(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020540
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】加熱収縮装置
(51)【国際特許分類】
B65B 53/02 20060101AFI20230202BHJP
B65B 53/04 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
B65B53/02 H
B65B53/02 D
B65B53/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021125952
(22)【出願日】2021-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】大岡 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 訓大
(57)【要約】
【課題】ノズル数を抑えつつ、シュリンクフィルムの加熱時間を確保する。
【解決手段】本発明の実施形態に係る加熱収縮装置(1)は、容器(5)の移送方向(X)の下流側へ傾いて配置され、第1加熱位置(P1)へ向けて熱風を噴射する第1ノズル対(41)と、移送方向(X)の上流側へ傾いて配置され、第1加熱位置(P1)よりも下流側の第2加熱位置(P2)へ向けて熱風を噴射する第2ノズル対(42)とを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シュリンクフィルムが被嵌された物品を移送する移送装置の移送路に覆設される加熱収縮装置であって、
前記シュリンクフィルムを加熱する空間である加熱ゾーンと、
前記移送装置により移送される前記物品を挟んで対に配置され、前記加熱ゾーン内の所定の加熱位置へ向けて熱媒を噴射する噴射機構とを備え、
前記噴射機構は、
前記物品の移送方向の下流側へ傾いて配置され、第1加熱位置へ向けて前記熱媒を噴射する一対の第1噴射部と、
前記移送方向の上流側へ傾いて配置され、前記第1加熱位置よりも下流側の第2加熱位置へ向けて前記熱媒を噴射する一対の第2噴射部と、
を含む、加熱収縮装置。
【請求項2】
前記噴射機構は、前記第1加熱位置と前記第2加熱位置との間に位置する第3加熱位置へ向けて前記熱媒を噴射する一対の第3噴射部をさらに含み、
前記一対の第3噴射部は、前記移送方向に対して直交する方向に互いに正対して配置される、請求項1に記載の加熱収縮装置。
【請求項3】
前記一対の第1噴射部は、前記加熱ゾーンにおいて最も上流側に配置され、
前記一対の第2噴射部は、前記加熱ゾーンにおいて最も下流側に配置される、請求項1または2に記載の加熱収縮装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品に被嵌されたシュリンクフィルムを加熱収縮させる加熱収縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱収縮性を有するフィルム(以下、「シュリンクフィルム」という。)が、PETボトル等の容器に巻き付けられるラベルとして使用されている。ラベルが被嵌された容器はコンベアにより移送され、コンベアに覆設された加熱収縮装置を通過する際にラベルが加熱収縮されて容器と密着する。
【0003】
この種の加熱収縮装置に関し、特許文献1には、所定の加熱位置の周囲に4つのノズルを配置し、前記加熱位置における基準軸に対して同一側に傾いた方向へ各ノズルから熱風を噴射する収縮装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来技術では、所定の加熱位置の周囲に4つのノズルを近接して配置する必要性があるため、ラベルの加熱時間が短くなり、ラベルの歪み、ムラが発生する可能性があった。
【0006】
本発明の一態様は、前記従来の課題に鑑みてなされたものであって、シュリンクフィルムの加熱時間を確保して、シュリンクフィルムの歪み、ムラの発生を改善可能な加熱収縮装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の態様1に係る加熱収縮装置は、シュリンクフィルムが被嵌された物品を移送する移送装置の移送路に覆設される加熱収縮装置であって、前記シュリンクフィルムを加熱する空間である加熱ゾーンと、前記移送装置により移送される前記物品を挟んで対に配置され、前記加熱ゾーン内の所定の加熱位置へ向けて熱媒を噴射する噴射機構とを備え、前記噴射機構は、前記物品の移送方向の下流側へ傾いて配置され、第1加熱位置へ向けて前記熱媒を噴射する一対の第1噴射部と、前記移送方向の上流側へ傾いて配置され、前記第1加熱位置よりも下流側の第2加熱位置へ向けて前記熱媒を噴射する一対の第2噴射部と、を含む。
【0008】
前記の構成では、第1加熱位置において、一対の第1噴射部によりシュリンクフィルムが上流側から加熱されると共に、第1加熱位置よりも下流側の第2加熱位置において、一対の第2噴射部によりシュリンクフィルムが下流側から加熱される。このため、加熱ゾーンの複数の加熱位置、つまり第1加熱位置および第2加熱位置において異なる方向からシュリンクフィルムが加熱されるため、従来に比べて、シュリンクフィルムに対して熱媒が噴射される加熱時間を長くすることができる。従って、前記の構成によれば、加熱ゾーンに配置される噴射部の数を抑えつつシュリンクフィルムの加熱時間を確保できるので、シュリンクフィルムの歪み、ムラの発生を改善可能な加熱収縮装置を提供することができる。
【0009】
また、本発明の態様2に係る加熱収縮装置では、前記態様1において、前記噴射機構は、前記第1加熱位置と前記第2加熱位置との間に位置する第3加熱位置へ向けて前記熱媒を噴射する一対の第3噴射部をさらに含み、前記一対の第3噴射部は、前記移送方向に対して直交する方向に互いに正対して配置されても良い。
【0010】
前記の構成によれば、第3加熱位置において、一対の第3噴射部によりシュリンクフィルムが移送方向に対して直交する方向から加熱される。従って、前記の構成によれば、加熱ゾーンの複数の加熱位置、つまり第1加熱位置、第2加熱位置および第3加熱位置の各々において異なる方向からシュリンクフィルムが加熱されるため、シュリンクフィルムの加熱時間を長くして、シュリンクフィルムの歪み、ムラの発生をより改善することができる。
【0011】
また、本発明の態様3に係る加熱収縮装置では、前記態様1または2において、前記一対の第1噴射部は、前記加熱ゾーンにおいて最も上流側に配置され、前記一対の第2噴射部は、前記加熱ゾーンにおいて最も下流側に配置されても良い。
【0012】
前記の構成では、加熱ゾーンにおいて最も上流側に、下流側へ傾いた一対の第1噴射部が配置されるため、加熱ゾーンの上流側(搬入口)からの加熱空気の漏出が抑えられる。また、加熱ゾーンにおいて最も下流側に、上流側へ傾いた一対の第2噴射部が配置されるため、加熱ゾーンの下流側(搬出口)からの加熱空気の漏出が抑えられる。従って、前記の構成によれば、加熱ゾーンからの加熱空気の漏出を低減して、シュリンクフィルムの加熱効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様によれば、フィルムの加熱時間を確保して、シュリンクフィルムの歪み、ムラの発生を抑制できる加熱収縮装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態1に係る加熱収縮装置の構成を示す正面図である。
【
図2】
図1に示される加熱収縮装置の加熱ゾーンにおけるノズルの配置例を示す上面図である。
【
図3】
図2に示される第1加熱位置~第3加熱位置の他の例を示す上面図である。
【
図4】
図2に示される第1加熱位置~第3加熱位置のさらに他の例を示す上面図である。
【
図5】本発明の実施形態2に係る加熱収縮装置の加熱ゾーンにおけるノズルの配置例を示す上面図である。
【
図6】
図5に示される加熱ゾーンにおけるノズル配置の変形例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下では、シュリンクフィルムから形成されるラベルを加熱収縮させて、PETボトル等の容器に密着させる加熱収縮装置の一例について説明する。
【0016】
[加熱収縮装置1の概要]
図1は、本実施形態に係る加熱収縮装置1の構成を示す正面図である。
図1に示すように、加熱収縮装置1は、コンベア(移送装置)2により移送される容器(物品)5に被嵌された筒状のラベル6を加熱収縮させるシュリンクトンネルである。加熱収縮装置1はコンベア2の移送路21に覆設される。容器5に被嵌された未収縮のラベル6は、加熱収縮装置1の加熱ゾーン3を通過する際に加熱収縮されて、容器5に密着するようになっている。
【0017】
コンベア2は、ラベル6が被嵌された容器5を載置する移送路21を有し、容器5を移送方向Xへ移送する。コンベア2は、例えばベルトコンベア等で構成される。ただし、コンベア2は、容器5を移送可能であれば、その種類は特に限定されない。
【0018】
容器5は、例えば、ブロー成形により形成されたポリエステル製のPETボトル等である。なお、ラベル6が被嵌される対象は容器に限定されず、ラベル6を巻き付けて使用される物品であれば良い。
【0019】
ラベル6は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、PVC等から成るシュリンクフィムルにより形成される。ラベル6は、フィルムの両端を接合させることにより筒状に形成した後にロール状に巻き取り、このフィルムを繰り出しながら所定の長さに切断したものである。ラベル6は、図示しない開口装置により開口されて容器5に被嵌される。
【0020】
なお、本実施形態では、コンベア2により容器5が移送される方向を移送方向X、移送方向Xから見たときの加熱収縮装置1の左右幅方向を炉幅方向Y、移送方向Xから見たときの加熱収縮装置1の上下高さ方向を炉高方向Zと称する場合がある。
【0021】
[加熱収縮装置1の構成]
加熱収縮装置1は、トンネル形状の加熱炉であり、コンベア2の移送路21の一部を覆うように設けられる。加熱収縮装置1は、ラベル6を加熱する空間である加熱ゾーン3をその内部に有する。加熱収縮装置1は、移送方向Xの上流側に容器5を加熱ゾーン3へ搬入するための搬入口31を有し、移送方向Xの下流側に容器5を加熱ゾーン3から搬出するための搬出口32を有する。
【0022】
図2は、
図1に示される加熱収縮装置1の加熱ゾーン3における複数のノズル(噴射機構)4の配置例を示す上面図である。なお、
図2では、加熱ゾーン3に配置される複数のノズル4のうち、第1ノズル対41~第3ノズル対43のみを部分的に例示している。
【0023】
図2に示すように、容器5は、コンベア2の移送路21の中心線21a(移送路21を炉幅方向Yに略二等分する線)上に容器5の中心軸Cが位置するように、移送路21の中央付近に載置され、移送方向Xへ移送される。
【0024】
加熱収縮装置1は、コンベア2により移送される容器5を挟んで炉幅方向Yに対向する一対の炉壁33を有する。各炉壁33には、加熱ゾーン3内の所定の加熱位置へ熱風(熱媒)を噴射する複数のノズル(噴射部)4が、移送方向Xおよび炉高方向Zへ並んで配置される。これにより、一対の炉壁33の間の空間に、複数のノズル4から熱風が噴射される加熱ゾーン3が形成される。コンベア2により移送される容器5が加熱ゾーン3を通過することにより、ラベル6が加熱収縮される。
【0025】
なお、本実施形態では、ラベル6を加熱する熱媒として熱風を用いているが、熱風に代えて、蒸気(スチーム)等の他の熱媒を用いても良い。熱媒として蒸気を用いる場合、蒸気を供給する蒸気用配管が加熱収縮装置1へ連結される。
【0026】
複数のノズル4は、コンベア2により移送される容器5を挟んで対に配置される。本実施形態では、複数のノズル4は、第1ノズル対(一対の第1噴射部)41、第2ノズル対42(一対の第2噴射部)および第3ノズル対43(一対の第3噴射部)を含む。複数のノズル4は、容器5の移送方向Xの上流側から、第1ノズル対41、第3ノズル対43および第2ノズル対42の順で加熱ゾーン3に配置される。
【0027】
第1ノズル対41は、容器5の移送方向Xの下流側へ傾いて配置される。第1ノズル対41は、各々の噴射軸(熱風を噴射する主たる方向)が第1加熱位置P1に移送された容器5を向くように、各々が下流側へ同じ角度で傾いている。これにより、第1ノズル対41は、加熱ゾーン3の第1加熱位置P1に移送された容器5へ向けて上流側から熱風を噴射する。
【0028】
本実施形態では、第1ノズル対41は、第1加熱位置P1に移送された容器5の中心軸(第1加熱位置P1の中心を通り、かつ移送路21と垂直な軸)Cへ向けて熱風を噴射するように、移送方向Xに対する各々の噴射軸の角度がθ1に調整されている。
【0029】
第2ノズル対42は、容器5の移送方向Xの上流側へ傾いて配置される。第2ノズル対42は、各々の噴射軸(熱風を噴射する主たる方向)が第2加熱位置P2に移送された容器5を向くように、各々が上流側へ同じ角度で傾いている。これにより、第2ノズル対42は、第1加熱位置P1よりも下流側の第2加熱位置P2に移送された容器5に対して下流側から熱風を噴射する。
【0030】
本実施形態では、第2ノズル対42は、第2加熱位置P2に移送された容器5の中心軸(第2加熱位置P2の中心を通り、かつ移送路21と垂直な軸)Cへ向けて熱風を噴射するように、移送方向Xに対する各々の噴射軸の角度がθ2に調整されている。
【0031】
なお、角度θ1と角度θ2とは、同じ角度であることが好ましい。これにより、第1加熱位置P1と第2加熱位置P2とにおいて、同じ傾斜角度で熱風が容器5へ噴射されるため、ラベル6を均一に加熱し易くなる。
【0032】
第3ノズル対43は、容器5の移送方向Xに対して直交する方向、つまり炉幅方向Yに互いに正対して配置される。第3ノズル対43は、第1加熱位置P1と第2加熱位置P2との間に位置する第3加熱位置P3に移送された容器5に対して炉幅方向Yから熱風を噴射する。
【0033】
本実施形態では、第3ノズル対43は、第3加熱位置P3に移送された容器5の中心軸(第3加熱位置P3の中心を通り、かつ移送路21と垂直な軸)Cへ向けて熱風を噴射するように、移送方向Xに対する各々の噴射軸の角度θ3が90度に調整されている。
【0034】
このように、加熱ゾーン3には、第1加熱位置P1~第3加熱位置P3の3つの加熱位置が移送方向Xに沿って設定されており、第1加熱位置P1~第3加熱位置P3の各々において異なる方向からラベル6に対して熱風が噴射される。これにより、ラベル6に対して熱風が噴射される加熱時間を確保すると共に、筒状のラベル6全体を加熱することができる。
【0035】
図3および
図4は、
図2に示される第1加熱位置P1~第3加熱位置P3の他の例を示す上面図である。
図3および
図4に示すように、加熱ゾーン3における第1加熱位置P1~第3加熱位置P3は、各加熱位置にある容器5の中心軸Cが重ならないように、移送方向Xにずれていれば良い。つまり、第1加熱位置P1~第3加熱位置P3は移送方向Xに僅かにずれていれば良く、第1加熱位置P1~第3加熱位置P3の一部が重なっていても良い。
【0036】
例えば
図3に示すように、第1加熱位置P1の一部と第3加熱位置P3の一部とが重なっており、第3加熱位置P3の一部と第2加熱位置P2の一部とが重なっていても良い。若しくは、
図4に示すように、第1加熱位置P1~第3加熱位置P3の各々の一部が互いに重なっていても良い。
【0037】
また、第1ノズル対41と第2ノズル対42とは、移送方向Xに対する噴射軸(噴射孔の中心軸)の角度θ1・θ2が変更可能になっていても良い。これにより、容器5またはラベル6の寸法、形状等に合わせて、噴射軸の角度θ1・θ2を変更することで、ラベル6に対して最適な角度で熱風を噴射することができる。なお、噴射軸の角度θ1・θ2は、50度以上85度以下の範囲にあることが好ましい。噴射軸の角度θ1・θ2を前記範囲に調整することにより、筒状のラベル6全体を均一に加熱し易くなると共に、実施形態2で後述するように搬入口31および搬出口32からの加熱空気の漏出を低減することができる。
【0038】
[加熱収縮装置1の動作例]
図2において、未収縮のラベル6が被嵌された容器5は、コンベア2により移送方向Xへ移送され、搬入口31から加熱ゾーン3へ搬入される。そして、加熱ゾーン3の第1加熱位置P1、第3加熱位置P3および第2加熱位置P2を容器5が順次通過する。
【0039】
容器5が第1加熱位置P1を通過する際、第1ノズル対41によって、移送方向Xに対して斜め後方側から容器5へ熱風が噴射される。また、容器5が第3加熱位置P3を通過する際、第3ノズル対43によって、移送方向Xに対して直交する方向、つまり炉幅方向Yから容器5へ熱風が噴射される。さらに、容器5が第2加熱位置P2を通過する際、第2ノズル対42によって、移送方向Xに対して斜め前方側から容器5へ熱風が噴射される。
【0040】
このように、加熱収縮装置1では、加熱ゾーン3が第1加熱位置P1~第3加熱位置P3を含み、第1加熱位置P1~第3加熱位置P3の各々において異なる方向からラベル6に対して熱風が噴射される。このため、ラベル6に対して熱風が噴射される加熱時間を確保して筒状のラベル6全体を加熱することができる。これにより、ラベル6が均一に加熱収縮され、容器5に密着する。ラベル6が加熱収縮された容器5は、搬出口32から加熱ゾーン3の外部へ搬出され、次工程へ移送される。
【0041】
[加熱収縮装置1のまとめ]
以上のように、本実施形態に係る加熱収縮装置1は、ラベル6が被嵌された容器5を移送するコンベア2の移送路21に覆設される加熱収縮装置1であって、ラベル6を加熱する空間である加熱ゾーン3と、コンベア2により移送される容器5を挟んで対に配置され、加熱ゾーン3へ熱風を噴射する複数のノズル4を備える。
【0042】
複数のノズル4は、容器5の移送方向Xの下流側へ傾いて配置され、第1加熱位置P1に移送された容器5へ向けて熱風を噴射する第1ノズル対41と、移送方向Xの上流側へ傾いて配置され、第1加熱位置P1よりも下流側の第2加熱位置P2に移送された容器5へ向けて熱風を噴射する第2ノズル対42と、移送方向Xに対して直交する方向に互いに正対して配置され、第1加熱位置P1と第2加熱位置P2との間に位置する第3加熱位置P3に移送された容器5へ向けて熱風を噴射する第3ノズル対43と含む。
【0043】
加熱収縮装置1では、第1加熱位置P1において、第1ノズル対41によりラベル6が上流側から加熱されると共に、第1加熱位置P1よりも下流側の第2加熱位置P2において、第2ノズル対42によりラベル6が下流側から加熱される。また、第1加熱位置P1と第2加熱位置P2との間に位置する第3加熱位置P3において、第3ノズル対43によりラベル6が炉幅方向Yの両側から加熱される。
【0044】
このため、加熱ゾーン3の複数の加熱位置(第1加熱位置P1、第2加熱位置P2および第3加熱位置P3)の各々において異なる方向からラベル6が加熱されるため、従来に比べて、ラベル6に対して熱風が噴射される加熱時間を長くすることができる。
【0045】
従って、本実施形態によれば、加熱ゾーン3に配置されるノズル4の数を抑えつつラベル6の加熱時間を確保できるので、ラベル6の歪み、ムラの発生を改善可能な加熱収縮装置1を提供することができる。
【0046】
なお、第1ノズル対41~第3ノズル対43のうち、第3ノズル対43を省略しても良い。この場合であっても、加熱ゾーン3の複数の加熱位置(第1加熱位置P1および第2加熱位置P2)の各々において異なる方向からラベル6が加熱されるため、従来に比べてラベル6に対して熱風が噴射される加熱時間を確保して、ラベル6の歪み、ムラの発生を改善することが可能となる。
【0047】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0048】
[加熱収縮装置11の構成]
図5は、本実施形態に係る加熱収縮装置11の加熱ゾーン3における複数のノズル4の配置例を示す上面図である。加熱収縮装置11は、複数のノズル4として、第1ノズル対41a~第3ノズル対43aをさらに備える点において、前記実施形態で説明した加熱収縮装置1と主に異なっている。
【0049】
図5に示すように、加熱収縮装置11では、第1ノズル対41~第3ノズル対43の下流側に、第1ノズル対41a~第3ノズル対43aがさらに配置される。複数のノズル4は、容器5の移送方向Xの上流側から、第1ノズル対41、第3ノズル対43、第2ノズル対42、第1ノズル対41a、第3ノズル対43aおよび第2ノズル対42aの順で加熱ゾーン3に配置される。
【0050】
なお、第1ノズル対41a~第3ノズル対43aは、第1ノズル対41~第3ノズル対43と同じ構成である。このため、第1ノズル対41a~第3ノズル対43aの詳細な説明は省略する。
【0051】
第1ノズル対41aは、第2加熱位置P2よりも下流側の第4加熱位置(第1加熱位置)P4に移送された容器5に対して上流側から熱風を噴射する。第1ノズル対41aは、第4加熱位置P4に移送された容器5の中心軸Cへ向けて熱風を噴射する。
【0052】
第2ノズル対42aは、第4加熱位置P4よりも下流側の第5加熱位置(第2加熱位置)P5に移送された容器5に対して下流側から熱風を噴射する。第2ノズル対42aは、第5加熱位置P5に移送された容器5の中心軸Cへ向けて熱風を噴射する。
【0053】
第3ノズル対43aは、第4加熱位置P4と第5加熱位置P5との間の第6加熱位置(第3加熱位置)P6に移送された容器5に対して熱風を噴射する。第3ノズル対43aは、第6加熱位置P6に移送された容器5の中心軸Cへ向けて熱風を噴射する。
【0054】
加熱収縮装置11では、加熱ゾーン3において最も上流側、つまり搬入口31に最も近い側に、移送方向Xの下流側へ傾いた第1ノズル対41が配置される。また、加熱ゾーン3において最も下流側、つまり搬出口32に最も近い側に、移送方向Xの上流側へ傾いた第2ノズル対42aが配置される。
【0055】
第1ノズル対41は移送方向Xの下流側へ傾いているため、加熱ゾーン3において最も上流側に第1ノズル対41を配置することにより、搬入口31からの加熱空気の漏出が抑えられる。また、第2ノズル対42aは移送方向Xの上流側へ傾いているため、加熱ゾーン3において最も下流側に第2ノズル対42を配置することにより、搬出口32からの加熱空気の漏出が抑えられる。従って、加熱ゾーン3からの加熱空気の漏出を低減して、ラベル6の加熱効率を向上させることができる。
【0056】
[加熱収縮装置12の動作例]
図5において、未収縮のラベル6が被嵌された容器5は、コンベア2により移送方向Xへ移送され、搬入口31から加熱ゾーン3へ搬入される。そして、加熱ゾーン3の第1加熱位置P1、第3加熱位置P3、第2加熱位置P2、第4加熱位置P4、第6加熱位置P6および第5加熱位置P5を容器5が順次通過する。
【0057】
容器5が第1加熱位置P1および第4加熱位置P4を通過する際、第1ノズル対41・41aによって、移送方向Xに対して斜め後方側から容器5へ熱風が噴射される。また、容器5が第3加熱位置P3および第6加熱位置P6を通過する際、第3ノズル対43・43aによって、炉幅方向Yから容器5へ熱風が噴射される。さらに、容器5が第2加熱位置P2および第5加熱位置P5を通過する際、第2ノズル対42・42aによって、移送方向Xに対して斜め前方側から容器5へ熱風が噴射される。
【0058】
このように、加熱収縮装置11では、加熱ゾーン3が第1加熱位置P1~第6加熱位置P6を含む。このため、ラベル6に対して熱風が噴射される加熱時間を長く確保して、筒状のラベル6全体を十分に加熱することができる。これにより、ラベル6が均一に加熱収縮され、容器5に密着する。ラベル6が加熱収縮された容器5は、搬出口32から加熱ゾーン3の外部へ搬出され、次工程へ移送される。
【0059】
[加熱収縮装置11のまとめ]
以上のように、本実施形態に係る加熱収縮装置11では、加熱ゾーン3が第1加熱位置P1~第6加熱位置P6を含み、加熱ゾーン3において最も上流側に第1ノズル対41が配置され、加熱ゾーン3において最も下流側に第2ノズル対42が配置される。
【0060】
したがって、本実施形態によれば、ラベル6に対して熱風が噴射される加熱時間を長く確保すると共に、加熱ゾーン3からの加熱空気の漏出を低減することができる。
【0061】
従って、本実施形態によれば、加熱ゾーン3におけるラベル6の加熱効率を向上させて、筒状のラベル6全体を十分に加熱することが可能な加熱収縮装置11を実現することができる。
【0062】
また、加熱収縮装置11によれば、ラベル6の加熱効率を高めることにより、省電力化によりエネルギー効率を改善することができる。これにより、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献できる。
【0063】
[ノズル配置の変形例]
図6は、
図5に示される加熱ゾーン3におけるノズル配置の変形例を示す上面図である。加熱ゾーン3における複数のノズル4の配置数、配置順は特に限定されない。ただし、加熱ゾーン3からの加熱空気の漏出を低減する観点から、加熱ゾーン3において、最も上流側に第1ノズル対41が配置され、最も下流側に第2ノズル対42aが配置されることが好ましい。
【0064】
例えば
図6に示す加熱収縮装置12のように、複数のノズル4は、容器5の移送方向Xの上流側から、第1ノズル対41、第2ノズル対42、第3ノズル対43、第1ノズル対41aおよび第2ノズル対42aの順で加熱ゾーン3に配置されても良い。加熱収縮装置12であっても、ラベル6に対して熱風が噴射される加熱時間を長く確保すると共に、加熱ゾーン3からの加熱空気の漏出を低減することができる。
【符号の説明】
【0065】
1、11、12 加熱収縮装置
2 コンベア(移送装置)
3 加熱ゾーン
4 ノズル(噴射機構)
41、41a 第1ノズル対(一対の第1噴射部)
42、42a 第2ノズル対(一対の第2噴射部)
43、43a 第3ノズル対(一対の第3噴射部)
P1 第1加熱位置
P2 第2加熱位置
P3 第3加熱位置
P4 第4加熱位置(第1加熱位置)
P5 第5加熱位置(第2加熱位置)
P6 第6加熱位置(第3加熱位置)
θ1 噴射軸の角度
θ2 噴射軸の角度