IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝電機サービス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電磁操作機構 図1
  • 特開-電磁操作機構 図2
  • 特開-電磁操作機構 図3
  • 特開-電磁操作機構 図4
  • 特開-電磁操作機構 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020169
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】電磁操作機構
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/38 20060101AFI20230202BHJP
   H01H 3/28 20060101ALI20230202BHJP
   H01H 33/666 20060101ALI20230202BHJP
   H01F 7/16 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
H01H33/38 A
H01H3/28 A
H01H33/666 P
H01F7/16 N
H01F7/16 D
H01F7/16 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021125400
(22)【出願日】2021-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 芳充
(72)【発明者】
【氏名】大坊 昂
(72)【発明者】
【氏名】野田 岳志
【テーマコード(参考)】
5E048
5G028
【Fターム(参考)】
5E048AA08
5E048AB10
5E048AD02
5G028AA05
5G028AA08
5G028DB09
(57)【要約】
【課題】機械的強度を一定に維持しつつ、磁束変動状態時の磁束を効率的に透過させる表面積の大きな磁路と、磁束安定状態時の磁束を効率的に透過させる断面積の大きな磁路とを兼ね備えた小型で軽量の電磁操作機構を提供する。
【解決手段】複数の磁路を有し、磁路に磁束を透過させることで、一対の電極5a,5bを離接させる電磁操作機構3であって、複数の磁路は、一対の電極を離接させているときに変動する磁束が透過するように、表面積が拡大された表面積拡大磁路を含んで構成され、表面積拡大磁路の表面積は、複数の磁路の中で最も大きく設定されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の磁路を有し、前記磁路に磁束を透過させることで、一対の電極を離接させる電磁操作機構であって、
複数の前記磁路は、一対の前記電極を離接させているときに変動する前記磁束が透過するように、表面積が拡大された表面積拡大磁路を含んで構成され、
前記表面積拡大磁路の表面積は、複数の前記磁路の中で最も大きく設定されている電磁操作機構。
【請求項2】
一対の前記電極を離接させているときに変動する前記磁束は、前記表面積拡大磁路の表面を透過する請求項1に記載の電磁操作機構。
【請求項3】
一対の前記電極を離接させているとき、前記表面積拡大磁路の前記表面の磁気抵抗は、前記電磁操作機構の中で最も低くなっている請求項2に記載の電磁操作機構。
【請求項4】
複数の前記磁路は、一対の前記電極が相互に接触したときに安定する前記磁束が透過するように、複数の前記磁路の全体の断面積を拡大させる断面積拡大磁路を含んで構成されている請求項1に記載の電磁操作機構。
【請求項5】
一対の前記電極が相互に接触したときに安定する前記磁束は、前記断面積拡大磁路を含んだ複数の前記磁路の全体の内部を透過する請求項4に記載の電磁操作機構。
【請求項6】
前記表面積拡大磁路と、前記断面積拡大磁路とは、互いに平行に並んで配置されている請求項4に記載の電磁操作機構。
【請求項7】
一対の前記電極を離接させるヨーク及びアーマチャを有し、
前記表面積拡大磁路及び前記断面積拡大磁路は、前記ヨーク及び前記アーマチャの一方又は双方に設けられ、
前記ヨークにおいて、前記断面積拡大磁路は、前記表面積拡大磁路の外側に配置されている請求項6に記載の電磁操作機構。
【請求項8】
前記表面積拡大磁路は、中空構造を成し、
前記断面積拡大磁路は、中実構造を成し、かつ、前記表面積拡大磁路を囲むように複数箇所に亘って設けられている請求項7に記載の電磁操作機構。
【請求項9】
一対の前記電極を離接させるヨーク及びアーマチャを有し、
前記表面積拡大磁路及び前記断面積拡大磁路は、前記ヨーク及び前記アーマチャの一方又は双方に設けられ、
前記アーマチャにおいて、前記断面積拡大磁路は、前記表面積拡大磁路の内側に配置されている請求項6に記載の電磁操作機構。
【請求項10】
前記表面積拡大磁路及び前記断面積拡大磁路は、それぞれ、中空構造を成し、
前記断面積拡大磁路は、前記表面積拡大磁路の内側に隣接させて設けられている請求項9に記載の電磁操作機構。
【請求項11】
前記表面積拡大磁路及び前記断面積拡大磁路は、互いに、同一の材料或いは異なる材料で構成されている請求項6に記載の電磁操作機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、電磁操作機構に関する。
【背景技術】
【0002】
ビルや大型施設に設けられる受配電用の開閉装置として、例えば、遮断器や断路器などの開閉器を具備したスイッチギヤが知られている。スイッチギヤには、開閉器の構成要素として真空バルブが適用され、真空バルブによって事故電流の遮断や負荷電流の開閉を行うことで、当該スイッチギヤから電力が安定して供給される。
【0003】
真空バルブは、離接可能な一対の電極を有し、これらの電極は、電磁操作機構によって離接(開閉)操作される。電磁操作機構は、ヨークの内部に、例えば、開路コイル、閉路コイル、永久磁石、アーマチャなどを備えて構成されている。ヨーク及びアーマチャは、空気よりも透磁率の高い材料(例えば、鉄、電磁鋼板)で構成されている。この構成によれば、コイルに通電して磁束を発生させ、その際に得られる磁力によって一対の電極を離接(開閉)させる。
【0004】
例えば、開路した電極を閉路させる場合、閉路コイルに通電して永久磁石と同じ向きの磁束を発生させ、電極同士を接触させる方向にアーマチャを変位させる。そして、開路ばねの付勢力に抗して、アーマチャとヨークとが相互に接触したとき、閉路コイルの通電を停止する。このとき、永久磁石の磁束が、アーマチャとヨークを介して閉ループを形成する。これにより、アーマチャとヨークとの間に、アーマチャをヨークに吸引させる方向への磁力が生じる。この結果、アーマチャとヨークとは、互いに密着した状態に維持される。かくして、一対の電極が、相互に接触した閉路状態に保持される。
【0005】
これに対して、閉路した電極を開路させる場合、開路コイルに通電して永久磁石と逆向きの磁束を発生させ、電極同士を離間させる方向にアーマチャを変位させる。このとき、アーマチャをヨークに吸引させる方向への永久磁石の磁力が低下する。そして、当該磁力が開路ばねの付勢力を下回ったとき、開路ばねの付勢力によって、アーマチャがヨークから離間する。かくして、一対の電極が、相互に離間した開路状態に保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-029222号公報
【特許文献2】特開2019-102124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、一対の電極を離接(開閉)させているとき(即ち、開路コイル又は閉路コイルへの通電を行うことで磁束が変動している磁束変動状態時)、当該コイルから発生した磁束は、表皮効果によって、アーマチャ及びヨークの表面のみを透過し、当該アーマチャ及びヨークの内部は透過しない。
【0008】
これに対して、一対の電極が相互に接触したとき(即ち、開路コイル又は閉路コイルへの通電を停止することで磁束が変動せずに安定している磁束安定状態時)、永久磁石から発生した磁束は、アーマチャ及びヨークの内部を透過する。
【0009】
ここで、磁束変動状態時に発生した磁束(即ち、変動している磁束)を効率的に透過させるためには、表面積の大きな磁路が有効であると共に、磁束安定状態時に発生した磁束(即ち、変動せずに安定している磁束)を効率的に透過させるためには、断面積の大きな磁路が有効である。
【0010】
しかし、アーマチャ及びヨークの一方又は双方に対して、表面積の大きな磁路を構成しようとすると、その分だけ電磁操作機構が大型化してしまうと共に、断面積の大きな磁路を構成しようとすると、その分だけ電磁操作機構が重量化してしまう。
【0011】
この場合、アーマチャ及びヨークの一方又は双方に対して、小型化並びに軽量化を図りつつ表面積を大きくした磁路を構成しようとすると、電磁操作機構の機械的強度を一定に維持することが困難になってしまう。機械的強度を一定に維持するためには、磁路の断面積を大きくする必要があるが、そうすると、電磁操作機構の重量化は避けられない。
【0012】
本発明の目的は、機械的強度を一定に維持しつつ、磁束変動状態時の磁束を効率的に透過させる表面積の大きな磁路と、磁束安定状態時の磁束を効率的に透過させる断面積の大きな磁路とを兼ね備えた小型で軽量の電磁操作機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
実施形態によれば、複数の磁路を有し、磁路に磁束を透過させることで、一対の電極を離接させる電磁操作機構であって、複数の磁路は、一対の電極を離接させているときに変動する磁束が透過するように、表面積が拡大された表面積拡大磁路を含んで構成され、表面積拡大磁路の表面積は、複数の磁路の中で最も大きく設定されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態に係る電磁操作機構の開路状態における内部構成を示す断面図。
図2図1に示す電磁操作機構の閉路状態を示す断面図。
図3図1のF3-F3線に沿う断面図。
図4】変形例に係る電磁操作機構の内部構成を示す断面図。
図5図4のF5-F5線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
「一実施形態」
図1及び図2には、スイッチギヤの開閉器1(例えば、遮断器、断路器)に適用された真空バルブ2の開閉操作を行う電磁操作機構3が示され、図1は開路状態図、図2は閉路状態図である。図1及び図2の例において、開閉器1は、真空バルブ2と、連結機構4と、電磁操作機構3と、を有している。真空バルブ2と電磁操作機構3とは、連結機構4によって相互に連結されている。
【0016】
図1及び図2に示すように、真空バルブ2は、離接可能な一対の電極(固定電極5a、可動電極5b)と、これらの電極5a,5bを収容する絶縁容器6と、を有している。一対の電極5a,5bは、例えば、銅、アルミニウム、クロムなどの導電材で構成されている。絶縁容器6は、絶縁材(例えば、セラミック)で筒状に構成されている。
【0017】
固定電極5aは、開閉器1に固定された固定通電軸7aに接続されている。可動電極5bは、固定電極5aに対向するように可動通電軸7bに接続されている。固定通電軸7a及び可動通電軸7bは、例えば、銅、アルミニウム、クロムなどの導電材で構成されている。可動通電軸7bは、連結機構4(後述する支持軸11)に連結されている。
【0018】
連結機構4は、フォルダ8と、ワイプばね9と、支持体10と、支持軸11と、開路ばね12と、連結軸13と、を有している。
【0019】
フォルダ8内には、収容部8pが設けられ、この収容部8pに、ワイプばね9及び支持体10が収容されている。ワイプばね9は、例えば、圧縮コイルばねで構成され、その一端が収容部8pに固定され、その他端が支持体10に固定されている。
【0020】
支持体10は、常に、ワイプばね9の付勢力が作用し、フォルダ8のフランジ部8fに対して弾性的に当接した状態に維持されている。支持体10には、ワイプばね9の付勢方向に沿って延出した支持軸11が連結され、支持軸11の延出端に、上記した可動通電軸7bが連結されている。
【0021】
フォルダ8には、フランジ部8fの反対側に、連結軸13が接続され、連結軸13は、電磁操作機構3(後述する操作軸16)に連結されている。なお、連結軸13には、開路ばね12(例えば、圧縮コイルばね)を支持する台座部13pが設けられている。これにより、例えば、閉路した電極を開路させる際に、開路ばね12の付勢力を、台座部13pから連結軸13を介して電磁操作機構3(後述する操作軸16)に作用させることができる。
【0022】
電磁操作機構3は、ヨーク14と、アーマチャ15と、操作軸16と、永久磁石17と、コイル(閉路コイル18a、開路コイル18b)と、を有している。ヨーク14並びにアーマチャ15は、空気よりも透磁率の高い材料(例えば、軟鉄、鉄、電磁鋼板)で構成されている。
【0023】
図1及び図2の例において、永久磁石17と閉路コイル18aと開路コイル18bは、ヨーク14に支持されている。ヨーク14には、真っ直ぐに延在した1本の操作軸16が往復動可能に挿通されている。永久磁石17は、操作軸16を囲むように配置され、閉路コイル18aと開路コイル18bは、永久磁石17を囲むように配置されている。閉路コイル18aと開路コイル18bは、操作軸16の往復動方向に沿って互いに整列して配置されている。
【0024】
操作軸16の一端側には、上記した連結機構4の連結軸13が連結され、操作軸16の他端側には、アーマチャ15が連結されている。アーマチャ15は、軸支部15pと、フランジ部15fと、を備えている。軸支部15pは、操作軸16を堅牢に支持している。フランジ部15fは、軸支部15pから操作軸16に直交する方向に沿って、例えば放射状に突出している。なお、操作軸16が連結されたアーマチャ15は、図示しないストッパによって移動範囲が規制され、ヨーク14からの脱落防止が図られている。
【0025】
上記したような構成によれば、図1及び図2に示すように、アーマチャ15を往復動させると、このときの往復運動が操作軸16から連結軸13を介して連結機構4に伝達され、連結機構4を往復動させる。これにより、支持体10(支持軸11)に連結された可動通電軸7bを動作させる。この結果、可動電極5bを固定電極5aに対して離接(開閉)操作することができる。
【0026】
例えば、開路した電極5a,5bを閉路させる場合、閉路コイル18aに通電して永久磁石17と同じ向きの磁束を発生させ、電極5a,5b同士を接触させる方向にアーマチャ15を変位させる。そして、開路ばね12の付勢力に抗して、アーマチャ15とヨークと14が相互に接触したとき、閉路コイル18aの通電を停止する。
【0027】
このとき、永久磁石17の磁束が、アーマチャ15とヨーク14を介して閉ループを形成する。これにより、アーマチャ15とヨーク14との間に、アーマチャ15をヨーク14に吸引させる方向への磁力が生じる。この結果、アーマチャ15とヨーク14とは、互いに密着した状態に維持される。かくして、一対の電極5a,5bが、相互に接触した閉路状態に保持される(図2参照)。
【0028】
これに対して、閉路した電極5a,5bを開路させる場合、開路コイル18bに通電して永久磁石17と逆向きの磁束を発生させ、電極5a,5b同士を離間させる方向にアーマチャ15を変位させる。このとき、アーマチャ15をヨーク14に吸引させる方向への永久磁石17の磁力が低下する。
【0029】
そして、このときの磁力が開路ばね12の付勢力を下回ったとき、開路ばね12の付勢力によって、アーマチャ15がヨーク14から離間する。かくして、一対の電極5a,5bが、相互に離間した開路状態に保持される(図1参照)。
【0030】
ところで、上記した電磁操作機構3(ヨーク14、アーマチャ15)は、特に参照符号は付さないが、複数の磁路を有し、これらの磁路に磁束を透過させることで、一対の電極5a,5bが離接(開閉)されている。
【0031】
この場合、一対の電極5a,5bを離接(開閉)させているときは、各コイル18a,18bへの通電が行われることで、当該コイル18a,18bから発生した磁束は、変動した状態でヨーク14及びアーマチャ15の表面のみを透過する。このような磁束変動状態時の磁束を効率的に透過させるためには、表面積の大きな磁路が有効である。
【0032】
更に、一対の電極が相互に接触したときは、各コイル18a,18bへの通電が停止されることで、永久磁石17から発生した磁束は、変動せずに安定した状態でヨーク14及びアーマチャ15の内部を透過する。このような磁束安定状態時の磁束を効率的に透過させるためには、断面積の大きな磁路が有効である。
【0033】
そこで、電磁操作機構3には、表面積の大きな磁路と、断面積の大きな磁路とが併設されている。表面積の大きな磁路は、一対の電極5a,5bを離接(開閉)させているときに変動する磁束(即ち、コイル18a,18bからの磁束)が透過するように、表面積が拡大された表面積拡大磁路を含んで構成されている。更に、断面積の大きな磁路は、一対の電極5a,5bが相互に接触したときに安定する磁束(即ち、永久磁石17からの磁束)が透過するように、複数の磁路の全体の断面積を拡大させる断面積拡大磁路を含んで構成されている。
【0034】
表面積拡大磁路及び断面積拡大磁路は、ヨーク14及びアーマチャ15の一方又は双方に設けることができる。図1及び図2の例において、表面積拡大磁路及び断面積拡大磁路は、共に、ヨーク14に設けられている。
【0035】
ヨーク14には、表面積拡大磁路として、中空構造を成す表面積拡大ヨーク14aが併設され、断面積拡大磁路として、中実構造を成す断面積拡大ヨーク14bが併設されている。表面積拡大ヨーク14aと断面積拡大ヨーク14bとは、互いに平行に並んで配置されている。なお、表面積拡大ヨーク14a及び断面積拡大ヨーク14bは、それぞれ、ヨーク14と一体的に成形してもよいし、或いは、別体で成形してヨーク14に後付けしてもよい。
【0036】
表面積拡大ヨーク14aは、閉路コイル18a及び開路コイル18bからアーマチャ15までの領域を囲むように配置されている。表面積拡大磁路14aの表面積は、ヨーク14及びアーマチャ15を含めた複数の磁路の中で最も大きく設定されている。
【0037】
ここで、表面積拡大ヨーク14aの構成としては、例えば、中空円筒状に成形した単体部材を適用してもよいし、或いは、薄板を中空に丸めた積層部材を適用してもよい。積層構造にすることで、表面積を増加させることができる。
【0038】
このような表面積拡大ヨーク14aによれば、一対の電極5a,5bを離接(開閉)させているとき、表面積拡大ヨーク14aの表面14sの磁気抵抗は、電磁操作機構3(ヨーク14、アーマチャ15)の中で最も低くなっている。これにより、一対の電極5a,5bを離接(開閉)させているときに変動する磁束(コイル18a,18bからの磁束)が、表面積拡大ヨーク14aの表面14sを透過し易くなっている。
【0039】
更に、断面積拡大ヨーク14bは、表面積拡大ヨーク14aの外側に配置されている。断面積拡大ヨーク14bは、表面積拡大ヨーク14aを囲むように複数箇所に亘って設けられている。
【0040】
図3は、断面積拡大ヨーク14bの配置構成図である。図3の例において、表面積拡大ヨーク14aは、上記した操作軸16を同中心とした中空の円筒形状を成している。断面積拡大ヨーク14bは、中実の円柱形状を成し、表面積拡大ヨーク14aの外側の4箇所に亘って同心状に配置されている。
【0041】
ここで、断面積拡大ヨーク14bの形状としては、円柱に代えて、例えば、四角柱、三角柱など各種の形状を適用することができる。また、断面積拡大ヨーク14bの配置個数としては、4箇所に代えて、例えば、3箇所、或いは、5箇所以上に設定してもよい。
【0042】
このような中実構造の断面積拡大ヨーク14bによれば、例えば電磁操作機構3のサイズや用途に応じて、当該断面積拡大ヨーク14bの太さを調整することができる。これにより、電磁操作機構3における所望の機械的強度を確保することができる。加えて、一対の電極5a,5bが相互に接触したときに安定する磁束(永久磁石17からの磁束)が、断面積拡大ヨーク14b並びに表面積拡大ヨーク14aを含んだヨーク14全体の内部を透過し易くなっている。
【0043】
以上、本実施形態によれば、中空構造を成す表面積拡大ヨーク14aと、中実構造を成す断面積拡大ヨーク14bとを併設させたことで、断面積拡大ヨーク14bによって電磁操作機構3の機械的強度を一定に維持しつつ、磁束変動状態時及び磁束安定状態時の磁束を効率よく透過させることが可能な小型で軽量の電磁操作機構を実現することができる。これにより、一対の電極5a,5bを離接(開閉)させているときに変動する磁束は、電気抵抗が低くなっている表面積拡大ヨーク14aの表面14sを効率的に透過させることができる。更に、一対の電極5a,5bが相互に接触したときに安定する磁束は、断面積拡大ヨーク14bを併設してヨーク14全体の断面積を増加させたことで電気抵抗が低くなっているヨーク14全体の内部を効率的に透過させることができる。
【0044】
本実施形態によれば、表面積拡大ヨーク14aは、閉路コイル18a及び開路コイル18bからアーマチャ15までの領域を囲むように配置されている。これにより、永久磁石17から発生している磁束は、表面積拡大ヨーク14aによって遮断され、その結果、周囲への磁束の漏れを防ぐことができる。
【0045】
本実施形態によれば、断面積拡大ヨーク14bによって、電磁操作機構3の機械的強度が担保されている。この場合、電磁操作機構3を大型化させること無く(或いは、現状のままで)、表面積拡大ヨーク14aを可能な限り大きくすることができる。これにより、磁気抵抗の低い表面14sを広くすることが可能となり、その結果、一対の電極5a,5bを離接(開閉)させているときに変動する磁束を更に効率的に透過させることができる。
【0046】
「変形例」
図4は、本変形例に係る電磁操作機構3の内部構成図であり、図5は、図4のF5-F5線に沿う断面図である。本変形例において、表面積拡大磁路及び断面積拡大磁路は、共に、ヨーク14及びアーマチャ15の双方に設けられている。なお、ヨーク14における表面積拡大磁路及び断面積拡大磁路の構成は、上記した実施形態で説明したものと同一であるため、以下では、アーマチャ15の表面積拡大磁路及び断面積拡大磁路について説明する。
【0047】
アーマチャ15には、表面積拡大磁路として、中空構造を成す表面積拡大アーマチャ15aが併設され、断面積拡大磁路として、中空構造を成す断面積拡大アーマチャ15bが併設されている。表面積拡大アーマチャ15aと断面積拡大アーマチャ15bとは、互いに平行に並んで配置されている。
【0048】
断面積拡大アーマチャ15bは、表面積拡大アーマチャ15aの内側に隣接させて配置されている。このような配置によって、上記した軸支部15p及びフランジ部15fを備えたアーマチャ15が構成されている。
【0049】
このような構成において、表面積拡大アーマチャ15aに着目すると、一対の電極5a,5bを離接(開閉)させているとき、その表面15sの磁気抵抗は最も低くなっている。これにより、一対の電極5a,5bを離接(開閉)させているときに変動する磁束(コイル18a,18bからの磁束)が、表面積拡大ヨーク14aの表面14sを透過し易くなっている。
【0050】
更に、断面積拡大アーマチャ15bは、操作軸16を同中心とした中空の円筒形状を成している。断面積拡大アーマチャ15bは、例えば電磁操作機構3のサイズや用途に応じて、その太さを調整することができる。これにより、電磁操作機構3における所望の機械的強度を確保することができる。加えて、一対の電極5a,5bが相互に接触したときに安定する磁束(永久磁石17からの磁束)が、断面積拡大アーマチャ15b並びに表面積拡大アーマチャ15aを含んだアーマチャ15全体の内部を透過し易くなっている。
【0051】
本変形例によれば、ヨーク14及びアーマチャ15の双方に、表面積拡大磁路(表面積拡大ヨーク14a、表面積拡大アーマチャ15a)、及び、断面積拡大磁路(断面積拡大ヨーク14b、断面積拡大アーマチャ15b)を設けることで、磁束変動状態時及び磁束安定状態時の磁束の透過性を飛躍的に向上させることができる。
【0052】
「他の変形例」
表面積拡大磁路(表面積拡大ヨーク14a、表面積拡大アーマチャ15a)、及び、断面積拡大磁路(断面積拡大ヨーク14b、断面積拡大アーマチャ15b)の材質としては、互いに同一の材料で構成しても良いし、或いは、互いに異なる材料で構成してもよい。
【0053】
例えば、表面積拡大磁路14a,15a及び断面積拡大磁路14b,15bの双方を、ヨーク14及びアーマチャ15と同じ材料(例えば、軟鉄、鉄、電磁鋼板)で構成する。
例えば、表面積拡大磁路14a,15a及び断面積拡大磁路14b,15bの一方を、ヨーク14及びアーマチャ15と同じ材料(例えば、軟鉄、鉄、電磁鋼板)で構成し、表面積拡大磁路14a,15a及び断面積拡大磁路14b,15bの他方を、フェライト等の磁性材料の粉末を固化した材料で構成する。
【0054】
以上、本発明の一実施形態及びいくつかの変形例を説明したが、これらの実施形態及び変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及び変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
1…開閉器、2…真空パイプ、3…電磁操作機構、4…連結機構、5a…固定電極、5b…可動電極、6…絶縁容器、7a…固定通電軸、7b…可動通電軸、8…フォルダ、9…ワイプばね、10…支持体、11…支持軸、12…開路ばね、13…連結軸、13p…台座部、14…ヨーク、14a…表面積拡大ヨーク、14b…断面積拡大ヨーク、14s…表面、15…アーマチャ、15a…表面積拡大アーマチャ、15b…断面積拡大アーマチャ、15s…表面、16…操作軸、17…永久磁石、18a…閉路コイル、18b…開路コイル。
図1
図2
図3
図4
図5