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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020670
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】携帯型シート挟持具
(51)【国際特許分類】
   B65B 69/00 20060101AFI20230202BHJP
   B65B 67/06 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
B65B69/00 B
B65B67/06 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021126161
(22)【出願日】2021-07-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-18
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年1月25日にメール送信にて携帯型シート挟持具を公開 令和3年5月21日に株式会社ミツバ化成にて携帯型シート挟持具を公開
(71)【出願人】
【識別番号】521338031
【氏名又は名称】株式会社アルヨ
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣 敏巳
【テーマコード(参考)】
3E057
3E058
【Fターム(参考)】
3E057AA01
3E057AC03
3E057CA10
3E058AA01
3E058AA04
3E058BA06
3E058BA20
3E058CB03
3E058FA20
(57)【要約】
【課題】手軽かつ容易に複数のシートをずらして、袋の開口部18を開いたり重ね状態のシートを分離することができる。
【解決手段】
ユーザの把持力に応じて変形する変形アーム部5と、複数のシートを変形アーム部5の変形に伴って押圧挟持可能な第1弾性部6及び第2弾性部7とを有し、第1弾性部6は、所定の第1面15に直交する第2面16に対し鋭角である所定の交差角θ1をなすように傾斜した第1斜面8を備え、第2弾性部7は、第1弾性部6に向かい合う側に、第2面16に対し角度θ2をなすように傾斜した第2斜面9を備え、第1斜面8及び第2斜面9は、変形アーム部5の第1遠近状態において、略平行となり、第1遠近状態よりも変形アーム部5の変形量が大きくなった第2遠近状態において、各斜面の少なくとも一部領域が、複数のシートを介在させつつ略密着する携帯型シート挟持具1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側に位置し第1軸心に沿って延びる第1端部、他方側に位置し第2軸心に沿って延びる第2端部、及び、それら第1端部と第2端部との中間に位置する屈曲部、を備え、ユーザの把持力に応じて前記屈曲部が復元可能に変形する変形アーム部と、
互いに向かい合うように前記第1端部及び前記第2端部にそれぞれ設けられた第1弾性部及び第2弾性部であって、それら2つの弾性部の間に挿入された挟持対象の複数のシートを前記変形アーム部の変形に伴って押圧挟持可能な第1弾性部及び第2弾性部と、
を有し、
前記第1弾性部は、
前記第2弾性部に向かい合う側に、前記第1軸心及び前記第2軸心を含む所定の第1面に直交する第2面に対し鋭角である所定の交差角θ1をなすように傾斜した第1斜面を備え、
前記第2弾性部は、
前記第1弾性部に向かい合う側に、前記第2面に対し角度θ2をなすように傾斜した第2斜面を備え、
前記変形アーム部は、
前記変形の変形量の大小に応じて、前記第1弾性部及び前記第2弾性部を互いに所定距離だけ離間させる第1姿勢と、前記第1弾性部及び前記第2弾性部が互いに接触させる第2姿勢と、を含む、複数の姿勢を選択的に実現可能な、携帯型シート挟持具であって、
前記第1斜面及び前記第2斜面は、
前記変形の増大に伴う前記変形アーム部の前記第1姿勢から前記第2姿勢までの間の前記第1軸心と前記第2軸心とが略平行となる第1遠近状態において、略平行となり、
前記第1遠近状態よりも当該変形アーム部の変形量が大きくなった第2遠近状態において、各斜面の少なくとも一部領域が、前記挿入された前記複数のシートを介在させつつ略密着する
ことを特徴とする携帯型シート挟持具。
【請求項2】
請求項1記載の携帯型シート挟持具において、
前記変形アーム部が、前記第2姿勢からさらに変形量が大きくなる第3姿勢へと移行するのに伴って、
前記第1斜面及び前記第2斜面が、前記第2遠近状態において前記一部領域が前記略密着した状態から当該一部領域の密着面に沿って互いに摺動し、
当該摺動によって、前記複数のシートが互いにシート面方向に沿ってずらされる
ことを特徴とする携帯型シート挟持具。
【請求項3】
請求項2記載の携帯型シート挟持具において、
前記θ1及びθ2は、略45°である
ことを特徴とする携帯型シート挟持具。
【請求項4】
請求項3記載の携帯型シート挟持具において、
前記変形アーム部は、
前記第1端部のうち第1弾性部と反対側に位置し、ユーザによる当該変形アーム部の把持時に指が係止される第1係止部と、
前記第2端部のうち第2弾性部と反対側に位置し、ユーザによる当該変形アーム部の把持時に指が係止される第2係止部と、
をさらに備える
ことを特徴とする携帯型シート挟持具。
【請求項5】
請求項4記載の携帯型シート挟持具において、
前記変形アーム部は、
前記屈曲部の内周側に、ペットボトルのキャップの外周部に係合可能な凹凸部をさらに備える
ことを特徴とする携帯型シート挟持具。
【請求項6】
請求項5記載の携帯型シート挟持具において、
前記変形アーム部の前記第1端部及び前記第2端部、若しくは、前記第1弾性部及び前記第2弾性部は、
前記屈曲部と反対側の端面に、タッチパネル操作用の導電接触面を備える
ことを特徴とする携帯型シート挟持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型シート挟持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケット等に設置される、ポリ袋のロールホルダーが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の図6には、ロール状ポリ袋22を取り付けた一般的なロールホルダーが開示されている。また、特許文献1の段落[0004]には、このような一般的なロール状ポリ袋22ではロール状ポリ袋22を利用者が引き出す時に手前側にポリ袋の開口部が配置される構造となっていることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-55623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術においてはポリ袋を引っ張り出した後も扁平状態のままであるためどっちが開口部かユーザに分かりにくく、分かったとしてもポリ袋の開口部を構成する2つのシートをずらして押し広げるのが困難であった。なお、上記ポリ袋以外に、例えば2枚重ねのティッシュペーパーのシートを分離する場合においても同様の課題があった。
【0005】
本発明の目的は、ユーザが、手軽かつ容易に複数のシートをずらして袋の開口部を開いたり、重ね状態のシートを分離することができる、携帯型のシート挟持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、一端側に位置し第1軸心に沿って延びる第1端部、他方側に位置し第2軸心に沿って延びる第2端部、及び、それら第1端部と第2端部との中間に位置する屈曲部、を備え、ユーザの把持力に応じて前記屈曲部が復元可能に変形する変形アーム部と、互いに向かい合うように前記第1端部及び前記第2端部にそれぞれ設けられた第1弾性部及び第2弾性部であって、それら2つの弾性部の間に挿入された挟持対象の複数のシートを前記変形アーム部の変形に伴って押圧挟持可能な第1弾性部及び第2弾性部と、を有し、前記第1弾性部は、前記第2弾性部に向かい合う側に、前記第1軸心及び前記第2軸心を含む所定の第1面に直交する第2面に対し鋭角である所定の交差角θ1をなすように傾斜した第1斜面を備え、前記第2弾性部は、前記第1弾性部に向かい合う側に、前記第2面に対し角度θ2をなすように傾斜した第2斜面を備え、前記変形アーム部は、前記変形の変形量の大小に応じて、前記第1弾性部及び前記第2弾性部を互いに所定距離だけ離間させる第1姿勢と、前記第1弾性部及び前記第2弾性部が互いに接触させる第2姿勢と、を含む、複数の姿勢を選択的に実現可能な、携帯型シート挟持具であって、前記第1斜面及び前記第2斜面は、前記変形の増大に伴う前記変形アーム部の前記第1姿勢から前記第2姿勢までの間の前記第1軸心と前記第2軸心とが略平行となる第1遠近状態において、略平行となり、前記第1遠近状態よりも当該変形アーム部の変形量が大きくなった第2遠近状態において、各斜面の少なくとも一部領域が、前記挿入された前記複数のシートを介在させつつ略密着する携帯型シート挟持具であることを特徴としている。
【0007】
本願発明の携帯型シート挟持具によれば、変形アーム部を変形させて第2姿勢で第1弾性部及び第2弾性部を互いに接触させる構成において、第1弾性部及び第2弾性部にそれぞれ第1斜面及び第2斜面が設けられている。それらが互いに略平行である第1遠近状態でそれら平行な2つの斜面の間に確保された空間からスムーズに複数のシートを挿入することができる。第1遠近状態からユーザが把持力を作用させることで変形アーム部の変形をさらに進め、第2遠近状態でシートを第1斜面及び第2斜面で挟み込み略密着した状態とすることができる。これにより、その第2遠近状態から、第1斜面及び第2斜面を互いに擦り合わせるように摺動させることで、第1斜面及び第2斜面から複数のシートそれぞれに摩擦力を作用させ、複数のシートをシート面方向に沿ってずらすことができる。この結果、例えば、分離が難しかった2枚重ねのティッシュペーパーのシートを容易に分離することができたり、開くのが難しかったポリ袋等の開口部を容易に開くことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の携帯型シート挟持具によれば、ユーザが、手軽かつ容易に複数のシートをずらして、袋の開口部を開いたり、重ね状態のシートを分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の携帯型シート挟持具の斜視図である。
図2】本実施形態の携帯型シート挟持具の正面図である。
図3】本実施形態の携帯型シート挟持具の上面図である。
図4】本実施形態の携帯型シート挟持具の下面図である。
図5】変形アーム部の第1姿勢を説明する概念図である。
図6】変形アーム部の第1遠近状態を説明する概念図である。
図7】変形アーム部の第2姿勢及び第2遠近状態を説明する概念図である。
図8】変形アーム部の第3姿勢を説明する概念図である。
図9】変形アーム部5が凹凸部を備える場合の使用例を説明する概念図である。
図10】変形例に係る携帯型シート挟持具の使用例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0011】
図1に本実施形態に係る携帯型シート挟持具1を左前方から見た斜視図を示す。図1に示す方角は、地面(図示なし)に対して垂直な上下方向と、上下方向にそれぞれ直交する左右方向及び前後方向である。同様の方角が図2図8にも適宜適用される。
【0012】
携帯型シート挟持具1は、ユーザの把持力に応じて屈曲部4が復元可能に変形する変形アーム部5と、互いに向かい合うようにそれぞれ設けられた第1弾性部6及び第2弾性部7を有する。第1弾性部6及び第2弾性部7は、それら2つの弾性部の間に挿入された挟持対象の複数のシートを変形アーム部5の変形に伴って押圧挟持可能となっている。
【0013】
変形アーム部5は例えばプラスチックで形成されている。第1弾性部6及び第2弾性部7は、例えばゴムで形成されている。この図では、第1弾性部6と第2弾性部7とは左右方向において互いに向かい合うように配置されている。
【0014】
前記複数のシートとしては、例えば、ティッシュペーパー(薄いペーパーが二枚重ねられた状態となっている通常のティッシュペーパー)や、レジ袋等として用いられるビニール袋(開口部を広げる前の閉じた状態のもの)等が挙げられる。
【0015】
第1弾性部6は、第2弾性部7に向かい合う側(この図の右方向の側)に、第1斜面8を備え、第2弾性部7は、第1弾性部に向かい合う側(この図の左方向の側)に第2斜面9を備える。
【0016】
変形アーム部5は、ユーザによる変形アーム部5の把持時に指が係止される第1係止部10と、第2係止部11とをさらに備える。第1係止部10及び第2係止部11は例えばプラスチックで構成される。
【0017】
この図では、変形アーム部5は、強度を補強するために、第1補強板部12と、第2補強板部13とをさらに備えている。第1補強板部12及び第2補強板部13は例えばプラスチックで構成される。
【0018】
なお、この図は変形アーム部5が後述する第1姿勢(変形アーム部5に力が加えられておらず、変形していない状態)にある携帯型シート挟持具1の斜視図について図示したものである。
【0019】
また、携帯型シート挟持具1の大きさは特に限定されるものではないが、この図では例えば左右方向及び上下方向に5センチメートル前後、前後方向に1センチメートル前後程度の、ユーザの手のひらに収まるような大きさとなっている。
【0020】
図2に、図1の携帯型シート挟持具1を前方から見た正面図を示す。この図の携帯型シート挟持具1は図1と同様に変形アーム部5が第1姿勢にある。
【0021】
変形アーム部5は、一端側に位置し第1軸心Kに沿って延びる第1端部2、他方側に位置し第2軸心K′に沿って延びる第2端部3、及びそれら第1端部2と第2端部3との中間に位置する屈曲部4を備える。
【0022】
変形アーム部5の第1端部2、第2端部3、屈曲部4、第1係止部10、第2係止部11、第1補強板部12、第2補強板部13は、別々に成形したものを接着してもよく、一体型として成形されていてもかまわない。変形アーム部5の少なくとも一部が例えばセラミックや金属の薄板等で構成されていてもかまわない。
【0023】
第1弾性部6及び第2弾性部7は互いに向かい合うように第1端部2及び第2端部3にそれぞれ設けられている。この図では、プラスチックで構成される第1端部2及び第2端部3に、第1弾性部6及び第2弾性部7が接着されている。
【0024】
第1係止部10は、第1端部2のうち第1弾性部6と反対側に位置し、第2係止部11は、第2端部3のうち第2弾性部7と反対側に位置する。この図ではそれぞれ左右方向において第1端部2及び第2端部3を挟んで反対側に位置するように配置されている。
【0025】
また、この図においては、変形アーム部5は、屈曲部4の内周側に凹凸部14をさらに備えている。凹凸部14は例えば屈曲部4の内周側の形状を鋸歯状、その他の凹凸形状、単なる大摩擦力を当たるザラザラ形状等の形状等に加工することで構成される。
【0026】
図3に携帯型シート挟持具1を上方から見た上面図を示す。なお、この図では説明の便宜と図示のわかりやすさのため、後述する第1遠近状態における上面図について示す。
【0027】
第2係止部11は、変形アーム部5において、第1係止部10と反対側の縁部に立設されている。この図では、変形アーム部5の後方向側、かつ左方向側の縁部に第1係止部10が立設され、変形アーム部5の前方向側、かつ右方向側の縁部に第2係止部11が立設されている。
【0028】
また、変形アーム部5において、第1弾性部6の第1斜面8の背後側、すなわちこの図の前後方向において、第1弾性部6の上面が形成する略三角形のうち第2弾性部7と向かい合う頂点T側に第1係止部10が配置されることによって、ユーザが変形アーム部5を把持した時に第1係止部10にちょうど指が乗り、力をこめやすくなっている。第2係止部11についても同様の構造となっている。
【0029】
図4に携帯型シート挟持具1を下方から見た下面図を示す。この図でも、説明の便宜と図示のわかりやすさのため、後述する図6(b)と同様の、第1遠近状態における下面図について示す。
【0030】
第1弾性部6の第1斜面8は、第1軸心K及び第2軸心K′を含む所定の第1面15に直交する第2面16に対し、鋭角である所定の交差角θ1をなすように傾斜している。交差角θ1は例えば30°、45°、60°、あるいはそれらの中間の角度等である。
【0031】
第2弾性部7の第2斜面9は前記第2面16に対し角度θ2をなすように傾斜している。角度θ2についても、θ1と同様鋭角であり、例えば30°、45°、60°、あるいはそれらの中間の角度等である。
【0032】
θ1とθ2とは、異なる角度であってもかまわないが、好ましくは、θ1とθ2とは、後述する第1遠近状態において、略同一の角度である。
【0033】
前記交差角θ1及び角度θ2の角度は、限定されるものではないが、特に好ましくは、後述する第1遠近状態において、略45°である。
【0034】
図5に変形アーム部5の第1姿勢を説明する概念図を示す。変形アーム部5は、ユーザの把持力に応じた前記変形の変形量の大小に応じて、第1弾性部6及び第2弾性部7を互いに所定距離Pだけ離間させる第1姿勢を選択的に実現する。第1姿勢は変形アーム部5が変形していない状態を指す。
【0035】
図5(a)は変形アーム部5が第1姿勢にある携帯型シート挟持具1を前方から見た概念図であり、図5(b)は変形アーム部5が第1姿勢にある携帯型シート挟持具1を右下方から見た概念図である。
【0036】
図5(a)では、携帯型シート挟持具1の第1端部2及び第2端部3は、第1補強板部12及び第2補強板部13の上からユーザの指Mにより把持されている。第1姿勢において、ユーザの指Mは全く力を加えておらず、変形アーム部5は変形していない。すなわち第1弾性部6と第2弾性部7との所定距離Pは最も離れた状態となっている。また、第1軸心Kと第2軸心K′とは完全な平行ではなく第1端部2と第2端部3とは下方向に向かってわずかに互いの距離が離れていくハの字状となっている。
【0037】
図5(b)では図示の簡略化のためユーザの指Mは省略する。上述したとおり、変形アーム部5にユーザの把持力が全く加わっていない第1姿勢において、第1端部2と第2端部3とは下方向に向かって互いにわずかにハの字状となっている。
【0038】
図6に変形アーム部5の第1遠近状態を説明する概念図を示す。第1遠近状態は変形アーム部5の前記変形の増大に伴い、第1軸心Kと第2軸心K′とが略平行となる状態である。第1遠近状態は前記第1姿勢から後述する第2姿勢までの間に変形アーム部5が実現し得る状態である。
【0039】
図6(a)は変形アーム部5が第1遠近状態にある携帯型シート挟持具1を前方から見た概念図であり、図5(b)は変形アーム部5が第1遠近状態にある携帯型シート挟持具1を下方から見た概念図である。
【0040】
図6(a)において携帯型シート挟持具1の第1端部2及び第2端部3は、第1補強板部12及び第2補強板部13の上からユーザの指Mにより把持されている。ユーザの指Mにより変形アーム部5に把持力が少し加わり、第1軸心Kと第2軸心K′及びそれらにそれぞれ平行な第1端部2と第2端部3とが略平行となっている。
【0041】
図6(b)に示されるように、下方向から見た時に第1斜面8と第2斜面9とは間隔xを空けて略平行となっている。第1弾性部6と第2弾性部7との間に挟持対象となる複数のシートとしての、ポリ袋17が挿入される。この図では説明のためポリ袋17を一枚のシートとして図示しているが、ポリ袋17は薄い二枚のポリエチレン製のシート二枚が互いに密着して重ねられ、開口していない状態で挿入される。間隔xは図5で説明した第1姿勢における所定距離Pよりも短い距離となっている。
【0042】
図7に変形アーム部5の第2姿勢及び第2遠近状態を説明する概念図を示す。
【0043】
図7(a)は変形アーム部5が第2姿勢及び第2遠近状態にある携帯型シート挟持具1を前方から見た概念図であり、図7(b)は変形アーム部5が第2姿勢及び第2遠近状態にある携帯型シート挟持具1を下方から見た概念図である。
【0044】
第2姿勢は変形アーム部5の前記変形の変形量の大小に応じて、第1弾性部6及び第2弾性部7が互いに接触させられる状態である。携帯型シート挟持具1は、図5で説明した第1姿勢と、この第2姿勢とを含む複数の姿勢を選択的に実現可能となっている。
【0045】
また、第2遠近状態は、図6で説明した第1遠近状態よりも変形アーム部5の変形量が大きくなった状態であって、携帯型シート挟持具1の各斜面の少なくとも一部領域が、前記挿入された複数のシートを介在させつつ略密着する状態である。本実施形態においては、前記第2姿勢と、前記第2遠近状態とは、同一の状態を指す。
【0046】
図7(a)において、変形アーム部5はユーザの指Mにより、前記第1遠近状態よりも強い把持力を受けてさらに変形し、第1弾性部6と第2弾性部7とが接触した状態となっている。
【0047】
図7(b)において、第1斜面8と第2斜面9とは、その間に挿入されたポリ袋17を介在させつつ密着している。
【0048】
図8に変形アーム部5の第3姿勢を説明する概念図を示す。図8(a)は変形アーム部5が第3姿勢にある携帯型シート挟持具1を前方から見た概念図であり、図8(b)は変形アーム部5が第3姿勢にある携帯型シート挟持具1を下方から見た概念図である。
【0049】
第3姿勢は変形アーム部5の変形量が第2姿勢よりさらに大きくなる姿勢である。変形アーム部5が、第2姿勢から第3姿勢へと移行するのに伴って、第1斜面8及び第2斜面9の少なくとも一部領域が略密着した状態から当該一部領域の密着面に沿って互いに摺動し、当該摺動によって、複数のシートが互いにシート面方向に沿ってずらされるようになっている。
【0050】
図8(a)において、第3姿勢の変形アーム部5は図7で説明した第2姿勢よりもさらに把持力を加えられ変形する。ユーザの指Mは第1弾性部6と第2弾性部7との各斜面を互いに押し付け合いながら斜めにスライドするような方向に把持力を加える。
【0051】
図8(b)において、第1斜面8と第2斜面9とは互いの密着面に沿って図の矢印方向へのすりあわせるような動きにより摺動する。当該摺動により生じる摩擦力等により第1弾性部6と第2弾性部7との間に挿入されたポリ袋17の閉じていた開口部18が開く。ユーザはこの開口部18をさらに指などで容易に広げることができる。ポリ袋17のかわりにティッシュペーパー等を挿入しても同様の結果が得られる。
【0052】
図9に、携帯型シート挟持具1の変形アーム部5が凹凸部14を備える場合の、使用方法の一例を説明する概念図を示す。
【0053】
図9では、ペットボトル19のキャップ20の外周部21に、変形アーム部5の屈曲部4の内周側に備えられた凹凸部14を係合させている。ユーザの指Mによりペットボトル19のキャップ20の周方向に沿って把持力を加えることで、凹凸部14により生じる摩擦力等を利用して、強い力を必要としなくてもキャップ20を容易に開くことができる。
【0054】
<実施形態の効果>
本実施形態の携帯型シート挟持具1によれば、変形アーム部5を変形させて第2姿勢で第1弾性部6及び第2弾性部7を互いに接触させる構成において、第1弾性部6及び第2弾性部7にそれぞれ第1斜面8及び第2斜面9が設けられている。それらが互いに略平行である第1遠近状態でそれら平行な2つの斜面の間に確保された空間からスムーズに複数のシートを挿入することができる。
【0055】
第1遠近状態からユーザが把持力を作用させることで変形アーム部5の変形をさらに進め、第2遠近状態でシートを第1斜面8及び第2斜面9で挟み込み略密着した状態とすることができる。これにより、その第2遠近状態から、第1斜面8及び第2斜面9を互いに擦り合わせるように摺動させることで、第1斜面8及び第2斜面9から複数のシートそれぞれに摩擦力を作用させ、複数のシートをシート面方向に沿ってずらすことができる。
【0056】
この結果、例えば、分離が難しかった2枚重ねのティッシュペーパーのシートを容易に分離することができたり、開くのが難しかったポリ袋17等の開口部18を容易に開くことができる。
【0057】
また、本実施形態では特に、変形アーム部5を変形させて第2遠近状態でシートを第1斜面8及び第2斜面9で挟み込んだ後、そこから第1斜面8及び第2斜面9を互いに擦り合わせるように摺動させる。これにより、第1斜面8から一つのシートへ一方向への摩擦力を作用させるとともに、第2斜面9から別のシートへ反対方向への摩擦力を作用させて、複数のシートをシート面方向にそって確実にずらすことができる。
【0058】
また、本実施形態では特に、第1斜面8と第2斜面との傾斜が45°であるとき、すなわち第1斜面8と第2面16とのなす角θ1及び第2斜面9と第2面16とのなす角度θ2がそれぞれ略45°の場合、最もスムーズにシートをずらすことができ開口部18を作ることができる。
【0059】
また、本実施形態では特に、変形アーム部5が第1係止部10及び第2係止部11をさらに備えることで、指二本で挟んで変形アーム部5を変形させるときの指の滑り防止となり、第3姿勢における摺動動作などをはじめとした操作においてユーザが変形アーム部5に把持力を加えやすいものとなっている。
【0060】
また、本実施形態では特に、変形アーム部5が凹凸部14をさらに備えることにより、上記シート用の用途とは別に、ペットボトル19のキャップ20を開ける時のオープナーとしても活用でき、例えば力の強くない高齢者等にとって便利である。
【0061】
<変形例>
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0062】
(1)携帯型シート挟持具1′がタッチパネル23操作用の導電接触面22を備える場合
図10に変形例に係る携帯型シート挟持具1′の使用方法の一例を説明する概念図を示す。
【0063】
携帯型シート挟持具1′において、変形アーム部5′の第1端部2′及び第2端部3′、若しくは、第1弾性部6′及び第2弾性部7′は、屈曲部4′と反対側の端面に、タッチパネル23を操作するための導電接触面22を備える。
【0064】
この図では、変形アーム部5′の屈曲部4′、第1端部2′、第2端部3′にわたり、屈曲部4′の内周側の端面に導電接触面22として薄いゴムの膜が貼り付けられている。この導電接触面22は第1弾性部6′及び第2弾性部7′とも接触している。
【0065】
導電接触面22は、このような構成に限らず、ユーザの指Mと、第1端部2′、第2端部3′、第1弾性部6′、第2弾性部7′のうち少なくともいずれかとが電気的に導電するように設けられていればよい。このようにすれば、第1端部2′、第2端部3′、第1弾性部6′、第2弾性部7′の少なくともいずれかの部位を使って、上記シート用の用途とは別に、スマートホン等のタッチパネル23の操作時にも携帯型シート挟持具1′を活用できる。
【0066】
導電接触面22は導電性の材料であればどのようなものを用いてもかまわない。
【0067】
(2)携帯型シート挟持具1′全体を導電性の材料で構成する場合
図10では、プラスチック製の変形アーム部5′に導電接触面22としてゴム膜を貼り付ける構成について説明したが、変形アーム部5′全体を導電性のゴムであらかじめ構成してもかまわない。このような構成とすれば、携帯型シート挟持具1′のどこを使ってもタッチパネル23の操作が可能であるとともに、シート用の用途にも支障がなく両方の用途に使用することができる。
【0068】
なお、以上の説明において、「垂直」「平行」「平面」等の記載がある場合には、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「垂直」「平行」「平面」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に垂直」「実質的に平行」「実質的に平面」という意味である。
【0069】
なお、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0070】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0071】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0072】
1、1′ 携帯型シート挟持具
2、2′ 第1端部
3、3′ 第2端部
4、4′ 屈曲部
5、5′ 変形アーム部
6、6′ 第1弾性部
7、7′ 第2弾性部
8 第1斜面
9 第2斜面
10 第1係止部
11 第2係止部
12 第1補強板部
13 第2補強板部
14 凹凸部
15 第1面
16 第2面
17 ポリ袋
18 開口部
19 ペットボトル
20 キャップ
21 外周部
22 導電接触面
23 タッチパネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2022-01-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側に位置し第1軸心に沿って延びる第1端部、他方側に位置し第2軸心に沿って延びる第2端部、及び、それら第1端部と第2端部との中間に位置する屈曲部、を備え、ユーザの把持力に応じて前記屈曲部が復元可能に変形する変形アーム部と、
互いに向かい合うように前記第1端部及び前記第2端部にそれぞれ設けられた第1弾性部及び第2弾性部であって、それら2つの弾性部の間に挿入された挟持対象の複数のシートを前記変形アーム部の変形に伴って押圧挟持可能な第1弾性部及び第2弾性部と、
を有し、
前記第1弾性部は、
前記第2弾性部に向かい合う側に、前記第1軸心及び前記第2軸心を含む所定の第1面に直交する第2面に対し鋭角である所定の交差角θ1をなすように傾斜した第1斜面を備え、
前記第2弾性部は、
前記第1弾性部に向かい合う側に、前記第2面に対し角度θ2をなすように傾斜した第2斜面を備え、
前記θ1及びθ2は、略45°であり、
前記変形アーム部は、
前記変形の変形量の大小に応じて、前記第1弾性部及び前記第2弾性部を互いに所定距離だけ離間させる第1姿勢と、前記第1弾性部及び前記第2弾性部が互いに接触させる第2姿勢と、を含む、複数の姿勢を選択的に実現可能な、携帯型シート挟持具であって、
前記第1斜面及び前記第2斜面は、
前記変形の増大に伴う前記変形アーム部の前記第1姿勢から前記第2姿勢までの間の前記第1軸心と前記第2軸心とが略平行となる第1遠近状態において、略平行となり、
前記第1遠近状態よりも当該変形アーム部の変形量が大きくなった第2遠近状態において、各斜面の少なくとも一部領域が、前記挿入された前記複数のシートを介在させつつ略密着し、
かつ、
前記変形アーム部が、前記第2姿勢からさらに変形量が大きくなる第3姿勢へと移行するのに伴って、
前記第1斜面及び前記第2斜面が、前記第2遠近状態において前記一部領域が前記略密着した状態から当該一部領域の密着面に沿って互いに摺動し、
当該摺動によって、前記複数のシートが互いにシート面方向に沿ってずらされ、
前記変形アーム部は、
前記第1端部のうち第1弾性部と反対側に位置し、ユーザによる当該変形アーム部の把持時に指が係止される第1係止部と、
前記第2端部のうち第2弾性部と反対側に位置し、ユーザによる当該変形アーム部の把持時に指が係止される第2係止部と、
前記屈曲部の内周側に、ペットボトルのキャップの外周部に係合可能な凹凸部と、
をさらに備え、
かつ、
前記変形アーム部の前記第1端部及び前記第2端部、若しくは、前記第1弾性部及び前記第2弾性部は、
前記屈曲部と反対側の端面に、タッチパネル操作用の導電接触面を備える
ことを特徴とする携帯型シート挟持具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、一端側に位置し第1軸心に沿って延びる第1端部、他方側に位置し第2軸心に沿って延びる第2端部、及び、それら第1端部と第2端部との中間に位置する屈曲部、を備え、ユーザの把持力に応じて前記屈曲部が復元可能に変形する変形アーム部と、互いに向かい合うように前記第1端部及び前記第2端部にそれぞれ設けられた第1弾性部及び第2弾性部であって、それら2つの弾性部の間に挿入された挟持対象の複数のシートを前記変形アーム部の変形に伴って押圧挟持可能な第1弾性部及び第2弾性部と、を有し、前記第1弾性部は、前記第2弾性部に向かい合う側に、前記第1軸心及び前記第2軸心を含む所定の第1面に直交する第2面に対し鋭角である所定の交差角θ1をなすように傾斜した第1斜面を備え、前記第2弾性部は、前記第1弾性部に向かい合う側に、前記第2面に対し角度θ2をなすように傾斜した第2斜面を備え、前記θ1及びθ2は、略45°であり、前記変形アーム部は、前記変形の変形量の大小に応じて、前記第1弾性部及び前記第2弾性部を互いに所定距離だけ離間させる第1姿勢と、前記第1弾性部及び前記第2弾性部が互いに接触させる第2姿勢と、を含む、複数の姿勢を選択的に実現可能な、携帯型シート挟持具であって、前記第1斜面及び前記第2斜面は、前記変形の増大に伴う前記変形アーム部の前記第1姿勢から前記第2姿勢までの間の前記第1軸心と前記第2軸心とが略平行となる第1遠近状態において、略平行となり、前記第1遠近状態よりも当該変形アーム部の変形量が大きくなった第2遠近状態において、各斜面の少なくとも一部領域が、前記挿入された前記複数のシートを介在させつつ略密着し、かつ、前記変形アーム部が、前記第2姿勢からさらに変形量が大きくなる第3姿勢へと移行するのに伴って、前記第1斜面及び前記第2斜面が、前記第2遠近状態において前記一部領域が前記略密着した状態から当該一部領域の密着面に沿って互いに摺動し、当該摺動によって、前記複数のシートが互いにシート面方向に沿ってずらされ、前記変形アーム部は、前記第1端部のうち第1弾性部と反対側に位置し、ユーザによる当該変形アーム部の把持時に指が係止される第1係止部と、前記第2端部のうち第2弾性部と反対側に位置し、ユーザによる当該変形アーム部の把持時に指が係止される第2係止部と、前記屈曲部の内周側に、ペットボトルのキャップの外周部に係合可能な凹凸部と、をさらに備え、かつ、前記変形アーム部の前記第1端部及び前記第2端部、若しくは、前記第1弾性部及び前記第2弾性部は、前記屈曲部と反対側の端面に、タッチパネル操作用の導電接触面を備えることを特徴としている。