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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002040
(43)【公開日】2023-01-10
(54)【発明の名称】車両用サンバイザ装置
(51)【国際特許分類】
   B60J 3/02 20060101AFI20221227BHJP
   B60N 2/16 20060101ALI20221227BHJP
   B60N 2/06 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
B60J3/02 M
B60N2/16
B60N2/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021103036
(22)【出願日】2021-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】福留 駿介
(72)【発明者】
【氏名】番匠 里奈
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087BA01
3B087BA15
(57)【要約】
【課題】補助バイザの突出量の調整の手間を軽減することができる車両用サンバイザ装置を提供する。
【解決手段】サンバイザ装置20は、バイザ部21、駆動部、及びシートECU40を備えている。バイザ部21は、乗員Dが着座するシート51と車両10の窓13との間に設けられたシート状のバイザ本体22及びバイザ本体22に対してバイザ本体22の面方向にスライド可能に支持されるとともにバイザ本体22が上下方向Zに延在する使用位置にあるときにバイザ本体22から下方に突出可能に設けられるシート状の補助バイザ23を備える。駆動部は、補助バイザ23をスライド駆動させる。シートECU40は、駆動部を制御する。シートECU40は、シート51に着座する乗員Dのアイポイントの高さが低いときには高いときに比べて補助バイザ23が下方に突出するように、当該乗員Dのアイポイントの高さに関連する状態量に基づいて駆動部を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員が着座するシートと車両の窓との間に設けられたシート状のバイザ本体及び前記バイザ本体に対して前記バイザ本体の面方向にスライド可能に支持されるとともに前記バイザ本体が車両の上下方向に延在する使用位置にあるときに前記バイザ本体から下方に突出可能に設けられるシート状の補助バイザを備えるバイザ部と、
前記補助バイザをスライド駆動する駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記シートに着座する乗員のアイポイントの高さが低いときには高いときに比べて前記補助バイザが下方に突出するように、当該乗員のアイポイントの高さに関連する状態量に基づいて前記駆動部を制御する、
車両用サンバイザ装置。
【請求項2】
前記バイザ部は、前記シートと、車両のウィンドシールドとの間に設けられるものであり、
車両の前後方向における前記シートの位置を検出するシート前後位置検出部を備え、
前記制御部は、前記シート前後位置検出部により検出される車両の前後方向における前記シートの位置に基づいて前記駆動部を駆動するものであり、前記シートが前側にあるときには、後側にあるときに比べて、前記補助バイザが下方に突出するように前記駆動部を制御する、
請求項1に記載の車両用サンバイザ装置。
【請求項3】
車両の上下方向における前記シートの位置を検出するシート高さ位置検出部を備え、
前記制御部は、前記シート高さ位置検出部により検出される車両の上下方向における前記シートの位置に基づいて前記駆動部を駆動するものであり、前記シートが上側にあるときには、下側にあるときに比べて、前記補助バイザが下方に突出するように前記駆動部を制御する、
請求項1または請求項2に記載の車両用サンバイザ装置。
【請求項4】
前記バイザ本体は、前記バイザ本体が車両の前後方向に延在する格納位置と前記使用位置との間で移動可能に設けられるものであり、
前記バイザ本体が前記使用位置にあるか否かを検知する検知部を備え、
前記制御部は、前記検知部により前記バイザ本体が前記使用位置にあると検出されているときにのみ、前記状態量に基づく前記駆動部の制御を実行する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両用サンバイザ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用サンバイザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には車両用のサンバイザが記載されている。特許文献1に記載のサンバイザは、サンバイザ本体部と、サンバイザ本体部の内部に収納される補助バイザとを備えている。補助バイザは、外部に露出するつまみ部を有している。乗員は、補助バイザのつまみ部を把持した状態で下方に引っ張ることで、サンバイザ本体部の内部から補助バイザを引き出すことができる。これにより、サンバイザの上下幅を拡張することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63-149314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のサンバイザは、補助バイザの引き出し量の調整が乗員による手動で行われるものである。そのため、補助バイザの引き出し量の調整が煩雑となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための車両用サンバイザ装置は、乗員が着座するシートと車両の窓との間に設けられたシート状のバイザ本体及び前記バイザ本体に対して前記バイザ本体の面方向にスライド可能に支持されるとともに前記バイザ本体が車両の上下方向に延在する使用位置にあるときに前記バイザ本体から下方に突出可能に設けられるシート状の補助バイザを備えるバイザ部と、前記補助バイザをスライド駆動する駆動部と、前記駆動部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記シートに着座する乗員のアイポイントの高さが低いときには高いときに比べて前記補助バイザが下方に突出するように、当該乗員のアイポイントの高さに関連する状態量に基づいて前記駆動部を制御する。
【0006】
太陽からの直接光が車両の窓を通じてシートに着座する乗員の目に入射しないようにする上では、当該乗員のアイポイントの高さが低いときには高いときに比べてバイザ部の下端を低くすることが好ましい。
【0007】
この点、上記構成によれば、シートに着座する乗員のアイポイントの高さに関連する状態量に基づいて駆動部が制御されることにより、当該乗員のアイポイントの高さが低いときには高いときに比べて補助バイザが下方に突出するようになる。したがって、補助バイザの突出量の調整の手間を軽減することができる。
【0008】
上記車両用サンバイザ装置において、前記バイザ部は、前記シートと、車両のウィンドシールドとの間に設けられるものであり、車両の前後方向における前記シートの位置を検出するシート前後位置検出部を備え、前記制御部は、前記シート前後位置検出部により検出される車両の前後方向における前記シートの位置に基づいて前記駆動部を駆動するものであり、前記シートが前側にあるときには、後側にあるときに比べて、前記補助バイザが下方に突出するように前記駆動部を制御することが好ましい。
【0009】
車両の前後方向におけるシートの位置が前側のときには後側のときに比べて当該シートに着座する乗員の体格が小さい可能性が高い。また、乗員の体格が小さいほど、乗員のアイポイントの高さは低くなる傾向がある。したがって、車両の前後方向におけるシートの位置と、当該シートに着座する乗員のアイポイントの高さとの間には相関関係があるといえる。
【0010】
上記構成によれば、乗員のアイポイントの高さに関連する状態量として、車両の前後方向におけるシートの位置が用いられる。これにより、乗員のアイポイントの高さと相関関係のある車両の前後方向におけるシートの位置に基づいて補助バイザを適切にスライド駆動することができる。
【0011】
上記車両用サンバイザ装置において、車両の上下方向における前記シートの位置を検出するシート高さ位置検出部を備え、前記制御部は、前記シート高さ位置検出部により検出される車両の上下方向における前記シートの位置に基づいて前記駆動部を駆動するものであり、前記シートが上側にあるときには、下側にあるときに比べて、前記補助バイザが下方に突出するように前記駆動部を制御することが好ましい。
【0012】
車両の上下方向におけるシートの位置が上側のときには下側のときに比べて当該シートに着座する乗員の体格が小さい可能性が高い。また、乗員の体格が小さいほど、乗員のアイポイントの高さは低くなる傾向がある。したがって、車両の上下方向におけるシートの位置と、当該シートに着座する乗員のアイポイントの高さとの間には相関関係があるといえる。
【0013】
上記構成によれば、乗員のアイポイントの高さに関連する状態量として、車両の上下方向におけるシートの位置が用いられる。これにより、乗員のアイポイントの高さと相関関係のある車両の上下方向におけるシートの位置に基づいて補助バイザを適切にスライド駆動することができる。
【0014】
上記車両用サンバイザ装置において、前記バイザ本体は、前記バイザ本体が車両の前後方向に延在する格納位置と前記使用位置との間で移動可能に設けられるものであり、前記バイザ本体が前記使用位置にあるか否かを検知する検知部を備え、前記制御部は、前記検知部により前記バイザ本体が前記使用位置にあると検出されているときにのみ、前記状態量に基づく前記駆動部の制御を実行することが好ましい。
【0015】
同構成によれば、バイザ本体が使用位置にあるときにのみ補助バイザがスライド駆動される。このため、バイザ本体が格納位置にあるとき、すなわち乗員がバイザ本体を使用しないときに補助バイザが無駄にスライド駆動されることを阻止できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、補助バイザの突出量の調整の手間を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】車両用サンバイザ装置の一実施形態について、運転席を中心に示す車両の断面図。
図2】同実施形態のサンバイザ装置を示す正面図であって、(a)は、補助バイザがバイザ本体に収納されている状態を示す図、(b)は、補助バイザがバイザ本体から下方に突出した状態を示す図。
図3】同実施形態のサンバイザ装置の電気的構成を示すブロック図。
図4】サンバイザ装置のモータの制御の処理手順を示すフローチャート。
図5】基準位置にあるシートに着座する乗員のアイポイントとバイザ部との位置関係を示す断面図。
図6】基準位置よりも前方且つ上方にあるシートに着座する乗員のアイポイントとバイザ部との位置関係を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1図6を参照して、車両用サンバイザ装置の一実施形態について説明する。
まず、車両10の運転席周りの構成について説明する。
なお、以降においては、車両10の前後方向を単に前後方向Lとするとともに、車両10の上下方向を単に上下方向Zとして説明する。
【0019】
<シート装置50>
図1に示すように、車両10のフロア11には、運転席用のシート装置50が設けられている。
【0020】
シート装置50は、シート51と、シート51を前後方向Lにスライドさせる周知のスライド機構60と、シート51とスライド機構60との間に設けられ、シート51を上下方向Zに移動させる周知のリフタ機構70とを備えている。
【0021】
シート51は、シートクッション52と、シートクッション52の後部に連結されるとともに上方に延びるシートバック53と、シートバック53の上部に連結されたヘッドレスト54とを備えている。
【0022】
スライド機構60は、フロア11に固定された一対のロアレール61と、シートクッション52の下部に固定され、一対のロアレール61に対してスライド可能に設けられたスライド部62とを備えている。
【0023】
一対のロアレール61は、前後方向Lに延在するとともに車幅方向に互いに間隔をあけて設けられている。
スライド部62は、一対のロアレール61にそれぞれ支持された一対のアッパレール63と、ロアレール61に対してアッパレール63をスライド駆動するモータ64とを備えている。一対のアッパレール63は、一対のロアレール61に対応して前後方向Lに延在するとともに車幅方向に互いに間隔をあけて設けられている。
【0024】
リフタ機構70は、シートクッション52とスライド部62との間に設けられてシート51を上下方向Zに移動させるリフタ部71と、リフタ部71を駆動するモータ72とを備えている。リフタ部71は、周知のリンク機構によって構成されている。
【0025】
図3に示すように、モータ64には、モータ64の出力軸の回転角の変化量を検出する回転角センサ64aが設けられている。
図3に示すように、モータ72には、モータ72の出力軸の回転角の変化量を検出する回転角センサ72aが設けられている。
【0026】
<サンバイザ装置20>
図1に示すように、サンバイザ装置20は、車両10の天井12において、シート51と、ウィンドシールド13との間に設けられたバイザ部21を備えている。
【0027】
図1図2(a)及び図2(b)に示すように、バイザ部21は、シート状のバイザ本体22と、バイザ本体22に対してバイザ本体22の面方向にスライド可能に支持されたシート状の補助バイザ23とを備えている。
【0028】
サンバイザ装置20は、補助バイザ23をスライド駆動する駆動部30と、駆動部30を制御するシートECU40とを備えている。
<バイザ本体22>
図1図2(a)及び図2(b)に示すように、天井12においてウィンドシールド13と隣り合う部分には、車室内に突出する支持軸24が連結されている。
【0029】
図2(a)及び図2(b)に示すように、支持軸24は、天井12から下方に突出する基部24aと、基部24aの先端において屈曲するとともに車幅方向Wの内側に向かって延びる支持部24bとを有している。なお、支持軸24は、基部24aの軸線を中心に、天井12に対して回動可能に設けられている。
【0030】
バイザ本体22は、正面視横長の長方形状である。
支持部24bは、バイザ本体22における車幅方向Wの外側の側端面22aからバイザ本体22の内部に挿入されている。支持部24bは、バイザ本体22を支持部24bの軸線を中心に回動可能に支持している。
【0031】
図1に示すように、バイザ本体22は、前後方向Lに延在する格納位置(同図の二点鎖線参照)と、上下方向Zに延在する使用位置(同図の実線参照)との間で回動可能に構成されている。
【0032】
図2(a)及び図2(b)に示すように、バイザ本体22は、使用位置における下端面22bに開口する収容部22cを有している。
<補助バイザ23>
図2(a)及び図2(b)に示すように、バイザ本体22の収容部22cには、補助バイザ23がバイザ本体22の下端面22bから下方に突出可能に収容されている。
【0033】
補助バイザ23は、正面視横長の長方形状である。補助バイザ23の長辺及び短辺は、バイザ本体22の長辺及び短辺よりもそれぞれ小さい。
<駆動部30>
図2(a)及び図2(b)に示すように、駆動部30は、バイザ本体22の内部に固定されたモータ31と、モータ31の出力軸31aの回転運動をバイザ本体22の短辺方向の直線運動に変換する変換機構32とを備えている。
【0034】
変換機構32は、例えば、モータ31の出力軸31aに固定された円形歯車であるピニオン(図示略)と、補助バイザ23に固定されるとともに上記短辺方向に延在する帯状のラック(図示略)とにより構成されるラックアンドピニオンにより構成されている。ラックには、ピニオンの歯に噛合する複数の歯または孔が上記短辺方向に並んで設けられている。
【0035】
<検知部35>
図2に示すように、サンバイザ装置20は、バイザ本体22が使用位置にあるか否かを検知する検知部35を備えている。
【0036】
検知部35は、例えばバイザ本体22が使用位置まで回動されることでオン操作される機械的なスイッチによって構成されている。
<シートECU40>
図1及び図3に示すように、車両10には、シートECU40が設けられている。
【0037】
シートECU40は、シート装置50のモータ64,72を制御するシート制御部41と、サンバイザ装置20のモータ31を制御するバイザ制御部42とを有している。
シートECU40は、シートクッション52の内部に設けられている。
【0038】
図3に示すように、シートECU40には、回転角センサ64a,72a、スライド機構60を操作するスライドスイッチ91、リフタ機構70を操作するリフタスイッチ92、及び検知部35が電気的に接続されている。
【0039】
シート制御部41は、スライドスイッチ91の操作信号に基づいてモータ64を駆動する。
シート制御部41は、リフタスイッチ92の操作信号に基づいてモータ72を駆動する。
【0040】
<シート前後位置検出部81及びシート高さ位置検出部82>
図3に示すように、車両10には、前後方向Lにおけるシート51の位置を検出するシート前後位置検出部81と、上下方向Zにおけるシート51の位置を検出するシート高さ位置検出部82とが設けられている。
【0041】
シート前後位置検出部81は、モータ64の出力軸の回転角の変化量を検出する回転角センサ64aと、シート制御部41とにより構成されている。シート制御部41は、直前に検出した前後方向Lにおけるシート51の位置と、回転角センサ64aにより検出されるモータ64の出力軸の回転角の変化量とに基づいて、前後方向Lにおけるシート51の位置を検出する。シート制御部41は、検出した前後方向Lにおけるシート51の位置をシートECU40の記憶部に記憶する。
【0042】
シート高さ位置検出部82は、モータ72の出力軸の回転角の変化量を検出する回転角センサ72aと、シート制御部41とにより構成されている。シート制御部41は、直前に検出した上下方向Zにおけるシート51の位置と、回転角センサ72aにより検出されるモータ72の出力軸の回転角の変化量とに基づいて、上下方向Zにおけるシート51の位置を検出する。シート制御部41は、検出した上下方向Zにおけるシート51の位置をシートECU40の記憶部に記憶する。
【0043】
<バイザ制御部42によるサンバイザ装置20のモータ31の制御>
ここで、太陽Sからの直接光がウィンドシールド13を通じてシート51に着座する乗員Dの目に入射しないようにする上では、当該乗員Dのアイポイントの高さが低いときには高いときに比べてバイザ部21の下端を低くすることが好ましい。
【0044】
そこで、バイザ制御部42は、シート51に着座する乗員Dのアイポイントの高さが低い(乗員DS)ときには高いとき(乗員DL)に比べて補助バイザ23が下方に突出するように、乗員Dのアイポイントの高さに関連する状態量に基づいてモータ31を制御する。
【0045】
前後方向Lにおけるシート51の位置が前側のときには後側のときに比べて当該シート51に着座する乗員Dの体格が小さい可能性が高い。また、上下方向Zにおけるシート51の位置が上側のときには下側のときに比べて当該シート51に着座する乗員Dの体格が小さい可能性が高い。
【0046】
また、乗員Dの体格が小さいほど、乗員Dのアイポイントの高さは低くなる傾向がある。
したがって、前後方向Lにおけるシート51の位置と、当該シート51に着座する乗員Dのアイポイントの高さとの間には相関関係があるといえる。また、上下方向Zにおけるシート51の位置と、当該シート51に着座する乗員Dのアイポイントの高さとの間には相関関係があるといえる。
【0047】
そこで本実施形態のバイザ制御部42は、シート前後位置検出部81により検出される前後方向Lにおけるシート51の位置及びシート高さ位置検出部82により検出される車両10の上下方向Zにおけるシート51の位置に基づいてモータ31を駆動する。詳しくは、バイザ制御部42は、シート51が前側にあるときには、後側にあるときに比べて、補助バイザ23が下方に突出するようにモータ31を制御する。また、バイザ制御部42は、シート51が上側にあるときには、下側にあるときに比べて、補助バイザ23が下方に突出するようにモータ31を制御する。
【0048】
次に、図4のフローチャートを参照して、シートECU40によるモータ31の制御の処理手順について説明する。
この一連の処理は、検知部35によりバイザ本体22が使用位置にあると検出されているときにのみ実行される。
【0049】
図4に示すように、この一連の処理では、まず、シートECU40は、シート前後位置検出部81及びシート高さ位置検出部82の検出結果に基づいて、シート51の位置が直前に検出したシート51の位置から変更されたか否かを判断する(ステップS1)。
【0050】
ここで、シート51の位置が変更されたと判断した場合(ステップS1:「YES」)には、シートECU40は、次に、前後方向Lにおけるシート51の位置及び上下方向Zにおけるシート51の位置を検出する(ステップS2)。
【0051】
次に、シートECU40は、前後方向Lにおけるシート51の位置及び上下方向Zにおけるシート51の位置に基づいてバイザ本体22の下端面22bからの補助バイザ23の突出量の目標値を導出する(ステップS3)。
【0052】
シートECU40は、前後方向Lにおけるシート51の位置及び上下方向Zにおけるシート51の位置と、バイザ本体22の下端面22bからの補助バイザ23の突出量との関係を規定したマップを参照して、補助バイザ23の突出量の目標値を導出する。詳しくは、シート51の位置が前側であるほど、あるいは上側であるほど、補助バイザ23の突出量が大きくなるように上記目標値が導出される。なお、シートECU40は、導出した目標値を記憶部に記憶する。また、上記関係は、実験などを通じて予め設定されている。
【0053】
次に、シートECU40は、導出した突出量の目標値に基づいてモータ31を制御する(ステップS4)。
そして、シートECU40は、この一連の処理を終了する。
【0054】
一方、シート51の位置が変更されていないと判断した場合(ステップS1:「NO」)には、乗員Dのアイポイントの高さが変更されていないことから、目標値の更新を行わない。
【0055】
このとき、シートECU40は、突出量の目標値の導出を行わず、直前に導出した補助バイザ23の突出量の目標値に基づいてモータ31を制御する(ステップS5)。そして、シートECU40は、この一連の処理を終了する。
【0056】
なお、バイザ部21が使用位置から格納位置に戻されたことが検知部35によって検知されたときには、シートECU40は、補助バイザ23の全体をバイザ本体22の収容部22cの内部に収容するべく、モータ31を制御する。
【0057】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図5に実線にて示すように、標準的な体格の乗員DLが適切に運転することのできるシート51の位置である基準位置においては、太陽Sからの直接光は、バイザ本体22によって遮られることで、当該乗員DLの目にほとんど入射しない。
【0058】
またこのとき、図5に二点鎖線にて示すように、小柄な体格の乗員DSが基準位置にあるシート51に着座すると、太陽Sからの直接光は、バイザ本体22によって遮ることができず、当該乗員DSの目に入射することとなる。
【0059】
図6に実線にて示すように、小柄な体格の乗員DSは、シート51の位置を基準位置よりも前側且つ上側に変更する。
このとき、シート51の位置が変更されることに伴ってシートECU40によりモータ31が制御されることで、バイザ本体22の下端面22bよりも補助バイザ23が下方に突出される。これにより、太陽Sからの直接光が、バイザ本体22及び補助バイザ23によって遮られることで、当該乗員DSの目にほとんど入射しなくなる。
【0060】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)シートECU40は、シート51に着座する乗員Dのアイポイントの高さが低いときには高いときに比べて補助バイザ23が下方に突出するように、当該乗員Dのアイポイントの高さに関連する状態量に基づいて駆動部30を構成するモータ31を制御する。
【0061】
こうした構成によれば、シート51に着座する乗員Dのアイポイントの高さに関連する状態量に基づいて駆動部30が制御されることにより、当該乗員Dのアイポイントの高さが低いときには高いときに比べて補助バイザ23が下方に突出するようになる。したがって、補助バイザ23の突出量の調整の手間を軽減することができる。
【0062】
(2)サンバイザ装置20は、前後方向Lにおけるシート51の位置を検出するシート前後位置検出部81を備える。シートECU40は、シート前後位置検出部81により検出される前後方向Lにおけるシート51の位置に基づいて駆動部30を駆動する。また、シートECU40は、シート51が前側にあるときには、後側にあるときに比べて、補助バイザ23が下方に突出するようにモータ31を制御する。
【0063】
こうした構成によれば、乗員Dのアイポイントの高さに関連する状態量として、前後方向Lにおけるシート51の位置が用いられる。これにより、乗員Dのアイポイントの高さと相関関係のある前後方向Lにおけるシート51の位置に基づいて補助バイザ23を適切にスライド駆動することができる。
【0064】
(3)サンバイザ装置20は、上下方向Zにおけるシート51の位置を検出するシート高さ位置検出部82を備える。シートECU40は、シート高さ位置検出部82により検出される上下方向Zにおけるシート51の位置に基づいて駆動部30を駆動する。また、シートECU40は、シート51が上側にあるときには、下側にあるときに比べて、補助バイザ23が下方に突出するようにモータ31を制御する。
【0065】
こうした構成によれば、乗員Dのアイポイントの高さに関連する状態量として、上下方向Zにおけるシート51の位置が用いられる。これにより、乗員Dのアイポイントの高さと相関関係のある上下方向Zにおけるシート51の位置に基づいて補助バイザ23を適切にスライド駆動することができる。
【0066】
(4)バイザ本体22は、格納位置と使用位置との間で移動可能に設けられるものである。サンバイザ装置20は、バイザ本体22が使用位置にあるか否かを検知する検知部35を備える。シートECU40は、検知部35によりバイザ本体22が使用位置にあるときにのみ、状態量に基づくモータ31の制御を実行する。
【0067】
こうした構成によれば、バイザ本体22が使用位置にあるときにのみ補助バイザ23がスライド駆動される。このため、バイザ本体22が格納位置にあるとき、すなわち乗員Dがバイザ本体22を使用しないときに補助バイザ23が無駄にスライド駆動されることを阻止できる。
【0068】
<変形例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0069】
・補助バイザ23は、バイザ本体22の内部に収容されるものに限らない。補助バイザは、バイザ本体の一方の面と重なり合うようにバイザ本体に対してスライド可能に連結されるものであればよい。
【0070】
・バイザ部21が格納位置にあるときにおいてもモータ31の制御を実行するようにしてもよい。この場合、乗員Dは、格納位置においてバイザ本体22から補助バイザ23が突出した状態のバイザ部21を使用位置に移動させて使用すればよい。
【0071】
・上記実施形態では、シート51の位置が前側であるほど、あるいは上側であるほど、補助バイザ23の突出量が大きくなるように当該突出量の目標値を導出したが、これに限らない。例えば、シート51の位置が前後方向Lの所定の位置よりも前側であるときにのみ、補助バイザ23をバイザ本体22の下端面22bよりも下方に突出させるようにしてもよい。あるいは、例えば、シート51の位置が上下方向Zの所定の位置よりも上側であるときにのみ、補助バイザ23をバイザ本体22の下端面22bよりも下方に突出させるようにしてもよい。
【0072】
・上記実施形態では、前後方向Lにおけるシート51の位置及び上下方向Zにおけるシート51の位置の双方に基づいて、モータ31を駆動する構成について例示したが、これに限らない。前後方向Lにおけるシート51の位置にのみ基づいてモータ31を駆動するものであってもよいし、上下方向Zにおけるシート51の位置にのみ基づいてモータ31を駆動するものであってもよい。
【0073】
・シート51に着座する乗員Dのアイポイントの高さに関連する状態量は、シート51の位置に限定されない。例えば、車載の赤外線カメラにより乗員Dを撮影するとともに、撮影結果に基づいて乗員Dのアイポイントの高さを検出するようにしてもよい。要するに、シート51に着座する乗員Dのアイポイントの高さが低いときには高いときに比べて補助バイザ23が下方に突出するように、当該乗員Dのアイポイントの高さに関連する状態量に基づいて駆動部30を制御するものであればよい。
【符号の説明】
【0074】
10…車両
11…フロア
12…天井
13…ウィンドシールド(窓)
20…サンバイザ装置
21…バイザ部
22…バイザ本体
22a…側端面
22b…下端面
22c…収容部
23…補助バイザ
24…支持軸
24a…基部
24b…支持部
30…駆動部
31…モータ
31a…出力軸
32…変換機構
35…検知部
40…シートECU
41…シート制御部
42…バイザ制御部(制御部)
50…シート装置
51…シート
52…シートクッション
53…シートバック
54…ヘッドレスト
60…スライド機構
61…ロアレール、
62…スライド部
63…アッパレール
64…モータ
64a…回転角センサ
70…リフタ機構
71…リフタ部
72…モータ
72a…回転角センサ
81…シート前後位置検出部
82…シート高さ位置検出部
91…スライドスイッチ
92…リフタスイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6