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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020415
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】調光制御装置、及び、調光装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/31 20200101AFI20230202BHJP
   H05B 45/325 20200101ALI20230202BHJP
   H05B 45/355 20200101ALI20230202BHJP
   H05B 45/382 20200101ALI20230202BHJP
   H05B 45/375 20200101ALI20230202BHJP
   H05B 45/38 20200101ALI20230202BHJP
   H05B 45/385 20200101ALI20230202BHJP
   H05B 45/395 20200101ALI20230202BHJP
   H05B 45/345 20200101ALI20230202BHJP
【FI】
H05B45/31
H05B45/325
H05B45/355
H05B45/382
H05B45/375
H05B45/38
H05B45/385
H05B45/395
H05B45/345
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021125766
(22)【出願日】2021-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】松尾 康平
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273BA28
3K273CA02
3K273DA08
3K273EA06
3K273EA12
3K273EA17
3K273EA22
3K273EA25
3K273EA36
3K273FA03
3K273FA14
3K273FA23
3K273FA26
3K273FA27
3K273GA03
3K273GA12
3K273GA14
3K273GA17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】異なる形式の調光器に対応可能な調光制御装置及び調光装置を提供する。
【解決手段】調光制御装置は、交流電圧を正位相又は逆位相で位相制御する調光器の出力が整流回路の整流電圧を取得する電圧取得部と、発光体に供給する駆動電流を制御する電流制御素子と、前記電圧取得部に取得された電圧に応じて、前記電流制御素子の駆動制御を行う駆動制御部とを含み、前記駆動制御部は、前記電圧取得部に取得された電圧に応じて前記電流制御素子を駆動する駆動制御信号のパルス幅変調におけるデューティ比を設定し、前記デューティ比を有する駆動制御信号を生成する駆動制御信号生成部と前記電圧取得部に取得された電圧が逆位相の場合に、前記電圧の絶対値の立下りを検出する立下り検出部とを有し、前記駆動制御信号生成部は、前記立下り検出部によって前記立下りが検出された時点を前記パルス幅変調のオン期間の終了時点として前記デューティ比を設定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電圧を正位相又は逆位相で位相制御する調光器の出力が整流回路で整流された整流電圧を取得する電圧取得部と、
発光体に供給する駆動電流を制御する電流制御素子と、
前記電圧取得部によって取得された電圧に応じて、前記電流制御素子の駆動制御を行う駆動制御部と
を含み、
前記駆動制御部は、
前記電圧取得部によって取得された電圧に応じて前記電流制御素子を駆動する駆動制御信号のパルス幅変調におけるデューティ比を設定し、前記デューティ比を有する駆動制御信号を生成する駆動制御信号生成部と、
前記電圧取得部によって取得された電圧が逆位相の場合に、前記電圧の立下りを検出する立下り検出部と
を有し、
前記駆動制御信号生成部は、前記立下り検出部によって前記立下りが検出された時点を前記パルス幅変調のオン期間の終了時点として前記デューティ比を設定する、調光制御装置。
【請求項2】
前記駆動制御部は、前記電圧取得部によって取得された電圧を所定のサンプリング周期でサンプリングしており、
前記立下り検出部は、前記サンプリング周期の1周期における前記電圧の低下分が所定の閾値以上になると、前記立下りを検出する、請求項1に記載の調光制御装置。
【請求項3】
前記駆動制御部は、前記電圧取得部によって取得された電圧が正位相の場合に、前記電圧がオン閾値以上になった時点を前記パルス幅変調のオン期間の開始時点として前記デューティ比を設定する、請求項1又は2に記載の調光制御装置。
【請求項4】
前記整流回路と前記電圧取得部との間に接続される第1端と、電圧基準点に接続される第2端とを有し、前記第1端及び前記第2端を接続状態又は遮断状態に切り替え可能な放電回路をさらに含み、
前記駆動制御部は、前記立下り検出部によって前記立下りが検出されてから前記交流電圧の半周期の期間が経過した時点で、前記放電回路を前記接続状態に切り替える切替制御部をさらに有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の調光制御装置。
【請求項5】
前記切替制御部は、前記立下り検出部によって前記立下りが検出されてから前記交流電圧の半周期から所定のマージン時間を減算した期間が経過した時点で、前記放電回路を前記接続状態に切り替える、請求項4に記載の調光制御装置。
【請求項6】
前記交流電圧の半周期を単位期間とした場合に、前記駆動制御信号生成部は、前記単位期間における前記オン期間の割合を前記デューティ比として設定しており、
前記駆動制御信号生成部は、前記デューティ比を設定する際に、前記駆動制御信号の1個前の前記単位期間の前記デューティ比に対する今回の前記単位期間の前記デューティ比の第1変化分の絶対値が第1閾値以上の場合に前記デューティ比を更新する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の調光制御装置。
【請求項7】
前記駆動制御信号生成部は、前記駆動制御信号の前記デューティ比を設定する際に、前記駆動制御信号の連続するN(Nは2以上の整数)個の前記単位期間における前記デューティ比のN+1個前の前記単位期間の前記デューティ比に対する第2変化分の絶対値が第2閾値以上の場合に前記デューティ比を更新する、請求項6に記載の調光制御装置。
【請求項8】
前記駆動制御信号生成部は、前記駆動制御信号の前記デューティ比を設定する際に、前記駆動制御信号の前記第2変化分が第2閾値未満の場合には前記デューティ比を更新しない、請求項7に記載の調光制御装置。
【請求項9】
前記第2閾値は、前記第1閾値よりも小さい、請求項7又は8に記載の調光制御装置。
【請求項10】
前記駆動制御信号生成部は、前記第1変化分が第1閾未満の場合には前記デューティ比を更新しない、請求項6乃至9のいずれか1項に記載の調光制御装置。
【請求項11】
環境温度を検出する温度検出部をさらに含み、
前記駆動制御部は、前記温度検出部によって検出される前記環境温度の変化による前記駆動電流の変化分を補正するように、前記駆動制御信号のデューティ比を補正する信号補正部をさらに有する、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の調光制御装置。
【請求項12】
前記発光体に印加される出力電圧を検出する出力電圧検出部をさらに含み、
前記駆動制御部は、前記発光体の発光開始時に、前記出力電圧検出部によって検出される出力電圧が所定電圧以下の場合に、前記駆動電流が増大するように前記駆動制御信号のデューティ比を増大させる増大処理部をさらに有する、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の調光制御装置。
【請求項13】
前記発光体に印加される出力電圧を検出する出力電圧検出部をさらに含み、
前記駆動制御部は、前記発光体に印加される出力電圧が第1電圧で前記駆動電流が所定電流のときの前記駆動制御信号の第1デューティ比と、前記発光体に印加される出力電圧が第2電圧で前記駆動電流が前記所定電流のときの前記駆動制御信号の第2デューティ比とを用いた補間処理によって、前記出力電圧検出部によって検出される出力電圧において前記駆動電流が前記所定電流の場合における前記駆動制御信号のデューティ比を求める、補間処理部をさらに有する、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の調光制御装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の調光制御装置と、
前記発光体と、
前記調光器と
を含む、調光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光制御装置、及び、調光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、商用交流電源から供給される交流の導通角を制御することによって発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)に供給される電流を位相制御する調光回路と、該調光回路から出力される交流電圧を整流する整流回路と、該整流回路から出力される直流電圧を平滑化する平滑回路と、前記LEDに直列に接続されるスイッチング素子と、前記スイッチング素子に高周波パルス信号を出力して前記LEDに流れる電流が一定になるように前記スイッチング素子をオン/オフ制御する定電流制御回路とを有し、前記LEDを駆動するLED駆動回路がある。前記整流回路の出力端とグランド間に配置されて、直列に接続されたブリーダ抵抗とブリーダスイッチを有するブリーダ回路を備え、前記高周波パルス信号が前記ブリーダスイッチに入力されて、前記ブリーダ抵抗に高周波パルス状のブリーダ電流が流れる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-124163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、LEDのような発光体の調光制御を行うために、正位相又は逆位相で位相制御する調光器を用いる場合がある。正位相と逆位相では位相制御が全く異なるが、従来の発光体駆動装置は、正位相と逆位相のいずれにも対応可能には構成されていない。正位相で位相制御する調光器と、逆位相で位相制御する調光器とは形式が異なる。
【0005】
そこで、異なる形式の調光器に対応可能な調光制御装置、及び、調光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の調光制御装置は、交流電圧を正位相又は逆位相で位相制御する調光器の出力が整流回路で整流された整流電圧を取得する電圧取得部と、発光体に供給する駆動電流を制御する電流制御素子と、前記電圧取得部によって取得された電圧に応じて、前記電流制御素子の駆動制御を行う駆動制御部とを含み、前記駆動制御部は、前記電圧取得部によって取得された電圧に応じて前記電流制御素子を駆動する駆動制御信号のパルス幅変調におけるデューティ比を設定し、前記デューティ比を有する駆動制御信号を生成する駆動制御信号生成部と前記電圧取得部によって取得された電圧が逆位相の場合に、前記電圧の絶対値の立下りを検出する立下り検出部とを有し、前記駆動制御信号生成部は、前記立下り検出部によって前記立下りが検出された時点を前記パルス幅変調のオン期間の終了時点として前記デューティ比を設定する。
【発明の効果】
【0007】
異なる形式の調光器に対応可能な調光制御装置、及び、調光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の調光装置100の回路構成を示す図である。
図2】正位相と逆位相を説明する図である。
図3】調光制御装置100Aの動作1を説明する波形図である。
図4】動作1を実現する処理を表すフローチャートを示す図である。
図5】調光制御装置100Aの動作2を説明する波形図である。
図6】動作2を実現する処理を表すフローチャートを示す図である。
図7】調光制御装置100Aの動作3を説明する図である。
図8】動作3を実現する処理を表すフローチャートを示す図である。
図9】調光制御装置100Aの動作4を説明するための図である。
図10】デューティ比の補正値を表す補正テーブルを示す図である。
図11】調光制御装置100Aの動作5を説明するための図である。
図12】調光制御装置100Aの動作6を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の調光制御装置、及び、調光装置を適用した実施形態について説明する。
【0010】
<実施形態>
図1は、実施形態の調光装置100の回路構成を示す図である。調光装置100は、調光制御装置100A、調光器10、及びLED(Light Emitting Diode)20を含む。LED20は、発光体の一例である。調光装置100は、一例として建物の室内の照明装置として利用可能である。以下では、一例として、調光装置100が建物の室内に設置され、調光器10が建物内の壁等に取り付けられており、建物内の利用者によって操作可能な形態について説明する。調光装置100が設置される建物は、調光装置100に電力を供給する電源端子1A、1Bを有する。電源端子1A、1Bは、交流電力を出力する。
【0011】
調光器10は、光量を調節するためのダイアルスイッチ等を有し、利用者がダイアルスイッチ等を操作することで調光制御装置100AによってLED20の光量が調節される。調光器10は、電源端子1Aと調光制御装置100Aの端子101Aとの間に直列に挿入されており、電源端子1Aから入力される交流電力の電圧を正位相又は逆位相で位相制御し、端子101Aに出力する。調光器10には、位相制御を正位相で行う形式のものと、位相制御を逆位相で行う形式のものとがある。調光制御装置100Aは、いずれの形式の調光器10にも対応可能である。
【0012】
ここで、調光制御装置100Aの構成について説明する前に、図2を用いて正位相と逆位相について説明する。
【0013】
<正位相と逆位相>
図2は、正位相と逆位相を説明する図である。図2において、横軸は時間、縦軸は電圧を示す。図2(A)には、周期Tの交流電圧を示す。交流電圧の振幅(電圧)は、時刻t0から時間の経過に伴って正弦波状に変化する。時刻t0からT/2の期間が前半であり、正の振幅を有する。残りのT/2の期間が後半であり、負の振幅を有する。電源端子1A、1Bは、図2(A)に示すような交流電圧を出力する。
【0014】
図2(B)には、正位相で位相制御を行う調光器10の出力波形を示す。調光器10には図2(A)に示す交流電圧が入力され、正位相の調光器10は、前半のT/2の期間の開始時点からT1の期間の波形をカットして出力し、後半のT/2の期間についても開始時点から期間T1にわたって波形をカットして出力する。
【0015】
図2(C)には、逆位相で位相制御を行う調光器10の出力波形を示す。調光器10には図2(A)に示す交流電圧が入力され、逆位相の調光器10は、前半のT/2の期間の終了時点からT1の期間の波形をカットして出力し、後半のT/2の期間についても終了時点から期間T1にわたって波形をカットして出力する。
【0016】
このように、正位相の調光器10と逆位相の調光器10では、波形をカットする期間が異なる。正位相の調光器10の出力は、1周期Tのうちの前半及び後半の両方において、波形が振幅ゼロの状態から増大し始めるため、調光制御装置100Aの静電容量やインダクタンス等の影響を受けにくい。
【0017】
これに対して、逆位相の調光器10の出力は、1周期Tのうちの前半及び後半の両方においてある程度の振幅がある状態から急激に波形をカットするため、調光制御装置100Aの静電容量やインダクタンス等の影響によって、図2(C)に示すように期間T1の開始時点で振幅が急激にゼロまで低下せず、緩やかに低下するという事象が生じる。このような事象が生じると、LED20の発光量が調光器10で調節した通りの発光量にならず、利用者が想定している発光量よりも明るくなってしまう。
【0018】
調光制御装置100Aは、逆位相の調光器10に接続された場合に、正位相の調光器10に接続された場合と同様に、調光器10の操作量に応じてLED20の発光量を調節可能にする。このようにすることで、異なる形式の調光器10に対応可能な調光制御装置100A、及び、調光装置100を提供する。次に、図1を用いて調光制御装置100Aの構成について説明する。
【0019】
<調光制御装置100Aの構成>
調光制御装置100Aは、端子101A、101B、フィルタ回路111、整流回路112、分圧回路113、PFC(Power Factor Correction)回路114、平滑コンデンサ114A、FET(Field Effective Transistor)115、トランス116、整流回路117、出力電圧検出部117A、電流制御素子118、コンデンサ118A、出力端子119A、119Bを含む。分圧回路113は、電圧取得部の一例である。
【0020】
調光制御装置100Aは、さらに、第1ドライバ120、制御装置130、第2ドライバ140、放電回路150、温度検出部160、及び出力電圧検出部170を含む。
【0021】
以下では、端子101A、101Bと、トランス116の一次側コイル116Pとの間において、フィルタ回路111、整流回路112、PFC回路114、平滑コンデンサ114A、FET115を接続する2本の電力伝送線路のうち、端子101Aと一次側コイル116Pとを接続する高電位側の電力伝送線路を電力伝送線路102Hと称し、端子101Bと一次側コイル116Pとを接続する低電位側の電力伝送線路を電力伝送線路102Lと称す。
【0022】
また、トランス116の二次側コイル116Sと、出力端子119A、119Bとの間において、整流回路117、電流制御素子118、コンデンサ118Aを接続する2本の電力伝送線路のうち、二次側コイル116Sと出力端子119Aとを接続する高電位側の電力伝送線路を電力伝送線路103Hと称し、二次側コイル116Sと出力端子119Bとを接続する低電位側の電力伝送線路を電力伝送線路103Lと称す。
【0023】
端子101A、101Bは、調光制御装置100Aの一対の入力端子である。端子101Aは、調光器10を介して電源端子1Aに接続され、端子101Bは、電源端子1Bに直接接続される。端子101A、101Bの出力側にはフィルタ回路111が接続されている。
【0024】
フィルタ回路111は、端子101A、101Bから入力される交流電圧に含まれるノイズ等の不要な成分を遮断するフィルタである。フィルタ回路111は、コンデンサ111Aと、フィルタ111Bとを有する。コンデンサ111Aは電力伝送線路102H、102Lの間に接続されており、フィルタ111Bは電力伝送線路102H、102Lに挿入される形で接続されている。
【0025】
整流回路112は、4つのダイオードがブリッジ状に接続されたブリッジ回路を有し、フィルタ回路111から入力される交流電圧を全波整流して出力する。整流回路112の出力側には、PFC回路114が接続されている。
【0026】
分圧回路113は、整流回路112とPFC回路114との間の高電位側の電力伝送線路102Hから分岐して接続されている。分圧回路113は、一例として2つの分圧抵抗器を有し、2つの分圧抵抗器の接続点113Aは、制御装置130に接続されている。分圧回路113は、整流回路112で整流された整流電圧を取得する。
【0027】
PFC回路114は、力率改善回路であり、整流回路112から入力される電力に含まれ得る高調波電流を低減して出力するとともに、後述する電源部50で発生する高調波電流を低減するために設けられている。PFC回路114の出力側では、電力伝送線路102H、102Lの間に平滑コンデンサ114Aが接続されており、PFC回路114から出力される電圧を平滑化する。なお、PFC回路114としては、一例としてフライバック昇圧回路を用いることができる。
【0028】
FET115は、PFC回路114とトランス116の一次側コイル116Pとの間において、低電位側の電力伝送線路102Lにドレイン-ソース間が直列に挿入されるように接続されている。FET115のゲートは、第1ドライバ120に接続され、第1ドライバ120から入力される駆動信号によって駆動される。
【0029】
トランス116は、一次側コイル116Pと二次側コイル116Sを有する。一次側コイル116Pは、PFC回路114及び平滑コンデンサ114Aの出力側において、電力伝送線路102H、102Lの間に接続されている。二次側コイル116Sは、2本の電力伝送線路103H、103Lの間に接続されている。
【0030】
整流回路117は、トランス116の二次側コイル116Sの出力側に接続されており、電力伝送線路103Hに直列に挿入されるダイオードと、電力伝送線路103H、103Lの間に接続される平滑用のコンデンサとを有する。
【0031】
出力電圧検出部117Aは、整流回路117と電流制御素子118との間の高電位側の電力伝送線路103Hから分岐して接続されている。出力電圧検出部117Aは、分圧回路113と同様に、一例として2つの分圧抵抗器を有し、2つの分圧抵抗器の接続点117AAは、第1ドライバ120に接続されている。出力電圧検出部117Aは、整流回路117の平滑用のコンデンサの両端子間電圧を検出する。
【0032】
なお、平滑コンデンサ114A、FET115、トランス116、整流回路117、出力電圧検出部117A、及び第1ドライバ120は、電源部50を構成する。電源部50として使用される構成は、図1に示すようなフライバック型の回路構成のものに限らず、例えば、整流回路117のダイオードの代わりにスイッチを使用した同期整流型であってもよい。また、フォワード型や擬似共振型といったその他の絶縁型や非絶縁型の回路構成で実現される電源部であってもよい。なお、平滑コンデンサ114Aは電源部50の一部ではなく、PFC回路114の一部として捉えてもよい。
【0033】
電流制御素子118は、出力電圧検出部117Aの出力側で電力伝送線路103Hにゲート-ソース間が直列に挿入されるMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。電流制御素子118のゲートは、第2ドライバ140に接続されている。電流制御素子118は、第2ドライバ140からゲートに入力される駆動制御信号によってPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)駆動され、ドレインから駆動電流を出力する。なお、電流制御素子118としてはバイポーラトランジスタを用いてもよい。
【0034】
コンデンサ118Aは、電流制御素子118の出力側において、電力伝送線路103H、103Lの間に接続されている。コンデンサ118Aは、平滑用のコンデンサである。
【0035】
出力端子119A、119Bは、調光制御装置100Aの内部では電力伝送線路103H、103Lにそれぞれ接続され、調光制御装置100Aの外部では、LED20の2つの端子(アノードとカソード)に接続されている。出力端子119Aがアノードに接続され、出力端子119Bがカソードに接続される。出力端子119A、119Bは、LED20に駆動電流を供給する端子である。出力端子119A、119Bの電圧は、調光制御装置100AがLED20に印加する順方向の出力電圧である。
【0036】
第1ドライバ120は、出力電圧検出部117Aの接続点117AAと、FET115のゲートとの間に接続されている。第1ドライバ120は、出力電圧検出部117Aによって検出される電圧に応じて、トランス116の一次側コイル116Pに流れる電流が一定になるようにFET115を駆動する。第1ドライバ120は、電源部50のドライバIC(Integrated Circuit)であり、出力電圧検出部117Aによって検出される電圧に応じて整流回路117の平滑用のコンデンサの両端子間電圧を制御する。
【0037】
制御装置130は、入力端子130IN、出力端子130OUT、ADC(Analog to Digital Converter)130A、及び駆動制御部130Bを有する。
【0038】
入力端子130INは、分圧回路113の接続点113Aに接続されており、分圧回路113で検出された電圧が入力される端子である。出力端子130OUTは、第2ドライバ140に接続されており、駆動制御信号を第2ドライバ140に出力する端子である。ADC130Aは、入力端子130INと駆動制御部130Bの間に接続されており、入力端子130INから入力される電圧をデジタル値に変換して駆動制御部130Bに出力する。
【0039】
駆動制御部130Bは、MCU(Micro Controller Unit)で構成される。MCUで構成される駆動制御部130Bは、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び内部バス等を含むコンピュータによって実現される。
【0040】
駆動制御部130Bは、駆動制御信号生成部131、立下り検出部132、切替制御部133、信号補正部134、増大処理部135、補間処理部136、及びメモリ137を有し、電流制御素子118の駆動制御を行う。
【0041】
駆動制御信号生成部131、立下り検出部132、切替制御部133、信号補正部134、増大処理部135、補間処理部136は、MCUで実現される駆動制御部130Bが実行するプログラムの機能(ファンクション)を機能ブロックとして示したものである。また、メモリ137は、駆動制御部130Bのメモリを機能的に表したものである。
【0042】
駆動制御信号生成部131は、分圧回路113によって取得され、ADC130Aでデジタル値に変換された電圧を所定のサンプリング周期でサンプリングし、サンプリングした電圧(サンプリング電圧)を時系列的に並べて波形を生成する。サンプリング周期は、一例として30μsである。駆動制御信号生成部131は、サンプリング電圧に応じて電流制御素子118を駆動する駆動制御信号のパルス幅変調(PWM)におけるデューティ比を設定し、デューティ比を有する駆動制御信号を生成する。駆動制御信号は、出力端子130OUTから第2ドライバ140に出力される。
【0043】
駆動制御信号生成部131は、サンプリング電圧が正位相の場合には、サンプリング電圧がオン閾値以上になった時点をパルス幅変調のオン期間の開始時点としてデューティ比を設定する。
【0044】
また、駆動制御信号生成部131は、サンプリング電圧が逆位相の場合に、立下り検出部132によって立下りが検出された時点をパルス幅変調のオン期間の終了時点としてデューティ比を設定する。また、駆動制御信号生成部131は、駆動制御信号のデューティ比を設定するために、種々の処理を行うが、詳細については後述する。
【0045】
立下り検出部132は、駆動制御信号生成部131のサンプリング電圧が逆位相の場合に、電圧の絶対値の立下りを検出する。立下り検出部132による立下りの検出については、図3及び図4を用いて後述する。
【0046】
切替制御部133は、立下り検出部132によって立下りが検出されてから交流電圧の半周期から所定のマージン時間を減算した期間が経過した時点で、放電回路150を接続状態に切り替える。マージン時間は、余裕代時間である。
【0047】
信号補正部134は、温度検出部160によって検出される温度の変化による駆動電流の変化分を補正するように、駆動制御信号のデューティ比を補正する。信号補正部134が実行する処理については、図9及び図10を用いて後述する。
【0048】
増大処理部135は、LED20の発光開始時に、出力電圧検出部170によって検出される出力電圧が所定電圧以下の場合に、駆動電流が増大するように駆動制御信号のデューティ比を増大させる。増大処理部135が実行する処理については、図11を用いて後述する。
【0049】
補間処理部136は、LED20に印加される出力電圧が第1電圧で駆動電流が所定電流のときの駆動制御信号の第1デューティ比と、LED20に印加される出力電圧が第2電圧で駆動電流が所定電流のときの駆動制御信号の第2デューティ比とを用いた補間処理を行う。補間処理部136は、補間処理によって、出力電圧検出部170によって検出される出力電圧において駆動電流が所定電流の場合における駆動制御信号のデューティ比を求める。補間処理部136が実行する補間処理の詳細については、図12を用いて後述する。
【0050】
メモリ137は、駆動制御部130Bの駆動制御信号生成部131、立下り検出部132、切替制御部133、信号補正部134、増大処理部135、補間処理部136が処理を行う際に利用するプログラムやデータ等を格納する。
【0051】
第2ドライバ140は、制御装置130の出力端子130OUTと、電流制御素子118のゲートとの間に接続されている。第2ドライバ140は、駆動制御部130Bの出力端子130OUTから入力される駆動制御信号を、電流制御素子118を駆動するための形式に変換し、変換後の駆動制御信号を電流制御素子118のゲートに出力する。第2ドライバ140は、ドライバICである。
【0052】
放電回路150は、整流回路112と分圧回路113との間に接続される第1端151と、電圧基準点としての接地電位点に接続される第2端152とを有する。放電回路150は、切替制御部133によって制御されることにより、第1端151及び第2端152を接続状態又は遮断状態に切り替え可能なスイッチである。
【0053】
温度検出部160は、定電圧レギュレータ160R、サーミスタ161、及び抵抗器162を有する。定電圧レギュレータ160Rは、図示しない電源から供給される電力を一定の電圧に変換して出力する。定電圧レギュレータ160Rは、サーミスタ161及び抵抗器162を含む分圧回路において、サーミスタ161の高電位側の端子における電圧値を一定にするために設けられている。
【0054】
サーミスタ161は、定電圧レギュレータ160Rと抵抗器162との間に接続されており、抵抗器162と分圧回路を構成する。サーミスタ161は一例としてNTC(Negative Temperature Coefficient(負温度係数))サーミスタであり、温度が上昇すると抵抗値が低下し、温度が低下すると抵抗値が増大する特性を有する。抵抗器162は抵抗値が一定の抵抗器である。
【0055】
サーミスタ161と抵抗器162の接続点160Aは、分圧回路の接続点であり、制御装置130に接続されている。接続点160Aの電位は、サーミスタ161の温度が上昇するほど上昇する。このような温度検出部160が検出する温度は、調光装置100及び調光制御装置100Aのパッケージ(筐体)の内部温度であり、環境温度の一例である。
【0056】
出力電圧検出部170は、コンデンサ118Aと出力端子119Aとの間の高電位側の電力伝送線路103Hから分岐して接続されている。出力電圧検出部170は、分圧回路113と同様に、一例として2つの分圧抵抗器を有し、2つの分圧抵抗器の接続点170Aは、制御装置130に接続されている。出力電圧検出部170は、調光制御装置100Aが出力端子119A、119BからLED20に印加される順方向の出力電圧を検出する。
【0057】
<調光制御装置100Aの動作>
<動作1>
図3は、調光制御装置100Aの動作1を説明する波形図である。図3(A)は正位相の場合の動作を示し、図3(B)は逆位相の場合の動作を示す。図3(A)、図3(B)において、横軸は時間を表し、縦軸は振幅(電圧値)を表し、黒丸はサンプリング電圧を表す。隣り合うサンプリング電圧の間の時間は、サンプリング周期である。ここでは図面を見やすくするために1周期におけるサンプリング数を少なく示すが、実際にはサンプリング数はもっと多い。サンプリング電圧は、整流回路112で全波整流され、分圧回路113で分圧された電圧をデジタル値に変換した値であるため、時系列的に並べられたサンプリング電圧によって形成される波形の振幅は0V以上である。
【0058】
また、図3(A)、図3(B)に示す波形は、全波整流されたサンプリング電圧によって形成されるため、交流電圧の半周期毎に動作を繰り返すことになる。以下では、サンプリング電圧については、交流電圧の周期Tの半分の期間に相当する単位期間TUを用いて説明する。単位期間TUはT/2に等しい。また、駆動制御信号のデューティ比は、単位期間TUに対するオン期間の割合であることとする。
【0059】
駆動制御信号生成部131は、駆動制御信号を生成する際に、オン閾値とオフ閾値を用いる。オン閾値は一例として1.0Vであり、オフ閾値は一例として0.8Vである。駆動制御信号生成部131は、サンプリング電圧がオン閾値以上になった時点をデューティ比のオン期間の開始時点とし、サンプリング電圧がオフ閾値以下になった時点をデューティ比のオン期間の終了時点とすることによって、オン期間を設定する。単位期間TUのうちのオン期間以外はオフ期間である。駆動制御信号のデューティ比は、単位期間TUのうちのオン期間の百分率で表される。デューティ比は、導通角と同義である。なお、オン閾値(1.0V)よりも小さいオフ閾値(0.8V)を用いるのは、ヒステリシスを設けることによって、オン期間の開始と終了を安定的に判定可能にするためである。オン閾値(1.0V)とオフ閾値(0.8V)の値は一例であり、調光制御装置100Aの動作条件等に応じて変更が可能である。
【0060】
図3(A)には、単位期間TUとオン期間Tonの理論値を示す。単位期間TUの理論値は、正位相の波形の立上りから次の立上りまでの期間であり、半周期T/2の理論値に相当する。オン期間Tonの理論値は、正位相の波形の立上りから振幅が0Vになるまでの期間である。正位相の波形の立上りとは、波形がカットされている期間T1の終了時である。
【0061】
図3(A)では、正位相であるため、時刻t0から期間T1にわたって波形がカットされている。時刻t0から期間T1の間のサンプリング電圧は0Vである。期間T1が経過した後の時刻t1Aにおいてサンプリング電圧がオン閾値以上になるため、駆動制御信号生成部131は、サンプリング電圧がオン閾値以上になった時刻t1Aをオン期間Tonの開始時点に決定する。時刻t2Aでサンプリング電圧がオフ閾値以下になると、駆動制御信号生成部131は、サンプリング電圧がオフ閾値以下になった時点をオン期間Tonの終了時点に決定する。オン期間Tonは時刻t1Aから時刻t2Aである。
【0062】
また、駆動制御信号生成部131は、一例として、サンプリング電圧がオン閾値以上になる時刻t1Aから、次にサンプリング電圧がオン閾値以上になる時刻t3Aまでの期間を単位期間TUとして取得することができる。駆動制御信号生成部131は、正位相の場合には、上述のようにして決定したオン期間Tonと単位期間TUとを用いてデューティ比を設定し、デューティ比を有する駆動制御信号を生成する。
【0063】
図3(B)には、逆位相の場合の単位期間TUとオン期間Tonの理論値を示す。単位期間TUの理論値は、逆位相の波形の始期(時刻t0)から次の始期までの期間であり、半周期T/2の理論値に相当する。オン期間Tonの理論値は、逆位相の波形の始期(時刻t0)から波形のカットが始まる時点までの期間である。
【0064】
時刻t1Bにおいてサンプリング電圧がオン閾値以上になるため、駆動制御信号生成部131は、サンプリング電圧がオン閾値以上になった時刻t1Bをオン期間Tonの開始時点に決定する。
【0065】
駆動制御信号生成部131は、オン期間Tonの開始時点を決定した後は、サンプリング電圧を取得する度に、1つ前のサンプリング周期のサンプリング電圧(以下、前回のサンプリング電圧と称す)に対する今回のサンプリング電圧の低下分が所定の閾値以上であるかどうかを判定する。サンプリング周期の1周期におけるサンプリング電圧の低下分が所定の閾値以上であるときに、立下りが生じたと判定するためである。なお、今回のサンプリング電圧とは、最新のサンプリング周期においてサンプリングした電圧である。
【0066】
時刻t2Bにおいて、前回のサンプリング電圧に対する今回のサンプリング電圧の低下分が所定の閾値以上になると、駆動制御信号生成部131は、立下りが生じた時刻t2Bをオン期間Tonの終了時点に決定する。オン期間Tonは時刻t1Bから時刻t2Bである。
【0067】
また、駆動制御信号生成部131は、一例として、サンプリング電圧がオン閾値以上になる時刻t1Bから、次にサンプリング電圧がオン閾値以上になる時刻t3Bまでの期間を単位期間TUとして取得する。駆動制御信号生成部131は、逆位相の場合には、上述のようにして決定したオン期間Tonと単位期間TUとを用いてデューティ比を設定し、デューティ比を有する駆動制御信号を生成する。
【0068】
<動作1を実現するフローチャート>
図4は、動作1を実現する処理を表すフローチャートを示す図である。この処理は、駆動制御信号生成部131及び立下り検出部132によって実行される。また、駆動制御信号生成部131は、所定のサンプリング周期でサンプリング電圧を取得し続けており、最新のサンプリング電圧(今回のサンプリング電圧)について、以下の処理を行う。
【0069】
駆動制御信号生成部131は、処理をスタートさせると、調光器10が逆位相で位相制御を行うものであるかどうかを判定する(ステップS1)。調光器10が逆位相で位相制御を行うかどうかの判定は、例えば、図3(A)に示す期間T1のようにサンプリング電圧が0Vである状態が複数回続く場合に逆位相と判定すればよい。また、例えば、最初は単位期間TUにわたってサンプリング電圧が形成する波形を観察して、期間T1が単位期間TUの最初にあるか最後にあるかによって、逆位相であるかどうかを判定してもよい。
【0070】
駆動制御信号生成部131は、逆位相である(S1:YES)と判定すると、サンプリング電圧がオン閾値以上であるかどうかを判定する(ステップS2A)。オン期間Tonの開始時点を決定するためである。駆動制御信号生成部131は、サンプリング電圧がオン閾値以上ではない(S2A:NO)と判定した場合は、ステップS2Aの処理を繰り返し実行する。
【0071】
駆動制御信号生成部131は、サンプリング電圧がオン閾値以上である(S2A:YES)と判定すると、オン期間Tonの開始時点を決定するとともに、単位期間TUを確定する(ステップS3A)。単位期間TUの確定は、サンプリング電圧がオン閾値以上になったタイミングに限られず、他のタイミングで判定してもよいが、ここでは一例として図3(B)と同様に、サンプリング電圧がオン閾値以上になったタイミングで単位期間TUを確定することとする。
【0072】
駆動制御信号生成部131は、前回のサンプリング電圧に対する今回のサンプリング電圧の低下分を求める(ステップS4A)。
【0073】
立下り検出部132は、ステップS4Aで駆動制御信号生成部131によって求められたサンプリング電圧の低下分が所定の閾値以上であるかどうかを判定する(ステップS5A)。立下りを検出するためである。
【0074】
駆動制御信号生成部131は、立下り検出部132によってサンプリング電圧の低下分が所定の閾値以上ではない(S5A:NO)と判定されると、フローをステップS4Aにリターンする。新たなサンプリング電圧を取得して、再びサンプリング電圧の低下分を求めるためである。
【0075】
立下り検出部132は、サンプリング電圧の低下分が所定の閾値以上である(S5A:YES)と判定すると、立下りを検出する(ステップS6A)。
【0076】
駆動制御信号生成部131は、立下り検出部132によって立下りが検出された時点をオン期間Tonの終了時点に決定する(ステップS7A)。これにより、オン期間Tonが決定する。
【0077】
駆動制御信号生成部131は、ステップS7Aで決定したオン期間Tonと、ステップS3Aで確定した単位期間TUとを用いてデューティ比を設定し、デューティ比を有する駆動制御信号を生成する(ステップS8A)。
【0078】
駆動制御信号生成部131は、処理を終了するかどうかを判定する(ステップS9A)。処理を終了するのは、一例として調光器10の電源がオフにされた場合である。駆動制御信号生成部131は、処理を終了しない(S9A:NO)と判定すると、フローをステップS2Aにリターンする。次の単位期間TUについての判定を行うためである。また、駆動制御信号生成部131は、、処理を終了する(S9A:YES)と判定すると、一連の処理を終える(エンド)。なお、一連の処理を終えた後に処理を再開する際には、ステップS2Aからスタートしてもよい。調光器10が逆位相で位相制御を行うことが分かっているからである。
【0079】
また、駆動制御信号生成部131は、ステップS1において、逆位相ではない(S1:NO)と判定すると、サンプリング電圧がオン閾値以上であるかどうかを判定する(ステップS2B)。正位相の調光器10であるため、オン閾値以上になったときにオン期間Tonを開始するからである。駆動制御信号生成部131は、サンプリング電圧がオン閾値以上ではない(S2B:NO)と判定すると、サンプリング電圧がオン閾値以上になるまでステップS2Bの処理を繰り返し実行する。
【0080】
駆動制御信号生成部131は、ステップS2Bにおいて、サンプリング電圧がオン閾値以上である(S2B:YES)と判定すると、オン期間Tonの開始時点を決定するとともに、単位期間TUを確定する(ステップS3B)。単位期間TUの確定は、サンプリング電圧がオン閾値以上になったタイミングに限られず、他のタイミングで判定してもよいが、ここでは一例として図3(A)と同様に、サンプリング電圧がオン閾値以上になったタイミングで単位期間TUを確定することとする。
【0081】
駆動制御信号生成部131は、サンプリング電圧がオフ閾値以下であるかどうかを判定する(ステップS4B)。オン期間Tonの終了時点を検出するためである。駆動制御信号生成部131は、サンプリング電圧がオフ閾値以下ではない(S4B:NO)と判定すると、次のサンプリング電圧についてステップS4Bの処理を繰り返し実行する。
【0082】
駆動制御信号生成部131は、サンプリング電圧がオフ閾値以下である(S4B:YES)と判定すると、オフ閾値以下になった時点をオン期間Tonの終了時点に決定する(ステップS5B)。
【0083】
駆動制御信号生成部131は、ステップS3Bで決定したオン期間Tonと単位期間TUとを用いてデューティ比を設定し、デューティ比を有する駆動制御信号を生成する(ステップS6B)。
【0084】
駆動制御信号生成部131は、処理を終了するかどうかを判定する(ステップS7B)。処理を終了するのは、一例として調光器10の電源がオフにされた場合である。駆動制御信号生成部131は、処理を終了しない(S7B:NO)と判定すると、フローをステップS2Bにリターンする。次の単位期間TUについての判定を行うためである。また、駆動制御信号生成部131は、、処理を終了する(S7B:YES)と判定すると、一連の処理を終える(エンド)。なお、一連の処理を終えた後に処理を再開する際には、ステップS2Bからスタートしてもよい。調光器10が正位相で位相制御を行うことが分かっているからである。
【0085】
動作1では、調光器10が正位相で位相制御を行う場合には、オン閾値とオフ閾値を用いてオン期間Tonを決定し、オン期間Tonの開始時点を利用して単位期間TUを確定する。
【0086】
一方、調光器10が逆位相で位相制御を行う場合には、波形のカットが始まる期間T1の開始時において、調光制御装置100Aの静電容量やインダクタンス等の影響によって波形が鈍り、オン期間Tonの終了時点を正確に検出できないおそれがある。そのため、調光制御装置100Aは、前回のサンプリング電圧に対する今回のサンプリング電圧の低下分が所定の閾値以上であるかどうかを判定することで、波形の立下りを検出し、オン期間Tonの終了時点と単位期間TUとを正確に検出できるようにしている。
【0087】
なお、動作1では、調光器10が逆位相で位相制御を行う場合に波形のカットが始まる期間T1の開始時に調光制御装置100Aの静電容量やインダクタンス等の影響によって波形が鈍っても、波形の立下りを検出可能である場合について説明した。しかしながら、調光制御装置100Aの静電容量やインダクタンス等の影響がより大きい場合には、波形の立下りを検出することが困難になる場合がある。例えば、前回のサンプリング電圧に対する今回のサンプリング電圧の低下分が所定の閾値以上にならないほど波形の鈍りが強い場合には、放電回路150を利用することによって、波形が立下りを有するように変形することが可能である。このように放電回路150を利用する場合について、次に動作2として説明する。
【0088】
<動作2>
図5は、調光制御装置100Aの動作2を説明する波形図である。図5(A)、図5(B)には逆位相の場合の動作を示す。図5(A)、図5(B)において、図3(A)、図3(B)と同様に、横軸は時間を表し、縦軸は振幅(電圧値)を表し、黒丸はサンプリング電圧を表す。隣り合うサンプリング電圧の間の時間は、サンプリング周期である。サンプリング電圧は、整流回路112で全波整流された電圧に基づいているため、時系列的に並べられたサンプリング電圧によって形成される波形の振幅は0V以上である。
【0089】
図5(A)には、放電回路150がオフ(遮断状態)の場合の波形を示し、図5(B)には、放電回路150がオン(接続状態)の場合の波形を示す。図5(A)において、期間T1内には正弦波を破線で示し、実際のサンプリング電圧から得られる波形を実線で示す。また、逆位相で波形をカットした場合の理想的な波形を一点鎖線で示す。
【0090】
調光制御装置100Aの静電容量やインダクタンス等の影響がより大きいため、図5(A)に示すように期間T1において、実線で示す波形の振幅は動作1の波形よりも緩やかに低下している。
【0091】
このような場合に、期間T1内で放電回路150をオンにすると、整流回路112の出力側で電力伝送線路102Hに接続されている放電回路150が接続状態になって電力伝送線路102Hが接地電位点に接続されるため、図5(B)に示すように期間T1内におけるサンプリング電圧の波形に立下りを設けることができる。
【0092】
ここでは、次のようにして放電回路150をオンにするタイミングを設定する。放電回路150をオンにするタイミングは、図5(B)における時刻t2Bのように、前回のサンプリング電圧に対する今回のサンプリング電圧の低下分が所定の閾値以上になって立下りが検出された時点から、単位期間TUからマージン時間Tmを減算した時間(TU-Tm)が経過したときである。単位期間TUは、半周期T/2と等しいため、時間(TU-Tm)は、半周期T/2からマージン時間Tmを減算した時間(T/2-Tm)と等しい。
【0093】
サンプリング電圧の波形において、1個前の単位期間TUからデューティ比が変わっていない場合には、今回の単位期間TUにおいても、同じタイミングで波形がカットされると考えられる。このため、単位期間TUからマージン時間Tmを減算した時間(TU-Tm)を求め、立下りが検出された時点から時間(TU-Tm)が経過した時点で放電回路150をオンにする。
【0094】
また、放電回路150をオフにするタイミングは、サンプリング電圧がオン閾値以上になったときにする。確実に判定可能なタイミングであるからである。
【0095】
なお、最初に放電回路150をオンにするタイミングを設定する際には、例えば、最初(1個目)の単位期間TUでは常に放電回路150をオンにしておいてサンプリング電圧がオン閾値以上になる時刻t1Bを取得し、2個目以降の単位期間TUでは、1個前の単位期間TUで取得した時刻t1Bから時間(TU-Tm)が経過した時点を、放電回路150をオンにするタイミングに設定すればよい。
【0096】
また、ここでは、立下りが検出された時点から時間(TU-Tm)が経過した時点で放電回路150をオンにする形態について説明したが、マージン時間を設けなくても大丈夫な場合には、立下りが検出された時点から単位期間TU)が経過した時点で放電回路150をオンにしてもよい。
【0097】
<動作2を実現するフローチャート>
図6は、動作2を実現する処理を表すフローチャートを示す図である。この処理は、駆動制御信号生成部131、立下り検出部132、及び切替制御部133によって実行される。また、駆動制御信号生成部131は、所定のサンプリング周期でサンプリング電圧を取得し続けており、最新のサンプリング電圧(今回のサンプリング電圧)について、以下の処理を行う。
【0098】
駆動制御信号生成部131は、処理をスタートさせると、前回のサンプリング電圧に対する今回のサンプリング電圧の低下分を求める(ステップS11)。
【0099】
立下り検出部132は、ステップS11で駆動制御信号生成部131によって求められたサンプリング電圧の低下分が所定の閾値以上であるかどうかを判定する(ステップS12)。立下りを検出するためである。
【0100】
駆動制御信号生成部131は、立下り検出部132によってサンプリング電圧の低下分が所定の閾値以上ではない(S12:NO)と判定されると、フローをステップS11にリターンする。新たなサンプリング電圧を取得して、再びサンプリング電圧の低下分を求めるためである。
【0101】
立下り検出部132がサンプリング電圧の低下分が所定の閾値以上である(S12:YES)と判定すると、立下り検出部132が立下りを検出するとともに、駆動制御信号生成部131が単位期間TUからマージン時間Tmを減算した時間(TU-Tm)のカウントを開始する(ステップS13)。
【0102】
駆動制御信号生成部131は、時間(TU-Tm)が経過したかどうかを判定する(ステップS14)。駆動制御信号生成部131は、時間(TU-Tm)が経過したと判定するまでステップS14の処理を繰り返し実行する。
【0103】
駆動制御信号生成部131によって時間(TU-Tm)が経過した(S14:YES)と判定されると、切替制御部133は放電回路150をオンにする(ステップS15)。
【0104】
駆動制御信号生成部131は、サンプリング電圧がオン閾値以上であるかどうかを判定する(ステップS16)。オン期間Tonの開始時点を決定するためである。駆動制御信号生成部131は、サンプリング電圧がオン閾値以上ではない(S16:NO)と判定した場合は、ステップS16の処理を繰り返し実行する。
【0105】
駆動制御信号生成部131がサンプリング電圧はオン閾値以上である(S16:YES)と判定すると、駆動制御信号生成部131がオン期間Tonの開始時点を決定するとともに、切替制御部133が放電回路150をオフにする(ステップS17)。
【0106】
駆動制御信号生成部131は、一連の処理を終える(エンド)。
【0107】
以上のように、サンプリング電圧の波形が立下ってから時間(TU-Tm)が経過した時点で、切替制御部133が放電回路150をオンにする。立下りから時間(TU-Tm)が経過した時点は、次の単位期間TUにおいて立下りが生じるタイミングの直前であるため、図5(A)に実線で示すような波形を図5(B)に実線で示すような波形にすることができ、立下りを検出しやすい波形が得られる。
【0108】
このため、調光制御装置100Aの静電容量やインダクタンス等の影響がより大きく、図5(A)に実線で示すように期間T1において波形の立下りが緩やかであっても、放電回路150をオンにすることで、立下りを検出しやすくすることができる。
【0109】
放電回路150をオンにして図5(B)に示すような波形が得られれば、動作1について図4を用いて説明した処理を行うことによって、立下りを検出してデューティ比を設定し、駆動制御信号を生成することができる。
【0110】
<動作3>
図7は、調光制御装置100Aの動作3を説明する図である。図7において、横軸は時間であり、図7では単位期間で表す。縦軸は駆動制御信号のデューティ比を表す。また、白丸は、単位期間TU毎のデューティ比を表す。
【0111】
デジタル制御では、サンプリング電圧がオン閾値以上になるタイミングの測定タイミングの各単位期間TUでのずれや、その他のずれ等によって生じる誤差によって、デューティ比が細かく変動する(揺れる)場合がある。デューティ比の揺れは、LED20の明るさの揺れを引き起こす。動作3では、デューティ比の揺れを排除し、デューティ比を更新させるべきときに更新することを実現する。
【0112】
駆動制御信号生成部131は、第1閾値(1%)と第2閾値(0.5%)を用いてデューティ比を更新するかどうかを判定する。また、一例として、駆動制御信号生成部131は、今回の単位期間TUで求めたデューティ比の1個前の単位期間TUで求めたデューティ比に対する変化分の絶対値が第1閾値(1%)以上であれば、デューティ比を今回の単位期間TUで求めた値に更新する。デューティ比の変化分の絶対値が1%以上であれば、デューティ比の揺れではなく、更新させるべき大きさの変化分であると考えられるからである。
【0113】
また、駆動制御信号生成部131は、連続した3個の単位期間TUで求めたデューティ比の各々の4個前の単位期間TUで求めたデューティ比に対する変化分の絶対値がすべて第2閾値(0.5%)以上であれば、デューティ比を今回の単位期間TUで求めた値に更新する。1回の変動ではデューティ比の揺れであるかどうか判別が難しいような小さな変化分については、連続して3回にわたって第1閾値(1%)よりも小さい第2閾値(0.5%)以上になった場合に、デューティ比を更新する。このように第1閾値(1%)と異なる第2閾値(0.5%)を用いてヒステリシスを設け、更新を実行するために満たす回数にも差を付けて、デューティ比の揺れを排除し、更新すべき場合にデューティ比を更新するようにしている。
【0114】
なお、ここでは一例として、第2閾値(0.5%)については連続した3個の単位期間TUで求めたデューティ比を対象として判定を行うが、3個に限られるものではない。N(Nは2以上の整数)個の単位期間TUで求めたデューティ比の各々のN+1個前の単位期間TUで求めたデューティ比に対する変化分の絶対値がすべて第2閾値(0.5%)以上であれば、デューティ比を今回の単位期間TUで求めた値に更新してもよい。N個の単位期間TUのNの値は、条件等に応じて変更が可能である。また、第1閾値は1%に限られず、第2閾値は0.5%に限られない。第1閾値と第2閾値は、条件等に応じて変更が可能である。
【0115】
図7に示すように、例えば、単位期間TU1から次の単位期間TU2にかけてデューティ比がD1からD2に増大したとする。この場合に、駆動制御信号生成部131は、デューティ比の変化分D2-D1が第1閾値(1%)以上であるかどうかを判定する。第1閾値(1%)以上であれば、単位期間TU2でデューティ比をD2に更新する。その後デューティ比は増大し続け、単位期間TU3でD3、単位期間TU4でD4になり、デューティ比の変化分D3-D2、D4-D3が第1閾値(1%)以上であるため、駆動制御信号生成部131は、単位期間TU3でデューティ比をD3に更新し、単位期間TU4でデューティ比をD4に更新する。
【0116】
また、単位期間TU5~TU7における連続する3個のデューティ比D5~D7が、単位期間TU4のデューティ比D4に対して第2閾値以上であるため、駆動制御信号生成部131は、単位期間TU7でデューティ比をD7に更新する。なお、この場合に、駆動制御信号生成部131は3個のデューティ比D5~D7の平均値にデューティ比を更新してもよい。
【0117】
また、単位期間TU11から単位期間TU14では、単位期間TU10のデューティ比に対する変化分が第2閾値を超えない。このような場合には、駆動制御信号生成部131はデューティ比を更新しない。このようにデューティ比が揺れてもデューティ比を更新しないようにすることにより、駆動制御信号で電流制御素子118を安定的に駆動する。
【0118】
また、単位期間TU21から単位期間TU24では、単位期間TU20のデューティ比に対する変化分が単位期間T21と単位期間TU23で第2閾値以上になるが、連続した3個の単位期間TUで第2閾値以上になっていないため、駆動制御信号生成部131はデューティ比を更新しない。このように単発的に第2閾値以上になるほどデューティ比が揺れても、直ぐにはデューティ比を更新しないため、電流制御素子118を安定的に駆動することができる。
【0119】
なお、図7では、デューティ比の変動が正の場合に、正の値の第1閾値(1%)と第2閾値(0.5%)を用いて、駆動制御信号生成部131がデューティ比を更新する(増大させる)かどうかを判定する形態について説明した。しかしながら、デューティ比の変動が負の場合には、負の値の第1閾値(-1%)と第2閾値(-0.5%)を用いて、駆動制御信号生成部131がデューティ比を更新する(低下させる)かどうかを判定すればよい。
【0120】
<動作3を実現するフローチャート>
図8は、動作3を実現する処理を表すフローチャートを示す図である。この処理は、駆動制御信号生成部131によって実行される。駆動制御信号生成部131は、所定のサンプリング周期でサンプリング電圧を取得し続けており、最新のサンプリング電圧(今回のサンプリング電圧)について、以下の処理を行う。
【0121】
駆動制御信号生成部131は、処理をスタートさせると、1個前の単位期間TUのデューティ比に対する今回の単位期間TUのデューティ比の変化分の絶対値を算出する(ステップS21)。この変化分は、第1変化分の一例である。
【0122】
駆動制御信号生成部131は、ステップS21で算出した変化分の絶対値が第1閾値以上であるかどうかを判定する(ステップS22)。
【0123】
駆動制御信号生成部131は、変化分の絶対値が第1閾値以上である(S22:YES)と判定すると、デューティ比を今回の単位期間TUで求めたデューティ比に更新して駆動制御信号を生成する(ステップS23)。
【0124】
駆動制御信号生成部131は、ステップS23の処理を終えると、一連の処理を終える(エンド)。駆動制御信号生成部131は、図8に示すフローチャートを繰り返し実行する。
【0125】
駆動制御信号生成部131は、ステップS22において、変化分の絶対値が第1閾値以上ではない(S22:NO)と判定すると、今回の単位期間TUまでの連続した3個の単位期間TUで求めたデューティ比の各々の4個前の単位期間TUで求めたデューティ比に対する変化分の絶対値がすべて第2閾値以上であるかどうかを判定する(ステップS24)。この変化分は、第2変化分の一例である。
【0126】
駆動制御信号生成部131は、すべて第2閾値以上である(S24:YES)と判定すると、フローをステップS23に進行させてデューティ比を今回の単位期間TUで求めたデューティ比に更新して駆動制御信号を生成する(ステップS23)。
【0127】
また、駆動制御信号生成部131は、ステップS24において、すべて第2閾値以上ではない(S24:NO)と判定すると、一連の処理を終える(エンド)。駆動制御信号生成部131は、図8に示すフローチャートを繰り返し実行する。
【0128】
このため、例えば、1個前の単位期間TUのデューティ比に対する今回の単位期間TUのデューティ比の変化分が、1回又は2回連続で第1閾値未満である場合には、デューティ比は更新されない。また、1個前の単位期間TUのデューティ比に対する今回の単位期間TUのデューティ比の変化分が、第2閾値未満である場合には、デューティ比は更新されない。この場合に、第2閾値未満である状態が何回連続しても、デューティ比は更新されない。
【0129】
以上のように、動作3では、デューティ比の変化分の絶対値が第1閾値(1%)以上であれば、デューティ比の揺れではないとの考えから、デューティ比を今回の単位期間TUで求めた値に更新する。また、デューティ比の変化分の絶対値が第2閾値(0.5%)以上である場合には、連続して3回にわたって第2閾値(0.5%)以上になった場合に、デューティ比を更新することでデューティ比の揺れを排除し、電流制御素子118を安定的に駆動可能な駆動制御信号を生成することができる。また、この結果、LED20の明るさの揺れを抑制し、安定的な照光が可能になる。
【0130】
<動作4>
図9は、調光制御装置100Aの動作4を説明するための図である。図9において、横軸は温度(℃)を表し、縦軸は電流制御素子118が出力する駆動電流の電流値(A)を表す。調光装置100の電流制御素子118は、デューティ比が一定の場合には定電流制御によって駆動電流の電流値が目標値で一定であることが望ましい。しかしながら、実際には温度によって駆動電流の電流値が変化する。より具体的には、一例として、図9に破線で示すように、温度の上昇に従って駆動電流の電流値が減少する。駆動電流の電流値が減少すると、LED20が暗くなる。
【0131】
動作4では、信号補正部134は、このような駆動電流の電流値の減少を目標値に補正するために、温度検出部160によって検出される温度に応じて、駆動制御信号のデューティ比を補正することで、駆動電流の電流値を目標値に補正する。これにより、電流制御素子118は、デューティ比が一定の場合に定電流制御される。
【0132】
図10は、デューティ比の補正値を表す補正テーブルを示す図である。図10には、入力電圧、抵抗値、温度、補正値を示す。入力電圧は、接続点160Aの電圧値であり、制御装置130に入力される。抵抗値は、入力電圧に対応するサーミスタ161の抵抗値である。温度は、抵抗値に対応する温度である。補正値は、温度に対応する駆動制御信号のデューティ比の補正値(%)である。
【0133】
例えば、入力電圧が0.072Vだと抵抗値が68.2367Ωになり、抵抗値が68.2367Ωだと温度が-20℃であり、温度が-20℃だと補正値は-4(%)になる。また、入力電圧が0.969Vだと抵抗値が4.1609Ωになり、抵抗値が4.1609Ωだと温度が50℃であり、温度が50℃だと補正値は3(%)になる。補正値が-4(%)の場合は、駆動制御信号のデューティ比に-4(%)の補正値が加算される。補正値が4(%)の場合は、駆動制御信号のデューティ比に4(%)の補正値が加算される。その他の入力電圧の場合も同様である。このようにしてデューティ比が補正され、駆動電流の電流値を目標値に補正する。
【0134】
動作4では、電流制御素子118が出力する駆動電流の電流値が温度によって変化しても、図10の補正テーブルを用いて駆動制御信号のデューティ比を補正することで、駆動電流の電流値を目標値に補正することができる。このため、温度の変化によらずに、駆動電流の電流値を目標値(一定値)に保持することができ、電流制御素子118を安定的に駆動することができる。また、この結果、LED20の明るさを一定に保持でき、安定的な照光が可能になる。なお、図10に示す温度の値と補正値は一例であり、条件等に応じて変更が可能である。また、図10に示す入力電圧と抵抗値の値は一例である。補正テーブルは、様々な入力電圧と抵抗値に応じた温度の値と補正値を含んでいてよい。
【0135】
<動作5>
図11は、調光制御装置100Aの動作5を説明するための図である。低出力でLED20の発光を開始する場合には、コンデンサ118Aに十分な量の電荷が蓄えられていないことから、コンデンサ118Aの充電に時間がかかり、LED20を発光させるのに要する時間が長くなる場合がある。
【0136】
動作5では、このような場合に、早期にLED20を発光可能にするために、増大処理部135は、LED20の発光開始時に、出力電圧検出部170で検出される出力電圧が所定電圧以下の場合に、駆動電流が増大するように駆動制御信号のデューティ比を増大させる。
【0137】
図11において、横軸は時間(s)を表し、縦軸は出力電圧検出部170で検出によって検出される出力電圧(V)を表す。例えば、動作5によるデューティ比の増大処理を行わない場合に、時刻t20で駆動制御信号の出力を開始すると、出力電圧は時間経過に伴って破線で示すように緩やかに増大し、出力電圧が発光電圧に到達してLED20が発光するのは時刻t23であることとする。
【0138】
増大処理部135は、LED20の発光開始時に、出力電圧検出部170で検出される出力電圧が所定の閾値電圧VTH以下の場合に、駆動電流が増大するように駆動制御信号のデューティ比を増大させる。この結果、出力電圧は時刻t20から実線で示すように急激に増大し、時刻t21で閾値電圧VTHを超える。出力電圧が閾値電圧VTHを超えると、増大処理部135が増大処理を終了するので、出力電圧は破線の特性と同じ傾きで増大する。時刻t22で発光電圧に到達するとLED20が発光する。
【0139】
このように、動作5によれば、低出力でLED20の発光を開始する場合に、増大処理部135が駆動制御信号のデューティ比を増大させる増大処理を行うことによって出力電圧を早期に増大させることができ、早期にLED20を発光させることができる。
【0140】
<動作6>
図12は、調光制御装置100Aの動作6を説明するための図である。図12において、横軸は出力電圧検出部170によって検出される出力電圧(V)であり、縦軸は駆動制御信号のデューティ比(%)である。
【0141】
動作6は、LED20の定格電圧の範囲内で複数の電圧値で発光可能な場合に、LED20に印加する順方向の電圧を変化させる際にデューティ比にずれが生じることを抑制し、容易にデューティ比を決定する方法に関する。
【0142】
動作6では、一例としてメモリ137に、LED20を発光可能な最小電圧V1のときの駆動制御信号のデューティ比D11と、LED20を発光可能な最大電圧V2のときの駆動制御信号のデューティ比D12とを表すデータが格納されていることとする。
【0143】
最小電圧V1とデューティ比D11との組み合わせ、及び、最大電圧V2とデューティ比D12との組み合わせは、調光制御装置100Aの製造工程時にデータを取得してメモリ137に格納しておけばよい。最小電圧V1とデューティ比D11は、第1電圧と第1デューティ比の一例であり、最大電圧V2とデューティ比D12は、第2電圧と第2デューティ比の一例である。
【0144】
図12に示すように、最小電圧V1及びデューティ比D1と、最大電圧V2及びデューティ比D12との間では、出力電圧とデューティ比は比例関係にある。このため、最小電圧V1と最大電圧V2との差ΔVに対する、デューティ比D1とデューティ比D12との差ΔDの割合ΔD/ΔVを補正係数として用いれば、最小電圧V1と最大電圧V2との間の任意の出力電圧V3におけるデューティ比D13を補間によって求めることができる。
【0145】
補間処理部136は、割合ΔD/ΔVを補正係数として用いた補間処理によって、出力電圧検出部170によって検出される出力電圧V3における駆動制御信号のデューティ比D13を求める。駆動制御信号生成部131は、補間処理部136によって求められたデューティ比D13を用いて、駆動制御信号を生成する。
【0146】
このため、任意の出力電圧V3における駆動制御信号のデューティ比を容易かつ迅速に求めることができ、様々な出力電圧でLED20を発光させることができる。例えば、複数のLED20を直列に接続すると、複数のLED20を発光させるための順方向電圧が1個のLED20を発光させるための順方向電圧とは異なり、順方向電圧の種類が増えることになる。このように順方向電圧の種類が多いような場合に、様々な出力電圧でLED20を発光させることができるため、特に有用である。
【0147】
なお、ここでは、最小電圧V1とデューティ比D11との組み合わせ、及び、最大電圧V2とデューティ比D12との組み合わせを表すデータをメモリ137に格納する形態について説明した。しかしながら、最小電圧V1とデューティ比D11との組み合わせ、及び、最大電圧V2とデューティ比D12に限られず、最小電圧V1及びデューティ比D11と、最大電圧V2及びデューティ比D12とによって得られる傾きと等しい傾きを与える2つの出力電圧における2つのデューティ比をメモリ137に格納しておけば、同様に補間処理を実行することができる。
【0148】
<効果>
以上のように、動作1では、調光器10が逆位相で位相制御を行う場合には、調光制御装置100Aは、サンプリング電圧の波形の立下りを検出し、オン期間Tonの終了時点と単位期間TUとを検出する。また、調光器10が正位相で位相制御を行う場合には、オン閾値とオフ閾値を用いてオン期間Tonを決定し、オン期間Tonの開始時点を利用して単位期間TUを確定する。
【0149】
したがって、異なる形式の調光器10に対応可能な調光制御装置100A、及び、調光装置100を提供することができる。
【0150】
また、動作1では、調光器10が逆位相で位相制御を行う場合には、調光制御装置100Aは、前回のサンプリング電圧に対する今回のサンプリング電圧の低下分が所定の閾値以上である場合に波形の立下りを検出するので、サンプリング周期におけるサンプリング電圧の低下分に基づいて、より正確に立下りを検出できる。このため、異なる形式の調光器10に対応可能で、調光器10が逆位相の場合に波形の立下りをより正確に立下りを検出可能な調光制御装置100A、及び、調光装置100を提供することができる。
【0151】
また、駆動制御部130Bは、分圧回路113によって取得された電圧が正位相の場合に、サンプリング電圧がオン閾値以上になった時点をオン期間の開始時点としてデューティ比を設定するので、調光器10が正位相で位相制御を行う場合においても、正確にデューティ比を設定することができる。
【0152】
また、放電回路150を含み、切替制御部133は、立下り検出部132によって立下りが検出されてから単位期間TUが経過した時点で、放電回路150をオンに切り替える。このため、調光制御装置100Aの静電容量やインダクタンス等の影響がより大きい場合においても、放電回路150をオンにすることで、立下りを検出しやすくすることができ、正確にデューティ比を設定することができる。
【0153】
また、切替制御部133は、立下り検出部132によって立下りが検出されてから、単位期間TUからマージン時間Tmを減算した時間(TU-Tm)が経過した時点で、放電回路150をオンに切り替える。サンプリング電圧は、サンプリング周期毎に取得されるため、単位期間TUの開始時点や終了時点が理論値からずれる場合がある。このため、放電回路150をオンに切り替えるタイミングを測定した単位期間TUよりもマージン時間Tmだけ早めることによって、立下りのタイミングで確実に放電回路150をオンできるようにしている。この結果、立下りをより確実に検出でき、より正確にデューティ比を設定することができる。
【0154】
また、駆動制御信号生成部131は、1個前の単位期間TUのデューティ比に対する今回の単位期間TUのデューティ比の変化分の絶対値が第1閾値以上の場合にデューティ比を更新する。このため、デューティ比の変化分がデューティ比の揺れよりも大きいような場合に、確実にデューティ比を更新することができ、デューティ比の変動をより正確に反映させた駆動制御信号を生成することができる。
【0155】
また、駆動制御信号生成部131は、連続するN(Nは2以上の整数)個の単位期間TUにおけるデューティ比のN+1個前の単位期間TUのデューティ比に対する変化分の絶対値が第2閾値以上の場合にデューティ比を更新する。このため、デューティ比の変化分がデューティ比の揺れと同等であるような場合に、確実にデューティ比を更新することができ、デューティ比の変動をより正確に反映させた駆動制御信号を生成することができる。
【0156】
また、駆動制御信号生成部131は、デューティ比の変化分の絶対値が第2閾値未満の場合にはデューティ比を更新しない。このため、デューティ比の変化分がデューティ比の揺れと同等であるような場合に、デューティ比の揺れの影響を排除してデューティ比を一定に保持することができ、電流制御素子118を安定的に駆動することができる。
【0157】
また、第2閾値は、第1閾値よりも小さいので、第1閾値と第2閾値にヒステリシスを設けることで、デューティ比の揺れを排除しやすくし、更新すべき場合にデューティ比を更新することができる。
【0158】
また、駆動制御信号生成部131は、1個前の単位期間TUのデューティ比に対する今回の単位期間TUのデューティ比の変化分の絶対値が第1閾値未満で、連続するN(Nは2以上の整数)個の単位期間TUにおけるデューティ比のN+1個前の単位期間TUのデューティ比に対する変化分の絶対値が第2閾値以上ではない場合にはデューティ比を更新しない。すなわち、1回又は2回連続でデューティ比が変動しても変化分の絶対値が第1閾値未満である場合には、デューティ比は更新されない。このため、更新すべき場合にデューティ比を更新し、更新すべきでない場合にデューティ比を更新せずに保持でき、電流制御素子118を安定的に駆動することができる。
【0159】
また、温度検出部160を含み、信号補正部134は、温度検出部160によって検出される温度の変化による駆動電流の変化分を補正するように、駆動制御信号のデューティ比を補正する。このため、電流制御素子118が出力する駆動電流の電流値が温度によって変化しても、駆動電流の電流値を目標値に補正でき、温度の変化によらずに、電流制御素子118を安定的に駆動することができる。
【0160】
また、出力電圧検出部170を含み、増大処理部135は、LED20の発光開始時に、出力電圧検出部170によって検出される出力電圧が閾値電圧VTH以下の場合に、駆動電流が増大するようにデューティ比を増大させる。このため、低出力でLED20の発光を開始する場合においても、早期にLED20を発光させることができる。
【0161】
また、出力電圧検出部170を含み、補間処理部136は、最小電圧V1と最大電圧V2との差ΔVに対する、デューティ比D1とデューティ比D12との差ΔDの割合ΔD/ΔVを補正係数として用いた補間処理によって、出力電圧検出部170によって検出される出力電圧V3におけるデューティ比D13を求める。このため、任意の出力電圧V3における駆動制御信号のデューティ比を容易かつ迅速に求めることができ、様々な出力電圧でLED20を発光させることができる。
【0162】
なお、以上では、発光体がLED20である形態について説明したが、調光制御装置100A、及び、調光装置100が制御可能な発光体はLED20に限らない。調光制御装置100A、及び、調光装置100は、電流制御可能な発行体であれば、LED20以外の発光体であっても制御可能である。
【0163】
以上、本発明の例示的な実施形態の調光制御装置、及び、調光装置について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0164】
10 調光器
20 LED
100 調光装置
100A 調光制御装置
101A、101B 端子
111 フィルタ回路
112 整流回路
113 分圧回路
114 PFC回路
114A 平滑コンデンサ
115 FET
116 トランス
117 整流回路
118 電流制御素子
118A コンデンサ
119A、119B 出力端子
120 第1ドライバ
130 制御装置
130IN 入力端子
130OUT 出力端子
130A ADC
130B 駆動制御部
131 駆動制御信号生成部
132 立下り検出部
133 切替制御部
134 信号補正部
135 増大処理部
136 補間処理部
137 メモリ
140 第2ドライバ
150 放電回路
160 温度検出部
170 出力電圧検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12