(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020630
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20230101AFI20230202BHJP
【FI】
G06Q10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021126108
(22)【出願日】2021-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】306020818
【氏名又は名称】トヨタテクニカルディベロップメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】清水 大樹
(72)【発明者】
【氏名】小田 紘之
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA20
(57)【要約】
【課題】文献の評価を行うことが可能な情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置は、所定の著者に対応する公開された1又は複数の第1文献が、1又は複数の第2文献において引用される場合の第1文献の被引用関係を特定する特定部と、特定部において特定される被引用関係に基づいて、所定の著者に対する評価を付与する付与部と、所定の著者に対応する第3文献が生成されると、付与部によって付与される評価に基づいて、第3文献の評価を設定する設定部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の著者に対応する公開された1又は複数の第1文献が、1又は複数の第2文献において引用される場合の第1文献の被引用関係を特定する特定部と、
前記特定部において特定される被引用関係に基づいて、所定の著者に対する評価を付与する付与部と、
所定の著者に対応する第3文献が生成されると、前記付与部によって付与される評価に基づいて、第3文献の評価を設定する設定部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記付与部は、前記特定部によって特定される被引用関係に基づいて、1又は複数の第2文献において第1文献が引用された回数を取得し、当該回数に基づいて所定の著者に対する評価を付与する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記付与部は、前記特定部によって特定される被引用関係に基づいて、1又は複数の第2文献において第1文献が引用される回数の平均を所定の著者に対する評価とする
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記設定部は、前記付与部によって付与される複数の所定の著者それぞれに対する評価を加算することにより、第3文献に対する評価を設定する
請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記設定部は、前記付与部によって付与される複数の所定の著者それぞれに対する評価の平均を算出することにより、平均評価を第3文献に対する評価として設定する
請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記設定部は、前記付与部によって付与される複数の所定の著者それぞれに対する評価のうち最大の評価を第3文献に対する評価として設定する
請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記設定部は、前記付与部によって付与される複数の所定の著者それぞれに対する評価のうち、第3文献の筆頭著者の評価を第3文献に対する評価として設定する
請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記特定部は、第1文献として特許発明に関する第1特許文献が、第2文献としての特許発明に関する第2特許文献の出願審査において引用される場合の被引用関係を特定し、
前記設定部は、第3文献として特許発明に関する第3特許文献が生成されると、前記付与部によって付与される所定の著者としての発明者の評価に基づいて、第3特許文献に対する評価を設定する
請求項1~7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータが、
所定の著者に対応する公開された1又は複数の第1文献が、1又は複数の第2文献において引用される場合の第1文献の被引用関係を特定する特定ステップと、
前記特定ステップにおいて特定される被引用関係に基づいて、所定の著者に対する評価を付与する付与ステップと、
所定の著者に対応する第3文献が生成されると、前記付与ステップによって付与される評価に基づいて、第3文献の評価を設定する設定ステップと、
を実行する情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
所定の著者に対応する公開された1又は複数の第1文献が、1又は複数の第2文献において引用される場合の第1文献の被引用関係を特定する特定機能と、
前記特定機能において特定される被引用関係に基づいて、所定の著者に対する評価を付与する付与機能と、
所定の著者に対応する第3文献が生成されると、前記付与機能によって付与される評価に基づいて、第3文献の評価を設定する設定機能と、
を実現させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許に関してはライセンス料等の収入が発生する可能性があるため、特許の評価を行う試みがなされている。そのような特許の評価を行う装置として、例えば、特許文献1に記載される評価装置がある。
特許文献1に記載される評価装置は、特許出願を行った出願明細書の評価を行う。すなわち、評価装置は、評価対象の特許出願を特定し、当該特許出願の審査における補正の機会の前後おいて特許請求の範囲の変化度合を算出し、特許出願の変化度合に応じて特許の評価を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される評価装置は、上述したように、特許審査での補正の機会の前後における特許請求の範囲の変化度合に基づいて特許出願の評価を行うため、出願審査請求を行い審査の結果が確定するまでは、その特許出願の評価を行うことができない。すなわち、特許文献1に記載される評価装置では、審査結果を待つ必要があり、特許出願の評価を行うのに相対的に長い時間が必要となる。このため、相対的に早い段階でも評価を行う装置が望まれていた。
【0005】
本発明は、文献の評価を行うことが可能な情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様の情報処理装置は、所定の著者に対応する公開された1又は複数の第1文献が、1又は複数の第2文献において引用される場合の第1文献の被引用関係を特定する特定部と、特定部において特定される被引用関係に基づいて、所定の著者に対する評価を付与する付与部と、所定の著者に対応する第3文献が生成されると、付与部によって付与される評価に基づいて、第3文献の評価を設定する設定部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
一態様によれば、所定の著者に対応する第1文献が第2文献において引用される場合の第1文献の被引用関係に基づいて所定の著者に対する評価を付与し、所定の著者に対応する第3文献が生成されるとその付与される評価に基づいて第3文献の評価を設定するので、文献の評価を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る情報処理装置について説明するための図である。
【
図2】一実施形態に係る情報処理装置について説明するためのブロック図である。
【
図3】一実施形態に係る情報処理方法について説明するためのフローチャートである。
【
図4】一実施例について説明するための第1の図である。
【
図5】一実施例について説明するための第2の図である。
【
図6】一実施例について説明するための第3の図である。
【
図7】一実施例について説明するための第4の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態について説明する。
【0010】
[情報処理システム1の概要]
まず、一実施形態に係る情報処理システム1の概要について説明する。
図1は、一実施形態に係る情報処理システム1について説明するための図である。
【0011】
情報処理システム1は、例えば、情報処理装置100及びサーバ200等を備える。
情報処理装置100は、例えば、サーバ、デスクトップ、ラップトップ及びタブレット等のコンピュータであってもよい。情報処理装置100は、例えば、文献を評価する文献評価装置等として構成されてもよい。
【0012】
情報処理装置100は、例えば、所定の著者Aに対応する第1文献に関する情報を取得する。所定の著者Aは、例えば、発明に関する発明者及び実用新案に関する考案者等であってもよい。第1文献は、例えば、発明の内容を記載した明細書、特許請求の範囲、要約書及び図面等の特許文献であってもよい。第1文献に関する情報は、例えば、第1文献の所定の著者A(例えば、発明者等)、出願番号、公開番号及び登録番号等に関する種々の情報であってもよい。
【0013】
また、情報処理装置100は、例えば、第1文献とは異なる他の文献(第2文献)に関する情報を取得してもよい。他の著者Bは、例えば、発明に関する発明者であってもよい。第2文献は、例えば、発明の内容を記載した明細書、特許請求の範囲、要約書及び図面等の特許文献であってもよい。第2文献に関する情報は、例えば、第2文献(特許文献)に対する審査の情報(審査情報)301であってもよい。審査情報301は、例えば、拒絶理由通知の内容及び国際調査報告の内容に関する情報であってもよい。より具体的な一例として、審査情報301は、第2文献について新規性、進歩性、拡大先願及び先願等で拒絶理由通知等が可能な引用文献の内容、並びに、拒絶理由通知書及び国際調査等で審査おいて参考として挙げられる文献の内容に関する情報であってもよい。
情報処理装置100は、例えば、第2文献に関する情報(一例として、審査情報301等)に基づいて、第2文献に関して第1文献が引用文献として挙げられているかを特定する。すなわち、情報処理装置100は、第1引用文献の被引用関係を特定する。
【0014】
又は、情報処理装置100は、例えば、外部のサーバ200等に第1文献の被引用関係が記憶される場合には、そのサーバ200から第1文献の被引用関係を取得してもよい。
又は、情報処理装置100は、例えば、外部のサーバ200等に第1文献及び第2文献に関する情報が記録される場合には、そのサーバ200に記録される情報に基づいて、第1文献の被引用関係を取得してもよい。
又は、情報処理装置100は、例えば、後述する記憶部112に第1文献又は第1文献に対応する所定の著者A等の情報(第1文献に関する情報)が記憶され、外部のサーバ200等に第2文献に関する情報が記録される場合、記憶部112及びサーバ200等に記録される情報に基づいて、第1文献の被引用関係を取得してもよい。
【0015】
情報処理装置100は、第1文献の被引用関係に基づいて、所定の著者Aに対しての評価を付与する。評価は、種々の評価であってもよい。この場合、情報処理装置100は、第1文献の被引用関係に基づいて第1文献がより多く引用される場合、所定の著者Aに対してより良い(高い)評価を行う。一方、情報処理装置100は、第1文献の被引用関係に基づいて第1文献がより少なく引用される場合、所定の著者Aに対してより低い評価を行う。
【0016】
情報処理装置100は、例えば、所定の著者Aに対応する第3文献302が新たに生成される場合、過去(最新)の所定の著者Aの評価に基づいて、第3文献302に対する評価303を行う。第3文献302は、例えば、発明の内容を記載した明細書、特許請求の範囲、要約書及び図面等の特許文献であってもよい。
【0017】
本開示の所定の著者は、例えば、上述したように発明者及び考案者(発明者等)であってもよい。したがって、情報処理装置100は、例えば、発明者等の評価に基づいて、その発明者等に対応する第3文献に対して評価を付与してもよい。
【0018】
[情報処理装置100の詳細]
次に、一実施形態に係る情報処理装置100の詳細について説明する。
図2は、一実施形態に係る情報処理装置100について説明するためのブロック図である。
【0019】
情報処理装置100は、例えば、通信部111、記憶部112、表示部113及び制御部101等を備える。通信部111、記憶部112及び表示部113は、「出力部」の一実施形態であってもよい。制御部101は、例えば、機能部として特定部102、付与部103、設定部104、価値判定部105及び出力制御部106等として機能してもよい。制御部101は、例えば、情報処理装置100の演算処理装置等によって構成されてもよい。制御部101(例えば、演算処理装置等)は、例えば、記憶部112等に記憶される各種プログラム等を適宜読み出して実行することにより、機能部としての各部(特定部102、付与部103、設定部104、価値判定部105及び出力制御部106等)の機能を実現してもよい。
【0020】
通信部111は、例えば、情報処理装置100の外部にある装置(外部装置)等との間で種々の情報の送受信が可能である。外部装置は、例えば、サーバ200(
図1参照)及びユーザ端末(図示せず)等であってもよい。ユーザ端末は、例えば、情報処理装置100のユーザが使用する端末等であってもよい。ユーザ端末は、例えば、デスクトップ、ラップトップ、タブレット及びスマートフォン等であってもよい。
【0021】
通信部111は、例えば、制御部101の制御に基づいて、第1文献に関する情報を取得してもよい。第1文献に関する情報は、例えば、第1文献の所定の著者A(例えば、発明者等)、出願番号、公開番号及び登録番号等に関する種々の情報であってもよい。第1文献に関する情報には、例えば、第1文献そのものが含まれていてもよい。
【0022】
通信部111は、例えば、制御部101の制御に基づいて、第2文献に関する情報を取得してもよい。第2文献に関する情報は、例えば、第2文献に対する審査の情報(審査情報)であってもよい。審査情報は、例えば、拒絶理由通知の内容及び国際調査報告等で挙げられた引用文献に関する情報であってもよい。
【0023】
通信部111は、例えば、外部のサーバ200等に第1文献の被引用関係が記憶される場合、制御部101の制御に基づいて、そのサーバ200から第1文献の被引用関係を取得してもよい。第1文献の被引用関係は、第2文献に対して第1文献が引用された際の引用関係であってもよい。具体的には、第1文献の被引用関係は、特許文献としての第2文献の審査における拒絶理由通知書又は国際調査報告等において第1文献が挙げられた際の、第2文献に対する第1文献の被引用関係であってもよい。
【0024】
記憶部112は、例えば、種々の情報及びプログラムを記憶してもよい。記憶部112の一例は、メモリ、ソリッドステートドライブ及びハードディスクドライブ等であってもよい。記憶部112は、例えば、制御部101の制御に基づいて、種々の情報及びプログラムの記憶及び読出しが可能である。記憶部112は、例えば、第1文献に関する情報及び第2文献に関する情報のうち少なくとも一方を記憶してもよい。換言すると、記憶部112は、例えば、第1文献に関する情報及び第2文献に関する情報のグループから選択される少なくとも1つの情報を記憶してもよい。
【0025】
表示部113は、例えば、制御部101の制御に基づいて、種々の文字、記号及び画像等を表示してもよい。表示部113は、例えば、公知のディスプレイ等の表示機器であってもよい。
【0026】
特定部102は、所定の著者に対応する公開された1又は複数の第1文献が、1又は複数の第2文献において引用される場合の第1文献の被引用関係を特定する。ここで、特定部102は、第1文献として特許発明に関する第1特許文献が、第2文献としての特許発明に関する第2特許文献の出願審査において引用される場合の被引用関係を特定してもよい。すなわち、第1文献の被引用関係は、例えば、特許文献としての第2文献の審査における拒絶理由通知書又は国際調査報告等において第1文献が挙げられた際の、第2文献に対する第1文献の被引用関係であってもよい。
【0027】
特定部102は、例えば、通信部111を介して第1文献に関する情報及び第2文献に関する情報を取得した場合、両情報に基づいて、第2文献に対する第1文献の被引用関係を特定してもよい。
又は、特定部102は、例えば、記憶部112等に第1文献に関する情報(又は、第2文献に関する情報)が記憶され、通信部111を介して第2文献に関する情報(又は、第1文献に関する情報)を取得した場合、両情報に基づいて、第2文献に対する第1文献の被引用関係を特定してもよい。
又は、特定部102は、例えば、記憶部112等に第1文献に関する情報及び第2文献に関する情報が記憶される場合、両情報に基づいて、第2文献に対する第1文献の被引用関係を特定してもよい。
又は、特定部102は、例えば、外部のサーバ200等に第2文献に対する第1文献の被引用関係が記憶される場合、通信部111を介してその被引用関係を取得することにより、第2文献に対する第1文献の被引用関係を特定してもよい。
【0028】
付与部103は、特定部102において特定される被引用関係に基づいて、所定の著者に対する評価を付与する。付与部103は、例えば、第1文献の被引用関係に基づいて第1文献がより多く引用される場合、所定の著者Aに対してより良い(高い)評価を行う。一方、付与部103は、例えば、第1文献の被引用関係に基づいて第1文献がより少なく引用される場合、所定の著者Aに対してより低い評価を行う。
具体的な一例として、付与部103は、特定部102によって特定される被引用関係に基づいて、1又は複数の第2文献において第1文献が引用された回数(引用回数)を取得し、その回数に基づいて所定の著者に対する評価を付与することとしてもよい。
又は、具体的な一例として、付与部103は、特定部102によって特定される被引用関係に基づいて、第2文献において第1文献が引用される回数の平均を所定の著者に対する評価とすることとしてもよい。すなわち、付与部103は、第2文献において第1文献が引用される回数を取得し、その回数の平均を算出して平均回数を所定の著者に対する評価としてもよい。
評価は、種々の評価であってもよい。一例として、付与部103は、以下のような評価を所定の著者に付与してもよく、以下に記載する以外の種々の他の評価を所定の著者に付与してもよい。
【0029】
すなわち、付与部103は、例えば、第1文献の引用回数に対応したポイント(評価値)を所定の著者に付与してもよい。具体的な一例として、第1文献が第2文献において引用された回数が5回の場合には、5ポイントの評価値を所定の著者に付与してもよい。
又は、付与部103は、例えば、第1文献の引用回数に所定の係数を乗算し、その係数を乗算した回数の値を所定の著者に対する評価としてもよい。所定の係数は、例えば、種々の値であってもよい。付与部103は、例えば、第1文献が複数の所定の著者に対応する場合、筆頭著者に対しては他の著者よりも値の大きい係数を付し、他の著者に対しては筆頭著者よりも値の小さい係数を付してもよい。具体的な一例として、付与部103は、所定の著者が3名(著者A、著者B及び著者C)の場合、筆頭となる著者Aに対しては第1文献の引用回数(D回)に係数Eを乗算した値(D×E)の評価を付与し、他の著者B,Cに対しては第1文献の引用回数(D回)に係数F(E>F)を乗算した値(D×F)の評価を付与してもよい。
又は、付与部103は、例えば、第1文献の引用回数に1又は複数の閾値を設定し、その引用回数が閾値以上か又は閾値未満かに応じて評価を行ってもよい。すなわち、付与部103は、第1文献の引用回数が閾値以上でれば高い値の評価(評価値)を所定の著者に付与し、その引用回数が閾値未満でれば低い評価(評価値)を所定の著者に付与してもよい。
なお、付与部103は、上述したように数値を利用して評価を行う例に限定されることはなく、種々の指標を利用した評価を行ってもよい。この場合、付与部103は、例えば、「良い」、「普通」及び「悪い」等の文言で段階的に表される評価を所定の著者に付与してもよい。
【0030】
また、付与部103は、上記の第1文献の被引用関係以外にも、例えば、審査情報、出願国情報、ファミリ情報、請求項情報、明細書情報、図面情報、共願情報、IPCなどの技術分類情報、補正情報、分割情報、優先権情報、情報提供情報等に基づいて、所定の著者に対する評価を付与してもよい。
一例として、審査情報は、第1文献が審査請求をされたか否か等の情報等であってもよく、審査請求がされた場合には良い評価(例えば、相対的に高い数値等)を付与し、審査請求がされなかった場合には普通の評価(例えば、相対的に低い数値等)を付与してもよい。一例として、出願国情報は、第1文献に基づいて出願された国の情報であってもよく、出願国が多い場合には良い評価(例えば、相対的に高い数値等)を付与し、出願国が少ない場合には普通の評価(例えば、相対的に低い数値等)を付与してもよい。一例として、請求項情報、明細書情報及び図面情報は、第1文献を構成する請求項の数、明細書の枚数及び図面数等の情報であってもよく、請求項数、明細書の枚数及び図面数が多い場合には良い評価(例えば、相対的に高い数値等)を付与し、請求項数、明細書の枚数及び図面数が少ない場合には普通の評価(例えば、相対的に低い数値等)を付与してもよい。一例として、共願情報は、第1文献の出願人が単独か共願かを示す情報であってもよく、単独の場合には普通の評価(例えば、相対的に低い数値等)を付与し、共願の場合には高い評価(例えば、相対的に高い数値等)を付与してもよい。一例として、技術分類情報は、分類の数が多い場合には良い評価(例えば、相対的に高い数値等)を付与し、分類の数が少ない場合には普通の評価(例えば、相対的に低い数値等)を付与してもよい。一例として、補正情報は補正の有無の情報であってもよく、分割情報は分割の有無の情報であってもよく、優先権情報は優先権主張出願の有無の情報であってもよく、情報提供情報は第1文献に対する情報提供の有無の情報であってもよい。この場合、例えば、補正情報は、補正の回数がより多い場合に普通の評価(例えば、相対的に低い数値等)を付与し、補正の回数が少ない場合には高い評価(例えば、相対的に高い数値等)を付与してもよい。また、例えば、分割情報、優先権情報及び情報提供情報は、分割が有る場合、優先権主張出願が有る場合及び情報提供が有る場合には高い評価(例えば、相対的に高い数値等)を付与し、分割が無い場合、優先権主張出願が無い場合及び情報提供が無い場合には普通の評価(例えば、相対的に低い数値等)を付与してもよい。
なお、付与部103は、上記の例示以外にも、審査情報、出願国情報、ファミリ情報、請求項情報、明細書情報、図面情報、共願情報、IPCなどの技術分類情報、補正情報、分割情報、優先権情報、情報提供情報等について、所定の著者に対する種々の評価を付与してもよい。
【0031】
付与部103は、例えば、予め設定された期間(所定期間)以内において、第2文献において引用された第1文献の被引用関係に基づいて、所定の著者に対する評価を付与してもよい。
付与部103は、例えば、所定の著者に対応する1又は複数の第1文献が、その所定の著者に対応する1又は複数の第2文献において引用される場合、その第2文献で引用される第1文献の被引用関係は除外、すなわち、第1文献の所定の著者に対して評価を付与しなくともよい。一例として、付与部103は、第1文献の発明者が第2文献の発明者と同一の場合、及び、第2文献の複数の発明者に第1文献の発明者が含まれる場合、第2文献で引用される第1文献の発明者の評価を除外してもよい。
又は、付与部103は、例えば、第1文献の出願人と第2文献の出願人とが同一の場合、及び、第2文献の複数の出願人に第1文献の出願人が含まれる場合、第2文献で引用される第1文献の被引用関係は除外して、第1文献の所定の著者(発明者)に対して評価を付与しなくともよい。
【0032】
設定部104は、上述したように付与部103によって所定の著者に対する評価が行われた後に処理を行ってもよい。すなわち、設定部104は、所定の著者に対応する第3文献が生成されると、付与部103によって付与される評価に基づいて、第3文献の評価を設定する。ここで、設定部104は、例えば、第3文献として特許発明に関する第3特許文献が生成されると、付与部103によって付与される所定の著者としての発明者の評価に基づいて、第3特許文献に対する評価を設定してもよい。この場合、例えば、設定部104は、第2文献において第1文献が引用された回数の平均を所定の著者に対する評価とし、著者それぞれに対する評価の平均を第3文献の評価としてもよい。
一例として、設定部104は、付与部103によって所定の著者に評価のポイント(評価値)が付与されている場合、その所定の著者に対応する第3文献が新たに生成されると、そのポイント(評価値)を第3文献の評価(評価値)として設定してもよい。
又は一例として、設定部104は、付与部103によって所定の著者に評価(例えば、文言により評価)が付与されている場合、その所定の著者に対応する第3文献が新たに生成されると、所定の著者に対するその評価を第3文献の評価として設定してもよい。
【0033】
ここで、第3文献の所定の著者は、例えば、1人又は複数人であってもよい。この場合一例として、設定部104は、以下の(1)~(4)のいずれかのように第3文献の評価を設定してもよい。
【0034】
(1)設定部104は、例えば、付与部103によって付与される複数の所定の著者それぞれに対する評価を加算することにより、第3文献に対する評価を設定してもよい。一例として、第3文献の所定の著者が著者A、著者B及び著者Cであり、著者A~Cに対応する同一又は異なる少なくとも1つの第1文献の被引用関係に基づいて、複数の著者A~Cそれぞれに評価が付与されている場合、設定部104は、複数の著者A~Cそれぞれの評価を加算することにより、第3文献の評価を設定してもよい。すなわち一例として、評価部は、著者Aに対して5ポイント、著者Bに対して8ポイント、著者Cに対して2ポイントの評価値それぞれが付与されている場合、著者A~Cのポイント(評価値)を加算して、第3文献対して15ポイントの評価値を設定してもよい。
【0035】
(2)設定部104は、例えば、付与部103によって付与される複数の所定の著者それぞれに対する評価の平均を算出することにより、平均評価を第3文献に対する評価として設定してもよい。この場合、設定部104は、複数の所定の著者それぞれに対する評価の相加平均又は相乗平均を算出し、その算出によって得られる平均値を第3文献に対する評価として設定してもよい。ここで上述した一例を利用して、評価部は、例えば、著者Aに対して5ポイント、著者Bに対して8ポイント、著者Cに対して2ポイントの評価値それぞれが付与されている場合、著者A~Cのポイント(評価値)の平均(ここでは、相加平均)を算出し、平均値として5ポイントの評価値を第3文献に対する評価として設定してもよい。
【0036】
(3)設定部104は、例えば、付与部103によって付与される複数の所定の著者それぞれに対する評価のうち最大の評価を第3文献に対する評価として設定してもよい。ここで上述した一例を利用して、評価部は、例えば、著者Aに対して5ポイント、著者Bに対して8ポイント、著者Cに対して2ポイントの評価値それぞれが付与されている場合、著者A~Cのポイント(評価値)のうち最大のポイント(著者Bの8ポイントの評価値)を第3文献に対する評価として設定してもよい。
【0037】
(4)設定部104は、例えば、付与部103によって付与される複数の所定の著者それぞれに対する評価のうち、第3文献の筆頭著者の評価を第3文献に対する評価として設定してもよい。ここで上述した一例を利用して、評価部は、例えば、著者Aに対して5ポイント、著者Bに対して8ポイント、著者Cに対して2ポイントの評価値それぞれが付与され、著者Aが第3文献の筆頭著者の場合、著者Aの5ポイント(評価値)を第3文献に対する評価として設定してもよい。
【0038】
ここで一例として、設定部104は、付与部103によって所定の著者に評価(例えば、文言による評価)が付与されている場合でも、上述した(1)~(4)いずれかのように第3文献の評価を設定してもよい。
【0039】
価値判定部105は、設定部104によって設定される第3文献に対する評価に基づいて、第3文献の価値判定を行ってもよい。価値判定部105は、例えば、第3文献に対する評価としてのポイント(評価値)に対して所定の金額を乗算した額を第3文献の価値評価額とすることにより、第3文献の価値判定(無体資産の資産価値評価)を行ってもよい。この場合の具体的な一例として、価値判定部105は、1ポイント(評価値)当たり10万円を乗算することにより、第3文献の価値評価額を算出してもよい。なお、所定の金額の10万円は一例であり、所定の金額は他の金額であってもよい。
【0040】
また上記と同様に、価値判定部105は、設定部に104によって第3文献に対して文言による評価(例えば、文言による段階的な評価等)が設定されている場合には、文言に応じた金額を割り当てることにより、第3文献の価値評価額を算出してもよい。一例として、価値判定部105は、第3文献の文言「良い」の評価には30万円を割り当て、文言「普通」の評価には20万円を割り当て、「悪い」の評価には10万円を割り当て、当該割り当てた金額を第3文献の価値評価額としてもよい。なお、評価の文言に応じて割り当てる金額は、上述した一例に限定されることはなく、他の金額であってもよい。
【0041】
出力制御部106は、例えば、設定部104によって設定される第3文献に対する評価を出力するよう出力部を制御してもよい。ここで、出力部の一実施形態は、例えば、通信部111、記憶部112及び表示部113等であってもよい。
すなわち、出力制御部106は、例えば、設定部104によって設定される第3文献に対する評価(評価値(ポント))に関する情報を外部(外部装置)に送信するよう通信部111を制御してもよい。外部装置は、例えば、サーバ200及びユーザ端末等であってもよい。
また、出力制御部106は、例えば、設定部104によって設定される第3文献に対する評価(評価値(ポント))に関する情報を記憶するよう記憶部112を制御してもよい。
また、出力制御部106は、例えば、設定部104によって設定される第3文献に対する評価(評価値(ポント))を表示するよう表示部113を制御してもよい。
【0042】
出力制御部106は、例えば、価値判定部105による第3文献に対する価値判定の結果を出力するよう出力部を制御してもよい。ここで、出力部の一実施形態は、例えば、通信部111、記憶部112及び表示部113等であってもよい。
すなわち、出力制御部106は、上述した場合と同様に、例えば、価値判定部105による第3文献に対する価値判定の結果(例えば、価値評価額等)を出力するよう通信部111、記憶部112及び表示部113のうち少なくとも1つ、換言すると通信部111、記憶部112及び表示部113のグループから選択される少なくとも1つを制御してもよい。
【0043】
なお、本開示は、情報処理装置100によって、第1,2文献としての特許文献(第1,2特許文献)を利用して、第3文献としての特許文献(第3特許文献)を評価する一例に限定されることはない。すなわち、本開示では、例えば、第1~3文献の少なくとも1つ、換言すると第1文献、第2文献及び第3文献のグループから選択される少なくとも1つの文献が論文、技報、雑誌及び書籍等の文書が記載される種々の媒体(文書媒体)であってもよい。したがって一例では、情報処理装置100は、上述した処理と同様に、第3文献としての論文及び技報等の文書媒体の評価を行ってもよい。なお一例として、情報処理装置100は、第1~3文献が論文である場合、査読前と査読後との間で評価に差を設けてもよい。
【0044】
[情報処理方法]
次に、一実施形態に係る情報処理方法について説明する。
図3は、一実施形態に係る情報処理方法について説明するためのフローチャートである。
【0045】
ステップST101において、特定部102は、所定の著者に対応する第1文献が第2文献において引用される場合の第1文献の被引用関係を特定する。ここで、特定部102は、第1文献として特許発明に関する第1特許文献が、第2文献としての特許発明に関する第2特許文献の出願審査において引用される場合の被引用関係を特定してもよい。
この場合一例として、特定部102は、通信部111を介して取得する第1文献に関する情報及び第2文献に関する情報に基づいて、第1文献の被引用関係を特定してもよい。また一例として、特定部102は、例えば、外部のサーバ200等に第1文献の被引用関係が記憶される場合、通信部111を介してそのサーバ200から第1文献の被引用関係を取得することにより、第1文献の被引用関係を特定してもよい。
【0046】
ステップST102において、付与部103は、ステップST101で特定される第1文献の被引用関係に基づいて、所定の著者に対する評価を付与する。この場合、付与部103は、例えば、第1文献の被引用関係に基づいて、第2文献において第1文献が引用された回数(引用回数)を取得し、その回数に基づいて所定の著者に対する評価を付与してもよい。
【0047】
ステップST103において、設定部104は、所定の著者に対応する第3文献が生成されると、ステップST102で付与される評価に基づいて、第3文献の評価を設定する。ここで、設定部104は、例えば、第3文献として特許発明に関する第3特許文献が生成されると、付与部103によって付与される所定の著者としての発明者の評価に基づいて、第3特許文献に対する評価を設定してもよい。
ここで、第3文献の所定の著者は、例えば、1人又は複数人であってもよい。この場合、設定部104は、例えば、付与部103によって付与される1又は複数の所定の著者それぞれに対する評価を加算することにより、第3文献に対する評価を設定してもよい。又は、設定部104は、例えば、付与部103によって付与される1又は複数の所定の著者それぞれに対する評価の平均を算出することにより、平均評価を第3文献に対する評価として設定してもよい。又は、設定部104は、例えば、付与部103によって付与される1又は複数の所定の著者それぞれに対する評価のうち最大の評価を第3文献に対する評価として設定してもよい。又は、設定部104は、例えば、付与部103によって付与される1又は複数の所定の著者それぞれに対する評価のうち、第3文献の筆頭著者の評価を第3文献に対する評価として設定してもよい。
なおステップST103においては、価値判定部105は、例えば、上述した設定部104による第3文献に対する評価に基づいて、第3文献の価値判定を行ってもよい。価値判定部105は、例えば、第3文献に対する評価としてのポイント(評価値)に対して所定の金額を乗算した額を第3文献の価値評価額とすることにより、第3文献の価値判定を行ってもよい。
【0048】
[実施例]
次に、本実施形態の一実施例について説明する。
図4~7は、一実施例について説明するための第1~4の図である。
本実施例では、第1~3文献が特許文献の場合であり、所定の著者が発明者の場合の一例を説明する。
【0049】
情報処理装置100は、例えば
図4に例示するように、第3文献として特願2019-AAAが有る場合、その第3文献の発明者D,E,F,Gの4名の発明者スコア(評価)を取得する。発明者D,E,F,Gの発明者スコアは、それぞれ0ポイント、135ポイント、0ポイント、0ポイントになる。発明者D,E,F,Gの発明者スコア(評価)は、それらの発明者が過去に出願した第1文献が当該第1文献とは異なる他の文献(第2文献)の審査において挙げられたことに対応する数である。一例として、発明者スコアは、第1文献が第2文献の審査において挙げられた回数等であってもよい。
【0050】
この場合、発明者スコアは、1又は複数の第1文献が1又は複数の第2文献の審査において挙げられた全てに対応する数(例えば、全ての回数等(自社出願を含む引用回数等))であってもよく、1又は複数の第1文献の出願人(又は、権利者)とは異なる他の出願人(又は、権利者)の1又は複数の第2文献において挙げられたことに対応する数(例えば、他者の回数等(自社出願を含まない引用回数等))であってもよい。
ここで
図4に例示する場合、発明者Eの発明者スコアは、例えば、自社出願を含む全ての第2文献の審査において第1文献が挙げられている際には135ポイントとなる。
すなわち一例として、発明者Eの発明者スコアは、発明者Eに対応する1又は複数の第1文献が自社出願を含む複数の第2文献の審査で引用され、当該引用の回数が135回の場合、当該回数に対応した135ポイントとなる。
一方、発明者Eの発明者スコアは、例えば、自社出願を含まない他者の第2文献の審査において第1文献が挙げられている際には128ポイントとなる。すなわち一例として、発明者Eの発明者スコアは、発明者Eに対応する1又は複数の第1文献が自社出願を含まない複数の第2文献の審査で引用され、当該引用の回数が128回の場合、当該回数に対応した128ポイントとなる。
【0051】
情報処理装置100は、上述した発明者スコアを取得する場合、例えば、
図5に例示する第1文献の被引用関係を利用して取得してもよい。すなわち、情報処理装置100は、例えば、第1文献となる特開2007-CCC、特開2006-DDD、特開2006-EEE等の特許出願において、第1文献それぞれの発明者と、審査等において第1文献が引用された第2文献(被引用出願番号及び他者被引用特許出願)との対応関係を取得することにより、発明者スコアを取得してもよい。ここで、被引用出願番号は、例えば、自社出願を含む全ての第2文献の審査において第1文献が挙げられた際の第2文献に関する番号等であってもよい。また、他者被引用出願番号は、例えば、自社出願を含まない他者の第2文献の審査において第1文献が挙げられている際の第2文献に関する番号等であってもよい。
【0052】
また、情報処理装置100は、第1文献の被引用関係に基づいて、第1文献の発明者スコア(評価)を取得する(
図6,7参照)。
図6に例示する場合、発明者D,E,F,Gの被引用出願数(自社出願を含む全ての第2文献の審査において第1文献が挙げられた際の第2文献の合計数(引用回数))(被引用出願数合計)は、それぞれ0回、135回、0回、0回となる。また
図7に例示する場合、発明者D,E,F,Gの被引用出願数(自社出願を含まない第2文献の審査において第1文献が挙げられた際の第2文献の合計数(引用回数))(他者被引用出願数合計)は、それぞれ0回、128回、0回、0回となる。情報処理装置100は、例えば、上述した回数を発明者スコア(評価)としてもよい。
【0053】
情報処理装置100は、
図4に例示するように、発明者D,E,F,Gの発明者スコアに基づいて、第1文献の評価(例えば、評価額等)を算出する。この場合一例として、情報処理装置100は、発明者D,E,F,Gの発明者スコアの合計値、発明者スコアの最大値及び発明者スコアの平均値等に基づいて、第1文献の評価(例えば、評価額)を算出することとしてもよい。ここで一例として、情報処理装置100は、発明者スコアの1ポイントにつき10万円を乗算した額を第1文献の評価(評価額)としてもよい。
【0054】
[検証]
上述したような、発明者の過去の被引用実績に基づく特許文献の評価について検証した。
ここでは、出願日又は優先日が2010年1月1日から最新までの出願人がA社及びB社の出願(特許母集団)について検証した。対象となる発明者は、上記の特許母集団に含まれる発明者である。(A)各発明者の被引用実績の算出方法は、以下の(1)~(4)の4パターンである。
(1)特許母集合中の当該発明者の全出願の被引用数の合計
(2)特許母集合中の当該発明者の全出願の被引用数の合計(自社出願除く)
(3)特許母集合中の当該発明者の全出願の被引用数の1件あたりの平均
(4)特許母集合中の当該発明者の全出願の被引用数の1件あたりの平均(自社出願除く)
また(B)各特許の価値評価指標の算出方法は、以下の(1)~(4)の4パターンである。
(1)当該特許の発明者の上記被引用実績いずれかの合計
(2)当該特許の発明者の上記被引用実績いずれかの1人あたりの平均
(3)当該特許の発明者の上記被引用実績いずれかの筆頭発明者の値
(4)当該特許の発明者の上記被引用実績いずれかの最大値
価値評価指標として、「上記(A)の4パターン」×「上記(B)の4パターン」=16パターンを用意し、既存の評価手法と比較した。
【0055】
既存の評価手法は、パテントポートフォリオ業務において従来から利用されるC評価手法及びD評価手法である。比較対象は、C,Dそれぞれの評価手法で価値評価がついた、A,B社の4つの技術分野(集合)である。すなわち、出願日又は優先日が2010年以降で且つ上述したパテントポートフォリオの集合に含まれるものを抽出し、出願人(A,Bの2社)及び技術分野(4つ)別の合計8パターンで、評価手法同士の相関係数の比較を行った。
その結果、本実施例の被引用実績の平均と、C評価手法とのスコアの相関係数が他のスコア同士の相関係数と比較して高く、0.3前後で安定していた。上記の8パターンのうち5つで1位となり、3つで2位となり、平均は0.336であった。D評価手法との相関関係と比べても8パターンのうち7パターンで上回っていた。
【0056】
上述した情報処理装置100の各部は、コンピュータの演算処理装置等の機能として実現されてもよい。すなわち、情報処理装置100の特定部102、付与部103、設定部104、価値判定部105及び出力制御部106(制御部101)は、コンピュータの演算処理装置等による特定機能、付与機能、設定機能、価値判定機能及び出力制御機能(制御機能)としてそれぞれ実現されてもよい。
情報処理プログラムは、上述した各機能をコンピュータに実現させることができる。情報処理プログラムは、例えば、メモリ、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ又は光ディスク等の、コンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体に記録されていてもよい。
また、上述したように、情報処理装置100の各部は、コンピュータの演算処理装置等で実現されてもよい。その演算処理装置等は、例えば、集積回路等によって構成される。このため、情報処理装置100の各部は、演算処理装置等を構成する回路として実現されてもよい。すなわち、情報処理装置100の特定部102、付与部103、設定部104、価値判定部105及び出力制御部106(制御部101)は、コンピュータの演算処理装置等を構成する特定回路、付与回路、設定回路、価値判定回路及び出力制御回路(制御回路)として実現されてもよい。
また、情報処理装置100の通信部111、記憶部112及び表示部113(出力部)は、例えば、演算処理装置等の機能を含む通信機能、記憶機能及び表示機能(出力機能)として実現されもよい。また、情報処理装置100の通信部111、記憶部112及び表示部113(出力部)は、例えば、集積回路等によって構成されることにより通信回路、記憶回路及び表示回路(出力回路)として実現されてもよい。また、情報処理装置100の通信部111、記憶部112及び表示部113(出力部)は、例えば、複数のデバイスによって構成されることにより通信装置、記憶装置及び表示装置(出力装置)として構成されてもよい。
【0057】
情報処理装置100は、上述した複数の各部のうち1又は任意の複数を組み合わせることが可能である。
本開示では、「情報」の文言を使用しているが、「情報」の文言は「データ」と言い換えることができ、「データ」の文言は「情報」と言い換えることができる。
【0058】
[本実施形態の態様及び効果]
次に、本実施形態の一態様及び各態様が奏する効果について説明する。なお、以下に記載する効果は一例であり、各態様が奏する効果は以下に記載するものに限定されることはない。
【0059】
(態様1)
一態様の情報処理装置は、所定の著者に対応する公開された1又は複数の第1文献が、1又は複数の第2文献において引用される場合の第1文献の被引用関係を特定する特定部と、特定部において特定される被引用関係に基づいて、所定の著者に対する評価を付与する付与部と、所定の著者に対応する第3文献が生成されると、付与部によって付与される評価に基づいて、第3文献の評価を設定する設定部と、を備える。
これにより、情報処理装置は、第3文献の評価を行うことができる。すなわち、情報処理装置は、例えば、第3文献が特許文献の場合に、その第3文献の帰趨(特許査定又は拒絶査定)が確定していなくとも、すなわち第3文献(特許文献)が出願審査請求の前及び未出願であっても、第3文献の評価を行うことができる。
【0060】
(態様2)
一態様の情報処理装置では、付与部は、特定部によって特定される被引用関係に基づいて、1又は複数の第2文献において第1文献が引用された回数を取得し、その回数に基づいて所定の著者に対する評価を付与することとしてもよい。
これにより、情報処理装置は、例えば、第1文献の引用回数に応じて第3文献の評価を行うことができる。
【0061】
(態様3)
一態様の情報処理装置では、付与部は、特定部によって特定される被引用関係に基づいて、1又は複数の第2文献において第1文献が引用される回数の平均を所定の著者に対する評価とすることとしてもよい。
これにより、情報処理装置は、例えば、第1文献の引用回数の平均に応じて第3文献の評価を行うことができる。
【0062】
(態様4)
一態様の情報処理装置では、設定部は、付与部によって付与される複数の所定の著者それぞれに対する評価を加算することにより、第3文献に対する評価を設定することとしてもよい。
これにより、情報処理装置は、例えば、1又は複数の所定の著者の評価を加算することに基づいて、所定の著者に応じた第3文献の評価を行うことができる。
【0063】
(態様5)
一態様の情報処理装置では、設定部は、付与部によって付与される複数の所定の著者それぞれに対する評価の平均を算出することにより、平均評価を第3文献に対する評価として設定することとしてもよい。
これにより、情報処理装置は、例えば、1又は複数の所定の著者の評価の平均を算出することに基づいて、所定の著者に応じた第3文献の評価を行うことができる。
【0064】
(態様6)
一態様の情報処理装置では、設定部は、付与部によって付与される複数の所定の著者それぞれに対する評価のうち最大の評価を第3文献に対する評価として設定することとしてもよい。
これにより、情報処理装置は、例えば、1又は複数の所定の著者の最大の評価に基づいて、所定の著者に応じた第3文献の評価を行うことができる。
【0065】
(態様7)
一態様の情報処理装置は、設定部は、付与部によって付与される複数の所定の著者それぞれに対する評価のうち、第3文献の筆頭著者の評価を第3文献に対する評価として設定することとしてもよい。
これにより、情報処理装置は、例えば、1又は複数の所定の著者のうち筆頭著者の評価に基づいて、所定の著者に応じた第3文献の評価を行うことができる。
【0066】
(態様8)
一態様の情報処理装置では、特定部は、第1文献として特許発明に関する第1特許文献が、第2文献としての特許発明に関する第2特許文献の出願審査において引用される場合の被引用関係を特定し、設定部は、第3文献として特許発明に関する第3特許文献が生成されると、付与部によって付与される所定の著者としての発明者の評価に基づいて、第3特許文献に対する評価を設定することとしてもよい。
これにより、情報処理装置は、第3文献(第3特許文献)が出願審査請求の前及び未出願であっても、第3文献の評価を行うことができる。
【0067】
(態様9)
一態様の情報処理方法では、コンピュータが、所定の著者に対応する公開された1又は複数の第1文献が、1又は複数の第2文献において引用される場合の第1文献の被引用関係を特定する特定ステップと、特定ステップにおいて特定される被引用関係に基づいて、所定の著者に対する評価を付与する付与ステップと、所定の著者に対応する第3文献が生成されると、付与ステップによって付与される評価に基づいて、第3文献の評価を設定する設定ステップと、を実行する。
これにより、情報処理方法は、上述した一態様の情報処理装置と同様の効果を奏することができる。
【0068】
(態様10)
一態様の情報処理プログラムは、コンピュータに、所定の著者に対応する公開された1又は複数の第1文献が、1又は複数の第2文献において引用される場合の第1文献の被引用関係を特定する特定機能と、特定機能において特定される被引用関係に基づいて、所定の著者に対する評価を付与する付与機能と、所定の著者に対応する第3文献が生成されると、付与機能によって付与される評価に基づいて、第3文献の評価を設定する設定機能と、を実現させる。
これにより、情報処理プログラムは、上述した一態様の情報処理装置と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 情報処理システム
100 情報処理装置
101 制御部
102 特定部
103 付与部
104 設定部
105 価値判定部
106 出力制御部
111 通信部
112 記憶部
113 表示部
200 サーバ