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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020717
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】トイレユニット
(51)【国際特許分類】
   E03D 11/00 20060101AFI20230202BHJP
   E03D 11/13 20060101ALI20230202BHJP
   A47K 17/00 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
E03D11/00 A
E03D11/13
A47K17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021126246
(22)【出願日】2021-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】國分 和也
【テーマコード(参考)】
2D037
2D039
【Fターム(参考)】
2D037AA02
2D037EA00
2D037EA01
2D037EA04
2D039AA02
2D039AE00
2D039CC06
2D039CC07
2D039CC08
2D039DB00
(57)【要約】
【課題】既設の大便器の形態に関係なく、ライニングユニットの設置を可能としつつ、ライニングユニットの設置作業を効率的に行うことができ、更には、トイレ空間をスッキリ・コンパクトにできるライニングユニットを有するのトイレユニットを提供する。
【解決手段】この発明は、トイレ内空間に設置した腰かけ便器本体と、腰かけ便器本体を跨いだ状態で設置した給排水設備の給排水管を目隠し収納する門型ケースとよりなるトイレユニットであって、門型ケースはトイレ内空間の壁体角部に立設した一方のコアフレームと腰かけ便器本体を間に挟んで立設した他方のコアフレームと、各コアフレームの頂部をつないだアッパーフレームとより門型に構成し、各フレームにより便器本体を跨いだ状態とすると共に、各フレーム内に給排水設備の給排水管を目隠し収納したトイレ内空間ユニットに関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ内空間に設置した腰かけ便器本体と、
腰かけ便器本体を跨いだ状態で設置した給排水設備の給排水管を目隠し収納する門型ケースとよりなるトイレユニットであって、
門型ケースは、
トイレ内空間の壁体角部に立設した一方のコアフレームと、
腰かけ便器本体を間に挟んで立設した他方のコアフレームと、
各コアフレームの頂部をつないだアッパーフレームと、により門型に構成し、
各フレームにより便器本体を跨いだ状態とすると共に、各フレーム内に給排水設備の給排水管を目隠し収納したことを特徴とするトイレユニット。
【請求項2】
一方のコアフレームは、トイレ空間内の角部でかつL字形態のL字状フレームに形成し、L字状フレームの後側面はトイレ空間の便器本体設置の後側方面壁面に沿って形成すると共に、L字状フレームの外横側面は便器本体設置の横側方面壁面に沿って形成したことを特徴とする請求項1に記載のトイレユニット。
【請求項3】
門型ケースの門型内側空間に便器本体の便座及び又は便蓋の各開閉ヒンジ部の一部を収納された状態にしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトイレユニット。
【請求項4】
門型ケースの門型内側空間に便器本体の後半部が収納されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトイレユニット。
【請求項5】
門型ケースのアッパーフレームの略中央部に便座に着座した状態で使用可能に背もたれマットを配設したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のトイレユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ空間の壁面に面して配設されるトイレユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車椅子の使用者や内部障がい者等の利用に配慮した多機能トイレがある。多機能トイレは、個々の利用者に配慮した設備を1つのトイレ空間内に複数配置するため、各設備に対応した給排水管や、設備を稼働させるための電源線などがトイレ空間に露出しており、トイレ空間の見栄えを悪くしていた。
【0003】
この問題を解決するために、衛生設備機器の配管類を内部に収納し、尚且つ、設置される衛生設備機器をユニット化して一体の設備とすることにより、多機能トイレ空間をスッキリした見栄えとしつつ、コンパクト化できるキャビネットやライニングを設けたトイレユニットが提案されている。
【0004】
特許文献1に記載のライニングユニットは、上下方向、左右方向、および奥行方向の各方向に沿う複数のフレーム材により枠組み構成されたフレームと、フレームの上面側に取り付けられる天板(甲板)と、フレームの前面側に取付られる前板とを備えている。このようなライニングユニットにおいては、フレームの内部に給水管や排水管等の配管が配設され、フレームの前後に便器などの衛生設備機器が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-162948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のライニングユニットにおいては、ライニングユニット内にトイレ空間で使用される配管および給水用のタンクが収納されるように設置される。特に、給水管や排水管等の配管をライニングユニットの前板を通過させて外部に露出させる構成によれば、ライニングユニットを多目的トイレ空間に導入する場合において、次のような問題がある。
【0007】
前板は、ライニングユニットの内部空間を外部から確認できないように機能する化粧板であり、ライニングユニットの前面を床面からライニングユニットのフレーム上端部までを覆うように構成している。かかる場合、大便器に連結した給水管および排水管が前板からライニングユニット内部に挿通され、ライニングユニットのフレームによって支持固定されている。かかる場合、前板と大便器との位置関係を固定するための固定構造が必要となる。
【0008】
具体的には、前板と大便器との位置関係を固定するための構成としては、例えば、大便器を固定するための大便器支持ユニットを床面に立設し、便器固定用の棒状のボルトを大便器支持ユニットから便器側に突出し、当該棒状のボルトを大便器背面の固定用の孔に挿通して大便器を固定することで大便器支持ユニットと大便器との位置関係を固定することができる。
かかる構成によれば、大便器と大便器支持ユニットの位置関係を固定するための作業として、既設の便器を一旦取り外し、その後、大便器を固定するための大便器支持ユニットを床面に設置固定し、更には、大便器の背面に設置した給水管および排水管を大便器支持ユニットに固定し、その後、大便器を大便器支持ユニットに固定し、最後に大便器支持ユニットに固定した大便器と給水管および排水管とを接続することにより、ライニングユニットの設置作業が完了する。
【0009】
このように既存のトイレ空間内にライニングユニットを設置する作業において、大便器の脱着作業および大便器と給排水管の連結作業は煩わしい作業であり、ライニングユニットの設置作業についての作業負荷を増大させる原因となる。
【0010】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、既設の大便器の形態に関係なく設置することを可能としつつ、設置作業を効率的に行うことができ、更には、トイレ空間をスッキリ・コンパクトにできるトイレユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様は、トイレ内空間に設置した腰かけ便器本体と、腰かけ便器本体を跨いだ状態で設置した給排水設備の給排水管を目隠し収納する門型ケースとよりなるトイレユニットであって、門型ケースはトイレ内空間の壁体角部に立設した一方のコアフレームと腰かけ便器本体を間に挟んで立設した他方のコアフレームと、各コアフレームの頂部をつないだアッパーフレームと、により門型に構成し、各フレームにより便器本体を跨いだ状態とすると共に、各フレーム内に給排水設備の給排水管を目隠し収納したことを特徴とするトイレユニットである。
【0012】
このトイレユニットによれば、腰掛便器本体を跨ぐように門型ケースを配設することで、既存のトイレ空間にライニングユニットを設置する際、既設の大便器および大便器に接続した給水管および排水管を取り外すことなくライニングユニットが設置でき、ライニングユニットを設置する際の工期を短縮できる。
また、ライニングユニットを構成する各フレーム内に給排水設備を目隠し収納したため、既存のトイレ空間に露出して煩雑な印象を与える給排水管が視認できずにトイレ空間をスッキリ・コンパクトにして意匠性を向上できる。
【0013】
また、本発明の第2の態様は、一方のコアフレームは、トイレ空間内の角部でかつL字形態のL字状フレームに形成し、L字状フレームの後側面はトイレ空間の便器本体設置の後側方面壁面に沿って形成すると共に、L字状フレームの外横側面は便器本体設置の横側方面壁面に沿って形成したことを特徴とするトイレユニットである。
【0014】
このトイレユニットによれば、一方のコアフレームがトイレ空間内の角部に配設されているため、一方のコアフレームの前面に横側側方壁面に沿ってサイドフレームを連設しても、後側方面壁面に設けた給水源からの給水管がトイレ空間に露出されないため、スッキリした印象のトイレ空間を提供できる。また、一方のコアフレームがトイレ空間内の角部に立設される構成であるため、一方のコアフレームがトイレ空間を構成する後側方面壁面および横側方面壁面の直交する壁面に固定されて、ライニングユニット全体がトイレ空間の壁面に強固に固定できる。
【0015】
また、本発明の第3の態様は、門型ケースの門型内側空間に便器本体の便座及び又は便蓋の各開閉ヒンジ部の一部を収納された状態にしたことを特徴とするトイレユニットである。
【0016】
このトイレユニットによれば、便器本体の便座および便蓋の各開閉ヒンジ部が門型ケースの門型内側空間に一部収納された状態とすることにより、門型内側空間に便器本体の一部が収納され、トイレ内空間をできるだけ広く利用することができる。
また、給水タンクを便器本体の後部に配設するフラッシュタンク式の大便器の場合、門型内側空間に便器本体の一部とともにフラッシュタンクが配設されることで、トイレ空間を広く使用することができる。また、門型ケースの内部には、給排水管を収納できるだけの厚みを有していれば良いため、門型ケースの厚みを薄くすることができる。
【0017】
また、本発明の第4の態様は、門型ケースの門型内側空間に便器本体の後半部が収納されたことを特徴とするトイレユニットである。
【0018】
このトイレユニットによれば、便器本体の後半部を門型ケースの門型内側空間に収納する構成により、さらに、スッキリした外観を有するトイレ空間を提供できる。
【0019】
また、本発明の第5の態様は、門型ケースのアッパーフレームの略中央部に便座に着座した状態で使用可能に背もたれマットを配設したことを特徴とするトイレユニットである。
【0020】
このトイレユニットによれば、左右のコアフレーム間に架設したアッパーフレームに背もたれマットを配設したことにより、トイレ空間を形成する壁面を補強する必要がなくなり、門型ケースの設置工事期間を短縮できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、既設の大便器の形態に関係なく設置することを可能としつつ、設置作業を効率的に行うことができ、更には、トイレ空間をスッキリ・コンパクトにできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係るトイレユニットを示す全体斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るトイレユニットを示す正面図である。
図3】本発明の実施形態に係るトイレユニットの門型フレームを示す斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係るトイレユニットを示す平面図である。
図5】本発明の実施形態に係るトイレユニットを示す平面図であり、(a)は門型内側空間にヒンジ開閉部が一部収納された状態を示す図であり、(b)は便器本体の後半部が収納された状態を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係るトイレユニットを示す模式的側面図であり、(a)は門型内側空間にヒンジ開閉部の一部が収納された状態を示す図であり、(b)は便器本体の後半部が収納された状態を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係るトイレユニットにおける門型ケースを一体に構成した状態を示す斜視図である。
図8】本発明の実施形態に係るトイレユニットにおいてコアフレームの前面にサイドフレームを設置した状態を示す斜視図である。
図9】本発明の実施形態に係るトイレユニットにおいて天板を別体とした場合を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
この発明の要旨は、トイレ内空間に設置した腰かけ便器本体と、腰かけ便器本体を跨いだ状態で設置した給排水設備の給排水管を目隠し収納する門型ケースとよりなるトイレユニットにおいて、門型ケースはトイレ内空間の壁体角部に立設した一方のコアフレームと腰かけ便器本体を間に挟んで立設した他方のコアフレームと、各コアフレームの頂部をつないだアッパーフレームとより門型に構成し、各フレームにより便器本体を跨いだ状態とすると共に、各フレーム内に給排水設備の給排水管を目隠し収納したことを特徴とする。
また、一方のコアフレームは、トイレ空間内の角部でかつL字形態のL字状フレームに形成し、L字状フレームの後側面はトイレ空間の便器本体設置の後側方面壁面に沿って形成すると共に、L字状フレームの外横側面は便器本体設置の横側方面壁面に沿って形成したことにも特徴を有する。
また、門型ケースの門型内側空間に便器本体の便座及び又は便蓋の各開閉ヒンジ部の一部を収納された状態にしたことにも特徴を有する。
また、門型ケースの門型内側空間に便器本体の後半部が収納されたことにも特徴を有する。
また、門型ケースのアッパーフレームの略中央部に便座に着座した状態で使用可能に背もたれマットを配設したことを特徴とする。
【0024】
本発明に係る実施例を図面に基づき詳細に説明する。本実施形態を説明する上で使用する「上方」、「下方」、「前方」、「後方」、「左側方」、「右側方」は、図2の大便器を正面に見据えた場合の方向を示している。
【0025】
本発明に係るトイレユニットを構成する門型ケースとしてのライニングユニット100は、図1に示すように、トイレ空間内の床面FL上であって左右いずれかの横側側方壁面WSおよび後側方面壁面WBに接するように設けられた略門型ケース構造であり内部中空状に形成されている。なお、本実施形態においては、トイレ空間内の右側壁面を横側側方壁面WSとし、この右側壁面に接するようにライニングユニット100を配設した状態を例にして説明する。
【0026】
本実施形態における門型ケースであるライニングユニット100は、床面FLの上方において床面FLに対して平行状(水平状)に設けられたアッパーフレーム3と、後側方面壁面WBの前方において後側方面壁面WBに対して平行状(鉛直状)に設けられた左右のコアフレーム1、2とを有する。コアフレーム1、2およびアッパーフレーム3は、ライニングユニット100の左右上端部の角部において直角状をなすように連結されるとともに、後側方面壁面WBと横側側方壁面WSに面して設けられている。
【0027】
ライニングユニット100は、便器ユニット4の便器本体40を跨ぐように設置されている。すなわち、平面視において、便器本体40は、図4に示すように、ライニングユニット100を構成するアッパーフレーム3に便器本体40の一部(後部)が重複するように配置している。また、便器本体40は、トイレ空間内において、横側側方壁面WSから離間した他方のコアフレーム2に近接配置している。すなわち、便器本体40は、図1および図2に示すように、アッパーフレーム3の左右方向略中央部から左側に寄った床面FLに配設している。このように便器本体40を配置することにより、本実施形態のライニングユニット100を設置した多目的トイレの利用者からは、便器本体40の背面側に連結した給水管や電源線などが他方のコアフレーム2によって遮蔽されて視認しにくく、スッキリした印象の多目的トイレ空間を提供できる。
【0028】
門型ケースであるライニングユニット100は、トイレ内空間の壁体角部に立設した一方のコアフレーム1と、一方のコアフレーム1から便器本体40を挟んで立設した他方のコアフレーム2と、両コアフレーム1、2の頂部間に架設したアッパーフレーム3を有する。
【0029】
一方のコアフレーム1は、図3に示すように、床面に立設した左右の支持体10、11と、左右の支持体10、11の前面側上端部に架設した化粧板上部支持体12と、左右の支持体10、11の前面側下端部に架設した化粧板下部支持体13と、左右の支持体10、11の後面上端部に架設した係止板14とを有する。なお、左右の支持体10、11は、略同一形状に構成されている。
【0030】
支持体10は、床面に立設した垂直部10aと、垂直部10aの上端部から後方に伸延した水平部10bとを有する。一方のコアフレーム1は、垂直部10aと水平部10bにより、全体として略逆「L」字状に構成されている。
【0031】
一方のコアフレーム1を構成する垂直部10aおよび水平部10bは、いずれも断面「コ」字状の外形を有する直線状の鋼材により構成されている。これらの各部は、いずれも、本体部分をなす板状の本体板部10a1、10b1と、本体板部10a1、10b1の左右縁部から直角状に折れ曲がった板状の側縁板部10a2、10a2、10b2、10b2を有する。側縁板部10a2、10b2は、垂直部10aおよび水平部10bの延設方向に沿う帯板状の部分である。
【0032】
詳細には、水平部10bは、板厚方向を上下方向とする水平状の本体板部10b1を有する。水平部10bは、本体板部10b1の左右両側に設けられた側縁板部10b2、10b2を有する。また、垂直部10aは、板厚方向を前後方向とする垂直状の本体板部10a1と、左右の側縁板部10a2、10a2とを有する。
【0033】
これらの板部を有する一方のコアフレーム1において、水平部10bの側縁板部10b2および垂直部10aの側縁板部10a2は、共通の面部を形成する。すなわち、これらの側縁板部10a2、10b2により、一方のコアフレーム1の略逆「L」字状の外形に沿う連続的な側板部が形成されている。また、水平部10bの本体板部10b1が一方のコアフレーム1における上面部となり、垂直部10aの本体板部10a1が一方のコアフレーム1における前面部となる。
【0034】
一方のコアフレーム1は、横側側方壁面WSに沿って床面FLに立設した支持体10と横側側方壁面WSから離反する方向(左右方向)に支持体10から一定距離離間した床面FLに立設した支持体11を有する。支持体11は、一方の支持体10と略同一の形態に形成している。一方の支持体10と他方の支持体11の各本体板部10a1、11a1の前面上端部には、化粧板上部支持体12を架設し、各本体板部10a1、11a1の前面下端部には、化粧板下部支持体13を架設し、各本体板部10b1、11b1の後端部には、係止板14を架設している。
【0035】
化粧板上部支持体12は、図3に示すように、後側方面壁面WBと平行状の垂直部12aと、垂直部12aの上端部から後方に直角に屈曲して床面FLと平行状の水平部12bと、垂直部12aの下端部から前方に直角に屈曲してその先端を上方にさらに直角に屈曲形成した略「L」字状の化粧板支持部12cを有する。
【0036】
水平部12bは、矩形板状の外形を有し、水平部10b、11bの本体板部10b1、11b1にボルト等の締結具により固定されている。垂直部12aは、水平部12bと同様に矩形板状の外形を有する。垂直部12aは、垂直部10a、11aの本体板部10a1、11a1にボルト等の締結具により固定されている。また、垂直部12aの下端部には、化粧板支持部12cを前方に突設している。この化粧板支持部12cにライニングユニット100の意匠面となる化粧板V1を掛止している。化粧板V1は、上端部近傍の背面に上部掛止部を後方に突設している。上部掛止部は、化粧板背面から床面FLに平行状に延設した板状の水平部と、水平部の先端から下方に直角に折曲した垂直部とで略「L」字状に構成している。上部掛止部は、化粧板支持部12cに垂直部で掛合固定されている。
【0037】
化粧板下部支持体13は、後側方面壁面WBと平行状の垂直部13aと、垂直部13aの下端部から後方に直角に屈曲して床面FLに配設した水平部13bと、垂直部13aの上端部から前方に直角に屈曲して延設し、その先端部を上方にさらに直角に屈曲して延設した略「L」字状の化粧板支持部13cとを有する。
【0038】
水平部13bは、矩形板状の外形を有し、ボルト等の締結具で床面FLに固定されている。垂直部13aは、水平部13bと同様に矩形板状の外形を有する。垂直部13aは、支持体10、11の垂直部10a、11aの本体板部10a1、11a1にボルト等の締結具により固定されている。また、垂直部13aの上端部には、側面視略「L」字状の化粧板支持部13cを前方に延設している。このように構成した化粧板下部支持体13の化粧板支持部13cにライニングユニット100の意匠面となる化粧板V1を掛止している。化粧板V1は、下端部近傍の背面に下部掛止部を突設している。下部掛止部は、化粧板背面から床面FLに平行状に延設した板状の水平部と、水平部の先端から下方に直角に折曲した垂直部とで略「L」字状に構成している。下部掛止部は、化粧板支持部12cに垂直部で掛合固定されている。
【0039】
このように化粧板上部支持体12と化粧板下部支持体13に化粧板V1を掛合固定することで化粧板V1と横側側方壁面WSと後側方面壁面WBと左右の支持体10、11の水平部10b、11bの上面に配設した天板SBで囲われた中空の収納空間S1が形成される。この収納空間S1に配管T等を収納することにより、トイレ空間の利用者に配管Tを視認させることなくスッキリした印象を与えることができる。
【0040】
係止板14は、図3に示すように、床面FLと平行状の水平部14aと、水平部14aの後端部から直角状に折曲して下方に延設した垂直部14bとを有する断面略「L」字状の部材である。水平部14aは、矩形板状の外形を有し、ボルト等の締結具により水平部10b、11bの本体板部10b1、11b1に固定されている。垂直部14bは、水平部14aと同様に矩形板状の外形を有し、後側方面壁面WBにボルト等の締結具により固定されている。
【0041】
このように係止板14は、水平部14aをそれぞれの支持体10、11に締結しつつ、垂直部14bを後側方面壁面WBに固定することにより各支持体10、11を後側方面壁面WBに固定することができる。
【0042】
側縁板部10a2には、締結具を貫通させる固定用の孔部が形成されている。本実施形態において、孔部は、垂直部10aにおける側縁板部10a2の上端部近傍および上下方向略中央部近傍の2箇所に設けられている。締結具は、孔部を貫通して横側側方壁面WSにねじ込まれ、一方のコアフレーム1を固定する。
【0043】
また、係止板14には、締結具を貫通させる固定用の孔部が形成されている。本実施形態において、孔部は、垂直部14bに設けられている、締結具は、孔部を貫通して後側方面壁面WBにねじ込まれ、一方のコアフレーム1を固定する。
【0044】
このようにコアフレーム1は、横側側方壁面WSと後側方面壁面WBに固定されることにより、左右の支持体10、11に生起される荷重が、横側側方壁面WSと後側方面壁面WBに分散されるため、各壁面を補強することなくライニングユニット100を設置固定することができる。
なお、一方のコアフレーム1の固定構造としては、後側方面壁面WBや横側側方壁面WSに対して他の部材を介して間接的に固定する構造であってもよい。
【0045】
このように構成した一方のコアフレーム1から後側方面壁面WBに沿って便器ユニット4の便器本体40を挟んだ位置に他方のコアフレーム2を立設している。すなわち、他方のコアフレーム2は、床面FL上において、多目的トイレ空間の横側側方壁面WSから一定距離離間した位置に立設されている。
【0046】
他方のコアフレーム2は、一方のコアフレーム1と略同一に構成されているため、同一の構成については、一方のコアフレーム1の説明で使用した10番台の符号を20番台としてその説明を省略する。例えば、支持体10は支持体20で示し、支持体11は支持体21で示している。他方のコアフレーム2は、左右の支持体20、21の各水平部20b、21bが後側方面壁面WBに固定されるように床面FLに立設している。他方のコアフレーム2を構成する各垂直部20a、21aの本体板部20a1、21a1には、上端部近傍と上下方向の略中央部近傍に手摺支持体25、26を配設している。
【0047】
手摺支持体25は、左右の支持体20、21の上端部近傍に架設した矩形板状の本体板部25aと、本体板部25aの左右側縁部から直角状に折り曲げて後方に延設した同じく矩形板状の側縁板部25b、25bを有する。
【0048】
本体板部25aは、図3に示すように、上下端部を直角状に折り曲げて後方に延設した上下水平部25a1、25a2を有し、断面略「コ」字状に構成している。本体板部25aは、上下水平部25a1、25a2の後端部を各垂直部20a、21aに当接している。
【0049】
本体板部25aは、左右側縁部に側縁板部25b、25bを延設している。側縁板部25b、25bは、側板部20a2および側板部21a2に接触した状態で締結具により固定されている。このように本体板部25aおよび側縁板部25bを構成したことにより、手摺支持体25を支持体20、21の垂直部20a、21aに当接状態で固定できる。また、左右の支持体20、21に取り付ける本体板部25aの上下水平部25a1、25a2の長さを変更するだけで手摺Hの突出長を変更することができる。
【0050】
手摺支持体25の下方には、手摺支持体26を配設している。手摺支持体26は、上下方向略中央部近傍で左右の支持体20、21間に架設した部材であり、板状の本体板部26aと、本体板部26aの左右側縁部から直角状に後方に折曲して延設した板状の側縁板部26b、26bを有する。
【0051】
本体板部26aは、上下端部を直角状に後方に折曲した断面略「コ」字状の板材であり、正面部に手摺Hを固定するための固定用の孔を有する。
本体板部26aの上下水平部26a1、26a2の後端部は、各垂直部20a、21aの本体板部20a1、21a1に当接している。これにより、左右の支持体20、21に取り付ける本体板部26aの上下水平部26a1、26a2の長さを変更するだけで手摺Hの突出長を変更することができる。なお、手摺Hの平行状態を維持するために、本体板部25aの上下水平部25a1、25a2と本体板部26aの上下水平部26a1、26a2の長さを略同一長としている。
【0052】
また、上下の手摺支持体25、26を介して手摺Hを支持体20、21に固定しているため、手摺Hに生起された荷重が支持体21に連結したアッパーフレーム3や後側方面壁面WBに分散され、ライニングユニット100を構成する各フレームに局所荷重が生起される虞を可及的に低減できる。すなわち、手摺Hに生起される荷重は、左右の支持体20、21と支持体21を介してアッパーフレーム3に伝達され、その後、それぞれ後側方面壁面WBに伝達されることで荷重が分散されて局所荷重が生起される虞を可及的に低減し、コアフレーム2が変態する虞を可及的に低減している。
【0053】
このように構成した他方のコアフレーム2は、左右の支持体20、21の前方に化粧板V2を配設している。化粧板V2は、化粧板上部支持部22の化粧板支持部22cに化粧板V2の上端部近傍を支持固定し、化粧板下部支持部23の化粧板支持部23cに化粧板V2の下端部近傍を支持固定している。
【0054】
また、支持体21の側板部21a2および側板部21b2には、ブラケットを複数突設している。ブラケットは、側板部21a2および側板部21b2から左側に水平に突出した水平部と、水平部の先端部から上方に直角状に折曲して延設した垂直部を有する略「L」字状の部材である。ブラケットには、コアフレーム2の左側面を遮蔽する化粧板V3を係止している。化粧板V3は、矩形板状の部材であり、短辺をコアフレーム2の水平部21bと略同一長に構成しており、長辺をコアフレーム2の垂直部21aと略同一長に構成している。これにより、コアフレーム2の左側面は化粧板V3によって閉塞され、内部が視認できないように構成している。
【0055】
このようにコアフレーム2は、化粧板V2、V3、床面FL、および後側方面壁面WBとの間に収納空間S2を形成している。収納空間S2には、給水管や電源線等、多目的トイレ空間に設置される設備を稼働するのに必要な配管T類が収納できる。これにより、配管T類が収納空間S2に収納され、多目的トイレ空間の利用者にスッキリした印象を与えることができる。
【0056】
各コアフレーム1、2の上端部間には、アッパーフレーム3を架設している。
アッパーフレーム3は、一方のコアフレーム1の支持体11に隣設した支持体30と、他方のコアフレーム2の支持体20に隣設した支持体31と、左右支持体30、31の前端上部に架設した化粧板支持フレーム32と、左右支持体30、31の前端下部に架設した補強板33と、左右支持体30、31の後端部に架設した係止板34とを有する。
【0057】
支持体30、31は、コアフレーム1、2を構成する支持体10、11または支持体20、21と同様の構成であり、床面FLに対して垂直状の垂直部30aと、垂直部30aの上端部から直角状に屈曲して後方に伸延した水平部30bとを有する。支持体30、31の前端部には、上端部に化粧板支持フレーム32を架設しており、下端部に補強板33を架設している。また、支持体30、31の後端部には、係止板34を架設している。また、化粧板支持フレーム32と補強板33の左右両端部は、ブレース35、35で連結されている。
【0058】
化粧板支持フレーム32は、垂直状の垂直部32aと、垂直部32aの上端部から直角状に後方に折曲して延設した水平部32bとを有する断面略「L」字状の部材である。
【0059】
垂直部32aは、左右のコアフレーム1、2の支持体11、20間と略同一の長さに形成している。すなわち、垂直部32aは、左右端部が支持体11、20の側板部11a2、20a2の側端部、具体的には、左側の側板部11a2から右側の側板部20a2に接触する長さに構成している。これにより、アッパーフレーム3を左右のコアフレーム1、2に組付けた際に、垂直部32aが側板部11a2、20a2に接触することで揺動することを規制できる。また、垂直部32aの左右端部は、締結具を挿通するための孔部を有し、当該孔部を通してボルトなどの締結具で支持体30、31に固定している。
【0060】
水平部32bは、垂直部32aと略同一長に形成しており、左右端部近傍に孔部を有する。孔部は、支持体30、31の水平部30b、31bの左右方向略中央部に位置している。水平部32bは、孔部を通じてボルト等の締結具で水平部30b、31bに螺合している。
【0061】
水平部32bの左右端部には、水平部32bと前後長を略同一とする係止部32c、32cを伸延している。係止部32cは、矩形状の板材であり、その背面側を左右コアフレーム1、2の水平部11b、20bの上面に接触している。係止部32cは、ボルト等の締結具で水平部11b、20bに固定されている。すなわち、化粧板支持フレーム32は、係止部32c、32cによって水平部11b、20bの上面に固定されるとともに、水平部32bの左右端部を支持体30、31の水平部30b、31bの上面に接触固定されることで、支持体11と支持体30、および支持体20と支持体31を隣設して、アッパーフレーム3を左右のコアフレーム1、2の間に架設できる。化粧板支持フレーム32の下方には、補強板33を配設している。
【0062】
補強板33は、左右の支持体30、31の前面下端部間に架設している。
補強板33は、床面FLに対して垂直状の垂直部33aと、垂直部33aの下端部から後方に直角状に折曲して延設した床面FLに対して水平状の水平部33bとを有する断面略「L」字状の部材である。
【0063】
補強板33は、支持体11、20の側板部11a2、20a2の後端部に接触する長さに形成している。具体的には、側板部11a2の右側後端部から側板部20a2の左側後端部までの長さに形成している。これにより、手摺Hに荷重が生起された際、支持体20、21にかかる荷重を化粧板支持フレーム32だけでなく補強板33を通じてアッパーフレーム3に伝達することができ、支持体20、21に生起される荷重を分散することで門型フレームが歪む虞を可及的に低減している。
【0064】
このように構成した化粧板支持フレーム32および補強板33は、図3に示すように、左右端部近傍をブレース35、35で連結固定している。
【0065】
ブレース35、35は、略矩形板状で補強板33の左右端部近傍から化粧板支持フレーム32の左右中央側に向けて傾斜状に架設しており、正面視において略「ハ」字状をなすように連結している。このように、化粧板支持フレーム32と補強板33をブレース35、35で連結することにより、アッパーフレーム3は、剛性が向上して変態しにくい構成としている。
【0066】
また、支持体30、31の後端部には、係止板34を架設している。係止板34は、床面FLに対して平行状の水平部34aと、水平部34aの後端部から下方に直角に屈曲して床面FLに対して垂直状とした垂直部34bを有する略「L」字状の部材である。
【0067】
係止板34は、水平部34aの左右両端部近傍を支持体30、31の水平部30b、31bおよび支持体11、20の水平部11b、20bにボルトなどの締結具で固定している。垂直部34bは、左右端部近傍および左右方向略中央部に孔部を穿設しており、当該孔部を通じてボルトなどの締結具で後側方面壁面WBに固定している。
これにより、アッパーフレーム3は、後側方面壁面WBに締結具で固定され、後側方面壁面WBからライニングユニット100が離間して揺動する虞を可及的に低減している。
【0068】
また、化粧板支持フレーム32は、垂直部32aの左右両端部及び左右方向略中央部から前方に突設した側面視略「L」字状の化粧板支持部を有し、また、補強板33は、垂直部33aの左右両端部及び左右方向略中央部から前方に突設した同じく側面視略「L」字状の化粧板支持部を有している。また、化粧板V4は、背面側に側面視において下方開口の略「コ」字状の係止部を有する。化粧板V4は、当該係止部を化粧板支持フレーム32の化粧板支持部と補強板33の化粧板支持部に掛合することでアッパーフレーム3の前方に支持固定されている。
【0069】
また、左右のコアフレーム1、2およびアッパーフレーム3の上面には、天板SBを載置固定している。天板SBは、図1に示すように、コアフレーム1の支持体10の右端部からコアフレーム2の支持体21の左端部までが隠蔽される長さに構成している。すなわち、左右のコアフレーム1、2およびアッパーフレーム3が、平面視において、天板SBによって上方から視認できない長さに構成している。また、天板SBは、コアフレーム1の本体板部10b1、11b1、コアフレーム2の本体板部20b1、21b1、アッパーフレーム3の本体板部30b1、31b1、にボルトなどの締結具で固定している。これにより、天板SBの上面が切れ目のない水平状の平坦面を形成するとともに、コアフレーム1、2およびアッパーフレーム3が一体の門型フレームとして固定できる。
【0070】
また、アッパーフレーム3の前面には、背もたれマット50を配設している。背もたれマット50は、図1および図2に示すように、正面視略方形状で略中央部に凹状部を有する。これにより、背もたれマット50は、トイレ利用者の体がトイレ利用中に揺動しないように支持できる。また、背もたれマット50は、アッパーフレーム3を構成する化粧板V4にボルト等の締結具により固定されている。これにより、トイレ利用者が背もたれマット50を利用した際に生起される荷重がアッパーフレーム3を通じてコアフレーム1、2および後側方面壁面WBに分散される。すなわち、背もたれマット50に対する利用者による局所荷重が生起されにくい構成のため、門型ケースをトイレ空間に設置する際、門型ケースが支持固定される後側方面壁面WBや横側側方壁面WSの補強工事をする必要性がなく、門型ケースの設置工期を短縮できる。
【0071】
このように構成したアッパーフレーム3は、下方開口の給水管や電源線などを外部から視認できないように閉塞した収納空間S3を有する。収納空間S3は、後側方面壁面WB、天板SBおよび化粧板V4で囲われた下方開口の空間である。収納空間S3は、下方開口としたことにより、収納空間S3に配設した給水管を特別な工事をすることなく収納空間S3から外部に延伸でき、これにより、工数を削減して工期を短縮できる。
【0072】
このように構成したアッパーフレーム3の下方には、コアフレーム1、2およびアッパーフレーム3とで形成された門型ケースの門型内側空間Sが形成されている。門型内側空間Sは、一方のコアフレーム1と他方のコアフレーム2とアッパーフレーム3、および床面FLとで囲われた空間であり、その内側に便器ユニット4を配設している。
【0073】
便器ユニット4は、多目的トイレ空間の横側側方壁面WSおよび後側方面壁面WBに近接した床面FLに立設している。便器ユニット4は、図1および図2に示すように、便器本体40と、便器本体40の上面に載置固定された便座41と、便座41の後端部に位置する開閉ヒンジ部42と、開閉ヒンジ部42の後方に載置固定されたロータンク43と、で構成している。
【0074】
便器本体40は、床面FLに載置固定されており、後部にタンク支持部40aを突設している。便器本体40の上面には、便座41を載置固定している。便座41は、後端部に便座41を回動するための開閉ヒンジ部42を有する。開閉ヒンジ部42は、便器本体40のタンク支持部40aの前端部近傍に配設している。開閉ヒンジ部42は、図5(a)に示すように、平面視において、その一部がアッパーフレーム3に重複するように配設している。また、開閉ヒンジ部42は、図6(a)に示すように、側面視において、左右のコアフレーム1、2の前端部にその一部が重複するように配設している。すなわち、開閉ヒンジ部42は、門型内側空間Sの内部にその一部が収納されるように配設している。これにより便器本体40の一部も門型内側空間Sに収納されることとなり、トイレ空間への便器本体40の突出部分が少なくなり、トイレ空間を可及的に広く利用できる。
【0075】
このように配設した開閉ヒンジ部42の後方には、ロータンク43を配設している。ロータンク43は、略直方体状の箱体であり、下端部の左右方向略中央部にロータンク43の前面から後面まで矩形状に切欠いた切欠部を有する正面視略門型の箱体である。ロータンク43は、左側下面に洗浄水を補充するための給水管との連結部を有する。ロータンク43は、便器本体40のタンク支持部40aに切欠部を載置固定している。これにより、ロータンク43の左右下端部が宙に浮いた状態で便器本体40に固定され、外部から視認しにくい状態で給水管をロータンク43の左側下面の連結部に連結できる。
【0076】
ライニングユニット100の内部には、便器本体40に供給される洗浄水をロータンク43に供給するための給水管が設けられている。給水管は、アッパーフレーム3の後方に位置する後側方面壁面WBに突設しており、アッパーフレーム3の前面に設けた化粧板V3によって多目的トイレ空間の利用者から見えないように配設されている。給水管は、分岐路によってロータンク43に供給される洗浄水と、他方のコアフレーム2の左側に位置する内部障がい者の方が利用するオストメイト用の洗浄設備に給水するための洗浄水とに分配される。なお、分岐路によって2方向に分配された給水管は、アッパーフレーム3の化粧板V3によって多目的トイレ空間の利用者から見えないように配設している。
【0077】
また、図8に示すように、多目的トイレ空間の角部に配設したコアフレーム1の前方には、サイドフレームSFが横側側方壁面WSに沿って連設される場合がある。サイドフレームSFには、トイレ利用者が用を足した後の手洗い用の洗浄設備が設けられている。このサイドフレームSFの洗浄設備に給水する場合にも、アッパーフレーム3の後方の後側方面壁面WBに突設した給水管からアッパーフレーム3の収納空間S3、コアフレーム1の収納空間S1を経由することで、トイレ利用者から視認されることなくサイドフレームSFの洗浄設備まで延設できる。
【0078】
なお、サイドフレームSFは、コアフレーム1と別体に構成されている必要はなく、コアフレーム1を前方に延設してサイドフレームとして機能できるように構成していてもよい。具体的には、支持体10、11の各水平部10b、11bを横側側方壁面WSに沿って前方に伸延し、垂直部11aの側板部11a2および水平部11bの側板部11b2に化粧板を取り付け、水平部10bと水平部11bの各本体板部10b1、11b1に天板を設けることにより、化粧板と天板とで囲われた収納空間S1を有するサイドフレームを形成できる。このサイドフレームの化粧板および天板には、サイドフレームを構成する各種設備を設置できる。例えば、化粧板には、トイレ利用者が用を足した後に使用する温水洗浄便座を駆動させるための操作パネルやトイレットペーパーホルダーなどを設置でき、また、天板には、手洗い用の洗浄設備を設置できる。
このようにコアフレーム1とサイドフレームを一体に構成することで、操作パネルへの給電線や洗浄設備への給排水管を収納空間S1に収納してトイレ空間をスッキリした空間に形成できる。さらには、サイドフレームを構成するためのフレームを準備する必要がなくなり、部品点数の削減に伴い、サイドフレームの設置作業を効率的に進めることができる。
【0079】
以上のような構成を備えた本実施形態のライニングユニット100は、各コアフレーム1、2およびアッパーフレーム3を中空状の配管の設置スペースとして機能させつつ、各フレームの前面および側面、または天面を化粧板V1、V2、V3、V4および天板SBで覆うことにより、利用者から配管などが見えないようにして、スッキリした印象の多目的トイレ空間を提供できる。
【0080】
また、本実施形態のライニングユニット100は、各コアフレーム1、2およびアッパーフレーム3を門型のフレーム構造としたことにより、既設の便器本体40に接続された給水タンク(ロータンク43)の給水管および便器本体40からの排水管を着脱することなく設置でき、効率的にライニングユニット100の設置作業を実施できる。
【0081】
また、本実施形態のライニングユニット100は、各コアフレーム1、2およびアッパーフレーム3を門型のフレーム構造としたことにより、便器本体40のロータンク43および便座41又は便蓋の開閉ヒンジ部42の一部を門型フレームの門型内側空間Sに収納して多目的トイレ空間を可及的に広く利用させることができる。
【0082】
また、本実施形態のライニングユニット100は、各フレームにおいて門型内側空間S側に開口部を形成したことにより、各フレームの収納空間S1、S2、S3から給水管や電源線などの配管類を必要な箇所に引き出す際に化粧板の加工を必要とせず、配管レイアウトの自由度を向上しつつ、工期を短縮できる。
また、本実施形態のライニングユニット100は、各フレームにおいて門型内側空間S側に開口部を形成したことにより、各フレームの収納空間S1、S2、S3に収納された配管類を、点検口等を設けることなく点検できる。
【0083】
また、アッパーフレーム3で支持されるように背もたれマット50を配設したことにより、従来必要とされていた後側方面壁面WBの補強が必要なくなり、ライニングユニット100を設置する際の工期を短縮できる。
【0084】
なお、本実施形態において、各コアフレーム1、2およびアッパーフレーム3を別体のフレーム構造として説明したが、各フレームが連結された一体の構造として形成されていてもよい。例えば、図7に示すように、化粧板支持フレーム32および係止板34をコアフレーム1の支持体10からコアフレーム2の支持体21を連結できる長さに構成し、また、補強板33をコアフレーム1の支持体11からコアフレーム2の支持体20を連結できる長さに構成し、化粧板支持フレーム32、係止板34、および補強板33の左右方向略中央部を連結するように側面視略三角形状の補強部36を形成することにより、各フレームを一体に形成できる。このように門型ケースであるライニングユニット100を形成するフレームを一体とすることで、各コアフレーム1、2およびアッパーフレーム3を別体に構成した場合よりも荷重が伝達されやすくなり、局所荷重が生起されにくくなり、ライニングユニット100の強度をさらに向上できる。
【0085】
また、本実施形態において、コアフレーム1、2およびアッパーフレーム3の上面を構成する天板SBを一枚の天板SBで構成しているが、天板SBは、図9に示すように、コアフレーム1、2およびアッパーフレーム3の上面にそれぞれ別体に構成されていてもよい。これにより、ライニングユニット100を設置する際の作業時間を短縮できる。
すなわち、ライニングユニット100の天板SBを一体とした場合、コアフレーム1、2およびアッパーフレーム3の上端部を床面FLと平行状に設置できなければ設置した天板SBが傾斜状態となる、または天板SBの一部がコアフレーム1、2およびアッパーフレーム3の上端部から浮いた状態となる。これを解消するためには、コアフレーム1、2の上面およびアッパーフレーム3の上面が床面FLに対して平行な同一平面上に位置する必要があり、ライニングユニット100を設置する作業に時間がかかる。これに対して、コアフレーム1、2およびアッパーフレーム3の上面にそれぞれ独立した天板SB1、SB2、SB3を設ける構成によれば、各フレームが独立した構成であるため、各天板SB1、SB2、SB3を各フレームの上面に設置する作業を容易に実施できる。また、設置後は、各天板SB1、SB2、SB3の上面が面一となるように各フレームの上面に載置する天板SB1、SB2、SB3の板厚を変更するだけで各天板SB1、SB2、SB3を面一状態にできる。
このように、天板SBを独立した天板SB1、SB2、SB3で面一状態に設置することにより、天板SBを一枚の板体で構成した場合と比較して、ライニングユニット100の見栄えを同等としながらもその設置作業を効率化できる。
【0086】
また、本実施形態において、便器ユニット4の便器本体40を開閉ヒンジ部42の一部が門型内側空間Sに収納されるように床面FLに設置される構成について説明したが、図5(b)および図6(b)に示すように、便器本体40の後半部が門型内側空間Sに収納されるように配設されていてもよい。
このように便器本体40と門型内側空間Sとの位置関係を規定することで、トイレ利用者から給水タンク(ロータンク43)への配管Tがさらに見えにくくなり、スッキリしたトイレ空間である印象を与えることができると共に、便器本体40のトイレ空間への突出部分が減少することでトイレ空間として利用できるスペースをさらに拡大できる。
【0087】
なお、本発明は上述した実施形態に限られず、上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したリ組合せを変更したりした構成、公知発明並びに上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したりした構成、等も含まれる。また、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【符号の説明】
【0088】
1、2 コアフレーム
3 アッパーフレーム
4 便器ユニット
10、11 支持体
12 化粧板上部支持体
13 化粧板下部支持部
14 係止板
20、21 支持体
22 化粧板上部支持体
23 化粧板下部支持部
24 係止板
25、26 手摺支持体
30、31 支持体
32 化粧板支持フレーム
33 補強板
34 係止板
35 ブレース
40 便器本体
41 便座
42 開閉ヒンジ部
43 ロータンク
50 背もたれマット
FL 床面
H 手摺
S 門型収納空間
S1、S2、S3 収納空間
V1、V2、V3、V4 化粧板
SB 天板
SF サイドフレーム
WB 後側方面壁面
WS 横側側方壁面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9