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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020112
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】遠心ブレーキ
(51)【国際特許分類】
   F16D 59/00 20060101AFI20230202BHJP
   F16D 43/14 20060101ALI20230202BHJP
   E06B 9/322 20060101ALN20230202BHJP
【FI】
F16D59/00 A
F16D43/14
E06B9/322
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021125304
(22)【出願日】2021-07-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】000103976
【氏名又は名称】株式会社オリジン
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100102417
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100194629
【弁理士】
【氏名又は名称】小嶋 俊之
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】池川 汐里
【テーマコード(参考)】
2E043
3J058
3J068
【Fターム(参考)】
2E043AA01
2E043AA04
2E043BB02
2E043BC02
2E043BE12
2E043BE15
3J058AA07
3J058AA13
3J058AA17
3J058AA24
3J058AA37
3J058AB30
3J058BA61
3J058CA05
3J058FA49
3J068AA01
3J068AA05
3J068BA14
3J068CA03
3J068CC03
3J068DD08
(57)【要約】
【課題】制動トルクの大きさを微調整することのできる、新規の遠心ブレーキを提供すること。
【解決手段】ウェイト38の内側に補助ウェイト54を配設し、回転体6が回転した際に補助ウェイト54が遠心力によってウェイト38を径方向外方に選択的に押圧するよう構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面円形の内周面を有する筒状のハウジングと、前記ハウジングの内側に配設されて前記内周面の中心軸を軸に回転可能な回転体とを具備し、
前記回転体は前記中心軸から偏心して軸方向に延びる支持軸を有し、前記支持軸にはウェイトが旋回可能に軸支されており、
前記回転体が回転すると、前記ウェイトが前記支持軸を軸に旋回して前記ウェイトの外周面が前記ハウジングの前記内周面に当接する遠心ブレーキにおいて、
前記回転体は前記中心軸から偏心して且つ前記支持軸よりも径方向内側において軸方向に延びる補助支持軸を有し、前記補助支持軸には補助ウェイトが旋回可能に軸支されており、
前記回転体には係止手段によって周方向に係止されて一体的に回転する調整部材が組み合わされ、前記調整部材は前記ウェイトの内周面と前記補助ウェイトの外周面との間で軸方向に延びる調整片を備えており、
前記係止手段は前記回転体に対する前記調整部材の周方向位置を、前記回転体が回転した際に前記補助ウェイトの外周面が前記調整片の内周面に当接する位置と当接しない位置との間で調整可能である、ことを特徴とする遠心ブレーキ。
【請求項2】
前記調整片の断面は薄板円弧形状である、請求項1に記載の遠心ブレーキ。
【請求項3】
前記回転体は前記中心軸に対して垂直に配置されて前記支持軸の一端を支持固定する少なくとも1つの回転端板を備え、前記回転端板には周方向に延在して前記係止片が貫通する円弧形状の係止溝が形成されており、前記係止手段は、前記調整片の周面に設けられた係止突起と、前記係止溝の周面において周方向に間隔をおいて配置された係止凹部とから構成される、請求項1又は2に記載の遠心ブレーキ。
【請求項4】
前記回転端板を2つ備え、2つの前記回転端板が前記支持軸の両端を支持固定する、請求項3に記載の遠心ブレーキ。
【請求項5】
軸方向に見ると前記ウェイト及び前記補助ウェイトは共に円弧形状であって夫々の周方向片側端部において前記支持軸又は前記補助支持軸により軸支されており、前記補助ウェイトの外周面は前記支持軸が存在する周方向位置よりも周方向他側において前記ウェイトの内周面に当接する、請求項1乃至4のいずれかに記載の遠心ブレーキ。
【請求項6】
前記支持軸及び前記補助支持軸は同一直径上に位置する、請求項1乃至5のいずれかに記載の遠心ブレーキ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心ブレーキ、殊に所要操作に応じて回転体に付加される制動トルクの大きさを段階的に調整可能な遠心ブレーキに関する。
【背景技術】
【0002】
室内の窓際には日射を避ける等の目的からブラインドが配設されることがある。ブラインドは水平方向に延びるスラットを有する。スラットは上下方向に多数配置され、多数のスラットは夫々昇降コード(操作コードと称されることもある)によって上下方向に接続される。ブラインドは更に、最上端に位置するスラットよりも上方に配置される巻き取り機構と、最下端に位置するスラットよりも下方に配置されるボトムレール(ボトムパイプ或いはウェイトバーと称されることもある)とを備え、昇降コードの一端が巻き取り機構に他端がボトムレールに夫々接続される。かようなブラインドにあっては、巻き取り機構を操作して昇降コードを巻き取ることでボトムレールは上昇し、巻き取り機構が備える適宜のロック機構を作動させることでボトムレールは上昇した任意の位置で保持される。そして、上記ロック機構の作動を解除すればボトムレールは降下する。ここで、上記ロック機構の作動を解除するとボトムレールは自由落下してしまうことから、その降下速度を低減させるべく巻き取り機構には適宜のブレーキ機構が組み込まれることがある。このようなブレーキ機構としては周知の遠心ブレーキが採用されることが多い。
【0003】
下記特許文献1には、遠心ブレーキの一例として、断面円形の内周面を有する筒状のハウジングと、前記ハウジングの内側に配設される回転体とを具備し、前記回転体は前記ハウジングの前記内周面の中心軸を軸に回転可能であり、前記回転体は前記中心軸から偏心して軸方向に延びる支持軸を有し、前記支持軸にはウェイトが旋回可能に軸支されており、前記回転体が回転すると、前記ウェイトが遠心力によって前記支持軸を中心に旋回して前記ウェイトの外周面が前記ハウジングの前記内周面に当接し、これに対して摺動する遠心ブレーキが開示されている。上記遠心力によってウェイトの外周面はハウジングの内周面に押し付けられ、ウェイトの外周面とハウジングの内周面との間で生じる垂直抗力は増大せしめられるため、摩擦に起因した上記制動トルクは増大せしめられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平1-45353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
而して、特許文献1に開示された遠心ブレーキにあっては制動トルクの大きさを調整することができず、従って、この遠心ブレーキが上述したブラインドのブレーキ機構として用いられた場合には、使用者の好みによってスラットの落下速度を調整することができない。また、スラットの重さによって制動トルクを変える場合には、予め制動トルクの異なる複数種類の遠心ブレーキを準備しておく必要があり、遠心ブレーキの在庫管理が煩雑である。
【0006】
ところで、本発明者は本願に先立って出願した特願2020-187961の明細書及び図面において、複数個のウェイトを軸方向に直列に配置し、回転体にはこれと一体となって回転すると共に回転体に対して軸方向に進退可能な調整部材を組み合わせ、回転体に対する調整部材の軸方向位置を調整することで調整部材がハウジングの内周面とウェイトの外周面との間に選択的に進入可能な遠心ブレーキを提案した(以下「先行遠心ブレーキ」という)。この遠心ブレーキによれば、回転体に対する調整部材の軸方向位置を調整することで、回転体が回転した際に、(ウェイトの)外周面が調整部材の内周面に当接してハウジングの内周面に当接することが阻止されるウェイトの数を変化させることができ、これにより回転体にかかる制動トルクの大きさを段階的に調整することが可能となる。
【0007】
而して、上記先行遠心ブレーキも充分に満足し得るものではなく、次のとおりの解決すべき課題を有する。即ち、先行遠心ブレーキにあっては、ハウジングに当接するウェイトの数によって回転体にかかる制動トルクの大きさを調整することから、制動トルクの大きさは倍数で変化するためその変動幅は大きく、制動トルクの大きさを微調整することが困難である。
【0008】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、制動トルクの大きさを微調整することのできる、新規且つ改良された遠心ブレーキを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は鋭意検討の結果、ウェイトの内側に補助ウェイトを配設し、回転体が回転した際に補助ウェイトが遠心力によってウェイトを径方向外方に選択的に押圧するよう構成することで、上記主たる技術的課題を解決することができることを見出した。
【0010】
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を達成する遠心ブレーキとして、断面円形の内周面を有する筒状のハウジングと、前記ハウジングの内側に配設されて前記内周面の中心軸を軸に回転可能な回転体とを具備し、
前記回転体は前記中心軸から偏心して軸方向に延びる支持軸を有し、前記支持軸にはウェイトが旋回可能に軸支されており、
前記回転体が回転すると、前記ウェイトが前記支持軸を軸に旋回して前記ウェイトの外周面が前記ハウジングの前記内周面に当接する遠心ブレーキにおいて、
前記回転体は前記中心軸から偏心して且つ前記支持軸よりも径方向内側において軸方向に延びる補助支持軸を有し、前記補助支持軸には補助ウェイトが旋回可能に軸支されており、
前記回転体には係止手段によって周方向に係止されて一体的に回転する調整部材が組み合わされ、前記調整部材は前記ウェイトの内周面と前記補助ウェイトの外周面との間で軸方向に延びる調整片を備えており、
前記係止手段は前記回転体に対する前記調整部材の周方向位置を、前記回転体が回転した際に前記補助ウェイトの外周面が前記調整片の内周面に当接する位置と当接しない位置との間で調整可能である、ことを特徴とする遠心ブレーキが提供される。
【0011】
好ましくは、前記調整片の断面は薄板円弧形状である。好適には、前記回転体は前記中心軸に対して垂直に配置されて前記支持軸の一端を支持固定する少なくとも1つの回転端板を備え、前記回転端板には周方向に延在して前記係止片が貫通する円弧形状の係止溝が形成されており、前記係止手段は、前記調整片の周面に設けられた係止突起と、前記係止溝の周面において周方向に間隔をおいて配置された係止凹部とから構成される。この場合には、前記回転端板を2つ備え、2つの前記回転端板が前記支持軸の両端を支持固定するのがよい。軸方向に見ると前記ウェイト及び前記補助ウェイトは共に円弧形状であって夫々の周方向片側端部において前記支持軸又は前記補助支持軸により軸支されており、前記補助ウェイトの外周面は前記支持軸が存在する周方向位置よりも周方向他側において前記ウェイトの内周面に当接するのが好都合である。前記支持軸及び前記補助支持軸は同一直径上に位置するのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の遠心ブレーキにあっては、回転体が回転すると、その遠心力によって、ウェイトが支持軸を軸として旋回して外周面がハウジングの内周面を押圧してこれに対して摺動すると共に、ウェイトの内側に配設された補助ウェイトが補助支持軸を軸として旋回する。また、係止手段によって回転体に周方向に係止されてこれと一体的に回転する調整部材は、ウェイトの内周面と補助ウェイトの外周面との間で軸方向に延びる調整片を備えており、回転体に対する調整部材の周方向位置を調整することで、補助ウェイトに対する調整片の周方向位置が変化する。これにより、本発明の遠心ブレーキにあっては、回転体に対する調整部材の周方向位置を調整して補助ウェイトに対する調整片の周方向位置を変化させることで、回転体が回転した際に、補助ウェイトの外周面が調整片の内周面と当接してウェイトの内周面と当接することが阻止される状態と、調整片の内周面とは当接せずにウェイトの内周面と当接する状態とに切り換え可能となる。補助ウェイトの外周面がウェイトの内周面と当接すると、補助ウェイトは遠心力によってウェイトを径方向外方に押圧することから、ウェイトの外周面がハウジングの内周面に作用せしめる垂直抗力を見かけ上増大させることができ、これにより回転体にかかる制動トルクが増大する。補助ウェイトの遠心力によって増大せしめられた制動トルクの大きさは、先行遠心ブレーキにおいて軸方向に直列に配置された他のウェイトがハウジングの内周面と当接する場合に増大せしめられる制動トルクの大きさよりも小さく、従って、本発明によれば、回転体に対する調整部材の周方向位置を調整することで、回転体にかかる制動トルクを微調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に従って構成された遠心ブレーキの全体構成を示す図。
図2図1に示す遠心ブレーキを構成部品毎に分解して示す斜視図。
図3図1に示す遠心ブレーキのハウジングを単体で示す図。
図4図1に示す遠心ブレーキの回転体を単体で示す図。
図5図1に示す遠心ブレーキのウェイトを単体で示す図。
図6図5に示すウェイトを回転体の支持軸に装着する工程を説明する図。
図7図1に示す遠心ブレーキの補助ウェイトを単体で示す図。
図8図1に示す遠心ブレーキの調整部材を単体で示す図。
図9-1】図1に示す遠心ブレーキの作動を説明するための図。
図9-2】図1に示す遠心ブレーキの作動を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に従って構成された遠心ブレーキの好適実施形態を図示している添付図面を参照して、更に詳細に説明する。なお、以下の説明における「軸方向片側」及び「軸方向他側」とは、特に指定しない限り、図1のA-A断面に示される状態を基準として、「軸方向片側」は同図において左側を、「軸方向他側」は同図において右側のことを言う。
【0015】
図1及び図2を参照して説明すると、全体を番号2で示す遠心ブレーキは、筒状のハウジング4と回転体6とを具備している。
【0016】
図1及び図2と共に図3を参照して説明すると、ハウジング4は比較的硬質の合成樹脂により成形された円筒形状であって軸方向に貫通しており、断面円形の内周面8を有している。内周面8の中心軸をoで示す。ハウジング4の内周面8の軸方向片側端部には内径を増大することで形成される円環形状のシールド装着溝10が形成されており、ここにシールド板12が圧入されることでハウジング4の軸方向片側は閉塞せしめられる。シールド板12は適宜の合成樹脂により成形された円板形状で、その中央には回転体6の後述する接続歯車32が軸方向に貫通する中央貫通穴14が設けられている。シールド板12の軸方向他側面の内周縁部には軸方向他側に突出して周方向に連続する円環形状の支持突条16が形成されている。支持突条16は回転体6の後述する回転端板28aを軸方向片側から支持する。ハウジング4の内周面8の軸方向他側端部には径方向内側に突出して周方向に連続して延在する円環形状の支持壁18が設けられており、支持壁18の軸方向片側面の内周縁部には軸方向片側に突出して周方向に連続する円環形状の支持突条20が形成されている。支持壁18さらに詳しくはそこに形成された支持突条20は後述する調整部材58を軸方向他側から支持する。ハウジング4の外周面には軸方向に直線状に延びる固定溝22が周方向に等角度間隔をおいて6つ形成されている。固定溝22に図示しない固定突条を嵌め合わせることでハウジング4は固定される。
【0017】
図1に示すとおり、回転体6はハウジング4の内側に配設されて、中心軸oを軸に回転可能である。図1と共に図2及び図4を参照して説明すると、回転体6は合成樹脂製であって、中心軸oから偏心して軸方向に延びる支持軸24を有している。本発明の遠心ブレーキにあっては、回転体6は中心軸oから偏心して且つ支持軸24よりも径方向内側において軸方向に延びる補助支持軸26をも有している。補助支持軸26の断面形状は支持軸24の断面形状と同一であってこれについては後に言及する。図示の実施形態においては、支持軸24及び補助支持軸26は2つずつ夫々軸方向に見て同一直径上に設けられており、支持軸24及び補助支持軸26の両端は夫々軸方向に間隔をおいて配置された2つの回転端板28a及び28bによって支持固定されている。回転端板28a及び28bは共に同一径の円板である。回転端板28a及び28bは中心軸oに対して実質上垂直に配置され、回転端板28a及び28bの中心は共に中心軸o上に位置し、軸方向片側に位置する回転端板28aはシールド板12の軸方向他側に、軸方向他側に位置する回転端板28bは後述する調整部材58の調整円板60の軸方向片側に夫々隣接して配置されている。回転端板28a及び28bは中心軸oに沿って軸方向に延びる中央円筒壁30によっても接続されている。回転端板28aの軸方向片側面には中心軸oと共通の回転軸を有する接続歯車32が設けられている。回転端板28a及び28bの外周縁部には、周方向に延在する円弧状の係止溝34が直径方向の両側に1つずつ形成されている。図4のB-B断面に示されているとおり、係止溝34は軸方向に見て支持軸24と補助支持軸26との間に配置されている。夫々の係止溝34の周面、図示の実施形態においては係止溝34を画成する回転端板28a及び28bの内周面には係止凹部36が設けられている。係止凹部36は周方向に間隔をおいて2つ設けられている。以下の説明において2つの係止凹部36の夫々について言及する際には、軸方向片側から見て時計方向(従って軸方向他側から見て反時計方向)に向かってa及びbを付して言及する。係止凹部36は、後述する調整部材58に形成された係止突起64と共に、回転体6と調整部材58とを周方向に係止する係止手段を構成する。
【0018】
図1のA-A断面図に示すとおり、回転体6の支持軸24にはウェイト38が軸支されている。図1と共に図2及び図5を参照して説明をすると、図示の実施形態においては、ウェイト38は金属製の主部40と、比較的軟質の合成樹脂からなる摺動片42とから構成されている。主部40は軸方向に見て周方向に180度よりも幾分小さい角度範囲に亘って延在する円弧形状であって、所要軸方向幅を備えている。主部40の周方向片側端部には回転体6の支持軸24が挿通される軸穴43が形成されている。軸穴43が形成されている側が、回転体6が回転した際の回転方向下流側となる。軸穴43については後に言及する。軸穴43よりも周方向他側(回転方向上流側)における主部40の外周面の所要部位には、摺動片42が交換可能に装着される装着溝44が形成されている。摺動片42は軸方向に直線状に延在し、その断面形状の一部は主部40の装着溝44が有する上記所要形状と対応する。このことから、摺動片42は対応する上記一部が装着溝44に軸方向に進入することで主部40に装着され、摺動片42が主部40に装着された状態にあっては、図1のB-B断面に示すとおり、摺動片42の外周面は主部40の外周面よりも径方向外方に位置する。
【0019】
回転体6及びウェイト38について更に説明を続ける。図4のX部拡大図を参照して説明すると、回転体6の支持軸24の断面形状は、一点鎖線で示す基準円46の周縁の一部をなす円弧状外周部24aと基準円46の周縁の一部の径を局所的に低減させた低減部24bとを有する。円弧状外周部24a及び低減部24bは共に基準円46の直径方向両側に一対ずつ設けられており、円弧状外周部24aと低減部24bは周方向に交互に位置する。一対の低減部24bの各々は相互に平行な平坦面であり、図4のB-B断面図において時計方向に向かって径方向内側に幾分傾斜している。
【0020】
図5(a)中央図を参照して説明すると、ウェイト38の主部40に形成された軸穴43の断面形状は、基準円46の周縁の一部をなす円弧状内周部43aとこの円弧状内周部43aの両端から軸方向に対して垂直方向に延出する一対の溝規定部43bとを有しており、一対の溝規定部43bは主部40の外周面において開放される連通溝50を規定している。連通溝50の溝幅Dは支持軸24において基準円46の中心52を通過する最小径d(図4のX部拡大図も参照されたい)に対応し、図6(a)に示すとおり、支持軸24の低減部24bを連通溝50に整合、即ち低減部24bを溝規定部43bに対向させることで、支持軸24は連通溝50に進入可能となる。溝幅Dはdと同一若しくはこれよりも僅かに大きく設定されている。
【0021】
図示の実施形態の遠心ブレーキ2では、回転体6の支持軸24及びウェイト38が上述したとおりの構成であることから、以下のような手順でウェイト38を支持軸24に装着することができる。即ち、図6に示すとおり、支持軸24を連通溝50に進入(同図(a))させた後に、支持軸24の円弧状外周部24aを軸穴43の円弧状内周部43aに面接触させ(同図(b))、しかる後に支持軸24を旋回中心としてウェイト38を中心軸oに向かってつまり同図において時計方向に旋回させる(同図(c))。支持軸24の円弧状外周部24a及び軸穴43の円弧状内周部43aはいずれも共通の基準円46の周縁の一部であることから、ウェイト38は支持軸24を旋回中心として旋回可能である。かくしてウェイト38は支持軸24に装着される。図6(b)に示す状態における支持軸24に対するウェイト38の旋回角度は、後に言及するウェイト38の外周面がハウジング4の内周面8と当接する旋回角度よりも大きい。ここでいう「旋回角度」は、回転体6が回転していない状態つまり図1に示す状態を基準とする。従って、ウェイト38は支持軸24に対し、ウェイト38の外周面がハウジング4の内周面8と当接する旋回角度よりも大きい旋回角度で支持軸24に装着される。
【0022】
本発明の遠心ブレーキにあっては、回転体6の補助支持軸26に補助ウェイト54が旋回可能に軸支されている。図1と共に図2及び図7を参照して説明すると、補助ウェイト54は金属製であって軸方向に見て周方向に180度よりも幾分小さい角度範囲に亘って延在する円弧形状である。補助ウェイト54の外径はウェイト38の主部40の内径よりも小さく、図1のA-A断面に示すとおり、補助ウェイト54の軸方向幅はウェイト38の軸方向幅と同一である。補助ウェイト54の周方向片側端部には回転体6の補助支持軸26が挿通される軸穴56が形成されている。ウェイト38の主部40に形成された軸穴43と同様、補助ウェイト54にあっても軸穴56が形成されている側が、回転体6が回転した際の回転方向下流側となる。軸穴56の断面形状はウェイト38の軸穴43の断面形状とは幾分異なるものの、基準円46の周縁の一部である円弧状内周部56aを有し、軸穴56は補助ウェイト54の外周面において開放されている。そして、回転体6の補助支持軸26の断面形状は図4のB-B断面図に示すとおり支持軸24の断面形状と同一であることから、上述したウェイト38を支持軸24に装着させる手順と同様の手順で補助ウェイト54を補助支持軸26に装着させることができる。
【0023】
再び図1を参照して説明すると、回転体6には調整部材58も組み合わされている。図1図9-1及び図9-2の各断面図にあっては、容易に理解できるよう調整部材58には薄墨を付して示している。図1と共に図2及び図8を参照して説明すると、調整部材58は合成樹脂製であって、中心軸oに対して垂直に配置されてこれと共通の中心を有する調整円板60を備えている。図1のA-A断面図に示されているとおり、調整円板60は回転体6の回転端板28b及びハウジング4の支持壁18によって軸方向に挾持されている。調整円板60にはウェイト38の内周面と補助ウェイト54の外周面との間で軸方向に延びる調整片62が設けられている。調整片62は調整円板60の軸方向片側面の径方向中間部から軸方向片側に向かって直線状に延出している。調整片62の断面は薄板円弧形状であって、調整片62の軸方向片側端部は回転体6の回転端板28bの係止溝34を軸方向に通過して回転端板28aの係止溝34内に位置する。図示の実施形態においては、調整片62は調整円板60の直径方向両側に1つずつ設けられている。調整片62の周面には係止突起64が設けられている。図示の実施形態においては、係止突起64は調整片62の外周面の軸方向両側端部に設けられている。調整片62の外周面の軸方向両端部の夫々に設けられた係止突起64が回転体6の回転端板28a及び28bの夫々に形成された係止凹部36と周方向に係止することで、調整部材58は回転体6と一体となって回転する。従って、係止突起64及び係止凹部36が回転体6と調整部材58とを周方向に係止する係止手段を構成する。図1に示す状態にあっては、係止突起64は係止凹部36aと係止しているが、調整部材58を回転体6に対して図1のA-A断面図の右方向から見て反時計方向に強制的に回転させれば、調整片62が弾性変形することで係止突起64と係止凹部36aとの係止が解除され、図9-2に示すとおり、係止突起64を係止凹部36bに係止させることもでき、これにより、回転体6に対する調整部材58の周方向位置を調整することができる。回転体6に対する調整部材58の周方向位置を調整することで、後述するとおり、回転体6が回転した際に補助ウェイト54の外周面が調整片62の内周面に当接する状態と当接しない状態とに切り換え可能となる。つまり、係止手段は回転体6に対する調整部材58の周方向位置を、回転体6が回転した際に補助ウェイト54の外周面が調整片62の内周面に当接する位置と当接しない位置との間で調整可能である。調整円板60の中央には軸方向に貫通する円形の中央穴66が形成されており、調整円板60の軸方向他側面には中央穴66の外周縁を囲繞して軸方向他側に膨出する把手部68が設けられている。図8の右図に示すとおり、把手部68は全体的に円筒形状であるが、その外周面の直径方向両側において局所的に径方向外方に変位しており、後述するとおりにして調整部材58を回転体6に対して回動させる際に把持される。調整円板60には軸方向に貫通する扇形状の肉抜き穴70も形成されている。肉抜き穴70は周方向に等角度間隔をおいて4つ形成されている。
【0024】
上述した各構成部材を所要とおりにして組み合わせると、図1のX部拡大図に示すとおり、調整片62の外周面とウェイト38の内周面との間には僅かな隙間s1が存在する。更に、回転体6が回転していない状態にあっては、ウェイト38の外周面とハウジング4の内周面8との間にも僅かな隙間s2が、調整片62の内周面と補助ウェイト54の外周面との間にも僅かな隙間s3が夫々存在する。
【0025】
次に、図1と共に図9-1及び図9-2を参照して、本発明に従って構成された遠心ブレーキ2の作動について説明する。図1に示す状態にあっては、上述したとおり、調整片62の外周面の軸方向両端部の夫々に設けられた係止突起64は夫々回転体6の回転端板28a及び22bの夫々に形成された係止凹部36aに係止しており、回転体6は回転していない。
【0026】
図9-1には、図1に示す状態から回転体6がA-A断面図の右方向から見て(以下同じ)反時計方向に回転した状態が示されている。回転体6は係止手段(係止凹部36a及び係止突起64)によって周方向に係止された調整部材58と共に反時計方向に回転する。回転体6の支持軸24に軸支されたウェイト38は遠心力によって支持軸24を軸として径方向外方に旋回して外周面さらに詳しくは摺動片42の外周面がハウジング4の内周面8に押し付けられると共にこれに対して摺動し、回転体6には上記摺動に起因した摩擦力によるブレーキ(制動トルク)が作用する。従って、ウェイト38の外周面とハウジング4の内周面8との間に存在した隙間s2は消滅する。ウェイト38の外周面がハウジング4の内周面を径方向外方に押圧する力を図9-1のX部拡大図中の白抜き中矢印で示す。図示の実施形態においては、ハウジング4は比較的硬質の合成樹脂製であると共にウェイト38の摺動片42は比較的軟質の合成樹脂製であることから、交換可能な摺動片42のみが偏摩耗してハウジング4の内周面が摩耗することは防止される。このとき、回転体6の補助支持軸26に軸支された補助ウェイト54も遠心力によって補助支持軸26を軸として径方向外方に旋回するが、図9-1のX部拡大図に示す通り、補助ウェイト54の外周面が調整片62の内周面、さらに詳しくは調整片62の内周面における回転方向上流側縁(B-B断面において時計方向側縁)に当接してウェイト38の内周面には当接しない。従って、補助ウェイト54の外周面と調整片62の内周面との間に存在した隙間s3は消滅するが、調整片62の外周面とウェイト38の内周面との間に存在する隙間s1は維持される。このことから、補助ウェイト54の外周面は調整片62の内周面を径方向外方に押圧するがウェイト38には何ら関与しない。補助ウェイト54の外周面が調整片62の内周面を径方向外側に押圧する力を図9-1のX部拡大図中の白抜き小矢印で示す。
【0027】
図9-2には、回転体6に対して調整部材58を反時計方向に回動して、調整片62の外周面の軸方向の両端部の夫々に設けられた係止突起64を夫々回転体6の回転端板28a及び22bの夫々に形成された係止凹部36bに係止させた状態で、回転体6をA-A断面図の右方向から見て反時計方向に回転させた状態が示されている。図9-2に示す状態においても、遠心力によってウェイト38の外周面がハウジング4の内周面8に押し付けられると共にこれに対して摺動することで、回転体6には上記摺動に起因した摩擦力によるブレーキ(制動トルク)が作用する。つまり、ウェイト38の外周面とハウジング4の内周面8との間に存在した隙間s1は消滅する。ここで、図9-2に示す状態にあっては、同図及び図9-1のB-B断面を夫々比較参照することによって理解されるとおり、調整片62は図9-1に示す状態よりも回転体6の回転方向下流側(B-B断面図において反時計方向側)に移動していることから、補助ウェイト54が遠心力によって補助支持軸26を軸として径方向外方に旋回した際に、補助ウェイト54の外周面は調整片62の内周面と当接することなくウェイト38(さらに詳しくはその主部40)の内周面と当接してこれを径方向外方に押圧する。補助ウェイト54の外周面がウェイト38の内周面を径方向外側に押圧する力を図9-2のX部拡大図中の白抜き小矢印(破線)で示す。これにより、ウェイト38の外周面がハウジング4の内周面8を押圧する力は同図中の白抜き大矢印で示すとおり増大してウェイト38がハウジング4から受ける垂直抗力が見かけ上増大せしめられ、摩擦力に起因した回転体6にかかる制動トルクは増大せしめられる。
【0028】
従って、本発明の遠心ブレーキにあっては、回転体6に対する調整部材58の周方向位置を調整して補助ウェイト54に対する調整片62の周方向位置を変化させることで、回転体6が回転した際に、補助ウェイト54の外周面が調整片62の内周面と当接してウェイト38の内周面と当接することが阻止される状態と、調整片62の内周面とは当接せずにウェイト38の内周面と当接する状態とに切り換え可能となる。補助ウェイト54の外周面がウェイト38の内周面と当接すると、補助ウェイト54は遠心力によってウェイト38を径方向外方に押圧することから、ウェイト38の外周面がハウジング4の内周面8に作用せしめる垂直抗力を見かけ上増大させることができ、これにより回転体6にかかる制動トルクを増大させることができる。補助ウェイト54の遠心力によって増大せしめられた制動トルクの大きさは、先行遠心ブレーキにおいて軸方向に直列に配置された他のウェイトがハウジング4の内周面8と当接する場合に増大せしめられる制動トルクの大きさよりも小さく、従って、本発明によれば、回転体6に対する調整部材58の周方向位置を調整することで、回転体6にかかる制動トルクを微調整することが可能となる。
【0029】
以上、本発明に従って構成された遠心ブレーキについて添付した図面を参照して詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲内において適宜の修正や変更が可能である。例えば、図示の実施形態においては、回転体6が反時計方向(図9-1のA-A断面の右方向から見て)に回転した際に、ウェイト38及び補助ウェイト54は支持軸24及び補助支持軸26を夫々軸として径方向外方に旋回したが、ウェイト38及び補助ウェイト54が表裏反転した状態で夫々支持軸24及び補助支持軸26に軸支されれば、回転体が反対方向つまり時計方向に回転した際にウェイト及び補助ウェイト54が支持軸24及び補助支持軸26を軸としてそれぞれ径方向外方に旋回するようになる。更に、図示の実施形態においては、2つのウェイトは中心軸oを中心として点対称に配置されているが、2つのウェイトを直径方向に対して線対称に配置すれば、回転体が正逆いずれの方向に回転した場合であっても回転体に制動トルクを作用させることができる。この場合には、回転体の回転方向に応じて上記2つのウェイトのいずれか一方のみがハウジングの内周面に対して摺動することとなり、2つの補助ウェイトも中心軸oを中心として点対称に配置する。更に、必要な制動トルクが小さい場合には、ウェイトを合成樹脂により成形することも可能であり、この場合には、ウェイトを上述した摺動片と同じ合成樹脂で成形し、ウェイトの主部と摺動片を一体成形することもあり得る。また、図示の実施形態にあっては、支持軸の両端が回転端板によって支持固定されていたが、支持軸の一端のみが回転端板によって支持固定されていてもよい。支持軸の一端のみが回転端板によって支持固定されている場合には、支持軸を自由端側からウェイトの軸穴に挿通せしめてウェイトを支持軸に軸支させることができる。図示の実施形態においては、係止手段は係止突起64及び係止凹部36から構成され、係止突起64は調整部材58に、係止凹部36は回転体6に夫々設けられていたが、係止突起を回転体に、(係止溝と共に)係止凹部を調整部材に設けてもよい。更に、図示の実施形態においては、係止手段は係止突起64及び係止凹部36から構成され、係止突起64と係止凹部36との係止により、回転体6に対する調整部材58の周方向位置は段階的に調整可能であったが、例えば、係止突起64及び係止凹部36を省略すると共に、調整片62の内周面及び/又は外周面と係止溝34を画成する回転端板28a及び28bの外周面及び/又は内周面とを所要摩擦力によって係止する等すれば、回転体6に対する調整部材58の周方向位置を無段階で調整することもできる。
【符号の説明】
【0030】
2:遠心ブレーキ
4:ハウジング
6:回転体
8:ハウジングの内周面
24:支持軸
26:補助支持軸
36(36a及び36b):係止凹部(係止手段)
38:ウェイト
54:補助ウェイト
58:調整部材
62:調整片
64:係止突起(係止手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9-1】
図9-2】
【手続補正書】
【提出日】2022-09-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面円形の内周面を有する筒状のハウジングと、前記ハウジングの内側に配設されて前記内周面の中心軸を軸に回転可能な回転体とを具備し、
前記回転体は前記中心軸から偏心して軸方向に延びる支持軸を有し、前記支持軸にはウェイトが旋回可能に軸支されており、
前記回転体が回転すると、前記ウェイトが前記支持軸を軸に旋回して前記ウェイトの外周面が前記ハウジングの前記内周面に当接する遠心ブレーキにおいて、
前記回転体は前記中心軸から偏心して且つ前記支持軸よりも径方向内側において軸方向に延びる補助支持軸を有し、前記補助支持軸には補助ウェイトが旋回可能に軸支されており、
前記回転体には係止手段によって周方向に係止されて一体的に回転する調整部材が組み合わされ、前記調整部材は前記ウェイトの内周面と前記補助ウェイトの外周面との間で軸方向に延びる調整片を備えており、
前記係止手段は前記回転体に対する前記調整部材の周方向位置を、前記回転体が回転した際に前記補助ウェイトの外周面が前記調整片の内周面に当接する位置と当接しない位置との間で調整可能である、ことを特徴とする遠心ブレーキ。
【請求項2】
前記調整片の断面は薄板円弧形状である、請求項1に記載の遠心ブレーキ。
【請求項3】
前記回転体は前記中心軸に対して垂直に配置されて前記支持軸の一端を支持固定する少なくとも1つの回転端板を備え、前記回転端板には周方向に延在して前記調整片が貫通する円弧形状の係止溝が形成されており、前記係止手段は、前記調整片の周面に設けられた係止突起と、前記係止溝の周面において周方向に間隔をおいて配置された係止凹部とから構成される、請求項1又は2に記載の遠心ブレーキ。
【請求項4】
前記回転端板を2つ備え、2つの前記回転端板が前記支持軸の両端を支持固定する、請求項3に記載の遠心ブレーキ。
【請求項5】
軸方向に見ると前記ウェイト及び前記補助ウェイトは共に円弧形状であって夫々の周方向片側端部において前記支持軸又は前記補助支持軸により軸支されており、前記回転体が回転して前記補助ウェイトの外周面が前記調整片の内周面に当接しないときは、前記補助ウェイトの外周面は前記ウェイトの内周面に当接する、請求項1乃至4のいずれかに記載の遠心ブレーキ。
【請求項6】
前記支持軸及び前記補助支持軸は同一直径上に位置する、請求項1乃至5のいずれかに記載の遠心ブレーキ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
好ましくは、前記調整片の断面は薄板円弧形状である。好適には、前記回転体は前記中心軸に対して垂直に配置されて前記支持軸の一端を支持固定する少なくとも1つの回転端板を備え、前記回転端板には周方向に延在して前記調整片が貫通する円弧形状の係止溝が形成されており、前記係止手段は、前記調整片の周面に設けられた係止突起と、前記係止溝の周面において周方向に間隔をおいて配置された係止凹部とから構成される。この場合には、前記回転端板を2つ備え、2つの前記回転端板が前記支持軸の両端を支持固定するのがよい。軸方向に見ると前記ウェイト及び前記補助ウェイトは共に円弧形状であって夫々の周方向片側端部において前記支持軸又は前記補助支持軸により軸支されており、前記回転体が回転して前記補助ウェイトの外周面が前記調整片の内周面に当接しないときは、前記補助ウェイトの外周面は前記ウェイトの内周面に当接するのが好都合である。前記支持軸及び前記補助支持軸は同一直径上に位置するのが好ましい。