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特開2023-20308推定方法、情報処理装置、プログラムおよび推定システム。
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  • 特開-推定方法、情報処理装置、プログラムおよび推定システム。 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020308
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】推定方法、情報処理装置、プログラムおよび推定システム。
(51)【国際特許分類】
   A01K 29/00 20060101AFI20230202BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20230202BHJP
【FI】
A01K29/00 B
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021125597
(22)【出願日】2021-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】518247173
【氏名又は名称】株式会社RABO
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】伊豫 愉芸子
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】ペットがトイレを利用するだけでペットの健康状態を推定すること。
【解決手段】本開示による推定方法は、動物の排泄物を回収する回収体に対して光学的解析手段を用いて、前記排泄物を回収した前記回収体に由来する光学的解析情報を取得することと、前記光学的解析情報に基づいて、前記動物に関する状態に関する情報を出力することと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の排泄物を回収する回収体に対して光学的解析手段を用いて、前記排泄物を回収した前記回収体に由来する光学的解析情報を取得することと、
前記光学的解析情報に基づいて、前記動物に関する状態に関する情報を出力することと、
を含む、動物の健康状態の推定方法。
【請求項2】
前記回収体は、前記排泄物を付着して担持する担体であり、
前記光学的解析情報は、前記排泄物が付着した前記担体の画像に関する情報であり、
前記担体の画像の解析情報に基づいて、前記動物の健康状態に関する情報を出力する
請求項1に記載の動物の健康状態の推定方法。
【請求項3】
前記担体は、前記動物の排泄物の特性に応じて色彩または形状を変化させ、
前記担体の画像の色彩に関する解析情報に基づいて、前記動物の健康状態に関する情報を出力する
請求項2に記載の動物の健康状態の推定方法。
【請求項4】
前記回収体は、前記排泄物を少なくとも保持または通過させる構造を有する容器であり、
前記光学的解析情報は、前記排泄物が存在する前記構造の部分に由来する光学的解析情報である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の動物の健康状態の推定方法。
【請求項5】
前記光学的解析手段は、画像センサであり、
前記光学的解析情報は、前記排泄物が存在する前記構造の部分の色彩に関する解析情報である、
請求項4に記載の動物の健康状態の推定方法。
【請求項6】
前記光学的解析手段は、吸光度計であり、
前記光学的解析情報は、前記排泄物が存在する前記構造の部分の吸光度である、
請求項4または5に記載の動物の健康状態の推定方法。
【請求項7】
前記回収体は、前記排泄物を少なくとも保持または通過させる構造を有する容器であり、
前記光学的解析情報は、前記容器に保持されまたは前記容器を通過する前記排泄物に由来する光学的解析情報である、
請求項1~6のいずれか1項に記載の動物の健康状態の推定方法。
【請求項8】
異なるタイミングに複数の光学的解析情報を取得し、
前記光学的解析情報の変化に基づいて、前記動物の健康状態に関する情報を出力する、
請求項1~7のいずれか1項に記載の動物の健康状態の推定方法。
【請求項9】
前記回収体は便器に配置され、
前記便器には前記動物による前記便器の使用を検出するセンサが設けられ、
前記センサによる検出情報に基づいて、前記光学的解析情報を取得することをさらに含む、
請求項1~8のいずれか1項に記載の動物の健康状態の推定方法。
【請求項10】
前記動物に備え付けられるセンサによる検出情報から得られる前記動物の排泄行動を示す情報に基づいて、前記光学的解析情報を取得することをさらに含む、
請求項1~9のいずれか1項に記載の動物の健康状態の推定方法。
【請求項11】
前記動物の健康状態に関する情報は、前記動物の消化器および/または泌尿器の状態に関する情報を含む、
請求項1~10のいずれか1項に記載の動物の健康状態の推定方法。
【請求項12】
動物の排泄物を回収する回収体に対して光学的解析手段を用いて、前記排泄物を回収した前記回収体に由来する光学的解析情報を取得する解析情報取得部と、
前記光学的解析情報に基づいて、前記動物に関する状態に関する情報を出力する出力部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項13】
コンピュータを、
動物の排泄物を回収する回収体に対して光学的解析手段を用いて、前記排泄物を回収した前記回収体に由来する光学的解析情報を取得する解析情報取得部と、
前記光学的解析情報に基づいて、前記動物に関する状態に関する情報を出力する出力部と、
として機能させるためのプログラム。
【請求項14】
動物の排泄物を回収する回収体と、
前記回収体に対して光学的解析を行う光学的解析手段と、
前記光学的解析手段を用いて前記排泄物を回収した前記回収体に由来する光学的解析情報を取得し、前記光学的解析情報に基づいて、前記動物に関する状態に関する情報を出力する制御装置と、
を備える、推定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、推定方法、情報処理装置、プログラムおよび推定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、ペットブームの高まりに伴い、ペットの見守りや健康管理のための技術が開発されている。例えば、特許文献1には、ペット用のトイレを利用するペットを特定するための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-007625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示された技術は、ペットを特定するのみであり、ペットの健康状態までは推定できない。
【0005】
そこで、本開示は、ペットがトイレを利用するだけでペットの健康状態を推定することが可能な推定方法、情報処理装置、プログラムおよび推定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によれば、動物の排泄物を回収する回収体に対して光学的解析手段を用いて、前記排泄物を回収した前記回収体に由来する光学的解析情報を取得することと、前記光学的解析情報に基づいて、前記動物に関する状態に関する情報を出力することと、を含む、推定方法が提供される。
【0007】
また、本開示によれば、動物の排泄物を回収する回収体に対して光学的解析手段を用いて、前記排泄物を回収した前記回収体に由来する光学的解析情報を取得する解析情報取得部と、前記光学的解析情報に基づいて、前記動物に関する状態に関する情報を出力する出力部と、を備える、情報処理装置が提供される。
【0008】
また、本開示によれば、コンピュータを、動物の排泄物を回収する回収体に対して光学的解析手段を用いて、前記排泄物を回収した前記回収体に由来する光学的解析情報を取得する解析情報取得部と、前記光学的解析情報に基づいて、前記動物に関する状態関する情報を出力する出力部と、として機能させるためのプログラムが提供される。
【0009】
また、本開示によれば、動物の排泄物を回収する回収体と、前記回収体に対して光学的解析を行う光学的解析手段と、前記光学的解析手段を用いて前記排泄物を回収した前記回収体に由来する光学的解析情報を取得し、前記光学的解析情報に基づいて、前記動物に関する状態に関する情報を出力する制御装置と、を備える、推定システムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、ペットがトイレを利用するだけでペットの健康状態を推定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の一実施形態に係るシステム1の構成例を示す図である。
図2】同実施形態に係るサーバ10のハードウェア構成例を示す図である。
図3】同実施形態に係るサーバ10のソフトウェア構成例を示す図である。
図4】同実施形態に係る画像情報の一例を示す図である。
図5】同実施形態におけるサーバ10の動作フローを示すフローチャートである。
図6】同実施形態の一変形例に係るトイレ400の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の実施形態の内容を列記して説明する。本開示は、以下のような構成を備える。
(項目1)
動物の排泄物を回収する回収体に対して光学的解析手段を用いて、前記排泄物を回収した前記回収体に由来する光学的解析情報を取得することと、
前記光学的解析情報に基づいて、前記動物に関する状態に関する情報を出力することと、
を含む、推定方法。
(項目2)
前記回収体は、前記排泄物を付着して担持する担体であり、
前記光学的解析情報は、前記排泄物が付着した前記担体の画像に関する情報であり、
前記担体の画像の解析情報に基づいて、前記動物の健康状態に関する情報を出力する
項目1に記載の動物の健康状態の推定方法。
(項目3)
前記担体は、前記動物の排泄物の特性に応じて色彩または形状を変化させ、
前記担体の画像の色彩に関する解析情報に基づいて、前記動物の健康状態に関する情報を出力する
項目2に記載の動物の健康状態の推定方法。
(項目4)
前記回収体は、前記排泄物を少なくとも保持または通過させる構造を有する容器であり、
前記光学的解析情報は、前記排泄物が存在する前記構造の部分に由来する光学的解析情報である、
項目1~3のいずれか1項に記載の動物の健康状態の推定方法。
(項目5)
前記光学的解析手段は、画像センサであり、
前記光学的解析情報は、前記排泄物が存在する前記構造の部分の色彩に関する解析情報である、
項目4に記載の動物の健康状態の推定方法。
(項目6)
前記光学的解析手段は、吸光度計であり、
前記光学的解析情報は、前記排泄物が存在する前記構造の部分の吸光度である、
項目4または5に記載の動物の健康状態の推定方法。
(項目7)
前記回収体は、前記排泄物を少なくとも保持または通過させる構造を有する容器であり、
前記光学的解析情報は、前記容器に保持されまたは前記容器を通過する前記排泄物に由来する光学的解析情報である、
項目1~6のいずれか1項に記載の動物の健康状態の推定方法。
(項目8)
異なるタイミングに複数の光学的解析情報を取得し、
前記光学的解析情報の変化に基づいて、前記動物の健康状態に関する情報を出力する、
項目1~7のいずれか1項に記載の動物の健康状態の推定方法。
(項目9)
前記回収体は便器に配置され、
前記便器には前記動物による前記便器の使用を検出するセンサが設けられ、
前記センサによる検出情報に基づいて、前記光学的解析情報を取得することをさらに含む、
項目1~8のいずれか1項に記載の動物の健康状態の推定方法。
(項目10)
前記動物に備え付けられるセンサによる検出情報から得られる前記動物の排泄行動を示す情報に基づいて、前記光学的解析情報を取得することをさらに含む、
項目1~9のいずれか1項に記載の動物の健康状態の推定方法。
(項目11)
前記動物の健康状態に関する情報は、前記動物の消化器および/または泌尿器の状態に関する情報を含む、
項目1~10のいずれか1項に記載の動物の健康状態の推定方法。
(項目12)
動物の排泄物を回収する回収体に対して光学的解析手段を用いて、前記排泄物を回収した前記回収体に由来する光学的解析情報を取得する解析情報取得部と、
前記光学的解析情報に基づいて、前記動物に関する状態に関する情報を出力する出力部と、
を備える、情報処理装置。
(項目13)
コンピュータを、
動物の排泄物を回収する回収体に対して光学的解析手段を用いて、前記排泄物を回収した前記回収体に由来する光学的解析情報を取得する解析情報取得部と、
前記光学的解析情報に基づいて、前記動物に関する状態に関する情報を出力する出力部と、
として機能させるためのプログラム。
(項目14)
動物の排泄物を回収する回収体と、
前記回収体に対して光学的解析を行う光学的解析手段と、
前記光学的解析手段を用いて前記排泄物を回収した前記回収体に由来する光学的解析情報を取得し、前記光学的解析情報に基づいて、前記動物に関する状態に関する情報を出力する制御装置と、
を備える、推定システム。
【0013】
<実施の形態の詳細>
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
<概要>
本開示の実施の形態によるシステム(動物の健康状態の推定システム)1は、ネコやイヌ等のペットのトイレに関するシステムである。具体的には、システム1は、ペットの排泄物の状態を光学的手段により取得し、かかる光学的情報を解析して、解析結果からペットの状態を推定するものである。ペットの状態とは、例えば、ペットの排泄に関する状態、ペットの健康に関する状態等を意味しうる。ペットの健康状態に関する情報は、例えば、ペットの消化器および/または泌尿器の状態に関する情報を含みうる。
【0015】
図1は、本開示の一実施形態に係るシステム1の構成例を示す図である。図1に示すように、システム1は、トイレ4と、カメラ5と、サーバ10とを有する。また、かかるシステム1は、インターネットやLAN(Local Area Network)等のネットワークを通じて、ユーザ端末20と通信可能である。
【0016】
トイレ4は、いわゆるペット用の便器である。トイレ4は、後述するような回収体が備えられる。回収体は、ペット3の排泄物を回収する機能を有する。例えば、回収体は、ペットの尿や糞を付着して担持する砂であり得る。砂は担体の一例である。かかる砂は、例えば、尿や糞の成分やpH等の特性によってその色を変化させるものであってもよい。また、回収体は、排泄物を保持または通過させる構造を有する容器であってもよい。また、トイレ4には、ペット3によるトイレ4の使用や、排泄物の量等を検出するセンサが設けられてもよい。具体的には、かかるセンサは、重量センサ(体重計)や赤外線センサ、カメラ等であってもよい。
【0017】
カメラ5は、光学的解析手段の一例であり、トイレ4に向けて設けられ得る。かかるカメラ5は、トイレ4に設けられるものであってもよいし、独立して設けられるものであってもよい。カメラ5は、トイレ4の回収体に向けられ、回収体に由来する光学的解析情報(例えば画像情報)を生成する。かかる画像情報は、サーバ10に送信され得る。なお、光学的解析手段の他の例としては、例えばレーザーと受光素子とにより排泄物を検出したり、排泄物の色彩情報を取得するものであってもよい。また、光学的解析手段は、吸光度計であってもよい。
【0018】
サーバ10は、データベース(図示せず)と接続されシステムの一部を構成する。サーバ10は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、或いはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0019】
サーバ10は、サービスを、アプリケーションを介してユーザ端末20に対して提供する機能を有する。ユーザ端末20は、アプリケーションをサーバ10または別のサーバからダウンロードし、このアプリケーションを実行し、ブラウザ等のウェブページの閲覧ソフトウェアを介してサーバ10にアクセスすることで、サーバ10と情報を送受信することでき、また、サービスを受けることが可能となる。ここで受けることができるサービスとは、例えば、ペット3の排泄に関する情報や、ペット3の健康状態に関する情報の提供であり得る。
【0020】
なお、ペット3には、図示しないペット用のセンサが装着されていてもよい。ペット用センサは、例えば、ペット3の頭、首、胴体、脚また尾等に装着されてもよく、また予めペット3の皮膚等に付されたり、埋め込まれたりするようなデバイスであってもよい。かかるペット用センサは、加速度センサ、慣性センサ、モーションセンサ、温度センサ(体温または環境温度を測定するもの)、湿度センサ、音声センサ等が設けられ得る。かかるペット用センサから得られた情報は、適宜サーバ10やユーザ端末20にネットワークを介して送信されてもよい。
【0021】
ユーザ端末20は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、或いはスマートフォン、タブレット、携帯端末、その他情報端末等であってもよい。
【0022】
<ハードウェア構成>
本実施形態によるサーバ10とユーザ端末20とは、例えば以下のようなハードウェア構成を有する。なお、以下の構成はサーバ10の一例であり、これ以外の構成を有していても良い。
【0023】
サーバ10は、データベース(図示せず)と接続されシステムの一部を構成する。サーバ10は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、或いはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0024】
図2に示すように、サーバ10は、少なくとも、制御部11、メモリ12、ストレージ13、送受信部14、入出力部15等を備え、これらはバス16を通じて相互に電気的に接続される。
【0025】
制御部11は、サーバ10全体の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御、及びアプリケーションの実行及び認証処理に必要な情報処理等を行う演算装置である。例えば制御部11はCPU(Central Processing Unit)であり、ストレージ13に格納されメモリ12に展開されたプログラム等を実行して各情報処理を実施する。
【0026】
メモリ12は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性記憶装置で構成される主記憶と、フラッシュメモリやHDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性記憶装置で構成される補助記憶と、を含む。メモリ12は、制御部11のワークエリア等として使用され、また、サーバ10の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、及び各種設定情報等を格納する。
【0027】
ストレージ13は、アプリケーション・プログラム等の各種プログラムを格納する。各処理に用いられるデータを格納したデータベース(図示せず)がストレージ13に構築されていてもよい。
【0028】
送受信部14は、サーバ10をネットワークに接続する。なお、送受信部14は、Bluetooth(登録商標)及びBLE(Bluetooth Low Energy)の近距離通信インターフェースを備えていてもよい。
【0029】
入出力部15は、キーボード・マウス類等の情報入力機器、及びディスプレイ等の出力機器である。
【0030】
バス16は、上記各要素に共通に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号及び各種制御信号を伝達する。
【0031】
<ソフトウェア構成例>
図3は、本開示の一実施形態に係るサーバ10のソフトウェア構成例を示す図である。サーバ10は、光学的情報取得部21、解析部22、推定部23、センサ情報取得部24、出力部25、動物DB(データベース)26および解析結果DB(データベース)27を備える。なお、光学的情報取得部21、解析部22、推定部23、センサ情報取得部24および出力部25は、サーバ10が備える制御部11がストレージ13に記憶されているプログラムをメモリ12に読み出して実行することにより実現される。また、動物DB26および解析結果DB27は、メモリ12およびストレージ13の少なくともいずれかにより提供される記憶領域の一部として実現される。
【0032】
光学的情報取得部21は、カメラ5から回収体を含む画像情報(光学的情報の一例)を取得する機能を有する。例えば、画像情報は、トイレ4を上方や横から撮像して得られる画像情報であり得る。図4は、本実施形態に係る画像情報の一例を示す図である。図4に示すように、画像200には、トイレ4の像が含まれている。具体的には、画像200には、ペット3が用を足した後のトイレ4の様子が写っている。トイレ4の籠体40に砂41が敷き詰められており、砂41において尿を吸収している領域42A、42Bと糞43が見られる。本実施形態に係る砂41は、例えば、尿に含まれる成分(糖、タンパク質糖)やpHによって、尿を吸収した後の色彩を変化させるものであり得る。また、本実施形態に係る砂41は、尿を吸収した後の形状を変化させるものであってもよい。例えば、砂41は、腎臓病等に起因する成分を含む尿を吸収した場合に、異常のない尿とは異なる色彩や形状となるようなものであってもよい。例えば、図4に示すように、領域42Aと領域42Bとでは、尿の色が異なる。そのため、尿の状態が変わったため、ペット3の体調や健康状態にも異変があったことがわかる。なお、砂41は、単に尿を吸収するものであってもよい。
【0033】
光学的情報取得部21は、カメラ5から、連続的または断続的に、カメラ5から画像情報を取得してもよい。これにより、トイレ4の利用状態や排泄物の状態を、時系列に紐づけて取得することができる。例えば、ペット3がいつ、どこで、どのような排泄物を、どの程度排泄したかを、時系列的に記録することができる。
【0034】
解析部22は、取得した画像情報を解析して、排泄物を回収した回収体に由来する光学的解析情報を取得する機能を有する。例えば、解析部22は、画像情報を解析し、トイレ4の砂41のうち、画像解析により尿や糞の領域を特定し得る。その際、図4に示したように、尿の領域の大きさや色、糞の大きさや色等を特定し得る。ここで得られる光学的解析情報は、排泄物に関する情報であり、具体的には、上記の特定した排泄物の領域の大きさ、色、個数等であり得る。また、解析部22は、取得した画像情報の解析結果と、その前に取得した画像情報の解析結果とを比較して、新たなペット3の排泄物を特定してもよい。これにより、どのタイミングで排泄がされたかを特定することができる。本実施形態に係る解析部22による解析処理は、公知の画像解析方法を用いてよい。かかる画像解析方法は、いわゆるマシンラーニングのような手法が用いられてもよい。かかる解析部22による解析結果は、光学的解析情報として出力され得る。
【0035】
推定部23は、光学的解析情報に基づいて、ペット3に関する状態を推定する機能を有する。例えば、推定部23は、図4に示す領域42Aの色に基づいて、ペット3が抱えている可能性のある健康リスクなど、ペットの健康に関する状態について推定し得る。ここでいう健康リスクとは、例えば、腎臓等の泌尿器や消化器に関する病気に関するリスクであり得る。また、健康リスクは、膀胱炎や腎不全等の病気そのものであっても、症状や兆候であってもよい。例えば、領域42Aの色が、酸性とアルカリ性を示す色で経時的に繰り返される場合は、食事等によって尿のpHの変動が大きく、泌尿器系に負担をかけていると推察される。この場合は、例えば、推定部23は、ペット3の食事内容または膀胱内の結石等の問題やリスクがあると推定し得る。このように、推定部23は、異なるタイミングにおける光学的解析情報の変化に基づいて、動物の状態を推定してもよい。また、推定部23は、動物DB26に格納されているペット3の既往歴や現病歴、健康状態に関する情報を取得し、かかる情報と解析結果とに基づいて、排泄物に基づくペット3の状態を推定してもよい。これにより、例えば、ペット3が抱えている症状が快方に向かっているか、悪化しているかを推定することができる。
【0036】
また、推定部23は、光学的解析情報に基づいて、排泄物の状態を推定することができる。排泄物の状態とは、動物に関する状態の一例である。例えば、尿を吸着する担体が、尿の特性によって色や形状などの状態を変化させる性質のものである場合は、当該担体の状態を解析することによって、尿の特性を推定することができる。尿の特性とは、例えばpH(アルカリ性、酸性)の値、タンパク質の有無、含有量又は濃度、糖質の有無、含有量又は濃度、血清の有無、含有量又は濃度、ビリルビン等の特定の代謝物の有無、含有量又は濃度、尿の比重、白血球の有無、含有量又は濃度、尿中の結晶の有無又は含有量などであってよい。また、推定部23は、排泄物自体の色や形状、表面形状などを解析することによって排泄物の状態を推定することができる。例えば便の色や形状から、便に含まれる特定の成分の有無や含有量、便の硬さ、消化の度合い、などを推定することができる。
【0037】
また、推定部23は、後述するセンサ情報取得部24が取得するセンサ情報をさらに用いて、ペット3の状態や排泄物の状態を推定してもよい。例えば、かかるセンサ情報は、トイレ4に設けられる重量センサやカメラから得られるセンサ情報や、ペット3に装着されているペット用センサから得られるセンサ情報であってもよい。また、かかるセンサ情報は、ペット3の振舞い(例えば、排泄物の回数や排泄物の量、排泄のタイミング等)など、センサ情報を解析して得られるペット3の行動に関する情報等であってもよい。このようなセンサ情報を用いることで、ペット3や排泄物の状態をより精度高く推定することができる。
【0038】
センサ情報取得部24は、トイレ4に設けられるセンサや、ペット3に装着されているペット用センサから得られるセンサ情報を取得する。かかるセンサ情報は、例えばペット3がトイレ4を使用していることを検出した情報や、ペット3による排泄行動を示す情報であり得る。このような検出情報を用いて、例えば、カメラ5から画像情報を取得するタイミングを特定してもよい。すなわち、検出情報により排泄のタイミングに応じて画像情報を取得し、該タイミングにおける光学的解析情報を取得することができる。これにより、排泄物が吸収されきったり除去される前に、排泄物が排泄された直後の画像情報が得られるので、精度の高い情報を得ることができる。トイレ4に設けられるセンサは、例えば、上述したカメラ5、重量センサ、空間認識センサ等であり得る。また、ペット3に装着されるペット用センサから得られるセンサ情報は、例えば、かかるペット用センサにより得られた情報に基づき推定されるペット3の行動情報であり得る。かかる行動情報が「排泄行動」を示す情報である場合に、画像情報の取得の処理が行われてもよい。
【0039】
出力部25は、推定結果であるペット3に関する状態に関する情報を出力する機能を有する。出力部25は、例えば、ペット3の状態に関する情報(例えば、健康状態、健康リスクおよび病気等)やペット3の排泄物に関する情報(例えば、排泄物のpH、やタンパク量等)をユーザ端末20の画面に出力してもよい。かかる画面への出力態様は特に限定せず、例えばユーザ端末20にインストールされている対応アプリケーションや、ウェブブラウザ等において、ペット3の状態を示すテキストや画像等が表示されてもよい。また、出力部25は、経時的な情報として、ペット3の状態の推移等の情報を出力してもよい。また、出力部25は、推定結果か得られる飼い主等へのアドバイス等の情報を併せて出力してもよい。例えば、推定結果が、尿のpHの変動が激しく腎臓に負担がかかっている可能性が高い、というものであれば、出力部25は、ペット3の食事内容を見直すことに関するアドバイスの情報を出力してもよい。
【0040】
なお、出力部25により出力される情報は、ユーザ端末20の画面において表示される態様での情報に限定されない。例えば、出力部25により出力される情報は、適宜後述する動物DB26に、各動物の情報に紐付けられて記憶されていてもよい。また、出力部25により出力される光学的解析情報は、解析結果DB27に記憶されていてもよい。また、出力部25により出力される情報は、外部のサーバ等に出力されてもよい。
【0041】
動物DB26は、トイレ4を使用する動物(ペット)に関する情報を記憶するデータベースである。動物DB26には、ペットについて、名前、動物種、年齢、体重、体型、性別、エリア、健康情報(例えば現病歴、既往歴、体調)、嗜好、餌、身体的特性、ライフステージ、または飼い主情報等の情報が記憶されている。これらの情報は、例えばユーザのユーザ端末20に対する操作により取得されてもよいし、外部サーバにおいて提供されるサービス等を通じて適宜取得されるものであってもよい。
【0042】
解析結果DB27は、トイレ4を使用するペット3について得られた光学的解析情報や推定結果等のデータを記憶するデータベースである。これらのデータは、ペット3や時系列データと紐付いて記憶され得る。これにより、例えば過去の解析情報等との比較に基づいて現在のペット3の状態に関して推定することが可能となる。なお、解析結果DB27は、光学的解析情報の他に、センサ情報取得部24が取得したセンサ情報を、解析結果と紐付けて記憶してもよい。例えば、解析結果として排泄物の重量を記憶する場合、センサ情報取得部24がトイレ4に設けられた重量センサから得られる情報に基づいて、排泄物の重量に関する情報を得ることができる。これにより、推定部23によるペット3の状態の推定の精度を高めることができる。センサ情報は、ペット3に設けられたセンサに基づくものだけでなく、ペット3に装着されたペット用センサに基づくものであってもよい。これにより、例えば、異常時の排泄物におけるペット3の行動データも取得でき、ペット3の状態の推定に用いることができる。解析結果DB27は、例えば他の目的(ペット3の行動予測、食事内容のレコメンド等)において、マシンラーニングの学習データとして用いることができる。
【0043】
<処理フローと画面表示例>
図5は、本実施形態におけるサーバ10の動作フローを示すフローチャートである。ここで示す処理の流れは、あくまでも一例にすぎない。
【0044】
まず、トイレ4またはペット3に装着されたペット用センサにより、ペット3によるトイレ4の使用が検出される(ステップS101)。センサ情報取得部24がかかる検出情報を取得すると、サーバ10はカメラ5に対して撮像処理を行わせ、光学的情報取得部21はカメラ5から画像情報を取得する(ステップS103)。
【0045】
次に、解析部22は、取得した画像情報について排泄物に関する画像解析を行う(ステップS105)。解析部22は、解析結果から光学的解析情報を取得する(ステップS107)。推定部23は、光学的解析情報に基づいて、ペット3の健康状態の推定を行う(ステップS109)。そして、出力部25は、推定結果であるペット3の健康状態に関する情報を出力する(ステップS111)。
【0046】
以上説明したように本開示によれば、トイレにカメラ等の光学的解析手段を設け、トイレの回収体により回収される排泄物を光学的に解析し、その解析結果からペットの健康状態を推定することができる。また、経時的に解析を行うことにより、どのタイミングでどのような排泄をしたかを特定でき、また、その健康状態の変化をとらえることができる。また、トイレやペットに装着された他のセンサによりトイレを利用したり排泄行動をしていることを検出した情報を用いることで、排泄物について、より適したタイミングで解析することができる。以上から、ペットがトイレを利用するだけでペットの健康状態を推定することが本実施形態に係るシステム1により可能となる。
【0047】
次に、本実施形態の一変形例について説明する。図6は、本実施形態の一変形例に係るトイレ400の構成を示す図である。本変形例に係るトイレ400は、籠体401の下部に容器402を備える。容器402はいわゆる漏斗型をしており、尿等の液体の排泄物が、籠体401の下部から容器402に流れ得る。容器402の下部の流路402aを尿が追加し、流路402aの下端から尿が外部に排出され得る。なお、流路402aの下端は閉じられていて尿を保持するような構造であってもよく、適宜容器402から尿を手動により排出するようなものであってもよい。
【0048】
容器402は例えば透明の容器であり得る。そして、流路402aの側方には、光学的解析手段の一例であるレーザ501Aおよび受光素子501Bが設けられ得る。これらは吸光度計501を形成し得る。なお、レーザ501Aは発光体の一例であり、LEDなど他の発光体であってもよい。受光素子501Bも、発光体の光を受けて電気信号等に変換するものであれば、特に限定されない。
【0049】
レーザ501Aは可視光または赤外光等のレーザ光が照射され、尿を保持または通過する容器402の流路402aを通過して、受光素子501Bが受光する。その際、尿により色彩の一部の成分が吸収される。この吸収された色彩の波長に関する(つまり吸光度)情報が、光学的情報として取得され得る。また、受光素子501Bがレーザ501Aから受光したレーザ光の強度の減衰の程度も、光学的情報として取得され得る。かかるレーザ光の吸収波長や減衰に係る情報に基づき、例えば、解析部22は、尿のにごり、異物の有無または潜血の有無等を解析し得る。これにより、推定部23は、かかる解析情報に基づいて、ペット3の状態を推定し得る。
【0050】
かかる変形例においても、尿の状態等を光学的解析手段により取得、解析して、ペットの状態を推定することができる。なお、上記実施形態に記載したサーバ10の機能を、適宜本変形例に適用することも可能である。なお、本変形例では、吸光度計501の検出対象として、流路402aとしたが、本技術はかかる例に限定されない。例えば、吸光度計501にかえて、カメラ5により尿を含む画像を取得してもよい。また、検出対象は流路402aに限らず、尿を保持する容器402そのものであってもよい。
【0051】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0052】
本明細書において説明した装置は、単独の装置として実現されてもよく、一部または全部がネットワークで接続された複数の装置(例えばクラウドサーバ)等により実現されてもよい。例えば、サーバ10の制御部11およびストレージ13は、互いにネットワークで接続された異なるサーバにより実現されてもよい。
【0053】
本明細書において説明した装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。本実施形態に係るサーバ10の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、PC等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【0054】
また、本明細書においてフローチャート図を用いて説明した処理は、必ずしも図示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【0055】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【符号の説明】
【0056】
4 トイレ
5 カメラ
10 サーバ(情報処理装置)
11 制御部
13 ストレージ
20 ユーザ端末
21 光学的情報取得部
22 解析部
23 推定部
24 センサ情報取得部
25 出力部
26 動物DB
27 解析結果DB

図1
図2
図3
図4
図5
図6