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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020158
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】サポートデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/01 20060101AFI20230202BHJP
【FI】
A61M25/01 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021125381
(22)【出願日】2021-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100157277
【弁理士】
【氏名又は名称】板倉 幸恵
(72)【発明者】
【氏名】野村 徳宏
(72)【発明者】
【氏名】柴山 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】重松 正明
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA07
4C267BB02
4C267BB11
4C267BB17
4C267BB52
4C267BB53
4C267CC09
4C267DD01
4C267HH04
4C267HH08
4C267HH09
(57)【要約】
【課題】生体管腔内に挿入された医療用デバイスを抜去することなく、医療用デバイスに対してバックアップ力を付与することが可能なサポートデバイスにおいて、内側に収容された医療用デバイスが外れることを抑制する。
【解決手段】医療用デバイスを支持するサポートデバイスは、長尺状の外形を有するシャフト部と、シャフト部の先端部に配置された薄板と、を備える。薄板は、弾性金属により形成され、シャフト部の長手方向と交差する方向に延びる窪み部を有しており、窪み部に対して、窪みを解消する方向に薄板を反らせることにより略円筒形状に変形する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用デバイスを支持するサポートデバイスであって、
長尺状の外形を有するシャフト部と、
前記シャフト部の先端部に配置された薄板と、
を備え、
前記薄板は、
弾性金属により形成され、前記シャフト部の長手方向と交差する方向に延びる窪み部を有しており、
前記窪み部に対して、窪みを解消する方向に前記薄板を反らせることにより略円筒形状に変形する、サポートデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のサポートデバイスであって、
前記薄板は、前記略円筒形状に変形した際の軸線が、前記シャフト部の長手方向に沿っている、サポートデバイス。
【請求項3】
請求項2に記載のサポートデバイスであって、
前記薄板は、矩形形状を有しており、
前記シャフト部は、前記薄板の長手方向の端部であって、前記薄板の短手方向の中央部に固定されている、サポートデバイス。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のサポートデバイスであって、
前記薄板は、一対の主面を備え、
前記薄板のうち、少なくとも一方の前記主面には、前記シャフト部の長手方向と交差する方向に延びる溝部が形成されている、サポートデバイス。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のサポートデバイスであって、
前記薄板は、一対の主面を備え、
前記シャフト部は、
本体部と、
前記本体部の先端部に設けられ、前記薄板を把持する把持部であって、前記薄板の両側の前記主面から前記薄板を挟み込んで前記薄板を把持する把持部と、
を備える、サポートデバイス。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のサポートデバイスであって、
前記薄板は、一対の主面を備え、
前記シャフト部は、本体部と、前記本体部の先端部に設けられた偏平形状の接続部と、を備え、
前記接続部は、前記薄板の一方の前記主面に固定されている、サポートデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用デバイスを支持するサポートデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
心臓の冠状動脈の狭窄、閉塞病変に対して、血管の内側から狭窄病変を拡張する手技(以降「PCI(経皮的冠動脈形成術)」とも呼ぶ)が知られている。PCIでは、例えば、拡縮可能なバルーンを備えるバルーンカテーテルを用いて狭窄部を拡張し、血流を確保する。このような手技において、バルーンカテーテルのバックアップ力不足のためにバルーンが血管分岐部でスタックしてしまい、バルーンを狭窄部までデリバリできない場合があった。例えば、特許文献1及び特許文献2には、バルーンカテーテルを内側に収容して用いることで、バルーンカテーテルのバックアップ力を補うことが可能なガイドエクステンションカテーテルが開示されている。また、特許文献3には、バルーンカテーテルの径を大きく拡張できる拡張カテーテル用バルーン外径調節具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2015-524737号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2019/0358434号明細書
【特許文献3】特開平5-208050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、バルーンカテーテルの基端部には通常、術者が把持もしくは薬剤や併用デバイスを挿入するための太径のコネクタが設けられている。このため、特許文献1に記載のガイドエクステンションカテーテルを用いて、一旦体内に挿入して狭窄部近傍までデリバリしたバルーンカテーテルにバックアップ力を付与するには、バルーンカテーテルを体外まで取り出す必要があり、手間と時間を要するという課題があった。
【0005】
この点、特許文献2に記載のガイドエクステンションカテーテルでは、チューブ体の内外を連通する交換チャネルを介して、バルーンカテーテルを取り出すことなく、バルーンカテーテルをガイドエクステンションカテーテルの内側に収容できる。しかし、特許文献2に記載のガイドエクステンションカテーテルでは、ガイドエクステンションカテーテルを体内において狭窄部までデリバリする際に、バルーンカテーテルが交換チャネルから外部に飛び出してしまう(換言すれば、ガイドエクステンションカテーテルからバルーンカテーテルが外れてしまう)場合があるという課題があった。この課題は、血管分岐部においてガイドエクステンションカテーテルが湾曲し、交換チャネルが拡張した場合に特に顕著である。
【0006】
また、特許文献3に記載の拡張カテーテル用バルーン外径調節具は、バルーンカテーテルを取り出すことなく、バルーンカテーテルを拡張カテーテル用バルーン外径調節具の内側に収容できる。しかし、特許文献3では、バルーンの径を拡張することを目的としているに過ぎず、バルーンカテーテルのバックアップ力を補うことについては何ら考慮されていない。なお、このような課題は、バルーンカテーテルを用いたPCIに限らず、血管系、リンパ腺系、胆道系、尿路系、気道系、消化器官系、分泌腺及び生殖器官といった、生体管腔内に挿入して使用される医療用デバイスに対して、後からバックアップ力を付与したい場合の全般に共通する課題であった。
【0007】
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、生体管腔内に挿入された医療用デバイスを抜去することなく、医療用デバイスに対してバックアップ力を付与することが可能なサポートデバイスにおいて、内側に収容された医療用デバイスが外れることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0009】
(1)本発明の一形態によれば、医療用デバイスを支持するサポートデバイスが提供される。このサポートデバイスは、長尺状の外形を有するシャフト部と、前記シャフト部の先端部に配置された薄板と、を備え、前記薄板は、弾性金属により形成され、前記シャフト部の長手方向と交差する方向に延びる窪み部を有しており、前記窪み部に対して、窪みを解消する方向に前記薄板を反らせることにより略円筒形状に変形する。
【0010】
この構成によれば、サポートデバイスは、シャフト部の先端部に配置された薄板を備え、薄板は、弾性金属により形成され、シャフト部の長手方向と交差する方向に延びる窪み部を有しており、窪み部に対して、窪みを解消する方向に薄板を反らせることにより略円筒形状に変形する。このため、バルーンカテーテル等の医療用デバイスが既に生体管腔内に挿入された状態であっても、薄板の一方の主面に医療用デバイスを置いた状態で、薄板の窪みを解消することで薄板を略円筒形状に変形させれば、円筒状の薄板の内側(内腔)に医療用デバイスを収容できる。この結果、円筒状の薄板によって医療用デバイスを支えることができ、医療用デバイスにバックアップ力を付与できる。また、円筒状の薄板は、従来のガイドエクステンションカテーテルとは異なり、円筒(チューブ体)の内外を連通する交換チャネルを有さない。このため、円筒状の薄板が、血管分岐部等において湾曲した場合であっても、医療用デバイスが交換チャネルから外部に飛び出してしまう(換言すれば、サポートデバイスから医療用デバイスが外れてしまう)虞がない。これらの結果、本構成によれば、生体管腔内に挿入された医療用デバイスを抜去することなく、医療用デバイスに対してバックアップ力を付与することが可能なサポートデバイスにおいて、内側に収容された医療用デバイスが外れることを抑制できる。
【0011】
(2)上記形態のサポートデバイスにおいて、前記薄板は、前記略円筒形状に変形した際の軸線が、前記シャフト部の長手方向に沿っていてもよい。
この構成によれば、薄板は、略円筒形状に変形した際の軸線が、術者が把持して操作するシャフト部の長手方向に沿っているため、サポートデバイスのトルク伝達性を向上できると共に、使い勝手を向上できる。
【0012】
(3)上記形態のサポートデバイスにおいて、前記薄板は、矩形形状を有しており、前記シャフト部は、前記薄板の長手方向の端部であって、前記薄板の短手方向の中央部に固定されていてもよい。
この構成によれば、シャフト部は、薄板の長手方向の端部に固定されているため、シャフト部が、術者が窪みを解消しようとする操作の妨げとなることを抑制できる。また、シャフト部は、薄板の短手方向の中央部に固定されているため、術者は、バルーンカテーテル等の医療用デバイスと、シャフト部とをまとめて把持することができ、サポートデバイスの使い勝手を向上できる。
【0013】
(4)上記形態のサポートデバイスにおいて、前記薄板は、一対の主面を備え、前記薄板のうち、少なくとも一方の前記主面には、前記シャフト部の長手方向と交差する方向に延びる溝部が形成されていてもよい。
この構成によれば、薄板のうち、少なくとも一方の主面には、シャフト部の長手方向と交差する方向に延びる溝部が形成されている。このため、薄板が略円筒形状に変形した後、円筒状の薄板の外周面と内周面との少なくとも一方の面には、周方向に延びる溝部を有する構成となる。このため、円筒状の薄板が血管分岐部等において湾曲する際に、溝部を起点として湾曲しやすくできる。また、薄板に複数の溝部が形成された構成とすれば、円筒状の薄板を、蛇腹のような形状とできるため、より一層湾曲しやすくできる。
【0014】
(5)上記形態のサポートデバイスにおいて、前記薄板は、一対の主面を備え、前記シャフト部は、本体部と、前記本体部の先端部に設けられ、前記薄板を把持する把持部であって、前記薄板の両側の前記主面から前記薄板を挟み込んで前記薄板を把持する把持部と、を備えていてもよい。
この構成によれば、シャフト部は、本体部の先端部に設けられ、薄板の両側の主面から薄板を挟み込んで薄板を把持する把持部を備える。このため、薄板と本体部とを単に接合する場合と比較して、簡単な構造で、薄板と本体部とを確実に固定できる。
【0015】
(6)上記形態のサポートデバイスにおいて、前記薄板は、一対の主面を備え、前記シャフト部は、本体部と、前記本体部の先端部に設けられた偏平形状の接続部と、を備え、前記接続部は、前記薄板の一方の前記主面に固定されていてもよい。
この構成によれば、シャフト部は、本体部の先端部に設けられた偏平形状の接続部を備えるため、接続部において薄板と本体部とを接合することで、薄板と本体部との接合面積を増やすことができる。このため、薄板と本体部とを単に接合する場合と比較して、薄板と本体部との接合強度を向上できる。
【0016】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、医療用デバイスを支持するサポートデバイス、サポートデバイス用のシャフト部や薄板、サポートデバイスを備えるカテーテルシステム、サポートデバイスの製造方法などの形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態のサポートデバイスの構成を例示した説明図である。
図2】薄板の構成を例示した説明図である。
図3】薄板が略円筒形状に変形した後のサポートデバイスの構成を例示した説明図である。
図4】冠状動脈に対してバルーンカテーテルを挿入する様子を示す図である。
図5】バルーンカテーテルにサポートデバイスを取り付ける様子を示す図である。
図6】サポートデバイスによるバックアップ力の付与について説明する図である。
図7】第2実施形態のサポートデバイスの構成を例示した説明図である。
図8】A方向(図1)から見た薄板の構成を例示した説明図である。
図9】第3実施形態のサポートデバイスの構成を例示した説明図である。
図10】第4実施形態のサポートデバイスの構成を例示した説明図である。
図11】第5実施形態のサポートデバイスの構成を例示した説明図である。
図12】把持部の構成を例示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態のサポートデバイス1の構成を例示した説明図である。サポートデバイス1は、心臓の冠状動脈の狭窄、閉塞病変に対して、血管の内側から狭窄病変を拡張する手技(以降「PCI(経皮的冠動脈形成術)」とも呼ぶ)において、バルーンカテーテルを内側に収容して用いることで、バルーンカテーテルのバックアップ力を補うデバイスである。なお、PCIはあくまで一例であり、サポートデバイス1は、血管系、リンパ腺系、胆道系、尿路系、気道系、消化器官系、分泌腺及び生殖器官といった、生体管腔内に挿入して使用される医療用デバイスに対して、後からバックアップ力を付与したい場合の全般に使用可能である。
【0019】
図1に示すように、サポートデバイス1は、シャフト部10と、薄板20とを備えている。図1では、シャフト部10の中心を通る線を軸線Oで表す。
【0020】
図1には、相互に直交するXYZ軸が図示されている。X軸は、サポートデバイス1の長手方向に対応し、Y軸は、サポートデバイス1の高さ方向に対応し、Z軸は、サポートデバイス1の幅方向に対応する。図1の左側(-X軸方向)をサポートデバイス1及び各構成部材の「先端側」と呼び、図1の右側(+X軸方向)をサポートデバイス1及び各構成部材の「基端側」と呼ぶ。サポートデバイス1及び各構成部材について、先端側に位置する端部を「先端」と呼び、先端及びその近傍を「先端部」と呼ぶ。また、基端側に位置する端部を「基端」と呼び、基端及びその近傍を「基端部」と呼ぶ。先端側は生体内部へ挿入され、基端側は医師等の術者により操作される。これらの点は、図1以降においても共通する。
【0021】
シャフト部10は、サポートデバイス1の基端側に設けられた長尺状の外形を有する部材である。シャフト部10は、本体部11と、接続部12とを有している。本体部11は、長尺状の外形を有しており、先端から基端まで略一定の外径を有する、中実の略円柱形状の部分である。本体部11の基端部は、術者によって把持されて操作される。接続部12は、本体部11の先端部に設けられた偏平形状の部分である。接続部12は、本体部11の先端側の一部分をプレス加工することにより、簡単に形成できる。接続部12は、薄板20の一方の主面(図1の例では第1主面21)に、固定されている。接続部12と薄板20とは、融接、圧接、ろう接といった冶金的接合や、任意の接着剤を用いた接着剤接合を利用して固定できる。なお、シャフト部10の全体、または、少なくとも一部分には、基端から先端に向かって外径が縮径した縮径部が設けられてもよい。シャフト部10の外径及び長さは、任意に決定できる。
【0022】
シャフト部10は、抗血栓性、可撓性、生体適合性を有することが好ましく、例えば、SUS302、SUS304、SUS316等のステンレス合金、NiTi合金等の超弾性合金、ピアノ線、ニッケル-クロム系合金、コバルト合金等の放射線透過性合金、金、白金、タングステン、これらの元素を含む合金(例えば、白金-ニッケル合金)等の放射線不透過性合金で形成できる。シャフト部10は、例えば、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂材料により形成してもよい。
【0023】
図2は、薄板20の構成を例示した説明図である。図2(A)では、図1のA方向から見た薄板20の構成を図示している。図2(B)では、図1のB方向から見た薄板20であって、略円筒形状に変形した後の薄板20の構成を図示している。図1に示すように、薄板20は、シャフト部10の先端部(具体的には、接続部12が設けられた部分)に固定されている。図1及び図2(A)に示すように、薄板20は、一対の主面21,22を有する矩形形状の板部材である。以降、薄板20の一方の主面を「第1主面21」と呼び、第1主面21と逆側に位置する他方の主面を「第2主面22」とも呼ぶ。また、図1に示すように、薄板20を第1主面21側から見た場合に、薄板20の周囲に位置する4つの端部(換言すれば、四辺)のうち、シャフト部10の長手方向(X軸方向)に沿って延びる端部を「端部201」及び「端部202」とも呼ぶ。
【0024】
薄板20は、弾性金属により形成されている。ここで、弾性金属の弾性の程度としては、例えば、弾性率(ヤング率)や、弾性変形能を指標とすることができる。弾性金属としては、例えば、NiTi合金、スチール、製品としてはゴムメタル(登録商標)等を採用できる。
【0025】
薄板20は、シャフト部10の長手方向(X軸方向)と交差する方向に延びる窪み部29を有している。図1の例では、窪み部29は、シャフト部10の長手方向と交差し、かつ、垂直な方向であるZ軸方向に延びている。なお、図示の例では、窪み部29の中心を通る線(図1:二点鎖線)と、シャフト部10の長手方向とは垂直に交わっている。しかし、窪み部29の中心を通る線は、シャフト部10の長手方向と交差する限りにおいて、垂直でなくてもよい。また、図2(A)に示すように、窪み部29では、第1主面21と第2主面22とが共に、他の部分に比べて-Y軸方向に、U字状に湾曲した形状とされている。最も+Y軸方向に位置する第1主面21から、最も-Y軸方向に位置する第2主面22までの直線長さL22を「窪み深さL22」とも呼ぶ。窪み深さL22は、任意に決定してよい。薄板20は、窪み部29に対して、窪みを解消する方向(すなわち、図2(A)の白抜き矢印を付した方向、+Y軸方向)に薄板20を反らせることにより、図2(B)に示すような略円筒形状に変形する。
【0026】
図3は、薄板20が略円筒形状に変形した後のサポートデバイス1の構成を例示した説明図である。変形後の薄板20(以降「円筒状の薄板20」とも呼ぶ)は、軸線O20を中心とする略円筒形状である。ここで、円筒状の薄板20の軸線O20は、シャフト部10の長手方向に沿っている。換言すれば、円筒状の薄板20の軸線O20と、シャフト部10の中心を通る軸線Oとは、共にX軸方向に沿って延びている。図3に示すように、円筒状の薄板20は、先端に先端側開口20aを有し、基端に基端側開口20bを有する管状である。円筒状の薄板20の内側(内腔)は、バルーンカテーテル等の医療用デバイスを収容するためのデバイスルーメン20Lとして機能する。
【0027】
また、図2(B)に示すように、円筒状の薄板20は、端部201と端部202とが互いに重なり合っている。重なり合いの範囲、換言すれば、端部201と端部202とが軸線O20に対して成す角度θは、任意に決定できる。しかし、デバイスルーメン20Lに収容された医療用デバイスの抜けを抑制し、かつ、柔軟性を維持するという観点から、角度θは、90度以上かつ270度以下であることが好ましい。円筒状の薄板20は、図2(B)に示す黒矢印の方向(すなわち周方向)に付勢されている。このため、円筒状の薄板20の内径Φ20は、デバイスルーメン20Lに収容される医療用デバイスの径に応じて、拡大または縮小できる。例えば、医療用デバイスが相対的に太径である場合、内径Φ20は医療用デバイスの外径に応じて相対的に大きくなる。
【0028】
このように変形する薄板20は、例えば、以下のようにして作製できる。まず、弾性金属で形成された矩形形状の板部材を準備する。弾性金属の板部材を、所定の外径を有する金属製の管状体に巻き付けた状態で、加熱処理する。そうすると、弾性金属の板部材は、図2(B)及び図3に示す略円筒形状となる。その後、シャフト部10の長手方向と交差する方向に延びる窪み部29を形成する。そうすると、窪み部29によって板部材の曲げ剛性が高くなり、矩形板状で、かつ、円筒状にも変形可能な薄板20が得られる。すなわち、薄板20は、窪み部29に対して窪みを解消する方向に薄板20を反らせることにより、曲げ剛性を相対的に低下させることで、図2(B)及び図3に示す略円筒形状に戻ることができる。
【0029】
なお、図1に示す薄板20のX軸方向の長さL20(以降「薄板20の長さL20」とも呼ぶ)と、薄板20のZ軸方向の長さW20(以降「薄板20の幅W20」とも呼ぶ)とは、任意に決定できる。サポートデバイス1は、医療用デバイスにバックアップ力を付与するほか、医療用デバイスに追従させて血管内を押し進められる場合もあるため、薄板20の長さL20は、例えば、50mm以上とされることが好ましい。また、サポートデバイス1は、体外に引き出された医療用デバイスに装着されるため、薄板20の長さL20は、例えば、150mm以下とされることが好ましい。また、薄板20により円筒を形成するために、薄板20の幅W20は、例えば、医療用デバイスの外周長さの1.25倍以上とすることが好ましい。また、円筒状とされた薄板20を柔軟に構成するために、薄板20の幅W20は、例えば、医療用デバイスの外周長さの1.75倍以下とすることが好ましい。
【0030】
図1の例では、薄板20は、X軸方向の長さL20がZ軸方向の長さW20よりも長い。このとき、図1に示すように、シャフト部10は、薄板20の長手方向(X軸方向)の端部であって、かつ、薄板20の短手方向(Z軸方向)の中央部に固定されている。換言すれば、端部201から、シャフト部10の中心を通る軸線Oまでの直線距離は、Z軸方向の長さW20の約半分(W20/2)である。
【0031】
図4は、冠状動脈91に対してバルーンカテーテル3を挿入する様子を示す図である。図4では、大動脈90から伸びた冠状動脈91と、冠状動脈91の第1枝92及び第2枝93を図示している。第2枝93の遠位部には、血管内腔が狭窄した狭窄部99が形成されている。以降、バルーンカテーテル3を用いて狭窄部99を拡張する手技(PCI)において、バルーンカテーテル3に対して、サポートデバイス1を用いて後からバックアップ力を付与する方法について説明する。
【0032】
まず、術者は、大動脈90から冠状動脈91の入口まで、ガイディングカテーテル4を挿入する。術者は、ガイドワイヤ2を、ガイディングカテーテル4の先端から第1枝92内に突出させて、ガイドワイヤ2を、第1枝92から第2枝93の遠位部まで押し進める。次に術者は、ガイドワイヤ2を内側に収容した状態のバルーンカテーテル3を、ガイドワイヤ2に沿わせて第1枝92から第2枝93へと押し進める。ここで、第1枝92と第2枝93との分岐部Bの形状や、第1枝92及び第2枝93の太さ等に起因して、バルーンカテーテル3の先端部が、分岐部Bの近傍でスタックしてしまい、バルーンカテーテル3の先端部を狭窄部99までデリバリできない場合がある(図4)。
【0033】
図5は、バルーンカテーテル3にサポートデバイス1を取り付ける様子を示す図である。図5(A)は、薄板20にバルーンカテーテル3を置いた様子を図示し、図5(B)は、薄板20を略円筒形状に変形させた様子を図示する。なお、図5では、患者の体外に配置されているガイドワイヤ2及びバルーンカテーテル3の基端側の一部分と、サポートデバイス1の先端側の一部分とを図示している。図4で説明したように、バルーンカテーテル3が冠状動脈91の分岐部Bでスタックした場合、術者は、バルーンカテーテル3に対してサポートデバイス1を取り付ける。
【0034】
具体的には、図5(A)に示すように、術者は、患者の体外のガイドワイヤ2及びバルーンカテーテル3を把持して1つにまとめ、ガイドワイヤ2及びバルーンカテーテル3を、サポートデバイス1の薄板20の第1主面21に載せる。この状態で術者は、薄板20を把持した状態で、第2主面22側から窪み部29を押圧して、窪み部29の窪みを解消する方向(図5(A):斜線ハッチングを付した矢印の方向)に薄板20を反らせる。これにより薄板20は、図5(B)に示すように、略円筒形状に変形する。このとき、第1主面21に置かれていたガイドワイヤ2及びバルーンカテーテル3は、円筒状の薄板20の内側に形成されたデバイスルーメン20Lに収容された状態となる。この状態で術者は、サポートデバイス1のシャフト部10を先端側に向かって押し込むことで、円筒状の薄板20の内側にガイドワイヤ2及びバルーンカテーテル3を収容した状態で、サポートデバイス1をデリバリできる。
【0035】
図6は、サポートデバイス1によるバックアップ力の付与について説明する図である。図6では、図4と同様に、大動脈90、冠状動脈91、第1枝92、第2枝93、及び狭窄部99を図示している。図5で説明した方法によってバルーンカテーテル3にサポートデバイス1を取り付けた後、術者は、サポートデバイス1のシャフト部10を先端側に向かって押し込むことで、ガイディングカテーテル4の内側において、サポートデバイス1をデリバリする。その後、術者は、サポートデバイス1の薄板20の先端側を、ガイディングカテーテル4の先端から第1枝92内に突出させて、第1枝92と第2枝93との分岐部B近傍に配置する。この状態で、術者は、スタックしているバルーンカテーテル3を、第2枝93へと押し進める。ここで、バルーンカテーテル3の周囲は、円筒状の薄板20によって支えられているため、バルーンカテーテル3は、分岐部Bから第2枝93に向かって進行できる(図6)。
【0036】
なお、術者は、サポートデバイス1のシャフト部10を回転操作することで、円筒状の薄板20を回転させて、バルーンカテーテル3のスタックを解除してもよい。また、術者は、円筒状の薄板20が第1枝92や第2枝93でスタックした場合には、サポートデバイス1のシャフト部10を逆方向に回転操作することで、円筒状の薄板20のスタックを解除してもよい。さらに術者は、バルーンカテーテル3に追従させて、円筒状の薄板20を、第2枝93の狭窄部99近傍まで押し進めてもよい。円筒状の薄板20を狭窄部99の近傍まで押し進めれば、円筒状の薄板20を用いて、バルーンカテーテル3の剛性が相対的に低い部分をサポートできる。また、バルーンカテーテル3を抜去して他の医療用デバイスを挿入する場合にも、円筒状の薄板20とガイディングカテーテル4とによって、狭窄部99までの経路が確保された状態とできる。このため、手技の効率化を図ることができる。なお、サポートデバイス1は、内視鏡下で用いられてもよい。
【0037】
ここで、本実施形態のサポートデバイス1において、円筒状の薄板20の端部201と端部202とが互いに重なり合っている。このため、本実施形態のサポートデバイス1では、サポートデバイス1の先端部(薄板20の先端部)が大動脈90の分岐部Bに位置し、バルーンカテーテル3が大きく湾曲した状態となっても、バルーンカテーテル3がサポートデバイス1(円筒状の薄板20)から外れることを抑制できる。
【0038】
以上説明した通り、第1実施形態のサポートデバイス1は、シャフト部10の先端部に配置された薄板20を備え、薄板20は、弾性金属により形成され、シャフト部10の長手方向と交差する方向に延びる窪み部29を有しており、窪み部29に対して、窪みを解消する方向に薄板20を反らせることにより略円筒形状に変形する(図3)。このため、バルーンカテーテル3等の医療用デバイスが既に生体管腔内に挿入された状態であっても、薄板20の一方の主面(第1主面21)に医療用デバイスを置いた状態で、薄板20の窪みを解消することで薄板20を略円筒形状に変形させれば、円筒状の薄板20の内側(デバイスルーメン20L)に医療用デバイスを収容できる。この結果、円筒状の薄板20によって医療用デバイスを支えることができ、医療用デバイスにバックアップ力を付与できる。また、円筒状の薄板20は、従来のガイドエクステンションカテーテルとは異なり、円筒(チューブ体)の内外を連通する交換チャネルを有さない(図2(B)、図3)。このため、円筒状の薄板20が、血管分岐部B等において湾曲した場合であっても、医療用デバイスが交換チャネルから外部に飛び出してしまう(換言すれば、サポートデバイス1から医療用デバイスが外れてしまう)虞がない。これらの結果、第1実施形態のサポートデバイス1によれば、生体管腔内に挿入された医療用デバイスを抜去することなく、医療用デバイスに対してバックアップ力を付与することが可能なサポートデバイス1において、内側に収容された医療用デバイスが外れることを抑制できる。
【0039】
また、第1実施形態のサポートデバイス1によれば、薄板20は、略円筒形状に変形した際の軸線O20が、術者が把持して操作するシャフト部10の長手方向に沿っている(図3)。このため、サポートデバイス1のトルク伝達性を向上できると共に、使い勝手を向上できる。
【0040】
さらに、第1実施形態のサポートデバイス1によれば、シャフト部10は、薄板20の長手方向(図1:X軸方向)の端部に固定されているため、シャフト部10が、術者が窪みを解消しようとする操作の妨げとなることを抑制できる。また、シャフト部10は、薄板20の短手方向(図1:Z軸方向)の中央部に固定されている。このため、図5(A)に示すように、術者は、バルーンカテーテル3等の医療用デバイスと、シャフト部10とをまとめて把持することができ、サポートデバイス1の使い勝手を向上できる。
【0041】
さらに、第1実施形態のサポートデバイス1によれば、シャフト部10は、本体部11の先端部に設けられた偏平形状の接続部12を備えるため、接続部12において薄板20と本体部11とを接合することで、薄板20と本体部11との接合面積を増やすことができる。このため、薄板20と本体部11とを単に接合する場合と比較して、薄板20と本体部11との接合強度を向上できる。
【0042】
<第2実施形態>
図7は、第2実施形態のサポートデバイス1Aの構成を例示した説明図である。図8は、A方向(図1)から見た薄板20Aの構成を例示した説明図である。第2実施形態のサポートデバイス1Aは、第1実施形態の構成において、薄板20に代えて薄板20Aを備えている。図7及び図8に示すように、薄板20Aの第2主面22には、複数の溝部25が形成されている。各溝部25は、シャフト部10の長手方向(X軸方向)と交差する方向(Z軸方向)に、端部201から端部202まで延びる、直線状の凹部である。また、各溝部25は、シャフト部10の長手方向に、間隔S25で等間隔に配置されている。なお、図示の例では、各溝部25と、シャフト部10の長手方向とは垂直に交わっている。しかし、各溝部25は、シャフト部10の長手方向と交差する限りにおいて、垂直でなくてもよい。
【0043】
このように、薄板20Aの構成は種々の変更が可能であり、第2主面22には溝部25が形成されていてもよい。図7の例では、第2主面22に複数の溝部25が形成されているものとしたが、溝部25は、第1主面21のみに形成されていてもよく、第1主面21と第2主面22との両方に形成されていてもよい。また、溝部25の数は、1つでもよく、複数でもよい。複数の溝部25が形成される場合の各溝部25は、等間隔でなくてもよい。さらに、溝部25の形状は、直線状でなくてもよく、波状、U字状等の任意の形状とできる。このような第2実施形態のサポートデバイス1Aによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0044】
また、第2実施形態のサポートデバイス1Aによれば、薄板20Aのうち、少なくとも一方の主面21,22には、シャフト部10の長手方向と交差する方向に延びる溝部25が形成されている。このため、図7に示すように、薄板20Aが略円筒形状に変形した後、円筒状の薄板20Aの外周面22と内周面21との少なくとも一方の面には、周方向に延びる溝部25を有する構成となる。このため、円筒状の薄板20Aが血管分岐部B等において湾曲する際に、溝部25を起点として湾曲しやすくできる。また、図7に示すように、薄板20Aに複数の溝部25が形成された構成とすれば、円筒状の薄板20Aを、蛇腹のような形状とできるため、より一層湾曲しやすくできる。
【0045】
<第3実施形態>
図9は、第3実施形態のサポートデバイス1Bの構成を例示した説明図である。第3実施形態のサポートデバイス1Bは、第1実施形態の構成において、薄板20に代えて薄板20Bを備えている。薄板20Bは、4つの角部(換言すれば、四隅)が丸く加工された、矩形形状の板部材である。このように、薄板20Bの構成は種々の変更が可能であり、角部を丸く加工してもよい。このような第3実施形態のサポートデバイス1Bによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第3実施形態のサポートデバイス1Bによれば、薄板20Bの角部が丸く加工されているため、薄板20Bの角部が生体管腔や、医療用デバイスに引っ掛かる虞を低減できる。このため、サポートデバイス1Bの安全性を向上できると共に、併用される医療用デバイスの損傷を抑制できる。
【0046】
<第4実施形態>
図10は、第4実施形態のサポートデバイス1Cの構成を例示した説明図である。第4実施形態のサポートデバイス1Cは、第1実施形態の構成において、シャフト部10に代えて、シャフト部10Cを備えている。シャフト部10Cのうち、接続部12Cは、薄板20の長手方向(X軸方向)の端部であって、薄板20の短手方向(Z軸方向)の中央部よりも端部201側の任意の位置に固定されている。このように、シャフト部10Cの構成は種々の変更が可能であり、シャフト部10Cは、薄板20の短手方向の中央部に固定されていなくてもよい。このような第4実施形態のサポートデバイス1Cによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0047】
<第5実施形態>
図11は、第5実施形態のサポートデバイス1Dの構成を例示した説明図である。第5実施形態のサポートデバイス1Dは、第1実施形態の構成において、シャフト部10に代えて、シャフト部10Dを備えている。シャフト部10Dは、第1実施形態で説明した本体部11及び接続部12に代えて、本体部11Dと、把持部30とを有している。図11に示すように、本体部11Dは、長手方向(X軸方向)に沿って延びており、先端から基端まで略一定の外径を有する、中空の略円筒形状の部材である。本体部11Dの先端部には、把持部30の湾曲部32が挿入された状態で、固定されている。本体部11Dと把持部30とは、融接、圧接、ろう接といった冶金的接合や、任意の接着剤を用いた接着剤接合を利用して固定できる。なお、本体部11Dは、中実の略円柱形状であってもよい。この場合、本体部11Dの外周面に対して、把持部30の湾曲部32が接合されてもよい。
【0048】
図12は、把持部30の構成を例示した説明図である。図12では、図11のA方向から見た把持部30の構成を図示している。把持部30は、本体部11Dと薄板20との間であって、本体部11Dの先端部に設けられた部材である。図12に示すように、把持部30は、把持体31と、湾曲部32とを有している。把持体31は、サポートデバイス1Dの長手方向(X軸方向)に沿って延びる一対の板状の部分である。把持体31は、間隙30aの方向(白抜き矢印の方向)に向かってそれぞれ付勢されている。湾曲部32は、一の把持体31と他の把持体31とを接続すると共に、湾曲形状とされた部分である。把持部30は、間隙30aに差し込まれた薄板20を把持する。具体的には、薄板20の両側の主面21,22から、薄板20を挟み込むことにより、薄板20を把持する。把持部30が薄板20を把持した状態で、両者は融接、圧接、ろう接といった冶金的接合や、任意の接着剤を用いた接着剤接合を利用して固定されてもよい。なお、把持部30のX軸方向及びZ軸方向の長さは、任意に決定できる。
【0049】
把持部30は、抗血栓性、可撓性、生体適合性を有することが好ましく、例えば、SUS302、SUS304、SUS316等のステンレス合金、NiTi合金等の超弾性合金、ピアノ線、ニッケル-クロム系合金、コバルト合金等の放射線透過性合金、金、白金、タングステン、これらの元素を含む合金(例えば、白金-ニッケル合金)等の放射線不透過性合金で形成できる。
【0050】
このように、シャフト部10Dの構成は種々の変更が可能であり、把持部30を有していてもよい。このような第5実施形態のサポートデバイス1Dによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第5実施形態のサポートデバイス1Dによれば、シャフト部10Dは、本体部11Dの先端部に設けられ、薄板20の両側の主面21,22から薄板20を挟み込んで薄板20を把持する把持部30を備える(図11図12)。このため、薄板20と本体部11Dとを単に接合する場合と比較して、簡単な構造で、薄板20と本体部11Dとを確実に固定できる。
【0051】
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0052】
[変形例1]
上記第1~5実施形態では、サポートデバイス1,1A~1Dの構成を例示した。しかし、サポートデバイス1の構成は種々の変更が可能である。例えば、本体部11と把持部30とは、一体的に形成されていてもよい。例えば、サポートデバイス1の先端部(薄板20の先端部)には、放射線不透過性を有するマーカー部が設けられてもよい。例えば、サポートデバイス1の基端部(シャフト部10の基端部)には、術者がサポートデバイス1を把持するためのコネクタが設けられてもよい。例えば、シャフト部10、薄板20のうち、少なくとも一部の部材の表面には、親水性樹脂または疎水性樹脂を用いたコーティングがされていてもよい。
【0053】
[変形例2]
上記第1~5実施形態のサポートデバイス1,1A~1Dの構成、及び上記変形例1の各構成は、適宜組み合わせてもよい。例えば、第2実施形態で説明した溝部25を有し、かつ、第3実施形態で説明した形状を有する薄板20を構成してもよい。例えば、第1~第3実施形態で説明した薄板20と、第4又は第5実施形態で説明したシャフト部10,10Dとを組み合わせてサポートデバイス1を構成してもよい。
【0054】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【符号の説明】
【0055】
1,1A~1D…サポートデバイス
2…ガイドワイヤ
3…バルーンカテーテル
4…ガイディングカテーテル
10,10C,10D…シャフト部
11…本体部
12,12C…接続部
20,20A,20B…薄板
21…第1主面
22…第2主面
25…溝部
29…窪み部
30…把持部
31…把持体
32…湾曲部
90…大動脈
91…冠状動脈
92…第1枝
93…第2枝
99…狭窄部
201…端部
202…端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12