであってもよいが、製品の包装等に、マクルリン又はその配糖体が有効成分として表示されているものに限られない。例えば、有効成分を特定していないものであってもよい。また、一般的な食品であっても、用途を示唆して製造販売されるものは本発明の範囲に含まれる。例えば、摂取した人の個人的感想として、アルブミンの糖化抑制に言及する体験談をホームページ等に記載して販売される食品等についても、本発明の範囲に含まれる。また、アルブミンの糖化抑制を示す論文等を機能性の科学的根拠とし、マクルリン又はその配糖体を機能性関与成分とする機能性表示食品であって、血中タンパクの糖化を抑制する機能を届出表示とする機能性表示食品についても、実質的に当該届出表示はアルブミンの糖化抑制のことを意味しているため、本発明の範囲に含まれる。
【0018】
アルブミンの糖化抑制用経口組成物の具体例としては、「アルブミンの糖化を抑制する機能がある」等を製品の包装等に表示した食品を例示することができる。
【0019】
(糖化反応及びグリコアルブミンについて)
糖化反応とは、体内にある糖がタンパク質や脂質など結びつき、最終的に糖化反応最終生成物(AGEs)と呼ばれる化合物を生じさせるまでの一連の化学反応のことをいう。単に「抗糖化」といった場合には、AGEsの産生抑制を意味することが一般的である。
【0020】
一方、グリコアルブミンは、糖化反応における前期反応生成物の一つである。誤解されやすいことではあるが、AGEsの産生が抑制されたからといって、前期反応生成物であるグリコアルブミンの産生も抑制されるというわけでは必ずしもない。これは糖化反応の流れが複雑多岐なためである。以下に糖化反応の流れについて説明する。
【0021】
糖化反応を大きく分けると、糖化タンパクが生成される「前期反応」、糖化中間反応体が生成される「中間反応」、及び後期AGEs生成反応物が生成される「後期反応」の3段階に分けられる。前期反応ではシッフ塩基が生成され、さらにアマドリ転移反応によってケトアミン構造を有するアマドリ化合物が生成される。アマドリ化合物としては、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)やグリコアルブミン等が知られている。
【0022】
中間反応では、糖化中間反応体として、グリオキサール(GO)や3-DG(デオキシグルコソン)などが生成される。なお、3-DGはアマドリ化合物から生成される化合物だが、グリオキサールはグルコースの酸化反応により生成される化合物であり前期反応とは関係しない。このように、糖化反応においては、前期反応(前期反応生成物の産生)を経ずに進行する経路も存在する。
【0023】
後期反応では、多岐に渡る反応経路から、単一ではなく様々な物質が生成される。例えば、カルボキシメチルアルギニン(CMA)、ペントシジン、ピラリン、カルボキシメチルリジン(CML)、ピロピリジン、クロスリン等が挙げられ、これらの化合物を総称してAGEsと呼んでいる。
【0024】
このように、生体内の糖化反応は多経路かつ多段階であるため、特定のAGEsの抑制が認められたとしても、全ての前駆体の生成が抑制されているわけではなく、生成が抑制されている前駆体もあれば、抑制されていない前駆体もある。例えば、AGEsの1つであるペントシジンの主な前駆体は五炭糖やビタミンCであることが知られている。そのため、ペントシジンの産生が抑制された場合において、前駆体である五炭糖やビタミンCが抑制されていることは予測できるものの、アマドリ化合物のような他の前駆体の産生が抑制されているかは不明であり、実際に試験を実施しなければ判断することはできない。
【0025】
[3.経口組成物]
本発明の経口組成物は、例えば、医薬品(医薬部外品を含む)や、機能性表示食品、特定保健用食品、栄養機能食品等の所定機関より効能の表示が認められた機能性食品等のいわゆる健康食品等として用いることができる。中でも、機能性表示食品又は特定保健用食品として用いることが好ましく、機能性表示食品として用いることが特に好ましい。
【0026】
本発明の経口組成物の形態としては、例えば、錠状、カプセル状、粉末状、顆粒状、液状、粒状、棒状、板状、ブロック状、固形状、丸状、ペースト状、クリーム状、カプレット状、ゲル状、チュアブル錠状、スティック状等を挙げることができる。アイス、ゼリー、クッキー、ケーキ、チョコレート、ペットボトル飲料等の形態であってもよい。これらの中でも、錠状、カプセル状、粉末状、顆粒状、丸状、チュアブル錠状の形態が好ましく、錠状が特に好ましい。
【0027】
本発明の経口組成物は、必要に応じて、マクルリン又はその配糖体の他の成分を添加して、公知の方法によって製造することができる。
【0028】
本発明の経口組成物を錠状、丸状、チュアブル錠状とする場合、賦形剤、滑沢剤、流動化剤のいずれか1種以上を添加することが好ましい。これにより、成型性が高められ、製造された剤の保存安定性が向上する。特に、賦形剤及び滑沢剤を使用することで保存安定性をより高めることができる。
【0029】
賦形剤とは、組成物の取扱いあるいは成形の向上や服用を便利にするために加えるものである。本発明に使用できる賦形剤としては特に制限はなく、例えば、デンプン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、デンプン分解物等のデンプン又はその誘導体、結晶セルロース、糖アルコール、乳糖、ビール酵母、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、精製白糖、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、酸化チタン、沈降炭酸カルシウム等などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0030】
滑沢剤とは、錠剤用の粉末を圧縮する際に打錠機杵臼と錠剤間の摩擦を緩和し、スティッキングなどの打錠障害を防ぐために使用するものである。本発明に使用できる滑沢剤としては、上記目的を達成することが可能な成分であれば特に制限はなく、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸又はその塩、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、タルク、ポリエチレングリコール、植物油脂、硬化油などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
流動化剤とは、混合末や顆粒の流動性を改善するために使用するものである。本発明に使用できる流動化剤としては特に制限はなく、例えば二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明において、賦形剤、滑沢剤、流動化剤はいずれも市販品を使用することができる。
【0032】
本発明の経口組成物におけるマクルリン又はその配糖体の含有量としては、その効果の奏する範囲で適宜含有させればよい。例えば、本発明の経口組成物中に、乾燥質量換算で、マクルリン又はその配糖体を0.00005~10質量%含有させることができ、0.0005~1質量%含有させることが好ましく、0.001~0.1質量%含有させることがより好ましい。
【0033】
本発明におけるマクルリン又はその配糖体の摂取量としては特に制限はないが、その効果をより効果的に享受できる点から、マクルリン又はその配糖体の摂取量が、成人の1日当たり、16μg以上となるように摂取することが好ましく、80μg以上となるように摂取することがより好ましく、160μg以上となるように摂取することがさらに好ましい。
【0034】
本発明の経口組成物は、マクルリン又はその配糖体の1日の摂取量が上記摂取量となるように適宜設計すればよく、1回で上記摂取量を摂取する態様であってもよいし、複数回に分けて上記摂取量を摂取する態様であってもよい。すなわち、例えば、1つの容器に、又は2~4の複数の容器に分けて、1日分として収容することができる。
【実施例0035】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0036】
[グリコアルブミン低下(アルブミン糖化抑制)試験]
以下に記載の方法により、ロダンテノンBの経口摂取が血中グリコアルブミン及ぼす影響を評価することを目的とし、健常成人男女を対象とするプラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間試験を実施した。
【0037】
<1.試験食品>
以下に記載の方法により、実施例又は比較例の試験食品を製造した。
【0038】
(実施例)
マンゴスチン果皮の水抽出物(ロダンテノンB含有)に、微粒二酸化ケイ素、ステアリン酸カルシウム、微結晶セルロース、マルトース、ベニバナ色素を混合後、打錠機を用いて打錠し、1錠あたり300mgの錠剤(実施例)を製造した。1錠あたりに含まれるロダンテノンBの量は80μg(0.027%)であった。実施例の錠剤2粒(後述する試験における1日摂取目安量)を無地アルミ個包装に充填した(1日摂取目安量あたりに含まれるロダンテノンBは160μg)。実施例の錠剤の1日摂取目安量あたりの熱量及び栄養成分値を表1に示す。
【0039】
(比較例)
外観で実施例の錠剤との区別がつかないように、マンゴスチン果皮の水抽出物をカラメル色素に置き換え、さらに外観で見分けがつかないようマルトース、ベニバナ色素の配合量を調整した以外は、実施例と同様の方法により、1錠あたり300mgの錠剤(比較例)を製造した。比較例の錠剤2粒を無地アルミ個包装に充填した。比較例の錠剤の1日摂取目安量あたりの熱量及び栄養成分値を表1に示す。
【0040】
【0041】
<2.被験者の選定>
被験者は有償ボランティアを公募し、以下の選択基準を満たし、かつ除外基準に抵触しない90名(男性60名、女性30名)を、試験責任医師が被験者として組み入れた。
【0042】
選択基準:
(1)同意取得時の年齢が30歳以上65歳未満の健常男女。
(2)スクリーニング検査時の空腹時血糖値が125 mg/dL以下かつHbA1c値が 6.4 %以下の者。
(3)試験の目的・内容について十分な説明を受け、同意能力があり、よく理解したうえで自発的に参加を志願し、書面で試験参加に同意した者。
【0043】
除外基準:
(1)試験期間中に、血糖値・糖化に影響を及ぼす可能性がある医薬品・医薬部外品・サプリメント・健康食品(特定保健用食品・機能性表示食品を含む)の摂取を止めることができない者。
(2)喫煙者。
(3)試験食品の成分に対してアレルギーを有するとの申告があった者。
(4)純アルコール換算約20g/日を超える過度のアルコール摂取、又は週4日以上飲酒する習慣がある者。
(5)スクリーニング検査、各検査2日前からの禁酒が不可能な者。
(6)日常の平均睡眠時間がおおよそ6時間に満たない者。
(7)交代勤務者又は深夜勤務者。
(8)重篤な肝疾患・腎臓疾患・消化器疾患・心疾患・呼吸器疾患・内分泌疾患、甲状腺疾患、副腎疾患、その他代謝性疾患に罹患している者、治療中の者。
(9)慢性疾患を有し、治療を行っている者。
(10)消化吸収に影響を与える消化器疾患及び消化器の手術歴がある者。
(11)スクリーニング検査に行う血液検査から、被験者として不適当と判断された者。
(12)妊娠している者、試験期間中に妊娠の意思がある者、授乳中の者。
(13)同意取得日からさかのぼって1ヵ月以内に200 mL又は3ヵ月以内に400 mLを超える採血、成分献血をした者。
(14)薬物依存、アルコール依存の既往歴あるいは現病歴がある者。
(15)他の食品の摂取や医薬品を使用する試験、化粧品及び医薬品等を塗布する試験に参加中の者、同意取得1ヵ月以内に他の臨床試験に参加していた者、参加の意思がある者。
(16)その他、試験責任医師が被験者として不適当と判断した者。
【0044】
<3.試験方法>
本試験は、前観察期間(2週間)、摂取期間(8週間)からなる合計10週間のプラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間比較試験(割付け比;1:1)として実施した。試験責任医師が選択基準及び除外基準に従い組入れを行い、統計解析責任者が性別、年齢等を考慮して各群均等になるように割振りを行った。割振りした2群を、試験に直接関係のないコントローラーが実施例摂取群と比較例摂取群に割り付けた。さらに、コントローラーは割付け結果を記載した表(キーコード)を作成及び封緘し、解析対象者決定後にキーコードを開示するまで密封保管することで、盲検性を確保した。
【0045】
試験期間中は、1日1回、1袋(2粒)の試験食品(実施例摂取群には実施例食品、比較例摂取群には比較例食品)を、100 mLの水又はぬるま湯とともに摂取させた。
【0046】
試験期間中は、血糖値・糖化に影響を与える可能性がある医薬品や健康食品等を使用しないこと、試験開始前と同様の生活を送ること、多量のアルコール摂取をしないこと、毎日6時間以上の睡眠をとること、他の試験への参加を避けること等を、試験期間を通じての注意事項として被験者に説明した。加えて、全検査2日前からのアルコールの摂取を避けること、全検査前日21時以降の水以外の飲食を避けることを、各検査における注意事項として説明した。なお、被験者は緊急の場合を除き、試験責任医師又は試験分担医師の許可を得て医薬品を使用することとした。
【0047】
[グリコアルブミン及びHbA1cの測定]
摂取前検査(以下、摂取前)、摂取4週間後検査(以下、摂取4週間後)、摂取8週間後検査(以下、摂取8週間後)の計3回にわたり、血液検査を行い、グリコアルブミン及びHbA1cを測定した。
【0048】
<4.結果>
(解析対象者)
本試験で組み入れられた被験者数は90名(男性60名、女性30名)で、ランダム化後の脱落例はなく90名で試験を開始した。試験期間中、被験食品群において試験食品によるものではない理由による中止者が3名認められたため、試験完了被験者数は87名となった。また、試験終了後、棄却基準に該当した被験者が7名認められたため、80名(男性;52名、女性;28名)を解析対象とした。棄却基準の該当理由と人数は以下のとおりであった。
(1)試験開始前とくらべ生活習慣の変化が認められた被験者3名(実施例摂取群1名、比較例摂取群2名)
(2)アルコールの摂取違反が認められた被験者1名(実施例摂取群1名)
(3)長期間の禁止食の摂取が認められた被験者2名(比較例摂取群2名)
【0049】
(グリコアルブミン及びHbA1cの変動)
本試験では、30歳以上65歳未満の健常成人男女を対象に、ロダンテノンBを160μg/日を含む実施例の錠剤又はロダンテノンBを含有しない比較例の錠剤を1日1回、8週間連続摂取させるプラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間試験を実施した。結果を表2に示す。
【0050】
【0051】
表2から明らかなように、実施例摂取群は比較例摂取群と比較して、グリコアルブミンが有意に低下を示した。このことから、ロダンテノンBを経口摂取することにより、グリコアルブミンが低下する(アルブミンの糖化が抑制される)ことが明らかとなった。一方、HbA1cについては、実施例摂取群と比較例摂取群を比較しても有意差は認められなかった。グリコアルブミンとHbA1cはいずれもアマドリ化合物の一つではあるが、結果は対照的なものであった。
【0052】
[製造例1~製造例3](錠剤の製造)
表3に示すように、ロダンテノンBと他の原料を混合後、ロータリー打錠機を用いて打錠を行い、製造例1~製造例7の錠剤を製造した。錠剤は、錠径8mmφ、錠厚4.5mm、重量300mg、硬度5kgf以上で製造した。製造例1~製造例3に記載の錠剤を1日あたり2粒摂取することにより、優れたグリコアルブミン低下(アルブミンの糖化抑制)効果を得ることができる。
【0053】
【0054】
[製造例4~製造例9](粉末飲料の製造)
表4に示すように、ロダンテノンBと他の原料を混合後、造粒機を用いて流動層造粒を行い、製造例4~製造例9に記載の顆粒状の粉末飲料を製造した。製造した粉末飲料は1袋あたり3gとなるようにアルミニウムパウチに充填した。製造例4~製造例9に記載の粉末飲料を1回あたり3g、1日1回摂取することにより、優れたグリコアルブミン低下(アルブミンの糖化抑制)効果を得ることができる。
【0055】