(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020712
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】測定器
(51)【国際特許分類】
G01D 11/24 20060101AFI20230202BHJP
G08C 17/00 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
G01D11/24 B
G08C17/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021126241
(22)【出願日】2021-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(74)【代理人】
【識別番号】230128026
【弁護士】
【氏名又は名称】駒木 寛隆
(72)【発明者】
【氏名】田中 康寛
【テーマコード(参考)】
2F073
【Fターム(参考)】
2F073AA03
2F073AA12
2F073AA19
2F073AA25
2F073AB01
2F073AB02
2F073BB01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CC12
2F073CD11
2F073DE06
2F073DE13
2F073EE09
2F073EE11
2F073FF01
2F073FG01
2F073FG02
2F073GG01
2F073GG05
(57)【要約】
【課題】従来よりも温度が高い環境で使用可能な電池で駆動する測定器を提供する。
【解決手段】測定対象の物理量を測定する測定器10は、測定対象の物理量を測定し、測定結果を電気信号として出力するセンサ回路2と、前記測定器10の構成要素を駆動するための電力を蓄える電池51と、前記センサ回路2と前記電池51とを接続する電気回路上に設けられ、前記電気信号を伝達するとともに、熱伝導を抑制する断熱部21,22と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の物理量を測定する測定器であって、
前記測定対象の物理量を測定し、測定結果を電気信号として出力するセンサ回路と、
前記測定器の構成要素を駆動するための電力を蓄える電池と、
前記センサ回路と前記電池とを接続する電気回路上に設けられ、前記電気信号を伝達するとともに、熱伝導を抑制する断熱部と、
を備える測定器。
【請求項2】
前記断熱部は、ニクロム薄膜の抵抗体による表面実装用抵抗器である、請求項1に記載の測定器。
【請求項3】
前記ニクロム薄膜は、ジルコニア基板上に形成される、請求項2に記載の測定器。
【請求項4】
前記断熱部は、ニクロムによるリード線である、請求項1に記載の測定器。
【請求項5】
前記断熱部は、ステンレスによるリード線である、請求項1に記載の測定器。
【請求項6】
前記測定結果を無線信号として出力する無線通信回路を更に備える、請求項1に記載の測定器。
【請求項7】
前記センサ回路、前記電池、及び前記断熱部を収容する、銅と比べて熱伝導性が低い容器を更に備える、請求項1から6のいずれか1項に記載の測定器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定器に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、プラントにおいて用いられる、産業IoT(Internet of Things)向けの温度及び圧力の測定器(センサ)が記載されている。非特許文献1に記載の測定器は、温度又は圧力を測定し、LoRa(Long Range)通信等の無線通信により測定値を送信する。これらの測定器は電池で駆動する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】落合覚他、他3名、「産業用IoT向けSushi Sensor温度センサ・圧力センサ」、横河技報、横河電機株式会社、2019年、第62巻、第2号、p.69-74
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1の測定器を用いて高温のプロセスセンシングを行う場合、プロセス接触部からセンサ回路を通じて熱が伝わり、測定器の内部の温度が上昇する。そして、一般に電池の使用温度の上限は他の電子部品の使用温度の上限よりも低い。そのため、従来の測定器は、電池の使用温度の上限以下の温度の環境でしか使用することができなかった。
【0005】
本開示の目的は、従来よりも温度が高い環境で使用可能な電池で駆動する測定器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
幾つかの実施形態に係る測定器は、測定対象の物理量を測定する測定器であって、前記測定対象の物理量を測定し、測定結果を電気信号として出力するセンサ回路と、前記測定器の構成要素を駆動するための電力を蓄える電池と、前記センサ回路と前記電池とを接続する電気回路上に設けられ、前記電気信号を伝達するとともに、熱伝導を抑制する断熱部と、を備える。このように、センサ回路と電池とを接続する電気回路上に、電気信号は伝達するが、熱伝導は抑制する断熱部を設けたことで、測定対象の物理量の測定の際に受け取った熱が電池に伝わることを抑制することができる。したがって、測定器は電池で駆動するものの、従来よりも温度が高い環境で使用可能である。
【0007】
一実施形態において、前記断熱部は、ニクロム薄膜の抵抗体による表面実装用抵抗器である。ニクロムは、電気信号は伝達するが、熱伝導性は低いため、ニクロム薄膜の抵抗体による表面実装用抵抗器により断熱部を構成することで、センサ回路から電池へ熱が伝わることを抑制することができる。
【0008】
一実施形態において、前記ニクロム薄膜は、ジルコニア基板上に形成される。ジルコニアは、電気信号は伝達するが、熱伝導性は低いため、センサ回路から電池へ熱が伝わることを抑制することができる。
【0009】
一実施形態において、前記断熱部は、ニクロムによるリード線である。ニクロムは、電気信号は伝達するが、熱伝導性は低いため、センサ回路から電池へ熱が伝わることを抑制することができる。
【0010】
一実施形態において、前記断熱部は、ステンレスによるリード線である。ステンレスは、電気信号は伝達するが、熱伝導性は低いため、センサ回路から電池へ熱が伝わることを抑制することができる。
【0011】
一実施形態において、前記測定結果を無線信号として出力する無線通信回路を更に備える。センサ回路による測定結果を無線信号として外部へ伝達することができる。
【0012】
一実施形態において、前記センサ回路、前記電気、及び前記断熱部を収容する、熱伝導性が低い容器を更に備える。測定器の構成要素を容器に収容することで、外部の熱源から保護することができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示の一実施形態によれば、電池により駆動して、従来よりも温度が高い環境で使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】本開示の一実施形態に係る測定器の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図2の測定器の構成例を模式的に示す図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係る測定器の構成例を示すブロック図である。
【
図5】本開示の一実施形態に係る測定器の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<比較例>
図1は、比較例に係る測定器90の構成を示す図である。測定器90は、プロセス接触部91、センサ回路92、演算回路93、無線通信回路94、電源回路95、電池96、アンテナ97、及び容器98を備える。プロセス接触部91は、測定対象のプロセスに接触する。センサ回路92は、プロセス接触部91を通じてプロセスの状態を検出し、圧力、温度又は振動等の測定結果を出力する。演算回路93は、センサ回路92から入力された測定結果に対して所定の演算を行う。無線通信回路94は、センサ回路92の測定結果を外部の無線通信機器に向けて無線で送信するための信号処理を行う。アンテナ97は、演算回路93で信号処理が行われた信号を、無線信号として出力する。電池96は、測定器90の各構成要素を駆動するための電力エネルギーを蓄える。電源回路95は、電池51からエネルギーを取り出し、測定器90の各構成要素に提供する。容器98は、センサ回路92、演算回路93、無線通信回路94、電源回路95、電池96、及びアンテナ97を収容する。
【0016】
比較例に係る測定器90を用いて高温のプロセスセンシングを行う場合、プロセス接触部91からセンサ回路92を通じて熱が伝わり、測定器90の内部の温度が上昇する。さらに、測定器90内の回路を構成する導体を介してプロセス接触部91から電池96へ熱が伝わる場合もある。測定器90の回路に用いる電子部品の使用温度上限は一般に125℃~150℃である。これに対して電池96の使用温度上限は85℃と低い。そのため、比較例に係る測定器90は、電池96の使用温度の上限以下の温度の環境でしか使用することができなかった。
【0017】
<実施形態>
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照して説明する。各図面中、同一の構成又は機能を有する部分には、同一の符号を付している。本実施形態の説明において、同一の部分については、重複する説明を適宜省略又は簡略化する場合がある。
【0018】
(第1実施形態)
図2は、本開示の第1実施形態に係る測定器10aの構成例を示すブロック図である。測定器10aは、プロセス接触部1、センサ回路2、断熱回路21、演算回路3、無線通信回路4、電源回路5、電池51、アンテナ41、及び容器6を備える。プロセス接触部1は、プラントにおける測定対象のプロセスに接触する。センサ回路2は、プロセス接触部1を通じてプロセスの状態を検出し、圧力、温度、又は振動等を測定し、測定結果を断熱回路21へ出力する。断熱回路21は、センサ回路2からの測定結果を後段の演算回路3に伝達するとともに、後段の演算回路3への熱伝導を抑制する。演算回路3は、センサ回路2から入力された測定結果に対して所定の演算を行う。無線通信回路4は、センサ回路2の測定結果を外部の無線通信機器に向けて無線で送信するための信号処理を行う。アンテナ41は、演算回路3で信号処理が行われた信号を、無線信号として出力する。電池51は、測定器10aの各構成要素を駆動するための電力エネルギーを蓄える。電源回路5は、電池51に接続されて、電池51からエネルギーを取り出し、測定器10aの各構成要素に提供する。容器6は、センサ回路2、断熱回路21、演算回路3、無線通信回路4、電源回路5、電池51、及びアンテナ41を収容する。
【0019】
測定器10aは、主たる熱源となるプロセス接触部1と電池51との間に、電気的には導体であるが、熱抵抗が大きいニクロム又はステンレス等の材料により構成された断熱回路21を備える。したがって、プロセス接触部1からの熱は断熱回路21において遮断されるため、測定器10aは、従来よりも温度が高い環境で使用可能である。
【0020】
図3は、
図2の測定器10aの構成例を模式的に示す図である。以下、一例として、測定器10aが、配管100の圧力をセンシングする場合を説明する。プロセス接触部1は、例えば、配管100内の圧力変化に応じてその形状が変化するダイヤフラム(膜)を備える。プロセス接触部1は、ダイヤフラムの形状変化を伝達するオイルを介して、配管100内の圧力変化をセンサ回路2に伝える。
【0021】
センサ回路2は、例えば、ピエゾ抵抗型の圧力センサを備える。プロセス接触部1が出力する配管100内の圧力変化は、センサ回路2内の圧力センサにより電気抵抗の変化量として検出され、その結果、電気信号に変換される。圧力の電気信号への変換と並行して、プロセスの熱がセンサ回路2の電気回路を通じて、断熱回路21に伝達される。
【0022】
断熱回路21は、例えば、表面実装用抵抗器と同様のプロセスで製造される。断熱回路21を実現する抵抗体は、例えば、熱伝導率が低いニクロム薄膜で形成されてもよい。断熱回路21は、例えば、薄膜の長さTを1mm、断面をL×W=1mm×0.02mmで形成したものを5系統接続したものとして構成されてもよい。ニクロムの熱伝導率は70W/m・K程度であり、銅の400W/m・Kの1/5以下である。また、この薄膜をめっきする基材23として熱伝導率がアルミナの1/10程度(3W/m・K)のジルコニアを用いてもよい。ジルコニアの断面積は、例えば、L×W=1mm×0.5mm×5系統としてもよい。
【0023】
図3において、金属の配管100はプロセスに直結しており、ステンレス製の締結部6cによりステンレス製のボディ6bと締結されている。配管100内の熱はプロセス接触部1のダイヤフラムを通してボディ6bに溶接で接続されたセンサ回路2に伝えられる。センサ回路2の銅製のリード線24は、例えば、ガラスエポキシのプリント基板7aにはんだ付けされている。ガラスエポキシの熱伝導率は0.4W/m・K程度であり、銅と比較すると1/1000であり無視できるほど小さい。したがって、ほとんどの熱はセンサ回路2のリード線24からプリント基板7aの各回路間を接続する銅パターンを経由した熱伝導で伝わる。センサ回路2のリード線24は、例えば、ガラスエポキシのプリント基板7aに対してねじ止めにより固定されてもよい。
【0024】
プリント基板7aはコネクタ8aでプリント基板7bと接続されている。プリント基板7bの下部には断熱回路21が実装される。断熱回路21の上方に演算回路3、無線通信回路4、及びアンテナ41が順に実装されている。このような配置にすることにより、センサ回路2から銅パターンを通して伝達される熱を断熱回路21の低い熱伝導率の効果によって伝わりにくくすることができる。
【0025】
コネクタ8b、ケーブル9a、及びコネクタ8cを経由して、プリント基板7bに接続されるプリント基板7cには電源回路5が実装される。電源回路5は、コネクタ8c、ケーブル9a、及びコネクタ8bを介して、プリント基板7bに電源を供給している。プリント基板7cの電源回路5は、コネクタ8d、及びケーブル9bを経由して電池51に接続されている。プリント基板7c、及び電池51は、ボディ6bに取り付けられたポリカーボネート製の支持部6dで支持される。ポリカーボネートの熱伝導率は0.2W/m・K程度であり、プリント基板7c及び電池51にボディ6bの熱は伝わりにくい。したがって、プロセス接触部1の熱は、センサ回路2までは伝わるが、断熱回路21により熱的に遮断され、演算回路3、無線通信回路4、電源回路5、電池51、及びアンテナ41には熱が伝わりにくい。
【0026】
断熱回路21による熱的な遮断の効果について試算値を用いて説明する。断熱回路21に当たる薄膜を銅で形成した構成は断熱回路なしの構成に相当する。薄膜をニクロムで形成した構成は断熱回路ありの構成に相当する。薄膜の材質の差異以外の条件を同じとして、この2つの薄膜の熱抵抗を算出する。
【0027】
熱抵抗は厚み/(熱伝導率×面積)で算出されることから、熱が伝わる部材の熱抵抗Rth=(T/1000)/(k×L/1000×W/1000×5)となる。ただし、Tは熱が伝わる部材(例えば、薄膜)の長さ(mm)、kは部材の材料の熱伝導率(W/m・K)、Lは部材のTに直交する方向の長さ(mm)、Wは部材の厚さ(mm)である。前述のように、例えば、T=1、L=1、W=0.02としてもよい。その場合、銅薄膜の熱抵抗Rth(Cu)、及びニクロム薄膜の熱抵抗Rth(NiCr)は次のようになる。
Rth(Cu)=(1/1000)/(400×1/1000×0.02/1000×5)=25℃/W
Rth(NiCr)=(1/1000)/(70×1/1000×0.02/1000×5)=143℃/W
【0028】
また、薄膜の基材をジルコニア基材とした場合、ジルコニア基材の熱抵抗Rth(Zr)は次のようになる。
Rth(Zr)=(1/1000)/(3×1/1000×0.5/1000×5)=133.3℃/W
【0029】
ジルコニア基材を各薄膜に並列接続したときの熱抵抗は、銅薄膜と、ニクロム薄膜とで、次のようになる。
銅薄膜:1/(1/25+1/133.3)=21℃/W
ニクロム薄膜:1/(1/143+1/133.3)=69℃/W
【0030】
例えば、熱源の仕事率を1Wとすると、銅の薄膜を通過する前後の温度差ΔT(Cu)、及び、ニクロムの薄膜を通過する前後の温度差ΔT(NiCr)は次のようになる。
ΔT(Cu)=Rth(Cu)×1=21℃/W×1=21℃
ΔT(NiCr)=Rth(NiCr)×1=69℃/W×1=69℃
【0031】
例えば、プロセスの温度が150℃の場合、薄膜の後段部分の温度は、銅の薄膜及びニクロムの薄膜で、次のようになる。
銅:150℃-21℃=129℃
ニクロム:150℃-69℃=81℃
したがって、銅の薄膜と、ニクロムの薄膜との後段部分の温度差は、129℃-81℃=48℃となる。すなわち、ニクロム薄膜で構成された断熱回路21は、プロセス接触部1との温度差を、銅薄膜よりも48℃大きくとることができる。
【0032】
以上のように、断熱回路21は、プロセス接触部1からセンサ回路2を通じて演算回路3に伝達される熱を制限し、断熱回路21前後の温度差ΔTを大きくとる。したがって、測定器10aは、従来の構成と比較して演算回路3以下の後段部分の温度上昇を低く抑えることが可能である。断熱回路21を設けることにより、使用温度上限が電子部品と比較して低い電池の周囲温度が下がるので、測定器10aの使用温度上限を電池の周囲温度が下がった分だけ上げることができる。すなわち、測定器10aは、より高温の環境で使用することができる。
【0033】
(第2実施形態)
図4は、本開示の第2実施形態に係る測定器10bの構成例を示すブロック図である。本実施形態では、主に第1実施形態と相違する構成について説明し、同一又は共通する構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0034】
第2実施形態と第1実施形態との差異は、断熱回路21が断熱リード線22に置き換えられたことである。断熱リード線22は断熱回路21と同様にセンサ回路2からの入力信号を通過させるとともに熱伝導を抑制する働きをする。断熱リード線22の材料には、熱伝導率が低いニクロム線又はステンレス線を用いられてもよい。ステンレス線の熱伝導率は20W/m・K程度である。ステンレス線は、ニクロム線よりも断熱効果が更に高い。さらに、薄膜を形成する基材を経由した熱伝導の漏れがなくなるため、薄膜による断熱回路21よりも熱分離の性能向上を更に期待することができる。ニクロム線又はステンレス線の回路への接続は、例えば、ステンレス用はんだを用いたはんだ付けにより行ってもよい。あるいは、ニクロム線又はステンレス線は、端子を圧着して端子台にねじ止め接続してもよい。
【0035】
断熱リード線22の働きにより、センサ回路2から演算回路3に伝達される熱が制限され、従来の構成と比較して内部温度上昇を低く抑えることが可能である。したがって、従来よりも温度が高い環境で使用可能な電池で駆動する測定器を提供することが可能である。
【0036】
(第3実施形態)
図5は、本開示の第3実施形態に係る測定器10cの構成例を示すブロック図である。本実施形態では、主に第1実施形態と相違する構成について説明し、同一又は共通する構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0037】
本実施形態に係る測定器10cは、容器6、断熱回路21を収納する容器61、及びセンサ回路2を収納する容器62を分離した構成を有する。このように構成することで、容器6,61,62の組合せを変更することで、測定用途に合わせた様々なセンサ回路2に組み替えることが可能となる。また、様々なセンサ回路2に応じた容器6の形状、及び容器6に内蔵する回路構成を柔軟に変更することが可能である。
【0038】
以上のように、測定対象の物理量を測定する測定器10(10a,10b,10c)は、センサ回路2、電池51、及び断熱部(21,22)を備える。センサ回路2は、測定対象の物理量を測定し、測定結果を電気信号として出力する。電池51は、測定器10(10a,10b,10c)の構成要素を駆動するための電力を蓄える。断熱部(21,22)は、センサ回路2と電池51とを接続する電気回路上に設けられ、電気信号を伝達するとともに、熱伝導を抑制する。このように、センサ回路2と電池51とを接続する電気回路上に、電気信号は伝達するが、熱伝導は抑制する断熱部(21,22)を設けたことで、測定対象の物理量の測定の際に受け取った熱が電池51に伝わることを抑制することができる。したがって、測定器10(10a,10b,10c)は電池51で駆動するものの、従来よりも温度が高い環境で使用可能である。
【0039】
また、断熱部21は、ニクロム薄膜の抵抗体による表面実装用抵抗器としてもよい。ニクロムは、電気信号は伝達するが、熱伝導性は低いため、ニクロム薄膜の抵抗体による表面実装用抵抗器により断熱部21を構成することで、センサ回路2から電池51へ熱が伝わることを抑制することができる。
【0040】
また、ニクロム薄膜は、ジルコニア基板上に形成されてもよい。ジルコニアは、電気信号は伝達するが、熱伝導性は低いため、センサ回路2から電池51へ熱が伝わることを抑制することができる。
【0041】
また、断熱部22は、ニクロムによるリード線としてもよい。ニクロムは、電気信号は伝達するが、熱伝導性は低いため、センサ回路2から電池51へ熱が伝わることを抑制することができる。
【0042】
また、断熱部22は、ステンレスによるリード線としてもよい。ステンレスは、電気信号は伝達するが、熱伝導性は低いため、センサ回路2から電池51へ熱が伝わることを抑制することができる。
【0043】
また、測定器10(10a,10b,10c)は、測定結果を無線信号として出力する無線通信回路4を更に備えてもよい。これにより測定器10(10a,10b,10c)は、センサ回路2による測定結果を無線信号として外部へ伝達することができる。
【0044】
また、測定器10(10a,10b,10c)は、センサ回路2、電池51、及び断熱部(21,22)を収容する、銅と比べて熱伝導性が低い容器6を更に備えてもよい。このように、測定器10(10a,10b,10c)の構成要素を容器6に収容することで、外部の熱源から保護することができる。
【0045】
本開示は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、ブロック図に記載の複数のブロックは統合されてもよいし、又は1つのブロックは分割されてもよい。その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 プロセス接触部
2 センサ回路
3 演算回路
4 無線通信回路
5 電源回路
6 容器
7 プリント基板
8 コネクタ
9 ケーブル
10 測定器
21 断熱回路
22 断熱リード線
23 基材
24 リード線
41 アンテナ
51 電池
61,62 容器
90 測定器
91 プロセス接触部
92 センサ回路
93 演算回路
94 無線通信回路
95 電源回路
96 電池
97 アンテナ
98 容器
100 配管