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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020477
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】組み合わせ化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20230202BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20230202BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20230202BHJP
   A61K 8/89 20060101ALI20230202BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20230202BHJP
   A61K 8/87 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61Q1/10
A61K8/92
A61K8/89
A61K8/81
A61K8/87
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021125863
(22)【出願日】2021-07-30
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】390041036
【氏名又は名称】株式会社日本色材工業研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 日香梨
(72)【発明者】
【氏名】作井 沙紀子
(72)【発明者】
【氏名】秋元 麻衣
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AA162
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC172
4C083AD072
4C083AD092
4C083AD152
4C083BB11
4C083BB60
4C083CC14
4C083DD06
4C083EE01
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】 洗浄後にもまつげにツヤが残るまつげパック用の化粧料を提供する。
【解決手段】 (a)油性化粧料、および(b)0.1~25質量%の皮膜形成剤を含有する水系化粧料を含んでなり、まつげに前記油性化粧料(a)を塗布した後、前記水系化粧料(b)をさらに塗布するものである、まつげパック用の組み合わせ化粧料。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)油性化粧料、および
(b)0.1~25質量%の皮膜形成剤を含有する水系化粧料
を含んでなり、まつげに前記油性化粧料(a)を塗布した後、前記水系化粧料(b)をさらに塗布するものである、まつげパック用の組み合わせ化粧料。
【請求項2】
前記水系化粧料(b)において、皮膜形成剤の含有量が2~25%である、請求項1に記載の組み合わせ化粧料。
【請求項3】
前記水系化粧料(b)が、揮発性成分をさらに含む、請求項1または2に記載の組み合わせ化粧料。
【請求項4】
まつげに適用した後、すすぎ流されるものである、請求項1~3のいずれか1項に記載の組み合わせ化粧料。
【請求項5】
まつげに適用した後、すすぎ流すまでに10分間~12時間放置されるものである、請求項1~4のいずれか1項に記載の組み合わせ化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、まつげパック用の組み合わせ化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
目元を華やかに見せるために、ビューラーやパーマによりまつげをカールさせたり、マスカラを使用してまつげをボリュームアップさせたりすることが一般的である。しかし、それらはいずれもまつげに物理的なダメージを与えるものであり、まつげが短く細くなり、ハリやコシ、ツヤが失われるという問題がある。
【0003】
物理的なダメージを受けた髪のケラチンのトリートメントのための組成物および方法が報告されている(特許文献1)。しかし、この方法は、高温のスチームを適用するものであり、まつげには適さない。一方、ヒマシ油などの油剤が、まつげに対して高いトリートメント効果を有することが知られている。油剤を就寝前に塗布し、翌朝洗い落とすことにより、乱れたキューティクルを整え、まつげのダメージを修復することができる。しかし、この場合には、油が寝具などに二次付着してしまうなどの問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-40848
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、二次付着を防ぐことにより、就寝中に塗布したまま放置できる、まつげのダメージ修復のためのパック化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意研究の結果、油性化粧料と皮膜系製剤を含有する水系パック化粧料とを組み合わせて用いることにより、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、(a)油性化粧料、および(b)0.1~25質量%の皮膜形成剤を含有する水系化粧料を含んでなり、まつげに前記油性化粧料(a)を塗布した後、前記水系化粧料(b)をさらに塗布するものである、まつげパック用の組み合わせ化粧料を提供するものである。
【0008】
前記水系化粧料(b)において、皮膜形成剤の含有量が2~25%であることが好ましい。
【0009】
前記水系化粧料(b)は、揮発性成分をさらに含むことが好ましい。
【0010】
本発明の組み合わせ化粧料は、まつげに適用した後、すすぎ流されることが好ましく、すすぎ流すまでに10分間~12時間放置されることがより好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、オーバーナイトでの使用に適したまつげパック化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではない。
【0013】
本発明は、(a)油性化粧料、および(b)0.1~25質量%の皮膜形成剤を含有する水系化粧料を含んでなり、まつげに前記油性化粧料(a)を塗布した後、前記水系化粧料(b)をさらに塗布するものである、まつげパック用の組み合わせ化粧料である。
【0014】
本発明の組み合わせ化粧料における油性化粧料(a)は、室温で液状である油剤を基材とするものであれば特に限定されず、通常の化粧料に用いられている任意の油剤を用いることができる。具体的には、例えば、ヒマシ油、オリーブ油、マカデミアナッツ油、月見草油、ゴマ油、小麦胚芽油、サフラワー油、綿実油、大豆油、コメヌカ油、ホホバ油などの植物油;液状ラノリンなどの動物油;スクワラン、スクワレン、ポリブテン、ポリイソブテン、重質流動イソパラフィン(水添ポリブテン)、水添ポリイソブテン、ミネラルオイルなどの炭化水素油;パルミチン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸オクチル、イソノナン酸イソノニル、セバシン酸ジ2-エチルヘキシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリルなどの脂肪酸エステル;テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリトリット、ジオクタン酸ペンタエリトリットなどのジペンタエリトリット脂肪酸エステル;オクチルドデカノールなどの高級アルコール;ジフェニルジメチコン、ジメチルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、トリス(トリメチルシロキシ)メチルシランなどのシリコーン油;フルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルエーテルシリコーンなどのフッ素油などが挙げられるが、これらには限定されない。本発明の組み合わせ化粧料における油性化粧料(a)は、上記から選択される単独または2種類以上の油剤を組み合わせて含むことができる。2種類以上を組み合わせる場合、その比率は任意であってよい。
【0015】
本発明の組み合わせ化粧料における油性化粧料(a)は、油性化粧料(a)の総質量を100%としたときに、70~100質量%の油剤を含むことが好ましい。油剤の配合量が70質量%未満である場合には、洗浄後のまつ毛のツヤが十分に得られない可能性があるためである。したがって、言い換えれば、本発明の組み合わせ化粧料における油性化粧料(a)は、上記の油剤のみからなってもよいし、その効果を損なわない範囲で、化粧料や医薬部外品等に通常用いられる他の成分を含んでもよい。他の成分としては、例えば、上記油剤以外の油分、油ゲル化剤、増粘剤、着色剤、界面活性剤、アミノ酸類、ビタミン類、酸化防止剤、抗菌剤などが挙げられる。また、上記油剤以外の油分としては、例えば、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、乳酸ミリスチルなどの、室温でクリーム状やペースト状である半固形油剤が挙げられる。
【0016】
本発明の組み合わせ化粧料における油性化粧料(a)は、上記他の成分として、増粘剤を含むことが好ましい。増粘剤を配合することにより、まつげに十分な量の油性化粧料(a)を均一に塗布しやすくなるためである。また、ある程度粘度がある方が、容器からの液漏れを防ぎやすく、その点でも好ましい。増粘剤は、油性化粧料(a)の総質量に対して、0.1~30質量%の含有量であることが好ましい。
【0017】
本発明の組み合わせ化粧料における水系化粧料(b)は、皮膜形成剤を含む。皮膜形成剤としては、例えば、アクリル酸アルキルコポリマーアンモニウム、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP、アクリレーツコポリマー、アクリレーツコポリマーアンモニウム、アクリレーツコポリマーAMP、トリメチルシロキシケイ酸、トリ(トリメチルシロキシ)シリルプロピルカルバミド酸プルラン、ポリアクリレート-12、ポリアクリレート-15、ポリアクリレート-18、ポリアクリレート-19、ポリウレタン-14、ポリアクリレート-21、ポリウレタン-24、ポリウレタン-32、ポリウレタン-34、ポリウレタン-35、ポリウレタン-48、ポリウレタン-64、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルエマルション、ポリビニルアルコール、ポリプロピルシルセスキオキサン、ポリフェニルシルセスキオキサン、ポリメチルシルセスキオキサン、(アクリレーツ/アクリル酸エチルへキシル)コポリマー、(アクリル酸アルキル/オクチルアクリルアミド)コポリマー、(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマー、(アクリル酸アルキル/VA)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸アンモニウム)コポリマー、(スチレン/アクリル酸アルキル)コポリマー、(スチレン/アクリレーツ)コポリマー、(スチレン/アクリレーツ)コポリマーアンモニウム、(スチレン/アクリレーツ/メタクリル酸アンモニウム)コポリマー、(ジメチコン/ビニルトリメチルシロキシケイ酸)クロスポリマー、(ジメチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシジエチル/アクリル酸メトキシエチル)コポリマー、(ビニルピロリドン/VA)コポリマー、(メタクリル酸エチルベタイン/アクリレーツ)コポリマー、(VP/VA)コポリマーなどが挙げられるが、これらには限定されない。本発明の組み合わせ化粧料における水系化粧料(b)は、上記から選択される単独または2種類以上の皮膜形成剤を組み合わせて含むことができる。2種類以上を組み合わせる場合、その比率は任意であってよい。
【0018】
本発明の組み合わせ化粧料における水系化粧料(b)は、アクリレーツコポリマー、アクリレーツコポリマーアンモニウム、ポリウレタン-35、(スチレン/アクリレーツ)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシシル)コポリマー、ポリビニルアルコールおよびアクリレーツコポリマーAMPからなる群から選択される単独または2種類以上の皮膜形成剤を組み合わせて含むことが好ましい。
【0019】
本発明において使用できる皮膜形成剤は市販されており、市販品を使用することもできる。例えば、ヨドゾールGH34F(大同化成工業)、ヨドゾールGH256F(大同化成工業)、ヨドゾールGH800F(大同化成工業)、Baycusan(登録商標)C1004/1(コベストロジャパン株式会社)、Baycusan(登録商標)C1010(コベストロジャパン株式会社)、ダイトゾール5000STY(大東化成)、DERMACRYL-79(アクゾノーベル)を好ましい市販品として挙げることができる。
【0020】
本発明の組み合わせ化粧料における水系化粧料(b)は、水系化粧料(b)の総質量を100%としたときに、0.1~25質量%の皮膜形成剤を含む。この範囲であれば、十分に二次付着を防ぐことができ、また、容易に洗浄することが可能である。皮膜形成剤が0.1質量%未満であると、十分に二次付着を防ぐことができないことがあり、一方、25質量%を超えると洗浄性が低下するため、好ましくない。二次付着防止効果と洗浄性を確実に得るためには、2~25質量%とすることが好ましく、6~20質量%とすることがより好ましい。
【0021】
本発明の組み合わせ化粧料における水系化粧料(b)は、任意選択的に、揮発性成分をさらに含むことが好ましい。具体的には、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、軽質流動イソパラフィンなどの低沸点炭化水素、低重合度のジメチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンなどの揮発性シリコーン、低沸点パーフルオロポリエーテルなどが挙げられ、これらから選択される単独または2種類以上を組み合わせて用いることができる。2種類以上を組み合わせて用いる場合、その比率は任意であってよい。
【0022】
本発明の組み合わせ化粧料における水系化粧料(b)は、化粧料、医薬部外品等に通常用いられる他の成分を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜含むことができる。他の成分としては、例えば、増粘剤、保湿剤、着色剤、香料、界面活性剤、アミノ酸類、ビタミン類、酸化防止剤、pH調整剤、防腐剤、抗菌剤などが挙げられる。
【0023】
本発明の組み合わせ化粧料における油性化粧料(a)および水系化粧料(b)の製造方法は、特に限定されず、通常の油性化粧料および水系化粧料の混合、分散に用いられる混合機や分散機を使用して製造することができる。
【0024】
本発明の組み合わせ化粧料は、まつげパック・まつげトリートメント用の化粧料として、マスカラ、ローションまたはコンディショナーなどの製品形態とすることができる。
【0025】
本発明の組み合わせ化粧料は、まつげに油性化粧料(a)を塗布した後、水系化粧料(b)をさらに塗布することにより使用する。この際、水系化粧料(b)は、まつげに油性化粧料(a)を塗布した直後に連続して塗布されてもよいし、任意の時間経過後に塗布されてもよいが、二次付着を防ぐためには、直後に塗布されることが好ましい。また、本発明の組み合わせ化粧料は、まつげに適用後、一定時間放置された後にすすぎ流されることが好ましい。適用後すすぎ流されるまでの時間は、特に限定されないが、例えば10分間~12時間であってよく、好ましくは30分間~9時間であってよい。したがって、本発明の組み合わせ化粧料は、好ましくは就寝時に使用されてよい。すすぎ洗いは、水、ぬるま湯、湯などにより行うことができ、その際、洗顔料を用いてもよい。
【実施例0026】
以下に実施例を挙げ、本発明についてさらに説明する。なお、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0027】
<1.油性化粧料の検討>
下記表1に示す油性化粧料(i)~(vi)について、「洗浄性」および「ツヤ」の項目について、以下に示す評価方法および判定基準により評価し、その結果をあわせて表1に示した。表中の数値は質量%である。
【0028】
【表1】
【0029】
※1: NIKKOL サフラワー油(日本サーファクタント工業株式会社)
※2: ハイコール K-240(カネダ株式会社)
※3: 精製ホホバ油(香栄工業株式会社)
※4: KSP-411(信越化学工業株式会社)
【0030】
[洗浄性の評価方法および判定基準]
(評価方法)
ビューラックス社製の健常毛にブリーチを8回処理した後、櫛で梳かしながら洗顔料で洗浄し、ぬるま湯で洗い流した後、ドライヤーにより乾燥させることにより、損傷毛を調製した。得られた損傷毛に、油性化粧料(i)~(vi)を塗布し、10分後に洗顔料を用いて洗浄し、ぬるま湯で洗い流した後、ドライヤーを用いて乾燥させた。損傷毛の根本から毛先の方向にかけて指を滑らせたときの軋みや抵抗感の有無を評価した。
(評価基準)
◎:軋みや抵抗感を感じない
〇:軋みは感じないが、若干の抵抗感を感じる
△;軋みや抵抗感を感じる
【0031】
[ツヤの評価方法および判定基準]
(評価方法)
上記と同様に調製した損傷毛に、油性化粧料(i)~(vi)を塗布し、10分後、洗顔料を用いて洗浄し、ぬるま湯で洗い流したあと、ドライヤーを用いて乾燥させた。筒に損傷毛を1周巻きつけるように固定し、損傷毛を置いた台に対して真上(90°)の位置からライトを照射し、45°の位置にカメラを設置して写真を撮影した。写真にてツヤ(損傷毛にあたった光の反射)を目視により評価した。
(評価基準)
◎:反射光が強く、反射部分と非反射部分の境界ははっきりしている
〇:反射光は強いが、反射部分と非反射部分の境界は若干ぼやけている
△;反射光が弱く、反射部分と非反射部分の境界はぼやけている
【0032】
[結果]
油剤の種類によらず、「洗浄性」および「ツヤ」のいずれについても良好な結果が得られた。また、油剤に増粘剤を添加することにより塗布しやすさが向上したことから(データは省略)、増粘剤を含む油性化粧料とすることにより、より均一でムラのないツヤが得られる可能性が示唆された。
【0033】
<2.水系化粧料の検討>
下記表2に示す組成および以下に示す製造方法により、水系化粧料(1)~(9)を調製し、油性化粧料(i)を塗布した直後に塗布し、「二次付着防止効果」、「洗浄性」および「ツヤ」の項目について、以下に示す使用方法、評価方法および判定基準により評価し、その結果をあわせて表2に示した。表中の数値は質量%である。
【0034】
【表2】
【0035】
※5: ヨドゾールGH34F(大同化成工業)
※6: Baycusan(登録商標)C1004/1(コベストロジャパン株式会社)
【0036】
[水系化粧料の製造方法]
精製水に、増粘剤、皮膜形成剤以外の成分、皮膜形成剤を順次添加し、分散機により分散、混合することにより調製した。
【0037】
[二次付着防止効果の評価方法および判定基準]
(評価方法)
人工皮革(製品名:バイオスキンプレート(株式会社ビューラックス製))の1cm×1cmの領域に油性化粧料を塗布し、その上に水系化粧料を塗布し、10分間静置した。その後、油分を吸収すると黒色に変化する油取り紙を塗布領域に押しつけ、油取り紙における変色の大きさを観察し、下記評価基準で評価した。
(評価基準)
◎:黒色に変化した面積が、塗布領域面積の20%未満である
〇:黒色に変化した面積が、塗布領域面積の20%以上60%未満である
△;黒色に変化した面積が、塗布領域面積の60%以上である
【0038】
[洗浄性の評価方法および判定基準]
上記1と同様に評価した。
【0039】
[ツヤの評価方法および判定基準]
上記1と同様に評価した。
【0040】
[結果]
本発明の実施品である実施例1~7は、「二次付着防止効果」、「洗浄性」および「ツヤ」のすべての項目に優れた組み合わせ化粧料であった。一方、皮膜形成剤を含有しない水系化粧料を用いた比較例1では、十分な二次付着防止効果が得られなかった。また、30質量%皮膜形成剤を含有する水系化粧料を用いた比較例2では、洗浄性とツヤが損なわれた。
【0041】
<3.使用方法の検討>
油性化粧料として上記(i)を、水系化粧料として上記(7)を、以下に示す方法で使用し、「ツヤ」および「二次付着防止効果」の項目について、上記2と同様の評価方法および判定基準により評価し、その結果を表3に示した。
【0042】
[使用方法]
1.油性化粧料のみ:塗布後8時間静置
2.水系化粧料のみ:塗布後8時間静置
3.水系化粧料+油性化粧料:水系化粧料塗布直後油性化粧料塗布し、8時間静置
4.油性化粧料+水系化粧料:油性化粧料塗布直後水系化粧料塗布し、8時間静置
【0043】
【表3】
【0044】
[結果]
油性化粧料を塗布した後、水系化粧料をさらに塗布した場合にのみ、ツヤおよび二次付着防止効果の両方について優れた結果が得られた。
【0045】
<4.光沢度の評価>
油性化粧料として上記(i)を、水系化粧料として上記(7)を用いて、「光沢度」について、以下に示す評価方法および判定基準により評価し、その結果を表4に示した。
【0046】
[使用方法および評価方法]
上記1の手順により調製した損傷毛を、A、B1、B2、C1およびC2の5束に分け、Aには化粧料を塗布せず、B1とB2には油性化粧料のみ塗布し、C1とC2には油性化粧料を塗布した直後に水系化粧料を塗布した。B1とC1は10分間静置した後に、B2とC2は8時間静置した後に、洗顔料とぬるま湯で洗浄し、ドライヤーで乾燥させた。光沢度測定器(CM-26dG(光沢測定範囲:0~200GU、表示分解能:0.01GU、黒プレート)にて、A、B1、B2、C1およびC2の光沢度を測定した(損傷毛中央部を5回測定)。
【0047】
【表4】
【0048】
[結果]
油性化粧料のみの処理によっても光沢度が改善したが(B1、B2)、油性化粧料に加えて水系化粧料をさらに塗布することにより、高い光沢度が得られた(C1、C2)。また、油性化粧料のみ塗布した場合には、その後の静置時間によって大きな効果の差はみられなかったが、油性化粧料に加えて水系化粧料をさらに塗布した場合には、長時間静置することにより、より高い光沢度が得られた。