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  • 特開-エアクリーナー用吸音装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020347
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】エアクリーナー用吸音装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 35/12 20060101AFI20230202BHJP
   F02M 35/10 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
F02M35/12 H
F02M35/10 301T
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021125661
(22)【出願日】2021-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】000229069
【氏名又は名称】株式会社セキソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】有竹 良樹
(57)【要約】
【課題】 組み立て性を向上させたエアクリーナー用吸音装置を提供する。
【解決手段】 車両のエアクリーナー用吸音装置1は、前記エアクリーナーのケースCに収容されるガイド部材10であって、複数の通気孔Hを有していて、椀形状を呈するガイド部材10と、ガイド部材10の外側面に取り付けられるシート状の吸音部材20と、を備える。ガイド部材10の外周面に複数の爪部12が設けられ、吸音部材20が、爪部12に係止されている。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のエアクリーナー用吸音装置であって、
前記エアクリーナーのケースに収容されるガイド部材であって、複数の通気孔を有していて、椀形状を呈するガイド部材と、
前記ガイド部材の外側面に取り付けられるシート状の吸音部材と、
を備え、
前記ガイド部材の外周面に複数の爪部が設けられ、
前記吸音部材が、前記爪部に係止されている、エアクリーナー用吸音装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエアクリーナー用吸音装置において、
前記吸音部材は、不織布からなり、その外周縁部の厚さがその他の部分の厚さよりも小さく、且つ当該外周縁部の強度が他の部分よりも高く、当該外周縁部が、前記爪部に係止されている、エアクリーナー用吸音装置。
【請求項3】
請求項2に記載のエアクリーナー用吸音装置において、
前記外周縁部に開口部が設けられ、前記開口部に前記爪部が係止されている、エアクリーナー用吸音装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のエンジンに供給される空気に含まれる異物を濾過するエアクリーナー用の吸音装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のエンジンに空気を供給するための供給路に設けられ、空気に含まれる異物を濾過するエアクリーナーに適用される吸音装置(以下、「従来装置」と称呼する。)が知られている(例えば、下記特許文献を参照)。この従来装置は、ガイド部材と吸音部材を備える。ガイド部材は、合成樹脂製であり、複数の通気孔を有する椀形状(籠状)を呈する部材である。吸音部材は、ウレタン製であり、シート状部材である。この吸音部材が、ガイド部材に取り付けられる。すなわち、ガイド部材は、骨格部材である。このように構成された吸音装置は、エアクリーナーのケース内に収容され、吸気の脈動に起因して生じる騒音を抑制する。なお、この従来装置は、騒音を抑制する機能に加え、エアクリーナーのケースに設けられた吸気口(導入口)からケース内に導入された空気を、同ケースに設けられたと吐出口(導出口)へ導く機能を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6572813号公報
【発明の概要】
【0004】
(発明が解決しようとする課題)
従来装置において、吸音部材は、ガイド部材に溶着されて固定される。このガイド部材への吸音部材の取り付け工程が煩雑である。すなわち、従来装置の組み立て性が低い。
【0005】
本発明は上記課題に対処するためになされたもので、その目的は、組み立て性を向上させたエアクリーナー用吸音装置を提供することにある。
【0006】
(課題を解決するための手段)
上記目的を達成するために、本発明に係るエアクリーナー用吸音装置は、前記エアクリーナーのケース(C)に収容されるガイド部材(10)であって、複数の通気孔(H)を有していて、椀形状を呈するガイド部材と、前記ガイド部材の外側面に取り付けられるシート状の吸音部材(20)と、を備え、前記ガイド部材の外周面に複数の爪部(12)が設けられ、前記吸音部材が、前記爪部に係止されている。
【0007】
本発明の一態様に係るエアクリーナー用吸音装置において、前記吸音部材は、不織布からなり、その外周縁部の厚さがその他の部分の厚さよりも小さく、且つ当該外周縁部の強度が他の部分よりも高く、当該外周縁部が、前記爪部に係止されている。
【0008】
本発明の他の態様に係るエアクリーナー用吸音装置において、前記外周縁部に開口部が設けられ、前記開口部に前記爪部が係止されている。
【0009】
本発明に係るエアクリーナー用吸音装置において、吸音部材、爪部に係止させて固定している。これによれば、吸音部材をガイド部材に溶着する構成に比べて、吸音部材を簡単に固定できる。つまり、本発明によれば、吸音部材を固定する工程にかかる時間を短縮することができる。つまり、吸音装置の組み立て性が高い。また、吸音部材を固定するための装置(溶着装置)、材料などが不要であるので、エアクリーナー用吸音装置の製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るエアクリーナー用吸音装置が適用された車両の吸気系統のブロック図である。
図2図1に示したエアクリーナーの断面図である。
図3】ガイド部材の斜視図である。
図4】ガイド部材の側面図である。
図5】爪部を拡大した斜視図である。
図6】爪部を拡大した側面図である。
図7】吸音部材をガイド部材に取り付ける工程を示す斜視図である。
図8】吸音部材がガイド部材に係止されている状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態に係るエアクリーナー用吸音装置1(以下、単に「吸音装置1」と称呼する。)について説明する。まず、吸音装置1が適用されるエアクリーナーACの構成について説明しておく。
【0012】
図1に示したように、車両のエンジンルームERには、エンジンEが収容されている。エンジンEには、吸気通路Pを通じて、車外から空気が供給される。吸気通路Pは、吸気管P1、エアクリーナーAC及び吸気管P2を含む。エンジンEに、吸気マニホールドを介して、吸気管P1の一端が連結されている。吸気管P1の他端に、エアクリーナーACが連結されている。さらに、エアクリーナーACに、吸気管P2の一端が連結されている。吸気管P2の他端は車外へ向かって開口している。すなわち、吸気管P2の他端は、吸気口INを構成している。吸気口INから吸気管P2に取り込まれた空気は、エアクリーナーAC、吸気管P1を通って、エンジンEに供給される。
【0013】
図2に示したように、エアクリーナーACは、合成樹脂製のケースCを有している。ケースCは、2分割されている。すなわち、ケースCは、第1ケースC1と第2ケースC2とからなる。第1ケースC1と第2ケースC2とが対向配置されて、1つの箱状部材としてのケースCが形成されている。
【0014】
第1ケースC1は、底壁BW1と、当該底壁BW1の周縁に全周に亘って連結されている周側壁SW1とを有している。周側壁SW1は、図2及び図3に示したように、互いに対向する左側壁SW1a及び右側壁SW1bと、左側壁SW1a及び右側壁SW1bを連結し、互いに対向する前側壁SW1c及び後側壁SW1dとからなる。第1ケースC1は、その底壁BW1の反対側(図2において上側)が開口した箱状部材である。底壁BW1の内周面及び周側壁SW1の内周面は、第1ケースC1の内壁面を構成している。周側壁SW1の開口端(図2における上端)には、その全周に亘ってフランジFが設けられている。フランジFは、周側壁SW1の前記開口端から外方に延びる第1延設部Faと、第1延設部Faの先端から屈曲して第2ケースC2側に延びている第2延設部Fbとを有している。周側壁SW1の左側壁SW1aには、筒状の導入部ACINが設けられている。第1ケースC1内の領域と導入部ACINとが連通している。導入部ACINに、上述した吸気管P2が連結されている。
【0015】
第2ケースC2は、底壁BW2と、該底壁BW2の周縁に全周に亘って連結されている周側壁SW2とを有している。周側壁SW2は、図2に示したように、互いに対向する左側壁SW2a及び右側壁SW2bと、当該左側壁SW2a及び右側壁SW2bを連結し、互いに対向する前側壁SW2c及び後側壁SW2dとからなる。第2ケースC2は、底壁BW2の反対側(図2の下側)が開口した箱状に形成されている。底壁BW2の内周面及び周側壁SW2の内周面は、第2ケースC2の内壁面を構成している。周側壁SW2の開口端(図2の下端)には、全周に亘ってフランジFが設けられている。フランジFは、周側壁SW2の前記開口端から外方に延びる延設部Faと、延設部Faの先端から屈曲して第1ケースC1側に延びる延設部Fbとを有している。周側壁SW2の左側壁SW1aには、筒状の導出部ACOUTが設けられている。第2ケースC2の内域と導出部ACOUTとが連通している。導出部ACOUTに、上述した吸気管P1が連結されている。
【0016】
第1ケースC1の開口部と第2ケースC2の開口部が互いに連通するように対向した状態で組付けられている。このケースCに、エレメントEMが収容されている。エレメントEMは、例えば、濾紙から構成されており、厚板状の濾過部EMaと、該濾過部EMaの周面から突出し、濾過部EMaよりも薄板状の連結片EMbとを有している。連結片EMbは、濾過部EMaの全周に亘って連続して設けられている。連結片EMbは、第1ケースC1のフランジFと第2ケースC2のフランジFとの間に挟まれている。これにより、ケースCにエレメントEMが保持されている。濾過部EMaの周面は、第1ケースC1及び第2ケースC2の周側壁SW1,SW2の内周面に当接しており、当該エレメントEMによってケースCの内域が、第1ケースC1側と第2ケースC2側とに仕切られている。
【0017】
吸気管P2から導入部ACINに流入した空気は、第1ケースC1内に導入される。第1ケースC1内に導入された空気に含まれる異物は、エレメントEMを通過して濾過され、空気のみが第2ケースC2内に流れる。第2ケースC2内に流入した空気は、導出部ACOUTから吸気管P1へ流出する。
【0018】
上記のように構成されたケースC内に、本実施形態に係る吸音装置1が収容されている。吸音装置1は、ガイド部材10及び吸音部材20を備える。
【0019】
ガイド部材10は、合成樹脂製であり、図2乃至図4に示したように、略椀形状(籠状)を呈する。すなわち、ガイド部材10の周壁部11は、その側面視(図4を参照)において略半円形を呈するように湾曲している。周壁部11のうち、その底壁部11aとは反対側の部位(同図において上側)が開口している。当該部位を開口部11bと称呼する。さらに、周壁部11は、底壁部11aの全周に亘って形成されているのではなく、その一部が開口している。当該部位を開口部11cと称呼する。
【0020】
周壁部11に、複数の通気孔Hが設けられている。すなわち、周壁部11は、互いに交差する複数の桟から構成されている。通気孔Hは多角形(例えば、長方形、六角形など)を呈する。
【0021】
周壁部11のうち、開口部11bに沿う上縁部11dには、通気孔Hが設けられていない。上縁部11dには、複数の矩形の開口部OPが設けられている。これらの開口部OPは、上縁部11dの周方向に所定の間隔を置いて配置されている。各開口部OPの外周面側に、爪部12が形成されている。爪部12は、開口部11b側から底壁部11a側へ向かって延設されている。すなわち、図5に示したように、爪部12のうち、開口部11b側の端部(基端部)が上縁部11dに接続されている。一方、爪部12のうち、底壁部11a側の端部(先端部)は、上縁部11dには接続されず、自由端になっている。図6に示したように、爪部12の先端部のうち、開口部OP側へ向けられた面S1に、凸部PPが設けられている。凸部PPは、略楔形を呈する。すなわち、凸部PPの開口部OP側へ向けられた面S2は、面S1に対して傾斜している。面S2のうち、爪部12の先端側に位置する端部S2aに対し、爪部12の基端側に位置する端部S2bが、開口部OPに近接している。また、凸部PPのうち、端部S2b側の端面S3と、面S1との間の角度θが略「90°」である。なお、角度θは、90°以下であればよい。例えば、「60°」)であってもよい。
【0022】
吸音部材20は、不織布製である。吸音部材20は、ガイド部材10よりも厚肉のシート状の原反から切り出される。吸音部材20が原反から切り出される際、吸音部材20の外周縁部21に相当する部分が、所定の金型により、加熱されながらプレスされる。これにより、図7に示したように、外周縁部21が、それよりも内側に位置する領域22よりも薄肉化されるとともに、外周縁部21の強度が、領域22よりも高められる。さらに、当該金型には、複数の刃(トムソン刃)が配置されている。これらの刃により、外周縁部21に、同図に示した、略U字形状を呈する切り込みCPが形成される。これらの切り込みCPは、外周縁部21の周方向に沿って所定の間隔を置いて配置されている。各切り込みCPは、各爪部12に対応している。切り込みCPは、互いに平行に延び、対向配置された第1切り込み部CP1,CP1と、これらの第1切り込み部CP1,CP1の一端部同士を接続する第2切り込み部CP2とからなる。第1切り込み部CP1,CP1の一端部側が、吸音部材20の外周側へ向けられし、第1切り込み部CP1,CP1の他端側が、吸音部材20の内側へ向けられている。
【0023】
外周縁部21の厚さt(図7を参照)は、爪部12の面S1と開口部OPの開口面との間の距離d(図6を参照)と同等又はそれよりもわずかに大きい。また、切り込みCPの幅は、爪部12の幅より少し大きい。切り込みCPの幅は、例えば、「5mm」である。この場合、爪部12の幅は、例えば、「4mm」である。
【0024】
図7に示したように、吸音部材20の外周縁部21が、ガイド部材10の爪部12と上縁部11dとの間に挿入される。すると、図8に示したように、切り込みCPの内側領域(第1切り込み部CP1,CP1と第2切り込み部CP2とで囲まれた領域)が、爪部12の凸部PPによって、開口部OP内側へ押圧され、切り込みCPが開口する。この開口部CPa内に凸部PPが入り込み、開口部CPaの縁部が、凸部PPに係止される。すなわち、凸部PPは、第2切り込み部CP2の縁部が引っ掛けられるフックとして機能する。このようにして、吸音部材20がガイド部材10に固定される。これにより、ガイド部材10の外側面が吸音部材20で覆われる。
【0025】
上記のように構成された吸音装置1がケースC内の第1ケースC1内に配置されて、第1ケースC1の内側面に固定される。第1ケースC1内において、開口部がエレメントEM側へ向けられ、且つ開口部が左壁側へ向けられている。図2及び図3に示したように、吸音部材20は、左側壁SW1a、右側壁SW1b、前側壁SW1c、及び後側壁SW1dの内周面に当接している。吸音部材20は、ガイド部材10の通気孔Hを塞いでいる。第1ケースC1内に導入された空気は、ガイド部材10の孔Hを通じて吸音部材20に接触する。
【0026】
第1ケースC1の内側面と吸音部材20の外周面との間に空間(吸音室SAR(図2を参照))が設けられている。ここで、空気の通過し難さ(通気率)は、吸音部材20よりもエレメントEMの方が高く、エアクリーナーACを流れる空気は、エレメントEMを通過する一方で吸音部材20を通過し難い。そのため、吸音室SARには空気はほとんど流れない。
【0027】
(作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0028】
(1)吸音部材20の切り込みCPを、爪部12に係止させて、吸音部材20をガイド部材10に固定している。これによれば、吸音部材20をガイド部材10に溶着する構成に比べて、吸音部材20を簡単に固定できる。つまり、本実施形態によれば、吸音部材20を固定する工程にかかる時間を短縮することができる。つまり、吸音装置1の組み立て性が高い。また、吸音部材20を固定するための装置(溶着装置)、材料などが不要であるので、吸音装置1の製造コストを低減できる。
【0029】
(2)エアクリーナーACにおいて、図2に破線の矢印で示したように、空気の脈動(振動)が吸気管P1からエアクリーナーACに伝達されたとき、吸音装置1が、この空気の振動エネルギーを吸収して、該振動を減衰させる。また、エアクリーナーAC内の吸音室には、空気が存在し、当該空気は、その粘性によりばねのように機能する。低周波の空気振動は、吸音部材20を通過する場合があるが、この場合には、各吸音室SARのばね効果により、当該空気振動が減衰される。これにより、吸音部材20や吸音室SARを備えない構成に比して、空気の振動を減衰させることができる。そのため、吸気口INから放音される騒音の音量を低減できる。
【0030】
(3)吸音部材20はガイド部材10と共に、空気の流れを導入部ACINから導出部ACOUT側に指向させる。そのため、吸音装置1を備えない構成に比して、エアクリーナーAC内での空気の圧力損失を低減させることもできる。
【0031】
上記実施形態は以下のように変更して実施することができる。
【0032】
例えば、上記実施形態では、不織布製の吸音部材20を採用しているが、これに代えて、ウレタン製の吸音部材を採用してもよい。また、上記実施形態では、外周縁部21に切り込みCPを設けて置き、当該切り込みCPを開口させた開口部CPaの縁部が、凸部PPに係止される。これに代えて、外周縁部21に円形又は多角形の孔を設けておき、当該孔の縁部が凸部PPに係止されてもよい。また、外周縁部21に開口部、孔などを設けるのではなく、段差を設けておき、当該段差部が爪部12に係止されてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1…エアクリーナー用吸音装置、10…ガイド部材、11…周壁部、12…爪部、20…吸音部材、21…外周縁部、AC…エアクリーナー、ACIN…導入部、ACOUT…導出部、C…ケース、CP…切り込み
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8