(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020668
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】粘着テープ
(51)【国際特許分類】
C09J 7/38 20180101AFI20230202BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20230202BHJP
H01L 21/67 20060101ALI20230202BHJP
H01L 21/50 20060101ALI20230202BHJP
C09J 7/22 20180101ALI20230202BHJP
C09J 133/04 20060101ALI20230202BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
C09J7/38
H01L21/78 M
H01L21/78 Y
H01L21/68 E
H01L21/50 C
C09J7/22
C09J133/04
C09J11/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021126159
(22)【出願日】2021-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】大塚 博之
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
5F063
5F131
【Fターム(参考)】
4J004AA10
4J004AA17
4J004AB01
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4J040MA04
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4J040NA20
5F063AA05
5F063AA09
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5F131EC75
(57)【要約】
【課題】粘着テープに対して部品を仮固定した状態で、部品の移送と保管とのうちの少なくとも一方を実施した後に、部品をピックアップする際に用いられる粘着テープにおいて、部品を移送または保管するときには、粘着層により部品を安定的に固定しつつ、移送または保管の後に部品をピックアップするときには、部品から粘着テープを安定的に剥離させ得る粘着テープを提供すること。
【解決手段】移送用粘着テープ200(本発明の粘着テープ)は、基材204と、粘着層202とを備え、粘着層202は、ベース樹脂を含有し、エネルギーの付与により粘着力が低下せず、タック力が2.0~6.0N以下であり、また、シリコンウエハの前記表面に移送用粘着テープ200を貼付し、次いで、23℃・1時間・保持した後に、23℃環境下で、180°の方向にて300mm/分の速度で引き剥がしたときの引き剥がし強度が30~200cN/25mm以下である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂材料を含有する基材と、該基材の一方の面に積層された粘着層と、を備える積層体により構成され、部品を仮固定した状態で、前記部品の移送と前記部品の保管とのうちの少なくとも一方を実施するために用いられる粘着テープであって、
前記粘着層は、粘着性を有するベース樹脂を含有し、エネルギーの付与により、前記粘着層上に積層された前記部品に対する粘着力が低下しないものであり、その25℃におけるタック力をT1としたとき、前記タック力T1が2.0N以上6.0N以下であり、また、
当該粘着テープは、表面を#2000研磨したシリコンウエハの前記表面に、幅25mmの当該粘着テープを貼付し、次いで、23℃・1時間の条件で保持した後に、23℃環境下で、当該粘着テープの一端を持ち、180°の方向にて300mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度をA1としたとき、前記引き剥がし強度A1が30cN/25mm以上200cN/25mm以下であることを特徴とする粘着テープ。
【請求項2】
前記引き剥がし強度A1と、前記タック力T1とは、関係式A1/T1が10以上60以下であることを満足する請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項3】
表面を#2000研磨したシリコンウエハの前記表面に、幅25mmの前記粘着テープを貼付し、次いで、60℃・72時間の条件で保持した後、23℃環境下で、当該粘着テープの一端を持ち、180°の方向にて300mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度をA2としたとき、関係式A2/A1は、0.9<A2/A1<1.6なる関係を満足する請求項1または2に記載の粘着テープ。
【請求項4】
前記粘着層は、レオメーターを用いて、温度23℃、歪量1mrad、周波数1Hzで測定した複素粘度η*が2.0×105mPa・s以上1.0×107mPa・s以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の粘着テープ。
【請求項5】
前記粘着層は、そのゲル分率が90%以上である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の粘着テープ。
【請求項6】
前記ベース樹脂は、そのガラス転移点が-70℃以上-50℃以下である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の粘着テープ。
【請求項7】
前記ベース樹脂は、2-エチルヘキシルアクリレートをモノマー単位に含むアクリル系樹脂である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の粘着テープ。
【請求項8】
前記粘着層は、さらに、架橋剤を含み、該架橋剤は、多官能エポキシ系架橋剤を含む請求項1ないし7のいずれか1項に記載の粘着テープ。
【請求項9】
前記粘着層は、さらに、可塑剤を含有する請求項1ないし8のいずれか1項に記載の粘着テープ。
【請求項10】
当該粘着テープは、基板を厚さ方向に切断することにより得られた前記部品を、前記粘着層の前記基材と反対側の表面に接合することで、前記部品を仮固定した状態で、前記部品の移送と前記部品の保管とのうちの少なくとも一方を実施した後に、前記粘着層から前記部品を離脱させる際に用いられるものである請求項1ないし9のいずれか1項に記載の粘着テープ。
【請求項11】
前記粘着層は、その厚さが5μm以上50μm以下である請求項1ないし10のいずれか1項に記載の粘着テープ。
【請求項12】
前記基材は、前記粘着層側と反対側の表面における表面抵抗率が1.0×1013(Ω/□)以下である請求項1ないし11のいずれか1項に記載の粘着テープ。
【請求項13】
前記基材は、導電性材料を含み、前記導電性材料は、永久帯電防止高分子(IDP)を含む請求項1ないし12のいずれか1項に記載の粘着テープ。
【請求項14】
当該粘着テープを平面視で見たとき、前記基材と前記粘着層との界面に形成されている気泡は、面積が100μm2以上のものの数が、15.0個/mm2以下である請求項1ないし13のいずれか1項に記載の粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を仮固定した状態で、部品の移送と保管とのうちの少なくとも一方を実施するために用いられる粘着テープに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の高機能化とモバイル用途への拡大に対応して半導体装置の高密度化、高集積化の要求が強まり、ICパッケージの大容量高密度化が進んでいる。
【0003】
この半導体装置の製造方法としては、例えば、特許文献1に記載の半導体基板加工用粘着テープ(ダイシングテープ)を半導体基板(半導体用ウエハ)に貼付し、半導体基板の外周部側をウエハリングで固定しながら、ダイシングソーを用いたダイシング工程で前記半導体基板を個々の半導体素子に切断分離(個片化)し、その後、エキスパンディング工程を施した後、個片化した半導体素子をピックアップするピックアップ工程を行う。
【0004】
次いで、個片化により得られた半導体素子を基板(例えばテープ基板、有機硬質基板等)に搭載するための搭載工程へ移行する。この搭載工程で、ピックアップされた半導体素子は、基板に搭載され、その後、基板と半導体素子との間にアンダーフィル材が充填されることにより、基板に接合される。そして、半導体素子と基板の上面側とを半導体封止材により封止することにより、半導体装置が製造される。
【0005】
ここで、この半導体装置の製造方法における、ピックアップ工程以降を、繰り返して実施することで、1つの半導体基板から、複数の半導体素子が取り出され、これにより、複数の半導体装置が製造される。また、個片化により得られた半導体素子を用いた搭載工程以降は、繰り返して実施されるため、複数の基板が用意され、工程の煩雑化が招かれる。これらの理由等により、得られた半導体素子を、移送させた後に、異なるラインや工場、すなわち、異なる場所において実施されることがある。
【0006】
そこで、搭載工程以降をより効率よく実施すること、さらには、異なる場所への移送を円滑に実施することを目的に、ピックアップ工程においてピックアップされた半導体素子を、半導体素子移送用粘着テープ(シッピングテープ)に再配置することを繰り返して実施し、得られた複数の半導体素子が再配置(貼付)された半導体素子移送用粘着テープを、異なるラインや工場すなわち異なる場所にまで移送し、その後、この半導体素子移送用粘着テープから、半導体素子をピックアップすること(ピックアップ工程)が提案されている。
【0007】
この半導体素子移送用粘着テープは、一般に、基材(フィルム基材)と、この基材上に形成された粘着層とを有するものであり、粘着層により半導体素子が固定される。また、半導体素子の移送後に半導体素子のピックアップが実現できるように、粘着層は、通常、粘着性を有するベース樹脂および光硬化性樹脂等を含有する樹脂組成物で構成されている。つまり、半導体素子のピックアップに先立って、粘着層にエネルギーを付与すると、樹脂組成物が硬化して粘着層の粘着性が低下し、そのため、ピックアップ工程において、半導体素子から粘着テープを容易に剥離させることができ、その結果、半導体素子のピックアップが実現できるようになっている。
【0008】
このとき、上記のような構成をなす半導体素子移送用粘着テープ(粘着テープ)では、ピックアップ工程において、半導体素子をピックアップするため、すなわち、半導体素子から粘着テープを剥離させるために、前述の通り、ピックアップ工程に先立って、粘着層にエネルギーを付与して粘着層の粘着力を低下させる必要が生じる。
【0009】
そのため、粘着層の粘着力を低下させるための工程を必要とし、時間と手間を要したり、粘着層にエネルギーを付与するための設備(装置)を要するため、コスト面での負担が大きくなる等の問題があった。
【0010】
そこで、粘着テープに再配置された半導体素子の移送時においては、粘着層により半導体素子を安定的に固定しつつ、ピックアップ工程において、粘着層に対するエネルギーの付与を省略したとしても、半導体素子から粘着テープを安定的に剥離させることが可能な粘着テープの開発が求められているのが実情である。
【0011】
また、このような問題は、半導体基板を厚さ方向に切断することにより得られた、部品としての半導体素子を、粘着テープに再配置して移送した後に、粘着テープから剥離させる場合に限らず、半導体素子を粘着テープに再配置した状態で保管する場合、さらには、部品としてのガラス基板、セラミック基板等を粘着テープに配置(仮固定)した状態で移送または保管し、その後、これらの部品を粘着テープから剥離させる場合等においても同様に生じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、粘着テープに対して部品を仮固定した状態で、部品の移送と保管とのうちの少なくとも一方を実施した後に、この部品をピックアップする際に用いられる粘着テープにおいて、部品を移送または保管するときには、粘着層により部品を安定的に固定しつつ、移送または保管の後に部品をピックアップするときには、粘着テープが備える粘着層に対するエネルギーの付与を省略したとしても、部品から粘着テープを安定的に剥離させることが可能な粘着テープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような目的は、下記(1)~(14)に記載の本発明により達成される。
(1) 樹脂材料を含有する基材と、該基材の一方の面に積層された粘着層と、を備える積層体により構成され、部品を仮固定した状態で、前記部品の移送と前記部品の保管とのうちの少なくとも一方を実施するために用いられる粘着テープであって、
前記粘着層は、粘着性を有するベース樹脂を含有し、エネルギーの付与により、前記粘着層上に積層された前記部品に対する粘着力が低下しないものであり、その25℃におけるタック力をT1としたとき、前記タック力T1が2.0N以上6.0N以下であり、また、
当該粘着テープは、表面を#2000研磨したシリコンウエハの前記表面に、幅25mmの当該粘着テープを貼付し、次いで、23℃・1時間の条件で保持した後に、23℃環境下で、当該粘着テープの一端を持ち、180°の方向にて300mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度をA1としたとき、前記引き剥がし強度A1が30cN/25mm以上200cN/25mm以下であることを特徴とする粘着テープ。
【0015】
(2) 前記引き剥がし強度A1と、前記タック力T1とは、関係式A1/T1が10以上60以下であることを満足する上記(1)に記載の粘着テープ。
【0016】
(3) 表面を#2000研磨したシリコンウエハの前記表面に、幅25mmの前記粘着テープを貼付し、次いで、60℃・72時間の条件で保持した後、23℃環境下で、当該粘着テープの一端を持ち、180°の方向にて300mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度をA2としたとき、関係式A2/A1は、0.9<A2/A1<1.6なる関係を満足する上記(1)または(2)に記載の粘着テープ。
【0017】
(4) 前記粘着層は、レオメーターを用いて、温度23℃、歪量1mrad、周波数1Hzで測定した複素粘度η*が2.0×105mPa・s以上1.0×107mPa・s以下である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の粘着テープ。
【0018】
(5) 前記粘着層は、そのゲル分率が90%以上である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の粘着テープ。
【0019】
(6) 前記ベース樹脂は、そのガラス転移点が-70℃以上-50℃以下である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の粘着テープ。
【0020】
(7) 前記ベース樹脂は、2-エチルヘキシルアクリレートをモノマー単位に含むアクリル系樹脂である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の粘着テープ。
【0021】
(8) 前記粘着層は、さらに、架橋剤を含み、該架橋剤は、多官能エポキシ系架橋剤を含む上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の粘着テープ。
【0022】
(9) 前記粘着層は、さらに、可塑剤を含有する上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の粘着テープ。
【0023】
(10) 当該粘着テープは、基板を厚さ方向に切断することにより得られた前記部品を、前記粘着層の前記基材と反対側の表面に接合することで、前記部品を仮固定した状態で、前記部品の移送と前記部品の保管とのうちの少なくとも一方を実施した後に、前記粘着層から前記部品を離脱させる際に用いられるものである上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の粘着テープ。
【0024】
(11) 前記粘着層は、その厚さが5μm以上50μm以下である上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の粘着テープ。
【0025】
(12) 前記基材は、前記粘着層側と反対側の表面における表面抵抗率が1.0×1013(Ω/□)以下である上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の粘着テープ。
【0026】
(13) 前記基材は、導電性材料を含み、前記導電性材料は、永久帯電防止高分子(IDP)を含む上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の粘着テープ。
【0027】
(14) 当該粘着テープを平面視で見たとき、前記基材と前記粘着層との界面に形成されている気泡は、面積が100μm2以上のものの数が、15.0個/mm2以下である上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の粘着テープ。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、粘着テープが備える粘着層は、その25℃におけるタック力T1が2.0N以上6.0N以下であることを満足している。そのため、粘着テープに対する部品の配置により、この部品を粘着層により粘着テープに対して貼付し得ることから、部品を粘着テープに配置(仮固定)した状態で移送と保管とのうちの少なくとも一方を実施する際に、粘着層により部品を安定的に粘着テープに対して固定することができる。また、表面を#2000研磨したシリコンウエハの前記表面に、幅25mmの当該粘着テープを貼付し、次いで、23℃・1時間の条件で保持した後に、23℃環境下で、当該粘着テープの一端を持ち、180°の方向にて300mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度A1が30cN/25mm以上200cN/25mm以下であることを満足している。そのため、移送または保管の後に部品をピックアップする際に、粘着層に対するエネルギーの付与を省略したとしても、部品から粘着テープを安定的に剥離させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の粘着テープを適用して製造された半導体装置の一例を示す縦断面図である。
【
図2】
図1に示す半導体装置を、本発明の粘着テープを用いて製造する方法を説明するための縦断面図である。
【
図3】
図1に示す半導体装置を、本発明の粘着テープを用いて製造する方法を説明するための縦断面図である。
【
図4】
図1に示す半導体装置を、本発明の粘着テープを用いて製造する方法を説明するための縦断面図である。
【
図5】本発明の粘着テープの実施形態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の粘着テープについて詳細に説明する。
まず、本発明の粘着テープを説明するのに先立って、本発明の粘着テープを用いて製造された半導体装置について説明する。
【0031】
<半導体装置>
図1は、本発明の粘着テープを適用して製造された半導体装置の一例を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、
図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。また、本明細書で参照する各図面では、それぞれ、左右方向および/または厚さ方向の寸法を誇張して図示しており、実際の寸法とは大きく異なる。
【0032】
図1に示す半導体装置10は、半導体チップ(半導体素子)20と、半導体チップ20を支持するインターポーザー(基板)30と、複数の導電性を有するバンプ(端子)70と、半導体チップ20を封止するモールド部(封止部)17とを有している。
【0033】
インターポーザー30は、絶縁基板であり、例えばポリイミド・エポキシ・シアネート・ビスマレイミドトリアジン(BTレジン)等の各種樹脂材料で構成されている。このインターポーザー30の平面視形状は、通常、正方形、長方形等の四角形とされる。
【0034】
インターポーザー30の上面(一方の面)には、例えば、銅等の導電性金属材料で構成される端子41が、所定形状で設けられている。
【0035】
また、インターポーザー30には、その厚さ方向に貫通して、図示しない複数のビア(スルーホール:貫通孔)が形成されている。
【0036】
各バンプ70は、それぞれ、各ビアを介して、一端(上端)が端子41の一部に電気的に接続され、他端(下端)は、インターポーザー30の下面(他方の面)から突出している。
【0037】
バンプ70のインターポーザー30から突出する部分は、ほぼ球形状(Ball状)をなしている。
【0038】
このバンプ70は、例えば、半田、銀ろう、銅ろう、燐銅ろうのようなろう材を主材料として構成されている。
【0039】
また、インターポーザー30上には、端子41が形成されている。この端子41に、接続部81を介して、半導体チップ20が有する端子21が電気的に接続されている。
【0040】
なお、本実施形態では、
図1に示すように、端子21は、半導体チップ20に形成されている面側から突出する構成をなしており、端子41も、インターポーザー30から突出する構成をなしている。
【0041】
また、半導体チップ20と、インターポーザー30との間の間隙には、各種樹脂材料で構成されるアンダーフィル材が充填され、このアンダーフィル材の硬化物により、封止層80が形成されている。この封止層80は、半導体チップ20と、インターポーザー30との接合強度を向上させる機能や、前記間隙への異物や水分等の浸入を防止する機能を有している。
【0042】
さらに、インターポーザー30の上側には、半導体チップ20と、インターポーザー30とを覆うように形成されたモールド部17が半導体封止材料の硬化物で構成されており、これにより、半導体装置10内において半導体チップ20が封止され、半導体チップ20に対する異物や水分等の浸入が防止される。
【0043】
かかる構成の半導体装置10は、例えば、半導体基板加工用粘着テープ(ダイシングテープ)と、半導体素子移送用粘着テープ(本発明の粘着テープ;シッピングテープ)とを用いた半導体装置の製造方法により、以下のようにして製造される。
【0044】
<半導体装置の製造方法>
図2~
図4は、
図1に示す半導体装置を、本発明の粘着テープを用いて製造する方法を説明するための縦断面図である。なお、以下の説明では、
図2~
図4中の上側を「上」、下側を「下」と言う。さらに、本明細書で参照する各図面では、それぞれ、左右方向および/または厚さ方向の寸法を誇張して図示しており、実際の寸法とは大きく異なる。
【0045】
[1A]まず、基材4(第1基材)と、基材4の上面に積層された粘着層2(第1粘着層)とを有する積層体(第1積層体)により構成された半導体基板加工用粘着テープ100(以下、単に「加工用粘着テープ100」ということもある。)を用意する(
図2(a)参照。)。
【0046】
[2A]次に、
図2(b)に示すように、加工用粘着テープ100の中心部122に半導体基板7を、粘着層2の上に置き、軽く押圧することで、加工用粘着テープ100に半導体基板7(半導体用ウエハ)を積層(貼付)する(貼付工程)。
【0047】
その後、図示しないダイサーテーブルの上に、半導体基板7が貼付された加工用粘着テープ100を設置する。
【0048】
なお、半導体基板7には、その上面に個片化することで形成される半導体チップ20が備える回路が予め形成され、また、下面には端子21が予め形成されており、半導体基板7は、回路が形成されている側の上面を粘着層2側にして加工用粘着テープ100に貼付されている。そのため、粘着層2には、半導体基板7の回路が形成されている側の上面、すなわち凹凸が形成されている凹凸面が接合される。また、半導体基板7としては、通常、その直径が6インチ以上12インチ以下程度、その厚さが100μm以上600μm以下程度のものが用いられる。
【0049】
[3A]次に、粘着層2の外周部121(縁部)を、円筒状をなすウエハリング9で固定し、その後、図示しない、ダイシングソー(ブレード)を用いて半導体基板7を切断(ダイシング)して半導体基板7を個片化することで、加工用粘着テープ100上に部品としての半導体チップ20が複数得られる(個片化工程;
図2(c)参照。)。
【0050】
この際、加工用粘着テープ100は、緩衝作用を有しており、半導体基板7を切断する際の割れ、欠け等を防止する。
【0051】
また、ブレードを用いた半導体基板7の切断は、
図2(c)に示すように、基材4の厚さ方向の途中まで到達するように実施される。これにより、半導体基板の個片化を確実に実施することができる。
【0052】
なお、この際、半導体基板7の切断時に生じる粉塵が飛散するのを防止すること、さらには、半導体基板7が不必要に加熱されるのを抑制することを目的に、通常、半導体基板7には切削水を供給しつつ、半導体基板7が切断される。
【0053】
また、ウエハリング9としては、一般的に、その厚さが1.0mm以上1.5mm以下程度のものが用いられる。
【0054】
[4A]次に、加工用粘着テープ100が備える粘着層2にエネルギーを付与することで、粘着層2の半導体基板7に対する粘着性を低下させる(エネルギー付与工程)。
これにより、粘着層2と半導体基板7との間で剥離が生じる状態とする。
【0055】
粘着層2にエネルギーを付与する方法としては、特に限定されないが、例えば、粘着層2にエネルギー線を照射する方法、粘着層2を加熱する方法等が挙げられるが、中でも、粘着層2にエネルギー線を加工用粘着テープ100の基材4側から照射する方法を用いるのが好ましい。
【0056】
かかる方法は、半導体チップ20が不要な熱履歴を経る必要がなく、また、粘着層2に対して比較的簡単に効率よくエネルギーを付与することができるので、エネルギーを付与する方法として好適に用いられる。
【0057】
また、エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、イオンビームのような粒子線等や、またはこれらのエネルギー線を2種以上組み合わせたものが挙げられる。これらの中でも、特に、紫外線を用いるのが好ましい。紫外線によれば、粘着層2の半導体基板7に対する粘着性を効率よく低下させることができる。
【0058】
[5A]次に、加工用粘着テープ100を図示しないエキスパンド装置で放射状に伸ばして、個片化した半導体基板7(半導体チップ20)を一定の間隔に開き(エキスパンディング工程;
図2(d)参照。)、その後、この半導体チップ20を、ニードル等を用いて突き上げた状態とし、この状態で、真空コレットまたはエアピンセットによる吸着等によりピックアップする(ピックアップ工程;
図2(e)参照。)。
【0059】
[6A]次に、基材204(第2基材)と、基材204の上面に積層された粘着層202(第2粘着層)とを有する積層体(第2積層体)により構成された半導体素子移送用粘着テープ200(以下、単に「移送用粘着テープ200」と言うこともある。)を用意し、この移送用粘着テープ200の外周部にウエハリング9を固定した後に、
図3(a)に示すように、図示しないテーブルの上に設置し、その後、半導体チップ20の回路が形成されていない側の面を、粘着層202の上に配置し、軽く押圧することで、移送用粘着テープ200に半導体チップ20を積層(貼付)する(貼付工程)。
【0060】
この移送用粘着テープ200への半導体チップ20の貼付を、複数回、繰り返して実施することで、半導体基板7を個片化することにより得られた複数の半導体チップ20を、移送用粘着テープ200に再配置する。
【0061】
この本工程[6A]において、移送用粘着テープ200(本発明の粘着テープ)が用いられる。すなわち、本工程[6A]における基板としての半導体基板7に対する、部品としての半導体チップ20の配置において、移送用粘着テープ200として、移送用粘着テープ200が備える粘着層202の25℃におけるタック力T1が2.0N以上6.0N以下であることを満足しているものが用いられる。
【0062】
このように、タック力T1が2.0N以上6.0N以下である粘着層202を備える移送用粘着テープ200が用いられるため、本工程[6A]において、半導体基板7に対して半導体チップ20を配置する際に、半導体チップ20を軽く押圧するだけで、移送用粘着テープ200に半導体チップ20を、あらかじめ決められた配置位置からシフトすることなく確実に貼付することができるが、その詳細な説明は後に行うこととする。
【0063】
そして、この状態を維持したまま、半導体チップ20を、異なる場所に位置する次工程[7A]以降が実施される異なるラインまたは工場にまで移送させる。また、移送の前後には、この状態を維持したまま、半導体チップ20を保管するようにしてもよい。
【0064】
なお、半導体チップ20を、異なる場所に移送させる際、または、保管する際には、移送用粘着テープ200に固定されたウエハリング9の移送用粘着テープ200の反対側に、保護用粘着テープを貼付することで、再配置した半導体チップ20を、移送用粘着テープ200とウエハリング9と保護用粘着テープとで画成された密閉空間内に収納するようにしてもよい。
【0065】
[7A]次に、移送用粘着テープ200上の半導体チップ20を、ニードル等を用いて突き上げた状態とし、この状態で、
図3(b)に示すように、真空コレットまたはエアピンセットによる吸着等によりピックアップする(ピックアップ工程)。
【0066】
この本工程[7A]において、移送用粘着テープ200(本発明の粘着テープ)が用いられる。すなわち、本工程[7A]における部品としての半導体チップ20を、ピックアップする際に、移送用粘着テープ200として、表面を#2000研磨したシリコンウエハの前記表面に、幅25mmの移送用粘着テープ200を貼付し、次いで、23℃・1時間の条件で保持した後に、23℃環境下で、移送用粘着テープ200の一端を持ち、180°の方向にて300mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度A1が30cN/25mm以上200cN/25mm以下であることを満足しているものが用いられる。
【0067】
このように、引き剥がし強度A1が30cN/25mm以上200cN/25mm以下である移送用粘着テープ200が用いられるため、本工程[7A]において、半導体チップ20を、ピックアップする際に、粘着層202に対するエネルギーの付与を省略したとしても、部品としての半導体チップ20から移送用粘着テープ200を安定的に剥離させることができるが、その詳細な説明は後に行うこととする。
【0068】
[8A]次に、ピックアップした半導体チップ20を、真空コレットまたはエアピンセットから実装用プローブ等に受け渡して上下反転させた後、
図4(a)に示すように、この半導体チップ20が備える端子21と、インターポーザー30が備える端子41とを、端子41上に設けられた半田バンプ85を介して対向させて、インターポーザー30上に載置する。すなわち、半導体チップ20の加工用粘着テープ100と接触していた面を上側にして、半導体チップ(半導体素子)20をインターポーザー(基板)30上に載置する。
【0069】
[9A]次に、
図4(b)に示すように、端子21と端子41との間に介在した半田バンプ85を加熱しつつ、インターポーザー30と半導体チップ20とを接近させる。
【0070】
これにより、溶融した半田バンプ85が端子21および端子41の双方に接触し、この状態で、冷却することで、接続部81が形成され、その結果、接続部81を介して、端子21と端子41とが電気的に接続される(搭載工程;
図4(c)参照。)。
【0071】
[10A]次に、半導体チップ20と、インターポーザー30との間に形成された間隙に、各種樹脂材料で構成されるアンダーフィル材(封止材)を充填し、その後、このアンダーフィル材を硬化させることにより、アンダーフィル材の硬化物で構成された封止層80を形成する(封止層形成工程;
図4(d)参照。)。
【0072】
[11A]次に、インターポーザー30の上側に、半導体チップ20と、インターポーザー30とを覆うように、モールド部17を形成することで、半導体チップ20をインターポーザー30とモールド部17とで封止するとともに、インターポーザー30が備えるビアを介して端子41の一部に電気的に接続された、バンプ70をインターポーザー30の下側から突出するように形成する(
図4(e)参照。)。
【0073】
ここで、モールド部17による封止は、例えば、形成すべきモールド部17の形状に対応した内部空間を備える成形型を用意し、この内部空間内に配置された半導体チップ20とインターポーザー30とを覆うように、粉末状をなす半導体封止材料を内部空間に充填する。そして、この状態で、半導体封止材料を加熱することにより硬化させて、半導体封止材料の硬化物とすることにより行われる。
【0074】
以上のような工程を有する半導体装置の製造方法により、半導体装置10が得られる。より詳しくは、前記工程[1A]~[11A]を実施した後に、前記工程[7A]~[11A]を繰り返して実施することで、1つの半導体基板7から複数の半導体装置10を一括して製造することができる。
【0075】
以下、このような半導体装置10の製造方法に用いられる半導体素子移送用粘着テープ200(本発明の粘着テープ)について説明する。
【0076】
<半導体素子移送用粘着テープ(本発明の粘着テープ)>
図5は、本発明の粘着テープの実施形態を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、
図5中の上側を「上」、下側を「下」と言う。さらに、本明細書で参照する各図面では、それぞれ、左右方向および/または厚さ方向の寸法を誇張して図示しており、実際の寸法とは大きく異なる。
【0077】
半導体素子移送用粘着テープ200(本発明の粘着テープ)は、樹脂材料を含有するシート状をなす基材204と、この基材204の上面(一方の面)に積層された粘着層202とを備える積層体により構成され、半導体チップ20(部品)を仮固定して用いられるものであり、前述したように、粘着層2は、粘着性を有するベース樹脂を含有し、エネルギーの付与により、粘着層202上に積層(貼付)された半導体チップ20に対する粘着力が低下しないものであり、粘着層202の25℃におけるタック力T1が2.0N以上6.0N以下であることを満足するものである。
【0078】
ここで、前記工程[6A]において、移送用粘着テープ200に半導体チップ20を配置する際に、半導体チップ20は、移送用粘着テープ200に対して、押圧されることで、移送用粘着テープ200に貼付されるが、上記の通り、粘着層202の25℃におけるタック力T1が2.0N以上6.0N以下に設定されているため、移送用粘着テープ200に対して、半導体チップ20を軽く押圧するだけで、移送用粘着テープ200に半導体チップ20を確実に優れた保持性をもって貼付することができる。したがって、半導体チップ20を、前記工程[7A]以降を実施するために異なるラインまたは工場にまで移送させたとしても、移送用粘着テープ200に半導体チップ20が優れた保持力で保持されていることから、あらかじめ決められた配置位置、すなわち前記工程[6A]において半導体チップ20が移送用粘着テープ200に配置された配置位置から、半導体チップ20がシフト(位置ズレ)するチップシフトが生じるのを的確に抑制または防止することができる。
【0079】
なお、移送用粘着テープ200による半導体チップ20の保持力(粘着力)は、一般的に、移送用粘着テープ200に対する半導体チップ20の配置後、時間の経過とともに、強くなる傾向を示す。そのため、移送用粘着テープ200に対する半導体チップ20の初期の粘着力を示すタック力T1を前記範囲内に設定することで、例えば、30分以内のような早期に、半導体チップ20を、前記工程[7A]以降を実施するために異なるラインまたは工場にまで移送させたとしても、前記チップシフトが生じるのを的確に抑制または防止することができる。
【0080】
また、移送用粘着テープ200は、表面を#2000研磨したシリコンウエハの前記表面に、幅25mmの移送用粘着テープ200を貼付し、次いで、23℃・1時間の条件で保持した後に、23℃環境下で、移送用粘着テープ200の一端を持ち、180°の方向にて300mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度A1が30cN/25mm以上200cN/25mm以下であることを満足するものである。
【0081】
そのため、前記工程[7A]において、粘着層202に対するエネルギーの付与を省略して、半導体チップ20のピックアップが実施されたとしても、上記の通り、移送用粘着テープ200の引き剥がし強度A1が30cN/25mm以上200cN/25mm以下に設定されているため、半導体チップ20から移送用粘着テープ200を安定的に剥離させることができる。
【0082】
以下、このような移送用粘着テープ200が有する、基材204および粘着層202について、詳述する。
【0083】
<基材204>
基材204は、主として樹脂材料から成り、シート状をなしており、この基材204上に設けられた粘着層202を支持する機能を有している。
【0084】
かかる樹脂材料としては、特に限定されず、例えば、オレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂(エステル類高分子)、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトンのようなポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、セルロース系樹脂、スチレン系熱可塑性エラストマー(スチレン系高分子)、アクリル樹脂、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリビニルイソプレン、ポリカーボネート(カーボネート系高分子)等の熱可塑性樹脂や、これらの熱可塑性樹脂の混合物が用いられる。
【0085】
これらの樹脂材料を主材料として構成される基材204は、粘着層202を支持するのに十分な強度を発揮する。そのため、これらの樹脂材料は、基材204を構成する主材料として好ましく用いられる。
【0086】
特に、樹脂材料としては、オレフィン系樹脂を用いることが好ましい。オレフィン系樹脂は、入手が容易であり比較的安価であること、さらに、オレフィン系樹脂を主材料として構成される基材204は、前記機能を顕著に発揮することから、特に、樹脂材料として好ましく用いられる。
【0087】
かかるオレフィン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレンのようなポリエチレン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、エチレン-メタクリレート共重合体(EMAA)や、亜鉛イオン架橋体、ナトリウムイオン架橋体またはカリウムイオン架橋体としてのエチレン系アイオノマー等のアイオノマーのようなエチレン共重合体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0088】
また、基材204は、導電性を有する導電性材料を含有することが好ましい。このような導電性材料が含まれることで、導電性材料に帯電防止剤としての機能を発揮させて、前記ピックアップ工程[7A]における、半導体チップ20での静電気の発生を的確に抑制または防止することができる。
【0089】
このように、基材204が導電性材料を含有する場合、基材204の粘着層2と反対側の表面における表面抵抗率は、1.0×1013(Ω/□)以下に設定されていることが好ましく、1.0×1011(Ω/□)以下に設定されていることがより好ましい。これにより、前記ピックアップ工程[7A]における、半導体チップ20での静電気の発生をより的確に抑制または防止することができる。
【0090】
この導電性材料としては、導電性を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、界面活性剤、永久帯電防止高分子(IDP)、金属材料、金属酸化物材料および炭素系材料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0091】
これらのうち界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0092】
永久帯電防止高分子(IDP)としては、例えば、ポリエーテルとポリオレフィンブロックポリマー系列、ポリエステルアミド系列、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステルアミド、ポリウレタン系列等の全てのIDPを用いることができる。
【0093】
また、金属材料としては、金、銀、銅または銀コート銅、ニッケル等が挙げられ、これらの金属粉が好ましく用いられる。
【0094】
金属酸化物材料としては、インジウムティンオキサイド(ITO)、インジウムオキサイド(IO)、アンチモンティンオキサイド(ATO)、インジウムジンクオキサイド(IZO)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)等が挙げられ、これらの金属酸化物粉が好ましく用いられる。
【0095】
さらに、炭素系材料としては、カーボンブラック、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブのようなカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、CNナノチューブ、CNナノファイバー、BCNナノチューブ、BCNナノファイバー、グラフェン等が挙げられる。
【0096】
これらの中でも、導電性材料としては、永久帯電防止高分子(IDP)であることが好ましい。永久帯電防止高分子(IDP)は、抵抗率の温度依存性が小さいものであることから、前記ピックアップ工程[7A]において、半導体チップ20をピックアップする際に、基材204が加熱されたとしても、その表面抵抗値の変化量を小さくすることができる。
【0097】
なお、導電性材料として、導電性高分子、永久帯電防止高分子(IDP)のような高分子材料を用いた場合、基材204中における配向度を調整することによっても、基材204の他方の面側の表面抵抗率の大きさを調整することができる。すなわち、基材204を形成する際のMDまたはTDの延伸倍率を適宜調整することにより、基材204の他方の面側の表面抵抗率の大きさを、調整することができる。
【0098】
また、基材204に導電性材料を含有させることなく、前記半導体チップ20における静電気の発生を防止する場合には、導電性材料を含有する帯電防止層を、粘着層202と反対側の表面に形成してもよい。これにより、基材204に導電性材料を含有させた場合と同様の効果を得ることができる。
【0099】
さらに、基材204は、鉱油のような軟化剤、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、マイカ、クレーのような充填材、酸化防止剤、光安定剤、滑剤、分散剤、中和剤、着色剤等を含有するものであってもよい。
【0100】
基材204の平均厚さは、特に限定されないが、例えば、例えば、30μm以上160μm以下であるのが好ましく、80μm以上120μm以下であるのがより好ましい。基材204の平均厚さがこの範囲内であることにより、粘着層202を介して固定される半導体チップ20を確実に支持することができる。
【0101】
さらに、基材204は、その表面に、粘着層202に含まれる構成材料と反応性を有する、ヒドロキシル基、アミノ基のような官能基が露出していることが好ましい。
【0102】
また、基材204は、異なる前記樹脂材料で構成される層を複数積層した積層体(多層体)で構成されるものであってもよい。
【0103】
<粘着層202>
粘着層202は、前記工程[6A]において、移送用粘着テープ200に半導体チップ20を配置する際に、移送用粘着テープ200に対して、半導体チップ20が押圧されることで、移送用粘着テープ200に半導体チップ20を貼付し、かつ、前記工程[7A]において、移送用粘着テープ200が、エネルギーの付与により、半導体チップ20に対する粘着力が低下しない粘着層202を備える構成をなし、移送用粘着テープ200が備える粘着層202に対するエネルギーの付与を省略したとしても、半導体チップ20をピックアップし得る程度の粘着性を有するものであり、具体的には、この粘着層202を有する移送用粘着テープ200は、本発明では、粘着層202の25℃におけるタック力T1が2.0N以上6.0N以下であることを満足し、かつ、表面を#2000研磨したシリコンウエハの前記表面に、幅25mmの移送用粘着テープ200を貼付し、次いで、23℃・1時間の条件で保持した後に、23℃環境下で、移送用粘着テープ200の一端を持ち、180°の方向にて300mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度A1が30cN/25mm以上200cN/25mm以下であることを満足するものである。
【0104】
このような粘着層202は、(1)粘着性を有するベース樹脂を主材料として含有する樹脂組成物で構成され、粘着層202を硬化させる硬化性樹脂の添加が省略され、粘着層202に対してエネルギーを付与したとしても、その粘着力が低下しないものである。
【0105】
以下、この樹脂組成物に含まれる各成分について、順次、説明する。
(1)ベース樹脂
ベース樹脂は、粘着性を有し、半導体基板7に対する粘着性を粘着層202に付与するために、樹脂組成物中に含まれるものである。
【0106】
このようなベース樹脂としては、アクリル系樹脂(粘着剤)、シリコーン系樹脂(粘着剤)、ポリエステル系樹脂(粘着剤)、ポリ酢酸ビニル系樹脂(粘着剤)、ポリビニルエーテル系樹脂(粘着剤)、スチレン系エラストマー樹脂(粘着剤)、ポリイソプレン系樹脂(粘着剤)、ポリイソブチレン系樹脂(粘着剤)またはウレタン系樹脂(粘着剤)のような粘着層成分として用いられる公知のものが挙げられるが、中でも、アクリル系樹脂を用いることが好ましい。ベース樹脂としてアクリル系樹脂を用いることにより、粘着層202の25℃におけるタック力T1の大きさ、および移送用粘着テープ200の前記引き剥がし強度A1の大きさを、それぞれ、比較的容易に前記範囲内に設定することができる。また、アクリル系樹脂は、耐熱性に優れ、また、比較的容易かつ安価に入手できることから、かかる観点からも、ベース樹脂として好ましく用いられる。なお、アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルをモノマー主成分とするポリマー(ホモポリマーまたはコポリマー)をベースポリマーとするもののことを言う。
【0107】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルのような(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸フェニルのような(メタ)アクリル酸アリールエステル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステルであることが好ましく、特に、アクリル酸2-エチルヘキシル(2-エチルヘキシルアクリレート)であることが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、特に、耐熱性に優れ、また、比較的容易かつ安価に入手できる。また、ベース樹脂としてアクリル酸2-エチルヘキシル(2-エチルヘキシルアクリレート)を用いることにより、粘着層202の25℃におけるタック力T1の大きさ、および移送用粘着テープ200の前記引き剥がし強度A1の大きさを、それぞれ、容易に前記範囲内に設定することができる。
【0108】
なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとの双方を含む意味で用いることとする。
【0109】
アクリル系樹脂は、凝集力、耐熱性等の改質等を目的として、必要に応じて、ポリマーを構成するモノマー成分として、共重合性モノマーを含むものが用いられる。
【0110】
このような共重合性モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシルのようなヒドロキシル基含有モノマー、(メタ)アクリル酸グリシジルのようなエポキシ基含有モノマー、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸のようなカルボキシル基含有モノマー、無水マレイン酸、無水イタコン酸のような酸無水物基含有モノマー、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドのようなアミド系モノマー、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチルのようなアミノ基含有モノマー、(メタ)アクリロニトリルのようなシアノ基含有モノマー、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレンのようなオレフィン系モノマー、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエンのようなスチレン系モノマー、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル系モノマー、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルのようなビニルエーテル系モノマー、塩化ビニル、塩化ビニリデンのようなハロゲン原子含有モノマー、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルのようなアルコキシ基含有モノマー、N-ビニル-2-ピロリドン、N-メチルビニルピロリドン、N-ビニルピリジン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルピリミジン、N-ビニルピペラジン、N-ビニルピラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルオキサゾール、N-ビニルモルホリン、N-ビニルカプロラクタム、N-(メタ)アクリロイルモルホリン等の窒素原子含有環を有するモノマー等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0111】
これら共重合性モノマーの含有量は、アクリル系樹脂を構成する全モノマー成分に対して、40重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましい。
【0112】
また、共重合性モノマーは、アクリル系樹脂を構成するポリマーにおける主鎖の末端に含まれるものであってもよいし、その主鎖中に含まれるもの、さらには、主鎖の末端と主鎖中との双方に含まれるものであってもよい。
【0113】
さらに、共重合性モノマーには、ポリマー同士の架橋等を目的として、多官能性モノマーが含まれていてもよい。
【0114】
多官能性モノマーとしては、例えば、1,6-ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0115】
また、エチレン-酢酸ビニルコポリマーおよび酢酸ビニルポリマー等も、共重合性モノマー成分として用いることができる。
【0116】
なお、このようなアクリル系樹脂(ポリマー)は、単一のモノマー成分または2種以上のモノマー成分の混合物を重合させることにより生成させることができる。また、これらモノマー成分の重合は、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合方法、懸濁重合方法等の重合方法を用いて実施することができる。
【0117】
また、アクリル系樹脂は、半導体チップ20を、粘着層202からピックアップさせる際に、アクリル系樹脂を半導体チップ20に残存させないという観点から、低分子量物の含有量が少ないものであることが好ましい。この場合、アクリル系樹脂の重量平均分子量としては、好ましくは30万~500万に設定され、より好ましくは50万~500万に設定され、さらに好ましくは80万~300万に設定される。なお、アクリル系樹脂の重量平均分子量が、モノマー成分の種類等によっては、前記下限値未満であると、半導体チップ20に対する汚染防止性が低下し、半導体チップ20をピックアップさせた際に糊残りが生じるおそれがある。
【0118】
さらに、アクリル系樹脂(ベース樹脂)は、そのガラス転移点が、好ましくは-70℃以上-50℃以下、より好ましくは-65℃以上-55℃以下であるものが用いられる。ベース樹脂として、かかる範囲内のガラス転移点を有するアクリル系樹脂を用いることにより、粘着層202の25℃におけるタック力T1の大きさ、および移送用粘着テープ200の前記引き剥がし強度A1の大きさを、それぞれ、より容易に前記範囲内に設定することができる。
【0119】
なお、アクリル系樹脂は、ヒドロキシル基やカルボキシル基のような、架橋剤に対して反応性を有する官能基(反応性官能基)を有していることが好ましい。これにより、架橋剤がポリマー成分であるアクリル樹脂に連結するため、粘着層202からこれら架橋剤が漏出することを的確に抑制または防止することができる。
【0120】
(2)架橋剤
さらに、粘着層2を構成する樹脂組成物には、架橋剤が含まれていてもよい。架橋剤が含まれることで、粘着層2を適度な硬さを有するものに調整することができるため、粘着層202の25℃におけるタック力T1の大きさを、比較的容易に前記範囲内に設定することができる。また、移送用粘着テープ200の前記引き剥がし強度A1の大きさを、比較的容易に前記範囲内に設定することができる。
【0121】
架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、尿素樹脂系架橋剤、メチロール系架橋剤、キレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、多価金属キレート系架橋剤、酸無水物系架橋剤、ポリアミン系架橋剤、カルボキシル基含有ポリマー系架橋剤等が挙げられる。これらの中の複数を併用して良い。また、これらの中でもエポキシ系架橋剤が好ましい。
【0122】
エポキシ系架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、N,N,N′,N′-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3-ビス(N,N-グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o-フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートや、その他、分子内にエポキシ基を2つ以上有する多官能エポキシ系架橋剤等が挙げられ、中でも、多官能エポキシ系架橋剤が、前記架橋剤が含まれることにより得られる効果をより顕著に発揮させ得ることから好ましく用いられる。
【0123】
架橋剤は、ベース樹脂100重量部に対して0.01重量部以上30重量部以下で配合されることが好ましく、0.1重量部以上20重量部以下で配合されることがより好ましい。上記のように架橋剤の配合量を調整することで、樹脂組成物中に、架橋剤を添加することにより発揮される機能を、架橋剤に確実に発揮させることができる。
【0124】
(3)可塑剤
可塑剤は、硬化性樹脂の添加が省略され、エネルギーの付与により粘着力が低下しない粘着層202において、その柔軟性を向上させることで、粘着層202の25℃におけるタック力T1の大きさ、および移送用粘着テープ200の前記引き剥がし強度A1の大きさを、それぞれ前記範囲内に設定し得ることから、粘着層202に含まれることが好ましい。
【0125】
この可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、DOP(ジオクチルフタレート)、DBP(ジブチルフタレート)、DIBP(ジイソブチルフタレート)、DHP(ジヘプチルフタレート)のようなフタル酸エステル系可塑剤、DOA(ジ-2-エチルヘキシルアジペート)、DIDA(ジイソデシルアジペート)、DOS(ジ-2-エチルヘキシルセバセート)のような脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤、エチレングリコールのベンゾエート類のような芳香族カルボン酸エステル系可塑剤、およびTOTM(トリオクチルトリメリテート)のようなトリメリット酸エステル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0126】
粘着層2すなわち樹脂組成物中における可塑剤の含有率は、特に限定されないが、例えば、ベース樹脂100重量部に対して0.1重量部以上5.0重量部以下で配合されることが好ましく、0.5重量部以上2.0重量部以下で配合されることがより好ましい。これにより、粘着層2の柔軟性を確実に向上させることができる。そのため、粘着層202の25℃におけるタック力T1の大きさ、および移送用粘着テープ200の前記引き剥がし強度A1の大きさを、それぞれ前記範囲内により容易に設定することができる。
【0127】
(4)導電性材料(帯電防止剤)
さらに、粘着層202を構成する樹脂組成物には、導電性を有する導電性材料を含有することが好ましい。このような導電性材料が含まれることで、導電性材料に帯電防止剤としての機能を発揮させて、前記ピックアップ工程[7A]における、半導体チップ20での静電気の発生が的確に抑制または防止される。
【0128】
この導電性材料としては、導電性を有するものであれば、特に限定されないが、前記基材204に含まれる導電性材料として説明したのと、同様のものを用いることができる。
【0129】
なお、基材204および粘着層202のうちの一方に導電性材料を含有させる構成とする場合には、基材204に導電性材料を含有させることが好ましい。これにより、半導体チップ20に導電性材料を確実に付着させることなく、半導体チップ20での静電気の発生をより的確に抑制または防止することができる。
【0130】
(5)その他の成分
さらに、粘着層202を構成する樹脂組成物には、上述した各成分(1)~(4)の他の成分として、粘着付与剤、老化防止剤、粘着調整剤、充填材、着色剤、難燃剤、軟化剤、酸化防止剤、可塑剤、界面活性剤等のうちの少なくとも1種が含まれていてもよい。
【0131】
なお、これらのうち粘着付与剤としては、特に限定されないが、例えば、ロジン樹脂、テルペン樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族芳香族共重合系石油樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0132】
以上のような、粘着層202に含まれる、成分(1)(ベース樹脂)を必須成分とする各成分(1)~(5)の種類、および含有量を適宜選択することにより、粘着層202の25℃におけるタック力T1を、2.0N以上6.0N以下の範囲内に設定し得るが、前記タック力T1は、2.5N以上5.5N以下であるのが好ましく、3.0N以上4.0N以下であるのがより好ましい。これにより、前記工程[6A]において、移送用粘着テープ200に半導体チップ20を配置する際に、移送用粘着テープ200に対して、半導体チップ20を軽く押圧するだけで、移送用粘着テープ200に半導体チップ20を確実に優れた保持性をもって貼付することができる。そのため、前記工程[7A]に先立って、半導体チップ20を移送用粘着テープ200に配置(仮固定)した状態で、移送する際に、粘着層202により半導体チップ20を安定的に移送用粘着テープ200に対して優れた保持力で固定(保持)することができる。したがって、あらかじめ決められた配置位置、すなわち前記工程[6A]において半導体チップ20が移送用粘着テープ200に配置された配置位置から、半導体チップ20がシフト(位置ズレ)するチップシフトが生じるのを的確に抑制または防止して、半導体チップ20を移送することができる。
【0133】
また、表面を#2000研磨したシリコンウエハの前記表面に、幅25mmの移送用粘着テープ200を貼付し、次いで、23℃・1時間の条件で保持した後に、23℃環境下で、移送用粘着テープ200の一端を持ち、180°の方向にて300mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度A1を、30cN/25mm以上200cN/25mm以下の範囲内に設定し得るが、前記引き剥がし強度A1は、50cN/25mm以上170cN/25mm以下であるのが好ましく、60cN/25mm以上150cN/25mm以下であるのがより好ましい。これにより、前記工程[7A]において、半導体チップ20をピックアップする際に、移送用粘着テープ200が、エネルギーの付与により、半導体チップ20に対する粘着力が低下しない粘着層202を備える構成をなし、移送用粘着テープ200が備える粘着層202に対するエネルギーの付与を省略したとしても、半導体チップ20から移送用粘着テープ200をより安定的に剥離させて、半導体チップ20をピックアップすることができる。
【0134】
また、前記引き剥がし強度A1と前記タック力T1とは、関係式A1/T1が10以上60以下であることを満足することが好ましく、10以上50以下であることを満足するのがより好ましい。これにより、前記引き剥がし強度A1と前記タック力T1とを、設定することにより得られる効果を、より顕著に発揮させることができる。そのため、前記工程[6A]における、移送用粘着テープ200に対する半導体チップ20の貼付と、前記工程[7A]における、半導体チップ20のピックアップとを、より安定的に実施することができる。
【0135】
さらに、表面を#2000研磨したシリコンウエハの前記表面に、幅25mmの前記粘着テープを貼付し、次いで、60℃・72時間の条件で保持した後、23℃環境下で、当該粘着テープの一端を持ち、180°の方向にて300mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度をA2としたとき、関係式A2/A1は、0.9<A2/A1<1.6なる関係を満足することが好ましく、0.95<A2/A1<1.5なる関係を満足することがより好ましい。これにより、前記工程[7A]に先立った、半導体チップ20を移送する際の条件が異なっていたとしても、前記工程[7A]における、半導体チップ20のピックアップを、より安定的に実施することができる。
【0136】
さらに、粘着層202は、レオメーターを用いて、温度23℃、歪量1mrad、周波数1Hzで測定した複素粘度η*(23℃)が2.0×105mPa・s以上1.0×107mPa・s以下であることが好ましく、8.0×105mPa・s以上8.0×106mPa・s以下であることがより好ましく、1.5×106mPa・s以上8.0×106mPa・s以下であることがさらに好ましい。これにより、前記引き剥がし強度A1、A2の大きさを、比較的容易に前記範囲内に設定することができる。
【0137】
また、粘着層202は、そのゲル分率が90%以上であることが好ましく、90%以上96%以下であることがより好ましい。これにより、前記タック力T1の大きさを、比較的容易に前記範囲内に設定することができる。
【0138】
また、粘着層202の平均厚さは、特に限定されないが、例えば、5μm以上50μm以下であるのが好ましく、10μm以上30μm以下であるのがより好ましい。粘着層202の平均厚さをかかる範囲内とすることで、前述した粘着層202としての機能を確実に発揮させることができる。
【0139】
なお、粘着層202は、異なる前記樹脂組成物で構成される層を複数積層した積層体(多層体)で構成されるものであってもよい。
【0140】
また、基材204に粘着層202が積層された構成をなしている移送用粘着テープ200において、この移送用粘着テープ200を平面視で見たとき、基材204と粘着層202との界面に形成されている気泡は、面積が100μm2以上のものの数が、15.0個/mm2以下であることが好ましく、0.01個/mm2以上7.0個/mm2以下であることがより好ましく、0.1個/mm2以上2.0個/mm2以下であることがさらに好ましい。基材204と粘着層202との界面に形成されている気泡の数をコントロールして、面積が100μm2以上のものの数を上記のように設定することで、前記工程[7A]において、半導体チップ20をピックアップして、半導体チップ20から移送用粘着テープ200を剥離させる際に、半導体チップ20に糊残りが生じるのをより的確に抑制または防止することができる。
【0141】
なお、移送用粘着テープ200(本発明の粘着テープ)は、
図1に示すフリップ・チップ・ボール・グリッド・アレイ(FCBGA)タイプの半導体装置10の製造に適用できる他、例えば、スモール・アウトライン・パッケージ(SOP)、スモール・アウトライン・Jリード・パッケージ(SOJ)、薄型スモール・アウトライン・パッケージ(TSOP)、薄型クワッド・フラット・パッケージ(TQFP)、テープ・キャリア・パッケージ(TCP)、ボール・グリッド・アレイ(BGA)、チップ・サイズ・パッケージ(CSP)、マトリクス・アレイ・パッケージ・ボール・グリッド・アレイ(MAPBGA)、チップ・スタックド・チップ・サイズ・パッケージ等のメモリやロジック系素子の製造、コンタクト・イメージ・センサ(CIS)等のイメージセンサーの製造に適用することができる。
【0142】
また、移送用粘着テープ200(本発明の粘着テープ)は軽く押さえるだけで、確実にチップを保持できるため、比較的衝撃に弱いMEMSの製造にも適用することができる。
【0143】
さらに、本実施形態では、半導体基板7(半導体ウエハ)を厚さ方向に切断することにより得られた、部品としての半導体チップ20を、移送用粘着テープ200(本発明の粘着テープ)に再配置(移載)して移送または保管した後に、移送用粘着テープ200から剥離させる場合について説明したが、かかる場合に限定されず、部品としてのガラス基板、セラミック基板等を移送用粘着テープ200に配置(仮固定)した状態で移送または保管し、その後、これらの部品を移送用粘着テープ200から剥離させる場合においても、移送用粘着テープ200として本発明の粘着テープを用いることができる。
【0144】
以上、本発明の粘着テープについて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0145】
例えば、本発明の粘着テープが有する各層には、同様の機能を発揮し得る、任意の成分が添加されていてもよく、あるいは、基材は、前記実施形態で説明したように、1層で構成されるものの他、複数の層で構成されるものであってもよく、例えば、前述した基材の粘着層とは反対側の面に、帯電防止層を備えるものであってもよい。
【0146】
また、本発明の粘着テープが有する各層の構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成のものを付加することもできる。
【実施例0147】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
なお、本発明はこれらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
【0148】
1.原材料の準備
まず、各実施例および各比較例の粘着テープの製造に用いた原材料を以下に示す。
【0149】
(オレフィン系樹脂1)
オレフィン系樹脂1として、低密度ポリエチレン(LDPE、住友化学社製、「スミカセンF200-0」、比重:0.92g/cm3)を用意した。
【0150】
(帯電防止剤1)
帯電防止剤1として、ポリエーテル系帯電防止剤(三洋化成工業社製、「ペレクトロンPVL」)を用意した。
【0151】
(ベース樹脂1~4)
ベース樹脂1~4として、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、N,N-ジメチルアクリルアミド、酢酸ビニルのうちの少なくとも2種を混合し、常法によりトルエン溶媒中にて溶液重合させて生成されたアクリル共重合体を用意した。
【0152】
なお、ベース樹脂(アクリル共重合体)1~4におけるガラス転移点および重量平均分子量は、以下に示す通りであった。
【0153】
ベース樹脂1(ガラス転移点:-60℃、重量平均分子量:50万)
ベース樹脂2(ガラス転移点:-37℃、重量平均分子量:60万)
ベース樹脂3(ガラス転移点:-14℃、重量平均分子量:50万)
ベース樹脂4(ガラス転移点:-10℃、重量平均分子量:65万)
【0154】
また、ベース樹脂(アクリル共重合体)1は、アクリル酸2-エチルヘキシルに由来するモノマー単位を主として含むアクリル共重合体である。
【0155】
(架橋剤1)
架橋剤1として、多官能エポキシ樹脂(三菱ガス化学社製、品番:TETRAD-C)を用意した。
【0156】
(架橋剤2)
架橋剤2として、ポリイソシアネート(東ソー社製、品番:コロネートL)を用意した。
【0157】
(可塑剤1)
可塑剤1として、ポリエステル系可塑剤(DIC社製、品番:W-230H)を用意した。
【0158】
2.粘着テープの作製
[実施例1]
ポリオレフィン系樹脂1および帯電防止剤1を80/20の比率にてあらかじめ混合し、押出し機で押し出して、厚さ80μmの基材204を作製した。
【0159】
次に、ベース樹脂1(100重量部)、架橋剤1(1重量部)および可塑剤1(1重量部)が配合された樹脂組成物を含有する液状材料を作製した。この液状材料を、乾燥後の粘着層2の厚さが5μmになるようにして基材204にバーコート塗工した後、80℃で1分間乾燥させて、基材204の上面(一方の面)に、厚さ5μmの粘着層202を形成することで、実施例1の移送用粘着テープ200を得た。
【0160】
なお、移送用粘着テープ200が備える粘着層202について、レオメーター(アントンパール社製、「MCR102」)を用いて、温度23℃、歪量1mrad、周波数1Hzで複素粘度η*(23℃)を測定したところ、9.2E+05mPa・sであった。
【0161】
[実施例2~4、比較例1~3]
基材204の形成に用いた樹脂組成物中に含まれる各構成材料、および、粘着層202の形成に用いた樹脂組成物中に含まれる各構成材料として、表1に示すものを用い、さらに、各構成材料の含有量を表1に示すように変更して、表1に示す厚さの基材204および粘着層202を形成したこと以外は、前記実施例1と同様にして、実施例2~4、比較例1~3の移送用粘着テープ200を作製した。
【0162】
3.評価
得られた各実施例および各比較例の移送用粘着テープ200を、以下の方法で評価した。
【0163】
3-1.基材の抵抗率の評価
各実施例および各比較例の移送用粘着テープ200について、その基材204における粘着層202と反対側の表面抵抗率を、それぞれ、JIS K 6911に従って、抵抗値測定装置(アドバンテスト社製、「R8340」)を用いて測定した。
【0164】
3-2.シリコンウエハからの引き剥がし強度の測定
各実施例および各比較例の幅を25mmとした移送用粘着テープ200を、それぞれ、表面を#2000研磨したシリコンウエハの前記表面に貼付し、次いで、23℃・1時間の条件で保持した後に、JIS G 3469に準拠して、23℃の環境下で、粘着テープの一端を持ち、180°の方向にて300mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度A1(ピール強度A1)を、引張試験機(エー・アンドデイ社製、「TENSILON RTG-1310」)を用いて測定した。
【0165】
また、各実施例および各比較例の粘着テープについて、それぞれ、60℃・72時間の条件で保持した後に、23℃の環境下で、粘着テープの一端を持ち、180°の方向にて300mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度A2(ピール強度A2)を、前記引張試験機を用いて測定した。
【0166】
そして、測定された引き剥がし強度A1および引き剥がし強度A2に基づいて、これらの比の関係を示す関係式A2/A1を求めた。
【0167】
3-3.粘着層のタック力の測定
各実施例および各比較例の移送用粘着テープ200が備える粘着層202の25℃におけるタック力T1は、次のようにして評価した。
【0168】
すなわち、まず、各実施例および各比較例の移送用粘着テープ200について、それぞれ、JIS Z 0237に準拠して、レスカ社製のタッキング試験機TAC-Iを用いて、粘着層202を上にし、上側より直径5.0mmのSUS304製のプローブを接触させ、その際のプローブを粘着層202に接触させる時のスピードを60mm/min、接触荷重を200gf、接触時間を1秒、プローブ温度およびプレート温度を25℃とした。その後、プローブを600mm/minの剥離速度で上方に引き剥がし、引き剥がす際に要する力をタック力T1として測定した。
【0169】
そして、測定されたタック力T1、および、前記3-2において測定された引き剥がし強度A1に基づいて、これらの比の関係を示す関係式A1/T1を求めた。
【0170】
3-4.粘着層のゲル分率の測定
各実施例および各比較例の移送用粘着テープ200の粘着層202について、それぞれ、約0.1gを試験片として用意し、試験片の質量を測定した。次いで、約100×100mm角に切断したテトロンメッシュ(#200)の質量を測定した。次いで、試験片を内側になるようにテトロンメッシュを折り曲げ、さらに3辺を折り曲げてステイプラ―で止め、サンプル全体の質量を測定した。次いで、溶剤としての酢酸エチルに40℃下で3日間浸漬した。そして、サンプルを取り出し、120℃で1時間加熱して乾燥させた。
【0171】
その後、サンプル全体の質量を測定し、テトロンメッシュおよびステイプラ―の質量を引くことで、酢酸エチル浸漬後の試験片の質量を算出した。そして、前記式(A)により、粘着層202のゲル分率を求めた。
【0172】
3-5.シリコンチップのピックアップ性の評価
<1A>シリコンで構成されるシリコンウエハ(SUMCO社製)を、研削および切断することで、縦6mm×横6mm×厚さ430μmの大きさとされたシリコンチップを複数用意し、これらのシリコンチップを、各実施例および各比較例の移送用粘着テープ200に50個ずつ固定した。
【0173】
<2A>次いで、シリコンチップを、先端直径が100μmのニードルを用いて、ニードルの突き上げ量を300[μm]として、突き上げた。
【0174】
<3A>次いで、ニードルによるシリコンチップの突き上げを維持した状態で、真空コレットによる吸着により、シリコンチップをピックアップした。
【0175】
以上のような工程<1A>~<3A>を経ることで、吸着によるシリコンチップのピックアップを、各実施例および各比較例の移送用粘着テープ200について、それぞれ、50個ずつ繰り返して実施した。
【0176】
なお、工程<2A>における、ニードルによるシリコンチップの突き上げの際に、ニードルを突き上げる突き上げ速度を、1,000mm/分に設定してシリコンチップのピックアップを実施した。
【0177】
そして、各実施例および各比較例の移送用粘着テープ200について、それぞれ、シリコンチップの吸着によるピックアップの成否(ピックアップ性)を、以下の基準にしたがって評価した。
【0178】
(ピックアップ性評価)
◎:50個のシリコンチップについて、ピックアップすることができた
〇:48個以上50個未満のシリコンチップについて、
ピックアップすることができた
△:40個以上48個未満のシリコンチップについて、
ピックアップすることができた
×:40個未満のシリコンチップについて、
ピックアップすることができた
【0179】
3-6.シリコンチップのシフト性の評価
<1B>シリコンで構成されるシリコンウエハ(SUMCO社製)を、研削および切断することで、縦6mm×横6mm×厚さ430μmの大きさとされたシリコンチップを複数用意し、これらのシリコンチップを、5inch用リングフレームにマウントされた各実施例および各比較例の移送用粘着テープ200に押し付け圧力0.5N、押し付け時間0.5秒で50個ずつ固定した。
【0180】
<2B>次いで、50個のチップが搭載された、移送用粘着テープ200を、1個目のチップが固定されてから、30分以内に回転吸着テーブルにセットし、その後、200rpmで5分間回転させた。
【0181】
次いで、各実施例および各比較例の移送用粘着テープ200における、シリコンチップのシフトの有無(シフト性)を、シリコンチップのズレ量が10μm以上である場合をシリコンチップのズレ有り、シリコンチップのズレ量が10μm未満である場合をシリコンチップのズレ無しとして、以下の基準にしたがって評価した。
【0182】
(シフト性評価)
◎:50個のシリコンチップについて、チップのシフトが認められなかった
〇:48個以上50個未満のシリコンチップについて、
チップのシフトが認められなかった
△:40個以上48個未満のシリコンチップについて、
チップのシフトが認められなかった
×:40個未満のシリコンチップについて、
チップのシフトが認められなかった
以上のようにして実施した、各種評価の評価結果を表1に示す。
【0183】
【0184】
表1に示したように、各実施例の移送用粘着テープ200では、粘着層202の25℃におけるタック力T1が2.0N以上6.0N以下に設定されており、シリコンチップを安定的に固定し得る結果を示した。また、移送用粘着テープ200を、23℃・1時間の条件で保持した後に、23℃の環境下で、移送用粘着テープ200の一端を持ち、180°の方向にて300mm/分の速度で引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度A1が30cN/25mm以上200cN/25mm以下の大きさに設定されており、これにより、シリコンチップをピックアップする際に、移送用粘着テープ200が、エネルギーの付与により粘着力が低下しない粘着層202を備える構成をなし、粘着層202に対するエネルギーの付与を省略したとしても、シリコンチップから移送用粘着テープ200を安定的に剥離させて、シリコンチップをピックアップし得る結果を示した。
【0185】
これに対して、各比較例の粘着テープでは、前記タック力T1が2.0N以上6.0N以下であることと、前記引き剥がし強度A1が30cN/25mm以上200cN/25mm以下であることとの少なくとも一方を満足しておらず、これに起因して、シリコンチップを安定的に固定することができない結果、および/または、シリコンチップから粘着テープを安定的に剥離させることができず、シリコンチップを優れたピックアップ性をもってピックアップすることができない結果を示した。