(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020569
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】殺菌装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/20 20060101AFI20230202BHJP
A61L 101/22 20060101ALN20230202BHJP
【FI】
A61L2/20
A61L101:22
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021125993
(22)【出願日】2021-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】392022064
【氏名又は名称】キヤノンメドテックサプライ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山 高志
(72)【発明者】
【氏名】花田 康史
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA12
4C058BB07
4C058EE26
4C058JJ12
(57)【要約】
【課題】透過部材に殺菌剤が凝結するのを抑制することができる新規な構成の殺菌装置を得る。
【解決手段】殺菌装置1は、殺菌庫11と、加熱部61と、を備える。殺菌庫11は、窓51cが設けられた外壁51と、窓51cを塞ぎ可視光が透過する透過部材52と、を有し、殺菌室11aが内部に設けられている。加熱部61は、外壁51の厚さ方向で窓51cと対向しない位置に設けられ、透過部材52を加熱する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被殺菌物を収容し殺菌剤が供給される殺菌室の温度を室温よりも高くする殺菌装置において、
窓が設けられた外壁と、前記窓を塞ぎ可視光が透過する透過部材と、を有し、前記殺菌室が内部に設けられた殺菌庫と、
前記外壁の厚さ方向で前記窓と対向しない位置に設けられ、前記透過部材を加熱する加熱部と、
を備えた殺菌装置。
【請求項2】
前記外壁の外側に配置され、前記透過部材を覆い、前記外壁との間に収容室を形成したカバーを備え、
前記加熱部は、前記収容室に収容された、請求項1に記載の殺菌装置。
【請求項3】
前記透過部材は、前記厚さ方向で前記外壁と対向する対向部を有し、
前記加熱部は、前記対向部に固定された、請求項1または2に記載の殺菌装置。
【請求項4】
前記加熱部は、前記カバーに固定された、請求項2に記載の殺菌装置。
【請求項5】
前記収容室に収容され、前記収容室内の気体を流動させるファンを備えた、請求項4に記載の殺菌装置。
【請求項6】
前記加熱部は、前記透過部材に固定された第1部分と、前記第1部分と接続され前記外壁に固定された第2部分と、を有した、請求項1または2に記載の殺菌装置。
【請求項7】
前記加熱部は、前記外壁の厚さ方向の視線で前記窓の周囲に巻かれた形状であり、
前記第2部分において前記外壁の厚さ方向と直交する直交方向で並ぶ複数の部分の間隔が、前記第1部分において前記直交方向で並ぶ複数の部分の間隔よりも小さい、請求項6に記載の殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書等に開示の実施形態は、殺菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、殺菌庫内の殺菌室を減圧して、過酸化水素水溶液等の殺菌剤を殺菌室に吸引しつつ当該殺菌剤を気化させて、殺菌室に収容された被殺菌物を気化された殺菌剤によって殺菌する殺菌装置が知られている。殺菌室内は、殺菌剤の殺菌効果を高めるために室温よりも高い温度に加熱される。この種の殺菌装置には、殺菌庫の外壁に窓が設けられ、当該窓を可視光が透過する透過部材で塞いだものがある。これにより、例えば、殺菌室の外部から殺菌室内に光を照射し、その光の反射によって殺菌室内の状態を目視により確認したりカメラにより撮影することにより殺菌室内の状態を観察することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この種の殺菌装置では、殺菌室の温度が室温よりも高いため、殺菌室の内外の温度差によって殺菌室内の殺菌剤が透過部材に凝結してしまう現象が生じる場合がある。このように透過部材に殺菌剤が凝結すると、視認性や光透過性が低下し、殺菌室内の観察がし難くなる場合がある。これに対して、透過部材に設けたヒータによって透過部材を加熱することにより透過部材に殺菌剤が凝結するのを抑制する技術があるが、ヒータが透過部材を覆うので、やはり殺菌室内の観察がし難いという問題がある。
【0005】
そこで、透過部材を介しての殺菌室内の状態の観察がし易い新規な構成が得られれば有益である。本明細書等に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、透過部材を介しての殺菌室内の状態の観察がし易い新規な構成の殺菌装置を得ることである。ただし、本明細書等に開示の実施形態により解決される課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を、本明細書等に開示の実施形態が解決する他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の殺菌装置は、被殺菌物を収容し殺菌剤が供給される殺菌室の温度を室温よりも高くする殺菌装置であって、窓が設けられた外壁と、前記窓を塞ぎ可視光が透過する透過部材と、を有し、前記殺菌室が内部に設けられた殺菌庫と、前記外壁の厚さ方向で前記窓と対向しない位置に設けられ、前記透過部材を加熱する加熱部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態の殺菌装置の構成を例示的に示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の殺菌装置の殺菌庫を含む一部を例示的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の殺菌装置の殺菌庫を含む部分を例示的に示す正面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態の殺菌装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態の殺菌装置が実行する殺菌動作での殺菌室内の圧力を示す図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態の変形例の殺菌装置の窓ヒータを含む部分を示す断面図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態の殺菌装置の殺菌庫を含む一部を例示的に示す断面図である。
【
図8】
図8は、第3実施形態の殺菌装置の殺菌庫を含む一部を例示的に示す断面図である。
【
図9】
図9は、第3実施形態の殺菌装置の殺菌庫を含む部分を例示的に示す正面図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態の殺菌装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、実施形態について詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0009】
以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。それら同様の構成要素には共通の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。また、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、本明細書では、序数は、部品や、部材、部位、位置、方向等を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0010】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の殺菌装置1の構成を例示的に示す図である。
図1に示されるように、殺菌装置1は、殺菌処理部2と、制御装置3と、を備える。殺菌処理部2は、液体状の殺菌剤を気化させて、気化させた殺菌剤によって被殺菌物100を殺菌する。すなわち、殺菌処理部2は、菌を殺すことができる。換言すると、殺菌処理部2は、滅菌する。すなわち、殺菌処理部2は、菌を減らすことができる。液体状の殺菌剤は、例えば過酸化水素水溶液である。また、被殺菌物100は、例えば、内視鏡や内視鏡ビデオ、医療用ブラスチック製品等の医療用機器であるが、他の物であってもよい。制御装置3は、殺菌処理部2を制御する。以後、気体状の殺菌剤を殺菌ガスと称する場合がある。殺菌装置1は、滅菌装置とも称される。
【0011】
殺菌処理部(滅菌処理部)2は、殺菌庫(滅菌庫)11と、殺菌剤供給部(滅菌殺菌剤供給部)12と、を備える。殺菌庫11の内部には、被殺菌物(被滅菌物)100を収容する殺菌室(滅菌室)11aが設けられており、殺菌剤供給部12は、殺菌室11aに殺菌剤(滅菌剤)を供給する。殺菌室11aは、チャンバーとも称される。
【0012】
また、本実施形態では、便宜上、互いに直交する三方向が定義されている。X方向は、殺菌庫11の前後方向(奥行方向)の後方と一致し、Y方向は、殺菌庫11の幅方向に沿い、Z方向は、殺菌庫11の上下方向(高さ方向)の上方と一致する。なお、以後では、殺菌庫11の幅方向を左右方向とも称する。
【0013】
殺菌剤供給部12は、カートリッジ31と、液相ポンプ32と、濃縮器33と、電磁弁34と、分配器35と、加熱・気化ユニット36と、真空ポンプ37と、電磁弁38と、真空ゲージ39と、を備える。カートリッジ31と、液相ポンプ32と、濃縮器33と、電磁弁34と、分配器35と、加熱・気化ユニット36とは、流体回路を構成している。
【0014】
真空ポンプ37は、殺菌庫11内すなわち殺菌室11a、加熱・気化ユニット36内、分配器35内の気体を吸引して、それぞれの空間内を減圧し真空状態(大気圧より低い圧力である陰圧の気体で満たされた空間内の状態)にする。真空状態は、陰圧状態とも称される。
【0015】
カートリッジ31は、液体状の殺菌剤(原液)を収容している。液相ポンプ32は、カートリッジ31から液体状の殺菌剤を吸引して、吸引した液体状の殺菌剤を濃縮器33へ吐出すなわち供給する。液相ポンプ32は、殺菌剤の吸引量および吐出量を計量可能なチューブポンプである。
【0016】
濃縮器33は、液体状の殺菌剤を加熱して液体状の殺菌剤を濃縮する。具体的には、濃縮器33は、過酸化水素水溶液中の水を熱により気化させて、過酸化水素水溶液中の過酸化水素の濃度を上げる。
【0017】
電磁弁34は、濃縮器33と殺菌室11aとの間に設けられている。電磁弁34が開くと、殺菌室11aが陰圧となっている場合には、濃縮器33からの殺菌剤が殺菌室11aに供給される。
【0018】
分配器35は、濃縮器33と殺菌室11aとの間に設けられている。分配器35は、陰圧によって電磁弁34から流入した液体状の殺菌剤を、パスカルの法則により四分割して、後述の四つの気化器42に等量で分配する。
【0019】
四つの気化器42は、液体状の殺菌剤を気化させて、気体状の殺菌剤を殺菌室11a内に供給する。
【0020】
電磁弁38は、殺菌室11aの内と外とを連通する開弁状態と殺菌室11aの内と外とを遮断する閉弁状態とに変化可能である。電磁弁38が開弁状態になると、殺菌室11aが減圧状態から大気圧状態に戻る。真空ゲージ39は、殺菌室11aの真空度を測定する。
【0021】
殺菌庫11の内部には、殺菌室11aが設けられている。殺菌室11aに被殺菌物100が収容される。また、殺菌室11aには、殺菌室11aの温度を検出する温度センサ48が配置されている。
【0022】
殺菌庫11は、前後方向を長手方向とし幅方向を短手方向とする略直方体状の箱形である。殺菌庫11は、本体21と、扉22と、を有する。なお、殺菌庫11は、筐体とも称される。
【0023】
本体21は、上壁21aと、下壁21bと、右壁21cと、左壁と、後壁21eと、を有する。上壁21aおよび下壁21bは、いずれも上下方向と直交する方向に延びており、上下方向に間隔を空けて互いに平行に設けられている。右壁21cおよび左壁は、いずれも幅方向と直交する方向に延びており、幅方向に間隔を空けて互いに平行に設けられている。後壁21eは、前後方向と直交する方向に延びており、上壁21a、下壁21b、右壁21c、および左壁のそれぞれの後端部を接続している。上壁21a、下壁21b、右壁21c、左壁、および後壁21eは、それぞれ、外面11bと内面とを有する。上壁21a、下壁21b、右壁21c、左壁、および後壁21eは、殺菌庫11の外壁である。本体21は、例えばステンレスによって構成されている。
【0024】
本体21の内部に殺菌室11aが設けられている。殺菌室11aは、上壁21a、下壁21b、右壁21c、左壁、および後壁21eによって囲まれている。
【0025】
扉22は、上壁21a、下壁21b、右壁21cまたは左壁の前端部に回転可能に支持され、本体21に対して開閉可能である。扉22は、閉められた状態では、前後方向と直交する方向に延びており、上壁21a、下壁21b、右壁21c、および左壁のそれぞれの前端部と重なり、殺菌室11aを閉塞する。扉22が開かれると、殺菌室11aが前方に開放される。なお、後壁21eが、扉22と同様に開閉可能な扉として構成されていてもよい。すなわち、扉22と後壁21eとが、両方とも開閉可能であってもよい。
【0026】
また、上壁21a、下壁21b、右壁21c、左壁、および後壁21eのそれぞれの外面11bには、外側ヒータ25Aが重ねられている。なお、
図1では、上記の外側ヒータ25Aのうち一部だけが示されている。また、扉22にも外側ヒータ25Bが設けられている。外側ヒータ25A,25Bは、殺菌庫11の外側から殺菌庫11の内部すなわち殺菌室11aを加熱する。外側ヒータ25A,25Bは、殺菌室11aの温度が、殺菌装置1が設置される室内の温度である室温よりも高い温度(例えば50℃~60℃)になるように殺菌室11aを加熱する。外側ヒータ25A,25Bは、シートヒータ等の熱源を有する。以下、この殺菌室11aの殺菌時(滅菌時)の温度を殺菌温度(滅菌温度)と称することがある。
【0027】
殺菌室11aには、二つの棚23と、二つの加熱・気化ユニット36と、が収容されている。なお、棚23と加熱・気化ユニット36の数は、上記に限定されない。
【0028】
二つの棚23は、上下方向に間隔を空けて並べられている。各棚23は、右壁21cと左壁とに設けられた支持部(不図示)によって着脱可能に支持されている。二つの棚23は、殺菌庫11に対して前後方向にスライド可能である。二つの棚23は、それぞれ、被殺菌物100の載置が可能である。棚23は、複数の開口部が設けられた網状である。棚23の下側には、ネット26が重ねられている。例えば、ネット26は、棚23に溶接され、棚23と一体化されている。ネット26の比熱は、棚23の比熱よりも低い。ネット26には、複数の開口部が設けられている。なお、ネット26は設けられていなくてもよい。
【0029】
二つの加熱・気化ユニット36は、それぞれ、二つの棚23の下側に配置されている。詳細には、二つの加熱・気化ユニット36は、それぞれ、二つの棚23のそれぞれの直下に配置されている。直下とは、加熱・気化ユニット36に含まれる内側ヒータ43の上端と棚23の上端との間の上下方向の距離が、当該棚23上の被殺菌物100を収容可能な空間(以後、棚上収容空間とも称する)の上下方向の高さの半分以下のことをいう。
【0030】
二つの加熱・気化ユニット36のうち上側の加熱・気化ユニット36は、右壁21cと左壁(不図示)とに設けられた支持部によって着脱可能に支持されている。また、二つの加熱・気化ユニット36のうち下側の加熱・気化ユニット36は、下壁21bに着脱可能に支持されている。
【0031】
加熱・気化ユニット36は、ケース41と、二つの気化器42と、内側ヒータ43と、を有する。
【0032】
ケース41は、例えば、アルミニウムによって構成されている。
【0033】
二つの気化器42は、上下方向と交差する方向である前後方向に間隔を空けてケース41に配置されている。各気化器42は、二つの板45,46を有する。したがって、二つの板45,46の組47が二つ設けられており、これらの組47は、前後方向に間隔を空けてケース41に配置されている。なお、組47の数は、上記に限定されない。例えば、組47は、一つであってもよいし、三つ以上であってもよい。
【0034】
二つの板45,46は、殺菌室11aにおいて棚23の下側に配置されている。板45,46は、平板状である。二つの板45,46は、いずれも上下方向と直交する方向に延びて、上下方向に間隔を空けて互いに平行に設けられている。二つの板45,46は、平行平板とも称される。板46は、板45の下側に配置されている。また、気化器42には、供給口と出口とが設けられている。供給口は、板46の略中央部に設けられている。供給口には、分配器35から液体状の殺菌剤が供給される。供給口は、液体状の殺菌剤を二つの板45,46の間の隙間に供給する。隙間は、殺菌剤の流路(通路)である。出口は、二つの板45,46の間の隙間における二つの板45,46の外部に開放された外縁部によって構成されている。出口から、二つの板45,46の間の殺菌剤が二つの板45,46の間の隙間の外に流出する。
【0035】
内側ヒータ43は、殺菌室11aにおいて棚23の下側に配置されている。内側ヒータ43は、二つの組47のそれぞれの二つの板45,46の周囲に設けられている。内側ヒータ43は、折り曲げ加工された一つのシーズヒータである。
【0036】
次に、殺菌庫11の扉22について詳細に説明する。
図2は、第1実施形態の殺菌装置1の殺菌庫11を含む一部を例示的に示す断面図である。
図3は、第1実施形態の殺菌装置1の殺菌庫11を含む部分を例示的に示す正面図である。なお、以下では、扉22が閉じられた状態での各部を説明する。
【0037】
図2および
図3に示されるように、扉22は、壁51と、透過部材52と、を有する。壁51と本体21との間には、無端状のシール部材53が介在している。壁51は、殺菌庫11の外壁である。
【0038】
壁51は、X方向と直交する方向に延びる。壁51の厚さ方向は、X方向と一致する。すなわち、X方向は、壁51の厚さ方向である。壁51は、外面51aと、外面51aの反対側の内面51bと、を有する。また、壁51には、窓51cが設けられている。窓51cは、壁51の厚さ方向(X方向)に壁51を貫通した孔である。窓51cは、外面51aと内面51bとに開口している。窓51cは、殺菌室11aと連通している。壁51は、例えば、ステンレスによって構成されている。
【0039】
透過部材52は、壁51の外面51aに固定され、窓51cを塞いでいる。透過部材52と壁51との間には、無端状のシール部材54が介在している。透過部材52は、可視光が透過する。透過部材52は、例えば、ガラスである。
【0040】
透過部材52は、外面52aと、外面52aの反対側の内面52bと、を有する。透過部材52は、外周部に、壁51の厚さ方向と壁51と対向する対向部52dを有する。
【0041】
透過部材52には、窓ヒータ61が固定されている。窓ヒータ61は、例えば、フィルムヒータである。なお、窓ヒータ61は、フィルムヒータに限定されない。窓ヒータ61は、壁51の厚さ方向(X方向)で窓51cと対向しない位置に設けられている。具体的には、窓ヒータ61は、対向部52dに固定されている。窓ヒータ61は、例えば四角枠状に形成されている。
【0042】
また、透過部材52には、温度センサ55が取り付けられている。具体的には、温度センサ55は、透過部材52の内面52bに固定されている。温度センサ55は、透過部材52の温度を検出する。
【0043】
また、
図2に示されるように、扉22には、カバー71が取り付けられている。カバー71は、壁51の外側に配置され、透過部材52を覆っている。カバー71と壁51との間には、収容室74が形成されている。この収容室74に窓ヒータ61が収容されている。収容室74は、密閉されている。収容室74の密閉は、扉22の開閉状態に関わらず保たれる。収容室74は、空気が入れられている。この空気は、殺菌装置1の製造時に入れられたものである。収容室74の圧力は、大気圧と略同じである。空気は、気体の一例である。なお、気体は、空気以外であってもよい。
【0044】
カバー71は、ベース72と、透過部材73と、を有する。ベース72は、X方向と直交する方向に延びる壁72aと、壁72aの外周部から扉22の壁51に延び壁51に固定された筒状の周壁72bと、を有する。壁72aには、窓72cが設けられている。窓72cは、壁72aの厚さ方向(X方向)に壁72aを貫通した孔である。ベース72は、例えばステンレスによって構成されている。また、ベース72の表面には塗装が施されうる。
【0045】
透過部材73は、壁72aに固定され、窓72cを塞いでいる。具体的には、透過部材73は、窓72cに嵌められている。透過部材73は、可視光が透過する。透過部材73は、例えば、ポリカーボネートやアクリル等の合成樹脂材料によって構成されている。なお、透過部材73は、ガラスで構成されていてもよい。
【0046】
図4は、第1実施形態の殺菌装置1の構成を示すブロック図である。
図4に示されるように、制御装置3には、外側ヒータ25A,25B、液相ポンプ32、濃縮器33、電磁弁34、内側ヒータ43、真空ポンプ37、電磁弁38、窓ヒータ61、真空ゲージ39、温度センサ48,55等が接続されている。制御装置3は、濃縮器33、電磁弁34、内側ヒータ43、真空ポンプ37、電磁弁38、および窓ヒータ61等を制御する。制御装置3は、各ヒータ(外側ヒータ25A,25B、内側ヒータ43、窓ヒータ61)をそれぞれ独立して制御する。制御装置3は、例えば、温度センサ48の検出結果に基づいて、外側ヒータ25A,25Bおよび内側ヒータ43を制御し、温度センサ55の検出結果に基づいて窓ヒータ61を制御する。なお、加熱・気化ユニット36に温度センサを設け、この温度センサの検出結果に基づいて、制御装置3が内側ヒータ43を制御してもよい。
【0047】
制御装置3は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)を有する。すなわち、制御装置3は、コンピュータである。CPUは、ROM等に記憶されたプログラムを読み出して実行する。RAMは、CPUがプログラムを実行して種々の演算処理を実行する際に用いられる各種データを一時的に記憶する。
【0048】
次に、殺菌装置1の動作を説明する。以下の動作の制御は、制御装置3によって行われる。また、以下の動作においては、外側ヒータ25A,25Bおよび窓ヒータ61が動作しており、外側ヒータ25A,25Bが殺菌室11aを殺菌室11aの外側から加熱し、窓ヒータ61が透過部材52を加熱している。また、殺菌装置1は、電磁弁34を閉じた状態で、真空ポンプ37によって殺菌室11aおよび殺菌室11aから電磁弁34までの間の流体回路中の空間の圧力を減圧する。殺菌装置1は、殺菌室11aの圧力が規定の圧力まで下がった場合に、電磁弁34を開く。これにより、濃縮器33から出た殺菌剤が、殺菌室11aに向かって進み、分配器35によって、各加熱・気化ユニット36に流入する。殺菌剤は、各加熱・気化ユニット36において、供給口から二つの板45,46の間に進み、二つの板45,46の間で内側ヒータ43によって加熱される。これにより、殺菌剤は、二つの板45,46の間を熱膨張しながら、真空に引かれて、同心円状に広がり、二つの板45,46との接触面積が瞬時に増大する。このとき、内側ヒータ43は、加熱に殺菌剤を加熱することにより殺菌剤の気化を促進している。これにより、殺菌剤が二つの板45,46の間で瞬時に飽和水蒸気圧まで蒸発する。すなわち、殺菌剤が、二つの板45,46の間で気化する。よって、過酸化水素水溶液中の水分子の気化と過酸化水素分子の気化とに時間差が生じるのが抑制される。ここで、気化した殺菌剤(ガス)における過酸化水素と水との割合は、過酸化水素が60%で水が40%となるかそれに近い値となる。
【0049】
気体状の殺菌剤は、二つの板45,46の出口から二つの板45,46の外側の殺菌室11aに流出する。殺菌室11aに入った気体状の殺菌剤は、上方に流れて、棚23に載置された被殺菌物100に接触する。これにより、被殺菌物100が殺菌される。このように、棚23の直下の気化器42で殺菌剤が気化して、気化した殺菌剤が棚23上の被殺菌物100に到達する。よって、気化器42で気化した殺菌剤が比較的短時間および短距離で被殺菌物100に到達することができる。したがって、被殺菌物100に到達したガスにおける過酸化水素と水との割合が、過酸化水素が60%で水が40%となるか近い値に維持されやすい。
【0050】
このとき、内側ヒータ43は、被殺菌物100を加熱(加温)する。すなわち、内側ヒータ43は、殺菌剤供給部12によって殺菌室11aへ殺菌剤の供給が行われている場合に、被殺菌物100を加熱する。具体的には、内側ヒータ43は、被殺菌物100を輻射熱で殺菌する。内側ヒータ43は、温度センサ48が検出するケース41内の温度が所定の温度(例えば、55℃±5パーセント)に維持されるように制御装置3によって制御される。一例として、内側ヒータ43は、殺菌工程時または加熱(加温)時にはケース41の温度が所定の温度なるように制御され、待機時(被殺菌時)にはケース41の温度が55℃となるように制御される。この待機時の温度は、殺菌室11a内であってケース41から比較的離れた場所の温度と同じである。
【0051】
殺菌装置1は、上記処理の後に、電磁弁38を開弁して殺菌室11aを大気圧に戻す。以上の処理は規定の回数繰り返される。ここで、
図5は、第1実施形態の殺菌装置1が実行する殺菌動作での殺菌室11a内の圧力を示す図である。
図5中の線L1は、殺菌室11a内の圧力を示す。
【0052】
以上、説明したように、本実施形態では、殺菌装置1は、被殺菌物100を収容し殺菌剤が供給される殺菌室11aの温度を室温よりも高くする。殺菌装置1は、殺菌庫11と、窓ヒータ61(加熱部)と、を備える。殺菌庫11は、窓51cが設けられた壁51(外壁)と、窓51cを塞ぎ可視光が透過する透過部材52と、を有し、殺菌室11aが内部に設けられている。窓ヒータ61は、壁51の厚さ方向(X方向)で窓51cと対向しない位置に設けられ、透過部材52を加熱する。
【0053】
このような構成によれば、窓ヒータ61が透過部材52を加熱するので、殺菌室11aの内外に温度差が生じた場合であっても、透過部材52に殺菌剤が凝結するのが抑制される。これは、例えば、窓ヒータ61の熱が透過部材52を介して透過部材52の内面52b近傍の滅菌剤に伝わることで、間接的に殺菌剤の分子の運動エネルギーの低下を補い凝結を抑制することができるからと考えられる。また、透過部材52が壁51の厚さ方向で窓51cと対向しない位置に設けられているので、窓ヒータ61が、透過部材52を介しての殺菌室11a内の状態の観察を妨げることがない。よって、上記構成によれば、透過部材52を介しての殺菌室11a内の状態の観察がし易い。
【0054】
また、本実施形態では、上記のとおり、殺菌剤の凝結が抑制されるので、殺菌室11a内の気体状の滅菌剤の濃度が低下するのが抑制され、ひいては滅菌剤による殺菌作用が低下するのが抑制される。
【0055】
また、本実施形態では、窓ヒータ61が透過部材52を加熱するので、殺菌室11aにおける窓51c近傍の温度が低下するのが抑制される。よって、殺菌室11aに局所的に殺菌作用が低下する場所(所謂コールドスポット)が発生するのが抑制される。
【0056】
また、本実施形態では、窓ヒータ61の全体が、殺菌庫11の外側に配置されている。
【0057】
このような構成によれば、窓ヒータ61が殺菌庫11内の真空に晒されることが無いので、窓ヒータ61や窓ヒータ61に電力を供給する電線に、真空や、真空と大気圧間の圧力変化に耐えうる強度を持たす必要が無い。よって、窓ヒータ61や電線のコストが上がるのを抑制することができる。
【0058】
ここで、滅菌剤が凝結した場合に、凝結した滅菌剤を殺菌庫11内から除去する場合には、液化した滅菌剤を気化させたうえで真空ポンプ37により吸い出す必要が生じるため、余計な時間がかかる。これに対して、本実施形態では、滅菌剤の凝結が抑制されるので、上記の余計な時間が生じにくい。
【0059】
また、殺菌装置1は、壁51の外側に配置され、透過部材52を覆い、壁51との間に収容室74を形成したカバー71を備える。窓ヒータ61は、収容室74に収容されている。
【0060】
このような構成によれば、窓ヒータ61が収容室74に収容されているので、ユーザが窓ヒータ61に触れるのを抑制することができる。
【0061】
また、透過部材52は、壁51の厚さ方向で壁51と対向する対向部52dを有する。窓ヒータ61は、対向部52dに固定されている。
【0062】
このような構成によれば、窓ヒータ61が透過部材52の対向部52dに設けられているので、窓ヒータ61の熱が透過部材52に伝わりやすい。
【0063】
また、本実施形態では、収容室74には、気体が入れられている。
【0064】
このような構成によれば、カバー71や窓ヒータ61に真空に耐えるうる強度を持たせる必要がないので、カバー71や窓ヒータ61のコストが高くなるのを抑制することができる。
【0065】
次に、参考例として透過部材52に凝結を防止する方法として、殺菌室11aの内外の温度差を無くす方法について説明する。一般的に、低温滅菌器は化学薬品の反応を利用するため40~60℃で使用される。殺菌室11a外の温度を殺菌室11a内と同程度とした場合、人間が作業可能な環境との両立が難しい。逆に、殺菌室11aの温度を室温程度とした場合、化学薬品の反応性が大きく低下(滅菌温度55℃、室温25℃として、アレニウスの法則によると55℃-25℃=30℃温度が低下すると作用が(1/2)3=1/8に弱まる)し、また、飽和蒸気量が対数減少するため殺菌室11a内の滅菌ガスの濃度が低下する。結果として滅菌作用は大きく低下するため、同じ滅菌効果を得るためには、滅菌作用低下相当分の暴露時間を伸ばす必要があり、滅菌装置として使用する場合のスループットが著しく悪化する。
【0066】
また、窓ヒータ61を設けずに、結露防止機能を有した二重構造をもつ断熱ガラスで窓51cを覆った場合は、一定の効果はあるものの殺菌室11a内外の温度差が無くなるわけではないため、また、滅菌ガスで充満した殺菌室11a内は滅菌ガスで飽和しているため(湿度100%)、極めて結露しやすいため、効果は限定的である。
【0067】
<変形例>
次に、変形例について説明する。
図6は、第1実施形態の変形例の殺菌装置1の窓ヒータ61を含む部分を示す断面図である。本変形例では、透過部材52の対向部52dが
図2の対向部52dにX方向と直交する方向に広い。そして、窓ヒータ61(実線で示される窓ヒータ61)が、透過部材52の対向部52dの内面51bに設けられている。窓ヒータ61は、シール部材54の外側に配置されている。なお、窓ヒータ61は、一点鎖線で示されるように、シール部材54の内側に配置されていてもよいし、透過部材52における外面52aと内面52bとに亘った周面52cに配置されていてもよい。
【0068】
<第2実施形態>
図7は、第2実施形態の殺菌装置1の殺菌庫11を含む一部を例示的に示す断面図である。
【0069】
図7に示されるように、本実施形態は、窓ヒータ61の位置等が第1の実施形態と異なる。窓ヒータ61は、カバー71に固定されている。具体的には、窓ヒータ61は、周壁72bのうち下側部分の内面に固定されている。また、本実施形態では、温度センサ55が収容室74に収容されている。
【0070】
また、収容室74には、収容室74内の気体を流動させるファン81が収容されている。ファン81は、例えば、窓ヒータ61の上側に配置されている。ファン81は電力が供給されることで動作する。ファン81は、窓ヒータ61が動作しているときに動作するよう制御装置3によって制御される。
【0071】
以上のように、本実施形態では、窓ヒータ61は、カバー71に固定されている。
【0072】
このような構成によれば、窓ヒータ61がカバー71に固定されているので、透過部材52に窓ヒータ61を設けるための部分を透過部材52に設ける必要が無い。よって、透過部材52の小型化がしやすい。
【0073】
また、殺菌装置1は、収容室74に収容され、収容室74内の気体を流動させるファン81を備える。
【0074】
このような構成によれば、収容室74内の気体が窓ヒータ61によって加熱されるとともにファン81によって流動されるので、窓ヒータ61の熱が気体を介して透過部材52により一層伝わりやすい。
【0075】
<第3実施形態>
図8は、第3実施形態の殺菌装置1の殺菌庫11を含む一部を例示的に示す断面図である。
図9は、第3実施形態の殺菌装置1の殺菌庫11を含む部分を例示的に示す正面図である。
図10は、第3実施形態の殺菌装置1の構成を示すブロック図である。
【0076】
図8および
図9に示されるように、本実施形態は、窓ヒータ61が第1の実施形態と異なる。本実施形態の窓ヒータ61は、例えば、チューブヒーターである。窓ヒータ61は、壁51の厚さ方向の視線で窓51cの周囲に巻かれた形状である。窓ヒータ61は、第1部分61aと、第2部分61bと、を有する。第1部分61aは、透過部材52の外面52aに重ねられて外面52aに固定されている。第2部分61bは、第1部分61aと接続され、壁51の外面51aに重ねられて外面51aに固定されている。窓ヒータ61は、全体が殺菌庫11の外側に設けられている。なお、窓ヒータ61は、シーズヒータであってもよい。また、窓ヒータ61は、透過部材52の周面52cに重ねられて周面52cに固定されていてもよい。
【0077】
第2部分61bにおいて壁51の厚さ方向と直交する直交方向(Y方向やZ方向)で並ぶ複数の部分61dの間隔は、第1部分61aにおいて上記直交方向で並ぶ複数の部分61cの間隔よりも小さい。すなわち、所定の単位面積に対する第2部分61bが占める割合(密度)が、所定の単位面積に対する第1部分61aが占める割合(密度)よりも小さい。別の言い方をすると、所定の単位体積の配置領域における電流密度は、第2部分61bの方が第1部分61aよりも小さい。
【0078】
また、
図10に示されるように、本実施形態では、外側ヒータ25B(
図4)と、温度センサ55(
図4)とが、設けられていない。
【0079】
本実施形態では、制御装置3は、温度センサ48の検出結果に基づいて、窓ヒータ61を制御する。制御装置3は、透過部材52の内面52bの温度が目標温度(例えば、殺菌室11aの中央部の温度)と同じになるまで窓ヒータ61による加熱を行う。
【0080】
以上のように、本実施形態では、窓ヒータ61は、透過部材52に固定された第1部分61aと、第1部分61aと壁51に固定された第2部分61bと、を有する。
【0081】
このような構成によれば、一つの窓ヒータ61によって透過部材52と壁51との両方を加熱することができる。よって、透過部材52と壁51とを別個の加熱部で加熱する場合に比べて、殺菌装置1の部品点数を削減することができる。
【0082】
また、窓ヒータ61は、壁51の厚さ方向(X方向)の視線で窓51cの周囲に巻かれた形状である。第2部分61bにおいて壁51の厚さ方向と直交する直交方向で並ぶ複数の部分61dの間隔が、第1部分61aにおいて上記直交方向で並ぶ複数の部分61cの間隔よりも小さい。
【0083】
このような構成によれば、第2部分61bにおいて壁51の厚さ方向と直交する直交方向で並ぶ複数の部分61dの間隔が、第1部分61aにおいて直交方向で並ぶ複数の部分61cの間隔よりも小さいので、壁51の温度が上がりすぎるのが抑制されやすい。よって、扉22の温度と透過部材52の温度とに差が生じるのが抑制される。
【0084】
また、本実施形態では、窓ヒータ61は、全体が殺菌庫11の外側に設けられている。
【0085】
このような構成によれば、窓ヒータ61の一部が殺菌庫11の外側に設けられ、窓ヒータ61の他の一部が殺菌庫11の内側に設けられている場合に比べて、窓ヒータ61に作用する圧力に部分的な違いが生じにくい。
【0086】
また、本実施形態では、温度センサ55が設けられていない。
【0087】
このような構成によれば、殺菌装置1の構成の簡素化およびコスト低減をすることができる。なお、温度センサ55は、例えば、殺菌庫11がステンレスであるので、殺菌庫11がネジによって容易に固定することができる。
【0088】
なお、例えば、各実施形態では、窓51cおよび透過部材52が、扉22の壁51に設けられたがこれに限定されない。窓51cおよび透過部材52は、殺菌庫11における本体21の上壁21a、下壁21b、右壁21c、左壁、および後壁21eのいずれかに設けられていてもよく、扉22の壁51、上壁21a、下壁21b、右壁21c、左壁、後壁21eのうち2以上(すなわち、複数)の部分に設けられていてもよい。
【0089】
例えば、窓51cおよび透過部材52は、扉22の壁51と、本体21の上壁21aとのそれぞれに設けられていてもよい(シングルドア仕様)。この場合、例えば、壁51の窓51cは、殺菌室11a内の確認用として設けられ、上壁21aの窓51cは、殺菌室11aの外側に設けられた光源(例えばLED)によって殺菌室11a内を照明して(明るくして)殺菌室11aを観察できるようにするために設けられてもよい。なお、光源を殺菌室11aの外側に配置しているのは、光源が真空や殺菌剤の影響を受けないようにするためである。
【0090】
また、別例として、窓51cおよび透過部材52は、扉22の壁51と、本体21の後壁21eと、本体21の上壁21aとのそれぞれに設けられていてもよい。この場合、例えば、壁51の窓51cおよび後壁21eの窓51cは、殺菌室11a内の確認用として設けられ、上壁21aの窓51cは、殺菌室11aの外側に設けられた光源(例えばLED)によって殺菌室11a内を照明して(明るくして)殺菌室11aを観察できるようにするために設けられてもよい。また、この場合、本体21の後壁21eを扉として構成してもよい(ダブルドア仕様)。
【0091】
発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0092】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、透過部材52を介しての殺菌室11a内の状態の観察がし易い新規な構成の殺菌装置1を得ることができる。
【符号の説明】
【0093】
1…殺菌装置、11…殺菌庫、11a…殺菌室、51…壁(外壁)、51c…窓、52…透過部材、52d…対向部、61…窓ヒータ(加熱部)、61a…第1部分、61b…第2部分、61c,61d…部分、71…カバー、74…収容室、81…ファン、100…被殺菌物。