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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020836
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】屋内雰囲気浄化システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 9/00 20060101AFI20230202BHJP
   E04B 2/74 20060101ALI20230202BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20230202BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
F24F9/00 A
E04B2/74 541M
E04B2/74 561H
F24F7/06 Z
F24F13/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001973
(22)【出願日】2022-01-08
(62)【分割の表示】P 2021124855の分割
【原出願日】2021-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】513099603
【氏名又は名称】兵庫県公立大学法人
(71)【出願人】
【識別番号】512120801
【氏名又は名称】株式会社日本マシンサービス
(74)【代理人】
【識別番号】100097548
【弁理士】
【氏名又は名称】保立 浩一
(72)【発明者】
【氏名】高垣 直尚
(72)【発明者】
【氏名】河南 治
(72)【発明者】
【氏名】本田 逸郎
(72)【発明者】
【氏名】片桐 茂夫
(72)【発明者】
【氏名】片桐 拓弥
【テーマコード(参考)】
3L058
3L080
【Fターム(参考)】
3L058BD01
3L058BG01
3L080AA03
3L080AC01
(57)【要約】
【課題】 人が発する飛沫やエアロゾルをエアカーテンに乗せて屋外に排出する屋内雰囲気浄化システムであって、エアカーテンに乗せたエアロゾルが屋内に還流してしまわないようにする。
【解決手段】 下から上への面状の流れであるエアカーテンCを屋内でエアカーテンユニット2が形成し、エアカーテンユニット2の吸引ファン61と排気口10とをつなぐダクト36を含むダクトユニットを経て排気口10から排気手段1が屋外に排気する。エアカーテンユニット2の水平方向の位置が変更された場合でも、エアカーテンCからの排風は屋内で還流することなく屋外に排出される。
【選択図】 図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内において人から発せられたエアロゾルを屋外に排出することで屋内の雰囲気を浄化する屋内雰囲気浄化システムであって、
屋内において下から上への面状の流れであるエアカーテンを形成するエアカーテンユニットと、
エアカーテンユニットが形成するエアカーテンよりも上側の位置に設けられた上部構造体と、
天井又は壁面の上部構造体よりも上側の位置に設けられた排気口を通して屋内を排気する排気手段とを備えており、
エアカーテンユニットは、屋内において水平方向の任意の位置に配置可能なユニットであり、
上部構造体は、エアカーテンユニットの吸引ファンと排気口とをつなぐタクトユニットであることを特徴とする屋内雰囲気浄化システム。
【請求項2】
前記エアカーテンユニットの吸引ファンと前記ダクトユニットの吸引開口とは離間しており、吸引開口は、前記エアカーテンユニットが形成するエアカーテンに対して垂直な水平方向の幅が、前記エアカーテンユニットの吸引ファンの当該水平方向の幅より大きいことを特徴とする請求項1記載の屋内雰囲気浄化システム。
【請求項3】
前記エアカーテンユニットは、複数並べて設けられており、ダクトユニットである前記上部構造体は、複数の前記エアカーテンユニットの各吸引ファンを前記排気口につなげていることを特徴とする請求項1又は2記載の屋内雰囲気浄化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願の発明は、ウイルス感染を防止するための屋内雰囲気の浄化技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この出願が為される時点において、新型コロナウイルスの大流行が大きな社会問題となっている。特に影響を受けているのは、エアロゾル(エアゾルと表記されることもあるが、本願ではエアロゾルで統一する。)の問題が大きくなり易い飲食店や会議室等の施設である。このような場所では、飲食や会話の際に人がエアロゾルを発する。WHO(世界保健機関)は、最近、新型コロナウイルスにエアロゾル感染があり得ることを認めている。即ち、エアロゾル中にウイルスが含まれていると、感染のリスクが非常に高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-79697号公報
【特許文献2】特許6868922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の出願人は、上記のような昨今の状況を考慮し、飛沫やエアロゾル(以下、総称してエアロゾルという。)を発する人の前にエアカーテンを形成してエアカーテンに乗せてエアロゾルを排出又は無害化する雰囲気浄化構造について特許出願している(特許文献2)。この出願の発明では、人が発するエアロゾルをファンで吸引して抗ウイルスHEPAフィルタを通して無害化して屋内に放出している。
【0005】
しかしながら、抗ウイルスHEPAフィルタのようなHEPAフィルタは一般に高価であり、一定期間使用すると目詰まり(寿命)のため交換する必要がある。このため、ランニングコストの点で問題になり易い。抗ウイルスHEPAフィルタのような高価なフィルタを使用しないで屋内雰囲気を浄化するには、エアカーテンに乗せたエアロゾルを排気手段で屋外に排出することが必要になる。
【0006】
しかしながら、建築基準法等を遵守すべく通常設置されている排気手段による排気のみでは、エアカーテン機構からの排風を十分に屋外に排出できず、一部は屋内で還流してしまう。この結果、せっかくエアカーテンに乗せたエアロゾルが屋内に拡散してしまうことになる。
【0007】
この出願の発明は、このような課題を解決するために為されたものであり、人が発する飛沫やエアロゾルをエアカーテンに乗せて排出する屋内雰囲気浄化システムであって、高価なフィルタを使用する必要がない屋外排出型のシステムであり、エアカーテンに乗せたエアロゾルが屋内に還流してしまわないようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、この明細書において、屋内雰囲気浄化システムの発明が開示される。開示された屋内雰囲気浄化システムは、屋内において人から発せられたエアロゾルを屋外に排出することで屋内の雰囲気を浄化する屋内雰囲気浄化システムである。
このシステムは、
屋内において下から上への面状の流れであるエアカーテンを形成するエアカーテンユニットと、
エアカーテンユニットが形成するエアカーテンよりも上側の位置において屋内を水平に仕切る上部構造体と、
天井又は壁面の上部構造体よりも上側の位置に設けられた排気口を通して屋内を排気する排気手段とを備えている。
エアカーテンユニットは、屋内において水平方向の任意の位置に配置可能なユニットであり、
上部構造体は、エアカーテンユニットの吸引ファンと排気口とをつなぐダクトユニットである。
また、この屋内雰囲気浄化システムは、
エアカーテンユニットの吸引ファンと前記ダクトユニットの吸引開口とは離間しており、吸引開口は、エアカーテンユニットが形成するエアカーテンに対して垂直な水平方向の幅が、エアカーテンユニットの吸引ファンの当該水平方向の幅より大きい
という構成を持ち得る。
また、この屋内雰囲気浄化システムは、
エアカーテンユニットが、複数並べて設けられており、ダクトユニットである上部構造体は、複数のエアカーテンユニットの各吸引ファンを排気口につなげている
という構成を持ち得る。
【発明の効果】
【0009】
以下に説明する通り、開示された発明に係る屋内雰囲気浄化システムによれば、下から上への鉛直な風の流れであるエアカーテンがエアカーテンユニットによって形成され、エアカーテンユニットからの排風が上部構造体を通って迅速に屋外に排出される。このため、エアカーテンを挟んで対面している人の一方から吐き出されたエアロゾルが他方の人に到達してしまわずに迅速に屋外に排出され、屋内における感染が防止される。そして、高価なフィルタを使用する必要がない屋外排出型のシステムであるので安価に構成でき、エアカーテンに乗せたエアロゾルが屋内に還流してしまわないので、屋内雰囲気浄化の効果がより高められる。
また、エアカーテンユニットの吸引ファンとダクトユニットの吸引開口とは離間しており、吸引開口は、エアカーテンユニットが形成するエアカーテンに対して垂直な水平方向の幅が、前記エアカーテンユニットの吸引ファンの当該水平方向の幅より大きい構成では、幅方向にエアカーテンユニットを移動させても屋内雰囲気浄化の効果が変わりなく得られるので、この点で柔軟性の高いシステムとなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第一の参考例の屋内雰囲気浄化システムの斜視概略図である。
図2】エアカーテンユニットの詳細構造を示した正面概略図である。
図3】エアカーテンユニットの詳細構造を示した側面概略図である。
図4】整流器の斜視概略図である。
図5】エアカーテンユニットの設置構造の例について説明した正面断面概略図である。
図6】上部構造体の作用について示した正面概略図である。
図7】上部構造体の取り付け位置(高さ)と導風路の大きさについて説明した正面概略図である。
図8】上部構造体の取り付け位置(高さ)と導風路の大きさについて説明した正面概略図である。
図9】第二の参考例の屋内雰囲気浄化システムの概略図である。
図10】第二の参考例の屋内雰囲気浄化システムの概略図である。
図11】第三の参考例の屋内雰囲気浄化システムの正面断面概略図である。
図12】第一の実施形態の屋内雰囲気浄化システムの斜視概略図である。
図13】第一の実施形態の屋内雰囲気浄化システムの正面断面概略図である。
図14】第二の実施形態の屋内雰囲気浄化システムの斜視概略図である。
図15】第二の実施形態の屋内雰囲気浄化システムの正面断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、参考例及び開示された発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。
図1は、第一の参考例に係る屋内雰囲気浄化システムの斜視概略図である。図1に示す屋内雰囲気浄化システムは、屋内において人から発せられたエアロゾルを屋外に排出することで屋内の雰囲気を浄化するシステムである。このシステムが設置された部屋は、壁の上部又は天井に排気口10が設けられており、排気口10を通して屋内を排気する排気手段1が設けられている。排気手段1は、典型的には排気ファンである。
【0012】
この参考例の屋内雰囲気浄化システムは、エアカーテンユニット2と、上部構造体3とを備えており、人から発せられたエアロゾルを、エアカーテンCに乗せて上方に送り、上部構造体3を経て排気口10から屋外に排出するシステムとなっている。
エアカーテンユニット2は、この参考例では、テーブル8上に設置された可動型のユニットとなっており、下から上に鉛直に流れる面状の空気の流れであるエアカーテンCを形成するユニットである。可動型とは、室内において水平方向に移動できることを意味する。
【0013】
図2及び図3は、エアカーテンユニット2の詳細構造を示した概略図であり、図2は正面概略図、図3は側面概略図である。
この参考例では、エアカーテンユニット2は、シールド4を備えており、シールド4に沿ってシールド4の両側(左右)にエアカーテンCを形成するユニットとなっている。
図2及び図3に示すように、エアカーテンユニット2は、下側に設けられた送風ボックス5と、上側に設けられた吸引ボックス6とを備えている。送風ボックス5内に送風ファン51が設けられ、吸引ボックス6内に吸引ファン61が設けられ、これらファン51,61によってエアカーテンCが形成されるようになっている。
【0014】
送風ボックス5及び吸引ボックス6は、複数の部材で形成された全体として長尺な直方体状のボックスであり、長手方向の両端に設けられた支柱7に互いに固定されている。
シールド4は、透明なアクリル板もしくはビニールシート等である。シールド4は、取付具41により吸引ボックス6に取り付けられて吊り下げられている。
【0015】
まず、送風ボックス5内の構造について説明すると、図1から解るように、送風ファン51は角型のものが一列に並べて設けられている。図2に示すように、一列に並んだ送風ファン51は、送風ボックス5内に収容されている。各送風ファン51は、外形寸法が2~12cm角程度の小さな軸流ファンである。デスクトップPCにおいてCPUの冷却用に使用されるもの等を好適に転用することができる。以下、説明の都合上、長尺な送風ボックス5の長手方向を単に長手方向といい、これに垂直な水平方向を短手方向という。
【0016】
図2及び3に示すように、送風ボックス5内には、各送風ファン51の前側(下流側)を仕切る水平な仕切り板52が設けられている。仕切り板52は、制風口520を有している。各送風ファン51からの送り出される風のうち、短手方向の中央領域のみに制限するための開口である。図3に示すように、制風口520は、長手方向に長いスリット状である。
【0017】
仕切り板52の上側の空間は、分流と整流とを行う空間となっている。仕切り板52の上側の空間を挟んで左右に風路板53が設けられている。各風路板53は、送風ボックス5の上板部56から下方に延びる部材であり、仕切り板52の左右の両端は折れ曲がって上に延びており、上に延びた部分がそれぞれ風路板53に固定されている。
そして、各風路板53の内側には、整流器55が固定されている。整流器55は、送風ファン51からの流れを下から上への鉛直な空気の流れに整えるものである。整流器55は、左右のエアカーテンCの形成位置の直下の位置に固定されている。
この例では、整流器55としては、鉛直方向に長く細かく区画された風路を形成する部材が使用されている。図4は、整流器の斜視概略図である。
【0018】
図4に示すように、この参考例では、整流器55は、断面方形の小さな風路550を形成する部材となっている。風路550の断面の一辺は2mm以上20mm以下とすることが好ましい。2mmより小さいと、あまりにコンダクタンスが小さくなり、エアカーテンCの風量が低下して効果が薄れてしまう。20mmより大きいと、整流作用が低下し、エアカーテンCが鉛直な流れとして形成されなくなってしまう。風路550の断面形状が長方形の場合、長辺の長さが20mm以下、短辺の長さが2mm以上であることが好ましいということになる。
このような整流器55としては、例えばプラダンの名称で販売されているプラスチック製の段ボール材を使用することができる。プラダン材を所定の大きさにカットし、複数枚重ね合わせて接着したものを使用することができる。
【0019】
左右の風路板53及び整流器55は、長手方向に長い形状である。送風ボックス5の上板部56は、整流器55の上端形状に合わせた開口を左右に有しており、整流器55は上端を上板部と面一にした状態で開口に嵌め込まれている。そして、L字板で送風ボックス5の上板部56に固定されている。
送風ボックス5の底板部57は、送風ファン51の取り付け用開口を有しており、送風ファン51は取り付け用開口に嵌め込まれた状態で取り付けられている。尚、送風ボックス5の側板部58には、送風ファン51が送出した風のうち、仕切り板52で遮断された風(制風口520を通らない風)を逃がすための漏出口580を有している。
【0020】
吸引ボックス6の構造も、上下は逆であるものの、送風ボックス5とほぼ同様の構造である。図2に示すように、吸引ボックス6内に吸引ファン61が設けられている。吸引ボックス6の上板部67には、吸引ファン61の取り付け用の開口が設けられており、そこに嵌め込まれる形で吸引ファン61が取り付けられている。
吸引ファン61も、長手方向に一列に並べられた複数の軸流ファンである。各吸引ファン61は、各送風ファン51と同じもの(同じサイズで同じ能力のもの)で良いが、各送風ファン61より大型のもの又は能力が高い(風量が大きいもの)ものが使用されることもある。
吸引ファン61のその前側(下側)に仕切り板62が設けられている。仕切り板62には、制風口620が形成されており、吸引ファン61の吸引作用を制限している。制風口620の短手方向の中心は、吸引ファン61の中心軸に一致している。
【0021】
吸引ボックス6の下板部66から上方に延びるようにして左右に風路板63が形成されており、その内側に整流器65が固定されている。吸引ボックス6の下板部66には、整流器65用の開口を左右に有しており、整流器65は下端を下板部66と面一にした状態で開口に嵌め込まれている。左右の整流器65の水平方向の位置はエアカーテンCの形成位置であり、吸引ボックス6の各整流器65は送風ボックス5の各整流器55と対向した状態となっている。
【0022】
このようなエアカーテンユニット2の設置構造としては、幾つか考えられる。図5は、エアカーテンユニット2の設置構造の例について説明した正面断面概略図である。
例えば図1に示すようにテーブル8にエアカーテンユニット2を設置する場合、図5(1)に示すように単にテーブル8上にエアカーテンユニット2を置くだけの設置方法があり得る。この場合、送風ボックス5の下面には、短い脚部59が設けられ、送風ボックス5がテーブル8から少し浮いた状態とする。脚部59をネジ止め等によりテーブル8に固定する場合もあり得る。
【0023】
別の設置方法としては、図5(2)に示すように、送風ボックス5をテーブル8に嵌め込む方法があり得る。テーブル8の板面に送風ボックス5の輪郭に相当する開口を設け、そこに嵌め込むようにして送風ボックス5をL字板等で固定する。左右の整流器55の上端は、テーブル8の板面と面一にすることが好ましい。
図5(1)(2)いずれの場合も、エアカーテンユニット2は可動型であり、テーブル8から取り外して移動させたり、又はテーブル8ごと移動させたりすることができる。
【0024】
尚、図3に示すように、送風ボックス5内に電源ユニット59が収容されている。電源ボックス59と各送風ファン51及び各吸引ファン61は不図示の給電線で結線させており、送風ボックス5の外面には電源ボックス59内の電源回路をオンオフする不図示のスイッチが設けられている。尚、各吸引ファン61に対しては、いずれかの支柱7を通して給電線が配設されている。
【0025】
スイッチをオンにして各送風ファン51及び各吸引ファン61を動作させると、シールド4を挟んで左右にエアカーテンCが形成される。即ち、図2に矢印で示すように、各送風ファン51から送り出される風は、送風ボックス5の上板部56に衝突して左右に分かれ、風路板53にガイドされながら整流器55に達する。そして、整流器55を通って上昇し、上端から鉛直上方に放出される。放出された空気の流れはエアカーテンCとなり、シールド4に沿って上昇する。そして、吸引ボックス6による吸引も作用してエアカーテンCは面状の流れを維持して吸引ボックス6に達する。
【0026】
エアカーテンCの到達位置は、吸引ボックス6内の整流器65の下端位置であり、エアカーテンCによる流れは整流器65を通して上昇しながら吸引ボックス6内に流入する。そして、図2に矢印で示すように、整流器65を通過した後、風路板63にガイドされながら仕切り板62に達し、風路板63で左右が閉じられているため、中央に集まって制風口620を通って吸引ファン61に達する。そして、吸引ファン61で吸引されて上方に放出される。
【0027】
このような構成、作用を有するエアカーテンユニット2は、上部構造体3と協働して屋内の雰囲気浄化機能を効果的に発揮する。上部構造体3は、エアカーテンユニット2の水平方向の位置に関わらずエアカーテンからの排風を確実に屋外に排出する機能を有する。
図1に示すように、上部構造体3は、吸引ファン61の上側の空間を区画して垂直方向に延びる複数の導風路30を形成する構造体となっている。この参考例では、上部構造体3は、垂直な姿勢を板材31を組み合わせて水平方向の断面形状が方形である導風路30を形成する構造体となっている。
【0028】
より具体的に説明すると、板材31としては、軽量で必要な強度を有する材料で形成されていることが好ましく、ポリプロピレンやポリエチレンのような樹脂製である場合が多い。発泡スチロールのような発泡樹脂である場合もある。非発泡の樹脂で形成された中空の板材を組み合わせる場合もあり、石膏ボードのようなセラミックス製の板材やスチール製の板材が使用されることもある。
【0029】
板材31の組み合わせについては、帯状の板材31に幅の半分ほどの深さの凹部を形成し、凹部の所で互いに嵌め合わせる構造を採用し得る。板材31における凹部の形成間隔は、導風路30の断面方形の一辺の長さとなる。樹脂製の板材の場合には、嵌め合わせ後に接着する場合があり、スチール製やセラミックス製の板材の場合、嵌め合わせ後にリベット止め等により固定する場合がある。
【0030】
このような上部構造体3は、エアカーテンユニット2が設置された屋内の空間においてエアカーテンユニット2より上側において屋内を水平に仕切るように設置される。即ち、上部構造体3を構成する板材31の端面を壁面に対して固定することで設置される。壁面に各受け具を固定し、各受け具の上に各板材31の端部を載せて固定する場合もあり得る。上部構造体3の設置高さは、エアカーテンユニット2の上側であって排気口10の位置よりも少し低い高さである。
【0031】
このような上部構造体3は、排気口10を通して排気手段1が屋内を排気した際、エアカーテンユニット2の吸引ファン61から排出される空気の流れを屋内に再循環させずに迅速に天井に向けて導き、排気口10から排出させる機能を有する。この点について、図6を使用して説明する。図6は、上部構造体3の作用について示した正面概略図である。
【0032】
図6(1)は、上部構造体3がない場合、図6(2)は上部構造体3がある場合がそれぞれ示されている。図6(1)に矢印で示すように、上部構造体3がない場合、吸引ボックス6内の吸引ファン61から出される排風のうち、真上に向かう流れFは天井付近に達して排気口10から排出されるものの、斜め上方に向かう一部の流れF’は、天井付近まで達せずに屋内に再循環してしまう。この流れF’にウイルスが乗っていると、ウイルスは屋外に排出されず、屋内で飛散してしまうことになる。
【0033】
一方、図6(2)に示すように、上部構造体3がある場合、斜め上方に向かう流れは、構造体の導風路30内に入り込むため、排気手段1の吸引力によりそのまま上方に導かれ、排気口10から排出される。このため、屋内で再循環してしまうことがなく、ウイルスが乗っていたとしても屋内に飛散されることはない。
このような上部構造体3の構成は、エアカーテンユニット2の水平方向の位置によらずに上記導風作用が得られるようにした意義がある。
【0034】
エアカーテンユニット2からの排風については、排気ダクトでエアカーテンユニット2と排気口10とをつなぐ構成が考えられる。しかしながら、大がかりな構造となる決定があり、また、エアカーテンユニット2の水平方向の位置を変えると対応できない。フレキシブルチューブより成る排気ダクトでつなぐ構成が考えられるが、エアカーテンユニット2の水平方向の位置を変えることを想定すると、フレキシブルチューブをある程度長くしておかなければならず、さらに大がかりとなり、見栄えも良くない。また、テーブル間を人が通る際に邪魔になってしまうこともあり得る。
一方、参考例のように上部構造体3を採用した構成では、エアカーテンユニット2を水平方向のどの位置に移動させても、エアカーテンユニット2からの排風の排出が確実に行え、構造的にもシンプルで見栄えが悪くならない。エアカーテンユニット2を水平方向の任意の位置に配置できることが特徴点であるので、エアカーテンユニット2は可動型である必要はなく、設置後は固定されて移動されないものであっても良い。
【0035】
このような上部構造体3については、エアカーテンCからの距離があまり長くならないようにしておくことが好ましい。また、導風路30の断面はあまり大きくしないようにしておくことが好ましい。以下、これらの点について図7を参照して説明する。図7及び図8は、上部構造体3の取り付け位置(高さ)と導風路30の大きさについて説明した正面概略図である。
【0036】
吸引ファン61として採用された軸流ファンおいて、排風の流れは多くが軸方向を向いているが、周辺部では、斜め前方に向かって流れる成分がある。この流れが、前述したように、室内において循環してしまい易い。排風がどのような向きに流れているかは、スモーク等を用いた可視化試験により知ることができる。
【0037】
図7及び図8において、軸に対して最も大きな角度で斜めに向かう排風の流れを最傾流れと呼び、Fmで示す。また、エアカーテンユニット2から上部構造体3までの距離をdで示す。距離dは、吸引ファン61から上部構造体3の下端までの距離である。
図7(1)に示すように、距離dが長い場合、最傾流れFmが上部構造体3の導風路30に入り込まずに下降し、屋内循環となり易い。図7(2)に示すように、距離dが短ければ、このような問題はなく、最傾流れFmについても導風路30内に入り込み、導風されながら通り抜け、排気口10から排出される。
【0038】
また、図8(1)に示すように、距離dが短くても、導風路30の断面が大きいと、いったん導風路30に入り込んでも下方に向きを変えて戻ってきてしまい易い。したがって、導風路30の断面は、限度以上に大きくしないようにする必要がある。
dや断面の大きさの上限については、吸引ファン61として用いられる軸流ファンの能力やサイズにもよる。吸引ファン61として通常使用される2W~40W程度の軸流ファン(外径寸法でいうと2cm角~40cm角程度)を前提とすると、距離dとしては200cm以下であることが好ましく、100cm以下であるとより好ましい。また、同様の前提において、上部構造体3の導風路30の断面の面積は2m以下であることが好ましく、1m以下であるとより好ましい。
【0039】
また、最傾流れFmが導風路30に取り込まれるかどうかは、導風路30と吸引ファン61との水平方向の位置関係も影響する。最傾流れFmが導風路30に最も取り込まれにくくなるのは、図8(2)に示すように、吸引ファン61の軸と上部構造体3の板材31とが水平方向で同じ位置に位置する場合である。この場合であっても、最傾流れFmが導風路30に取り込まれるようdや断面の大きさが適宜選定される。
【0040】
尚、dや断面の大きさは、排気口10から排気する排気手段1の能力も考慮して選定される。例えば、排気手段1が建築基準法のような法規で定められている最低限の能力を持つ場合、それを前提にしてdや断面の大きさが選定される。法規よりも高い能力の排気手段1が設けられる場合、それを前提にしてdや断面の大きさが選定され、実施に際しては排気手段1はその能力が発揮される条件で運転される。
【0041】
上述したように、参考例の屋内雰囲気浄化システムによれば、下から上への鉛直な風の流れであるエアカーテンCがテーブル8上のエアカーテンユニット2によって形成され、エアカーテンユニット2からの排風が室内循環することなく上部構造体3を通って屋外に排出される。このため、テーブル8を挟んで対面している人の一方から吐き出されたエアロゾルが他方の人に到達してしまうことはなく、迅速に屋外に排出され、屋内における感染が防止される。
【0042】
そして、エアカーテンユニット2の水平方向の位置を変えた場合でも上記効果は変わりなく得られる上、設備として大がかりにならず、また見栄えも悪くならない。このため、各種飲食店や各種施設においてテーブルやカウンター(受付カウンター等)に設置されると好適にウイルス感染防止策とすることができる。
【0043】
次に、第二の参考例の屋内雰囲気浄化システムについて、図9及び図10を参照して説明する。図9及び図10は、第二の参考例の屋内雰囲気浄化システムの概略図であり、図9は斜視概略図、図10(1)は平面概略図、図10(2)は正面概略図である。
【0044】
図9に示すように、屋内雰囲気浄化システムの参考例としては、複数の排気口10が壁面に設けられている構成があり得る。このようにすると、天井付近に達したエアカーテンユニット2からの排風が迅速に屋外に排出されるので好適である。
また、図10に示すように、天井付近の側壁を二重構造とし、内側にメッシュ状のボード、パンチングボードの多孔ボードで周状に内壁11を形成する場合もある。内壁11の外側を大きく減圧することで、エアカーテンCによる排風を均等に且つ迅速に排出することができる。
【0045】
次に、第三の参考例の屋内雰囲気浄化システムについて、図11を参照して説明する。図11は、第三の参考例の屋内雰囲気浄化システムの正面断面概略図である。
図11に示すように、第三の参考例では、上部構造体3の一部の導風路30を塞ぐ塞ぎ板32が設けられている。全ての導風路30が塞がれている訳ではなく、エアカーテンユニット2の真上に位置する導風路30は塞がれていない。他の導風路30は全て塞がれている。
【0046】
この参考例においても、導風路30は方形であるので、塞ぎ板32も導風路30の断面形状に適合した(即ち、嵌め込むことができる)方形である。塞ぎ板32は、落下しないように上部構造体3に取り付けられる必要があるが、この構造については、幾つか考えられる。図11の例では、拡大して示すように、蝶番33が使用されている。蝶番33はバネを内蔵しており、バネの弾性は塞ぎ板32の荷重に抗する状態となっている。蝶番33は導風路30の周縁に沿って複数(例えば各辺で2箇所)設けられている。弾性に抗して矢印で示すように蝶番32を開くと、塞ぎ板32を取り外すことができる。この他、板材31に設けた突起に引っ掛かる板バネを塞ぎ板32に設けて取り付けたり、接着やリベット止め等によって取り付けたりする場合もある。
【0047】
上記のようにエアカーテンユニット2の真上の導風路30以外の導風路30を塞ぎ板32で塞いでおくと、当該真上の導風路30の流速が増すので、エアカーテンCからの排風を迅速に排気口10に導く作用が高くなる。この結果、屋内浄化の効果も高くなる。
尚、図11に示すように、エアカーテンユニット2の真上の導風路30を排気する補助排気ファン34が設けられることもあり得る。この例では、補助排気ファン34は、導風路30の出口に設けられているが、導風路30内に設けられていても良く、導風路30の入り口に設けられていても良い。補助排気ファン34を設けると、エアカーテンユニット2の真上の導風路30の流速がさらに高められるので、上記効果がより高くなる。
【0048】
また、上部構造体3の導風路30には、整流器(以下、上部整流器という。)37が設けられると好適である。上部整流器37は、エアカーテンユニット2におけるものと同様、鉛直な方向に延びる複数の細かな風路を区画する部材とされる。上部整流器37は、全ての導風路30に設けられていても良く、エアカーテンユニット2の真上に位置する導風路30にのみというように一部の導風路30に設けられていても良い。いずれの場合も、上部整流器37によって上方への整流作用が促進され、屋内還流防止の効果が高くなる。上部整流器37を設けた場合、コンダクタンスが低下するので、エアカーテンユニット2の真上に位置する導風路30を除く導風路30に上部整流器37を設けても良い。尚、補助排気ファン34を設けた構成において上部整流器37を当該導風路30に配置すると、補助排気ファン34として安価な軸流ファンを採用したとしても、補助排気ファン34による排風が鉛直方向に整えられるので、上記効果がより高く得られる。
【0049】
次に、第一の実施形態の屋内雰囲気浄化システムについて、図12及び図13を参照して説明する。図12及び図13は第一の実施形態の屋内雰囲気浄化システムの概略図であり、図12は斜視概略図、図13は正面断面概略図である。
第一の実施形態では、上部構造体3の構成が上記各参考例と異なっている。第一の実施形態では、上部構造体3は、エアカーテンユニット2の吸引ファン61と排気口10とをつなぐダクトユニットとなっている。より具体的には、上部構造体3は、エアカーテンユニット2の吸引ボックス6に接続された吸引カバー35と、吸引カバー35の内側の空間を排気口に連通させるダクト36とで構成されている。
【0050】
図13に示すように、吸引カバー35は、吸引ボックス6に接触しており、吸引ボックス6の上側の空間を閉じた空間としている。図12に示すように、この例では、複数のエアカーテンユニット2が一列に配列されており、吸引カバー35は、複数のエアカーテンユニット2の吸引カバー35を覆う寸法形状となっている。尚、「一列に」とは、各エアカーテンCが面一になるように配列されているということである。但し、厳密な意味で面一である必要はなく、エアカーテンCに垂直な水平方向のエアカーテンユニット2の幅の範囲内でずれていても良い。
吸引カバー35には長さ方向の中央に連通口350が形成されており、連通口350の縁から延びるようにしてダクト36が設けられている。また、連通口350の上側には補助排気ファン34が設けられている。
【0051】
この実施形態によれば、各エアカーテンユニット2の吸引ファン61からの排風は、吸引カバー35及びダクト36を通して迅速・確実に排気口10に導かれ、排気手段1により屋外に排出される。このため、屋内還流防止の効果がより高くなる。そして、補助排気ファン34が設けられているので、さらに効果が高くなっている。
【0052】
次に、第二の実施形態の屋内雰囲気浄化システムについて、図14及び図15を参照して説明する。図14及び図15は第二の実施形態の屋内雰囲気浄化システムの概略図であり、図14は斜視概略図、図15は正面断面概略図である。
図14に示すように、第二の実施形態では、複数のエアカーテンユニット2が並列に設けられている。「並列に」とは、形成されるエアカーテンCが横にならぶようにということであり、あるエアカーテンCに対して垂直で水平方向に延びる一本の線を仮想したとき、この仮想線が他のエアカーテンCも貫くという状態にあることを意味する。
【0053】
第二の実施形態においても、上部構造体3は、各エアカーテンユニット2の吸引ファン61と排気口10とをつなぐダクトユニットとなっており、各吸引ボックス6を覆う吸引カバー35と、吸引カバー35の内側の空間を排気口10に連通させるダクト36とで構成されている。
図15に示すように、第二の実施形態では、吸引カバー35は吸引ボックス6には接触しておらず、離間している。図14から解るように、吸引開口(吸引カバー35の下端開口)351は方形であるが、図14から解るように吸引開口351は複数のエアカーテンユニット2の吸引ボックス6が占める平面領域よりも大きな開口となっている。
【0054】
図14及び図15から解るように、第二の実施形態では、各エアカーテンユニット2をエアカーテンCに対して垂直な水平方向に移動させても効果は変わりなく得られる。即ち、各エアカーテンユニット2をエアカーテンCの面に沿った水平方向にも多少移動させることができる。このため、エアカーテンユニット2の設置位置についての柔軟性が高いという優位性がある。
【0055】
図12及び図13に示す第一の実施形態の構成は、各エアカーテンユニット2が例えばカウンター上に並べてられているとか、壁に沿って並べられているとかいった状況で好適に採用され得る。一方、図13及び図14に示す第二の実施形態の構成は、飲食店におけるボックス席のように各テーブル上にエアカーテンユニット2が設置されている場合に好適に採用され得る。即ち、テーブルを多少移動させてもエアカーテンユニット2による効果は変わりなく得られ、二つのテーブルをくっつけたり離したりしても、効果は変わりなく得られる。
【0056】
尚、第二の実施形態の場合、吸引カバー35と吸引ボックス6とが離間しているので、エアカーテンCからの排風が漏れなくダクト36を通して排出されるよう、屋内の排気は実質的に排気口10を通した排気のみとすることが好ましい。例えば、窓が開けられていて、そこを通して屋外に排出される大きな空気の流れがあると、エアカーテンCによる流れの一部が分岐して窓に向かい、その結果、屋内で還流してしまうことがあり得る。このため、窓は閉め、実質的な排気経路がダクト36から排気口10に至る経路のみとしておくことが好ましい。
【0057】
上記各参考例及び各実施形態において、エアカーテンユニット2はシールド4を備えたものであったが、シールド4を備えていなくても良い。シールド4がなくても、エアロゾルをエアカーテンCに乗せて排出する効果は得られる。但し、人の口から勢いよく飛び出す飛沫による感染を防止するには、シールド4がある方が好ましい。シールド4がない場合、送風ファン51及び又は吸引ファン61の能力を高めてエアカーテンCの流速を高くすることで飛沫を遮断する効果を高めることができる。この意味では、シールド4は、送風ファン51や吸引ファン61の能力を高くする必要がないようにするという意義も有している。
【0058】
尚、シールド4を挟んで両側にエアカーテンCが形成される構成は、対面する人同士で相互にエアロゾルを遮断する効果がある。この場合、シールド4がなくとも、エアカーテンCの流速を高めたり、エアカーテンCの厚さ(短手方向の流域の幅)を厚くしたりすることで十分な感染防止効果を得ることができる。
テーブルやカウンターが壁や窓際に設置されている場合で人が一方の側にのみ存在する状態でエアカーテンユニット2が使用される場合もある。このような場合は、エアカーテンCが一つのみ(一方の側でのみ)形成される構成が採用されることもある。
【0059】
また、各一列に並べられた送風ファン51及び吸引ファン61により二つのエアカーテンCが同時に形成される構成としたが、それぞれのエアカーテン用に送風ファン51の列及び吸引ファン61の列(各二列)を設けても良い。さらに、送風ファン51の列、吸引ファン61の列に代えてクロスフローファンのようなリニアフローファンを用いてもよい。尚、各一列に並べられた送風ファン51及び吸引ファン61により二つのエアカーテンCが同時に形成される構成には、構造がシンプルになり、部品点数の低減によりコストダウンが図られるという効果がある。
【0060】
尚、整流器55,65の採用は、低コスト化しつつエアカーテンCをスムーズに形成して効果を高める意義がある。軸流ファンは安価なので、送風ファン51や吸引ファン61として採用すると低コスト化に大きく貢献するが、渦巻き状等のように四方八方に風を送ったり四方八方から風を吸引したりしてしまい易い。これらをそのまま使用してもエアカーテンCの形成は可能であるが、無駄が多くなって効率が低下する問題がある他、エアロゾルを飛散させてしまってエアカーテンCに乗せるのを阻害していまい易い。整流器55,65の採用は、このような問題を防止して効果を高める意義がある。尚、整流器は、送風側、吸引側のどちらか一方に配置されていても効果があるが、双方に配置されていると効果がより高くなる。
【0061】
さらに、送風ファン51に代えてコンプレッサを使用することも可能である。例えば、長手方向に長いスリットを有するパイプにコンプレッサを接続して送風しても良い。吸引ファン61についても、長手方向に長いスリットを有するパイプに真空吸引機を接続して吸引する構成が採用されることもある。
【0062】
また、エアカーテンユニット2は、テーブルやカウンター上ではなく、床にそのまま設置される場合もある。この場合、エアカーテンCは人の胸ぐらいの高さから頭ぐらいの高さまでを占めれば良いから(例えば床上1メートルの高さから2メートルの高さまで)、1メートル程度の長い脚部が送風ボックス5の下側に設けられる構成が採用され得る。この構成は、キャスター付き(可動型)のホワイトボードに類似した構成となる。
【0063】
尚、上述したエアカーテンユニット2の構成における各効果は、屋内雰囲気浄化システムにおいて設けられることを前提としない場合でも得られる。即ち、上部構造体3や排気手段1等とともに用いられない場合であっても、上述したエアカーテンユニット2の各効果は同様に得られる。例えば、吸引ファンの背後(排風の放出側)に、ウイルスを無害化する抗ウイルスHEPAフィルタ等のフィルタを設け、エアカーテンからの排風をフィルタを介して屋内に放出する構成があり得るが、このような構成であっても上記エアカーテンユニットの効果は得られる。この場合、フィルタの位置は、吸引ボックス内でも良く、吸引ボックスの背後に別途フィルタボックスを設けてその内部の位置でも良い。
【0064】
上記第一乃至第三の各参考例において、上部構造体3の導風路30の断面形状については、方形の他、円形や楕円形であっても良く、三角形、五角形その他の多角形状であっても良い。但し、方形の場合、他の形状に比べて組み立てが容易であるという効果がある。
尚、導風路30が鉛直方向に延びる板材31で形成される場合、板材31の厚さ部分では導風作用がなく、エアカーテンユニット2からの排風を跳ね返してしまうので、板材31の厚さは厚くしないことが望ましい。より具体的には、板材31の厚さは、導風路の断面形状が方形の場合、短辺の長さに対して20%以下であることが好ましい。
【0065】
尚、排気手段1としては、上記例では排気ファンであったが、空調設備の一部である場合もある。例えば、屋外に排出された空気をフィルタ(例えばHEPAフィルタ、特に抗ウイルスHEPAフィルタ)で浄化しながら冷やしたり暖めたりして空調する設備(室外機)が排気手段1に相当している場合もある。
【符号の説明】
【0066】
1 排気手段
10 排気口
11 内壁
2 エアカーテンユニット
3 上部構造体
30 導風路
31 板材
32 塞ぎ板
34 補助排気ファン
35 吸引カバー
36 ダクト
4 シールド
5 送風ボックス
51 送風ファン
55 整流器
6 吸引ボックス
61 吸引ファン
65 整流器
7 支柱
8 テーブル
C エアカーテン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13
図14
図15