IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ▲寧▼波工程学院の特許一覧

特開2023-20825製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用した制御型低強度材料及びその製造方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020825
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用した制御型低強度材料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 28/08 20060101AFI20230202BHJP
   C04B 18/16 20230101ALI20230202BHJP
   C04B 18/08 20060101ALI20230202BHJP
   C04B 18/14 20060101ALI20230202BHJP
   C04B 22/08 20060101ALI20230202BHJP
   B28C 7/04 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
C04B28/08 ZAB
C04B18/16
C04B18/08 Z
C04B18/14 Z
C04B22/08 A
B28C7/04
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021202293
(22)【出願日】2021-12-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-31
(31)【優先権主張番号】202110874763.9
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】512314075
【氏名又は名称】▲寧▼波工程学院
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】温小棟
(72)【発明者】
【氏名】馮蕾
(72)【発明者】
【氏名】張勝権
(72)【発明者】
【氏名】殷剛吉
(72)【発明者】
【氏名】陳諾
【テーマコード(参考)】
4G056
4G112
【Fターム(参考)】
4G056AA06
4G056CB27
4G112MB01
4G112PA27
4G112PA29
4G112PA30
4G112PB03
4G112PB06
4G112PB31
4G112PC08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】制御型低強度材料製造の技術分野に属し、製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用した制御型低強度材料及びその製造方法を提供する。
【解決手段】制御型低強度材料は、原料として、建設残土40~65部、製鋼スラグ脱硫副産物8~20部、セメント1~5部、フライアッシュ6~13部、鉱滓5~10部、アルカリ刺激剤0.5~5部、分散剤0.2~2部、増粘剤0.05~1部、を含んでなる。
【効果】本発明では、セメントの一部を建設残土に置き換えて結合材とする。これにより、建設残土の再資源化利用が実現されるとともに、セメント資源の節約となるため、建設工事の廃棄物が環境に及ぼす弊害が減少する。且つ、得られる制御型低強度材料を埋戻し土に使用することで、建設資源のリサイクルが実現されるとともに、大量の製鋼スラグ脱硫副産物の堆積による環境汚染問題が解決される。よって、良好な経済効果と社会的価値を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料として、建設残土40~65部、製鋼スラグ脱硫副産物8~20部、セメント1~5部、フライアッシュ6~13部、鉱滓5~10部、アルカリ刺激剤0.5~5部、分散剤0.2~2部、増粘剤0.05~1部、を含んでなることを特徴とする製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用した制御型低強度材料。
【請求項2】
原料として、建設残土65部、製鋼スラグ脱硫副産物20部、セメント5部、フライアッシュ10部、鉱滓8部、アルカリ刺激剤5部、分散剤0.5部、増粘剤0.05部、を含んでなることを特徴とする請求項1に記載の製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用した制御型低強度材料。
【請求項3】
前記建設残土の含水率は30~60%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用した制御型低強度材料。
【請求項4】
前記製鋼スラグ脱硫副産物における硫酸カルシウム・2水和物の含有量は75%超であり、亜硫酸カルシウムの含有量は10%未満であることを特徴とする請求項2に記載の製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用した制御型低強度材料。
【請求項5】
前記アルカリ刺激剤は水酸化ナトリウム又は生石灰であることを特徴とする請求項1、2又は4に記載の製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用した制御型低強度材料。
【請求項6】
前記分散剤はケイ酸ナトリウムであることを特徴とする請求項3に記載の製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用した制御型低強度材料。
【請求項7】
前記増粘剤はPAMであることを特徴とする請求項5に記載の製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用した制御型低強度材料。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用した制御型低強度材料の製造方法であって、
(1)製鋼スラグ脱硫副産物を乾燥させて研磨してから、乾燥させたセメント、フライアッシュ、鉱滓、アルカリ刺激剤、分散剤、増粘剤と混合し、攪拌してドライブレンド材を取得するステップ、
(2)建設残土と水を混合し、攪拌してスラリーを取得するステップ、
(3)ドライブレンド材とスラリーを混合し、攪拌して制御型低強度材料を取得するステップを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項9】
ステップ(2)の水の使用量は、水固体質量比を0.3~0.5として添加することを特徴とする請求項8に記載の製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用した制御型低強度材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御型低強度材料製造の技術分野に関し、特に、製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用した制御型低強度材料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
制御型低強度材料(controlled low strength material,CLSMと略称)は新型の埋戻し材である。CLSMは高い流動性を有しているため、振動させなくても、或いはわずかな振動で、自重の作用により自然に充填されて自己充填構造を形成し得る。従来の埋戻し土又はその他の緩い材料と比較して、CLSMは良好な流動性及び自己充填性を有することから、耐荷力不足の問題が発生しない。また、自己水平性との特性から、密集度の高い、狭くて接触が困難な特殊構造にとりわけ適している。且つ、施工時には、振動、圧延、締固め等の工程を省略可能なため、施工コストが低下するとともに、工期が短縮される。CLSMの性能は、原材料の違いによって柔軟に調節可能であり、応用範囲が広い。現在のところ、CLSMは、地下管路、路床、暗渠及び埋戻し擁壁といった工事への応用に成功している。
【0003】
CLSMの材料構成の柔軟性を考慮すると、建設残土を成分としてCLSMを製造することは、有効な再資源化利用による処理方式といえる。国内外では、粘土ベースの制御型低強度充填材の研究が展開されている。Ming-Zhe Leeら(非特許文献1)は、施工現場の廃土を利用したCLSMの製造について研究しており、廃棄残土を利用して構造の埋戻しに利用可能なCLSMを製造し得ることを明らかとしている。また、C/WとW/Sを制御することで、良好な流動性及び合理的なブリーディングを獲得可能なほか、CLSMの強度、圧縮性及び耐荷性能はいずれも硬質粘土と類似しており、工事ニーズを満たすとしている。Bhaskar Chittooriら(非特許文献2)は、高塑性土を利用することで、強度が特定の要求を満たすCLSMを製造可能であるとしている。Kwan-Ho Leeら(非特許文献3)は、回収した原位置の土壌と海洋浚渫土を用いてCLSMを製造している。また、試験の結果、CLSMの圧縮強度と流動性は建設材料基準の要求を満たしており、250kPaを超えるため、CLSMを利用することで、管路埋戻し時の沈下や管路にかかる圧力を減少させられるとしている。劉萌(非特許文献4)は、建設残土を利用することで、作業性が要求を満たし、強度が0.31~25.15MPaの間であって、強度を制御可能であり、且つ凝結時間が24時間未満であるほか、沈下値が2~3.5mm/mの間の制御型低強度材料を製造可能であるとしている。保衛国(非特許文献5)は、一部又は全ての粘土を細骨材に置き換えてCLSM供試体を製造した結果、粘土充填型CLSMの圧縮強度は、供試体の水セメント比に対して反比例の関係を示し、セメント含有量及び砂土比率の影響を顕著に受けるとしている。また、このことから、路床の埋戻し材として、粘土充填型CLSMは耐荷性能において一定の優位性を有すると考えている。
【0004】
他方で、鉄鋼冶金業界では大量の産廃製鋼スラグが発生している。製鋼スラグには大量のf-CaOが含まれているため、産廃スラグを脱硫剤とし、スラグ磁選尾鉱を消費して、焼成ガス中のSOを吸収することが、製鋼スラグの再資源化利用における焦点となっている。現在、宝山鋼鉄、包頭鋼鉄、唐山徳竜鋼鉄、福建億 鋼鉄、湘潭鋼鉄建設等が、続々と製鋼スラグ法による焼成ガス脱硫技術を採用している。製鋼スラグによる脱硫の完了に伴って、SiとFeの含有量は大幅に低下し、f-CaOとMgの含有量が減少する一方、SOの含有量は増加する。そのため、製鋼スラグ脱硫副産物の主成分は硫酸カルシウム・2水和物となるが、亜硫酸カルシウム等の生成物も含まれており、Fe及びClの含有量も高い。現在のところ、脱硫副産物は、主としてアルカリ土壌の改良に用いられており、CLSM製造への利用については研究報告がない。そこで、製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用してCLSMを製造する技術方案の提供が急務となっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Wu JY,Lee MZ.Benifical reuse of construction surplus clay in CLSM [J].Int J Pavement Technol,2011,4(5):293-300
【非特許文献2】Bhaskar Chittoori,M.ASCE;Anand J.Puppala,F.ASCE;Anil Raavi.Strength and Stiffness Characterization of Controlled Low Strength Material Using Native High-Plasticity Clay [J].J.Mater.Civ.Eng.2014.26
【非特許文献3】Kwan-Ho Lee,Ju-Deuk Kim.Performance Evaluation of Modified Marine Dredged Soil and Recycled In-Situ Soil as Controlled Low Strength Materials for Underground Pipe [J].KSCE Journal of Civil Engineering,2013,17(4):674-680
【非特許文献4】劉萌、「建設残土による制御型低強度材料の製造及び性能研究」[D]、北京建設大学
【非特許文献5】保衛国、黄崇偉、王徳栄、「粘土充填型の制御型低強度埋戻し材における力学性能」[J]、解放軍理工大学学報(自然科学版)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用した制御型低強度材料及びその製造方法を提供し、製鋼スラグ脱硫副産物の再資源化利用率が低いという従来技術の課題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の発明の目的を実現するために、本発明は以下の技術方案を提供する。
【0008】
本発明は、原料として、建設残土40~65部、製鋼スラグ脱硫副産物8~20部、セメント1~5部、フライアッシュ6~13部、鉱滓5~10部、アルカリ刺激剤0.5~5部、分散剤0.2~2部、増粘剤0.05~1部、を含んでなる製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用した制御型低強度材料を提供する。
【0009】
好ましくは、上記の製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用した制御型低強度材料は、原料として、建設残土65部、製鋼スラグ脱硫副産物20部、セメント5部、フライアッシュ10部、鉱滓8部、アルカリ刺激剤5部、分散剤0.5部、増粘剤0.05部、を含んでなる。
【0010】
好ましくは、上記の製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用した制御型低強度材料において、前記建設残土の含水率は30~60%である。
【0011】
好ましくは、上記の製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用した制御型低強度材料は、前記製鋼スラグ脱硫副産物における硫酸カルシウム・2水和物の含有量が75%超であり、亜硫酸カルシウムの含有量が10%未満である。
【0012】
好ましくは、上記の製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用した制御型低強度材料において、前記アルカリ刺激剤は水酸化ナトリウム又は生石灰である。
【0013】
好ましくは、上記の製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用した制御型低強度材料において、前記分散剤はケイ酸ナトリウムである。
【0014】
好ましくは、上記の製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用した制御型低強度材料において、前記増粘剤はPAMである。
【0015】
本発明は、更に、製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用した制御型低強度材料の製造方法を提供する。当該製造方法は、以下のステップを含む。
【0016】
(1)製鋼スラグ脱硫副産物を乾燥させて研磨してから、乾燥させたセメント、フライアッシュ、鉱滓、アルカリ刺激剤、分散剤、増粘剤と混合し、攪拌してドライブレンド材を取得する。
【0017】
(2)建設残土と水を混合し、攪拌してスラリーを取得する。
【0018】
(3)ドライブレンド材とスラリーを混合し、攪拌して制御型低強度材料を取得する。
【0019】
好ましくは、上記の製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用した制御型低強度材料の製造方法において、前記ステップ(2)の水の使用量は、水固体質量比を0.3~0.5として添加する。前記固体とは、ドライブレンド材と、含水率を除去した建設残土との総質量である。
【0020】
本発明で使用する製鋼スラグ脱硫副産物の化学成分には大量の硫酸カルシウム・2水和物が含まれており、活性剤とすることが可能である。建設残土は、含水アルミノケイ酸塩を主とする各種鉱物の混合物であり、ケイ酸塩系原料に属する。建設残土は、主として、石英、粘土系鉱物(イライト、カオリナイト、モンモリロン石)、長石系鉱物等からなり、セメントの一部に置き換えて結合材として使用可能である。本発明の技術方案において、製鋼スラグ脱硫副産物は、硫酸イオンの活性化によって、活性酸化アルミニウム又は酸化ケイ素を含む無機系材料を水和してゲル系物質を生成する。また、水和により発生するカルシウム、マグネシウム又はアルミニウムイオンが、土粒子の吸着層内のナトリウム、カリウムイオンと交換されて土粒子の電気二重層の厚さを低下させることで、後期の締固めが容易となる。水和生成物は、後期に炭酸化反応を生じて、難溶性の炭酸カルシウム結晶を生成するため、更に材料強度が向上する。本発明で得られる制御型低強度材料は、主に、イオン交換、火山灰反応、炭酸化反応及び水和反応等を通じて、最終的に強度を形成する。
【発明の効果】
【0021】
上記の技術方案から明らかなように、従来技術と比較して、本発明は以下の有益な効果を有する。
【0022】
(1)本発明では、セメントの一部を建設残土に置き換えて結合材とする。これにより、建設残土の再資源化利用が実現されるとともに、セメント資源の節約となるため、建設工事で発生する廃土や大量のセメント使用が環境に及ぼす弊害が減少する。且つ、得られる制御型低強度材料は埋戻し土にも使用可能なため、建設資源のリサイクルが実現される。これにより、資源の節約となり、生産コストが低下する。
【0023】
(2)本発明によれば、製鋼スラグ脱硫副産物の大規模工事への応用を実現可能となるため、大量の製鋼スラグ脱硫副産物の堆積による環境汚染問題が解決される。また、再資源化利用のルートが広がるため、良好な経済効果と社会的価値を有する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の実施例における技術方案について明瞭簡潔に述べる。なお、記載する実施例は本発明の一部の実施例にすぎず、全ての実施例でないことは言うまでもない。また、本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的労働を要することなく取得するその他全ての実施例は、いずれも本発明の保護の範囲に属する。
【0025】
本発明は、原料として、建設残土40~65部、製鋼スラグ脱硫副産物8~20部、セメント1~5部、フライアッシュ6~13部、鉱滓5~10部、アルカリ刺激剤0.5~5部、分散剤0.2~2部、増粘剤0.05~1部、を含んでなる製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用した制御型低強度材料を提供する。
【0026】
好ましくは、原料として、建設残土65部、製鋼スラグ脱硫副産物20部、セメント5部、フライアッシュ10部、鉱滓8部、アルカリ刺激剤5部、分散剤0.5部、増粘剤0.05部、を含んでなる。
【0027】
好ましくは、建設残土の含水率は30~60%であり、より好ましくは30%である。
【0028】
好ましくは、製鋼スラグ脱硫副産物における硫酸カルシウム・2水和物の含有量は75%超であり、亜硫酸カルシウムの含有量は10%未満である。
【0029】
好ましくは、アルカリ刺激剤は水酸化ナトリウム又は生石灰である。
【0030】
好ましくは、分散剤はケイ酸ナトリウムである。
【0031】
好ましくは、増粘剤はPAMである。
【0032】
本発明は、更に、製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用した制御型低強度材料の製造方法を提供する。当該製造方法は、以下のステップを含む。
【0033】
(1)製鋼スラグ脱硫副産物を乾燥させ、400m/kgの細粉に研磨してから、乾燥させたセメント、フライアッシュ、鉱滓、アルカリ刺激剤、分散剤、増粘剤と混合し、ミキサーで3~5min攪拌してドライブレンド材を取得する。
【0034】
(2)建設残土と水を混合し、ミキサーで10~15min攪拌してスラリーを取得する。
【0035】
(3)ドライブレンド材とスラリーを混合し、ミキサーで10~30min攪拌して制御型低強度材料を取得する。
【0036】
好ましくは、ステップ(2)の水の使用量は、水固体質量比を0.3~0.5、より好ましくは0.3として添加する。水固体質量比における固体とは、ドライブレンド材と、含水率を除去した建設残土との総質量である。
【実施例0037】
本実施例では、原料として、建設残土65部、製鋼スラグ脱硫副産物20部、セメント5部、フライアッシュ10部、鉱滓8部、水酸化ナトリウム5部、ケイ酸ナトリウム0.5部、PAM 0.05部、を含んでなる製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用した制御型低強度材料を提供する。
【0038】
製造方法は、以下のステップを含む。
【0039】
(1)製鋼スラグ脱硫副産物を乾燥させ、400m/kgの細粉に研磨してから、乾燥させたセメント、フライアッシュ、鉱滓、水酸化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、PAMと混合し、ミキサーで3min攪拌してドライブレンド材を取得する。
【0040】
(2)建設残土(含水率30%)と水を混合し、水固体質量比を0.3に制御して、ミキサーで10min攪拌することでスラリーを取得する。
【0041】
(3)ドライブレンド材とスラリーを混合し、ミキサーで30min攪拌して制御型低強度材料を取得する。
【0042】
本実施例で得られた制御型低強度材料について、ASTM C143規格に基づく流動性試験、GB/T 50123-2019規格に基づく粘着力、内部摩擦角、透水係数試験、JG/T 266-2011規格に基づく圧縮強度試験を実施した結果、流動性は256mm、粘着力は45kPa、内部摩擦角は18.6°、透水係数は3.6*10-6cm/s、7d圧縮強度は1.85MPaであった。
【実施例0043】
本実施例では、原料として、建設残土50部、製鋼スラグ脱硫副産物15部、セメント2部、フライアッシュ6部、鉱滓5部、生石灰2部、ケイ酸ナトリウム0.2部、PAM 0.06部、を含んでなる製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用した制御型低強度材料を提供する。
【0044】
製造方法は、以下のステップを含む。
【0045】
(1)製鋼スラグ脱硫副産物を乾燥させ、400m/kgの細粉に研磨してから、乾燥させたセメント、フライアッシュ、鉱滓、生石灰、ケイ酸ナトリウム、PAMと混合し、ミキサーで5min攪拌してドライブレンド材を取得する。
【0046】
(2)建設残土(含水率40%)と水を混合し、水固体質量比を0.4に制御して、ミキサーで10min攪拌することでスラリーを取得する。
【0047】
(3)ドライブレンド材とスラリーを混合し、ミキサーで30min攪拌して制御型低強度材料を取得する。
【0048】
本実施例で得られた制御型低強度材料について性能試験を実施した結果、流動性は248mm、粘着力は37kPa、内部摩擦角は19°、透水係数は6.8*10-5cm/s、7d圧縮強度は1.74MPaであった。
【実施例0049】
本実施例では、原料として、建設残土40部、製鋼スラグ脱硫副産物20部、セメント1部、フライアッシュ13部、鉱滓10部、水酸化ナトリウム0.5部、ケイ酸ナトリウム2部、PAM 1部、を含んでなる製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用した制御型低強度材料を提供する。
【0050】
製造方法は、以下のステップを含む。
【0051】
(1)製鋼スラグ脱硫副産物を乾燥させ、400m/kgの細粉に研磨してから、乾燥させたセメント、フライアッシュ、鉱滓、水酸化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、PAMと混合し、ミキサーで3min攪拌してドライブレンド材を取得する。
【0052】
(2)建設残土(含水率50%)と水を混合し、水固体質量比を0.45に制御して、ミキサーで13min攪拌することでスラリーを取得する。
【0053】
(3)ドライブレンド材とスラリーを混合し、ミキサーで20min攪拌して制御型低強度材料を取得する。
【0054】
本実施例で得られた制御型低強度材料について性能試験を実施した結果、流動性は250mm、粘着力は48kPa、内部摩擦角は18.2°、透水係数は2.1*10-6cm/s、7d圧縮強度は1.79MPaであった。
【実施例0055】
本実施例では、原料として、建設残土60部、製鋼スラグ脱硫副産物8部、セメント3部、フライアッシュ10部、鉱滓10部、生石灰4部、ケイ酸ナトリウム1部、PAM 0.09部、を含んでなる製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用した制御型低強度材料を提供する。
【0056】
製造方法は、以下のステップを含む。
【0057】
(1)製鋼スラグ脱硫副産物を乾燥させ、400m/kgの細粉に研磨してから、乾燥させたセメント、フライアッシュ、鉱滓、生石灰、ケイ酸ナトリウム、PAMと混合し、ミキサーで4min攪拌してドライブレンド材を取得する。
【0058】
(2)建設残土(含水率60%)と水を混合し、水固体質量比を0.5に制御して、ミキサーで15min攪拌することでスラリーを取得する。
【0059】
(3)ドライブレンド材とスラリーを混合し、ミキサーで10min攪拌して制御型低強度材料を取得する。
【0060】
本実施例で得られた制御型低強度材料について性能試験を実施した結果、流動性は233mm、粘着力は34kPa、内部摩擦角は17.5°、透水係数は8.2*10-5cm/s、7d圧縮強度は1.65MPaであった。
【0061】
以上の記載は本発明の好ましい実施形態にすぎない。当業者であれば、本発明の原理から逸脱しないことを前提に、若干の改良及び補足が可能であり、これらの改良及び補足もまた本発明の保護の範囲とみなすべきである。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料として、建設残土65部、製鋼スラグ脱硫副産物20部、セメント5部、フライアッシュ10部、鉱滓8部、アルカリ刺激剤5部、分散剤0.5部、増粘剤0.05部、を含んでなり、
前記製鋼スラグ脱硫副産物における硫酸カルシウム・2水和物の含有量は75%超であり、亜硫酸カルシウムの含有量は10%未満であることを特徴とする製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用した制御型低強度材料。
【請求項2】
前記建設残土の含水率は30~60%であることを特徴とする請求項に記載の製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用した制御型低強度材料。
【請求項3】
前記アルカリ刺激剤は水酸化ナトリウム又は生石灰であることを特徴とする請求項に記載の製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用した制御型低強度材料。
【請求項4】
前記分散剤はケイ酸ナトリウムであることを特徴とする請求項に記載の製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用した制御型低強度材料。
【請求項5】
前記増粘剤はPAMであることを特徴とする請求項に記載の製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用した制御型低強度材料。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載の製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用した制御型低強度材料の製造方法であって、
(1)製鋼スラグ脱硫副産物を乾燥させて研磨してから、乾燥させたセメント、フライアッシュ、鉱滓、アルカリ刺激剤、分散剤、増粘剤と混合し、攪拌してドライブレンド材を取得するステップ、
(2)建設残土と水を混合し、攪拌してスラリーを取得するステップ、
(3)ドライブレンド材とスラリーを混合し、攪拌して制御型低強度材料を取得するステップを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項7】
ステップ(2)の水の使用量は、水固体質量比を0.3~0.5として添加することを特徴とする請求項に記載の製鋼スラグ脱硫副産物と建設残土を利用した制御型低強度材料の製造方法。