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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020405
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】電力制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/32 20060101AFI20230202BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20230202BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20230202BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/38 130
H02J3/38 110
H02J7/35 K
H02J13/00 301A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021125752
(22)【出願日】2021-07-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】518236605
【氏名又は名称】株式会社Social Area Networks
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】森田 高明
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G064AA01
5G064AC05
5G064AC09
5G064CB08
5G064CB10
5G066AA04
5G066AE09
5G066HA15
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA05
5G066JB03
5G503AA06
5G503BA02
5G503BB02
5G503CA10
5G503DA04
5G503GD03
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】配線工事を簡素化し、簡便に導入可能な電力制御装置を提供する。
【解決手段】電力制御装置10は、負荷機器2の使用電力を制御する電力制御装置10であって、負荷機器2に接続される制御回路11と、制御回路11に電力を供給する電源回路21と、を備え、制御回路11は、節電設定情報を記憶する記憶部13と、負荷機器2を操作する接点部15と、節電設定情報に基づき、接点部15を操作する制御部12と、を有し、電源回路21は、太陽電池パネル22と、二次電池24と、太陽電池パネル22の発電電力の一部を二次電池24に充電する充電部23と、を有し、電源回路21は、太陽電池パネル22の発電電力を制御回路11に供給し、余剰電力を二次電池24に充電し、太陽電池パネル22から発電電力を供給できない場合、二次電池24から制御回路11に電力を供給する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷機器の使用電力を制御する電力制御装置であって、
前記負荷機器に接続される制御回路と、該制御回路に電力を供給する電源回路と、を備え、
前記制御回路は、
節電設定情報を記憶する記憶部と、
前記負荷機器を操作する接点部と、
前記節電設定情報に基づき、前記接点部を操作する制御部と、を有し、
前記電源回路は、
太陽電池パネルと、二次電池と、前記太陽電池パネルの発電電力の一部を前記二次電池に充電する充電部と、を有し、
前記電源回路は、前記太陽電池パネルの前記発電電力を前記制御回路に供給し、余剰電力を前記二次電池に充電し、
前記太陽電池パネルから前記発電電力を供給できない場合、前記二次電池から前記制御回路に電力を供給することを特徴とする電力制御装置。
【請求項2】
前記電源回路は一次電池を備え、前記太陽電池パネルから発電電力を供給できず且つ前記二次電池が電池切れした場合に、前記一次電池から前記制御回路に電力を供給することを特徴とする請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項3】
前記制御回路は、外部の端末装置から、無線通信により前記節電設定情報を受信する無線通信部を備え、
前記記憶部は、前記無線通信部により受信した前記節電設定情報を記憶することを特徴とする請求項1又は2に記載の電力制御装置。
【請求項4】
前記制御回路は、環境情報を測定する環境情報測定装置から、無線通信により前記環境情報を受信する無線通信部を備え、
前記制御回路の前記制御部は、受信した前記環境情報と前記節電設定情報とに基づき、前記接点部を操作して前記負荷機器の前記使用電力を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電力制御装置。
【請求項5】
前記環境情報測定装置は温度センサと湿度センサとを有し、
前記制御部は、前記温度センサ及び前記湿度センサにより取得した温度及び湿度から不快指数を算出し、該不快指数に基づいて節電レベルを設定することを特徴とする請求項4に記載の電力制御装置。
【請求項6】
前記環境情報測定装置は照度を測定する照度センサ又は二酸化炭素の濃度を測定する二酸化炭素センサを有し、前記環境情報は前記照度センサが測定した照度又は前記二酸化炭素センサが測定した二酸化炭素の濃度の情報を含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の電力制御装置。
【請求項7】
前記制御回路の前記無線通信部は、障害が発生した場合に、障害情報を前記環境情報測定装置に送信することを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の電力制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力制御装置に係り、特に空調機等の負荷機器の電力量を調整可能な電力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力の使用量が大きい工場又はビル等では、節電のために電力使用量が電力会社と契約した電力を越えないようデマンド制御システムが導入されるようになった。デマンド制御システムにより、年間を通じて最大となる需要電力を低く抑えることができ、それにより基本料金を安価に設定することができる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-193639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなデマンド制御システムを、既存の施設に導入する場合、使用した電力量を監視する監視装置や建物内部及び周囲の環境(外気の温度・湿度等)を測定する環境情報測定装置を新たに設ける必要があった。更に、それらの装置に電力を供給したり、装置同士が通信したりできるよう配線工事を行わなくてはならない。
特に、空調機は室外機が建物の屋外に設置されていることから、室外機を制御する制御装置を室外機の近くに設置するための電気配線工事費及び通信用配線工事費が高くついていた。この配線工事にコストがかかることが、導入をためらう要因の一つとなっていた。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、配線工事等を簡素化し、より簡便に導入可能な電力制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、負荷機器の使用電力を制御する電力制御装置であって、前記負荷機器に接続される制御回路と、該制御回路に電力を供給する電源回路と、を備え、前記制御回路は、節電設定情報を記憶する記憶部と、前記負荷機器を操作する接点部と、前記節電設定情報に基づき、前記接点部を操作する制御部と、を有し、前記電源回路は、太陽電池パネルと、二次電池と、前記太陽電池パネルの発電電力の一部を前記二次電池に充電する充電部と、を有し、前記電源回路は、前記太陽電池パネルの前記発電電力を前記制御回路に供給し、余剰電力を前記二次電池に充電し、前記太陽電池パネルから前記発電電力を供給できない場合、前記二次電池から前記制御回路に電力を供給することにより、解決される。
【0007】
上記の構成によれば、電力制御装置の稼働に必要な電力を太陽電池又は二次電池から供給することができる。また、使用電力を制御するための節電設定情報は、制御回路に記憶されているものを使用することから、従来のデマンド制御システムのように計測した電力量に基づき常時、使用する電力を変更するサーバ等を用意する必要がない。そのため、電力を供給したり常に電力制御装置を管理するサーバ等と接続したりするための配線工事が簡素化され、簡便に電力制御装置を設置することができ、容易に節電することが可能となる。
【0008】
また、本発明の電力制御装置について好適な構成を述べると、前記電源回路は一次電池を備え、前記太陽電池パネルから発電電力を供給できず且つ前記二次電池が電池切れした場合に、前記一次電池から前記制御回路に電力を供給するとよい。
上記構成により、例えば雨天が続き太陽電池から給電できず且つ二次電池も電池切れになった場合でも、一次電池に切り替えて制御回路に電力を供給することができ、より長期間電力制御装置を稼働させることができる。
【0009】
また、本発明の電力制御装置について好適な構成を述べると、前記制御回路は、外部の端末装置から、無線通信により前記節電設定情報を受信する無線通信部を備え、前記記憶部は、前記無線通信部により受信した前記節電設定情報を記憶するとよい。
外部の端末装置から、無線通信により節電設定情報を簡便に更新することができる。
【0010】
また、本発明の電力制御装置について好適な構成を述べると、前記制御回路は、環境情報を測定する環境情報測定装置から、無線通信により前記環境情報を受信する無線通信部を備え、前記制御回路の前記制御部は、受信した前記環境情報と前記節電設定情報とに基づき、前記接点部を操作して前記負荷機器の前記使用電力を制御するとよい。
環境情報を利用して負荷機器の使用電力を制御することで、環境に即した節電を行うことができる。
【0011】
また、本発明の電力制御装置について好適な構成を述べると、前記環境情報測定装置は温度センサと湿度センサとを有し、前記制御部は、前記温度センサ及び前記湿度センサにより取得した温度及び湿度から不快指数を算出し、該不快指数に基づいて節電レベルを設定するとよい。
不快指数に基づいて、負荷機器の節電レベルを設定することで、より環境に即した節電を行うことができる。
【0012】
また、本発明の電力制御装置について好適な構成を述べると、前記環境情報測定装置は照度を測定する照度センサ又は二酸化炭素の濃度を測定する二酸化炭素センサを有し、前記環境情報は前記照度センサが測定した照度又は前記二酸化炭素センサが測定した二酸化炭素の濃度の情報を含むとよい。
照度又は二酸化炭素の濃度を測定することで、室内にいる人の有無を判定し、その判定結果に基づいて負荷機器の使用電力を制御することができる。
【0013】
また、本発明の電力制御装置について好適な構成を述べると、前記制御回路の無線通信部は、障害が発生した場合に、障害情報を前記環境情報測定装置に送信するとよい。
障害情報を環境情報測定装置に送信することにより、例えば環境情報測定装置から管理用サーバに送信することができ、障害が発生した場合に即座に対応して修理等を行うことができる。また、電力制御装置自身は、管理用サーバに送信する遠距離通信用の無線通信装置を用いることが無いことから、駆動するための電力を削減することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の電力制御装置によれば、電力を供給したり情報を送受信したりするための配線工事が簡素化されることから、簡便に導入して節電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態の電力制御装置を用いた節電システム全体を示す構成図である。
図2】電力制御装置及び環境情報測定装置のハードウェア構成を示す図である。
図3】電力制御装置の外観を示す図であり、(a)は電力制御装置の正面図、(b)は側面図である。
図4】電源回路により電力を供給する処理を示すフロー図である。
図5】環境情報測定装置のハードウェア構成の別例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<<節電システム>>
以下、本発明の実施形態について図を用いて説明する。図1は、電力制御装置10を用いた節電システム1の全体を示す構成図である。
節電システム1は、空調機2等の負荷機器の使用電力量を下げて節電するシステムである。節電システム1は、室内の温度や湿度を調整する空調機2(負荷機器)と、環境情報測定装置3と、管理用サーバ4と、入力用端末5と、空調機2の使用電力を制御する電力制御装置10と、から構成される。
【0017】
以下では、先ず、負荷機器である空調機2、環境情報測定装置3、管理用サーバ4及び入力用端末5の説明を行い、その後本発明の要である電力制御装置10について説明する。
【0018】
<<空調機>>
本実施形態における負荷機器である空調機2は、室内機2aと室外機2bとから構成される。室内機2aは建物内部に設置され室内の温度や湿度を調整し、室外機2bは屋外に設置され、室内機2aに冷媒配管及び電線を通じて接続されている。空調機2は、室内機2aを直接操作することにより電源のON/OFF、設定温度又は湿度等を変更することが可能である。また、空調機2は、室外機2bの電源をON/OFFしたり、室外機2bの駆動能力を制御したりすることによって使用電力を調整することができる。例えば、室外機2bのコンプレッサ等の出力を絞ることにより、設定温度にまで室内の温度が達する到達時間を遅らせて、それにより使用電力を減らすことができる。
また、室外機2bの筐体は金属製であり、磁石により電力制御装置10を筐体の側面に取り付けることができる。
なお、本実形態では負荷機器として空調機2を用いているが、これは一例であり、負荷機器は照明器具、冷凍装置又は冷蔵装置であってもよい。
【0019】
<<環境情報測定装置>>
環境情報測定装置3は、空調機2が設置された建物の外部周辺の環境情報を測定する装置である。本実施形態の環境情報測定装置3は、環境情報として温度及び湿度を測定するよう構成されており、測定された温度及び湿度の情報は、無線通信により電力制御装置10に送信される。また、環境情報測定装置3は、同期信号を電力制御装置10に送信してもよい。
【0020】
図2に環境情報測定装置3のハードウェア構成を示す。環境情報測定装置3は、データの演算・制御する処理装置としてのCPU31と、記憶装置としてのROM・RAM32と、無線通信によりデータの送受信を行う無線通信装置33、環境情報を測定するセンサ34及び電源装置35を備える。また、センサ34は、温度を測定する温度センサ34a、湿度を測定する湿度センサ34bを有する。
【0021】
環境情報測定装置3はコンピュータであり、記憶装置であるROM・RAM32には、コンピュータとして必要な機能を果たすメインプログラムの他、センサ34により取得した環境情報の測定値を電力制御装置10に送信するプログラム等が記憶されている。記憶されているプログラムがCPU31によって実行されることにより、環境情報測定装置3の機能が発揮される。
【0022】
環境情報測定装置3の無線通信装置33は「LoRa」と称される無線通信方式により電力制御装置10とデータの送受信を行う。LoRa方式は、LPWA(Low Power Wide Area)方式の無線通信の一つで、なるべく消費電力を抑えて遠距離通信を実現する国際的な通信技術であり、1回当たりの伝送容量が100バイト以下のUNB(ウルトラナローバンド)通信ネットワークである。LPWA方式は、LoRa以外に、例えば、セルラLPWA、SIGFOX、又はLoRaWANがある。この通信方式を採用することで、数キロメートル程度の無線通信を実現することが可能である。
【0023】
なお、環境情報測定装置3は、Wifi(登録商標)又はBluetooth(登録商標)による無線通信を用いて電力制御装置10とデータの送受信をしてもよい。
また、環境情報測定装置3は、SIMを搭載し、3G又はLTE接続により管理用サーバ4と接続してもかまわない。
【0024】
環境情報測定装置3は、測定した温度及び湿度の情報を電力制御装置10に送るだけでなく、電力制御装置10から電力制御装置10の状態情報又は故障情報を受信してもよい。電力制御装置10の保守を行う保守員は、環境情報測定装置3をノートパソコン等の保守用端末に接続して、電力制御装置10から状態情報又は故障情報を収集する。保守員は、受信した情報を基に、例えば環境情報測定装置3と電力制御装置10との間に通信障害がないかを確認したり、電波の受信状況等を確認したりする。また、電力制御装置10の1次電池又は2次電池の残り電力量を取得し稼働可能か否かを判断する。また、保守員は、ハードウェアの状態やファームウェアのバージョン情報を取得し、必要に応じて点検・修理を実施する。状態情報及び故障情報は保守員の作業時に取得される。また、状態情報や故障情報を一定期間、環境情報測定装置3の記憶部に記録できるようにしてもよい。保守点検時に記憶部に記録された故障情報を纏めて環境情報測定装置3から取得し、電力制御装置10の一定期間前の状態を確認できるようになる。
環境情報測定装置3が無線通信により電力制御装置10に接続することで、有線接続するためのLANケーブル等を設置する通信用配線工事しなくてもよくなる。
【0025】
環境情報測定装置3は、USB(Universal Serial Bus)端子を備えており、USB端子をパソコン等のUSBポートに接続することにより、記憶装置に記憶された環境情報を接続されたパソコン等に送信してもよい。
【0026】
また、環境情報測定装置3は、このUSB端子を電源装置35として利用してもよく、環境情報測定装置3を稼働させる電力をUSB端子経由で取得する。例えば、環境情報測定装置3は、USBポートを有する充電器を利用することでコンセントから電力を取得する。環境情報測定装置3の電源装置35は、アルカリ電池やリチウム電池などの一次電池、NiCd電池やNiMH電池、Li電池などの二次電池、ACアダプタ等であってもよい。
【0027】
<<管理用サーバ>>
管理用サーバ4は、有線又は無線のネットワークNを介して環境情報測定装置3から情報を取得して、電力制御装置10による節電量や、電力制御装置10の故障の有無等を表示する装置である。管理用サーバ4は、図示しないキーボードやモニタ等の入出力装置を有する。
また、管理用サーバ4は、入力用端末5及び環境情報測定装置3と情報の送受信を行う通信装置を備える。管理用サーバ4は、環境情報測定装置3から電力制御装置10による節電情報及び故障情報等を受信し、記憶装置に節電情報及び故障情報等を記録している。
また、管理用サーバ4のモニタに、受信した節電情報及び故障情報等が表示されようプログラムされており、電力制御装置10の状態を遠隔地からも確認することが可能となっている。
【0028】
<<入力用端末>>
入力用端末5は、外部の端末装置として、電力制御装置10を空調機2に取り付ける際に作業者が用いる携帯端末である。入力用端末5は、例えばノートパソコン、スマートフォン又はタブレット等である。作業者は、入力用端末5の無線通信機能、例えばBluetooth(登録商標)により入力用端末5と電力制御装置10と接続し、入力用端末5を操作することで電力制御装置10の節電設定情報等の設定を行う。
また、入力用端末5はネットワークNを経由して管理用サーバ4と接続することができる。作業者は、管理用サーバ4が管理する情報を、入力用端末5を用いて閲覧することができる。設定する際、入力用端末5により管理用サーバ4に記録された過去の節電状況の実績を確認することができ、例えば、作業者は、過去の節電実績等に基づいて、節電設定情報を電力制御装置10に入力することができる。
【0029】
<<電力制御装置>>
以下では、図2図4を用いて、本実施形態の電力制御装置10について説明する。
電力制御装置10は、節電設定情報に基づき、室外機2bを操作して駆動能力を調整することにより、空調機2の使用電力を制御する装置である。電力制御装置10は、空調機2の室外機2bと有線(ケーブル27)により接続されている。
例えば節電設定情報に、所定時間、室外機2bの駆動能力を半分に下げるよう設定されていた場合、電力制御装置10は、接続された室外機2b内のコンプレッサの出力を下げ、駆動能力が半分に下がるよう操作する。
また、電力制御装置10は、例えばBluetooth(登録商標)方式の無線通信により入力用端末5から情報を取得することができる。電力制御装置10は、空調機2の使用電力を制御する際のパラメータ等を含む節電設定情報を入力用端末5から受信する。
また、電力制御装置10は、LoRa方式の無線通信により、環境情報測定装置3から温度及び湿度の情報を取得することができる。
【0030】
<電力制御装置のハードウェア構成>
電力制御装置10のハードウェア構成について図2を用いて説明する。電力制御装置10は、図2に示すように、制御回路11と制御回路11に電力を供給する電源回路21とから構成されるコンピュータである。
【0031】
<制御回路>
制御回路11は、データの演算・制御処理を行うCPU12(制御部)と、記憶装置であるROM・RAM13(記憶部)を備える。また、制御回路11は、入力用端末5又は環境情報測定装置3とデータの送受信を行う無線通信装置14(無線通信部)と、空調機2を操作する接点回路15(接点部)と、を備える。
【0032】
電力制御装置10の記憶装置(ROM・RAM13)には、コンピュータとして必要な機能を果たすメインプログラムに加えて、入力用端末5から受信した節電設定情報に基づき接点回路15を操作するプログラムが記憶されている。記憶されたプログラムがCPU12によって実行されることにより、電力制御装置10の機能が発揮される。
【0033】
電力制御装置10は、無線通信装置14として、環境情報測定装置3とデータを送受信するようLaRa方式で通信可能な無線通信ユニットを備えている。この無線通信ユニットは、WiFi(登録商標)等の無線通信ユニットであってもよい。
また、電力制御装置10に障害が発生した場合、無線通信装置14により障害情報が環境情報測定装置3に送信されてもよい。
【0034】
また、電力制御装置10は、LaRa方式の無線通信ユニットとは別に、無線通信装置14としてBluetooth(登録商標)方式の無線通信ユニットを備えている。作業者は、Bluetooth(登録商標)により、入力用端末5と電力制御装置10とを接続して、電力制御装置10の節電設定情報を確認したり変更したりすることができる。入力用端末5と電力制御装置10とを無線通信により接続することで、ケーブル等の接続手段を用意することなく、データの授受を簡単に行うことができる。
【0035】
電力制御装置10の接点回路15は4つの接点から構成されており、電力制御装置10は節電設定情報に基づき、リレー制御することにより、空調機2(より詳しくは室外機2b)を操作する。なお、接点回路15の接点数は4つに限定されるものではなく、必要に応じて増減される。
【0036】
<電源回路>
電源回路21は、上述のように制御回路11、すなわちCPU12、ROM・RAM13、無線通信装置14、接点回路15に電力を供給する装置である。電源回路21は、太陽電池パネル22と、充電回路23(充電部)と、リチウムイオン二次電池24(二次電池)と、リチウム一次電池25(一次電池)とから構成される。
【0037】
太陽電池パネル22は、太陽光で発電を行うためのパネルである。また、充電回路23は、太陽電池パネル22による発電電力の一部をリチウムイオン二次電池24に充電する装置である。
【0038】
リチウムイオン二次電池24は、蓄電池であり、充電することにより繰り返し使用することができる電池である。使用する二次電池は、リチウムイオン二次電池24に限定されず、リチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル・水素蓄電池等、他の二次電池であってもよい。
【0039】
電源回路21が、太陽電池パネル22とリチウムイオン二次電池24とにより構成されているため、電源を供給するために電気配線工事をしなくても、室外機2bに取り付けるだけで電力制御装置10を稼働させることができる。
【0040】
また、日中の照度が不足している場合、例えば曇りや雨の日が数日続いた場合、太陽電池パネル22が発電できず、且つ、リチウムイオン二次電池24からも電力を供給できなくなる可能性がある。このような場合に備えて、電源回路21は、リチウム一次電池25をバックアップ電源として有している。電源回路21は、リチウムイオン二次電池24からの電力が不足する場合、リチウム一次電池25から電力を制御回路11に供給する。
【0041】
リチウム一次電池25は、直流電力の放電のみができる化学電池であり、交換することが可能になっている。一次電池は、マンガン乾電池・アルカリマンガン乾電池等の乾電池であってもよい。
リチウムイオン二次電池24からの電力が不足する場合であっても、リチウム一次電池25から電力を制御回路11に供給することができ、より長い期間連続して電力制御装置10を稼働させることができる。
【0042】
図3に電力制御装置10の外観を示す。図3(a)は、室外機2bの側面に取り付けられた電力制御装置10の正面図であり、図3(b)は、側方から見た側面図である。電力制御装置10は、四角錐台に形成された筐体10aを有し、筐体10aの内部に、制御回路11、充電回路23、リチウムイオン二次電池24、リチウム一次電池25が収容されている。筐体10aの下方端部から、空調機2の室外機2bと接続するケーブル27が延びている。
【0043】
また、電力制御装置10では、筐体10aの正面10bに太陽電池パネル22が配置されている。また、筐体10aの背面10cに板状の磁石26が設けられていて、磁石26を用いることにより室外機2bの筐体に着脱可能に取り付けることが可能になっている。磁石として、ネオジム磁石等の強力磁石が用いられてもよい。電力制御装置10の取り付けに磁石26を用いることで、ねじ止めする場合よりも容易に取り付けることができる。また、容易に室外機2bの筐体から取り外しすることができるため、電力制御装置10本体の交換やリチウム一次電池25の交換も容易である。
【0044】
図4を用いて、電源回路21が制御回路11に電力を供給する処理について説明する。
電源回路21は日中において、太陽電池パネル22により発電する(S101)。このとき、電源回路21は制御回路11が動作するのに充分な電力を供給可能か否か判断する(S102)。充分な電力を供給可能である場合(S102でYes)、電源回路21は、制御回路11に太陽電池パネル22による発電電力を制御回路11に供給する(S103)。このとき、余剰電力が有るか否かを判断する(S104)。余剰電力がある場合、電源回路21は充電回路23により、リチウムイオン二次電池24に余剰電力を充電する(S105)。
【0045】
夜間においては、太陽電池パネル22により発電は行われないため、制御回路11に充分な電力を供給することができない(S102でNo)。そのため、電源回路21は、リチウムイオン二次電池24で供給することができるか否かを判断する(S106)。電力の供給が可能である場合(S106でYes)、電源回路21は、リチウムイオン二次電池24に充電された電力を制御回路11に供給する(S107)。
太陽電池パネル22から発電電力を供給できず且つリチウムイオン二次電池24からも充分な電力を供給することができない場合(S106でNo)、リチウム一次電池25から電力を制御回路11に供給する(S108)。
【0046】
<節電設定情報>
節電設定情報及びその節電設定情報を用いた節電方法について説明する。節電設定情報は、例えば所定の時間における節電レベルが登録された情報であり、電力制御装置10のROM・RAM13に記憶される。節電レベルとは、負荷機器の稼働中に、どの程度節電させるかを示す情報である。例えば、曜日毎に節電を実施する実施開始時間及び実施終了時間が設定され、その時間における節電レベルが登録される。電力制御装置10は、ROM・RAM13に記憶される節電設定情報に基づいて、空調機2の室外機2bを操作する。
【0047】
節電レベルの設定項目として、「10%-中」、「10%-強」、「20%-中」、「20%-強」、「30%-中」、「30%-強」、「40%-中」、「40%-強」、「60%-中」、「65%-強」がある。設定項目のパーセントは、使用電力の削減率を示しており、例えば1時間稼働させる場合、そのうち10%の時間(約6分間)、室外機2bの駆動能力を下げる又は停止させることを意味している。「中」・「強」は、室外機2bの駆動能力を示しており、「中」は室外機2bの駆動能力を半分とし、「強」は室外機2bを完全に停止させることを意味する。
制御回路11の制御部であるCPU12は、節電設定情報を基に接点を操作して、室外機2bの稼働を低減させるよう指示する。
【0048】
また、制御回路11は、環境情報測定装置3から受信した温度及び湿度から不快指数を算出し、算出した不快指数に基づいて節電レベルを変更してもよい。例えば、不快指数が通常より高くなった場合、空調機2の設定温度が外気と比較して差が大きくなり、使用電力が大きくなる可能性がある。不快指数に応じて節電設定情報に記録された所定の節電レベルからより高い節電レベルに変更することにより、電力の負荷を下げ使用電力の増加を抑制することができる。
また、利用者の希望に応じて不快指数が高い場合に節電レベルが下がるように設定してもよい。節電設定情報に不快指数に応じた節電レベルを登録することにより、電力制御装置10を用いて、利用者の希望に応じた節電方法を実施することができる。
【0049】
<環境情報測定装置の別例>
本実施形態の環境情報測定装置3は、建物の外に設けられ、室外の温度及び湿度を測定して、温度及び湿度の情報を電力制御装置10に送信するが、環境情報測定装置3は、空調機2の室内機2aが設置された室内に設けられてもよい。
室内に設けられる場合、図5に示す環境情報測定装置3Aのように、センサ34として、更に照度センサ34c及び二酸化炭素センサ34dが設けられてもよい。また、ビーコン受信機36が設けられても。それ以外の構成は、図2に示す室外に設けられる環境情報測定装置3と同様であるため説明は省略する。
【0050】
照度センサ34cにより測定された照度情報により、例えば照明がついているか否かを判定することができる。電力制御装置10は、環境情報測定装置3Aから照度情報を受信し、基準となる照度よりも低い場合は照明がついていないため、室内に人がいない可能性が高い。そのため、節電率を高くしても影響が少なく、電力制御装置10は節電レベルを高くすることで使用電力を下げることができる。
【0051】
二酸化炭素センサ34dが測定した二酸化炭素濃度により、室内に人がいるかいないかを判定することができる。例えば、測定された二酸化炭素濃度が所定の濃度より低い場合は、部屋に人がいないと判定することができる。また、二酸化炭素濃度が増加した場合、部屋に人がいると判定することができる。そのため、電力制御装置10は、不在判定をした場合は電源を落とし、人を検知した場合は室外機2bの駆動能力を下げて使用電力を下げることができる。
なお、二酸化炭素濃度や照度情報等と節電レベルとの関係は、節電設定情報としてROM・RAMに記憶されており、節電設定情報を書き換えることにより節電レベルとの関係を変更することができる。
【0052】
また、環境情報測定装置3Aはビーコン受信機36を更に備えてもよい。部屋の利用者がビーコン発振器37を常に携帯している場合、環境情報測定装置3Aの近辺に利用者がいるか否かをビーコン信号により判定することができる。照度や二酸化炭素濃度のように、人の検知を間接的に判断するのではなく、ビーコン信号の有無により人の検知を直接判定できることから、より正確に使用電力を制御することができる。
【0053】
以上、図を用いて本実施形態の電力制御装置10について説明した。電力制御装置10では、負荷機器である空調機2を操作する制御回路11を稼働させるために太陽電池パネル22を備えた電源回路21が設けられている。また、電力制御装置10は環境情報測定装置3と無線ネットワークにより接続している。そのため、電力や通信のための配線工事が簡素化され、電力制御装置10を用いた節電システム1をより安価に導入することが可能となる。
なお、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0054】
1 節電システム
N ネットワーク
2 空調機(負荷機器)
2a 室内機
2b 室外機
3、3A 環境情報測定装置
4 管理用サーバ
5 入力用端末(端末装置)
10 電力制御装置
10a 筐体
10b 正面
10c 背面
11 制御回路
12 CPU(制御部)
13 ROM・RAM(記憶部)
14 無線通信装置(無線通信部)
15 接点回路(接点部)
21 電源回路
22 太陽電池パネル
23 充電回路(充電部)
24 リチウムイオン二次電池(二次電池)
25 リチウム一次電池(一次電池)
26 磁石
27 ケーブル
31 CPU
32 ROM・RAM
33 無線通信装置
34 センサ
34a 温度センサ
34b 湿度センサ
34c 照度センサ
34d 二酸化炭素センサ
35 電源装置
36 ビーコン受信機
37 ビーコン発振器
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2021-12-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷機器の使用電力を制御する電力制御装置であって、
前記負荷機器に接続される制御回路と、該制御回路にのみ電力を供給する電源回路と、を備え、
前記制御回路は、
節電設定情報を記憶する記憶部と、
前記負荷機器を操作する接点部と、
前記節電設定情報に基づき、前記接点部を操作する制御部と、を有し、
前記電源回路は、
太陽電池パネルと、二次電池と、前記太陽電池パネルの発電電力の一部を前記二次電池に充電する充電部と、を有し、
前記電源回路は、前記太陽電池パネルの前記発電電力を前記制御回路に供給し、余剰電力を前記二次電池に充電し、
前記太陽電池パネルから前記発電電力を供給できない場合、前記二次電池から前記制御回路に電力を供給することを特徴とする電力制御装置。
【請求項2】
前記電源回路は一次電池を備え、前記太陽電池パネルから発電電力を供給できず且つ前記二次電池が電池切れした場合に、前記一次電池から前記制御回路に電力を供給することを特徴とする請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項3】
前記制御回路は、外部の端末装置から、無線通信により前記節電設定情報を受信する無線通信部を備え、
前記記憶部は、前記無線通信部により受信した前記節電設定情報を記憶することを特徴とする請求項1又は2に記載の電力制御装置。
【請求項4】
前記制御回路は、環境情報を測定する環境情報測定装置から、無線通信により前記環境情報を受信する無線通信部を備え、
前記制御回路の前記制御部は、受信した前記環境情報と前記節電設定情報とに基づき、前記接点部を操作して前記負荷機器の前記使用電力を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電力制御装置。
【請求項5】
前記環境情報測定装置は温度センサと湿度センサとを有し、
前記制御部は、前記温度センサ及び前記湿度センサにより取得した温度及び湿度から不快指数を算出し、該不快指数に基づいて節電レベルを設定することを特徴とする請求項4に記載の電力制御装置。
【請求項6】
前記環境情報測定装置は照度を測定する照度センサ又は二酸化炭素の濃度を測定する二酸化炭素センサを有し、前記環境情報は前記照度センサが測定した照度又は前記二酸化炭素センサが測定した二酸化炭素の濃度の情報を含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の電力制御装置。
【請求項7】
前記制御回路の前記無線通信部は、前記電力制御装置に障害が発生した場合に、前記電力制御装置に関する障害情報を前記環境情報測定装置に送信することを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の電力制御装置。
【請求項8】
前記制御回路は、前記負荷機器である空調機の室外機に接続し、前記室外機の電源及び前記室外機の駆動能力を調整することにより前記空調機の使用電力を制御することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の電力制御装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
前記課題は、負荷機器の使用電力を制御する電力制御装置であって、前記負荷機器に接続される制御回路と、該制御回路にのみ電力を供給する電源回路と、を備え、前記制御回路は、節電設定情報を記憶する記憶部と、前記負荷機器を操作する接点部と、前記節電設定情報に基づき、前記接点部を操作する制御部と、を有し、前記電源回路は、太陽電池パネルと、二次電池と、前記太陽電池パネルの発電電力の一部を前記二次電池に充電する充電部と、を有し、前記電源回路は、前記太陽電池パネルの前記発電電力を前記制御回路に供給し、余剰電力を前記二次電池に充電し、前記太陽電池パネルから前記発電電力を供給できない場合、前記二次電池から前記制御回路に電力を供給することにより、解決される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
また、本発明の電力制御装置について好適な構成を述べると、前記制御回路の無線通信部は、前記電力制御装置に障害が発生した場合に、前記電力制御装置に関する障害情報を前記環境情報測定装置に送信するとよい。
障害情報を環境情報測定装置に送信することにより、例えば環境情報測定装置から管理用サーバに送信することができ、障害が発生した場合に即座に対応して修理等を行うことができる。また、電力制御装置自身は、管理用サーバに送信する遠距離通信用の無線通信装置を用いることが無いことから、駆動するための電力を削減することができる。
また、本発明の電力制御装置について好適な構成を述べると、前記制御回路は、前記負荷機器である空調機の室外機に接続し、前記室外機の電源及び前記室外機の駆動能力を調整することにより前記空調機の使用電力を制御するとよい。