(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020783
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】造礁性サンゴを使用して海中貯蔵酒の海中貯蔵の証拠とし、かつ海中貯蔵酒瓶の美的価値を高める方法
(51)【国際特許分類】
A01K 61/00 20170101AFI20230202BHJP
【FI】
A01K61/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021143558
(22)【出願日】2021-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】593105689
【氏名又は名称】上原 直
(72)【発明者】
【氏名】上原 直
【テーマコード(参考)】
2B104
【Fターム(参考)】
2B104FA11
(57)【要約】
【課題】 海中貯蔵酒は海中貯蔵中に自然に瓶表面に付着成長する石灰藻などの付着生物の遺骸を商品とする瓶の表面に残す事により海底貯蔵を行った証拠としています。石灰藻は陸上では時間の経過とともに脆くなりコルク抜きや開栓時にテーブルなどに落ちてしまいます。これは、美的観点と衛生状態を悪化させます。
【解決手段】 海中貯蔵を行う瓶の任意の場所に造礁性サンゴの小片を水中ボンドや瞬間接着剤で簡易に接着します。その後、瓶ごと海中で造礁性サンゴの垂下養殖法やひび建て養殖方法によりサンゴを成長させます。造礁性サンゴの小片は、時間の経過とともに造礁性サンゴ自身の石灰質の骨格により瓶の表面に強固に固着するとともに人々が美しいと感じる形状となります。商品化する際は、サンゴ個虫を死滅させて肉質部を取り除き、造礁性サンゴの石灰質の骨格部分を瓶の表面に残した状態で販売し海中貯蔵を行った証拠とします。造礁性サンゴの骨格は、美的な価値を伴うため海中貯蔵酒の商品価値を高める効果もあります。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海中貯蔵予定の酒瓶の表面の任意の場所に水中ボンドあるいは瞬間接着材で造礁性サンゴの生きた小片を接着した後、海中で接着した造礁性サンゴを育成して造礁性サンゴ自身の骨格での固着を誘導し海中貯蔵酒の海中貯蔵の証拠として用いる造礁性サンゴの利用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
海中にお酒を貯蔵するとお酒の熟成が陸上に比べて大幅に進行し早期に美味しいお酒になります。
【0002】
瓶や岩を海中に置いておくと、石灰藻等の付着生物が瓶や岩の表面に時間の経過とともに付着していきます。
【0003】
現在販売されている海中貯蔵酒は、この瓶の表面に付着した石灰藻等の自然付着生物の遺骸をあえて削ぎ落さずに海中貯蔵をした証拠として販売しています。
【先行技術文献】
【特許文献】
【非特許文献】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
海中貯蔵酒は、商品として販売する際に瓶の表面に付着した石灰藻などを削ぎ落さずに故意に残して目視できる状態として販売しています。石灰藻等の海中で生育する生物遺骸を用いて海中貯蔵酒が海中に置かれていた証拠としているのです。
【0005】
しかし、瓶の表面に付着した石灰藻は陸上では時間とともに脆くなりかるく触れるだけでぽろぽろと落ちてしまいます。このためにコルク栓を抜く時や蓋を開けるときに瓶表面の石灰藻の遺骸に触れてしまうとテーブルの上に落ちてしまいます。このテーブルなどに落ちた石灰藻はゴミのように見えてしまい海中貯蔵酒の商品価値を下げてしまいます。
【0006】
海中貯蔵酒の瓶の表面に付着した石灰藻などの付着生物の遺骸は、貯蔵酒が海底に置かれていた証拠として瓶の表面に残してありますが、瓶の美的観点からすると瓶表面に残す価値は有りません。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、海中貯蔵酒の海底貯蔵の証拠として造礁性サンゴを使用します。まず、海中に貯蔵予定の瓶の表面に水中ボンドや瞬間接着剤により人為的に生きている造礁性サンゴ小片を張り付けます。その造礁性サンゴ小片をサンゴ養殖の手法を用いて海中で成長させて造礁性サンゴ自身の石灰質の骨格で瓶表面へ固着させます。任意の期間海中に置いて成長した造礁性サンゴの骨格を商品として販売する瓶に残しておき海中貯蔵酒の海中に置いておいた証拠とするのです。
【0008】
造礁性サンゴ小片は初期の頃は水中ボンドや瞬間接着剤により瓶の表面に簡易に接着されていますが、時間の経過とともに造礁性サンゴ自身の骨格形成能力によりガラス瓶へ石灰質の骨格で強固に固着します。造礁性サンゴ自身の骨格により海中貯蔵瓶の表面へ固着している場合は、鋭利な刃物を持ってしても剥がすことはできません。
【0009】
造礁性サンゴ小片の海中貯蔵瓶表面への接着は、蓋の開栓に差し障りのない任意の場所に行う事が可能です。
【0010】
コルク栓を開ける又は、瓶の蓋を開ける時に直接サンゴに触れないような行為では造礁性サンゴの骨格が脱落する事はありません。また、造礁性サンゴ自身の骨格で付着している場合には触れた位で脱落する事は決してありません。
【0011】
海中貯蔵酒の瓶の表面に人為的に接着した造礁性サンゴ小片は、垂下式やひび建て式の造礁性サンゴの増殖方法により成長させます。造礁性サンゴ自身の骨格によって瓶の表面に強固に付着する任意の期間養殖を行うのです。
【0012】
海中貯蔵酒を商品として販売する場合には、瓶表面に固着した造礁性サンゴの個虫を真水に晒す方法等により死滅させて肉質部を取り除き石灰質の骨格だけを瓶の表面に残します。
【0013】
この瓶表面に残置した造礁性サンゴの骨格を海底貯蔵酒の海中貯蔵の証拠として用いるのです。
【発明の効果】
【0014】
造礁性サンゴは海中で生存する生物です。海中貯蔵酒の瓶の表面に造礁性サンゴが強固に付着して成長しているという事は海中貯蔵を行ったという証拠になります。
【0015】
瓶の表面に残置した造礁性サンゴの白い骨格は、人々に美しいと感じさせる美的価値を持っています。海中貯蔵酒瓶の美的商品価値を高める事ができます。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】 海中貯蔵をする瓶を収納するためのφ3mmステンレス製棒鋼で作製した籠の斜視図です。
【
図2】 海中貯蔵を行う瓶上に塗布した水中ボンドと瓶表面に接着する造礁性サンゴ小片の斜視図です。
【
図3】 海中貯蔵を行う瓶上に塗布した水中ボンドに接着した造礁性サンゴ小片の斜視図です。
【
図4】 海中で垂下した状態の海中貯蔵酒と造礁性サンゴの斜視図です。
【
図5】 海中で垂下した状態の海中貯蔵酒と造礁性サンゴの詳細斜視図です。
【
図6】 海中貯蔵の終了後、海中貯蔵酒の表面に固着して成長した造礁性サンゴの斜視図です。
【
図7】 12mm鉄筋で作った造礁性サンゴ養殖用ひび建て治具の斜視図です。
【
図8】 海底に打ち込んだ造礁性サンゴ養殖用ひび建て治具に海中貯蔵瓶を紐により固定して海中貯蔵している海中貯蔵酒と造礁性サンゴの斜視図です。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図3の海中貯蔵を行う瓶の表面に接着した造礁性サンゴを
図4の垂下式又は、
図8のひび建て式のサンゴ養殖方法により養殖します。
【0018】
任意の期間、海底貯蔵を行った海底貯蔵酒の瓶を海中から取り出して造礁性サンゴの個虫を淡水等により死滅させて取り除き、造礁性サンゴの骨格部分のみを
図6のように残置して商品とします。
【符号の説明】
【0019】
1 ステンレス棒鋼
2 海中貯蔵を行う酒瓶
3 水中ボンド
4 造礁性サンゴ
5 垂下するための主ロープ
6 海中貯蔵用籠を5の垂下主ロープに結んで垂下する補助紐
7 ひび建て用の鉄筋治具
8 ひび建て治具に海中貯蔵瓶を固定する紐