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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002076
(43)【公開日】2023-01-10
(54)【発明の名称】表面燃焼式ガスバーナ
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/02 20060101AFI20221227BHJP
   F23D 14/06 20060101ALI20221227BHJP
   F24C 3/02 20060101ALI20221227BHJP
   F24C 3/08 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
F23D14/02 B
F23D14/06 L
F24C3/02 Q
F24C3/08 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021103088
(22)【出願日】2021-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【弁理士】
【氏名又は名称】三林 大介
(72)【発明者】
【氏名】根笹 典政
【テーマコード(参考)】
3K017
【Fターム(参考)】
3K017AA02
3K017AB04
(57)【要約】
【課題】炎を上向きに形成する態様で使用した場合でも、炎口が閉塞され難い表面燃焼式ガスバーナを提供する。
【解決手段】混合通路で生成した混合ガスを、燃焼板に形成された複数の炎口から流出させることによって燃焼させる。燃焼板には複数の炎口が二次元的に分布した状態で形成されている。表面燃焼式ガスバーナは、燃焼面が上方または斜め上方を向いた態様で使用され、燃焼面には、上面が平坦な形状に隆起した隆起部と、隆起部を横断する溝状の通過部が形成されている。あるいは、隆起部の上面よりも低い位置に、隆起部を囲んだ形状の通過部を形成してもよい。そして、隆起部の上面に複数の炎口を形成する。こうすれば、流下してきた油や煮零れ汁が表面燃焼式ガスバーナの燃焼面に到達しても、通過部を通過するので隆起部の上面に掛かることがなく、炎口が閉塞される事態を抑制可能となる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと燃焼用空気とを混合させることによって混合ガスを生成する混合通路と、前記混合ガスが流出する複数の炎口が二次元的に分布して形成された燃焼板とを備え、複数の前記炎口から前記混合ガスを流出させることによって、前記混合ガスを燃焼させる表面燃焼式ガスバーナにおいて、
前記表面燃焼式ガスバーナは、前記燃焼板の前記混合ガスを燃焼させる側の面である燃焼面が、上方または斜め上方を向いた態様で使用されており、
前記燃焼面には、
複数の前記炎口が上面に形成された隆起部と、
前記隆起部を横断する溝状の通過部と
が形成されている
ことを特徴とする表面燃焼式ガスバーナ。
【請求項2】
燃料ガスと燃焼用空気とを混合させることによって混合ガスを生成する混合通路と、前記混合ガスが流出する複数の炎口が二次元的に分布して形成された燃焼板とを備え、複数の前記炎口から前記混合ガスを流出させることによって、前記混合ガスを燃焼させる表面燃焼式ガスバーナにおいて、
前記表面燃焼式ガスバーナは、前記燃焼板の前記混合ガスを燃焼させる側の面である燃焼面が、上方または斜め上方を向いた態様で使用されており、
前記燃焼面には、
複数の前記炎口が上面に形成された隆起部と、
前記隆起部を囲んだ形状で、前記隆起部の前記上面よりも低い位置に形成された通過部と
が形成されている
ことを特徴とする表面燃焼式ガスバーナ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の表面燃焼式ガスバーナにおいて、
前記通過部は、前記通過部の底面の位置が前記燃焼面の内側から外側に向かって低くなるように傾斜する
ことを特徴とする表面燃焼式ガスバーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の炎口が二次元的に分布して形成された燃焼板を備え、複数の炎口から混合ガスを流出させることによって、混合ガスを燃焼させる表面燃焼式ガスバーナに関する。
【背景技術】
【0002】
加熱調理装置などには、調理物を加熱するために燃料ガスを燃焼させるガスバーナが搭載されている。ここで、ガスバーナを用いて調理物を加熱する方法には、コンロのように、調理物を収容した調理容器を加熱することによって、間接的に調理物を加熱する方法と、グリルのように、ガスバーナで調理物を直接加熱する方法とが存在する。調理物を間接的に加熱する方法では、ガスバーナが調理容器の底部を偏って加熱した場合でも、多少の偏りであれば調理容器での熱伝導によって緩和することができるので、調理物が偏って加熱される事態を抑制することができる。これに対して、ガスバーナで調理物を直接加熱する方法では、ガスバーナが調理物を偏って加熱すると、調理物に加熱ムラ(加熱された部分と、加熱が足りない部分)が発生する。
【0003】
そこで、グリルでは、コンロのガスバーナとは異なって、表面燃焼方式のガスバーナが採用されることがある。尚、以下では、コンロで用いられるガスバーナを「コンロバーナ」と称し、表面燃焼方式のガスバーナを「表面燃焼式ガスバーナ」と称する。コンロバーナおよび表面燃焼式ガスバーナの何れも、燃料ガスと空気との混合ガスを複数の炎口から流出させて燃焼させる点では共通するが、両者は炎口の配列が異なっており、その結果、形成される炎の形態が異なっている。すなわち、コンロバーナでは、バーナヘッドと呼ばれる円環形状の部材の外周側面(あるいは内周側面)に、複数の炎口が列状に配列した状態で形成されており、その結果、炎はバーナヘッドの外周あるいは内周に列状に形成される。これに対して表面燃焼式ガスバーナでは、燃焼板と呼ばれる板状の部材の表面に、複数の炎口が二次元的に分布した状態で形成されており、その結果、炎は燃焼板の片側表面に沿って面状に形成される。このように、表面燃焼式ガスバーナでは面状の炎が形成されるので、列状の炎が形成されるコンロバーナに比べて、調理物を広範囲に亘って均一に加熱することができる。
【0004】
また、グリルでは、調理物の加熱中に油煙や臭いが生じることがあるため、グリルの排気通路の途中に、排気中の油煙や臭い成分を焼却して除去するためのアフターバーナが搭載されることがある。上述したように、表面燃焼式ガスバーナでは面状の炎が形成されるので、アフターバーナとして表面燃焼式ガスバーナを採用すれば、排気が炎の上を通過するために要する時間で油煙や臭い成分を焼却することができる。
【0005】
もっとも、表面燃焼式ガスバーナは、燃焼板の表面に、複数の炎口が二次元的に分布した状態で形成されているため、油や煮零れ汁が掛かると炎口が閉塞され易い傾向がある。こうした傾向は、アフターバーナのように、炎が上向きに形成される態様で使用された場合に、特に顕著となる。そこで、表面燃焼式ガスバーナのアフターバーナの周囲に仕切壁を取り付けることによって、油や煮零れ汁がアフターバーナに掛からないようにしたグリルも提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011-036313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、提案されている従来の技術では、表面燃焼式ガスバーナの炎口が閉塞される事態を十分に回避することが難しいという問題があった。その理由は、表面燃焼式ガスバーナの周囲に仕切壁を取り付けても、仕切壁の下端に形成された取付面と、仕切壁が取り付けられる部材の表面との間に僅かな隙間ができてしまうため、この隙間から染み出すようにして油や煮零れ汁が仕切壁の内側に浸入し、長い間には表面燃焼式ガスバーナの炎口を閉塞してしまうためである。
【0008】
この発明は、従来の技術が有する上述した課題を解決するために成されたものであり、炎を上向きに形成する態様で使用された場合でも、炎口が閉塞され難い表面燃焼式ガスバーナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明の第1の表面燃焼式ガスバーナは次の構成を採用した。すなわち、
燃料ガスと燃焼用空気とを混合させることによって混合ガスを生成する混合通路と、前記混合ガスが流出する複数の炎口が二次元的に分布して形成された燃焼板とを備え、複数の前記炎口から前記混合ガスを流出させることによって、前記混合ガスを燃焼させる表面燃焼式ガスバーナにおいて、
前記表面燃焼式ガスバーナは、前記燃焼板の前記混合ガスを燃焼させる側の面である燃焼面が、上方または斜め上方を向いた態様で使用されており、
前記燃焼面には、
複数の前記炎口が上面に形成された隆起部と、
前記隆起部を横断する溝状の通過部と
が形成されている
ことを特徴とする。
【0010】
かかる本発明の第1の表面燃焼式ガスバーナにおいては、混合通路で生成した混合ガスを、燃焼板に形成された複数の炎口から流出させることによって燃焼させる。複数の炎口は、燃焼板の表面に二次元的に分布した状態で形成されており、それらの炎口から混合ガスを流出させて燃焼させることによって、燃焼板の表面には二次元的に広がった状態の炎(すなわち面状の炎)が形成されることになる。ここで、本発明の第1の表面燃焼式ガスバーナは、燃焼板の混合ガスを燃焼させる側の面である燃焼面が、上方または斜め上方を向いた態様で使用されており、燃焼面には、複数の前記炎口が上面に形成された隆起部と、隆起部を横断する溝状の通過部とが形成されている。
【0011】
こうすれば、油や煮零れ汁が流下してきて、表面燃焼式ガスバーナの燃焼面に到達した場合でも、油や煮零れ汁は溝状に形成された通過部を通過するので、隆起部の上面に掛かることがない。このため、表面燃焼式ガスバーナの複数の炎口が、油や煮零れ汁によって閉塞される事態を抑制することが可能となる。
【0012】
また、上述した課題を解決するために、本発明の第2の表面燃焼式ガスバーナは次の構成を採用した。すなわち、
燃料ガスと燃焼用空気とを混合させることによって混合ガスを生成する混合通路と、前記混合ガスが流出する複数の炎口が二次元的に分布して形成された燃焼板とを備え、複数の前記炎口から前記混合ガスを流出させることによって、前記混合ガスを燃焼させる表面燃焼式ガスバーナにおいて、
前記表面燃焼式ガスバーナは、前記燃焼板の前記混合ガスを燃焼させる側の面である燃焼面が、上方または斜め上方を向いた態様で使用されており、
前記燃焼面には、
複数の前記炎口が上面に形成された隆起部と、
前記隆起部を囲んだ形状で、前記隆起部の前記上面よりも低い位置に形成された通過部と
が形成されている
ことを特徴とする。
【0013】
かかる本発明の第2の表面燃焼式ガスバーナにおいても、燃焼板には、二次元的に分布した状態で複数の炎口が形成されており、それらの炎口から混合ガスを流出させて燃焼させることによって面状の炎が形成される。そして、本発明の第2の表面燃焼式ガスバーナも、燃焼板の混合ガスを燃焼させる側の面である燃焼面が、上方または斜め上方を向いた態様で使用されており、燃焼面には、複数の前記炎口が上面に形成された隆起部と、通過部とが形成されている。また、本発明の第2の表面燃焼式ガスバーナの通過部は、隆起部を囲んだ形状となっており、加えて、隆起部の上面よりも低い位置に形成されている。
【0014】
このような本発明の第2の表面燃焼式ガスバーナにおいても、上方から流下してきて燃焼面に到達した油や煮零れ汁は、隆起部を囲んで形成された通過部を通過するので、隆起部の上面に油や煮零れ汁が掛かることがない。このため、表面燃焼式ガスバーナの複数の炎口が、油や煮零れ汁によって閉塞される事態を抑制することが可能となる。
【0015】
また、上述した本発明の第1または第2の表面燃焼式ガスバーナにおいては、通過部の底面が、燃焼面の内側から外側に向かって低くなるように傾斜した形状としてもよい。
【0016】
こうすれば、通過部に浸入した油や煮零れ汁を、傾斜によって速やかに通過部から排出することができる。このため、通過部に付着した油や煮零れ汁が固着して、長い間に通過部が埋められてしまう事態を回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施例のアフターバーナ40を搭載したグリル10を前後方向に切断した断面図である。
図2】本実施例のアフターバーナ40を搭載したグリル10を左右方向に切断した断面図である。
図3】本実施例のアフターバーナ40の周囲に立設された仕切壁43についての説明図である。
図4】本実施例のアフターバーナ40の燃焼板41の詳細な形状を示した説明図である。
図5】本実施例の燃焼板41を切断することによって、通過部41eが傾斜している状態を示した説明図である。
図6】上面41cが凸形状に形成された隆起部41bを例示した説明図である。
図7】本実施例のアフターバーナ40の他の態様の燃焼板41の詳細な形状を示した説明図である。
図8】本実施例の他の対象の燃焼板41を切断することによって、通過部41eが傾斜している状態を示した説明図である。
図9】上面41cが凸形状に形成された隆起部41bを例示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本実施例のアフターバーナ40を搭載したグリル10を前後方向に切断した断面図である。また、図2は、グリル10を左右方向に切断した断面図である。図1に示されるように、グリル10は、図示しないコンロ本体の内部に設置されるグリル庫11と、グリル庫11の前面側の開口を開閉するグリル扉12とを備えている。グリル庫11の内部には、グリル皿13が収納されており、グリル皿13の上方には焼網14が収納されている。尚、本実施例では、調理物を焼網14に載置しているが、必ずしも焼網14に載置する必要はなく、たとえば、アルミニウム製などの熱伝導性のよい金属で形成された調理プレートに調理粒を載置して調理を行ってもよい。
【0019】
グリル扉12には、後方にのびるスライド枠15が連結されており、このスライド枠15にグリル皿13を支持する皿支持板16が固定されている。また、皿支持板16の前後の位置には、焼網14を支持する支持枠17が立設されている。そして、グリル扉12を手前に引き出すと、グリル扉12と一緒に、グリル皿13や焼網14や支持枠17などが、グリル庫11の内部から引き出されるようになっている。
【0020】
グリル庫11の内部には、天井部分に上火バーナ20が搭載されている。上火バーナ20は、複数の炎口が二次元的に分布した状態で形成された板金製の燃焼板21と、板金製のバーナボディ22とを組み合わせて構成された表面燃焼式ガスバーナであり、燃焼板21が下向きとなる態様(従って、炎が下向きに形成される態様)で搭載されている。そして、バーナボディ22の上方は、遮熱カバー18によって覆われている。また、図2に示されるように、上火バーナ20には混合通路23が接続されている。混合通路23の開口端23aから燃料ガスおよび燃焼用空気を供給すると、混合通路23の内部で燃料ガスと燃焼用空気とが混合して混合ガスを形成されて、上火バーナ20に混合ガスが供給されるようになっている。尚、本実施例の上火バーナ20では、燃焼板21が板金製であるものとしているが、燃焼板21は必ずしも板金製である必要はなく、たとえば、複数の炎口が二次元的に分布した状態で形成されたセラミック製の燃焼板であってもよい。
【0021】
また、図2に示されるように、グリル庫11の左右の側面で焼網14よりも低い位置には、下火バーナ30が搭載されている。下火バーナ30も、複数の炎口が二次元的に分布した状態で形成された板金製の燃焼板31と、板金製のバーナボディ32とを組み合わせて構成された表面燃焼式ガスバーナである。左右の下火バーナ30は、焼網14よりも低い位置に搭載されていることから、燃焼板31が斜め上向きとなる態様(従って、炎が斜め上向きに形成される態様)で搭載されている。また、左右の下火バーナ30には混合通路33が接続されている。混合通路33の開口端33aから燃料ガスおよび燃焼用空気を供給すると、混合通路33の内部で燃料ガスと空気とが混合して混合ガスが形成されて、左右の下火バーナ30に混合ガスが供給されるようになっている。そして、焼網14上に調理物を載置して、上火バーナ20および左右の下火バーナ30に点火すると、調理物を上下の両面から加熱することができる。尚、本実施例の下火バーナ30には、表面燃焼式ガスバーナが採用されているが、必ずしも表面燃焼式ガスバーナを採用する必要はなく、次のようなバーナを採用してもよい。すなわち、板金製の棒状のバーナを、炎口がグリル庫11の中央を向く状態で、グリル庫11の左右のそれぞれの側壁に設けられた開口部に沿って前後に延設することによって、下火バーナとして用いることとしてもよい。
【0022】
また、図1に示されるように、グリル10には、グリル庫11の後端の上部から後方に延びる排気通路19が形成されている。排気通路19の後部は斜め上方に立ち上がることによって、コンロ天板の後部の排気口に接続される排気ダクト19aが形成されている。更に、排気通路19の床面19bには、燃焼排ガス中に含まれる油煙や臭い成分を焼却するためのアフターバーナ40が配置されている。アフターバーナ40も、複数の炎口が二次元的に分布した状態で形成された板金製の燃焼板41と、板金製のバーナボディ42とを組み合わせて構成された表面燃焼式ガスバーナである。アフターバーナ40は、燃焼板41が上向きとなる態様(従って、炎が上向きに形成される態様)で搭載されている。また、アフターバーナ40にも混合通路33が接続されており、混合通路33内で燃料ガスと燃焼用空気を混合させて生成した混合ガスが、アフターバーナ40に供給される。尚、本実施例では、アフターバーナ40が、本発明における「表面燃焼式ガスバーナ」に対応する。また、アフターバーナ40には、燃焼板41に複数の炎口が形成された部分を囲むようにして仕切壁43が立設されている。
【0023】
図3(a)は、アフターバーナ40の燃焼面41aの周囲に立設された仕切壁43の全体形状を示す斜視図である。尚、詳細には後述するが、燃焼面41aとは、アフターバーナ40の燃焼板41に複数の炎口が形成された部分である。また、図3(b)は、アフターバーナ40の燃焼面41aおよび仕切壁43の上面図である。図3(a)に示すように、仕切壁43は、燃焼面41aの長手方向に沿って、燃焼面41aの前方(グリル庫11の側)の位置に起立した前方壁部43aと、燃焼面41aの長手方向に沿って燃焼面41aの後方(コンロ天板の排気口側)の位置に起立した後方壁部43bと、燃焼面41aの左右の側方の位置に起立する側方壁部43c,43dとを備えている。
【0024】
また、図3(b)に示すように、燃焼面41aと前方壁部43aとの間には、前方間隔部44aが設けられており、燃焼面41aと後方壁部43bとの間には、後方間隔部44bが設けられており、燃焼面41aと左右の側方壁部43c,43dとの間には、それぞれ側方間隔部44c,44dが設けられている。詳細には後述するが、アフターバーナ40の燃焼板41は、前方間隔部44aおよび後方間隔部44bの位置で、取付ネジ19dを用いて取り付けられる。また、前方壁部43aの左端と側方間隔部44cとの間には、側方間隔部44cの幅とほぼ同じ寸法の隙間(以下、側方開放部45c)が形成されている。同様に、前方壁部43aの右端と側方間隔部44dとの間にも、側方間隔部44dの幅とほぼ同じ寸法の隙間(以下、側方開放部45d)が形成されている。
【0025】
図1を用いて説明したように、アフターバーナ40は排気通路19の床面19bに、燃焼板41が上向きとなる態様で搭載されている。また、排気通路19の後方からは斜め上方に向かって排気ダクト19aが形成されており、排気ダクト19aは、図示しないコンロ天板の排気口に接続されている。このため、排気口から油や煮零れ汁が入り込むと、入り込んだ油や煮零れ汁が、排気ダクト19aから排気通路19の床面19bを流下して、後方壁部43bの下端や、側方壁部43c,44dの下端から、アフターバーナ40側(仕切壁43の内側)に染み出してくる。この染み出した油や煮零れ汁がアフターバーナ40に達する結果、アフターバーナ40の炎口を閉塞する虞がある。そこで、本実施例のアフターバーナ40は、燃焼板41の形状を次のような形状とすることによって、炎口が閉塞される事態を回避するようになっている。
【0026】
図4は、排気通路19の床面19bに搭載されているアフターバーナ40の詳細な形状を示した説明図である。尚、図面が煩雑となることを避けるため、仕切壁43については図示が省略されている。前述したように、アフターバーナ40は、燃焼板41とバーナボディ42とを組み合わせた構造となっているが、図4に示したように、燃焼板41は、上方から見ると細長い矩形形状となっている。更に、燃焼板41は、中央の部分が細長い矩形形状に盛り上がって燃焼面41aが形成されている。
【0027】
また、排気通路19の床面19bには、燃焼板41の燃焼面41aと同形状の取付口19cが開口している。そして、アフターバーナ40は、床面19bの取付口19cに、燃焼板41の燃焼面41aを下方から嵌めた状態で、各壁部の下端から外側に張り出しているそれぞれの取付舌片を介して、取付ネジ19dによって排気通路19の床面19bに取り付けられている。
【0028】
また、図4中には、燃焼面41aの一部が拡大して表示されている。図示されるように、本実施例のアフターバーナ40の燃焼面41aには、複数個所が隆起することによって隆起部41bが形成されており、隆起部41bの上面41cは平坦な形状に形成されている。そして、それぞれの隆起部41bの上面41cには、複数の炎口41dが形成されている。また、隣接する隆起部41bの間には、溝形状の通過部41eが形成されている。尚、図4では、通過部41eの底面は燃焼面41aと同じ高さとなっているが、通過部41eの底面は隆起部41bの上面41cよりも低く形成されていればよく、必ずしも燃焼面41aと同じ高さでなくても構わない。
【0029】
更に、本実施例の燃焼板41は、燃焼面41aの形状が、内側から外側に向かって低くなるように傾斜した形状となっている。すなわち、前述したように、燃焼板41の燃焼面41aは、排気通路19の床面19bに開口する取付口19cから突出しており、突出した燃焼面41aの中央部分は、燃焼面41aの周縁部分よりも僅かに高くなっている。そして、そのような形状の燃焼面41aの複数個所から隆起部41bが隆起すると共に、隆起部41bと隆起部41bとの間の燃焼面41aは通過部41eとなっている。その結果、通過部41eも、燃焼面41aと同様に、内側から外側に向かって低くなるように傾斜した形状となっている。図5には、通過部41eの位置(すなわち、図4中にA-Aと示した位置)で燃焼板41を切断した時に得られる断面図が示されている。図示されるように、通過部41eは、内側から外側に向かって低くなるように傾斜している。
【0030】
本実施例のアフターバーナ40は、燃焼板41の燃焼面41aが上述した形状に形成されているので、たとえ、排気ダクト19a内を流下してきた油や煮零れ汁がアフターバーナ40の燃焼面41aに到達しても、油や煮零れ汁は、隆起部41bを避けて、通過部41eを通過する。このため、隆起部41bの上面41cに油や煮零れ汁が掛かることがなく、上面41cに形成された炎口41dが、油や煮零れ汁で閉塞される事態を回避することが可能となる。
【0031】
加えて、図5に示したように、通過部41eは内側から外側に向かって低くなるように傾斜しているので、通過部41eに流入した油や煮零れ汁は、通過部41eの傾斜によって自然と燃焼面41aから排出される。図5中に太い破線で示した矢印は、通過部41eの傾斜によって排出される油や煮零れ汁の流れを表している。このため、通過部41eに付着した油や煮零れ汁が固着して、長い間に堆積した固着物によって通過部41eが埋められる事態を防止することが可能となる。
【0032】
尚、上述した本実施例では、隆起部41bの上面41cは平坦な形状に形成されているものとして説明したが、隆起部41bの上面41cは凸形状に形成しても良い。図6には、上面41cが凸形状に形成された隆起部41bが例示されている。図6(a)に示した例では、隆起部41bの上面41cが、角錐形状、あるいは三角屋根形状に形成されており、角錐形状あるいは三角屋根形状の平面部分に炎口41dが形成されている。また、図6(b)に示した例では、隆起部41bの上面41cが、球面形状、あるいは蒲鉾形状に形成されており、球面形状あるいは蒲鉾形状の曲面部分に炎口41dが形成されている。これらのように、隆起部41bの上面41cを凸形状にしておけば、たとえ上面41cに油や煮零れ汁が掛かった場合でも、油や煮零れ汁が自重で上面41cから流れ落ちるので上面41cに留まることを抑制することができる。その結果、油や煮零れ汁が上面41cで固着して炎口41dを閉塞することを抑制することが可能となる。
【0033】
また、本実施例のアフターバーナ40は次のような態様とすることもできる。図7は、排気通路19の床面19bに搭載された他の態様のアフターバーナ40の詳細な形状を示した説明図である。尚、図面が煩雑となることを避けるため、図7でも、仕切壁43については図示が省略されている。図示した他の態様のアフターバーナ40でも、燃焼板41の中央の部分には、細長い矩形形状に盛り上がった燃焼面41aが形成されている。また、排気通路19の床面19bには、燃焼板41の燃焼面41aと同形状の取付口19cが開口しており、この取付口19cに、燃焼板41の燃焼面41aが下方から嵌め込まれた状態で、各壁部の下端から外方に張り出しているそれぞれの取付舌片を介してアフターバーナ40が取付ネジ19dによってネジ止めされている。
【0034】
図7中には、他の態様の燃焼面41aの一部が拡大して表示されている。図示されるように、他の態様の燃焼面41aには、中央部分が隆起することによって隆起部41bが形成されており、隆起部41bの上面41cは平坦な形状に形成されると共に、複数の炎口41dが形成されている。更に、隆起部41bの周囲には、隆起部41bを取り囲んだ形状の通過部41eが、上面41cよりも低い位置に形成されている。尚、図7では、通過部41eが燃焼面41aと同じ高さに形成されているため、通過部41eと燃焼面41aとが一体となっているが、通過部41eは隆起部41bの上面41cよりも低く形成されていればよい。従って、燃焼面41aから一段高く通過部41eを形成し、通過部41eよりも高い位置に上面41cを形成することによって、隆起部41bを形成してもよい。
【0035】
更に、隆起部41bを囲んだ形状の通過部41eは、内側(すなわち、隆起部41bに接する側)から外側に向かって低くなるように傾斜した形状となっている。図8には、図7中にB-Bと示した位置で燃焼板41を切断した時に得られる断面図が示されている。図8に示されるように、隆起部41bを囲う通過部41eは、外側が低くなるように傾斜している。
【0036】
このような他の態様のアフターバーナ40では、油や煮零れ汁が排気ダクト19aを流下して、アフターバーナ40の燃焼面41aに到達した場合でも、油や煮零れ汁は、隆起部41bを避けて通過部41eを通過するので、隆起部41bの上面41cに油や煮零れ汁が掛かることがない。このため、隆起部41bの上面41cに形成された炎口41dが閉塞される事態を回避することが可能となる。加えて、図8に示したように、通過部41eは内側から外側に向かって低くなるように傾斜しているので、通過部41eに付着した油や煮零れ汁は自然と燃焼面41aから排出される。図8中に太い破線で示した矢印は、通過部41eの傾斜によって排出される油や煮零れ汁の流れを表している。このため、通過部41eに付着した油や煮零れ汁が固着して、長い間に堆積した固着物によって通過部41eが埋められる事態を防止することが可能となる。
【0037】
尚、上述した他の態様でも、隆起部41bの上面41cは平坦な形状に限らず、凸形状に形成しても良い。図9には、上面41cが凸形状に形成された隆起部41bが例示されている。図9(a)に示した例では、隆起部41bの上面41cが、角錐形状、あるいは三角屋根形状に形成されており、角錐形状あるいは三角屋根形状の平面部分に炎口41dが形成されている。また、図9(b)に示した例では、隆起部41bの上面41cが、球面形状、あるいは蒲鉾形状に形成されており、球面形状あるいは蒲鉾形状の曲面部分に炎口41dが形成されている。これらのように、隆起部41bの上面41cを凸形状にしておけば、たとえ上面41cに油や煮零れ汁が掛かった場合でも、油や煮零れ汁が自重で上面41cから流れ落ちるので上面41cに留まることを抑制することができる。その結果、油や煮零れ汁が上面41cで固着して炎口41dを閉塞することを抑制することが可能となる。
【0038】
以上、本実施例のアフターバーナ40について説明したが、本発明は上記の実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様で実施することが可能である。
【0039】
例えば、上述した本実施例では、アフターバーナ40として使用されている表面燃焼式ガスバーナが、油や煮零れ汁によって炎口が閉塞されることを防止するために、燃焼板41の燃焼面41aに隆起部41bおよび通過部41eが形成されているものとして説明した。しかし、下火バーナ30も、表面燃焼式ガスバーナが上向きに(すなわち、炎が上向きに形成される態様で)使用されている点ではアフターバーナ40と同様である。従って、下火バーナ30の燃焼板31についても、アフターバーナ40と同様に、燃焼板の燃焼面に隆起部と通過部とを形成してもよい。こうすれば、調理物の加熱調理中に、油や煮零れ汁が下火バーナ30に掛かって炎口が閉塞される事態を抑制することが可能となる。また、上述した本実施例では、下火バーナ30がグリル庫11の両側壁に配置されているものとして説明したが、焼網14の下方に、上火バーナ20と対向するように下火バーナ30を配置してもよい。また、この場合は、焼網14を熱電導性のよい金属で形成された調理プレートに変更することで、グリル皿13を不要とすることも可能となる。
【符号の説明】
【0040】
10…グリル、 11…グリル庫、 12…グリル扉、 13…グリル皿、
14…焼網、 15…スライド枠、 16…皿支持板、 17…支持枠、
18…遮熱カバー、 19…排気通路、 19a…排気ダクト、
19b…床面、 19c…取付口、 19d…取付ネジ、
20…上火バーナ、 21…燃焼板、 22…バーナボディ、
23…混合通路、 23a…開口端、 30…下火バーナ、
31…燃焼板、 32…バーナボディ、 33…混合通路、
33a…開口端、 40…アフターバーナ、 41…燃焼板、
41a…燃焼面、 41b…隆起部、 41c…上面、
41d…炎口、 41e…通過部、 42…バーナボディ、
43…仕切壁、 43a…前方壁部、 43b…後方壁部、
43c、43d…側方壁部、 44a…前方間隔部、 44b…後方間隔部、
44c、44d…側方間隔部、 45c、45d…側方開放部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9