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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020680
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】結束機
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/12 20060101AFI20230202BHJP
   B65B 13/28 20060101ALI20230202BHJP
   B65B 13/18 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
E04G21/12 105E
B65B13/28
B65B13/18 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021126176
(22)【出願日】2021-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】板垣 修
【テーマコード(参考)】
3E052
【Fターム(参考)】
3E052AA42
3E052BA18
3E052CA18
3E052CB05
3E052CB07
3E052FA09
3E052FA19
3E052HA09
3E052JA01
3E052JA11
3E052LA09
(57)【要約】
【課題】結束強度を確保できるようにした結束機を提供する。
【解決手段】鉄筋結束機1Aは、鉄筋Sに巻かれるワイヤWを送るワイヤ送り部3と、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを捩じる結束部7と、ワイヤ送り部3で送られるワイヤWに巻き癖をつけるカールガイド50と、カールガイド50で巻き癖が付けられたワイヤWを結束部7に誘導する誘導ガイド51と、鉄筋Sが突き当てられることで作動するコンタクトスイッチ部9を備え、コンタクトスイッチ部9は、鉄筋Sが突き当てられる突き当て部91を備え、突き当て部91は、カールガイド50と誘導ガイド51との間であって、ワイヤWを係止し、係止したワイヤWを捩じることで結束する結束部7の回転動作の軸線Lに対して、カールガイド50と誘導ガイド51が並ぶ方向と直交する方向に沿った少なくとも一方の側に設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結束物に巻かれるワイヤを送るワイヤ送り部と、
結束物に巻かれたワイヤを捩じる結束部と、
前記ワイヤ送り部で送られるワイヤに巻き癖をつけるカールガイドと、
前記カールガイドで巻き癖が付けられたワイヤを前記結束部に誘導する誘導ガイドと、
結束物が突き当てられることで作動するコンタクトスイッチ部を備え、
前記カールガイドと前記誘導ガイドは、本体部の一方の端部に設けられ、
前記コンタクトスイッチ部は、結束物が突き当てられる突き当て部を備え、
前記突き当て部は、前記カールガイドと前記誘導ガイドとの間であって、ワイヤを係止し、係止したワイヤを捩じることで結束する前記結束部の回転動作の軸線に対して、前記カールガイドと前記誘導ガイドが並ぶ方向と直交する方向に沿った少なくとも一方の側に設けられ、
前記本体部の一方の端部から、前記結束部の回転動作の軸線に沿った前記突き当て部の前端位置までの突出量が、前記本体部の一方の端部から、前記結束部の回転動作の軸線に沿った前記カールガイド及び前記誘導ガイドの前端位置までの突出量より短く構成され、
前記突き当て部に結束物が突き当てられて前記コンタクトスイッチ部が作動すると、結束動作が実行される
結束機。
【請求項2】
前記突き当て部は、前記結束部の回転動作の軸線に沿って第1の位置から第2の位置まで移動し、前記突き当て部が第2の位置に移動すると、前記コンタクトスイッチ部が作動する
請求項1に記載の結束機。
【請求項3】
前記突き当て部は、前記本体部を構成するケースに移動可能に取り付けられる
請求項2に記載の結束機。
【請求項4】
前記突き当て部は、前記結束部の回転動作の軸線に沿って直線方向に移動する
請求項2または請求項3に記載の結束機。
【請求項5】
前記突き当て部は、前記結束部の回転動作の軸線に沿った円弧方向に回転動作で移動する
請求項2または請求項3に記載の結束機。
【請求項6】
前記突き当て部は、前記結束部の回転動作の軸線に対して、前記カールガイドと前記誘導ガイドが並ぶ方向と直交する方向に沿った一方の側に第1の突き当て部を備えると共に、他方の側に第2の突き当て部を備え、
前記第1の突き当て部と前記第2の突き当て部が独立して移動する
請求項2~請求項5の何れか1項に記載の結束機。
【請求項7】
前記第1の突き当て部と前記第2の突き当て部が移動したことを検知する検知部を備えた
請求項6に記載の結束機。
【請求項8】
前記第1の突き当て部と前記第2の突き当て部の移動を、単一の前記検知部に伝達する伝達部材を備えた
請求項7に記載の結束機。
【請求項9】
前記本体部から突出するハンドル部と、
前記ハンドル部を把持する手の操作で作動するトリガスイッチ部とを備え、
前記トリガスイッチ部が作動すると共に、前記コンタクトスイッチ部が作動すると、結束動作が実行される
請求項1~8の何れか1項に記載の結束機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
鉄筋等の結束物をワイヤで結束する結束機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、2本以上の鉄筋にワイヤを巻き、鉄筋に巻いたワイヤを捩じって当該2本以上の鉄筋をワイヤで結束する鉄筋結束機と称す結束機が提案されている。
【0003】
結束機は、モータの駆動力で送られるワイヤを、カールガイド等と称すワイヤに巻き癖を付けるガイドを通すことで鉄筋の周囲に巻いている。この巻き癖が付けられたワイヤを、誘導ガイド等と称すガイドで、ワイヤを捩じる結束部に誘導し、鉄筋の周囲に巻かれたワイヤを結束部で捩じることで、鉄筋がワイヤで結束される。
【0004】
このような結束機において、ハンドル部に設けたトリガスイッチ部による操作のみならず、鉄筋が配設された部位近傍の部材、または鉄筋に、コンタクト部材等と称す部材が突き当てられたことを検知して、結束動作を実行する結束機が提案されている。
【0005】
鉄筋が配設された部位近傍の部材に、コンタクト部材が突き当てられたことを検知する構成では、ワイヤに巻き癖を付けるガイド、または、巻き癖が付けられたワイヤを誘導するガイドのうち、前方に突出しているガイドに対し、コンタクト部材の一部がこのガイドから突出して設けられる。そして、鉄筋が配設された部位近傍の部材に、ガイドの先端を突き当てるようにして、コンタクト部材を作動させる構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、鉄筋にコンタクト部材が突き当てられたことを検知する構成では、ワイヤに巻き癖を付けるガイド、または、巻き癖が付けられたワイヤを誘導するガイドの一方に、ガイドに近づく方向へ移動可能なコンタクト部材を備える。そして、ガイドに鉄筋を突き当てるようにしてコンタクト部材を作動させる構成が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2949703号公報
【特許文献2】特許第6887760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
鉄筋が配設された部位近傍の部材に、ガイドの先端を突き当てるようにして、コンタクト部材を作動させる構成では、鉄筋と、鉄筋を捩じる結束部の距離が離れていても結束動作が実行されるため、鉄筋とワイヤの間に隙間が生じやすく、結束力が弱くなる。
【0009】
また、ガイドに鉄筋を突き当てるようにしてコンタクト部材を作動させる構成では、鉄筋と、結束部でワイヤを捩じる位置がずれ、鉄筋とワイヤの間に隙間が生じやすく、結束力が弱くなる。
【0010】
本発明は、このような課題を解決するためなされたもので、結束強度を確保できるようにした結束機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するため、本発明は、結束物に巻かれるワイヤを送るワイヤ送り部と、結束物に巻かれたワイヤを捩じる結束部と、ワイヤ送り部で送られるワイヤに巻き癖をつけるカールガイドと、カールガイドで巻き癖が付けられたワイヤを結束部に誘導する誘導ガイドと、結束物が突き当てられることで作動するコンタクトスイッチ部を備え、カールガイドと誘導ガイドは、本体部の一方の端部に設けられ、コンタクトスイッチ部は、結束物が突き当てられる突き当て部を備え、突き当て部は、カールガイドと誘導ガイドとの間であって、ワイヤを係止し、係止したワイヤを捩じることで結束する結束部の回転動作の軸線に対して、カールガイドと誘導ガイドが並ぶ方向と直交する方向に沿った少なくとも一方の側に設けられ、本体部の一方の端部から、結束部の回転動作の軸線に沿った突き当て部の前端位置までの突出量が、本体部の一方の端部から、結束部の回転動作の軸線に沿ったカールガイド及び誘導ガイドの前端位置までの突出量より短く構成され、突き当て部に結束物が突き当てられてコンタクトスイッチ部が作動すると、結束動作が実行される結束機である。
【0012】
本発明では、結束物が突き当て部に突き当てられるとコンタクトスイッチ部が作動し、結束動作が実行される。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、結束部の回転動作の軸線の延長線上またはその近傍に結束物が位置した状態で、結束動作を実行できる。また、突き当て部は、カールガイド及び誘導ガイドより突出しない。よって、カールガイド及び誘導ガイドより更に前側にある構造物が、突き当て部に接してコンタクトスイッチ部が作動することが抑制され、結束部の回転動作の軸線の延長線上またはその近傍に結束物が位置した状態で、結束動作を実行できる。これにより、ワイヤの捩じられる位置と、結束物の位置が大きくずれることが抑制され、結束強度を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す側面から見た内部構成図である。
図2A】本実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す側面図である。
図2B】本実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す側面図である。
図2C】本実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す正面図である。
図2D】本実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す上面図である。
図3A】本実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す側面から見た内部構成図である。
図3B図3AのA-A線断面図である。
図3C図3AのB-B線断面図である。
図4A】本実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す斜視図である。
図4B図4Aの要部C-C線断面図である。
図5A】本実施の形態のコンタクトスイッチ部の一例を示す斜視図である。
図5B】本実施の形態のコンタクトスイッチ部の一例を示す上面図である。
図5C】本実施の形態のコンタクトスイッチ部の一例を示す側面図である。
図5D】本実施の形態のコンタクトスイッチ部の一例を示す側面図である。
図5E】本実施の形態のコンタクトスイッチ部の一例を示す正面図である。
図6A】本実施の形態のコンタクトスイッチ部の取付構造の一例を示す要部側面図である。
図6B】本実施の形態のコンタクトスイッチ部の取付構造の一例を示す要部側面図である。
図7】本実施の形態の鉄筋結束機の動作の一例を示す要部側面図である。
図8A】本実施の形態の鉄筋結束機の動作の一例を示すコンタクトスイッチ部の上面図である。
図8B】本実施の形態の鉄筋結束機の動作の一例を示すコンタクトスイッチ部の上面図である。
図8C】本実施の形態の鉄筋結束機の動作の一例を示すコンタクトスイッチ部の上面図である。
図8D】本実施の形態の鉄筋結束機の動作の一例を示すコンタクトスイッチ部の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の結束機の実施の形態としての鉄筋結束機の一例について説明する。
【0016】
<本実施の形態の鉄筋結束機の構成例>
図1は、本実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す側面から見た内部構成図である。また、図2A図2Bは、本実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す側面図2Cは、本実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す正面図、図2Dは、本実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す上面図である。
【0017】
更に、図3Aは、本実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す側面から見た内部構成図、図3B図3Cは、本実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す上面から見た断面図で、図3Bは、図3AのA-A線断面図、図3Cは、図3AのB-B線断面図である。また、図4Aは、本実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す斜視図、図4Bは、図4Aの要部C-C線断面図である。
【0018】
鉄筋結束機1Aは、ワイヤWを矢印F0で示す正方向に送り、結束物である鉄筋Sの周囲に巻き回し、鉄筋Sの周囲に巻き回されたワイヤWを、矢印R0で示す逆方向に送って鉄筋Sに巻き付けて切断した後、ワイヤWを捩じり、鉄筋SをワイヤWで結束する。
【0019】
鉄筋結束機1Aは、上述した機能を実現するため、ワイヤWが収容されるマガジン2と、ワイヤWを送るワイヤ送り部3を備える。また、鉄筋結束機1Aは、ワイヤ送り部3で送られるワイヤWを鉄筋Sの周囲に巻き回す経路を構成するカール形成部5と、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを切断する切断部6を備える。更に、鉄筋結束機1Aは、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを捩じる結束部7と、結束部7を駆動する駆動部8を備える。
【0020】
また、鉄筋結束機1Aは、作業者が手に持って使用する形態であり、本体部10とハンドル部11を備える。
【0021】
鉄筋結束機1Aは、ハンドル部11を把持する手の操作で作動するトリガスイッチ部12と、鉄筋Sが突き当てられることで作動するコンタクトスイッチ部9を備える。鉄筋結束機1Aは、トリガスイッチ部12が作動すると共に、コンタクトスイッチ部9が作動すると、結束動作が実行される。鉄筋結束機1Aは、トリガスイッチ部12が作動した状態で、コンタクトスイッチ部9が作動すると、結束動作が実行されても良い。また、鉄筋結束機1Aは、コンタクトスイッチ部9が作動した状態で、トリガスイッチ部12が作動すると、結束動作が実行されても良い。更に、鉄筋結束機1Aは、コンタクトスイッチ部9が作動すると、結束動作が実行されても良く、トリガスイッチ部12を備えない構成でも良い。
【0022】
マガジン2は収容部の一例で、長尺状のワイヤWが繰り出し可能に巻かれたリール20が回転、着脱可能に収納される。ワイヤWは、塑性変形し得る金属線で構成されたワイヤ、金属線が樹脂で被覆されたワイヤ、あるいは撚り線のワイヤが使用される。
【0023】
ワイヤ送り部3は、1本または並列された複数本のワイヤWを挟持して送る一対の送りギア30と、送りギア30を駆動する図示しない送りモータを備える。ワイヤ送り部3は、送りモータの回転動作が伝達機構を介して伝達されて送りギア30が回転する。
【0024】
ワイヤ送り部3は、一対の送りギア30の間に挟持したワイヤWを、ワイヤWの延在方向に沿って送る。複数本、例えば2本のワイヤWを送る構成では、2本のワイヤWが並列された状態で送られる。
【0025】
ワイヤ送り部3は、送りモータの回転方向の正逆を切り替えることで、送りギア30の回転方向が切り替えられ、ワイヤWの送り方向が、一の方向である正方向と、一の方向と反対向きの他の方向である逆方向に切り替えられる。
【0026】
ワイヤガイド4は、ワイヤWを正方向に送る送り方向に対して、ワイヤ送り部3の上流側及び下流側の所定の位置に設けられる。ワイヤガイド4は、2本のワイヤWを送る構成では、2本のワイヤWの径方向の向きを規制し、進入してきた2本のワイヤWを並列にして、一対の送りギア30の間にガイドする。
【0027】
カール形成部5は、ワイヤ送り部3で送られるワイヤWに巻き癖をつけるカールガイド50と、カールガイド50で巻き癖を付けられたワイヤWを結束部7に誘導する誘導ガイド51を備える。鉄筋結束機1Aでは、ワイヤ送り部3で送られるワイヤWの経路がカール形成部5で規制されることで、ワイヤWの軌跡が図1に二点鎖線で示すようなループRuとなり、ワイヤWが鉄筋Sの周囲に巻き回される。
【0028】
切断部6は、固定刃部60と、固定刃部60との協働でワイヤWを切断する可動刃部61と、結束部7の動作を可動刃部61に伝達する伝達機構62を備える。切断部6は、固定刃部60を支点軸とした可動刃部61の回転動作でワイヤWを切断する。
【0029】
結束部7は、ワイヤWが係止されるワイヤ係止体70と、ワイヤ係止体70を作動させる回転軸72を備える。駆動部8は、モータ80と、減速及びトルクの増幅を行う減速機81を備える。結束部7と駆動部8は、回転軸72とモータ80が減速機81を介して連結され、回転軸72が、減速機81を介してモータ80に駆動される。
【0030】
ワイヤ係止体70は、回転軸72と連結されるセンターフック70Cと、センターフック70Cに対して開閉する第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lと、回転軸72の回転動作と連動して、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lを作動させるスリーブ71とを備える。
【0031】
結束部7において、センターフック70C及び第1のサイドフック70R、第2のサイドフック70Lが設けられた側を前側、回転軸72が減速機81と連結される側を後側とする。
【0032】
センターフック70Cは、回転軸72の一方の端部である前端に、回転軸72に対して回転可能、かつ、回転軸72と一体的に軸方向への移動が可能な構成を介して連結される。
【0033】
第1のサイドフック70Rは、回転軸72の軸方向に沿った一方の端部である先端側が、センターフック70Cに対して一方の側部に位置する。また、第1のサイドフック70Rは、回転軸72の軸方向に沿った他方の端部である後端側が、センターフック70Cに軸71bで回転可能に支持される。
【0034】
第2のサイドフック70Lは、回転軸72の軸方向に沿った一方の端部である先端側が、センターフック70Cに対して他方の側部に位置する。また、第2のサイドフック70Lは、回転軸72の軸方向に沿った他方の端部である後端側が、センターフック70Cに軸71bで回転可能に支持される。
【0035】
これにより、ワイヤ係止体70は、軸71bを支点とした回転動作で、第1のサイドフック70Rの先端側がセンターフック70Cに対して離接する方向に開閉する。また、第2のサイドフック70Lの先端側がセンターフック70Cに対して離接する方向に開閉する。
【0036】
スリーブ71は、回転軸72の周囲を覆う筒状で、回転軸72が挿入される筒状の空間の内周面に突出する図示しない凸部を有し、この凸部が、回転軸72の外周に軸方向に沿って形成された送りネジ72aの溝部に入る。スリーブ71は、回転軸72が回転すると、図示しない凸部と回転軸72の送りネジ72aの作用により、回転軸72の軸方向に沿った方向である前後方向へ、回転軸72の回転方向に応じて移動する。また、スリーブ71は、回転軸72と一体的に回転する。
【0037】
スリーブ71は、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lを開閉する開閉ピン71aを備える。
【0038】
開閉ピン71aは、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lに設けられた開閉ガイド孔73に挿入される。開閉ガイド孔73は、スリーブ71の移動方向に沿って延在し、スリーブ71と連動して移動する開閉ピン71aの直線方向の動きを、軸71bを支点とした第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lの回転による開閉動作に変換する形状を有する。
【0039】
ワイヤ係止体70は、スリーブ71が矢印R1で示す後方向に移動することで、開閉ピン71aの軌跡と開閉ガイド孔73の形状により、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが、軸71bを支点とした回転動作でセンターフック70Cから離れる方向に移動する。
【0040】
これにより、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが、センターフック70Cに対して開き、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間に、ワイヤWが通る送り経路が形成される。
【0041】
スリーブ71が回転しない領域に移動し、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが、センターフック70Cに対して開いた状態となると、ワイヤ送り部3で送られるワイヤWは、センターフック70Cと第1のサイドフック70Rの間を通る。センターフック70Cと第1のサイドフック70Rとの間を通るワイヤWは、カール形成部5に誘導される。そして、カール形成部5で巻き癖が付けられ、結束部7に誘導されたワイヤWは、センターフック70Cと第2のサイドフック70Lの間を通る。
【0042】
ワイヤ係止体70は、スリーブ71が矢印F1で示す前方向に移動することで、開閉ピン71aの軌跡と開閉ガイド孔73の形状により、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが、軸71bを支点とした回転動作でセンターフック70Cに近づく方向に移動する。これにより、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが、センターフック70Cに対して閉じる。
【0043】
第1のサイドフック70Rがセンターフック70Cに対して閉じると、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間を延伸方向に沿って移動することが可能な形態で係止される。また、第2のサイドフック70Lがセンターフック70Cに対して閉じると、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間から抜けない形態で係止される。
【0044】
ワイヤ係止体70は、ワイヤWの一方の端部である先端側を所定の方向に押して曲げることで、ワイヤWを所定の形状に成形する曲げ部71c1を備える。また、ワイヤ係止体70は、切断部6で切断されたワイヤWの他方の端部である終端側を所定の方向に押して曲げることで、ワイヤWを所定の形状に成形する曲げ部71c2を備える。
【0045】
スリーブ71は、矢印F1で示す前方向の端部が、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lと、センターフック70Cを挟んで2分割された形状で、回転しない領域において上側に位置する前方向の端部に曲げ部71c1が形成され、下側に位置する前方向の端部に曲げ部71c2が形成される。
【0046】
スリーブ71は、切断部6でワイヤWが切断された後、更に矢印F1で示す前方向に移動することで、センターフック70Cと第2のサイドフック70Lで係止されたワイヤWの先端側を曲げ部71c1で押して、鉄筋S側へ曲げる。また、スリーブ71は、センターフック70Cと第1のサイドフック70Rで係止され、切断部6で切断されたワイヤWの終端側を曲げ部71c2で押して、鉄筋S側へ曲げる。
【0047】
ワイヤWの先端側及び終端側が鉄筋S側に折り曲げられた後、スリーブ71が更に前方向に移動すると、回転軸72と連動してスリーブ71が回転し、ワイヤ係止体70で係止したワイヤWが捩じられる。
【0048】
回転軸72は、減速機81と一体的に回転可能、かつ、減速機81に対して軸方向に移動可能とする構成を有した連結部72bを介して、他方の端部である後端が減速機81に連結される。連結部72bは、回転軸72を減速機81に近づく方向である後方へ付勢し、軸方向に沿った回転軸72の位置を規制するバネ72cを備える。これにより、回転軸72は、バネ72cにより後方へ押される力を受けながら、減速機81から離れる方向である前方へ移動可能に構成される。よって、回転軸72は、鉄筋SをワイヤWで結束する動作で、軸方向に沿ってワイヤ係止体70を前方に移動させる力が加わると、バネ72cにより後方へ押される力を受けながら前方へ移動することで、ワイヤWが鉄筋Sに密着するようにして結束可能である。
【0049】
鉄筋結束機1Aは、上述したカール形成部5のカールガイド50と誘導ガイド51が、回転軸72の軸方向に沿った一方の側である本体部10の前側の端部に設けられる。
【0050】
図5Aは、本実施の形態のコンタクトスイッチ部の一例を示す斜視図、図5Bは、本実施の形態のコンタクトスイッチ部の一例を示す上面図、図5C図5Dは、本実施の形態のコンタクトスイッチ部の一例を示す側面図、図5Eは、本実施の形態のコンタクトスイッチ部の一例を示す正面図である。また、図6A図6Bは、本実施の形態のコンタクトスイッチ部の取付構造の一例を示す要部側面図である。
【0051】
コンタクトスイッチ部9は、鉄筋Sが突き当てられる一対の突き当て部91(第1の突き当て部91a、第2の突き当て部92b)を備える。突き当て部91は、カールガイド50と誘導ガイド51との間に入れられる鉄筋Sが突き当てられるようにするため、カールガイド50と誘導ガイド51で本体部10からの突出量が少ない誘導ガイド51の前端位置PFより突出せず、本体部10の前側の端部で、カールガイド50と誘導ガイド51との間に設けられる。
【0052】
突き当て部91は、ワイヤWを係止し、係止したワイヤWをワイヤ係止体70が回転して捻ることで結束する結束部7の回転動作の軸線L、すなわち、回転軸72の軸中心の延長線に対して、カールガイド50と誘導ガイド51が並ぶ方向と直交する左右方向である矢印L2、R2方向に沿った少なくとも一方の側に設けられる。本例では、矢印L2、R2方向に沿った一方の側(正面から見て左側)に第1の突き当て部91aが設けられ、他方の側(正面から見て右側)に第2の突き当て部91bが設けられる。
【0053】
第1の突き当て部91aと第2の突き当て部91bは、カールガイド50と誘導ガイド51が並ぶ方向に沿って延伸し、カールガイド50と誘導ガイド51に入れられた鉄筋Sが、結束部7の回転動作の軸線Lの延長線上で、第1の突き当て部91aと第2の突き当て部91bの少なくとも一方に接することが可能である。
【0054】
また、突き当て部91(第1の突き当て部91a、第2の突き当て部92b)は、本体部10の一方の端部である前端位置PF1から、軸線Lに沿って突出した前端位置PF2までの突出量L11が、本体部10の前端位置PF1から、軸線Lに沿って突出したカールガイド50及び誘導ガイド51の前端位置PFまでの突出量L12より短く構成される。
【0055】
本例では、カールガイド50と誘導ガイド51のうちで、誘導ガイド51の方が本体部10の前端位置PF1からの突出量が少ない。そこで、突き当て部91(第1の突き当て部91a、第2の突き当て部92b)は、本体部10の前端位置PF1から、軸線Lに沿って突出した部位の中で、最大に突出した部位の突出量L11が、本体部10の前端位置PF1から、軸線Lに沿って突出した誘導ガイド51の前端位置PFまでの突出量L12より短く構成される。
【0056】
これにより、突き当て部91(第1の突き当て部91a、第2の突き当て部92b)は、軸線Lに沿って突出した前端位置PF2が、カールガイド50と誘導ガイド51のうちで、本体部10からの突出量が少ない誘導ガイド51の前端位置PFより突出しない。よって、カールガイド50及び誘導ガイド51の前端位置より更に前側にある構造物が、突き当て部91に接して突き当て部91を作動させることが抑制される。
【0057】
コンタクトスイッチ部9は、第1の突き当て部91aと第2の突き当て部91bを、結束部7の回転動作の軸線Lに沿った前後方向に、独立して移動可能に支持する一対の移動部材92(第1の移動部材92a、第2の移動部材92b)を備える。また、コンタクトスイッチ部9は、第1の突き当て部91aと第2の突き当て部91bを、独立して前方向に独立して付勢する一対の付勢部材93(第1の付勢部材93a、第2の付勢部材93b)を備える。
【0058】
本体部10は、正面から見て左右に分割された一方のケース14Lと、他方のケース14Rがネジ等で一体に組み立てられる構成である。第1の突き当て部91aは、本体部10を構成する一方のケース14Lに、第1の移動部材92aを介して取り付けられる。ケース14Lは、第1の移動部材92aを前後方向に沿って移動可能に支持する支持部16Lを、前側の端部に備える。第1の突き当て部91aが取り付けられた第1の移動部材92aは、ケース14Lの支持部16Lに、前後方向に移動可能な状態で支持される。これにより、第1の突き当て部91aは、本体部10の前側の端部に、結束部7の回転動作の軸線Lに沿った直線方向に移動可能に支持される。
【0059】
第1の付勢部材93aは、例えばコイルバネで構成され、ケース104Lの支持部16Lに、前後方向に移動可能な状態で支持された第1の移動部材92aを、前方向に付勢する。これにより、第1の突き当て部91aは、本体部10の前側の端部から、前方に突出する方向へ付勢される。また、第1の突き当て部91aは、後方に押される力を受けると、第1の付勢部材93aを圧縮しながら、後方へ移動する。
【0060】
第1の突き当て部91aは、本体部10の前側の端部から、第1の付勢部材93aで付勢されて前方に突出した第1の位置を初期位置P1と称す。また、第1の突き当て部91aは、第1の付勢部材93aを圧縮しながら、後方へ所定量移動した第2の位置を結束位置P2と称す。
【0061】
第2の突き当て部91bは、本体部10を構成する他方のケース14Rに、第2の移動部材92bを介して取り付けられる。ケース14Rは、第2の移動部材92bを前後方向に沿って移動可能に支持する支持部16Rを、前側の端部に備える。第2の突き当て部91bが取り付けられた第2の移動部材92bは、ケース14Rの支持部16Rに、前後方向に移動可能な状態で支持される。これにより、第2の突き当て部91bは、本体部10の前側の端部に、第1の突き当て部91aと独立して直線方向に移動可能に支持される。
【0062】
第2の付勢部材93bは、例えばコイルバネで構成され、ケース4Rの支持部16Rに、前後方向に移動可能な状態で支持された第2の移動部材92bを、前方向に付勢する。これにより、第2の突き当て部91bは、本体部10の前側の端部から、第1の突き当て部91aと独立して前方に突出する方向へ付勢される。また、第2の突き当て部91bは、後方に押される力を受けると、第2の付勢部材93bを圧縮しながら、後方へ移動する。
【0063】
第2の突き当て部91bは、本体部10の前側の端部から、第2の付勢部材93bで付勢されて前方に突出した第1の位置を初期位置P1と称す。また、第2の突き当て部91bは、第2の付勢部材93bを圧縮しながら、後方へ所定量移動した第2の位置を結束位置P2と称す。
【0064】
コンタクトスイッチ部9は、第1の突き当て部材91aと第2の突き当て部材91bの作動の有無を検知する検知部94と、第1の突き当て部材91aと第2の突き当て部材91bの動きを検知部94に伝達する伝達部材95を備える。
【0065】
検知部94は、例えばマイクロスイッチと称すスイッチで構成され、可動子94aが所定量押されることで出力が変化する。検知部94は、可動子94aの移動方向が前後方向となる向きで、一方のケース14Rに取り付けられる。なお、検知部94は、マイクロスイッチ以外の他のスイッチ、センサでも良く、ホールセンサや光学センサ等の非接触型のセンサでも良い。
【0066】
伝達部材95は、第1の突き当て部材91aが取り付けられた第1の移動部材92aに、軸95aを介して回転可能に取り付けられる。伝達部材95は、第1の移動部材92aと共に前後方向に移動すると共に、軸95aを支点とした回転動作で、第1の移動部材92aに対して変位する。伝達部材95は、軸95aを支点とした回転動作で変位する反対側の端部が、検知部94の可動子94aと対向する。
【0067】
伝達部材95は、軸95aに支持される側と反対側の端部が、第2の突き当て部材91bが取り付けられた第2の移動部材92bと係合する。伝達部材95は、軸95aに支持される側と反対側の端部が、第2の移動部材92bに押し付けられる方向に、コイルバネ等の付勢部材95bで付勢される。
【0068】
これにより、伝達部材95は、第1の突き当て部91aが後方へ押され、第1の移動部材92aが後方向に移動すると、第1の移動部材92aと共に後方へ移動し、検知部94の可動子94aを押す。
【0069】
また、伝達部材95は、第2の突き当て部91bが後方へ押され、第2の支持部材92bが後方向に移動すると、付勢部材95bを圧縮しながら軸95aを支点に回転し、検知部94の可動子94aを押す。
【0070】
なお、第1の突き当て部91a及び第2の突き当て部91bの移動方向が、結束部7の回転動作の軸線Lに沿った前後方向に円弧を描くように、第1の突き当て部91a及び第2の突き当て部91bが回転動作で移動する構成としても良い。
【0071】
トリガスイッチ部12は、手で把持されるハンドル部11の一方の側である前側に、指の動作で前後方向に変位可能なトリガ13aを備える。また、トリガスイッチ部12は、ハンドル部11の内部に、トリガ13aの作動の有無を検知するスイッチ13bを備える。
【0072】
鉄筋結束機1Aは、コンタクトスイッチ部9とトリガスイッチ部12の作動の有無で、結束動作を実行する制御部100を備える。制御部100は、トリガスイッチ部12が作動すると共に、コンタクトスイッチ部9が作動すると、モータ80及び送りギア30を駆動する図示しない送りモータを制御して結束動作を実行する。制御部100は、トリガスイッチ部12が作動した状態で、コンタクトスイッチ部9が作動すると、結束動作を実行する。なお、制御部100は、コンタクトスイッチ部9が作動した状態で、トリガスイッチ部12が作動すると、結束動作を実行しても良い。また、制御部100は、コンタクトスイッチ部9が作動すると、結束動作を実行しても良く、トリガスイッチ部12を備えない構成でも良い。
【0073】
鉄筋結束機1Aは、ハンドル部11が本体部10から下方向に延在する。また、ハンドル部11の下部にバッテリ15が着脱可能に取り付けられる。更に、鉄筋結束機1Aは、マガジン2がハンドル部11の前方に設けられる。鉄筋結束機1Aは、上述したワイヤ送り部3、切断部6、結束部7,結束部7を駆動する駆動部8、コンタクトスイッチ部9、トリガスイッチ部12等が本体部10に収納される。
【0074】
また、鉄筋結束機1Aは、ワイヤ送り部3、カール形成部5、切断部6、結束部7,駆動部8を構成する各要素、コンタクトスイッチ部9を構成する第1の突き当て部91a、第1の移動部材92a、第1の付勢部材93a、検知部94及び伝達部材95と、トリガスイッチ部12、制御部100を構成する各要素が、本体部10を構成する一方のケース14Lに取り付けられる。また、鉄筋結束機1Aは、コンタクトスイッチ部9を構成する第2の突き当て部91b、第2の移動部材92b及び第2の付勢部材93bが、本体部10を構成する他方のケース14Rに取り付けられる。そして、一方のケース14Lと、他方のケース14Rがネジ等で一体に組み立てられる。これにより、鉄筋結束機1Aの組み立てが容易に行える。
【0075】
<本実施の形態の鉄筋結束機の動作例>
図7は、本実施の形態の鉄筋結束機の動作の一例を示す要部側面図、図8A図8Dは、本実施の形態の鉄筋結束機の動作の一例を示すコンタクトスイッチ部の上面図であり、次に、各図を参照して、本実施の形態の鉄筋結束機1AにおいてワイヤWで鉄筋Sの結束を開始する動作について説明する。
【0076】
鉄筋Sがカールガイド50と誘導ガイド51との間に入れられていない状態では、図8Aに示すように、第1の突き当て部91aは、第1の付勢部材93aで付勢されて本体部10の前側の端部から前方に突出した初期位置P1に移動し、第2の突き当て部91bは、第2の付勢部材93bで付勢されて本体部10の前側の端部から前方に突出した初期位置P1に移動する。これにより、検知部94の可動子94aが押されず、第1の突き当て部91a及び第2の突き当て部91bの何れも非作動の状態である。
【0077】
制御部100は、第1の突き当て部91a及び第2の突き当て部91bの何れも非作動の状態では、トリガスイッチ部12Aが作動しても、結束動作を実行しない。
【0078】
図7に示すように、鉄筋Sがカール形成部5のカールガイド50と誘導ガイド51との間に入れられる動作では、結束部7の回転動作の軸線Lの延長線上またはその近傍で、鉄筋Sが第1の突き当て部91aと第2の突き当て部91bの少なくとも一方に接する。
【0079】
鉄筋Sが第1の突き当て部91a側に近づく方向に、鉄筋S及び鉄筋結束機1Aが相対的に傾斜している場合、図8Bに示すように、鉄筋Sにより第1の突き当て部91aが後方へ押され、第1の移動部材92aが後方向に移動する。
【0080】
第1の移動部材92aが後方向に移動すると、伝達部材95が第1の移動部材92aと共に後方へ移動し、検知部94の可動子94aを押す。そして、第1の突き当て部91aが初期位置P1から結束位置P2に移動することで、可動子94aが所定量押されることにより検知部94の出力が変化し、第1の突き当て部91aが作動したことが、検知部94で検知される。
【0081】
鉄筋Sが第2の突き当て部91b側に近づく方向に、鉄筋S及び鉄筋結束機1Aが相対的に傾斜している場合、図8Cに示すように、鉄筋Sにより第2の突き当て部91bが後方へ押され、第2の移動部材92bが後方向に移動する。
【0082】
第2の支持部材92bが後方向に移動すると、伝達部材95が付勢部材95bを圧縮しながら軸95aを支点に回転し、検知部94の可動子94aを押す。そして、第2の突き当て部91bが初期位置P1から結束位置P2に移動することで、可動子94aが所定量押されることにより検知部94の出力が変化し、第2の突き当て部91bが作動したことが、検知部94で検知される。
【0083】
鉄筋Sが第1の突き当て部91a及び第2の突き当て部91bに対して略平行となっている場合、図8Dに示すように、鉄筋Sにより第1の突き当て部91aが後方に押され、第1の移動部材92aが後方に移動すると共に、第2の突き当て部91bが後方へ押され、第2の移動部材92bが後方向に移動する。
【0084】
第1の移動部材92a及び第2の移動部材92bが後方向に移動すると、伝達部材95が第1の移動部材92aと共に後方へ移動し、検知部94の可動子94aを押す。そして、第1の突き当て部91a及び第2の突き当て部91bが初期位置P1から結束位置P2に移動することで、可動子94aが所定量押されることにより検知部94の出力が変化し、第1の突き当て部91a及び第2の突き当て部91bが作動したことが、検知部94で検知される。
【0085】
制御部100は、トリガスイッチ部12が作動した状態で、第1の突き当て部91a及び第2の突き当て部91bの少なくとも一方が後方へ所定量移動し、検知部94の出力が変化して、コンタクトスイッチ部9が作動したことを検知すると、モータ80及び送りギア30を駆動する図示しない送りモータを制御して結束動作を実行する。なお、制御部100は、コンタクトスイッチ部9が作動した状態で、トリガスイッチ部12が作動すると、結束動作を実行しても良い。また、制御部100は、コンタクトスイッチ部9が作動すると、結束動作を実行しても良く、トリガスイッチ部12を備えない構成でも良い。
【0086】
結束動作が開始されると、図示しない送りモータが正回転方向に駆動され、ワイヤ送り部3でワイヤWが矢印F0で示す正方向に送られる。
【0087】
複数本、例えば2本のワイヤWで鉄筋Sを結束する構成の場合、ワイヤガイド4により、2本のワイヤWが当該ワイヤWにより形成されるループRuの軸方向に沿って並列された状態で送られる。
【0088】
正方向に送られるワイヤWは、センターフック70Cと第1のサイドフック70Rの間を通り、カール形成部5のカールガイド50に送られる。ワイヤWは、カールガイド50を通ることで、鉄筋Sの周囲に巻き回される巻き癖が付けられる。
【0089】
カールガイド50で巻き癖が付けられたワイヤWは、誘導ガイド51に誘導され、更にワイヤ送り部3で正方向に送られることで、誘導ガイド51によりセンターフック70Cと第2のサイドフック70Lの間に誘導される。そして、ワイヤWの先端が所定の位置まで送られると、ワイヤWの正方向への送りが停止される。
【0090】
ワイヤWの正方向への送りを停止した後、モータ80が正回転方向に駆動される。スリーブ71は、ワイヤ係止体70でワイヤWを係止する動作域では、前方向である矢印F1方向に移動する。
【0091】
スリーブ71が前方向に移動すると、開閉ピン71aが開閉ガイド孔73を通過する。これにより、第1のサイドフック70Rは、軸71bを支点とした回転動作で、センターフック70Cに近づく方向に移動する。第1のサイドフック70Rがセンターフック70Cに対して閉じると、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間を延伸方向に沿って移動することが可能な形態で係止される。
【0092】
また、第2のサイドフック70Lは、軸71bを支点とした回転動作で、センターフック70Cに近づく方向に移動する。第2のサイドフック70Lがセンターフック70Cに対して閉じると、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間から抜けない形態で係止される。
【0093】
第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが閉じる動作でワイヤWを係止する位置までスリーブ71を前進させた後、モータ80の回転を一時停止し、図示しない送りモータを逆回転方向に駆動する。
【0094】
これにより、一対の送りギア30が逆転し、一対の送りギア30の間に挟持されたワイヤWが、矢印R0で示す逆方向に送られる。ワイヤWの先端側が、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間から抜けない形態で係止されているので、ワイヤWを逆方向に送る動作で、ワイヤWは鉄筋Sに巻き付けられる。
【0095】
ワイヤWを鉄筋Sに巻き付けて、ワイヤWの逆方向への送りを停止した後、モータ80を正回転方向に駆動することで、スリーブ71を更に矢印F1で示す前方向に移動させる。
【0096】
スリーブ71が前方向に移動する動作が伝達機構62で切断部6に伝達されることで可動刃部61が回転し、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cで係止されたワイヤWが、固定刃部60と可動刃部61の動作で切断される。
【0097】
モータ80を正回転方向に駆動することで、スリーブ71を矢印F1で示す前方向に移動させてワイヤWを切断するとほぼ同時に、曲げ部71c1、71c2が鉄筋Sに接近する方向へ移動する。これにより、センターフック70Cと第2のサイドフック70Lとの間で係止されたワイヤWの先端側が、曲げ部71c1で鉄筋S側へ押圧され、鉄筋S側へ曲げられる。
【0098】
また、センターフック70Cと第1のサイドフック70Rとの間で係止され、切断部6で切断されたワイヤWの終端側が、曲げ部71c2で鉄筋S側へ押圧され、鉄筋S側へ曲げられる。
【0099】
ワイヤWの先端側及び終端側を鉄筋S側に折り曲げた後、モータ80が更に正回転方向に駆動されることで、スリーブ71が更に前方向に移動する。スリーブ71が所定の位置まで移動することで、ワイヤ係止体70で係止したワイヤWを捩じる動作域に到達すると、回転軸72と連動してスリーブ71が回転し、ワイヤ係止体70で係止したワイヤWが捩じられる。
【0100】
ワイヤWを捩じることで、モータ80に掛かる負荷が最大となったことが検知されると、モータ80の正転が停止される。次に、モータ80が逆回転方向に駆動されることで、回転軸72が逆回転し、スリーブ71は、後方向である矢印R1方向に移動する。
【0101】
スリーブ71が後方向に移動すると、ワイヤWの保持が解消される。また、スリーブ71が後方向に移動すると、第1のサイドフック70Rがセンターフック70Cから離れる方向に移動すると共に、第2のサイドフック70Lがセンターフック70Cから離れる方向に移動する。これにより、ワイヤ係止体70からワイヤWが抜ける。
【0102】
以上説明したように、鉄筋Sがカール形成部5のカールガイド50と誘導ガイド51との間に入れられる動作では、結束部7の回転動作の軸線Lの延長線上またはその近傍で、鉄筋Sが第1の突き当て部91aと第2の突き当て部91bの少なくとも一方に接する。そして、鉄筋Sで第1の突き当て部91aと第2の突き当て部91bの少なくとも一方が押され、後方に移動することでコンタクトスイッチ部9が作動したことが検知されると、結束動作が実行される。
【0103】
これにより、結束部7の回転動作の軸線Lの延長線上またはその近傍に鉄筋Sが位置した状態で、結束動作を実行できる。また、第1の突き当て部91a及び第2の突き当て部91bの移動方向が、結束部7の回転動作の軸線Lに沿った前後方向であるので、コンタクトスイッチ部9を作動させる動作でも、結束部7の回転動作の軸線Lの延長線上またはその近傍から、鉄筋Sの位置が大きくずれることが抑制される。
【0104】
従って、ワイヤWの捩じられる位置と、鉄筋Sの位置が大きくずれることが抑制され、結束強度を確保できる。
【符号の説明】
【0105】
1A・・・鉄筋結束機、10・・・本体部、11・・・ハンドル部、12・・・トリガスイッチ部、13a・・・トリガ、13b・・・スイッチ、2・・・マガジン、3・・・ワイヤ送り部、30・・・送りギア、4・・・ワイヤガイド、5・・・カール形成部、50・・・カールガイド、51・・・誘導ガイド、6・・・切断部、7・・・結束部、70・・・ワイヤ係止体、72・・・回転軸、8・・・駆動部、80・・・モータ、9・・・コンタクトスイッチ部、91・・・突き当て部(91a・・・第1の突き当て部、91b・・・第2の突き当て部)、92・・・移動部材(92a・・・第1の移動部材、92b・・・第2の移動部材)、93・・・付勢部材(93a・・・第1の付勢部材、93b・・・第2の付勢部材)、94・・・検知部、94a・・・可動子、95・・・伝達部材、94a・・・軸、95b・・・付勢部材、W・・・ワイヤ
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C
図8D