(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020725
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】車両空調用のフィルタ及び遠心送風機
(51)【国際特許分類】
B01D 46/52 20060101AFI20230202BHJP
B60H 3/06 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
B01D46/52 B
B01D46/52 A
B60H3/06 611A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021126254
(22)【出願日】2021-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】500309126
【氏名又は名称】株式会社ヴァレオジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】大野 正人
(72)【発明者】
【氏名】原 慎一
【テーマコード(参考)】
3L211
4D058
【Fターム(参考)】
3L211BA09
3L211DA75
4D058JA14
4D058JB14
4D058JB25
4D058KA01
4D058KA12
4D058KC33
4D058KC37
4D058KC51
4D058KC81
4D058KC90
4D058QA03
4D058QA21
4D058SA06
4D058UA11
(57)【要約】
【課題】フィルタが斜めに配置された遠心送風機において、フィルタ交換の作業性を改善する。
【解決手段】車両空調用のフィルタ40は、濾材41と端部材45,46とを備えている。濾材41は、プリーツ状に形成されている。端部材45,46は、濾材の端縁41a,41bに接合されている。また、端部材の下面45a,46aに、滑り止め部50が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリーツ状に形成された濾材(41)と、
前記濾材の端縁(41a;41b;41c;41d)に接合された端部材(45;46;47;48)と、
を備え、
前記端部材の下面(45a;46a;47a;48a)に滑り止め部(50)が設けられている、車両空調用のフィルタ(40)。
【請求項2】
前記滑り止め部(50)の摩擦係数は、前記端部材(45;46;47;48)の摩擦係数よりも高い、請求項1に記載のフィルタ(40)。
【請求項3】
前記滑り止め部(50)は接着剤により形成されている、請求項1又は2に記載のフィルタ(40)。
【請求項4】
前記濾材(41)は、前記接着剤と同じ接着剤によって前記端部材(45;46;47;48)に接合されている、請求項3に記載のフィルタ(40)。
【請求項5】
前記滑り止め部(50)は、前記下面(45a;46a;47a;48a)から突出する凸部(51)を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のフィルタ(40)。
【請求項6】
前記端部材(45;46;47;48)は、前記濾材(41)の端縁(41a;41b;41c;41d)に沿う長手方向(Da;Db;Dc;Dd)を有し、
前記滑り止め部(50)は、前記下面(45a;46a;47a;48a)から突出する複数の凸部(51)を含み、
前記複数の凸部(51)は、前記長手方向(Da;Db;Dc;Dd)に沿って並ぶ、請求項5に記載のフィルタ(40)。
【請求項7】
前記凸部(51)は下方に向けて先細る先鋭状に形成されている、請求項5又は6に記載のフィルタ(40)。
【請求項8】
前記凸部(51)は、前記端部材(45;46;47;48)と一体的に形成されている、請求項5乃至7のいずれか一項に記載のフィルタ(40)。
【請求項9】
前記端部材(45;46;47;48)は、前記濾材(41)の端縁(41a;41b;41c;41d)に沿う長手方向(Da;Db;Dc;Dd)を有し、
前記滑り止め部(50)は、前記端部材(45;46;47;48)の前記長手方向(Da;Db;Dc;Dd)に沿った中心よりも前記端部材(45;46;47;48)の一端側にのみに設けられている、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のフィルタ(40)。
【請求項10】
前記端部材(45;46)は、前記濾材(41)の端縁(41a;41b)に沿う長手方向(Da;Db)を有し、
前記滑り止め部(50)は、前記端部材(45;46)の前記長手方向(Da;Db)に沿った中央の領域にのみ設けられている、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のフィルタ(40)。
【請求項11】
前記フィルタ(40)は、前記濾材(41)の第1端縁(41a)に接合された第1端部材(45)と、前記第1端縁(45)に対向する前記濾材(41)の第2端縁(41b)に接合された第2端部材(46)と、を含み、
前記滑り止め部(50)は、前記第1端部材(45)及び前記第2端部材(46)の一方にのみ設けられている、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のフィルタ(40)。
【請求項12】
車両空調用の遠心送風機(1)であって、
請求項1乃至11のいずれか一項に記載のフィルタ(40)と、
車両の外気を取り込むための外気導入口(21)と、車両の内気を取り込むための内気導入口(22)と、前記外気導入口(21)及び/又は前記内気導入口(22)から取り入れられた外気及び/又は内気の通路となる空気通路(23)と、前記空気通路(23)内に前記フィルタ(40)を挿入するためのフィルタ挿入口(24)と、前記空気通路(23)内に配置された前記フィルタ(40)の前記端部材(45;46;47;48)を下方から支持するフィルタ支持部(26)と、を有する空気取入ハウジング(20)と、
モータ(2)と、
周方向翼列を形成する複数の翼(3a)を有し、前記モータ(2)により軸方向に延びる回転軸線(Ax)周りに回転駆動されて、前記翼列の半径方向内側の空間の空気を半径方向外側に向けて吹き出す羽根車(3)と、
前記羽根車(3)を収容するスクロ-ルハウジング(10)であって、前記空気取入ハウジング(20)に接続され、前記空気通路(23)に開口する吸込口(10a)と周方向に開口する吐出口(10b)とを有し、前記羽根車(3)の回転により、前記吸込口(10a)から吸い込んだ空気を前記吐出口(10b)から送り出すスクロールハウジング(10)と、
を備え、
前記フィルタ支持部(26)は、前記フィルタ(40)の前記フィルタ挿入口(24)に対面する挿入口側端縁(41c;41a)が当該挿入口側端縁に対向する前記フィルタの対向端縁(41d;41b)よりも下方に位置するように、前記フィルタ(40)を支持する、遠心送風機(1)。
【請求項13】
前記端部材(45;46;47;48)は、前記濾材(41)の端縁(41a;41b;41c;41d)に沿う長手方向(Da;Db;Dc;Dd)を有し、
前記フィルタ支持部(26)は、前記端部材(45;46;47;48)の前記長手方向(Da;Db;Dc;Dd)に沿って延び、
前記長手方向(Da;Db;Dc;Dd)は、前記フィルタ挿入口(24)から前記空気通路(23)への前記フィルタの挿入方向(Di)に沿っており、
前記滑り止め部(50)は、前記挿入方向(Di)における前記端部材(45;46;47;48)の後方半部にのみ設けられている、請求項12に記載の遠心送風機(1)。
【請求項14】
前記端部材(45;46)は、前記濾材(41)の端縁(41a;41b)に沿う長手方向(Da;Db)を有し、
前記フィルタ支持部(26)は、前記端部材(45;46)の前記長手方向(Da;Db)に沿って延び、
前記長手方向(Da;Db)は、前記フィルタ挿入口(24)から前記空気通路(23)への前記フィルタ(40)の挿入方向(Di)に沿っており、
前記滑り止め部(50)は、前記端部材(45;46)の前記長手方向(Da;Db)に沿った中央の領域にのみ設けられている、請求項12に記載の遠心送風機(1)。
【請求項15】
前記フィルタ(40)は、前記濾材(41)の第1端縁(41a)に接合された第1端部材(45)と、前記第1端縁(41a)に対向する前記濾材(41)の第2端縁(41b)に接合された第2端部材(46)と、を含み、
前記空気取入ハウジング(20)は、前記第1端部材(45)を下方から支持する第1フィルタ支持部(26a)と、前記第2端部材(46)を下方から支持する第2フィルタ支持部(26b)と、を有し、
前記滑り止め部(50)は、前記第1端部材(45)及び前記第2端部材(46)の一方にのみ設けられている、請求項12乃至14のいずれか一項に記載の遠心送風機(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両空調用のフィルタ及び遠心送風機に関する。
【背景技術】
【0002】
車両空調用の遠心送風機は、送風空気に含まれる埃や臭いを除去するために集塵や脱臭の機能を有するフィルタを備えている。特許文献1には、このような遠心送風機が開示されている。特許文献1に記載の遠心送風機では、遠心送風機のケース内に配置されたファンを回転駆動させることによって、車両の内気や外気が、ケースの上方に形成された吸入口から吸入され、ファンの径方向外側へ吹き出される。フィルタは、遠心送風機内を流れる空気の流れ方向において、ファンの上流に配置される。
【0003】
また、特許文献1の遠心送風機では、フィルタが、車両の前方から後方に向けて下がるように斜めに配置されている。フィルタはケースの後方部分に設けられた開口部を通じて挿入される。開口部は、着脱可能なカバーによって閉塞される。
【0004】
ところで、このような遠心送風機の場合、フィルタを交換する際にカバーを取り外すと、フィルタが開口部を通じて滑り出る虞がある。このことは、フィルタ交換の作業性を損なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、フィルタが斜めに配置された遠心送風機において、フィルタ交換の作業性を改善することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の好適な一実施形態によれば、
車両空調用のフィルタであって、
プリーツ状に形成された濾材と、
前記濾材の端縁に接合された端部材と、
を備え、
前記端部材の下面に滑り止め部が設けられている、フィルタが提供される。
【0008】
また、本発明の好適な一実施形態によれば、
車両空調用の遠心送風機であって、
上記フィルタと、
車両の外気を取り込むための外気導入口と、車両の内気を取り込むための内気導入口と、前記外気導入口及び/又は前記内気導入口から取り入れられた外気及び/又は内気の通路となる空気通路と、前記空気通路内に前記フィルタを挿入するためのフィルタ挿入口と、前記空気通路内に配置された前記フィルタの前記端部材を下方から支持するフィルタ支持部と、を有する空気取入ハウジングと、
モータと、
周方向翼列を形成する複数の翼を有し、前記モータにより軸方向に延びる回転軸線周りに回転駆動されて、前記翼列の半径方向内側の空間の空気を半径方向外側に向けて吹き出す羽根車と、
前記羽根車を収容するスクロ-ルハウジングであって、前記空気取入ハウジングに接続され、前記空気通路に開口する吸込口と周方向に開口する吐出口とを有し、前記羽根車の回転により、前記吸込口から吸い込んだ空気を前記吐出口から送り出すスクロールハウジングと、
を備え、
前記フィルタ支持部は、前記フィルタの前記フィルタ挿入口に対面する挿入口側端縁が当該挿入口側端縁に対向する前記フィルタの対向端縁よりも下方に位置するように、前記フィルタを支持する、遠心送風機が提供される。
【発明の効果】
【0009】
上記本発明の実施形態によれば、フィルタが斜めに配置された遠心送風機において、フィルタ交換の作業性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施の形態による遠心送風機の子午断面を含む縦断面図である。
【
図4】
図3に示すフィルタを下方から見た平面図である。
【
図5】フィルタの端部材と濾材との接合部を示す部分拡大図である。
【
図6】
図4に対応する図であって、フィルタの変形例を示す図である。
【
図7】
図4に対応する図であって、フィルタの他の変形例を示す図である。
【
図8】
図4に対応する図であって、フィルタのさらに他の変形例を示す図である。
【
図9】
図5に対応する図であって、フィルタのさらに他の変形例を示す図である。
【
図10】
図5に対応する図であって、フィルタのさらに他の変形例を示す図である。
【
図11】
図3に対応する図であって、フィルタのさらに他の変形例を示す図である。
【
図13】フィルタの端部材を示す部分拡大図である。
【
図14】
図12に対応する図であって、フィルタのさらに他の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明の一実施の形態について説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施の形態による遠心送風機の断面を模式的に示す図である。
図2は、
図1に示す遠心送風機の斜視図である。
【0013】
図1及び
図2に示す遠心送風機1は、車両用空調装置に組み込まれる車両空調用の遠心送風機であり、モータ2と、モータ2によって回転駆動される羽根車3と、羽根車3を収容するスクロールハウジング10と、空気取入ハウジング20と、を有する。
【0014】
なお、本明細書において、説明の便宜上、モータ2及び羽根車3の回転軸線Axの方向を「軸方向」または「上下方向」と呼び、
図1の上側及び下側をそれぞれ「軸方向の一側」あるいは「上側」及び「軸方向の他側」あるいは「下側」と呼ぶ。しかしながら、このことによって、遠心送風機が実際に車両に組み込まれた場合に回転軸線Axの方向が鉛直方向に一致するものと限定されるわけではない。また、本明細書においては、特別な注記が無い限り、回転軸線Ax上の任意の点を中心として回転軸線Axと直交する平面上に描かれた円の半径の方向を半径方向と呼び、当該円の円周方向を周方向または円周方向と呼ぶ。
【0015】
羽根車3は、その外周部分に、周方向に並んだ翼列を形成する複数の翼3aを有している。羽根車3は、モータ2の回転軸2aに接続されて回転軸線Ax周りに回転駆動され、軸方向の上側(軸方向の一側)から羽根車3の翼列の半径方向内側の空間に吸入した空気を、半径方向外側に向けて吹き出す。
【0016】
羽根車3には、内側偏向部材6が一体に成形されている。内側偏向部材6は、コーン部と呼ばれることもある。この内側偏向部材6は、幾何学的な意味における回転体である。図示された例では、内側偏向部材6の側周部は、羽根車3の下端に接続されている。また、内側偏向部材6の中央部は、モータ2の回転軸2aに連結されている。
【0017】
スクロールハウジング10は、軸方向に見て、全体として螺旋形状に形成されている。スクロールハウジング10は、軸方向に開口する吸込口10aと、周方向に開口する吐出口10bとを有している。スクロールハウジング10を軸方向に見た場合、吐出口10bはスクロールハウジング10の外周面の概ね接線方向に延びている(
図2参照)。スクロールハウジング10は、羽根車3の回転により吸込口10aから吸い込んだ空気を、吐出口10bから送り出す。図示された例では、吸込口10aは、軸方向の上側(軸方向の一側)に開口している。スクロールハウジング10を形成するための材料としては、例えばポリプロピレンを採用可能である。
【0018】
スクロールハウジング10の上側には、空気取入ハウジング20が、吸込口10aを覆うように配置されている。スクロールハウジング10は、空気取入ハウジング20に接続されている。スクロールハウジング10と空気取入ハウジング20とは、一体成形されていてもよいし、別々に作製された後にネジ止め、接着、嵌め込み等の手法により連結されてもよい。空気取入ハウジング20を形成するための材料としては、例えばポリプロピレンを採用可能である。
【0019】
空気取入ハウジング20の内部空間は、スクロールハウジング10の吸込口10aに連通している。言い換えると、吸込口10aは、空気取入ハウジング20の内部空間に向けて開口している。
図1に示すように、空気取入ハウジング20は、概ね前方に向けて開口する外気導入口21と、概ね後方に向けて開口する内気導入口22とを有する。外気導入口21は、車両に設けられた外気導入路の出口(図示せず)と連結されており、車両の外気を空気取入ハウジング20内に導入することができる。内気導入口22は車両の室内に開口しており、車両の内気を空気取入ハウジング20内に導入することができる。空気取入ハウジング20の内部空間は、外気導入口21から取り入れられた外気や内気導入口22から取り入れられた内気の通路となる空気通路23を成す。
【0020】
空気取入ハウジング20内には、外気導入口21及び内気導入口22の開閉を行う切替ドア60が設けられている。図示された例では、切替ドア60は、ロータリードアと呼ばれる形式のものであり、
図1及び
図2から理解されるように、全体として、扇形の底面を有する柱体の形状を有している。切替ドア60は、旋回軸線Bxを中心とする円弧形の断面を有する周面61と、この周面61の左右両側に接続された扇形の側面62とを有している。上記周面61が外気導入口21を塞ぐと、内気導入口22が開放される。また、上記周面61が内気導入口22を塞ぐと、外気導入口21が開放される。切替ドア60は、左右方向に延びる旋回軸線Bxを中心として図示しないアクチュエータにより旋回させることができ、外気導入口21を開放して内気導入口22を閉鎖する第1位置(
図1で実線で示す位置)と、外気導入口21を閉鎖して内気導入口22を開放する第2位置(
図1で破線で示す位置)と、の間を移動可能である。
【0021】
送風機2が外気モードで運転されるときには、
図1に実線で示すように、切替ドア60は第1位置に配置される。このとき、空気取入ハウジング20内には、外気導入口21から外気AEが導入される。また、送風機2が内気モードで運転される時には、
図1に破線で示すように、切替ドア60は第2位置に配置される。このとき、空気取入ハウジング20内には、内気導入口22から内気ARが導入される。外気導入口21から空気取入ハウジング20内に導入された外気AE及び内気導入口22から空気取入ハウジング20内に導入された内気ARは、スクロールハウジング10の吸込口10aからから羽根車3の翼列の半径方向内側の空間に流入する。
【0022】
空気取入ハウジング20の空気通路23に、フィルタ40が配置される。フィルタ40は、空気取入ハウジング20内に流入した空気中のダスト、パーティクル等の汚染物質や異臭を除去するために設けられている。フィルタ40は、外気導入口21及び内気導入口22とスクロールハウジング10の吸込口10aとの間に配置される。
図1に示すように、フィルタ40は、空気取入ハウジング20の空気通路23内に、その濾材41が空気通路23を流れる空気を横切るように配置されている。
【0023】
空気取入ハウジング20は、空気通路23内に配置されたフィルタ40を支持するためのフィルタ支持部26を有している。また、空気取入ハウジング20は、空気取入ハウジング20の外部から空気通路23内にフィルタ40を挿入するためのフィルタ挿入口24と、フィルタ挿入口24を塞ぐ蓋材25と、を有している。
【0024】
フィルタ支持部26は、空気取入ハウジング20内に設けられたスロットまたはレールからなる。フィルタ支持部26は、フィルタ40の端部を下方から支持する。
図2に示すように、フィルタ支持部26は、一対の支持部材26a,26bを含む。支持部材26aは、第1フィルタ支持部を構成する。また、支持部材26bは、第2フィルタ支持部を構成する。支持部材26a,26bは、空気取入ハウジング20の内面に、互いに対向して設けられて、後述するフィルタ40の端部材45,46を支持する。支持部材26a,26bは、フィルタ挿入口24から空気通路23内へのフィルタ40の挿入方向Di(あるいは、空気通路23内からフィルタ挿入口24を通じたフィルタ40の取出方向Do)に沿って延びている。ここで、挿入方向Diと取出方向Doとは、互いに反対方向である。
【0025】
遠心送風機1においては、空気取入ハウジング20にフィルタ40を着脱する際にフィルタ40が遠心送風機1の周囲の部品と干渉することのないよう、フィルタ40及びフィルタ支持部26並びにフィルタ挿入口24は、次のように配置されている。すなわち、フィルタ支持部26の支持部材26a,26bは、フィルタ40の取出方向Doに沿ってフィルタ挿入口24に接近するにつれて下方に傾斜している。これにより、フィルタ40は、フィルタ40の取出方向Doに沿ってフィルタ挿入口24に接近するにつれて下方に傾斜するように、空気通路23内に配置される。言い換えると、フィルタ40は、フィルタ支持部26によって、その挿入口側端縁41cがその対向端縁41dよりも下方に位置するように、空気通路23内において支持される。ここで、「挿入口側端縁」とは、フィルタ40の端縁のうち、フィルタ挿入口24に対面する端縁である。また、「対向端縁」とは、フィルタ40の端縁のうち、挿入口側端縁41cに対向する端縁である。
【0026】
次に、
図3~
図5を参照して、フィルタ40について詳細に説明する。
図3は、フィルタ40の斜視図である。また、
図4は、
図3に示すフィルタ40を下方から見た図である。また、
図5は、
図3に示すフィルタ40の端部材46の一端と濾材41との接合部を示す部分拡大図である。
【0027】
図3に示すように、フィルタ40は、空気取入ハウジング20の内部空間に流入した空気中の汚染物質を捕捉する濾材41と、濾材41の端縁に接合されて濾材41を保持する一対の端部材45,46と、を含む。濾材41は、例えば不織布により形成されている。濾材41の材料は、例えばポリプロピレンやポリエステル、ナイロン等の樹脂の繊維が用いられる。また、端部材45,46は、例えばポリエステルやポリプロピレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合合成樹脂(ABS樹脂)により形成されている。
【0028】
図示された例では、濾材41は全体として四角形であり、互いに対向する第1~第2端縁41a,41bと、互いに対向する第3~第4端縁41c,41dと、を有する。
【0029】
図3に示すように、濾材41はプリーツ状に形成されている。より具体的には、濾材41には、山折りの折り目と谷折りの折り目とが交互に形成されている。濾材41の折り目は、第3端縁41c及び第4端縁41dに沿って延びている。また、濾材41の折り目は、第1端縁41a及び第2端縁41bに沿って並んでいる。
【0030】
端部材45,46は、平板な板状に形成されている。端部材45,46は、それぞれ、下方(スクロールハウジング10の側)を向く下面45a,46aと、濾材41の端縁41a,41bに対面する主面45b,46bと、を有する。端部材45,46は、それぞれ、濾材41の端縁41a,41bに沿う長手方向Da,Dbを有している。端部材45,46は、フィルタ支持部26によって、下方から支持される。すなわち、フィルタ40が空気取入ハウジング20内に配置された状態で、フィルタ支持部26の支持部材26a,26bは、端部材45,46の長手方向Da,Dbに沿って延びている。長手方向Da,Dbは、フィルタ40の挿入方向Diおよび取出方向Doに沿っている。
【0031】
端部材45,46は、それぞれ濾材41の端縁41a,41bに接合されて、濾材41をプリーツ形状に維持する。以下では、第1端縁41aに接合された端部材45を「第1端部材45」とも呼ぶ。また、第2端縁41bに接合された端部材46を「第2端部材46」とも呼ぶ。
【0032】
図5に示すように、端部材45,46と濾材41の端縁41a,41bとは、接着剤49によって接合されている。接着剤49としては、例えばホットメルト接着剤を採用可能である。ホットメルト接着剤は、例えば、オレフィンポリマーを主成分とする、ヤスハラケミカル社製ヒロダイン2025、ヒロダイン8564、ヒロダイン8581、ヒロダイン8600等であってよい。
【0033】
図4によく示されているように、端部材45,46の下面45a,46aの一部には、滑り止め部50が設けられている。滑り止め部50は、フィルタ40がフィルタ支持部26上を滑って空気取入ハウジング20からフィルタ挿入口24を通じて抜け出る、ということを防止するために設けられている。図示された例では、フィルタ支持部26の支持部材26a,26bに対する滑り止め部50の摩擦係数は、端部材45,46の摩擦係数よりも高い。また、図示された例では、滑り止め部50は、端部材45,46の下面45a,46aに接着剤を塗布し、これを硬化させることにより形成されている。滑り止め部50が接着剤で形成されることにより、滑り止め部50を所望の位置に所望の寸法で容易に形成することができる。図示された例では、滑り止め部50を形成する接着剤は、濾材41と端部材45,46とを接合する接着剤49と同じ接着剤である。これにより、濾材41と端部材45,46とを接合する工程と滑り止め部50を形成する工程とを、一連の工程として行うことができ、結果としてフィルタ40を容易に作製することができる。もちろん、滑り止め部50を形成する接着剤は、接着剤49と異なる接着剤であってもよい。なお、滑り止め部50を接着剤で形成する場合、この滑り止め部50は、端部材45,46とフィルタ支持部26の支持部材26a,26bとを接着するものではない。空気取入ハウジング20から、フィルタ40の取り外しを可能とする必要がある。
【0034】
図示された例では、滑り止め部50は、端部材45,46の長手方向Da,Dbに沿った中心よりも端部材45,46の一端側にのみに設けられている。そして、フィルタ40は、滑り止め部50がフィルタ40の挿入方向Diにおける端部材45,46の後方半部(言い換えると、フィルタ40の取出方向Doにおける端部材45,46の前方半部)に位置するように、空気通路23内に配置されている。挿入方向Di及び取出方向Doに対して滑り止め部50がこのように配置されることにより、フィルタ40を空気通路23に挿入する際及びフィルタ40を空気通路23から取り出す際に、滑り止め部50とフィルタ支持部26との接触時間を短くすることができる。すなわち、フィルタ40を空気通路23内に挿入する挿入工程では、滑り止め部50とフィルタ支持部26とが接触するのは挿入工程の後半のみである。また、フィルタ40を空気通路23から取り出す取出工程では、滑り止め部50とフィルタ支持部26とが接触するのは取出工程の前半のみである。したがって、フィルタ40を空気通路23に挿入する際及びフィルタ40を空気通路23から取り出す際に、滑り止め部50とフィルタ支持部26とが接触してフィルタ40のフィルタ支持部26上における移動が阻害される、という虞が抑制される。
【0035】
図示された例では、滑り止め部50は、端部材45,46の一端の近傍にのみに設けられている。そして、フィルタ40は、滑り止め部50がフィルタ40の挿入方向Diにおける端部材45,46の後端部(言い換えると、フィルタ40の取出方向Doにおける端部材45,46の前端部)に位置するように、空気通路23内に配置されている。これにより、フィルタ40を空気通路23内に挿入する挿入工程では、滑り止め部50とフィルタ支持部26とが接触するのは挿入工程の終了間際のみである。また、フィルタ40を空気通路23から取り出す取出工程では、滑り止め部50とフィルタ支持部26とが接触するのは取出工程の開始直後のみである。したがって、フィルタ40を空気通路23に挿入する際及びフィルタ40を空気通路23から取り出す際に、滑り止め部50とフィルタ支持部26とが接触してフィルタ40のフィルタ支持部26上における移動が阻害される、という虞を効果的に抑制することができる。
【0036】
以上に説明してきた一実施の形態において、車両空調用のフィルタ40は、濾材41と端部材45,46とを備えている。濾材41は、プリーツ状に形成されている。端部材45,46は、濾材の端縁41a,41bに接合されている。また、端部材の下面45a,46aに、滑り止め部50が設けられている。そして、滑り止め部50の摩擦係数は、端部材45,46の摩擦係数よりも高い。
【0037】
このような車両空調用のフィルタ40によれば、
図1に示すようにフィルタ40が空気取入ハウジング20内に斜めに配置される場合であっても、フィルタ40を空気取入ハウジング20から取り出す際や、フィルタ40を空気取入ハウジング20内に挿入する際に、フィルタ40がフィルタ挿入口24を通じて意図せず滑り落ちる、という虞が抑制される。この結果、フィルタ40が空気取入ハウジング20内に斜めに配置されることに起因してフィルタ40の交換作業性が悪化する、という虞が抑制される。
【0038】
また、以上に説明してきた一実施の形態において、滑り止め部50は接着剤により形成されている。これにより、滑り止め部50を、端部材45,46の下面上の所望の位置に所望の寸法で、容易に形成することができる。
【0039】
また、以上に説明してきた一実施の形態において、濾材41は、滑り止め部50を形成する接着剤と同じ接着剤49によって端部材45,46に接合されている。これにより、濾材41と端部材45,46とを接合する工程と滑り止め部50を形成する工程とを一連の工程として行うことができ、結果としてフィルタ40を容易に作製することができる。
【0040】
また、以上に説明してきた一実施の形態において、車両空調用の遠心送風機1は、上述したフィルタ40と、空気取入ハウジング20と、モータ2と、羽根車3と、羽根車3を収容するスクロールハウジング10と、を備えている。空気取入ハウジング20は、車両の外気AEを取り込むための外気導入口21と、車両の内気ARを取り込むための内気導入口22と、外気導入口21及び/又は内気導入口22から取り入れられた外気AE及び/又は内気ARの通路となる空気通路23と、空気通路23内にフィルタ40を挿入するためのフィルタ挿入口24と、空気通路23内に配置されたフィルタ40の端部材45,46を下方から支持するフィルタ支持部26と、を有している。羽根車3は、周方向翼列を形成する複数の翼3aを有し、モータ2により軸方向に延びる回転軸線Ax周りに回転駆動されて、上記翼列の半径方向内側の空間の空気を半径方向外側に向けて吹き出す。スクロールハウジング10は、空気取入ハウジング20に接続され、空気通路23に開口する吸込口10aと周方向に開口する吐出口10bとを有している。スクロールハウジング10は、羽根車3の回転により、吸込口10aから吸い込んだ空気を吐出口10bから送り出す。フィルタ支持部26は、フィルタ40のフィルタ挿入口24に対面する挿入口側端縁41cが挿入口側端縁41cに対向するフィルタ40の対向端縁41dよりも下方に位置するように、フィルタ40を支持する。
【0041】
このような車両空調用の遠心送風機1によれば、
図1に示すようにフィルタ40は空気取入ハウジング20の空気通路23内に斜めに配置されるが、フィルタ40を空気取入ハウジング20から取り出す際や、フィルタ40を空気取入ハウジング20内に挿入する際に、フィルタ40がフィルタ挿入口24を通じて意図せず滑り落ちる、という虞が抑制される。この結果、フィルタ40が空気通路23内に斜めに配置されることに起因してフィルタ40の交換作業性が悪化する、という虞が抑制される。
【0042】
また、以上に説明してきた一実施の形態において、端部材45,46は、濾材41の端縁41a,41bに沿う長手方向Da,Dbを有している。フィルタ支持部26は、端部材45,46の長手方向Da,Dbに沿って延びている。長手方向Da,Dbは、フィルタ挿入口24から空気通路23へのフィルタ40の挿入方向Diに沿っている。滑り止め部50は、挿入方向Diにおける端部材45,46の後方半部にのみ設けられている。言い換えると、滑り止め部50は、フィルタ40の取出方向Doにおける端部材45,46の前方半部にのみ設けられている。
【0043】
挿入方向Di及び取出方向Doに対して滑り止め部50がこのように配置されることにより、フィルタ40を空気通路23に挿入する際及びフィルタ40を空気通路23から取り出す際に、滑り止め部50とフィルタ支持部26との接触時間を短くすることができる。すなわち、フィルタ40を空気通路23内に挿入する挿入工程では、滑り止め部50とフィルタ支持部26とが接触するのは挿入工程の後半のみである。また、フィルタ40を空気通路23から取り出す取出工程では、滑り止め部50とフィルタ支持部26とが接触するのは取出工程の前半のみである。したがって、フィルタ40を空気通路23に挿入する際及びフィルタ40を空気通路23から取り出す際に、滑り止め部50とフィルタ支持部26とが接触して、フィルタ40のフィルタ支持部26上における移動が阻害される、という虞が抑制される。
【0044】
なお、上述してきた一実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。
【0045】
例えば、
図6に示すように、滑り止め部50は、端部材45,46の長手方向Da,Dbに沿った中央の領域にのみ設けられていてもよい。この場合、フィルタ40の端縁41cが挿入口側端縁になるようにフィルタ40を空気取入ハウジング20内に配置した場合であっても、フィルタ40の端縁41dが挿入口側端縁になるようにフィルタ40を空気取入ハウジング20内に配置した場合であっても、フィルタ40を空気通路23に挿入する際及びフィルタ40を空気通路23から取り出す際の、滑り止め部50とフィルタ支持部26との接触時間はほぼ同じである。したがって、空気取入ハウジング20内へのフィルタ40の配置の自由度が高くなる。
【0046】
また、
図7に示すように、滑り止め部50は、端部材45,46の下面45a,46aに、端部材45,46の長手方向Da,Dbに沿って複数設けられていてもよい。この場合、フィルタ40を空気取入ハウジング20から取り出す取出工程の途中や、フィルタ40を空気取入ハウジング20内に挿入する挿入工程の途中で、フィルタ40がフィルタ挿入口24を通じて意図せず滑り落ちる、という虞が抑制される。この結果、フィルタ40が空気通路23内に斜めに配置されることに起因してフィルタ40の交換作業性が悪化する、という虞が抑制される。
【0047】
また、
図8に示すように、滑り止め部50は、第1端部材45及び第2端部材46の一方にのみ設けられていてもよい。この場合も、フィルタ40を空気取入ハウジング20から取り出す際や、フィルタ40を空気取入ハウジング20内に挿入する際に、フィルタ40がフィルタ挿入口24を通じて意図せず滑り落ちる、という虞が抑制される。この結果、フィルタ40が空気通路23内に斜めに配置されることに起因してフィルタ40の交換作業性が悪化する、という虞が抑制される。
【0048】
また、滑り止め部50は、濾材41の端縁41a,41bと端部材45,46とを接着剤49で接合する工程で形成されてもよい。具体的には、
図9に示すように、濾材41の端縁41a,41bと端部材45,46とを接合する接着剤49の一部が、端部材45,46の下面45a,46a上に延び出して滑り止め部50を成してもよい。この場合、フィルタ40の製造工程における工数を少なくすることができる。
【0049】
また、
図10に示すように、滑り止め部50は、端部材45,46の下面45a,46aから突出する凸部51を含んでもよい。そして、凸部51は、下方に向けて先細る先鋭状に形成されていてもよい。この場合も、滑り止め部50の摩擦係数を、端部材45,46の摩擦係数よりも高くすることができる。したがって、この場合も、フィルタ40を空気取入ハウジング20から取り出す際や、フィルタ40を空気取入ハウジング20内に挿入する際に、フィルタ40がフィルタ挿入口24を通じて意図せず滑り落ちる、という虞が抑制される。この結果、フィルタ40が空気通路23内に斜めに配置されることに起因してフィルタ40の交換作業性が悪化する、という虞が抑制される。
【0050】
図10に示す例では、滑り止め部50は、端部材45,46の下面45a,46aから突出する複数の凸部51を含む。そして、複数の凸部51は、端部材45,46の長手方向Da,Dbに沿って並んでいる。これにより、滑り止め部50の摩擦係数をより高くすることができる。したがって、この場合、フィルタ40を空気取入ハウジング20から取り出す際や、フィルタ40を空気取入ハウジング20内に挿入する際に、フィルタ40がフィルタ挿入口24を通じて意図せず滑り落ちる、という虞が、さらに効果的に抑制される。
【0051】
また、
図10に示す例では、凸部51は、端部材45,46と一体的に形成されている。これにより、滑り止め部50を端部材45,46の作成と同時に形成することができる。
【0052】
また、
図11に示すように、フィルタ40は、第3端縁41cに接合する第3端部材47及び第4端縁41dに接合する第4端部材48を含んでいてもよい。第3端部材47は、濾材41の第3端縁41cに沿った長手方向Dcを有している。また、第4端部材48は、濾材41の第4端縁41dに沿った長手方向Ddを有している。
【0053】
図11に示すように、端部材47,48は、それぞれ、下方(スクロールハウジング10の側)を向く下面47a,48aと、濾材41の端縁41c,41dに対面する主面47b,48bと、を有する。そして、フィルタ40の空気取入ハウジング20内への挿入方向Di及び空気取入ハウジング20からの取出方向Doは、第3端部材47の長手方向Dc及び第4端部材48の長手方向Ddに沿っていてもよい。このようなフィルタ40においては、滑り止め部50は、第3端部材47及び/又は第4端部材48の下面47a,48aに設けられていてもよい。この場合も、フィルタ40を空気取入ハウジング20から取り出す際や、フィルタ40を空気取入ハウジング20内に挿入する際に、フィルタ40がフィルタ挿入口24を通じて意図せず滑り落ちる、という虞が抑制される。この結果、フィルタ40が空気通路23内に斜めに配置されることに起因してフィルタ40の交換作業性が悪化する、という虞が抑制される。
【0054】
図11及び
図12に示す例では、滑り止め部50は接着剤で形成されているが、これに限られない。滑り止め部50は、
図10に示す例と同様に、先鋭状に形成された凸部51を含んでいてもよい(
図13参照)。
【0055】
また、
図14に示すように、滑り止め部50は、フィルタ40の空気取入ハウジング20内への挿入方向Di及び空気取入ハウジング20からの取出方向Doと交差する方向に延びる端部材に設けられてもよい。
図14に示す例では、挿入方向Di及び取出方向Doは、第3端部材47及び第4端部材48の長手方向Dc,Ddに沿った方向であり、第1端部材45及び第2端部材46の長手方向Da,Dbと交差する方向である。そして、滑り止め部50は、第1端部材45の下面45aに形成されている。この場合も、フィルタ40を空気取入ハウジング20から取り出す際や、フィルタ40を空気取入ハウジング20内に挿入する際に、フィルタ40がフィルタ挿入口24を通じて意図せず滑り落ちる、という虞が抑制される。この結果、フィルタ40が空気通路23内に斜めに配置されることに起因してフィルタ40の交換作業性が悪化する、という虞が抑制される。
【0056】
とりわけ、
図14に示す例では、滑り止め部50は、フィルタ40の挿入方向Diにおけるフィルタ40の後端部(言い換えると、フィルタ40の取出方向Doにおけるフィルタ40の前端部)となる第1端部材45に設けられている。これにより、フィルタ40を空気通路23内に挿入する挿入工程では、滑り止め部50とフィルタ支持部26とが接触するのは挿入工程の終了間際のみである。また、フィルタ40を空気通路23から取り出す取出工程では、滑り止め部50とフィルタ支持部26とが接触するのは取出工程の開始直後のみである。したがって、フィルタ40を空気通路23に挿入する際及びフィルタ40を空気通路23から取り出す際に、滑り止め部50とフィルタ支持部26とが接触してフィルタ40のフィルタ支持部26上における移動が阻害される、という虞を効果的に抑制することができる。
【0057】
また、上述した実施形態において、滑り止め部50は、滑り止め部50とフィルタ支持部26との間に働く摩擦力により、フィルタ40が空気通路23から滑り出ることを抑制するものであるが、これに限られない。例えば、滑り止め部50は、滑り止め部50と空気取入ハウジング20のフィルタ挿入口24の縁部との干渉により、フィルタ40が空気通路23から滑り出ることを抑制するものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明に係る車両空調用のフィルタ及び遠心送風機は、工業的に製造することができ、また商取引の対象とすることができるから、経済的価値を有して産業上利用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 遠心送風機
2 モータ
3 羽根車
10 スクロールハウジング
20 空気取入ハウジング
21 外気導入口
22 内気導入口
23 空気通路
24 フィルタ挿入口
26 フィルタ支持部
40 フィルタ
41 濾材
41a,41b,41c,41d 濾材の端縁
45,46,47,48 端部材
45a,46a,47a,48a 端部材の下面
49 接着剤
50 滑り止め部
51 凸部
Ax 回転軸線
Di 挿入方向
Do 取出方向