(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020309
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】スイッチギヤ
(51)【国際特許分類】
H02B 1/28 20060101AFI20230202BHJP
【FI】
H02B1/28 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021125599
(22)【出願日】2021-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 崇嗣
【テーマコード(参考)】
5G016
【Fターム(参考)】
5G016AA04
5G016CH02
(57)【要約】
【課題】筐体内にて内部アーク事故が発生した際に、換気口からガスが放出されることを抑制するスイッチギヤを提供する。
【解決手段】実施形態に係るスイッチギヤは、筐体と、主回路部と、放圧口と、換気口と、第1仕切り板と、第2仕切り板と、を備える。主回路部は、筐体内に収容される。放圧口は、筐体の天井部に設けられる。換気口は、筐体に設けられる。第1仕切り板は、換気口と主回路部の一部との間に設けられる。第2仕切り板は、第1仕切り板と主回路部の一部との間において、主回路部の一部の近傍且つ上方に設けられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に収容された主回路部と、
前記筐体の天井部に設けられた放圧口と、
前記筐体に設けられた換気口と、
前記換気口と前記主回路部の一部との間に設けられた第1仕切り板と、
前記第1仕切り板と前記主回路部の前記一部との間において、前記主回路部の前記一部の近傍且つ上方に設けられた第2仕切り板と、
を備えるスイッチギヤ。
【請求項2】
前記主回路部は、上段主回路と下段主回路とを有し、
前記下段主回路の上方において前記下段主回路の近傍に位置し、前記天井部に沿う方向に延び、前記筐体内の母線室を規定する第3仕切り板をさらに備え、
前記第2仕切り板は、前記第3仕切り板と一体に形成されている、
請求項1に記載のスイッチギヤ。
【請求項3】
前記第2仕切り板は、一方の端部が前記換気口に近づくにつれて第1方向に向かうように傾斜した、
請求項1または2に記載のスイッチギヤ。
【請求項4】
前記第2仕切り板および前記第3仕切り板のうち少なくとも一つは、金属で構成される、
請求項1~3のうちいずれか1項に記載のスイッチギヤ。
【請求項5】
前記第1仕切り板は、前記換気口のサイズよりも大きい、
請求項1~4のうちいずれか1項に記載のスイッチギヤ。
【請求項6】
前記第1仕切り板と前記下段主回路との間に位置し、前記第1仕切り板と面する第4仕切り板をさらに備え、
前記第4仕切り板は、前記第2仕切り板よりも前記換気口の近傍に位置する、
請求項1~5のうちいずれか1項に記載のスイッチギヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、スイッチギヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、真空遮断器等が金属製の筐体内に収容されたスイッチギヤが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のスイッチギヤは、スイッチギヤの盤内温度の上昇を抑えるため筐体の正面や背面に換気口が設けられている。そのため、筐体内にて内部アーク事故が発生した際に、換気口から発生した高温・高圧ガスが放出する虞がある。
【0005】
本発明が解決する課題の一例は、筐体内にて内部アーク事故が発生した際に、換気口からガスが放出されることを抑制するスイッチギヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係るスイッチギヤは、筐体と、主回路部と、放圧口と、換気口と、第1仕切り板と、第2仕切り板と、を備える。前記主回路部は、前記筐体内に収容される。前記放圧口は、前記筐体の天井部に設けられる。前記換気口は、前記筐体に設けられる。前記第1仕切り板は、前記換気口と前記主回路部の一部との間に設けられる。前記第2仕切り板は、前記第1仕切り板と前記主回路部の前記一部との間において、前記主回路部の前記一部の近傍且つ上方に設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本実施形態のスイッチギヤの斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態のスイッチギヤの断面図であって、
図1のV-V位置での断面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態の変形例のスイッチギヤの断面図であって、
図1のV-V位置での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施形態)
以下、実施形態に係るスイッチギヤを図面に基づいて説明する。以下に記載する実施形態の構成、並びに当該構成によってもたらされる作用及び結果(効果)は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。
【0009】
また、以下に開示される実施形態の変形例には、同様の構成要素が含まれる。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される。なお、本明細書では、序数は、部品や部材を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0010】
また、以下の各図では、便宜上、互いに直交する三方向が定義されている。X方向は、スイッチギヤ1の前後方向に沿う方向である。Y方向は、スイッチギヤ1の幅方向に沿う方向であり、左右方向とも称され得る。Z方向は、スイッチギヤ1の高さ方向に沿う方向であり、上下方向とも称され得る。また、X方向は、第1方向の一例である。
【0011】
図1は、本実施形態に係るスイッチギヤ1の斜視図である。
図2は、本実施形態に係るスイッチギヤ1の断面図である。
図1、2に示すように、本実施形態のスイッチギヤ1は、筐体11と、放圧口12と、フラッパー13と、換気口14と、収納機器15と、上段母線室16と、下段母線室17と、断路部18と、主回路部19と、換気口障壁20と、誘導障壁21と、を備える。換言すれば、スイッチギヤ1は、収納機器15が金属製の筐体11内に収容された、所謂金属閉鎖形スイッチギヤである。なお、スイッチギヤ1は、この例には限定されない。筐体11は、盤や閉鎖箱等とも称されうる。
【0012】
筐体11は、例えば、金属製であり、直方体状の箱型に構成されている。筐体11は、下壁部11aと、側壁部11bと、上壁部11cと、を有する。下壁部11aは、Z方向と直交する方向(XY平面)に沿って延びている。
【0013】
側壁部11bは、下壁部11aの端部から囲むように突出し、上方向(+Z方向)に延びている。
【0014】
上壁部11cは、下壁部11aと間隔を空けて反対側に位置し、Z方向と直交する方向(XY平面)に沿って延びている。なお、上壁部11cは、天井部の一例である。
【0015】
放圧口12は、スイッチギヤ1の筐体11内にて内部アーク事故が起きた際に、発生するガスを外部に放出するものである。放圧口12は、筐体11の上壁部11cから開口している。なお、放圧口12の数や形状は適宜変更されても良い。
【0016】
フラッパー13は、筐体11内にて内部アーク事故が起きた際に放圧口12から放出されるガスを制限するものである。フラッパー13は、ヒンジまたはミシン目によって、筐体11の上壁部11cに開閉自在に設けられており、放圧口12を覆うことが可能である。なお、フラッパー13の数や形状は、放圧口12の数や形状に対応させ適宜変更されても良い。
【0017】
換気口14は、筐体11内の空気を換気するものである。本実施形態では、換気口14は、前方向(+X方向)に向く側壁部11bに設けられている。なお、換気口14の配置位置は、側壁部11b上であれば適宜変更されても良い。換気口14には、ミシン目状の複数の孔が設けられており、筐体11内の空気を換気可能である。
【0018】
収納機器15には、例えば、遮断器等の装置が含まれる。収納機器15は、筐体11に収納され、筐体11の上下方向(Z方向)において上段収納機器151と下段収納機器152とに分かれる。なお、本実施形態では二つの収納機器15が筐体11に収納されているが、これよりも多い数の収納機器15が筐体11内に収納されても良い。
【0019】
上段収納機器151には、上段母線室16が設けられている。上段母線室16は、上壁部11cと上段母線室16を仕切る上段母線室仕切り板161により囲まれた空間である。
【0020】
上段母線室仕切り板161は、X方向(YZ平面)に沿って延びた後、X方向と直交する方向(YZ平面)に沿って延びている。上段母線室仕切り板161には、例えばミシン目状の複数の孔が設けられており、内部アーク事故にて発生したガスを通気可能である。
【0021】
下段収納機器152には、下段母線室17が設けられている。下段母線室17は、下段母線室17を規定する下段母線室仕切り板171と誘導障壁21の一部とにより囲まれた空間である。なお、下段母線室17は、母線室の一例である。
【0022】
下段母線室仕切り板171は、X方向(YZ平面)に沿って延びる金属で構成された二枚の仕切りである。下段母線室仕切り板171には、例えばミシン目状の複数の孔が設けられており、内部アーク事故にて発生したガスを通気可能である。なお、下段母線室仕切り板171は、第3仕切り板の一例である。
【0023】
断路部18は、上段収納機器151及び下段収納機器152に固定されており、左右方向(Y方向)に複数並んでいる。複数の断路部18の一部は、上段母線室16及び下段母線室17に収納されている。
【0024】
主回路部19は、上段主回路191と、下段主回路192と、を有する。主回路部19は、銅やアルミニウム等の金属で構成される。
【0025】
上段主回路191は、上段収納機器151に固定された断路部18の一部に接続される。上段主回路191は、例えばL字状に形成され、電力ケーブルが接続される。
【0026】
下段主回路192は、下段収納機器152に固定された断路部18の一部に接続される。下段主回路192は、例えば前方向(+X方向)に延び、換気口14に近づくにつれて下方向(-Z方向)に傾斜して形成され、電力ケーブルが接続される。
【0027】
換気口障壁20は、内部アーク事故発生時に放出されるガスが換気口14から放出されないように遮るものである。本実施形態では、換気口障壁20は、換気口14と下段主回路192との間に位置する。換気口障壁20の配置位置は、下段主回路192側よりも換気口14側に寄っている。
【0028】
換気口障壁20は、下壁部11aから突出し、X方向と直交する方向(YZ平面)に沿って延びている。換気口障壁20のサイズは、換気口14からガスが漏れないようにするため換気口14のサイズよりも大きい。なお、換気口障壁20は、第1仕切り板の一例である。
【0029】
誘導障壁21は、金属で構成されており、下段主回路192において内部アークが発生した時、ガスを上壁部11cに開口した放圧口12に誘導するものである。誘導障壁21は、換気口障壁20よりも下段主回路192の上方かつ近傍に位置する。
【0030】
誘導障壁21の一部は、下段母線室仕切り板171と一体となって、下段母線室17を囲んでおり、X方向と直交する方向(YZ平面)に沿って延びている。誘導障壁21の下方向(-Z方向)の端部は、換気口14に近づくにつれて前方向(+X方向)に傾斜している。なお、誘導障壁21は、第2仕切り板の一例である。
【0031】
本実施形態では、一例として、誘導障壁21の傾斜部分は、1つであるが、複数の傾斜部分が高さ方向(Z方向)に沿って設けられても良い。また、下段母線室仕切り板171を誘導障壁21のような形状に加工することで、誘導障壁21は設けなくとも良い。
【0032】
仕切り板22は、下段主回路192において内部アークが発生した時、高温になった下段主回路192によって、換気口障壁20が溶けることを防ぐものである。仕切り板22は、下壁部11aから突出し、X方向と直交する方向(YZ平面)に沿って延びている。
【0033】
本実施形態では、仕切り板22は、換気口障壁20と下段主回路192との間に位置する。仕切り板22の配置位置は、下段主回路192側よりも換気口障壁20側に寄っている。なお、仕切り板22は、第4仕切り板の一例である。
【0034】
本実施形態では、一例として、1枚の仕切り板22が配置されているが、複数の仕切り板22が前後方向(X方向)に沿って配置されても良い。
【0035】
以上のように、本実施形態のスイッチギヤ1は、筐体11と、筐体11の上壁部11c放圧口12と、筐体11に設けられた換気口14と、筐体11内に収容された主回路部19と、換気口14と主回路部19の一部との間に設けられた換気口障壁20と、換気口障壁20と主回路部19の一部との間において、主回路部19の一部の近傍且つ上方に設けられた誘導障壁21と、を備える。
【0036】
本実施形態のスイッチギヤ1の筐体11内にて内部アーク事故が発生する場合、筐体11内に収容された主回路部19の下段主回路192において内部アークが発生し、高温になり溶けることで高温・高圧ガスが発生する。発生したガスは、発生源を中心として等方的に拡散する。
【0037】
筐体11の上壁部11cに到達したガスは、圧力によって筐体11の上壁部11cに設けられたフラッパー13を持ち上げ、放圧口12から外部に放出する。
【0038】
換気口14は、換気口障壁20で遮られている。換気口障壁20は、換気口14に向かうガスを止めることで、ガスが換気口14から外部に放出されることを防ぐ。
【0039】
換気口障壁20と主回路部19の下段主回路192との間において、下段主回路192の近傍且つ上方に設けられている誘導障壁21は、他の部位に比べて溶けやすくなっている。高温・高圧ガスによって溶かされることで誘導障壁21には、穴が開口し、上方に流路が形成される。これにより、誘導障壁21は、上方にガスを誘導することができる。
【0040】
これにより、ガスは上壁部11cに近い位置を通じて放出されやすくなる。また、誘導障壁21を通してガスが放出されることにより、換気口障壁20がガスに晒され難くなる。従って、本実施形態のスイッチギヤ1は、換気口14よりガスを放出することがなくなる。
【0041】
また、本実施形態では、主回路部19は、上段主回路191と、下段主回路192と、を有し、下段主回路192の上方において下段主回路192の近傍に位置し、上壁部11cに沿う方向に延び、筐体11内の下段母線室17を規定する下段母線室仕切り板171をさらに備える。そして、誘導障壁21は、下段母線室仕切り板171と交差する方向に延び、下段母線室仕切り板171と一体に形成されている。これにより、下段主回路192において内部アークが発生した時、誘導障壁21と同様に下段母線室仕切り板171も溶けやすくなる。
【0042】
従って、誘導障壁21と同様に、高温・高圧ガスによって溶かされることで下段母線室仕切り板171には、穴が開口し、流路が形成される。これにより、誘導障壁21は、上方にガスを誘導することができ、換気口障壁20がさらにガスに晒され難くなる。
【0043】
また、本実施形態では、誘導障壁21は、下方向(-Z方向)の端部が換気口14に近づくにつれて前方向(+X方向)に傾斜している。これにより、下段主回路192で発生したガスを上壁部11cに誘導することができる。
【0044】
また、本実施形態では、誘導障壁21及び下段母線室仕切り板171は、金属で構成される。これにより、誘導障壁21及び下段母線室仕切り板171は、金属で構成されていない他の部位に比べ、溶けやすい。従って、誘導障壁21及び下段母線室仕切り板171以外の部位が溶けて、ガスが放出されることを防ぐ。
【0045】
また、本実施形態では、換気口障壁20は、換気口14のサイズよりも大きい。これにより、換気口14に向かうガスをさらに遮る。
【0046】
また、本実施形態では、換気口障壁20と下段主回路192との間に位置し、換気口障壁20と面する仕切り板22をさらに備える。仕切り板22は、誘導障壁21よりも換気口14の近傍に位置する。これにより、換気口14に向かうガスによって、換気口障壁20が溶けることを防ぐ。従って、仕切り板22は、下段主回路192において内部アークが発生した時、換気口14からガスが放出されることを抑制する。
【0047】
また、本実施形態のスイッチギヤ1は、換気口14よりガスを放出することがなくなることにより、スイッチギヤ1の筐体11周辺で作業する作業員の安全性が向上する。
【0048】
(変形例)
図3は、本実施形態に係る変形例のスイッチギヤ1Aの断面図である。
図3に示されるように、本変形例では、誘導障壁21の下方向(-Z方向)の端部は、上壁部11cに向かって前方向(+X方向)に傾斜している。また、仕切り板22aの上方向(+Z方向)の端部は、上壁部11cに向かって前方向(+X方向)に傾斜している。このような構成によっても、内部アーク事故によって発生したガスを上壁部11cに誘導することができる。なお、誘導障壁21および仕切り板22aの傾斜角度は、上記実施形態や変形例には限定されない。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0050】
1、1A スイッチギヤ
11 筐体
11c 上壁部(天井部)
12 放圧口
13 フラッパー
14 換気口
17 下段母線室(母線室)
171 下段母線室仕切り板(第3仕切り板)
19 主回路部
191 上段主回路
192 下段主回路
20 換気口障壁(第1仕切り板)
21 誘導障壁(第2仕切り板)
22、22a 仕切り板(第4仕切り板)
X方向 第1の方向