(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020818
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】給油所システム
(51)【国際特許分類】
B67D 7/08 20100101AFI20230202BHJP
【FI】
B67D7/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021193844
(22)【出願日】2021-11-30
(31)【優先権主張番号】P 2021122946
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000151346
【氏名又は名称】株式会社タツノ
(74)【代理人】
【識別番号】100106563
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】田中 和則
【テーマコード(参考)】
3E083
【Fターム(参考)】
3E083AA02
3E083AB15
3E083AB20
3E083AD29
3E083AK10
(57)【要約】
【課題】運転コスト及び設備コストを低く抑えながら、安定的に機能させることが可能な給油所システムを提供する。
【解決手段】顧客Cを検知し、顧客の生体情報が有効か否かを判定する生体情報判定手段と、生体情報判定手段から顧客の生体情報を取得し、顧客の生体情報が予め登録された顧客の生体情報と一致する場合に、顧客に関連付けて予め記憶された給油設定情報又は/及び精算情報に基づいて給油を許可する認証設定手段と、該認証設定手段からの給油許可により給油を行う給油装置2とを備える給油所システム1。生体情報判定手段は、生体情報の認識が可能になるように顧客を誘導する誘導手段を備えることができ、生体情報判定手段は、取得した生体情報の真偽を判定してもよい。生体情報判定手段は、取得した生体情報に類似した生体情報を有する顧客が存在していた場合には、生体候補情報とパスコードから顧客及び給油設定情報を特定することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客を検知し、該顧客の生体情報が有効か否かを判定する生体情報判定手段と、
該生体情報判定手段から顧客の生体情報を取得し、前記顧客の生体情報が予め登録された顧客の生体情報と一致する場合に、前記顧客に関連付けて予め記憶された給油設定情報又は/及び精算情報に基づいて給油を許可する認証設定手段と、
該認証設定手段からの給油許可により給油を行う給油装置とを備えることを特徴とする給油所システム。
【請求項2】
前記生体情報判定手段は、生体情報の認識が可能になるように顧客を誘導する誘導手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の給油所システム。
【請求項3】
前記生体情報判定手段は、取得した生体情報の真偽を判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の給油所システム。
【請求項4】
前記生体情報判定手段は、取得した生体情報に類似した生体情報を有する顧客が存在していた場合には、生体候補情報とパスコードから顧客及び給油設定情報を特定することを特徴とする請求項1、2又は3に記載の給油所システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両にガソリン等の燃料を給油する給油所システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給油制御の方法として、顧客が所持するカードに給油顧客情報として氏名、決済方法、油種等のデータを記録しておき、給油時にこのカードをカードリーダに挿入することで、所定の給油装置を給油可能とするものがある。
【0003】
しかし、かかる方法は給油に先立ち、カードをカードリーダに挿入する必要があり、人手を要して作業能率が低い。そこで、本出願人は、特許文献1において、カードに代えて、給油顧客の所持する車両の車番を給油所の給油制御装置に記憶しておき、給油に先立って車番を給油位置で読み取り、所定の給油装置を給油可とし、給油が終了すると給油位置で読み取った車番情報と給油データを精算位置に送り、精算位置に該当車両が停車すると給油料金が精算される給油所を提案した。
【0004】
上記発明は、給油開始だけでなく給油終了後の作業も自動的に行うことができ、作業効率は高くなったが、給油位置と精算位置が別々に設けられているために移動する必要があり、給油開始から精算終了までをその場で完結することはできない。
【0005】
また、決済に関しては、発行される伝票を基に給油所事務所内又は決済デバイスにて決済行為を行う必要があるため、完全に人の手がかからないシステムであるとは言い難い。
【0006】
そこで、本出願人は、特願2021-015445において生体認証と車番で自動で給油設定や決済を行うことのできる給油所システムを提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特願2021-015445による給油所システムでは、車番データベースの利用料や車番用カメラ等の固定設備の費用が高額なため設備投資し難いという問題がある。また、カメラの死角や入場してきた車の角度等による影響で、カメラで車番を捉えることができない場合があり、システムが安定的に機能しないおそれもある。
【0009】
そこで、本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、運転コスト及び設備コストを低く抑えながら、安定的に機能させることが可能な給油所システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、給油所システムであって、顧客を検知し、該顧客の生体情報が有効か否かを判定する生体情報判定手段と、該生体情報判定手段から顧客の生体情報を取得し、前記顧客の生体情報が予め登録された顧客の生体情報と一致する場合に、前記顧客に関連付けて予め記憶された給油設定情報又は/及び精算情報に基づいて給油を許可する認証設定手段と、該認証設定手段からの給油許可により給油を行う給油装置とを備えることを特徴とする給油所システム。
【0011】
本発明によれば、認証設定手段に予め登録された情報のみに基づいて給油設定・精算を行うため、給油の際に特別に持参すべきものや、車両に予め設置すべきものがなく、顧客及び車両に関する設備コストを低く抑えることができると共に、車番を利用した場合のようなデータベースの利用料が不要で運転コストも低く抑えることができる。また、車番を利用した場合のようにカメラで車番を捉えることができないことなどがなく、システムを安定的に機能させることができる。
【0012】
上記給油所システムにおいて、前記生体情報判定手段は、生体情報の認識が可能になるように顧客を誘導する誘導手段を備えることで、顧客の生体情報の検出精度が上がる。
【0013】
また、前記生体情報判定手段は、取得した生体情報の真偽を判定することで、写真や動画のデータの場合を無効とし、なりすましを防止することができる。
【0014】
さらに、前記生体情報判定手段は、取得した生体情報に類似した生体情報を有する顧客が存在していた場合には、生体候補情報とパスコードから顧客及び給油設定情報を特定することができ、これによって顧客判別の正確性が向上し、間違った人のクレジットカードから精算したり、給油設定を間違えることを防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、運転コスト及び設備コストを低く抑えながら、安定的に機能させることが可能な給油所システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る給油所システムの第1の実施形態を示す全体構成図である。
【
図2】
図1に示す給油所システムのブロック図である。
【
図3】
図1に示す給油所システムの動作を示すフローチャートである。
【
図4】本発明に係る給油所システムの第2の実施形態を示す全体構成図である。
【
図5】
図4に示す給油所システムのブロック図である。
【
図6】
図4に示す給油所システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1及び
図2は、本発明に係る給油所システムの第1の実施形態を示し、この給油所システム1は、給油装置2と、顧客Cの顔認証(生体認証)を行う顔認証装置3と、顧客情報を記憶すると共に、顔認証装置3から顧客Cの顔データ(生体情報)を取得し、顧客Cの会員番号等を特定するクラウド管理装置4と、給油装置2とクラウド管理装置4の間に配置されたローカル管理装置5及び通信変換制御装置6と、給油装置2に給油許可操作を行う給油許可装置7と、POS8と、SSC(セルフサービスコンソール)9とで構成される。
【0019】
給油装置2は、給油データ等を表示する表示器2aと、顧客の希望時に伝票を出力するためのプリンタ2bと、データ入出力機2cと、給油ポンプから流量計を介して給油ノズルに燃料油を送る給油機構(不図示)と、給油機構を制御する給油制御装置2dを備える。
【0020】
顔認証装置3は、給油装置2に付設され、撮影した顔データをクラウド管理装置4に送信するために設けられる。顔認証装置3は、車両Vから給油装置2に近づいた顧客Cの顔を撮影する生体認証カメラ3aと、マイク3bと、ディスプレイ3cと、顔データ判定手段3dと、取得した顔データを一時的に記憶する一時記憶手段3eを備える。
【0021】
生体認証カメラ3aは、顧客Cの顔を認識し、顔の領域が一定割合の範囲に入るように音声と文字でガイダンスを行う(誘導手段)。これによって、顔認識の検出精度が向上する。また、生体認証カメラ3aは、顔部分の深度データの真偽を判定し、正しいと確認できた場合に顔の撮影を行い、なりすましを防止する。生体認証カメラ3aは給油所に既存のものでも、新たに給油装置2の表面に設けたものでもどちらでもよい。既存のカメラを利用する場合には、給油装置2のデータ入出力機2cを用いてパスコードの入力や給油設定情報の変更を行うことができる。
【0022】
顔認証装置3にひさしを設けることで、太陽光がディスプレイ3cに照射されることを避け、顔認証の精度が落ちてしまうことを防ぐことができる。また、高温又は低温下において生体認証カメラ3aの精度が落ちてしまうことも防ぐことが可能となる。ひさしだけでなく、ファンやヒーターで温度調節をしてもよい。
【0023】
顧客Cの顔データに代えて、顧客Cの指紋、静脈、手等、顧客Cの身体の一部の画像等を生体情報として用いることもできる。また、顧客Cの生体情報は、顧客Cの声等、生体認証カメラ3aで撮影せずに取得するものも存在するので、顔認証装置3以外の手段で生体情報を取得することもできる。
【0024】
クラウド管理装置4は、予め顧客情報を記憶すると共に、顔認証装置3からの顔データから顧客Cを特定するために設けられる。クラウド管理装置4は、集計した各種データを記憶する集計データ記憶手段4bと、会員となっている顧客情報を記憶する会員情報記憶手段4cからなるクラウド記憶手段4aと、集計制御通信手段4dと、顧客Cの生体情報が会員情報記憶手段4cに記憶した情報と一致するか否かを確認する認証処理手段4eと、決済情報を決定するための決済情報決定手段4fと、顔認証装置3、ローカル管理装置5、顧客端末10及び各種決済代行サービスプロバイダ11と通信するための第6データ通信手段4gとを備える。
【0025】
ローカル管理装置5は、集計した各種データを記憶する集計データ記憶手段5bを有するローカル記憶手段5aと、集計したデータを処理して送信等するための集計制御通信手段5cと、顧客Cの給油設定データ等を記憶する顧客給油操作情報記憶手段5dと、顔認証装置3、クラウド管理装置4及び通信変換制御装置6と通信するための第5データ通信手段5eとを備える。
【0026】
通信変換制御装置6は、給油装置2、ローカル管理装置5、給油許可装置7及びSSC9と通信するための第1~第4データ通信手段6a、6c、6f、6gと、メモリ6bと、給油許可信号を送信するか否かを判断する給油許可判断手段6dと、通信方式を変換するための通信変換手段6eとを備える。
【0027】
給油許可装置7は、固定式又は可搬式の端末であって、通信変換制御装置6から給油要求があり、顧客Cが適切な油種の給油ノズルを外した場合に給油許可信号を出力可能に構成される。
【0028】
上記クラウド管理装置4、ローカル管理装置5、通信変換制御装置6及び給油許可装置7で、後述するように、顧客Cの生体情報が予め登録された顧客Cの生体情報と一致する場合に、顧客Cに関連付けて予め記憶された給油設定情報又は/及び精算情報に基づいて給油を許可する認証設定手段を構成する。
【0029】
POS8は、給油毎の売上げ管理や、日報及び月報の管理、給油許可管理等を行うものであって、既存の店内に設置されるPOSでも、クラウドに情報を集約するものでもどちらでもよい。
【0030】
SSC9は、給油装置2から給油許可要求信号を受けた際に、前記給油装置2に給油許可信号を出力するために設けられる。
【0031】
次に、顧客Cの携帯端末10による事前登録によってクラウド管理装置4が予め記憶する会員情報について、表1を参照しながら説明する。
【0032】
【0033】
表1に示すように、個々の会員には会員番号(No.)が付与され、会員毎に決済代行ID、生体情報が記憶される。また、一人の会員が複数の給油設定情報と、決済方法(区分)を用いる場合には、給油設定情報及び決済方法(区分)毎に会員No.サブコードが付与される。例えば、会員No.「00001」のAさんは3つの給油設定情報及び決済方法(区分)を用いるので、「01」~「03」の会員No.サブコードが付与される。そして、会員No.サブコード毎に、給油設定情報と、決済方法(区分)と、購買情報が記憶される。
【0034】
次に、上記構成を有する給油所システム1の動作について、
図3を中心に参照しながら説明する。尚、以下のフローチャートにおいて、ルートが分岐するステップにおいては、下方向がYes、横方向がNoに対応する。
【0035】
顧客Cは、給油所へ行く前に自宅等で表1に示した給油設定情報、決済方法をクラウド管理装置4に予め登録する。
【0036】
顔認証装置3のステップS1において、生体認証カメラ3aが人(顧客)を検知すると(ステップS1;Yes)、ステップS2において顧客の顔が枠内に入っているか否かを判断する。顧客の顔が枠内に入っている場合には(ステップS2;Yes)、ステップS4において顔データ判定手段3dによって顔データが立体画像である否かを判断する。ステップS2において顧客の顔が枠内に入っていない場合には(ステップS2;No)、音声や文字で枠内に顔を入れるようにガイダンスを行い(ステップS3)、ステップS2に戻る。ステップS4で顔データが立体画像である否かを判断するのは、写真や動画のデータの場合は無効とすることで、なりすましを防止するためである。
【0037】
ステップS4において顔データが立体画像である場合には(ステップS4;Yes)、顔の撮影を行い(ステップS5)、顔データを一時記憶手段3eに記憶した後、撮影データをクラウド管理装置4に出力する(ステップS6)。撮影データには、顔データの他に給油所名、停止位置(給油装置番号及びエリア)が含まれる。一方、ステップS4において顔データが立体画像でない場合には(ステップS4;No)、ステップS7で顔データが無効であることを報知し、動作を終了する。
【0038】
クラウド管理装置4のステップS21において、顔認証装置3から撮影データの入力があると(ステップS21;Yes)、クラウド管理装置4はステップS22において、撮影データから生体情報のデータが登録されているか否かを確認する(認証を行う)。認証の結果、生体情報のデータが登録されている場合(認証受理(OK))にはステップS24に進み、生体情報のデータが登録されていない場合(認証棄却)にはステップS26に進む。
【0039】
クラウド管理装置4は、ステップS24で登録されている会員No.、サブコード及び給油設定情報を抽出し、ステップS25で認証を受理したことを示す情報と共に、抽出した会員No.、サブコード及び給油設定情報を顔認証装置3に出力する。一方、クラウド管理装置4は、ステップS26で複数の生体候補があるか否かを判断し、複数の生体候補がある場合には(ステップS26;Yes)、複数の生体候補情報を顔認証装置3に出力する(ステップS27)。
【0040】
顔認証装置3は、クラウド管理装置4から認証を受理したことを示す情報と共に、抽出した会員No.、サブコード及び給油設定情報の入力があると(ステップS8;Yes)、ステップS9において、給油設定情報が複数あるか否かを判断し、給油設定情報が複数ある場合には(ステップS9;Yes)、ステップS10において、給油設定情報選択画面を表示し、時間t1が経過するか、給油設定情報が選択された場合には(ステップS11;Yes)、ステップS12において、会員No.、サブコード及び給油設定情報をローカル管理装置5に出力して動作を終了する。尚、給油設定情報が複数ある場合、デフォルトとして登録されている給油設定にて給油ができるようにしてもよく、どの設定内容をデフォルトにするかなどの変更は事前に行うことができる。また、デフォルト登録している給油設定以外の設定にしたい場合は選択画面にて変更することができる。
【0041】
上記ステップS25及びS12では、クラウド管理装置4で特定した給油設定情報を顔認証装置3に出力し、顔認証装置3からローカル管理装置5に出力している。これは、顔認証装置3のステップS6において顔認証装置3からクラウド管理装置4にデータを出力しており、クラウド管理装置4は問い合わせを受けたところに返信する方が、新たな場所(この場合はローカル管理装置5)に返信(通信)するより一般的で容易であり、問い合わせのない場所に情報を伝えようとすると制御に工夫が必要となるためである。
【0042】
一方、顔認証装置3は、クラウド管理装置4から認証を受理したことを示す情報等の入力がなく(ステップS8;No)、クラウド管理装置4から複数の生体候補情報の入力があると(ステップS13;Yes)、ステップS14において、パスコードの入力を要求し、パスコードの入力があると(ステップS15;Yes)、複数の生体候補の中にパスコードが合致している情報があるか否かを判断し(ステップS16)、合致している情報がある場合には(ステップS16;Yes)、ステップS17において、会員No.、サブコード及び給油設定情報をローカル管理装置5に出力して動作を終了する。パスコードの入力は、ディスプレイから行うか、音声でも行うことができる。また、顔認証装置3は、クラウド管理装置4から複数の生体候補情報の入力がない場合(ステップS13;No)、パスコードの入力がない場合(ステップS15;No)、複数の生体候補の中にパスコードが合致している情報がない場合には(ステップS16;No)、そのまま動作を終了する。
【0043】
ローカル管理装置5は、顔認証装置3から会員No.、サブコード及び給油設定情報の入力があると(ステップS41;Yes)、給油許可要求と給油設定情報を通信変換制御装置6に出力する(ステップS42)。
【0044】
一方、給油装置2のステップS61において、顧客Cがノズル掛けから給油ノズルを外してノズルSW(スイッチ)がONになると(ステップS61;Yes)、給油装置2は、給油許可要求と、外れた給油ノズルが給油する燃料油の油種を通信変換制御装置6に出力する(ステップS62)。
【0045】
通信変換制御装置6のステップS51において、ローカル管理装置5及び給油装置2から給油許可要求の入力があると(ステップS51;Yes)、通信変換制御装置6はステップS52において、給油設定情報で指定された油種と、外れた給油ノズルが給油する燃料油の油種とを比較し、一致しているか否かを判断する。両者が一致する場合には(ステップS52;Yes)、通信変換制御装置6はステップS53において、給油許可装置7に給油許可要求表示信号を出力する。一方、両者が一致しない場合には(ステップS52;No)、通信変換制御装置6はステップS56において、油種が異なることを給油許可装置7に出力する。
【0046】
給油許可装置7のステップS71において、通信変換制御装置6から給油許可要求表示信号の入力があると(ステップS71;Yes)、給油許可装置7はステップS72において、給油許可要求があったことを表示し、ステップS73において、給油許可ボタンが押下されると(ステップS73;Yes)、通信変換制御装置6に給油許可ボタンが押下されたことを通知する(ステップS74)。一方、給油許可装置7のステップS71において、通信変換制御装置6から給油許可要求表示信号の入力がない場合、すなわち、通信変換制御装置6から油種が異なる旨の通知があった場合には、給油許可装置7は油種が異なる旨を報知して(ステップS75)動作を終了する。
【0047】
通信変換制御装置6のステップS54において、給油許可装置7から、給油所係員が給油許可ボタンを押下した旨の通知があると(ステップS54;Yes)、通信変換制御装置6はステップS55において、給油装置2に給油許可信号と給油設定情報を出力する。
【0048】
給油装置2は、通信変換制御装置6から給油許可信号及び給油設定情報の入力があると(ステップS63;Yes)、表示器2aにリセット信号を送信することで前回なされた給油に関する情報の帰零(リセット)を行い、給油ポンプを駆動する(ステップS64)。
【0049】
ステップS64において、給油ポンプがONになることで給油ノズルより燃料油が吐出され、給油設定情報に基づいて給油が行われる。これにより流量パルス信号が表示器2aに出力されると(ステップS65;Yes)、表示器2aに給油量の表示(計数表示)がなされる(ステップS66)。
【0050】
ステップS65へ戻り、流量パルス信号が表示器2aに出力されなくなり(ステップS65;No)、顧客Cが給油ノズルをノズル掛けに戻すことでノズルSWがOFFになると(ステップS67;Yes)、給油ポンプを停止し(ステップS68)、通信変換制御装置6に給油量と金額を含む給油データを出力し(ステップS69)、給油装置2の動作を終了する。
【0051】
通信変換制御装置6のステップS57において、給油装置2から給油データの入力があると(ステップS57;Yes)、通信変換制御装置6はローカル管理装置5に給油の終了と給油データを通知し(ステップS58)、動作を終了する。
【0052】
ローカル管理装置5のステップS43において、通信変換制御装置6から給油終了の通知があると(ステップS43;Yes)、ローカル管理装置5はクラウド管理装置4に会員No.、サブコード及び給油データと、売り上げが確定したことを通知し(ステップS44)、給油データを保存し(ステップS45)、動作を終了する。
【0053】
クラウド管理装置4のステップS28において、ローカル管理装置5から売り上げ確定の入力があると(ステップS28;Yes)、クラウド管理装置4は会員No.、サブコードから決済情報(決済代行ID、決済方法)を抽出し(ステップS29)、給油データ及び決済情報に基づいて決済代行サービスプロバイダに決済を指示し(ステップS30)、給油データの保存を含む売上集計を行い(ステップS31)、顧客端末10に決済完了通知を出力し(ステップS32)、動作を終了する。
【0054】
顧客端末10は、クラウド管理装置4から決済完了通知の入力があると(ステップS81;Yes)、決済完了を報知し(ステップS82)、動作を終了する。
【0055】
上記実施の形態によれば、クラウド管理装置4に予め登録された情報のみに基づいて給油設定・精算を行うため、給油の際に持参したり、車両に予め設置すべきものがなく、顧客及び車両に関する設備コストを低く抑えながら、システムを安定的に機能させることができる。また、給油の開始から精算終了まで給油装置2の前(その場)で行うことができるため、顧客Cの負担を軽減することができると共に、給油装置2や給油所が個人情報を持つ必要がないため、個人情報の漏洩リスクを軽減することができる。また、生体(個人)のみに基づいて動作するため、同じ車両Vで異なる顧客Cが給油を行う場合でも、異なる給油設定で給油することが可能となり、給油設定の手間を省くことができる。さらに、クラウド管理装置4で顧客Cの情報を管理しているため、本発明に係るシステムが導入されている給油所であれば、どこでも給油設定や決済を自動で行うことができ、給油装置2の負担を軽減することができる。
【0056】
顧客Cがクラウド管理装置4に記憶した給油設定情報と異なる給油を行いたい場合(例えば、クラウド管理装置4には「満タン」と記憶されている場合に、「20L給油」を行いたい場合)に備え、給油所システム1に音声認識機能を設け、顧客Cの発する音声に基づいて給油設定を行うようにしてもよい。また、給油所システム1に入力機能を設け、入力に基づいて給油設定を行うようにしてもよい。
【0057】
また、クラウド管理装置4及びローカル管理装置5の双方で給油データを保存することで、クラウド管理装置4に何らかの障害が起きて通信が途絶えてしまったとしても、ローカル管理装置5で給油データを集計することができるため、店舗運営が途切れることなく可能となる。また、クラウド管理装置4が使えなくなったとしても、給油伝票を印刷することができる。さらに、顧客Cの登録情報や給油履歴は、顧客端末10を用いてクラウド管理装置4にアクセスすることで確認することができる。
【0058】
尚、上記実施の形態では、店舗の売り上げ管理に関しては記載していないが、従来通りPOS8で管理することも、クラウド管理装置4を利用して管理することもできる。また、クレジットカードで決済を行っているが、その他の手法(プリペイドカード、デビットカード、QRコード(登録商標)、現金等)にも対応可能である。顧客Cのクレジットカード情報はクラウド管理装置4上では管理せず、顧客IDとして管理しているため、クレジットカード情報が漏洩してしまい、顧客Cに多大な迷惑がかかることはない。
【0059】
また、上記実施の形態では、クラウド管理装置4で特定した給油設定情報を顔認証装置3に出力し、顔認証装置3からローカル管理装置5に出力すると記載しているが、これは一般的で容易なためであり、制御に工夫を加えることにより、クラウド管理装置4で特定した給油設定情報をローカル管理装置5に出力することも可能である。
【0060】
次に、本発明に係る給油所システムの第2の実施形態について説明する。
【0061】
図4及び
図5は、本発明に係る給油所システムの第2の実施形態を示し、この給油所システム21は、給油装置22と、顧客Cの顔認証(生体認証)を行う顔認証装置23と、顧客情報を記憶すると共に、顔認証装置23から顧客Cの顔データ(生体情報)を取得し、顧客Cの会員番号等を特定するクラウド管理装置24と、給油装置22とクラウド管理装置24の間に配置された通信変換制御装置26と、給油装置22に給油許可操作を行う給油許可装置7とで構成される。本実施の形態では、第1の実施形態の給油所システム1に設けられていたローカル管理装置5、POS8及びSSC9は存在しない。
【0062】
給油装置22は、給油データ等を表示する表示器22aと、給油ポンプから流量計を介して給油ノズルに燃料油を送る給油機構(不図示)と、給油機構を制御する給油制御装置22bを備える。第1の実施形態における給油装置2に設けられていたプリンタ2bと、データ入出力機2cは、給油装置22には存在しない。
【0063】
顔認証装置23は、給油装置22に付設され、撮影した顔データをクラウド管理装置24に送信するために設けられ、第1の実施形態における顔認証装置3と同様、生体認証カメラ23a、マイク23b、ディスプレイ23c、顔データ判定手段23d及び一時記憶手段23eに加え、給油データと顧客の会員No.、サブコードとを紐づけする給油データ確定手段23fを備える。
【0064】
クラウド管理装置24は、予め顧客情報を記憶すると共に、顔認証装置23からの顔データから顧客Cを特定するために設けられ、第1の実施形態におけるクラウド管理装置4と同様、集計データ記憶手段24b、会員情報記憶手段24cからなるクラウド記憶手段24aと、集計制御通信手段24dと、認証処理手段24eと、決済情報決定手段24fに加え、顔認証装置23、顧客端末10及び各種決済代行サービスプロバイダ11と通信するための第4データ通信手段24gを備える。
【0065】
通信変換制御装置26は、給油装置22、顔認証装置23及び給油許可装置7と通信するための第1~第3データ通信手段26a、26c、26fと、メモリ26bと、給油許可信号を送信するか否かを判断する給油許可判断手段26dと、通信方式を変換するための通信変換手段26eとを備える。
【0066】
給油許可装置7は、第1実施形態のものと同じ装置であって、通信変換制御装置26から給油要求があり、顧客Cが適切な油種の給油ノズルを外した場合に給油許可信号を出力可能に構成される。
【0067】
上記クラウド管理装置24、通信変換制御装置26及び給油許可装置7で、顧客Cの生体情報が予め登録された顧客Cの生体情報と一致する場合に、顧客Cに関連付けて予め記憶された給油設定情報又は/及び精算情報に基づいて給油を許可する認証設定手段を構成する。
【0068】
本実施例においても、顧客Cの携帯端末10による事前登録によってクラウド管理装置24が予め記憶する会員情報は、表1に示したものと同様である。
【0069】
次に、上記構成を有する給油所システム21の動作について、
図6を中心に参照しながら説明する。尚、以下のフローチャートにおいても、ルートが分岐するステップにおいては、下方向がYes、横方向がNoに対応する。
【0070】
顧客Cは、給油所へ行く前に自宅等で表1に示した給油設定情報、決済方法をクラウド管理装置24に予め登録する。
【0071】
顔認証装置23のステップS101~S107は、第1の実施形態における顔認証装置3のステップS1~S7と同様であり、生体認証カメラ23aが人(顧客)を検知すると(ステップS101;Yes)、顔データが立体画像である場合には(ステップS104;Yes)、顔の撮影を行い(ステップS105)、撮影データをクラウド管理装置24に出力し(ステップS106)、顔データが立体画像でない場合には(ステップS104;No)、ステップS107で顔データが無効であることを報知し、動作を終了する。
【0072】
クラウド管理装置24のステップS121~S127は、第1の実施形態におけるクラウド管理装置4のステップS21~S27と同様であり、顔認証装置23から撮影データの入力があると(ステップS121;Yes)、生体情報のデータが登録されているか否かを確認(認証)し、登録されている(認証OK)場合にはステップS124に進み、登録されていない場合にはステップS126に進む。クラウド管理装置24は、ステップS125で認証を受理したことを示す情報と共に、抽出した会員No.等を顔認証装置23に出力し、複数の生体候補がある場合には(ステップS126;Yes)、複数の生体候補情報を顔認証装置23に出力する(ステップS127)。
【0073】
顔認証装置23は、クラウド管理装置24から認証を受理したことを示す情報と共に、抽出した会員No.、サブコード及び給油設定情報の入力があると(ステップS108;Yes)、ステップS109において、給油設定情報が複数あるか否かを判断し、給油設定情報が複数ある場合には(ステップS109;Yes)、ステップS110において、給油設定情報選択画面を表示し、時間t1が経過するか、給油設定情報が選択された場合には(ステップS111;Yes)、ステップS112において、給油設定情報及び給油許可要求を通信変換制御装置26に出力する。
【0074】
上記ステップS125及びS112では、クラウド管理装置24で特定した給油設定情報を顔認証装置23に出力し、顔認証装置23から通信変換制御装置26に出力している。これは、顔認証装置23のステップS106において顔認証装置23からクラウド管理装置24にデータを出力しており、クラウド管理装置24は問い合わせを受けたところに返信する方が、新たな場所(この場合は通信変換制御装置26)に返信(通信)するより一般的で容易であり、問い合わせのない場所に情報を伝えようとすると制御に工夫が必要となるためである。
【0075】
一方、顔認証装置23は、クラウド管理装置24から認証を受理したことを示す情報等の入力がなく(ステップS108;No)、クラウド管理装置24から複数の生体候補情報の入力があると(ステップS113;Yes)、ステップS114において、パスコードの入力を要求し、パスコードの入力があると(ステップS115;Yes)、複数の生体候補の中にパスコードが合致している情報があるか否かを判断し(ステップS116)、合致している情報がある場合には(ステップS116;Yes)、ステップS117において、給油設定情報及び給油許可要求を通信変換制御装置26に出力する。また、顔認証装置23は、クラウド管理装置24から複数の生体候補情報の入力がない場合(ステップS113;No)、パスコードの入力がない場合(ステップS115;No)、複数の生体候補の中にパスコードが合致している情報がない場合には(ステップS116;No)、そのまま動作を終了する。
【0076】
給油装置22のステップS161において、顧客Cがノズル掛けから給油ノズルを外してノズルSW(スイッチ)がONになると(ステップS161;Yes)、給油装置22は、給油許可要求と、外れた給油ノズルが給油する燃料油の油種を通信変換制御装置26に出力する(ステップS162)。
【0077】
通信変換制御装置26のステップS151において、顔認証装置23及び給油装置22から給油許可要求の入力があると(ステップS151;Yes)、通信変換制御装置26はステップS152において、給油設定情報で指定された油種と、外れた給油ノズルが給油する燃料油の油種とを比較する(ステップS152)。その後の通信変換制御装置26のステップS153~S157、及び給油装置22のステップS163~S169は、第1の実施形態における通信変換制御装置6のステップS53~S57、及び給油装置2のステップS63~S69と同様であり、給油許可装置7からの給油所係員が給油許可ボタンを押下した旨の通知を待って給油装置22で給油を行い、給油装置22から給油データの入力があると(ステップS157;Yes)、通信変換制御装置26は顔認証装置23に給油の終了と給油データを通知し(ステップS158)、動作を終了する。
【0078】
顔認証装置23のステップS118において、通信変換制御装置26から給油終了の通知があると(ステップS118;Yes)、顔認証装置23は給油データと会員No.、サブコード及び給油データとを紐づけ(確定)し、クラウド管理装置24に紐づけしたデータと、売り上げが確定したことを通知し(ステップS119)、動作を終了する。
【0079】
クラウド管理装置24のステップS128において、顔認証装置23から売り上げ確定の入力があると(ステップS128;Yes)、クラウド管理装置24は会員No.、サブコードから決済情報(決済代行ID、決済方法)を抽出し(ステップS129)、給油データ及び決済情報に基づいて決済代行サービスプロバイダに決済を指示し(ステップS130)、給油データの保存を含む売上集計を行い(ステップS131)、顧客端末10に決済完了通知を出力し(ステップS132)、動作を終了する。
【0080】
顧客端末10は、クラウド管理装置24から決済完了通知の入力があると(ステップS181;Yes)、決済完了を報知し(ステップS182)、動作を終了する。
【0081】
上記第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果に加え、第1の実施形態におけるローカル管理装置5、POS8及びSSCを不要としたことで、例えば過疎地での給油所の運営において機器設備を最小限とすることで、初期導入費や運転コストを削減して地域住民のインフラ設備を持続可能とすることができる。また、機器設備を最小限とすることで、単一障害点をなくして給油所の運営を安定的に行うことが可能となる。
【0082】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術範囲を限定する趣旨の記述ではない。
【符号の説明】
【0083】
1、21 給油所システム
2、22 給油装置
3、23 顔認証装置
4、24 クラウド管理装置
5 ローカル管理装置
6、26 通信変換制御装置
7 給油許可装置
8 POS
9 SSC
10 顧客端末
11 各種決済代行サービスプロバイダ
C 顧客
V 車両