(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020159
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】サポートデバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 25/01 20060101AFI20230202BHJP
【FI】
A61M25/01 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021125382
(22)【出願日】2021-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100157277
【弁理士】
【氏名又は名称】板倉 幸恵
(72)【発明者】
【氏名】柴山 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】野村 徳宏
(72)【発明者】
【氏名】重松 正明
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA07
4C267BB02
4C267BB11
4C267BB17
4C267BB52
4C267BB53
4C267CC09
4C267DD01
4C267HH04
4C267HH08
4C267HH09
(57)【要約】
【課題】生体管腔内に挿入された医療用デバイスを抜去することなく、医療用デバイスに対してバックアップ力を付与することが可能なサポートデバイスにおいて、内側に収容された医療用デバイスが外れることを抑制する。
【解決手段】医療用デバイスを支持するサポートデバイスは、第1カテーテルと、第2カテーテルを備える。第1カテーテルは、長尺状の外形を有する第1シャフト部と、第1シャフト部の先端に設けられた長尺状の外形を有する第1コイル体を備え、第2カテーテルは、長尺状の外形を有する第2シャフト部と、第2シャフト部の先端に設けられた長尺状の外形を有する第2コイル体を備え、第1コイル体の素線間に第2コイル体の素線が嵌まり込むことによって、第1コイル体と第2コイル体とが略管状をなす。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用デバイスを支持するサポートデバイスであって、
第1カテーテルと、第2カテーテルを備えており、
前記第1カテーテルは、長尺状の外形を有する第1シャフト部と、前記第1シャフト部の先端に設けられた長尺状の外形を有する第1コイル体を備え、
前記第2カテーテルは、長尺状の外形を有する第2シャフト部と、前記第2シャフト部の先端に設けられた長尺状の外形を有する第2コイル体を備え、
前記第1コイル体の素線間に前記第2コイル体の素線が嵌まり込むことによって、前記第1コイル体と前記第2コイル体とが略管状をなす、サポートデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のサポートデバイスであって、
前記第1コイル体の素線の太さは、前記第2コイル体の隣り合う素線の間隙の幅以下であり、
前記第2コイル体の素線の太さは、前記第1コイル体の隣り合う素線の間隙の幅以下である、サポートデバイス。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のサポートデバイスであって、
前記第1コイル体の素線と、前記第2コイル体の素線とは共に、略矩形形状の横断面を有する平線である、サポートデバイス。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のサポートデバイスであって、
前記第1コイル体は、前記第2コイル体と長手方向の長さが等しい、サポートデバイス。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のサポートデバイスであって、さらに、
前記第1シャフト部と前記第2シャフト部を束ねる結束具であって、前記第1シャフト部と前記第2シャフト部とをそれぞれ嵌合させるための第1溝部と第2溝部とを有する結束具を備える、サポートデバイス。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のサポートデバイスであって、
前記第1シャフト部は、
長手方向に沿って延びる本体部と、
前記本体部の先端部に設けられ、前記第1コイル体を把持する把持部であって、前記第1コイル体の外周面側と内周面側との両側から前記第1コイル体を挟み込んで前記第1コイル体を把持する把持部と、
を備える、サポートデバイス。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のサポートデバイスであって、
前記第1シャフト部は、
長手方向に沿って延びる本体部と、
前記本体部の先端部に設けられ、前記第1コイル体の基端部の外周面を覆う環形状の接続部と、
を備える、サポートデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用デバイスを支持するサポートデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
心臓の冠状動脈の狭窄、閉塞病変に対して、血管の内側から狭窄病変を拡張する手技(以降「PCI(経皮的冠動脈形成術)」とも呼ぶ)が知られている。PCIでは、例えば、拡縮可能なバルーンを備えるバルーンカテーテルを用いて狭窄部を拡張し、血流を確保する。このような手技において、バルーンカテーテルのバックアップ力不足のためにバルーンが血管分岐部でスタックしてしまい、バルーンを狭窄部までデリバリできない場合があった。例えば、特許文献1~特許文献3には、バルーンカテーテルを内側に収容して用いることで、バルーンカテーテルのバックアップ力を補うことが可能なガイドエクステンションカテーテルやサポートカテーテルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2015-524737号公報
【特許文献2】国際公開第2018/030075号パンフレット
【特許文献3】米国特許出願公開第2019/0358434号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、バルーンカテーテルの基端部には通常、術者が把持もしくは薬剤や併用デバイスを挿入するための太径のコネクタが設けられている。このため、特許文献1に記載のガイドエクステンションカテーテルや、特許文献2に記載のサポートカテーテルを用いて、一旦体内に挿入して狭窄部近傍までデリバリしたバルーンカテーテルにバックアップ力を付与するには、バルーンカテーテルを体外まで取り出す必要があり、手間と時間を要するという課題があった。
【0005】
この点、特許文献3に記載のガイドエクステンションカテーテルでは、チューブ体の内外を連通する交換チャネルを介して、バルーンカテーテルを取り出すことなく、バルーンカテーテルをガイドエクステンションカテーテルの内側に収容できる。しかし、特許文献3に記載のガイドエクステンションカテーテルでは、ガイドエクステンションカテーテルを体内において狭窄部までデリバリする際に、バルーンカテーテルが交換チャネルから外部に飛び出してしまう(換言すれば、ガイドエクステンションカテーテルからバルーンカテーテルが外れてしまう)場合があるという課題があった。この課題は、血管分岐部においてガイドエクステンションカテーテルが湾曲し、交換チャネルが拡張した場合に特に顕著である。
【0006】
なお、このような課題は、バルーンカテーテルを用いたPCIに限らず、血管系、リンパ腺系、胆道系、尿路系、気道系、消化器官系、分泌腺及び生殖器官といった、生体管腔内に挿入して使用される医療用デバイスに対して、後からバックアップ力を付与したい場合の全般に共通する課題であった。
【0007】
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、生体管腔内に挿入された医療用デバイスを抜去することなく、医療用デバイスに対してバックアップ力を付与することが可能なサポートデバイスにおいて、内側に収容された医療用デバイスが外れることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0009】
(1)本発明の一形態によれば、医療用デバイスを支持するサポートデバイスが提供される。このサポートデバイスは、第1カテーテルと、第2カテーテルを備えており、前記第1カテーテルは、長尺状の外形を有する第1シャフト部と、前記第1シャフト部の先端に設けられた長尺状の外形を有する第1コイル体を備え、前記第2カテーテルは、長尺状の外形を有する第2シャフト部と、前記第2シャフト部の先端に設けられた長尺状の外形を有する第2コイル体を備え、前記第1コイル体の素線間に前記第2コイル体の素線が嵌まり込むことによって、前記第1コイル体と前記第2コイル体とが略管状をなす。
【0010】
この構成によれば、サポートデバイスの第1カテーテルは、長尺状の外形を有する第1コイル体を備えているため、医療用デバイスが既に生体管腔内に挿入された状態であっても、第1コイル体の素線の間隙を介して、医療用デバイスを第1コイル体の内側に収容できる。同様に、サポートデバイスの第2カテーテルは、長尺状の外形を有する第2コイル体を備えているため、第2コイル体の素線の間隙を介して、医療用デバイスを第2コイル体の内側に収容できる。また、本構成のサポートデバイスでは、第1コイル体の素線間に第2コイル体の素線が嵌まり込むことによって、第1コイル体と第2コイル体とが略管状をなす。このため、例えば、サポートデバイスが生体管腔の湾曲部や分岐部を通過する際に、サポートデバイスが湾曲した場合であっても、第1コイル体と第2コイル体の内側に収容された医療用デバイスが、素線の間隙から外れることを抑制できる。すなわち、本構成によれば、生体管腔内に挿入された医療用デバイスを抜去することなく、医療用デバイスに対してバックアップ力を付与することが可能なサポートデバイスにおいて、内側に収容された医療用デバイスが外れることを抑制できる。
【0011】
(2)上記形態のサポートデバイスにおいて、前記第1コイル体の素線の太さは、前記第2コイル体の隣り合う素線の間隙の幅以下であり、前記第2コイル体の素線の太さは、前記第1コイル体の隣り合う素線の間隙の幅以下であってもよい。
この構成によれば、第1コイル体の素線の太さは、第2コイル体の隣り合う素線の間隙の幅以下であり、第2コイル体の素線の太さは、第1コイル体の隣り合う素線の間隙の幅以下であるため、第1コイル体に第2コイル体をねじ込むことで、スムーズに第1コイル体と第2コイル体とを略管状とできる。
【0012】
(3)上記形態のサポートデバイスにおいて、前記第1コイル体の素線と、前記第2コイル体の素線とは共に、略矩形形状の横断面を有する平線であってもよい。
この構成によれば、第1コイル体の素線と、第2コイル体の素線とは共に、略矩形形状の横断面を有する平線である。このため、第1及び第2コイル体を丸線とする場合と比較して、第1コイル体と第2コイル体とで略管状を形成するための回転操作を少なくできる。
【0013】
(4)上記形態のサポートデバイスにおいて、前記第1コイル体は、前記第2コイル体と長手方向の長さが等しくてもよい。
この構成によれば、第1コイル体は、第2コイル体と長手方向の長さが等しいため、第1及び第2コイル体の全長を利用して、略管状を形成できる。
【0014】
(5)上記形態のサポートデバイスでは、さらに、前記第1シャフト部と前記第2シャフト部を束ねる結束具であって、前記第1シャフト部と前記第2シャフト部とをそれぞれ嵌合させるための第1溝部と第2溝部とを有する結束具を備えていてもよい。
この構成によれば、サポートデバイスはさらに、第1シャフト部と第2シャフト部を束ねる結束具を備える。このため、第1コイル体と第2コイル体とで略管状を形成した状態で、結束具を用いて第1及び第2シャフト部を固定することで、略管状を容易に維持できる。この結果、第1及び第2コイル体を組み合わせた後におけるサポートデバイスの操作性を向上できる。
【0015】
(6)上記形態のサポートデバイスにおいて、前記第1シャフト部は、長手方向に沿って延びる本体部と、前記本体部の先端部に設けられ、前記第1コイル体を把持する把持部であって、前記第1コイル体の外周面側と内周面側との両側から前記第1コイル体を挟み込んで前記第1コイル体を把持する把持部と、を備えていてもよい。
この構成によれば、第1シャフト部は、第1コイル体の外周面側と内周面側との両側から第1コイル体を挟み込んで第1コイル体を把持する把持部を備える。このため、第1コイル体と本体部とを単に接合する場合と比較して、簡単な構造で、第1コイル体と本体部とを確実に固定できる。
【0016】
(7)上記形態のサポートデバイスにおいて、前記第1シャフト部は、長手方向に沿って延びる本体部と、前記本体部の先端部に設けられ、前記第1コイル体の基端部の外周面を覆う環形状の接続部と、を備えていてもよい。
この構成によれば、第1シャフト部は、本体部の先端部に設けられ、第1コイル体の基端部の外周面を覆う環形状の接続部を備える。このため、接続部において第1コイル体と本体部とを接合することで、第1コイル体と本体部との接合面積を増やすことができるため、第1コイル体と本体部とを単に接合する場合と比較して、第1コイル体と本体部との接合強度を向上できる。
【0017】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、医療用デバイスを支持するサポートデバイス、サポートデバイスを備えるカテーテルシステム、サポートデバイスの製造方法などの形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態のサポートデバイスの構成を例示した説明図である。
【
図2】冠状動脈に対してバルーンカテーテルを挿入する様子を示す図である。
【
図3】バルーンカテーテルにサポートデバイスを取り付ける様子を示す図である。
【
図4】バルーンカテーテルにサポートデバイスを取り付ける様子を示す図である。
【
図5】サポートデバイスによるバックアップ力の付与について説明する図である。
【
図6】サポートデバイスの効果例について説明する図である。
【
図7】サポートデバイスの効果例について説明する図である。
【
図8】第2実施形態のサポートデバイスの構成を例示した説明図である。
【
図9】第3実施形態のサポートデバイスの構成を例示した説明図である。
【
図10】第4実施形態のサポートデバイスの構成を例示した説明図である。
【
図11】第5実施形態のサポートデバイスの構成を例示した説明図である。
【
図12】第6実施形態のサポートデバイスの構成を例示した説明図である。
【
図13】第7実施形態のサポートデバイスの構成を例示した説明図である。
【
図15】第8実施形態のサポートデバイスの構成を例示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態のサポートデバイス1の構成を例示した説明図である。サポートデバイス1は、心臓の冠状動脈の狭窄、閉塞病変に対して、血管の内側から狭窄病変を拡張する手技(以降「PCI(経皮的冠動脈形成術)」とも呼ぶ)において、バルーンカテーテルを内側に収容して用いることで、バルーンカテーテルのバックアップ力を補うデバイスである。なお、PCIはあくまで一例であり、サポートデバイス1は、血管系、リンパ腺系、胆道系、尿路系、気道系、消化器官系、分泌腺及び生殖器官といった、生体管腔内に挿入して使用される医療用デバイスに対して、後からバックアップ力を付与したい場合の全般に使用可能である。
【0020】
図1に示すように、サポートデバイス1は、第1カテーテル2と、第2カテーテル3とを備えている。第1カテーテル2は、第1シャフト部210と、第1コイル体220とを備えている。
図1では、第1コイル体220の中心を通る線を軸線O2で表す。第2カテーテル3は、第2シャフト部310と、第2コイル体320とを備えている。
図1では、第2コイル体320の中心を通る軸を軸線O3で表す。なお、
図1上段の吹き出し内には、第1コイル体220を構成する素線221の斜視図を図示する。
【0021】
図1には、相互に直交するXYZ軸が図示されている。X軸は、第1カテーテル2及び第2カテーテル3の長手方向に対応し、Y軸は、第1カテーテル2及び第2カテーテル3の高さ方向に対応し、Z軸は、第1カテーテル2及び第2カテーテル3の幅方向に対応する。
図1の左側(-X軸方向)を第1カテーテル2、第2カテーテル3、及び各構成部材の「先端側」と呼び、
図1の右側(+X軸方向)を第1カテーテル2、第2カテーテル3、及び各構成部材の「基端側」と呼ぶ。第1カテーテル2、第2カテーテル3、及び各構成部材について、先端側に位置する端部を「先端」と呼び、先端及びその近傍を「先端部」と呼ぶ。また、基端側に位置する端部を「基端」と呼び、基端及びその近傍を「基端部」と呼ぶ。先端側は生体内部へ挿入され、基端側は医師等の術者により操作される。これらの点は、
図1以降においても共通する。
【0022】
第1カテーテル2の構成について説明する。第1シャフト部210は、第1カテーテル2の基端側に設けられた長尺状の外形を有する部材である。第1シャフト部210は、先端から基端まで略一定の外径を有する、中実の略円柱形状の部材である。なお、第1シャフト部210の全体、または、少なくとも一部分には、基端から先端に向かって外径が縮径した縮径部が設けられてもよい。第1シャフト部210の基端部は、術者によって把持されて操作される。第1シャフト部210の先端部は、第1コイル体220の基端部に固定されている。第1シャフト部210と第1コイル体220とは、融接、圧接、ろう接といった冶金的接合や、任意の接着剤を用いた接着剤接合を利用して固定できる。なお、第1シャフト部210の先端部は、第1コイル体220との接合面積を増やすために、偏平な形状に加工(例えばプレス加工等)されていてもよい。第1シャフト部210の外径及び長さは、任意に決定できる。
【0023】
図1に示すように、第1コイル体220は、第1シャフト部210の先端に設けられており、長尺状の外形を有している。本実施形態の第1コイル体220は、1本の素線221を単条に巻回して形成される単条コイルである。第1コイル体220は、先端228から基端229まで、一定のコイルピッチとされている。なお、本実施形態において「一定」とは、厳密に一定である場合に限らず、製造誤差等に起因したばらつきを許容する意味である。
図1上段の吹き出し内に示すように、素線221は、略矩形形状の横断面221cを有する平線である。素線221の横断面のうち、長手方向の長さL2Wを「素線221の太さL2W」とも呼ぶ。
図1に示すように、第1コイル体220は、螺旋状の間隙222を有している。この間隙222は、生体管腔内に挿入済の医療用デバイスを、第1コイル体220の内側に収容するために用いられる。詳細は後述する。また、第1コイル体220の内側は、医療用デバイスを挿通させるためのデバイスルーメン220Lとして機能する。
【0024】
第2カテーテル3の構成は、上述した第1カテーテル2の構成と同様である。具体的には、第2シャフト部310は、先端から基端まで略一定の外径を有する、中実の略円柱形状の部材である。第2シャフト部310の先端部は、第2コイル体320の基端部に固定されている。第2シャフト部310と第2コイル体320とは、融接、圧接、ろう接といった冶金的接合や、任意の接着剤を用いた接着剤接合を利用して固定できる。なお、第2シャフト部310の先端部は、偏平な形状に加工(例えばプレス加工等)されていてもよい。第2シャフト部310の外径及び長さは、任意に決定できる。
【0025】
図1に示すように、第2コイル体320は、第2シャフト部310の先端に設けられており、長尺状の外形を有している。本実施形態の第2コイル体320は、1本の素線321を単条に巻回して形成される単条コイルである。第2コイル体320は、先端328から基端329まで、一定のコイルピッチとされている。素線321は、略矩形形状の横断面を有する平線である。素線321の横断面のうち、長手方向の長さL3Wを「素線321の太さL3W」とも呼ぶ。
図1に示すように、第2コイル体320は、螺旋状の間隙322を有している。この間隙322は、生体管腔内に挿入済の医療用デバイスを、第2コイル体320の内側に収容するために用いられる。詳細は後述する。また、第2コイル体320の内側は、医療用デバイスを挿通させるためのデバイスルーメン320Lとして機能する。
【0026】
本実施形態において、第1カテーテル2の第1コイル体220の素線221の太さL2Wは、第2カテーテル3の第2コイル体320の、隣り合う素線321の間隙322の幅L3S以下である(L2W≦L3S)。また、第2カテーテル3の第2コイル体320の素線321の太さL3Wは、第1カテーテル2の第1コイル体220の、隣り合う素線221の間隙222の幅L2S以下である(L3W≦L2S)。なお、素線221の太さL2Wは、第1コイル体220の任意の箇所における、素線221の太さを意味する。また、素線221の間隙222の幅L2Sは、第1コイル体220の任意の箇所において、隣り合う素線221の間隙222の幅を意味する。同様に、素線321の太さL3Wは、第2コイル体320の任意の箇所における、素線321の太さを意味する。また、素線321の間隙322の幅L3Sは、第2コイル体320の任意の箇所において、隣り合う素線321の間隙322の幅を意味する。
【0027】
本実施形態において、第1カテーテル2の第1コイル体220の長手方向(X軸方向)の長さL2は、第2カテーテル3の第2コイル体320の長手方向(X軸方向)の長さL3と等しい(L2=L3)。また、第1コイル体220の外径Φ2は、第2コイル体320の外径Φ3と等しい(Φ2=Φ3)。ここで、第1コイル体220の長さL2は、第1コイル体220の先端228から基端229までの長さを意味する。同様に、第2コイル体320の長さL3は、第2コイル体320の先端328から基端329までの長さを意味する。なお、本実施形態において「等しい」及び「同一」とは、厳密に一致する場合に限らず、製造誤差等に起因した相違を許容する意味である。
【0028】
第1カテーテル2の第1シャフト部210と、第2カテーテル3の第2シャフト部310とは、抗血栓性、可撓性、生体適合性を有することが好ましく、例えば、SUS302、SUS304、SUS316等のステンレス合金、NiTi合金等の超弾性合金、ピアノ線、ニッケル-クロム系合金、コバルト合金等の放射線透過性合金、金、白金、タングステン、これらの元素を含む合金(例えば、白金-ニッケル合金)等の放射線不透過性合金で形成できる。第1シャフト部210及び第2シャフト部310は、例えば、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂材料により形成してもよい。
【0029】
第1カテーテル2の第1コイル体220の素線221、及び、第2カテーテル3の第2コイル体320の素線321は、抗血栓性、可撓性、生体適合性を有することが好ましく、例えば、SUS302、SUS304、SUS316等のステンレス合金、NiTi合金等の超弾性合金、ピアノ線、ニッケル-クロム系合金、コバルト合金等の放射線透過性合金、金、白金、タングステン、これらの元素を含む合金(例えば、白金-ニッケル合金)等の放射線不透過性合金で形成できる。
【0030】
図2は、冠状動脈91に対してバルーンカテーテル8を挿入する様子を示す図である。
図2では、大動脈90から延びた冠状動脈91と、冠状動脈91の第1枝92及び第2枝93を図示している。第2枝93の遠位部には、血管内腔が狭窄した狭窄部99が形成されている。以降、バルーンカテーテル8を用いて狭窄部99を拡張する手技(PCI)において、バルーンカテーテル8に対して、サポートデバイス1を用いて後からバックアップ力を付与する方法について説明する。
【0031】
まず、術者は、大動脈90から冠状動脈91の入口まで、ガイディングカテーテル9を挿入する。術者は、ガイドワイヤ7を、ガイディングカテーテル9の先端から第1枝92内に突出させて、ガイドワイヤ7を、第1枝92から第2枝93の遠位部まで押し進める。次に術者は、ガイドワイヤ7を内側に収容した状態のバルーンカテーテル8を、ガイドワイヤ7に沿わせて第1枝92から第2枝93へと押し進める。ここで、第1枝92と第2枝93との分岐部Bの形状や、第1枝92及び第2枝93の太さ等に起因して、バルーンカテーテル8の先端部が、分岐部Bの近傍でスタックしてしまい、バルーンカテーテル8の先端部を狭窄部99までデリバリできない場合がある(
図2)。
【0032】
図3及び
図4は、バルーンカテーテル8にサポートデバイス1を取り付ける様子を示す図である。
図3では、患者の体外に配置されているガイドワイヤ7及びバルーンカテーテル8の基端側の一部分と、第1カテーテル2の第1コイル体220の先端側の一部分とを図示する。同様に、
図4では、ガイドワイヤ7及びバルーンカテーテル8の基端側の一部分と、第1カテーテル2の第1コイル体220の先端側の一部分と、第2カテーテル3の第2コイル体320の先端側の一部分とを図示する。なお、
図4では、第1カテーテル2と第2カテーテル3とを区別するために、第2カテーテル3の第2コイル体320の表面に対して斜線ハッチングを付している。
図2で説明したように、バルーンカテーテル8が冠状動脈91の分岐部Bでスタックした場合、術者は、バルーンカテーテル8に対してサポートデバイス1を取り付ける。
【0033】
図3(A)及び
図3(B)には、バルーンカテーテル8に第1カテーテル2を取り付ける様子を示している。まず術者は、
図3(A)に示すように、患者の体外のガイドワイヤ7及びバルーンカテーテル8を把持して1つにまとめ、ガイドワイヤ7及びバルーンカテーテル8を、第1カテーテル2の第1コイル体220の間隙222に挿入する。この状態で、術者は、第1コイル体220の先端側を、ガイドワイヤ7及びバルーンカテーテル8に巻き付けるように回転させることで、ガイドワイヤ7及びバルーンカテーテル8の一部分を、螺旋状の間隙222から、第1コイル体220の内側(デバイスルーメン220L)に収容する。この際、第1コイル体220を少なくとも2回転させることで、ガイドワイヤ7及びバルーンカテーテル8の一部分を、第1コイル体220の少なくとも2ピッチ分の内側に収容する。これにより、第1コイル体220の軸方向と、ガイドワイヤ7及びバルーンカテーテル8の軸方向とを平行にできる。次に術者は、第1コイル体220を回転させて、第1コイル体220の先端部の内側にガイドワイヤ7及びバルーンカテーテル8の一部分が収容された状態とする。次に術者は、第1コイル体220を逆方向に回転させて、
図3(B)に示すように、ガイドワイヤ7及びバルーンカテーテル8の全体を、第1コイル体220の内側に収容する。
【0034】
図4(A)には、バルーンカテーテル8に第2カテーテル3を取り付ける様子を示している。術者は、
図4(A)に示すように、上述した第1カテーテル2と同様の手順によって、ガイドワイヤ7及びバルーンカテーテル8の全体を、第2カテーテル3の第2コイル体320の内側に収容する。
図4(B)及び
図4(C)には、第1カテーテル2と第2カテーテル3とで管状体4を構成する様子を示している。ガイドワイヤ7及びバルーンカテーテル8を、第1カテーテル2及び第2カテーテル3の内側にそれぞれ収容した後、術者は、第1カテーテル2の第1シャフト部210を把持して第1コイル体220を固定した状態で、第2カテーテル3の第2シャフト部310を把持して回転させる。そうすると、
図4(B)に示すように、第2カテーテル3の第2コイル体320が回転することで、第1カテーテル2の第1コイル体220の素線221間(すなわち間隙222)に、第2カテーテル3の第2コイル体320の素線321が嵌まり込む。
【0035】
術者は、
図4(C)に示すように、第1コイル体220の先端と、第2コイル体320の先端とが隣り合う位置となるまで、第2カテーテル3の回転を継続する。この結果、
図4(C)に示すように、第1カテーテル2の第1コイル体220と、第2カテーテル3の第2コイル体320とが略管状の管状体4を構成する。管状体4は、第1コイル体220の間隙222に第2コイル体320の素線321が嵌まり込み、かつ、第2コイル体320の間隙322に第1コイル体220の素線221が嵌まり込んだ管状である。この状態で、術者は、第1カテーテル2の第1シャフト部210と、第2カテーテル3の第2シャフト部310とを把持して、先端側に向かって押し込むことで、管状体4(具体的には、第1コイル体220及び第2コイル体320)の内側にガイドワイヤ7及びバルーンカテーテル8を収容した状態で、サポートデバイス1をデリバリできる。
【0036】
図5は、サポートデバイス1によるバックアップ力の付与について説明する図である。
図5では、
図2と同様に、大動脈90、冠状動脈91、第1枝92、第2枝93、及び狭窄部99を図示している。
図3及び
図4で説明した方法によってバルーンカテーテル8にサポートデバイス1(第1カテーテル2及び第2カテーテル3)を取り付けた後、術者は、第1カテーテル2の第1シャフト部210と、第2カテーテル3の第2シャフト部310とを先端側に向かって押し込むことで、ガイディングカテーテル9の内側において、サポートデバイス1をデリバリする。その後、術者は、サポートデバイス1の管状体4(具体的には、第1コイル体220及び第2コイル体320)の先端側を、ガイディングカテーテル9の先端から第1枝92内に突出させて、第1枝92と第2枝93との分岐部Bの近傍に配置する。この状態で、術者は、スタックしているバルーンカテーテル8を、第2枝93へと押し進める。ここで、バルーンカテーテル8の周囲は、サポートデバイス1の管状体4によって支えられているため、バルーンカテーテル8は、分岐部Bから第2枝93に向かって進行できる(
図5)。
【0037】
なお、術者は、サポートデバイス1を回転操作することで、管状体4(具体的には、第1コイル体220及び第2コイル体320)を回転させて、バルーンカテーテル8のスタックを解除してもよい。また、術者は、管状体4が第1枝92や第2枝93でスタックした場合には、サポートデバイス1を逆方向に回転操作することで、管状体4のスタックを解除してもよい。さらに術者は、バルーンカテーテル8に追従させて、サポートデバイス1の管状体4を、第2枝93の狭窄部99近傍まで押し進めてもよい。管状体4を狭窄部99の近傍まで押し進めれば、管状体4を用いて、バルーンカテーテル8の剛性が相対的に低い部分をサポートできる。また、バルーンカテーテル8を抜去して他の医療用デバイスを挿入する場合にも、管状体4によって狭窄部99までの経路が確保された状態とできる。このため、手技の効率化を図ることができる。なお、サポートデバイス1は、内視鏡下で用いられてもよい。
【0038】
図6及び
図7は、サポートデバイス1の効果例について説明する図である。本実施形態のサポートデバイス1は、血管内が閉塞物によって閉塞された慢性完全閉塞(CTO:Chronic Total Occlusion)の開通のための、reverse CARTテクニックにおいて、特に有用である。
図6及び
図7では、血管95と、血管95内を閉塞するCTO病変99aを図示している。
図6に示すように、順行性ワイヤ71と逆行性ワイヤ72とがいずれも、CTO病変99aを通過せずに偽腔FCa,FCbに迷入する場合がある。このような場合に、reverse CARTテクニックでは、順行性ワイヤ71を用いて順行性のバルーンカテーテル8をデリバリする。次に、
図7に示すように、バルーン81を拡張することで偽腔FCaを拡張し、拡張された偽腔FCaに逆行性ワイヤ72を導くことで、順行性ワイヤ71と逆行性ワイヤ72とを交差させて、CTO病変99aの開通を図る。本実施形態のサポートデバイス1では、このようなreverse CARTの手技の際に、順行性のバルーンカテーテル8が大きく湾曲した状態となっても、略管状の管状体4によって、バルーンカテーテル8がサポートデバイス1から外れることを抑制できる。
【0039】
以上説明した通り、第1実施形態のサポートデバイス1の第1カテーテル2は、長尺状の外形を有する第1コイル体220を備えているため、バルーンカテーテル8等の医療用デバイスが既に生体管腔内に挿入された状態であっても、第1コイル体220の素線221の間隙222を介して、医療用デバイスを第1コイル体220の内側(デバイスルーメン220L)に収容できる。同様に、サポートデバイス1の第2カテーテル3は、長尺状の外形を有する第2コイル体320を備えているため、第2コイル体320の素線321の間隙322を介して、医療用デバイスを素線321の内側(デバイスルーメン320L)に収容できる。また、第1実施形態のサポートデバイス1では、第1コイル体220の素線221間(すなわち間隙222)に、第2コイル体320の素線321が嵌まり込むことによって、第1コイル体220と第2コイル体320とが略管状をなす(
図4(C))。このため、例えば、サポートデバイス1が生体管腔の湾曲部や分岐部Bを通過する際に、サポートデバイス1が湾曲した場合であっても、第1コイル体220と第2コイル体320の内側に収容された医療用デバイスが、素線221,321の間隙222,322から外れることを抑制できる。すなわち、サポートデバイス1によれば、生体管腔内に挿入された医療用デバイスを抜去することなく、医療用デバイスに対してバックアップ力を付与することが可能なサポートデバイス1において、内側に収容された医療用デバイスが外れることを抑制できる。
【0040】
また、第1実施形態のサポートデバイス1では、第1コイル体220の素線221の太さL2Wは、第2コイル体320の隣り合う素線321の間隙322の幅L3S以下(
図1:L2W≦L3S)であり、第2コイル体320の素線321の太さL3Wは、第1コイル体220の隣り合う素線221の間隙222の幅L2S以下である(
図1:L3W≦L2S)。このため、
図4(B),(C)に示すように、第1コイル体220に第2コイル体320をねじ込むことで、スムーズに第1コイル体220と第2コイル体320とを略管状とできる。また、第1コイル体220は、第2コイル体320と長手方向の長さが等しい(
図1:L2=L3)。このため、第1及び第2コイル体220,320の全長を利用して、略管状の管状体4を形成できる。
【0041】
さらに、第1実施形態のサポートデバイス1では、第1コイル体220の素線221と、第2コイル体320の素線321とは共に、略矩形形状の横断面を有する平線である(
図1吹き出し)。このため、第1及び第2コイル体を丸線とする場合と比較して、第1コイル体220と第2コイル体320とで略管状を形成するための回転操作(すなわち、
図4(B)で説明した回転操作)を少なくできる。
【0042】
<第2実施形態>
図8は、第2実施形態のサポートデバイス1Aの構成を例示した説明図である。
図8では、第1カテーテル2の第1コイル体220と、第2カテーテル3の第2コイル体320とを組み合わせて、管状体4を構成した状態のサポートデバイス1を示す。また、
図8では、区別のために、第2カテーテル3の第2コイル体320の表面に対して斜線ハッチングを付すと共に、結束具5の表面に対してドットハッチングを付す。さらに、
図8下段の吹き出し内には、結束具5の拡大図を図示する。
【0043】
第2実施形態のサポートデバイス1Aは、第1実施形態で説明した構成に加えてさらに、結束具5を備える。
図8上段に示すように、結束具5は、組み合わせ後の第1カテーテル2の第1シャフト部210と、第2カテーテル3の第2シャフト部310とを束ねるために用いられる器具である。
図8下段に示すように、結束具5は、第1溝部51と、第2溝部52と、開放部53とを有している。第1溝部51は、第1シャフト部210を嵌合させるためのX軸方向に延びる溝である。第2溝部52は、第2シャフト部310を嵌合させるためのX軸方向に延びる溝である。
図8下段に示すように、第1溝部51と第2溝部52とは繋がっており、さらに、第2溝部52は開放部53を有している。この開放部53を±Y軸方向に押し広げることにより、開放部53を介して、第1シャフト部210及び第2シャフト部310を挿入できる。結束具5は、例えば、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアセタール、ポリエーテルサルフォン等の、周知の樹脂材料で形成できる。
【0044】
このように、サポートデバイス1Aの構成は種々の変更が可能であり、第1カテーテル2と第2カテーテル3とを束ねる結束具5を有していてもよい。結束具5は、
図8で例示した構成に限られず、種々の構成とできる。例えば、結束具5は、第1シャフト部210と第2シャフト部310との外周面を把持することが可能なクリップ構造であってもよく、第1シャフト部210と第2シャフト部310との外周面に巻回することが可能な弾性体の円環構造であってもよい。例えば、結束具5は、第1コイル体220と第2コイル体320とを束ねる構成としてもよい。例えば、結束具5は、第1カテーテル2及び第2カテーテル3の一部分として構成されてもよい。この場合、例えば、第1シャフト部210の一部分と、第2シャフト部310の一部分とが凹凸により係合する構造とし、当該凹凸係合構造を「結束具5」としてもよい。
【0045】
このような第2実施形態のサポートデバイス1Aによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第2実施形態のサポートデバイス1Aによれば、さらに、第1シャフト部210と第2シャフト部310を束ねる結束具5を備える。このため、第1コイル体220と第2コイル体320とで略管状(管状体4)を形成した状態で、結束具5を用いて第1及び第2シャフト部210,310を固定することで、略管状(管状体4)を容易に維持できる。この結果、第1及び第2コイル体220,320を組み合わせた後におけるサポートデバイス1の操作性を向上できる。
【0046】
<第3実施形態>
図9は、第3実施形態のサポートデバイス1Bの構成を例示した説明図である。第3実施形態のサポートデバイス1Bは、第1実施形態の構成において、第1カテーテル2に代えて第1カテーテル2Bを備え、第2カテーテル3に代えて第2カテーテル3Bを備える。なお、
図9では、第1コイル体220及び第2コイル体320のうち、先端側被覆部250及び基端側被覆部350に覆われた部分を、破線で図示する。
【0047】
第1カテーテル2Bは、第1実施形態の構成においてさらに、先端側被覆部250を備えている。先端側被覆部250は、第1コイル体220の先端228を含む、第1コイル体220の先端部を被覆する部材である。先端側被覆部250は、先端に先端側開口250aを有し、基端に基端側開口250bを有する略円筒形状(管状)であり、
図9に示すように、第1コイル体220の外周面を被覆している。先端側被覆部250の側面には、先端側開口250aと基端側開口250bとを結ぶと共に、先端側被覆部250の内外を連通するスリット251が設けられている。
図9に示すように、スリット251は、第1コイル体220の間隙222に沿って螺旋状に延びている。
【0048】
第2カテーテル3Bは、第1実施形態の構成においてさらに、基端側被覆部350を備えている。基端側被覆部350は、第2コイル体320の基端329を含む、第2コイル体320の基端部を被覆する部材である。基端側被覆部350は、先端に先端側開口350aを有し、基端に基端側開口350bを有する略円筒形状(管状)であり、第2コイル体320の外周面を被覆している。基端側被覆部350の側面には、先端側開口350aと基端側開口350bとを結ぶと共に、基端側被覆部350の内外を連通するスリット351が設けられている。
図9に示すように、スリット351は、第2コイル体320の間隙322に沿って螺旋状に延びている。
【0049】
このように、サポートデバイス1Bの構成は種々の変更が可能であり、第1カテーテル2Bや第2カテーテル3Bにおいて、第1及び第2コイル体220,320の長手方向の少なくとも一部の区間を覆う先端側被覆部250や、基端側被覆部350をさらに設けてもよい。このような第3実施形態のサポートデバイス1Bによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、上述した先端側被覆部250を設ければ、第1カテーテル2Bを単独で使用した場合であっても、内側に収容された医療用デバイスが、第1カテーテル2Bから外れることを抑制できる。さらに、基端側被覆部350を設ければ、生体管腔内に挿入されたサポートデバイス1に対して、後からバルーンカテーテル8を挿入する場合に、第2コイル体320の基端329とバルーンカテーテル8とが干渉することによって、バルーンカテーテル8が損傷することを抑制できる。
【0050】
<第4実施形態>
図10は、第4実施形態のサポートデバイス1Cの構成を例示した説明図である。第4実施形態のサポートデバイス1Cは、第1実施形態の構成において、第2カテーテル3に代えて第2カテーテル3Cを備える。第2カテーテル3Cは、第2コイル体320Cの長手方向の長さL3Cが、第1コイル体220の長手方向の長さL2よりも短い点を除いて、第1実施形態と同様の構成を有する(
図10:L2>L3C)。換言すれば、第1コイル体220と、第2コイル体320Cとは、長手方向の長さが異なる。
【0051】
このように、サポートデバイス1Cの構成は種々の変更が可能であり、第1コイル体220の長手方向の長さと、第2コイル体320Cの長手方向の長さとは、相違してもよい。このような第4実施形態のサポートデバイス1Cによっても、第2コイル体320Cがある区間(換言すれば、長さL3Cの区間)において、第1コイル体220と第2コイル体320Cとを組み合わせて略管状の管状体4を形成できるため、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、
図4(B)で説明した第2カテーテル3Cの回転量を調整すること、換言すれば、第1コイル体220に対して第2コイル体320Cを嵌め込む位置を調整することで、管状体4が形成される位置(長手方向、X軸方向の位置)を変更できる。例えば、
図4(C)で説明したように、第1コイル体220の先端部まで第2コイル体320Cを進めれば、サポートデバイス1の先端側に管状体4を形成できる。
【0052】
<第5実施形態>
図11は、第5実施形態のサポートデバイス1Dの構成を例示した説明図である。
図11上段の吹き出し内には、第1コイル体220Dを構成する素線221Dの斜視図を図示する。第5実施形態のサポートデバイス1Dは、第1実施形態の構成において、第1カテーテル2に代えて第1カテーテル2Dを備え、第2カテーテル3に代えて第2カテーテル3Dを備える。
【0053】
第1カテーテル2Dは、第1実施形態で説明した第1コイル体220に代えて第1コイル体220Dを備える。第1コイル体220Dは、1本の素線221Dを単条に巻回して形成される単条コイルである。
図11上段の吹き出し内に示すように、素線221Dは、略円形状の横断面221cを有する丸線である。素線221Dの径L2Wは「素線221の太さL2W」に相当する。第2カテーテル3Dは、第1実施形態で説明した第2コイル体320に代えて第2コイル体320Dを備える。第2コイル体320Dは、第1コイル体220Dと同様に、1本の丸線321Dを単条に巻回して形成される単条コイルである。第1実施形態と同様に、第1コイル体220Dの素線221Dの太さL2Wは、第2コイル体320Dの隣り合う素線321Dの間隙322の幅L3S以下である(L2W≦L3S)。また、第2コイル体320Dの素線321Dの太さL3Wは、第1コイル体220Dの隣り合う素線221Dの間隙222の幅L2S以下である(L3W≦L2S)。
【0054】
このように、サポートデバイス1Dの構成は種々の変更が可能であり、略円形状の横断面を有する丸線221D,321Dを用いて、第1コイル体220Dや第2コイル体320Dが構成されていてもよい。また、第1コイル体220Dや第2コイル体320Dは、楕円形状の横断面を有する素線や、多角形状の横断面を有する素線等を用いて形成されていてもよい。このような第5実施形態のサポートデバイス1Dによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0055】
<第6実施形態>
図12は、第6実施形態のサポートデバイス1Eの構成を例示した説明図である。
図12上段の吹き出し内には、第1コイル体220Eを構成する素線221Eの斜視図を図示する。第6実施形態のサポートデバイス1Eは、第1実施形態の構成において、第1カテーテル2に代えて第1カテーテル2Eを備え、第2カテーテル3に代えて第2カテーテル3Eを備える。
【0056】
第1カテーテル2Eは、第1実施形態で説明した第1コイル体220に代えて第1コイル体220Eを備える。第1コイル体220Eは、複数本(図示の例では5本)の素線2211を多条に巻回して形成された多条コイルである。各素線2211は、略円形状の横断面221cを有する丸線である。各素線2211は、平板状に束ねられている。素線2211の束を「素線221E」とも呼ぶ。素線221Eの長手方向の長さL2Wは「素線221Eの太さL2W」に相当する。
【0057】
このような第1コイル体220Eは、例えば、次のようにして作製できる。まず、長尺な芯金から径方向外側に所定距離だけ離間した位置において、素線2211が別々に巻回された複数のボビンを、芯金の周方向に沿って所定間隔で配置する。次に、芯金をその軸方向に移動させながら、複数のボビンを芯金の周方向に沿って回転させることによって、複数のボビンそれぞれから引き出した素線2211を芯金に巻回していく。このとき、例えば、複数のボビンの回転速度を所定期間毎に2段階で変化させることによって、螺旋状の間隙222を有する第1コイル体220Eを作製できる。なお、複数のボビンの回転速度を変化させることに代えて、芯金の移動速度を所定期間毎に2段階で変化させてもよい。また、例えば、複数のボビンの一部を空(ボビンに素線2211がセットされていない状態)にすることで、螺旋状の間隙222を形成してもよい。巻回された素線2211同士は、形状維持及びトルク伝達性向上のために、例えばレーザ溶接等によって互いに接合されていてもよい。第1コイル体220の外径、内径、及び長さと、素線2211の巻き方向とは、任意に決定できる。
【0058】
第2カテーテル3Eは、第1実施形態で説明した第2コイル体320に代えて第2コイル体320Eを備える。第2コイル体320Eは、第1コイル体220Eと同様に、複数本(図示の例では5本)の素線を多条に巻回して形成された多条コイルである。以降、平板状に束ねられた素線の束を「素線321E」とも呼ぶ。素線321Eの長手方向の長さL3Wは「素線321Eの太さL3W」に相当する。第1実施形態と同様に、第1コイル体220Eの素線221Eの太さL2Wは、第2コイル体320Eの隣り合う素線321Eの間隙322の幅L3S以下である(L2W≦L3S)。また、第2コイル体320Eの素線321Eの太さL3Wは、第1コイル体220Eの隣り合う素線221Eの間隙222の幅L2S以下である(L3W≦L2S)。
【0059】
このように、サポートデバイス1Eの構成は種々の変更が可能であり、第1コイル体220Eや第2コイル体320Eは、複数本の素線を多条に巻回して形成された多条コイルとされてもよい。
図12の例では、平板状に束ねられた素線の束221E,321Eを例示したが、複数本の素線が円筒形状や、円柱形状や、他角柱状に束ねられていてもよい。このような第6実施形態のサポートデバイス1Eによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第6実施形態のサポートデバイス1Eでは、複数本の素線の束221E,321Eを用いて第1コイル体220Eや第2コイル体320Eが形成されているため、第1カテーテル2E及び第2カテーテル3Eのトルク伝達性を向上できる。
【0060】
<第7実施形態>
図13は、第7実施形態のサポートデバイス1Fの構成を例示した説明図である。第7実施形態のサポートデバイス1Fは、第1実施形態の構成において、第1カテーテル2に代えて第1カテーテル2Fを備え、第2カテーテル3に代えて第2カテーテル3Fを備える。第1カテーテル2Fは、第1シャフト部210に代えて第1シャフト部210Fを備える。第2カテーテル3Fについても同様に、第2シャフト部310に代えて第2シャフト部310Fを備える。
【0061】
第1シャフト部210Fは、本体部211と、把持部230とを有している。本体部211は、長手方向(X軸方向)に沿って延びており、先端から基端まで略一定の外径を有する、中空の略円筒形状の部材である。本体部211の先端部には、把持部230の湾曲部232が挿入された状態で、固定されている。本体部211と把持部230とは、融接、圧接、ろう接といった冶金的接合や、任意の接着剤を用いた接着剤接合を利用して固定できる。また、本体部211は、中実の略円柱形状であってもよい。この場合、本体部211の外周面に対して、把持部230の湾曲部232が接合されてもよい。本体部211の外径及び長さは、任意に決定できる。
【0062】
図14は、把持部230の構成を例示した説明図である。
図14(A)は、
図13と同じ方向から見た把持部230の構成を示す。
図14(B)は、
図13の+Y方向から見た把持部230の構成を示す。把持部230は、本体部211と第1コイル体220との間であって、本体部211の先端部に設けられた部材である。把持部230は、把持体231と、湾曲部232とを有している。把持体231は、第1カテーテル2Fの長手方向(X軸方向)に沿って延びる一対の板状の部分である。
図14(A)に示すように、把持体231は、間隙230aの方向(白抜き矢印の方向)に向かってそれぞれ付勢されている。湾曲部232は、一の把持体231と他の把持体231とを接続すると共に、湾曲形状とされた部分である。把持部230は、間隙230aに差し込まれた第1コイル体220を把持する。具体的には、
図13に示すように、第1コイル体220の外周面側と内周面側との両側から、把持体231によって第1コイル体220を挟み込むことにより、第1コイル体220を把持する。なお、把持部230のX軸方向及びZ軸方向の長さは、任意に決定できる。
【0063】
第2シャフト部310Fは、本体部311と、把持部330とを有している。本体部311の構成は本体部211と同様であり、把持部330の構成は把持部230と同様である。本体部211及び本体部311は、上述した第1シャフト部210と同様の材料により形成できる。把持部230及び把持部330は、抗血栓性、可撓性、生体適合性を有することが好ましく、例えば、SUS302,SUS304、SUS316等のステンレス合金、NiTi合金等の超弾性合金、ピアノ線、ニッケル-クロム系合金、コバルト合金等の放射線透過性合金、金、白金、タングステン、これらの元素を含む合金(例えば、白金-ニッケル合金)等の放射線不透過性合金で形成できる。
【0064】
このように、第1シャフト部210F及び第2シャフト部310Fの構成は種々の変更が可能である。このような第7実施形態のサポートデバイス1Fによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第7実施形態のサポートデバイス1Fによれば、第1カテーテル2Fの第1シャフト部210Fは、第1コイル体220の外周面側と内周面側との両側から第1コイル体220を挟み込んで第1コイル体220を把持する把持部230を備える(
図13)。このため、第1コイル体220と本体部211とを単に接合する場合と比較して、簡単な構造で、第1コイル体220と第1シャフト部210Fとを確実に固定できる。第2カテーテル3Fについても同様に、把持部330を備えるため、第2コイル体320と本体部311とを単に接合する場合と比較して、簡単な構造で、第2コイル体320と第2シャフト部310Fとを確実に固定できる。
【0065】
<第8実施形態>
図15は、第8実施形態のサポートデバイス1Gの構成を例示した説明図である。
図15では、図示の便宜上、第1カテーテル2Gのみを図示し、第2カテーテル3の図示を省略している。また、
図15上段吹き出し内には、第1シャフト部210Gの斜視図を図示する。第8実施形態のサポートデバイス1Gは、第1実施形態の構成において、第1カテーテル2に代えて第1カテーテル2Gを備える。
【0066】
第1カテーテル2Gは、第1シャフト部210に代えて第1シャフト部210Gを備える。
図15上段に示すように、第1シャフト部210Gの先端部には、円環形状の接続部212が設けられている。本実施形態では、第1シャフト部210Gのうち、接続部212よりも基端側に設けられた略円柱形状の部分を「本体部」とも呼ぶ。
図15下段に示すように、第1シャフト部210Gは、接続部212が第1コイル体220の基端部の外周面を覆うように配置された状態で、第1コイル体220に固定される。第1シャフト部210Gと第1コイル体220とは、融接、圧接、ろう接といった冶金的接合や、任意の接着剤を用いた接着剤接合を利用して固定できる。
【0067】
このように、サポートデバイス1Gの構成は種々の変更が可能であり、環形状の接続部212を介して、第1シャフト部210Gと第1コイル体220とが固定されてもよい。第2カテーテル3についても同様に、環形状の接続部を介して、第2シャフト部310と第2コイル体320とが固定されてもよい。このような第8実施形態のサポートデバイス1Gによっても、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第8実施形態のサポートデバイス1Gによれば、第1シャフト部210Gは、第1シャフト部210Gの本体部の先端部に設けられ、第1コイル体220の基端部の外周面を覆う環形状の接続部212を備える。このため、接続部212において第1コイル体220と第1シャフト部210Gとを接合することで、第1コイル体220と第1シャフト部210Gとの接合面積を増やすことができるため、第1コイル体220と第1シャフト部210Gとを単に接合する場合と比較して、第1コイル体220と第1シャフト部210Gとの接合強度を向上できる。
【0068】
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0069】
[変形例1]
上記第1~8実施形態では、サポートデバイス1,1A~1Gの構成を例示した。しかし、サポートデバイス1の構成は種々の変更が可能である。例えば、第7実施形態において、本体部211と把持部230、及び/または、本体部311と把持部330とは、一体的に形成されていてもよい。例えば、第1コイル体220の先端部、及び/または、第2コイル体320の先端部には、放射線不透過性を有するマーカー部が設けられてもよい。例えば、第1シャフト部210の基端部、及び/または、第2シャフト部310の基端部には、術者がサポートデバイス1を把持するためのコネクタが設けられてもよい。例えば、第1カテーテル2、及び/または、第2カテーテル3のうち、少なくとも一部の部材の表面には、親水性樹脂または疎水性樹脂を用いたコーティングがされていてもよい。
【0070】
例えば、第1カテーテル2において、第1コイル体220の素線221の太さL2Wは、第2コイル体320の隣り合う素線321の間隙322の幅L3Sより大きくてもよい(L2W>L3S)。また、第2カテーテル3において、第2コイル体320の素線321の太さL3Wは、第1コイル体220の隣り合う素線221の間隙222の幅L2Sより大きくてもよい(L3W>L2S)。また、第1カテーテル2の第1コイル体220の外径Φ2は、第2カテーテル3の第2コイル体320の外径Φ3と相違してもよい(Φ2≠Φ3)。
【0071】
[変形例2]
上記第1~8実施形態のサポートデバイス1,1A~1Gの構成、及び上記変形例1の各構成は、適宜組み合わせてもよい。例えば、第3~第8実施形態で説明した構成を有するサポートデバイス1において、第2実施形態で説明した結束具5を採用してもよい。例えば、第3~第6実施形態のいずれかで説明した第1及び第2コイル体220,320と、第7,8実施形態のいずれかで説明した第1シャフト部210,310とを組み合わせてサポートデバイス1を構成してもよい。
【0072】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【符号の説明】
【0073】
1,1A~1G…サポートデバイス
2,2B,2D~2G…第1カテーテル
3,3B~3F…第2カテーテル
4…管状体
5…結束具
7…ガイドワイヤ
71…順行性ワイヤ
72…逆行性ワイヤ
8…バルーンカテーテル
9…ガイディングカテーテル
51…第1溝部
52…第2溝部
53…開放部
90…大動脈
91…冠状動脈
92…第1枝
93…第2枝
95…血管
99…狭窄部
99a…CTO
210,210F,210G…第1シャフト部
211…本体部
212…接続部
220,220D,220E…第1コイル体
221,221D,221E…素線
222…間隙
230…把持部
231…把持体
232…湾曲部
250…先端側被覆部
251…スリット
310,310F…第2シャフト部
311…本体部
320,320C~320E…第2コイル体
321,321D,321E…素線
322…間隙
330…把持部
331…把持体
332…湾曲部
350…基端側被覆部
351…スリット
2211…素線