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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020730
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】歯ブラシ用刷毛保持器具
(51)【国際特許分類】
   A46B 17/04 20060101AFI20230202BHJP
【FI】
A46B17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021126262
(22)【出願日】2021-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】511205323
【氏名又は名称】サイデリアル有限会社
(72)【発明者】
【氏名】岡 聖記
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA06
3B202AB24
3B202GB03
3B202GB06
3B202GB11
(57)【要約】
【課題】多様な形状の歯ブラシのヘッドに対応可能であり、刷毛を真っ直ぐに保持する効果を高める歯ブラシ用刷毛保持器具を提供する。
【解決手段】対向する2枚の弾性板2のそれぞれが、長手方向中央部の外側下部で連結可能である台座保持体3を有し、弾性板2と台座保持体3の間隔を調整可能とすることにより、多様な厚みの歯ブラシの台座部を保持できる。また一対の第一棒状体4を第一穴22の内部で段階的に移動させ、2本の第一棒状体4の間隔を調整可能とすることにより、植毛部の長手方向に長さが多様である歯ブラシの刷毛を真っ直ぐに保持できる。さらに対向する弾性板2に直交して貫通する一対の第一棒状体4と、第一棒状体4の両端部に連結された一対の第一嵌合材5とによって、2枚の弾性板2の間隔を調整可能とすることで、長方形型だけでなく先細型や卵型などの多様な形状の歯ブラシの植毛部の側縁部分に沿って刷毛を真っ直ぐに保持できる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する2枚の弾性板のそれぞれは、前記弾性板の長手方向中央部の外側下部で連結可能である台座保持体を有し、
前記台座保持体は、前記対向する2枚の弾性板の内方向に伸びる片と、前記弾性板の外側に沿って上方向に伸びる片とからなるL字形状であり、
前記台座保持体の上方向に伸びる片は、上下方向に長く段階的である上下調整穴を備え、
前記2枚の弾性板はそれぞれ、長手方向中央部の外側下部に突起を備え、
前記上下調整穴に前記突起を貫通させることで前記弾性板と前記台座保持体を連結でき、前記突起と前記上下調整穴において前記弾性板と前記台座保持体の上下方向の間隔を調整することが可能であり、
前記2枚の弾性板のそれぞれは、長手方向中央部の上下方向を対称軸とした一対の第一穴を備え、
前記第一穴は前記対向する弾性板に対しても一対に設けられており、
前記第一穴は長手方向に長く段階的であり、
前記対向する弾性板に対して一対である第一穴に直交して貫通する一対の第一棒状体を有し、
前記第一棒状体の両端部には一対の第一嵌合材を有し、
前記第一穴において、前記第一棒状体と前記第一嵌合材を一緒に長手方向に段階的に移動させることで、前記一対の第一棒状体の長手方向の間隔を調整することが可能であり、
前記第一嵌合材の片方又は両方を、前記第一棒状体に連結した状態で前記第一棒状体に沿って動かすことで、前記2枚の弾性板の間隔を調整することが可能である歯ブラシ用刷毛保持器具。
【請求項2】
前記2枚の弾性板のそれぞれは、長手方向中央部の上部に第二穴を備え、前記第二穴は前記対向する弾性板に対して一対に設けられており、前記第二穴の下端部は前記第一穴の上端部よりも上方に設けられており、
前記一対の第二穴に直交して貫通する第二棒状体を有し、
前記第二棒状体の両端部には一対の第二嵌合材を有し、
前記第二嵌合材の片方又は両方を、前記第二棒状体に連結した状態で前記第二棒状体に沿って動かすことで、前記2枚の弾性板の長手方向中央部の上部の間隔を調整することが可能である請求項1記載の歯ブラシ用刷毛保持器具。
【請求項3】
前記弾性板の長手方向中央部の上下方向を対称軸とした前記一対の第一穴が、長手方向中央部に向けて対称的に下方向に傾斜している請求項1又は2記載の歯ブラシ用刷毛保持器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歯ブラシ用刷毛保持器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
歯ブラシは、多数の植毛された毛状の束(以下、「刷毛」。)を備えているが、歯ブラシを使用していくにつれて、刷毛が湾曲し、歯磨き時において刷毛が歯に当たりにくくなり、歯磨きの効果が低減する。
そこで、刷毛の湾曲を真っ直ぐに保持する機能を有する歯ブラシ用ケースが提案されている。
例えば特許文献1では、歯ブラシのヘッドを覆い、その内側に収納した刷毛を真っ直ぐに矯正するための突起面を有する技術が開示されている。
また特許文献2では、スライド機構により歯ブラシのヘッドの長手方向と幅方向の大きさに合わせて、歯ブラシのヘッドの長手方向と幅方向のそれぞれの端部を、長手方向と幅方向それぞれに平行に挟持する技術が開示されている。
また特許文献3では、電子レンジを使用して刷毛の湾曲を真っ直ぐに再生する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-056476
【特許文献2】WO2016/042651
【特許文献3】実用新案登録第3066259号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、マイクロプラスチックによる海洋の汚染、海洋生物等への悪影響の問題が顕在化しており、食物連鎖により悪影響が広範囲に及んでいる可能性が指摘されている。よってプラスチックの使用量を減らしていくことは、ますます重要となっており、同じ歯ブラシを従来よりも長期間使用できれば、歯ブラシの総使用量を減らすことができ、マイクロプラスチック削減に貢献できる。
【0005】
通常、歯ブラシの構成は毛が束になっている部分である刷毛、刷毛が植毛されている植毛部、植毛部の側縁部分よりやや外側に大きい側縁部分を有する台座部、歯ブラシを把持するハンドル、台座部とハンドルをつなぐネックからなる。刷毛と植毛部と台座部を合わせたものを以下、ヘッドとする。
また植毛部の長手方向の端部であって、ハンドル側の端部の刷毛上部を以下、刷毛後端部とし、ハンドル側とは反対側の端部の刷毛上部を以下、刷毛先端部とする。
【0006】
近年、歯ブラシの形状は多様となっており、ヘッドの幅や長手方向の長さが多様であることに加え、台座部の厚みも多様となっている。台座部の幅については一見同じであるように見えても、台座部の長手方向の両端部では台座部の側縁部分が湾曲しており、台座部の幅が一様でない歯ブラシが市場ではほとんどである。前述の従来技術では、長手方向の台座部の湾曲した側縁部分に十分に対応できないため、刷毛の湾曲を真っ直ぐに保持する効果が十分でない。
【0007】
例えば特許文献1ではヘッドの幅の多様性に十分に対応できないことが特許文献2で開示されていることに加え、植毛部の側縁部分の幅が均一でなく各部位で異なる形状である先細型や卵型の歯ブラシに対しても、均一の幅で刷毛を挟持する形状であるため、挟持されない部分の刷毛の湾曲を真っ直ぐに保持する効果が十分でない。
【0008】
また特許文献2では歯ブラシの台座部の、長手方向と幅方向の長さの多様性に対応できる機構を有するが、長手方向と幅方向それぞれの対向した壁の面が直線であり、台座部の側縁部分の面が湾曲している場合に対応する記載が文献内にないため、長手方向に湾曲した台座部を有する前述の先細型や卵型の歯ブラシの刷毛を真っ直ぐに保持する効果が十分でない。
【0009】
また特許文献3では、歯ブラシの台座部の長手方向と幅方向の長さについて、対応できる長さが予め固定されている形状のため、長手方向、幅方向の長さが多様である歯ブラシへの対応が十分でなく、長手方向に湾曲した台座部を有する前述の先細型や卵型の歯ブラシの刷毛を真っ直ぐに保持する効果も十分でない。
【0010】
歯ブラシの形状は今後さらに多様化していくことも予測できるため、刷毛の湾曲を真っ直ぐに保持するためには、台座部の形状の多様性に対応できる歯ブラシ用刷毛保持器具を開発することが課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明においては上記の課題を解決するため、請求項1に記載の発明に係る歯ブラシ用刷毛保持器具は、対向する2枚の弾性板のそれぞれは、前記弾性板の長手方向中央部の外側下部で連結可能である台座保持体を有し、前記台座保持体は、前記対向する2枚の弾性板の内方向に伸びる片と、前記弾性板の外側に沿って上方向に伸びる片とからなるL字形状であり、前記台座保持体の上方向に伸びる片は、上下方向に長く段階的である上下調整穴を備え、前記2枚の弾性板はそれぞれ、長手方向中央部の外側下部に突起を備え、前記上下調整穴に前記突起を貫通させることで前記弾性板と前記台座保持体を連結でき、前記突起と前記上下調整穴において前記弾性板と前記台座保持体の上下方向の間隔を調整することが可能であり、前記2枚の弾性板のそれぞれは、長手方向中央部の上下方向を対称軸とした一対の第一穴を備え、前記第一穴は前記対向する弾性板に対しても一対に設けられており、前記第一穴は長手方向に長く段階的であり、前記対向する弾性板に対して一対である第一穴に直交して貫通する一対の第一棒状体を有し、前記第一棒状体の両端部には一対の第一嵌合材を有し、前記第一穴において、前記第一棒状体と前記第一嵌合材を一緒に長手方向に段階的に移動させることで、前記一対の第一棒状体の長手方向の間隔を調整することが可能であり、前記第一嵌合材の片方又は両方を、前記第一棒状体に連結した状態で前記第一棒状体に沿って動かすことで、前記2枚の弾性板の間隔を調整することが可能であることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明に係る歯ブラシ用刷毛保持器具は、前記2枚の弾性板のそれぞれは、長手方向中央部の上部に第二穴を備え、前記第二穴は前記対向する弾性板に対して一対に設けられており、前記第二穴の下端部は前記第一穴の上端部よりも上方に設けられており、前記一対の第二穴に直交して貫通する第二棒状体を有し、前記第二棒状体の両端部には一対の第二嵌合材を有し、前記第二嵌合材の片方又は両方を、前記第二棒状体に連結した状態で前記第二棒状体に沿って動かすことで、前記2枚の弾性板の長手方向中央部の上部の間隔を調整することが可能であることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明に係る歯ブラシ用刷毛保持器具は、前記弾性板の長手方向中央部の上下方向を対称軸とした前記一対の第一穴が、長手方向中央部に向けて対称的に下方向に傾斜していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
当該器具は、歯ブラシの台座部の厚みに合わせて弾性板と台座保持体の上下方向の間隔を調整でき、歯ブラシを保持する効果を高めることができる。
【0015】
当該器具は、歯ブラシの植毛部の長手方向の長さに合わせて2本の第一棒状体の間隔を調整できるため、植毛部の長手方向の刷毛の湾曲を真っ直ぐに保持する効果を高めることができる。
【0016】
当該器具は、歯ブラシの植毛部の幅に合わせて、対向する2枚の弾性板が植毛部の側縁部分を直接挟持でき、ヘッドの形状が長方形型だけでなく先細型や卵型など植毛部の側縁部分が湾曲している場合でも、その形状に沿って刷毛を真っ直ぐに保持できるため、植毛部の幅方向の刷毛の湾曲を真っ直ぐに保持する効果を高めることができる。
【0017】
当該器具は、台座保持体が歯ブラシの台座部の側縁部分のうち、最大幅の部分を挟持し、さらに、弾性板の下端面と、台座保持体のうち対向する弾性板の内側に伸びる片の上面とで歯ブラシの台座部を上下方向からも挟持できるため、当該器具が歯ブラシの台座部を保持する効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施例に係る歯ブラシ用刷毛保持器具の斜視図a、左側面図b、底面図c
図2】歯ブラシの左側面図
図3】同実施例の歯ブラシ用刷毛保持器具に歯ブラシを挿入する前の左側面図a、上面図b
図4】同実施例の歯ブラシ用刷毛保持器具に歯ブラシを挿入した後に、歯ブラシの台座部の厚みに合わせて弾性板と台座保持体の上下方向の間隔を調整する様子を表す左側面図。
図5】同実施例の歯ブラシ用刷毛保持器具で、歯ブラシの台座部の厚みに合わせて弾性板と台座保持体の上下方向の間隔を調整した後に、刷毛先端部と刷毛後端部との間隔に合わせて、2本の第一棒状体の間隔を調整する様子を表す左側面図。
図6】同実施例の歯ブラシ用刷毛保持器具で、刷毛先端部と刷毛後端部との間隔に合わせて、2本の第一棒状体の間隔を調整した後に、歯ブラシの台座部の最大幅と植毛部の最大幅に合わせて2枚の弾性板の間隔を調整する様子を表す正面図。
図7】同実施例の歯ブラシ用刷毛保持器具で、台座部の最大幅と植毛部の最大幅に合わせて2枚の弾性板の間隔を調整した後に、植毛部の長手方向の側縁部分の形状に沿って2枚の弾性板の間隔を調整する様子を表す上面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態における歯ブラシ用刷毛保持器具1(以下、「器具1」。)は図1a、図1b、図1cに示すように、対向した状態で配置した2枚の弾性板2はそれぞれ、長手方向中央部の外側下部に台座保持体3を連結させており、台座保持体3は対向する2枚の弾性板2の内方向に伸びる片と、弾性板2の外側に沿って上方向に伸びる片とからなるL字形状であり、上方向に伸びる片は、上下方向に長く好ましくは3段階以上である上下調整穴31を備える。本実施形態では弾性板2、台座保持体3は、ポリプロピレン、ポリカーボネイト等の合成樹脂を用いて形成することができる。
弾性板2はそれぞれ、長手方向中央部の外側下部に突起21を備え、上下調整穴31に突起21を貫通させて弾性板2と台座保持体3を連結させることができる。
上下調整穴31は上下方向に段階的であるため、台座保持体3を弾性板2に対して段階的
に移動させることにより、台座保持体3と弾性板2の上下方向の間隔を調整することが可能となる。
また弾性板2はそれぞれ、長手方向中央部の上下方向を対称軸とした一対の第一穴22を備え、第一穴22は対向する弾性板2に対しても一対に設けられており、第一穴22は長手方向に長く、好ましくは3段階以上の穴となる。
一対の第一棒状体4はそれぞれ、対向する弾性板2に対して直交し、第一穴22を貫通する。第一棒状体4は両端部に一対の第一嵌合材5を有し、第一棒状体4を弾性板2に直交させた状態で、第一棒状体4と第一嵌合材5を一緒に、第一穴22の内部で長手方向に段階的に移動させることにより、一対の第一棒状体4の長手方向の間隔を調整することが可能となる。
本実施形態では、第一棒状体4を円形ボルトとしており、第一嵌合材5を六角ナットとしており、ポリプロピレン、ポリカーボネイト等の合成樹脂を用いて形成することができる。
なお第一棒状体4を、前述の円形ボルトが備えているねじ切り部を備えていない丸棒等の棒状体として、ポリプロピレン、ポリカーボネイト等の合成樹脂を用いて形成し、かつ、第一嵌合材5をシリコンオーリング等のリング状体として、ゴム状の素材を用いて形成することもできる。
ここで嵌合とは、前述の丸棒等の棒状体に、前述のシリコンオーリング等の嵌合材をはめ合わせる状態をさす以外に、前述の円形ボルトのようなねじ切り部を備えた棒状体に、前述の六角ボルトのようなねじ切り部を備えた嵌合材を螺合させる状態も含むものとする。また前述の円形ボルトの頭部のように、棒状体の端部の片方の嵌合材が棒状体と一体化している状態も含むものとする。
第一嵌合材5の片方又は両方を、第一棒状体4に連結した状態で、第一棒状体4に沿って動かすことで、一対の第一嵌合材5の内側にある弾性板2の間隔を調整することが可能となる。本実施形態では、六角ナットを円形ボルトに螺合させ回転させることで、2枚の弾性板2の間隔を調整することが可能となる。
【0020】
図1a、図1b、図1c、図6に示すように、弾性板2のそれぞれの長手方向中央部の上部に、第二穴23を対向する弾性板2に対して一対となるように設け、第二穴23に直交して貫通する第二棒状体6を有し、第二棒状体6の両端部には一対の第二嵌合材7を有する。第二嵌合材7の片方又は両方を、第二棒状体6に連結した状態で、第二棒状体6に沿って動かすことで、一対の第二嵌合材7の内側にある2枚の弾性板2の、長手方向中央部の上部の間隔を調整することが可能となる。
本実施形態では、第二棒状体6を円形ボルトとしており、第二嵌合材7を六角ナットとしており、ポリプロピレン、ポリカーボネイト等の合成樹脂を用いて形成することができ、六角ナットを円形ボルトに螺合させ回転させることで、2枚の弾性板2の、長手方向中央部の上部の間隔を調整することが可能となる。
【0021】
図3a、図3bに示すように、刷毛83が湾曲した歯ブラシ8を矢印の方向に器具1に挿入し、台座保持体3を構成する片のうち、2枚の弾性板2の内方向に伸びる片の上に台座部82が乗るように配置する。
【0022】
図4に示すように、台座保持体3を上下調整穴31と突起21にて弾性板2に連結させた状態で、台座保持体3を弾性板2に対して矢印方向に段階的に上下移動させることができ、台座部82の厚みに応じて、2枚の弾性板2の内方向に伸びる台座保持体3の片の上面と、弾性板2の下端面との間隔を、調整することが可能となる。
【0023】
図2図5に示すように、第一穴22の内部において第一棒状体4と第一嵌合材5を一緒に矢印の方向に段階的に移動させることで、刷毛先端部84と刷毛後端部85との間隔に合わせて2本の第一棒状体4の間隔を調整することが可能となる。
この形態により、刷毛先端部84と刷毛後端部85の長手方向への湾曲を真っ直ぐに保持することができ、植毛部の長手方向の長さが多様な歯ブラシ8に対応することができる。
一般的に歯ブラシ8の刷毛先端部84と刷毛後端部85との間隔が大きいほど、刷毛83の長さが長くなり、刷毛先端部84と刷毛後端部85との間隔が小さいほど刷毛83の長さが短くなる傾向がある。弾性板2の長手方向中央部の上下方向を対称軸として、第一穴22が長手方向中央部に向けて対称的に下方向に傾斜していることで、刷毛先端部84と刷毛後端部85との間隔が小さく刷毛83の長さが短い歯ブラシ8に対しては、第一穴22の内部の長手方向中央部寄りの低い位置に、2本の第一棒状体4とそれに連結された第一嵌合材5を一緒に移動させることで、刷毛先端部84と刷毛後端部85を挟持することができる。また刷毛先端部84と刷毛後端部85との間隔が大きく刷毛83の長さが長い歯ブラシ8に対しては、第一穴22の内部で、長手方向両端部寄りの高い位置に、2本の第一棒状体4とそれに連結された第一嵌合材5を一緒に移動させることで、刷毛先端部84と刷毛後端部85を挟持することができる。
【0024】
図1a、図6に示すように、第一嵌合材5と第二嵌合材7を矢印方向に回転させ第一棒状体4と第二棒状体6に沿って移動させることで、2枚の弾性板2の間隔を調整でき、弾性板2に連結された台座保持体3の上方向に伸びる片が台座部82の最大幅の側縁部分を挟持することができる。
また器具1は、台座保持体3よりも上方のやや内側に弾性板2を連結しているため、2枚の弾性板2は、台座部82の側縁部分よりもやや内側に設置されている植毛部の側縁部分のうち、最大幅の側縁部分にある刷毛83を直接、挟持することができる。
さらに器具1が第二穴23、第二棒状体6、第二嵌合材7を有することにより、2枚の弾性板2の間隔を長手方向中央部の上部でも調整できるため、湾曲した刷毛83の上部をより真っ直ぐに保持する効果を高めることができる。
また第二穴23の下端部を第一穴22の上端部よりも上方に設けることで、第二棒状体6の下端部が刷毛83の上部に接触せず、刷毛83の上部が第二棒状体6の下端部により湾曲してしまうことを防ぐことができる。
【0025】
図2図6図7に示すように、弾性板2は弾性を有するため、第一嵌合材5と第二嵌合材7を回転させ第一棒状体4と第二棒状体6に沿って矢印方向に移動させることで、台座部82の上面において、植毛部の側縁部分と台座部82の側縁部分との間に弾性板2の下端面が配置される。
この形態により、2枚の弾性板2が植毛部の側縁部分に沿って直接刷毛83を挟持することができ、前述の従来技術よりも刷毛83の幅方向の湾曲を真っ直ぐに保持する効果を高められる。よってヘッド81の形状が長方形型だけでなく、先細型、卵型など多様な形状の歯ブラシ8に対応することができる。
また台座部82の上面のうち植毛部の側縁部分と台座部82の側縁部分との間に弾性板2の下端面が配置され、弾性板2の内方向に伸びる台座保持体3の片の上面が、台座部82の下面に配置されることで、台座部82を上下方向からも挟持することができる。よって薄型の台座部82を備えた歯ブラシ8など、多様な厚みの台座部82を持つ歯ブラシ8を保持する効果を高めることができる。
【0026】
器具1を構成する各部材を耐熱性の高い、電子レンジにも対応できるポリプロピレン、ポリカーボネイトなどの素材として、図7の状態で煮沸又は電子レンジなどで一定時間加熱すれば、湾曲した刷毛83を真っ直ぐにする効果を高めることができ、長期間、歯ブラシを使用することができる。また加熱することで細菌やウイルスを殺菌、不活性化する効果も期待できる。
よって歯ブラシの総使用量を削減でき、廃棄されるプラスチック量を削減でき、ひいてはマイクロプラスチック問題などの環境問題の改善の一助とすることができ、海洋生物等への悪影響を軽減することができる。
【0027】
本発明の好ましい実施の形態では、第一穴22は長手方向中央部の上下方向を対称軸として、長手方向中央部に向けて対称的に下方向に傾斜して設けられているが、今後、刷毛の長さの多様性が縮小する可能性もあり、その場合は、第一穴22を傾斜させる必要が、必ずしもあるというわけではない。
【0028】
本発明の好ましい実施の形態では、器具1は第二棒状体6、第二嵌合材7、第二穴23を有しているが、2本の第一棒状体4に連結された第一嵌合材5を第一棒状体4に沿って移動させるだけでも、2枚の弾性板2の間隔を調整することは可能であり、また、刷毛の湾曲を真っ直ぐに保持することも可能である。よって第二棒状体6、第二嵌合材7、第二穴23を有する必要が、必ずしもあるというわけではない。
【0029】
本発明の好ましい実施の形態では、歯ブラシ8を対象として説明したが、台座部82に植毛された刷毛83を有した、歯ブラシ8に形状が類似している他の構造物に応用することも可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 歯ブラシ用刷毛保持器具
2 弾性板
3 台座保持体
4 第一棒状体
5 第一嵌合材
6 第二棒状体
7 第二嵌合材
8 歯ブラシ
21 突起
22 第一穴
23 第二穴
31 上下調整穴
81 ヘッド
82 台座部
83 刷毛
84 刷毛先端部
85 刷毛後端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7