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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020740
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】スイッチ機構
(51)【国際特許分類】
   H01H 27/00 20060101AFI20230202BHJP
【FI】
H01H27/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021126275
(22)【出願日】2021-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】511025411
【氏名又は名称】株式会社NejiLaw
(72)【発明者】
【氏名】道脇 裕
(57)【要約】
【課題】簡易な構造によって、耐衝撃性の向上、パッケージ開封時に確実に起動させるための手段を提供する。
【解決手段】所定の操作によって電気的接点部を開閉するスイッチ機構において、上記電気的接点部を有する一対の端子と、一対の上記端子間を導通させる導通状態と、上記端子間を非導通の非導通状態の何れかに状態を切り替える状態切替機構と、該スイッチ機構に対して着脱可能で、装着している間、上記状態切替機構を常時非導通状態に保持する状態保持部と、を具える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の操作によって電気的接点部を開閉するスイッチ機構において、
上記電気的接点部を有する一対の端子と、
一対の上記端子間を導通させる導通状態と、上記端子間を非導通の非導通状態の何れかに状態を切り替える状態切替機構と、
該スイッチ機構に対して着脱可能で、装着している間、上記状態切替機構を常時非導通状態に保持する状態保持部と、を具えることを特徴とするスイッチ機構。
【請求項2】
前記状態切替機構は、前記一対の端子間を導通状態とする可動導通部と、
該可動導通部を付勢して前記一対の端子に接触する位置で保持する弾性部と、を具え、
前記状態保持部は、上記弾性部による付勢向きと逆向きに上記可動導通部を押圧し、
前記状態保持部を配設することで、上記可動導通部を押圧して変位させ、非導通状態を作出することを特徴とする請求項1記載のスイッチ機構。
【請求項3】
第一の囲繞部と、第二の囲繞部とを有し、前記スイッチ機構を収容する包装体を具え、
前記状態保持部は、上記第一の囲繞部に固定され、上記第二の囲繞部内に延在して前記可動導通部を押圧し得、
上記第一の囲繞部を開放したとき、前記状態保持部が除去されて前記可動導通部が前記弾性部によって付勢され、導通状態を作出することを特徴とする請求項2記載のスイッチ機構。
【請求項4】
前記包装体は、易断部を介して前記第一の囲繞部と前記第二の囲繞部とが連結し、
上記易断部の断裂によって、前記第一の囲繞部と前記第二の囲繞部とが互いに分離し得ることを特徴とする請求項3記載のスイッチ機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器のスイッチ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電池を具える電子機器において、電池と端子との間に絶縁シートを配して電池の消耗を抑えるスイッチ機構が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このような絶縁シートは一部を電子機器の外側に露出させており、該露出している一部を引き抜くことによって電池と端子とを導通させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-031015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の電子機器は、絶縁シートを電池と端子との間に挟むことを可能とするために、端子が弾性変形し得る構成を有する。そのため、電子機器に振動等が作用したとき、端子の撓みによって電池が電池収納部内で揺動してしまい、電池及び端子の摩擦や互いの衝突によって電池や接点部が破損し、使用不能に陥る他、接触不良等を引き起こすという問題がある。
また、パッケージを開封した際にパッケージ内に収納された電子機器を起動させる必要があったが、パッケージを開封後に絶縁シートを除去する必要があり、開封と同時に起動させることが出来ず、開封した後に起動し忘れることや恣意的に起動させないという事が可能になってしまうという問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みて本発明者の鋭意研究により成されたものであり、耐衝撃性の向上、パッケージ開封時に確実に起動させるための手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のスイッチ機構は、所定の操作によって電気的接点部を開閉するスイッチ機構において、上記電気的接点部を有する一対の端子と、一対の上記端子間を導通させる導通状態と、上記端子間を非導通の非導通状態の何れかに状態を切り替える状態切替機構と、該スイッチ機構に対して着脱可能で、装着している間、上記状態切替機構を常時非導通状態に保持する状態保持部と、を具えることを特徴とする。
【0006】
また、本発明のスイッチ機構は、前記状態切替機構が、前記一対の端子間を導通状態とする可動導通部と、該可動導通部を付勢して前記一対の端子に接触する位置で保持する弾性部と、を具え、前記状態保持部は、上記弾性部による付勢向きと逆向きに上記可動導通部を押圧し、前記状態保持部を配設することで、上記可動導通部を押圧して変位させ、非導通状態を作出することを特徴とする。
【0007】
また、本発明のスイッチ機構は、第一の囲繞部と、第二の囲繞部とを有し、前記スイッチ機構を収容する包装体を具え、前記状態保持部は、上記第一の囲繞部に固定され、上記第二の囲繞部内に延在して前記可動導通部を押圧し得、上記第一の囲繞部を開放したとき、前記状態保持部が除去されて前記可動導通部が前記弾性部によって付勢され、導通状態を作出することを特徴とする。
【0008】
また、本発明のスイッチ機構は、前記包装体が、易断部を介して前記第一の囲繞部と前記第二の囲繞部とが連結し、上記易断部の断裂によって、前記第一の囲繞部と前記第二の囲繞部とが互いに分離し得ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡易な構造によって、耐衝撃性を向上させることができると共に、パッケージ開封時に確実に起動させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態のスイッチ機構を示す概略図である。
図2】非導通状態のスイッチ機構を示す図である。
図3】スイッチ機構の他の例を示す図である。
図4】スイッチ機構の他の例を示す図である。
図5】梱包箱の例を示す図である。
図6】梱包箱に収容されている電子機器のスイッチ機構を示す図である。
図7】変形検出ボルトを示す図である。
図8】変形検出ボルト内のスイッチ機構を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明のスイッチ機構の実施形態を、図面を参照して説明する。図1は本実施形態のスイッチ機構を示す概略図である。スイッチ機構1は、電気的接点部を有する一対の端子2a、2bと、状態切替機構4を具え、状態切替機構4によって端子2a、2b間を導通させる導通状態(スイッチオンの状態)と、端子2a、2b間を非導通の非導通状態(スイッチオフの状態)の何れかに切替える。
【0012】
状態切替機構4は、可動導通部6、弾性部8等を具え、導通状態又は非導通状態に状態を切り替える。可動導通部6は、一対の端子2a、2bに同時に接触する導電性材料から成り、端子2a、2b間を導通させる。弾性部8は、可動導通部6に取り付けられている弾性部材であり、可動導通部6を端子2a、2b側に付勢する。また、図2は非導通状態のスイッチ機構1を示す図であり、弾性部8を撓ませることで、可動導通部6が端子2a、2bから退避、離間して結果非導通状態を作出する。
【0013】
弾性部8を撓ませるために図2に示すような棒形状の押圧体10(状態保持部)を用いることが出来る。例えば、スイッチ機構1に対して外部から押圧体10を差し込み装着することで、押圧体10が弾性部8による付勢と逆向きに可動導通部6を押圧し、可動導通部6を押下して変位させることで常時非導通状態に保持することができる。この場合、押圧体10を抜き取ったときに、弾性部8によって可動導通部6が付勢されて端子2a、2bに接触して導通状態となる。このように、押圧体10の着脱によって導通状態又は非導通状態の何れかに状態を切り替えてもよい。ここでは、スイッチ機構1の開放状態、即ちスイッチオフの状態を作出する手段として棒形状の押圧体10を用いているが、勿論、これに限定されるものではなく、スイッチを押圧してオフ状態を保持することが出来、且つ押圧状態を外部からの操作によって解除することが出来るものであれば特に形状等は限定されるものではない。
【0014】
また、スイッチ機構1は、上記構成に限定されるものではない。例えば、可動導通部6を省いて一対の端子2a、2bの内、何れか一方が他方に対して接触して導通する導通状態、或いは退避する非導通状態に遷移可能な可動導通部とする構成であってもよい。
【0015】
ここで、図3はスイッチ機構1の他の例を示し、(a)は導通状態、(b)は非導通状態を示す図である。図3に示すスイッチ機構1は、固定端子20a、可動導通部としての可動端子20b等を配して成る。固定端子20aは、例えば平面状の接点を有している。可動端子20bは、例えば棒形状や板形状等であって、一端部が固定端子20aに接触し得るように他端部が回動可能に支持される。また、可動端子20bは、他端部の回動軸等にねじりコイルバネ等の弾性部を配することで、図3(a)に示すように一端部が固定端子20aに接触する付勢力を受けるように設定する。
【0016】
従って、図3(b)に示す押圧体10等によって可動端子20bを押圧しているとき、可動端子20bは、他端部を中心に回動して一端部が固定端子20aから離間し、非導通状態を作出する。また、押圧体10を抜き取ったとき、可動端子20bは、弾性部による付勢によって回動して固定端子20aに接触して導通状態を作出する。
【0017】
なお、可動端子20bは、図4に示すように、可撓性を有する板バネ形状を有し、一端が固定端子20aに接触し得るように他端部を固定したものであってもよい。その場合、可動端子20bは、一端部が固定端子20aに接触する位置で他端部が固定され、押圧体10による押圧等の外力が印加されて固定端子20aから離間するように撓んで非導通状態を作出し、押圧体10による外力が解放されたとき、撓んだ状態から元の状態に戻って一端部が固定端子20aに接触して導通状態を作出する。
【0018】
上述したスイッチ機構1は、電子機器(後述する)に搭載されるものであるため、押圧体10及びそれに相当する棒状部材(押圧体)を電子機器の外側から差し込むことにより、スイッチ機構1を非導通状態にし得る。勿論、押圧体10を単体で抜き差し可能に設けてもよいが、電子機器の梱包箱や外箱等の包装体と押圧体10を一体化させれば、電子機器の収納、非収納に応じて導通状態、非導通状態を作出する構成とすることもできる。
また、本発明のスイッチ機構によれば押圧体の着脱、即ち押圧体の抜き差しによって導通状態、非導通状態を作出することから、端子の撓みによって電池が電池収納部内で揺動して摩擦や互いの衝突による電池や接点部の破損を防止することができる。
【0019】
図5は、梱包箱110の例を示す図であり、包装体としての梱包箱110は、上部を開閉する蓋112を含む上部分(第一の囲繞部)と、下部分(第二の囲繞部)とに分割するためのブリッジ部114等を有する。蓋112は、上端部に配されて裏面に梱包箱110の内部空間に突出する押圧体10を有する。
【0020】
ブリッジ部114は、梱包箱110の外周面における天地方向の略中間に外周面を破断する為のミシン目やハーフカットとも称されるごとくの易断部が全周に亘って形成されて成る。従って、ブリッジ部114は、外周面を破断させたときの上部分と下部分の境界となる。
【0021】
図6は、梱包箱110に収容されている電子機器100のスイッチ機構1を示し、(a)は非導通状態、(b)は導通状態を示す概略図である。なおスイッチ機構1は、端子2a、2b、可動導通部6、弾性部8等によって構成する。即ち、スイッチ機構1は、可動導通部6が弾性部8に抗して押下されて端子2a、2bから離間しているとき、非導通状態を作出する。
【0022】
図6(a)に示すように、梱包箱110に電子機器100が収容されているとき、押圧体10が電子機器100内部で可動導通部6を押下して非導通状態を作出する。また梱包箱110がブリッジ部114を境に外周面を破断させて上部分が取り外されたとき、図6(b)に示すように押圧体10が電子機器100から抜き出されて可動導通部6から離間する。これにより可動導通部6は、弾性部8によって付勢されて端子2a、2bに接触し、結果スイッチ機構1が導通状態となる。
【0023】
このように、本発明のスイッチ機構1を梱包箱(包装体)と組み合わせれば、電子機器は、梱包箱によって梱包(包装)された状態のとき、押圧体が差し込まれて非導通状態となり、ブリッジ部(易断部)を破断させて上部分を取り外したとき、押圧体が抜き出されるのでスイッチ機構1が導通状態に遷移し、電子機器を動作させることができる。
従って、押圧体の抜き差しによって導通状態、非導通状態を作出することから、端子の撓みによって電池が電池収納部内で揺動して摩擦や互いの衝突による電池や接点部の破損を防止することができる。従って、耐衝撃性を向上させて接触不良等を防止することが出来る。
また、梱包箱の開封と同時に押圧体が抜けるため、開封と同時に確実に電子機器を起動させることができる。
【0024】
なお、ブリッジ部は、梱包箱110を分割するための構造を成す機能を有していれば、形状等は適宜設定し得る。ブリッジ部は、破断し易いように、例えば板厚を薄肉状に形成したものであってもよく、また予め梱包箱を上部分と下部分とで構成しておき、これらを着脱可能に接合させる面ファスナ等の接合部を設けてブリッジ部を成すようにしてもよい。
【0025】
なお、上述したスイッチ構造1は、種々の電子機器(IoT端末、各種センサデバイス、家電機器等)に適用することができる。例えば電子機器としての家電機器は、テレビ、プロジェクター等の映像機器(表示装置)、ビデオテープレコーダー、DVDレコーダー、Blue-rayDiscレコーダー、HDDレコーダー、DVDプレイヤー、Blue-rayDiscプレイヤー等の映像機器(記録・再生装置)、ビデオカメラ、デジタルカメラ等の映像機器(撮影装置)、ワイヤーレコーダー、テープレコーダー、ミニディスクレコーダー、ラジカセ、ICレコーダー等の音響機器(録音・再生装置)、アナログプレーヤー、CDプレイヤー、アンプ、ラジオ等の音響機器(再生装置)、スピーカー、ヘッドホン等の音響機器(再現装置)、白物家電、情報家電等を含む。
【0026】
白物家電等を含む電化製品は、洗濯機、掃除機、アイロン、ミシン、布団乾燥機、毛玉取り機、衣類乾燥機、ハンガースチーマー、ズボンプレッサー、くつ乾燥機、タオルヒーター、裁縫こて、オーブンレンジ・電子レンジ、炊飯器、ミキサー・フードプロセッサー、ガステーブル・コンロ、トースター、IH調理器、ホットプレート・グリル鍋、ホームベーカリー・製パン用具、卓上調理器具、湯沸かし器、揚げ物、電気圧力鍋・電気煮込み鍋、フィッシュロースター、スチームクッカー、スープメーカー・豆乳メーカー、もちつき機、ドライフードメーカー、冷蔵庫・冷凍庫、ケトル・ポット、コーヒーメーカー、浄水器、食器洗い乾燥機、食器乾燥器、炭酸水メーカー、整水器、お茶メーカー、生ゴミ処理機、カプセル式ティーマシン、タオル蒸し器・温蔵庫、暖房器具、空気清浄機、エアコン、加湿器、除湿機、扇風機、イオン発生機、サーキュレーター、浴室乾燥機、冷風扇、ドライヤー、ヘアアイロン、電動バリカン、電気髭剃り、ホットカーラー、美顔器、マイクロスコープ、電動歯ブラシ、口腔洗浄器、ステインクリーナー、アルコールチェッカー、ブレスチェッカー、脱毛器、光脱毛器、レーザー脱毛器、高周波脱毛器、電動角質リムーバー、デスクスタンド、玄関用照明、シーリング照明、インテリアスタンド、スポットライト、スライド照明、シーリングファン、シャンデリア、施設・屋外用照明、浴室用照明、ダウンライト、ブラックライト、ブラケットライト、フットライト、ガーデンライト、誘導灯、マッサージ機器、ヘルスケア・計測、温水洗浄便座、電気・低周波治療器、補聴器、電子タバコ、吸入器、鼻洗浄器、酸素エアチャージャー、家庭用紫外線治療器、温熱治療器、電球・蛍光灯、LED電球、直管蛍光灯、電球形蛍光灯、白熱電球、丸形蛍光灯(FCL)、LED蛍光灯、丸形スリム蛍光灯(FHC)、コンパクト形蛍光灯、ハロゲン電球、点灯管(グロー球)、二重環形蛍光灯(FHD)、豆球、電子点灯管、HIDランプ、電球口金形スリム蛍光灯(EFC)、角形スリム蛍光灯(FHG)、保温電球、電話機・ファックス、電話機、ファックス、複合型ファックス、増設子機、人感センサー付LED電球、一般電球タイプ(LED電球)を含む。
【0027】
情報家電は、パーソナルコンピュータ、ディスプレイ、キーボード、マウス、プリンター、3Dプリンター、タブレット、USBメモリー、外付けHDD、カードリーダー、ファクシミリ、携帯電話、スマートフォン、携帯ゲーム、家庭用ゲーム機、知育玩具を含む。
【0028】
スイッチ機構1を含んで構成されるセンシングデバイスとしての変形検出ボルト150について説明する。図7は変形検出ボルト150を示す図、図8は変形検出ボルト150内のスイッチ機構を示す断面図である。変形検出ボルト150は、軸部152及び頭部154を具える。変形検出ボルト150は、ボルト自体にかかる曲げ応力、圧縮応力、引張応力等の応力、軸伸縮等を検出し得る構成を有する。また変形検出ボルト150には、別体である頭部キャップ160が頭部154に装着(嵌合)される。
【0029】
軸部152は、雄ねじが形成されて成る雄ねじ部156と、雄ねじ部156よりも頭部154側に形成され、雄ねじ部156の外径よりも縮径した円柱状の円筒部158(慣習上、円柱状であっても円筒部と呼ばれる)から構成される。
【0030】
頭部154は、軸部152よりも径方向に拡張する拡張部であって、平面視において正六角形状の外周面を具える。なお、頭部154の外周面形状はこれに限定されず、レンチ等の工具が周方向に係合するように二面幅を有する形状や、四角形や六角形等の多角形状、楕円形状、長円形状等であってもよい。
【0031】
頭部キャップ160は、頭部152の少なくとも頂部を覆って閉塞する所謂カバーとして機能し、頭部152の周面及び/又は端面に係合して着脱可能に固定される。また、頭部キャップ160は、頂部に上述した押圧体10を挿通させるための貫通孔を有する。
【0032】
頭部154は、頂部に頭部キャップ160を配して固定するための固定構造を有する。固定構造は、頭部154と頭部キャップ160とを軸方向に固定し得る構造であれば特定の構造に限定されるものではない。例えば、タップねじを用いて頭部154及び頭部キャップ160を固定してもよく、頭部154及び頭部キャップ160の内、一方に凹部、他方に凸部を設け互いの凹凸を嵌合させることで軸方向に係止して固定してもよい。
【0033】
頭部154と頭部キャップ160との間には、スイッチ機構1、制御回路、コネクタ、電源バッテリ等を収容可能とする収容空間が形成される。なお、収容空間内に配されるスイッチ機構1、制御回路、コネクタ、電源バッテリ等は、予め頭部154又は頭部キャップ160に設けるようにしてもよい。例えば、電源バッテリを頭部154側に予め配し、スイッチ機構1が接続された制御回路、コネクタ等を頭部キャップ160の内側に予め配してもよい。このような場合、頭部154に頭部キャップ160を装着したとき、電源バッテリとスイッチ機構1とが通電可能に接続される。更にコネクタが後述する通電機構に接続され、これによって制御回路による応力検出処理が実行可能となる。
【0034】
軸部152の雄ねじ部156は、右ねじである第一雄ねじ螺旋溝、及び左ねじである第二雄ねじ螺旋溝の二種類の雄ねじ螺旋溝を同一領域上に重複して形成している。従って雄ねじ部156は、右ねじ及び左ねじの何れの雌ねじ体とも螺合することが可能となる。なお、二種類の雄ねじ螺旋構造が形成された雄ねじ部156の詳細については、本願の発明者に係る特許第4663813号公報を参照されたい。なお雄ねじ部156は、必ずしも右ねじと左ねじとを形成することに限定するものではなく、互いにリード方向が一致し、第一雄ねじ螺旋溝において設定されたリード角と、異なるリード角で第二雄ねじ螺旋溝を設定してもよい。
【0035】
円筒部158と頭部154は、ボルト自体にかかる曲げ応力、圧縮応力、引張応力等の応力を検出し得る通電機構を含む。具体的には円筒部158及び/又は頭部154の表面には、直接的にセンサパターン140、通電路142(図7参照)及び不図示の端子部が形成される。
【0036】
センサパターン140、通電路142、端子部の形成例について説明する。例えば、変形検出ボルト150の母材が導電性を有する場合、変形検出ボルト150の表面に電気絶縁層を被膜形成し、当該電気絶縁層上に導電材料等の電気伝導性が良好な材料によって線状又は帯状に延在するセンサパターン140、線状又は帯状に延在する通電路142、例えば面状の端子部のパターンを成す導電部を形成する。
【0037】
電気絶縁層は、例えば積層印刷、パット印刷、塗装、メッキ、インクジェット印刷、スパッタリング、化学蒸着法(CVD法)、物理蒸着法(PVD法)等を用いて形成し得る。または例えば所定のマスクを配置した状態で絶縁材料をスパッタリングによって被膜形成したり、シリカ材料を塗布して加熱処理したり、化成処理を施したり、ポリィミド系、エポキシ系、ウレタン系、シリコーン系、フッ素系等の有機絶縁材による層を形成する等の手法を用いてもよい。
【0038】
変形検出ボルト150の母材が電気伝導性を有する場合には、その母材表面を酸化処理することによって酸化皮膜化し電気絶縁層としても良い。また母材がアルミニウム系の場合にはアルマイト処理によって電気絶縁層を設けても良い。勿論電気絶縁層は、これらの手法によって形成するものに限定するものではない。また変形検出ボルト150の母材が電気絶縁性を有する場合には、電気絶縁層を形成せず、母材に直接センサパターン、通電路、端子部を成すように導電部を形成してもよい。
【0039】
導電部は、導電性ペーストを利用した積層印刷、パット印刷、塗装、メッキ、インクジェット印刷、スパッタリング、CVD法、PVD法等によって電気絶縁層又は電気絶縁性の母材に直接形成される。また導電部は、センサパターン、通電路、端子部の形状に合わせたマスキングを施してエッチングすることで、配線の形状を設定してもよい。このように導電部を電気絶縁層に直接形成することで、長時間に亘って、導電部が剥離しないようになっている。勿論、変形検出ボルト150上に、センサパターン140、通電路142、端子部を一連に形成してもよい。
【0040】
センサパターン140は、導電材料を軸方向に複数回往復して延びるセンサ構造部分と、該センサ構造部分から通電路に連結するリード部分とから構成される。従ってセンサパターン140は、センサ構造部分における導電材料の変形に伴い抵抗値等の電気的特性が変化する。この電気的特性の変化を検出することで、物理変化検出のための各種センサとして利用し得る。
【0041】
なお、電気的特性の変化によって検出される物理変化は、熱・温度変化、湿度変化等であってもよい。例えば、センサパターン140の電気抵抗値の変化から環境温度を計測する場合、センサパターン140は所謂抵抗温度計の構成部品として用いることを意味する。また同様にして抵抗変化型の電気湿度センサとして湿度を計測してもよい。
【0042】
通電路142は、頭部154及び円筒部158に亘って延在しており、一端部をセンサパターン140のリード部分に接続し、他端部を頭部154に形成された端子部に接続される。端子部は、頭部154に頭部キャップ160を装着させたとき、頭部キャップ160に配されたコネクタと接触するように配設位置(例えば、頭部154の頂面や周面等)等が設定される。
【0043】
変形検出ボルト150のスイッチ機構1の動作は、押圧体10の抜き差しによって行う。即ち、図8(a)に示す押圧体10を頭部キャップ160の貫通孔に挿通したとき、押圧体10が頭部キャップ160内部で可動導通部6を押下してスイッチ機構1の非導通状態を作出する。従って、変形検出ボルト150の制御回路には、電力が供給されていない状態となっている。
また、図8(b)に示す押圧体10が頭部キャップ160から抜き出されたとき、可動導通部6が端子2a、2bに接触し、スイッチ機構1の導通状態を作出する。
【0044】
このように、変形検出ボルト150のようなセンシングデバイスにおいても、本発明のスイッチ機構1を適用することができる。この場合に用いる押圧体10は、変形検出ボルト150を包装する包装体と一体的に設けておけば、変形検出ボルト150の使用前で包装体によって包装されているときは、タンパーエビデンス構造に併用されるスイッチ構造を構成することができる。また変形検出ボルトの使用時は、包装体による包装を解くと共に押圧体10を抜き出すことによって、変形検出ボルト150を起動させることが出来る。
また、包装体と押圧体とを一体化させることで、変形検出ボルト150は、使用前、即ち締結前に確実に起動して変形検出ボルト150に軸力が作用していない状態を基準に、物理変化の検出を行うことができる。
【符号の説明】
【0045】
1…スイッチ機構、2a、2b…端子、4…状態切替機構、6…可動導通部、8…弾性部、10…押圧体、20a…固定端子、20b…可動端子、100…電子機器、110…梱包箱、112…蓋、114…ブリッジ部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8