(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020853
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】水素ガスを用いてRH精錬効果を向上させる方法
(51)【国際特許分類】
C21C 7/10 20060101AFI20230202BHJP
C21C 7/068 20060101ALI20230202BHJP
C21C 7/06 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
C21C7/10 F
C21C7/068
C21C7/06
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029212
(22)【出願日】2022-02-28
(31)【優先権主張番号】202110859960.3
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】516265780
【氏名又は名称】北京科技大学
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】劉建華
(72)【発明者】
【氏名】張碩
(72)【発明者】
【氏名】何楊
【テーマコード(参考)】
4K013
【Fターム(参考)】
4K013BA02
4K013BA07
4K013BA08
4K013BA14
4K013CE01
4K013CE03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】水素ガスを用いてRH精錬効果を向上させる方法を提供する。
【解決手段】溶鋼の昇温、脱炭の促進、介在物の浮上の促進、溶鋼の清浄度の高め、一部のアルゴンの代替、精錬コストの低減を図るために、RH精錬途中にアルゴンの代わりに水素ガスを上昇ガスとして用い、真空脱炭を行い、上昇ガスをアルゴンに切り替え、真空脱ガス及び介在物除去を行い、最後にアルミニウムを添加して脱酸する方法である。本発明は水素ガスを利用して上昇管にアルゴンの代わりに水素ガスを上昇ガスとして吹き付け、及び上昇ガスを水素ガスからアルゴンに切り替えるタイミングを制御することにより、溶鋼温度を高めて、炭素と酸素との反応動力学を促進し、介在物の除去を促進し、溶鋼の清浄度を高め、製造コストを低減する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶鋼の昇温、脱炭の促進、介在物の浮上の促進、溶鋼の清浄度を高め、一部のアルゴンの代替、精錬コストの低減を図るために、RH精錬途中にアルゴンの代わりに水素ガスを上昇ガスとして用い、真空脱炭を行い、上昇ガスをアルゴンに切り替え、真空脱ガス及び介在物除去を行い、最後にアルミニウムを添加して脱酸することを特徴とする水素ガスを用いてRH精錬効果を向上させる方法。
【請求項2】
前記RH精錬途中にアルゴンの代わりに水素ガスを上昇ガスとして用い、水素ガスと溶鋼中の溶存酸素との反応及び真空チャンバの上吹き酸素ガスとの二次燃焼により放熱し、溶鋼温度を2~10℃高め、アルミニウムの発熱剤の使用量を8~40kg低減することを特徴とする請求項1に記載の水素ガスを用いてRH精錬効果を向上させる方法。
【請求項3】
前記真空脱炭は、真空槽中の水素が溶鋼に析出した分散微細水素気泡により、鋼中の炭素と酸素との反応動力学を促進し、脱炭速度を5%~20%高めることを特徴とする請求項1に記載の水素ガスを用いてRH精錬効果を向上させる方法。
【請求項4】
前記上昇ガスをアルゴンに切り替えることは真空脱炭を10~25分行った後、又は脱炭が完全に完了すると発生することを特徴とする請求項1に記載の水素ガスを用いてRH精錬効果を向上させる方法。
【請求項5】
前記真空脱ガスは真空処理により溶鋼に溶存した水素を脱着することであり、前記介在物除去は溶存水素を脱着する時に溶鋼に介在物を核として分散微細気泡を生成し、微細気泡が衝突して鋼中の介在物を捕捉し、介在物の重合成長を促進し、介在物の浮上の除去を促進し、全酸素含有量を10%~35%低減することを特徴とする請求項1に記載の水素ガスを用いてRH精錬効果を向上させる方法。
【請求項6】
ステップ1:取鍋台車は溶鋼受け箇所に走行した後に、RH精錬装置上昇管及びRH精錬装置下降管をRH精錬装置取鍋の溶鋼内に挿入するようにRH精錬装置取鍋を持ち上げることと、
ステップ2:RH上昇管エア吹出装置によりRH精錬装置上昇管内に水素ガス上昇ガスを吹き込み、同時に真空システムを起動し、真空引きして、溶鋼の液位を上げることと、
ステップ3:RH処理ステーションに入る溶鋼の初期炭素含有量及び酸素含有量に基づいて上吹き酸素を必要とするか否か及び上吹き酸素ガス量を選択することと、
ステップ4:酸素吹きつけを必要とすれば、RH精錬装置真空チャンバランスは酸素を上吹き、上吹き酸素が完了した後、RH真空チャンバの真空度を高めて、真空脱炭を行なう一方、酸素吹きつけを必要としなければ、3~5分を経てRH真空チャンバの真空度を高めて、真空脱炭を行なうことと、
ステップ5:真空脱炭を10~25分行なった後に上昇ガスをアルゴンに切り替え、真空処理により脱ガスを行ない、介在物を除去することと、
ステップ6:脱炭が完了した後、アルミニウムを添加して脱酸し、真空処理を5~20分継続し、真空破壊して真空処理を完了することと、
を含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の水素ガスを用いてRH精錬効果を向上させる方法。
【請求項7】
前記RH精錬装置上昇管から溶鋼に水素ガスを吹き付ける流量は50~300m3/hであり、上昇ガスとしてのアルゴンの使用量を64~143m3低減することを特徴とする請求項6に記載の水素ガスを用いてRH精錬効果を向上させる方法。
【請求項8】
二つの放熱領域及び介在物除去領域を含み、前記二つの放熱領域において、一方は溶鋼表面近傍の脱炭放熱領域であり、他方はRH精錬装置上昇管の先端近傍の放熱領域であることを特徴とする請求項6に記載の水素ガスを用いてRH精錬効果を向上させる方法。
【請求項9】
ステップ2の真空引きの真空度は5~15Kpaであり、ステップ4の真空度は67Paであることを特徴とする請求項6に記載の水素ガスを用いてRH精錬効果を向上させる方法。
【請求項10】
ステップ6の脱炭が完了した後、溶存酸素が98~200ppmであり、アルミニウムを8~20kg添加して脱酸し、真空処理を5分間継続し、真空破壊して真空処理を完了し、エンドカーボンが0.0006~0.0009%であり、全酸素含有量が6.3~8.5ppmに低下することを特徴とする請求項6に記載の水素ガスを用いてRH精錬効果を向上させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鉄鋼冶金の技術分野に属し、水素ガスを用いてRH精錬効果を向上させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
RH精錬炉は最初に単一の脱気装置として、今日まで脱炭、脱気、温度制御、介在物除去などの様々な冶金機能を有する精錬装置が進んでいる。
【0003】
しかしながら、従来のRH精錬過程に以下の問題がある。
【0004】
RH精錬過程に大きな温度降下が存在する。連続鋳造時に溶鋼温度が低すぎると、ノズル詰まりが発生しやすく、鋳造が中断されてしまい、鋳片表面にスラグ巻き込み、割れなどの欠陥が発生しやすい。従来の方法はアルミニウム発熱剤によって昇温するが、溶鋼の清浄度を悪化させやすい。
【0005】
RH精錬脱炭技術の進化が高機能化しているが、科学技術の継続的な進歩に伴い、人々から炭素含有量の降下が要求されつづ、中国国内の製鋼所に依然として、製造される鋼材の炭素含有量が基準に達しないという問題がある。
【0006】
RH精錬装置は溶鋼の循環流動を駆動することにより溶鋼の撹拌を促進し、介在物の衝突、重合、成長の除去を強化する。しかし、RH精錬後期に鋼中の介在物を除去する速度が著しく低下し、介在物を深く除去することを実現しにくい。
【0007】
現在、水素ガスの吹き付けにより上記技術課題を解決することも言及されているが、水素ガスを吹き付けるタイミングを把握しにくい。例えば、「水素ガス吹きつけ法でRH脱気装置における超低炭素鋼の脱炭速度を向上させる」及び「RHに水素ガスを吹き付けて超低炭素鋼を製造する」において、水素ガスを吹き付けるタイミングは脱炭処理の後期であり、水素ガスと溶鋼中の溶存酸素との反応及び真空チャンバの上吹き酸素ガスとの二次燃焼放熱により溶鋼温度を共に高めることを想到しなく、脱炭反応を同時に促進し、脱炭エンド酸素を低下させ、脱酸素剤の使用量を減少させ、鋼中の脱酸生成物の数を低減することも想到しないことが明らかであるが、溶存水素は後々、介在物の除去過程において鋼中にも介在物を核として分散した大量の微細気泡を生成することができ、これらの微細気泡は分散分布しているため、衝突して鋼中の介在物を捕捉する効率が非常に高く、介在物の深くの除去を実現することができる。
【0008】
かかる技術課題を解決するため、本発明は水素ガスを利用してアルゴンの代わりに水素ガスを上昇ガスとして上昇管に吹き付け、及び上昇ガスを水素ガスからアルゴンに切り替えるタイミングを制御することにより実現される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はRH精錬過程に大きな温度降下が存在し、製造される鋼材の炭素含有量が基準に達しず、RH精錬の後期に鋼中の介在物を除去する速度が遅く、介在物の深く除去を効果的に行いにくいという技術課題を解決しようとする。
【解題を解決するための手段】
【0010】
上記技術課題を解決するために、本発明は溶鋼の昇温、脱炭の促進、介在物の浮上の促進、溶鋼の清浄度の高め、一部のアルゴンの代替、精錬コストの低減を図るために、RH精錬途中にアルゴンの代わりに水素ガスを上昇ガスとして用い、真空脱炭を行い、上昇ガスをアルゴンに切り替え、真空脱ガス及び介在物除去を行い、最後にアルミニウムを添加して脱酸する、水素ガスを用いてRH精錬効果を向上させる方法を提供する。
【0011】
前記RH精錬途中にアルゴンの代わりに水素ガスを上昇ガスとして用い、水素ガスと溶鋼中の溶存酸素との反応及び真空チャンバの上吹き酸素ガスとの二次燃焼により放熱し、溶鋼温度を2~10℃高め、アルミニウムの発熱剤の使用量を8~40kg低減することが好ましい。
【0012】
前記真空脱炭は、真空槽中の水素が溶鋼に析出した分散微細水素気泡により、鋼中の炭素と酸素との反応動力学を促進し、脱炭速度を5%~20%高めることが好ましい。
【0013】
前記上昇ガスをアルゴンに切り替えることは真空脱炭を10~25分行った後、又は脱炭が完全に完了すると発生することが好ましい。
【0014】
前記真空脱ガスは真空処理により溶鋼に溶存した水素を脱着することであり、前記介在物除去は溶存水素を脱着する時に溶鋼に介在物を核として分散微細気泡を生成し、微細気泡が衝突して鋼中の介在物を捕捉し、介在物の重合成長を促進し、介在物の浮上の除去を促進し、全酸素含有量を10%~35%低減することであることが好ましい。
【0015】
ステップ1:取鍋台車は溶鋼受け箇所に走行した後に、RH精錬装置上昇管及びRH精錬装置下降管をRH精錬装置取鍋の溶鋼内に挿入するようにRH精錬装置取鍋を持ち上げることと、
ステップ2:RH上昇管エア吹出装置によりRH精錬装置上昇管内に水素ガス上昇ガスを吹き込み、同時に真空システムを起動し、真空引きして、溶鋼の液位を上げることと、
ステップ3:RH処理ステーションに入る溶鋼の初期炭素含有量及び酸素含有量に基づいて上吹き酸素を必要とするか否か及び上吹き酸素ガス量を選択することと、
ステップ4:酸素吹きつけを必要とすれば、RH精錬装置真空チャンバランスは酸素を上吹き、上吹き酸素が完了した後、RH真空チャンバの真空度を高めて、真空脱炭を行なう一方、酸素吹きつけを必要としなければ、3~5分を経てRH真空チャンバの真空度を高めて、真空脱炭を行なうことと、
ステップ5:真空脱炭を10~25分行なった後に上昇ガスをアルゴンに切り替え、真空処理により脱ガスを行ない、介在物を除去することと、
ステップ6:脱炭が完了した後、アルミニウムを添加して脱酸し、真空処理を5~20分継続し、真空破壊して真空処理を完了することと、
を含むことが好ましい。
【0016】
前記RH精錬装置上昇管から溶鋼に水素ガスを吹き付ける流量は50~300m3/hであり、上昇ガスとしてのアルゴンの使用量を64~143m3低減することが好ましい。
【0017】
二つの放熱領域及び介在物除去領域を含み、前記二つの放熱領域において、一方は溶鋼表面近傍の脱炭放熱領域であり、他方はRH精錬装置上昇管の先端近傍の放熱領域であることが好ましい。
【0018】
ステップ2の真空引きの真空度は5~15Kpaであり、ステップ4の真空度は67Paであることが好ましい。
【0019】
ステップ6の脱炭が完了した後、溶存酸素が98~200ppmであり、アルミニウムを8~20kg添加して脱酸し、真空処理を5分間継続し、真空破壊して真空処理を完了し、エンドカーボンが0.0006~0.0009%であり、全酸素含有量が6.3~8.5ppmに低下することが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の実施例より提供される上記技術内容は少なくとも以下の有益な効果を有する。
(1)本発明はRH精錬途中にアルゴンの代わりに水素ガスを上昇ガスとして用い、水素ガスと溶鋼中の溶存酸素との反応及び真空チャンバの上吹き酸素ガスとの二次燃焼放熱により溶鋼温度を高める。
(2)本発明は真空槽中の水素が溶鋼に析出した分散微細水素気泡により、鋼中の炭素と酸素との反応動力学を促進し、鋼中の溶存水素と溶存酸素の反応により、脱炭エンド酸素を低下させ、脱酸素剤の使用量を減少させ、鋼中の脱酸生成物の数を低減する。
(3)本発明は一定の時間脱炭した後、上昇ガスをアルゴンに切り替え、真空処理により溶鋼に溶存した水素を除去する。溶存水素を脱着する時に溶鋼に介在物を核として分散微細気泡を生成し、微細気泡が衝突して鋼中の介在物を捕捉し、介在物の重合成長を促進し、介在物の浮上の除去を促進する。
【0021】
本発明の実施例における技術内容をより明確に説明するために、以下に実施例の説明に必要な図面を簡単に説明し、以下に記載の図面は本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的労働をしない前提で、さらにこれらの図面に基づいて他の図面を取得することができることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は本発明の水素ガスを用いてRH精錬効果を向上させる方法の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明が解決しようとする技術課題、技術内容及び利点をより明確にするために、以下に図面及び具体的な実施例を参照して詳細に説明する。
【0024】
本発明は溶鋼の昇温、脱炭の促進、介在物の浮上の促進、溶鋼の清浄度の高め、一部のアルゴンの代替、精錬コストの低減を図るために、RH精錬途中にアルゴンの代わりに水素ガスを上昇ガスとして用い、真空脱炭を行い、上昇ガスをアルゴンに切り替え、真空脱ガス及び介在物除去を行い、最後にアルミニウムを添加して脱酸する、水素ガスを用いてRH精錬効果を向上させる方法を提出する。
【0025】
特に、前記RH精錬途中にアルゴンの代わりに水素ガスを上昇ガスとして用い、水素ガスと溶鋼中の溶存酸素との反応及び真空チャンバの上吹き酸素ガスとの二次燃焼により放熱し、溶鋼温度を2~10℃高め、アルミニウムの発熱剤の使用量を8~40kg低減する。
【0026】
特に、前記真空脱炭は、真空槽中の水素が溶鋼に析出した分散微細水素気泡により、鋼中の炭素と酸素との反応動力学を促進し、脱炭速度を5%~20%高める。
【0027】
特に、前記上昇ガスをアルゴンに切り替えることは真空脱炭を10~25分行った後、又は脱炭が完全に完了すると発生する。
【0028】
特に、前記真空脱ガスは真空処理により溶鋼に溶存した水素を脱着することであり、前記介在物除去は溶存水素を脱着する時に溶鋼に介在物を核として分散微細気泡を生成し、微細気泡が衝突して鋼中の介在物を捕捉し、介在物の重合成長を促進し、介在物の浮上の除去を促進し、全酸素含有量を10%~35%低減する。
【0029】
特に、ステップ1:取鍋台車は溶鋼受け箇所に走行した後に、RH精錬装置上昇管及びRH精錬装置下降管をRH精錬装置取鍋の溶鋼内に挿入するようにRH精錬装置取鍋を持ち上げることと、
ステップ2:RH上昇管エア吹出装置によりRH精錬装置上昇管内に水素ガス上昇ガスを吹き込み、同時に真空システムを起動し、真空引きして、溶鋼の液位を上げることと、
ステップ3:RH処理ステーションに入る溶鋼の初期炭素含有量及び酸素含有量に基づいて上吹き酸素を必要とするか否か及び上吹き酸素ガス量を選択することと、
ステップ4:酸素吹きつけを必要とすれば、RH精錬装置真空チャンバランスは酸素を上吹き、上吹き酸素が完了した後、RH真空チャンバの真空度を高めて、真空脱炭を行なう一方、酸素吹きつけを必要としなければ、3~5分を経てRH真空チャンバの真空度を高めて、真空脱炭を行なうことと、
ステップ5:真空脱炭を10~25分行なった後に上昇ガスをアルゴンに切り替え、真空処理により脱ガスを行ない、介在物を除去することと、
ステップ6:脱炭が完了した後、アルミニウムを添加して脱酸し、真空処理を5~20分継続し、真空破壊して真空処理を完了することと、
を含む。
【0030】
特に、前記RH精錬装置上昇管から溶鋼に水素ガスを吹き付ける流量は50~300m3/hであり、上昇ガスとしてのアルゴンの使用量を64~143m3低減する。
【0031】
特に、二つの放熱領域及び介在物除去領域を含み、前記二つの放熱領域において、一方は溶鋼表面近傍の脱炭放熱領域であり、他方はRH精錬装置上昇管の先端近傍の放熱領域である。
【0032】
特に、ステップ2の真空引きの真空度は5~15Kpaであり、ステップ4の真空度は67Paである。
【0033】
特に、ステップ6の脱炭が完了した後、溶存酸素が98~200ppmであり、アルミニウムを8~20kg添加して脱酸し、真空処理を5分間継続し、真空破壊して真空処理を完了し、エンドカーボンが0.0006~0.0009%であり、全酸素含有量が6.3~8.5ppmに低下する。
【0034】
具体的には、水素ガスを用いてRH精錬効果を向上させる方法について以下の実施例及び図面を組み合わせて説明する。
【実施例0035】
中国国内のある製鋼所の150tRH精錬装置は、RH処理ステーションに入る溶鋼の初期温度が1630℃を求め、RH処理ステーションに入る溶鋼の実際温度が1610℃であり、RH処理ステーションに入る溶鋼の初期炭素含有量が0.038%であり、RH処理ステーションに入る溶鋼の初期酸素の含有量が550ppmであり、ターゲット炭素の含有量が0.001%である。
【0036】
図1に示すように、取鍋台車は溶鋼受け箇所に走行した後にRH精錬装置取鍋8を所定の浸漬深さに上げる。
【0037】
RH上昇管エア吹出装置6はRH精錬装置上昇管7によってRH真空チャンバ2に吹き込まれたH2の流量が300m3/hであり、同時に真空システムを起動し、8000Paまで真空引きしてRH精錬装置真空チャンバランス1によって酸素を吹き付け、酸素を94m3吹き付ける。ここで、放熱領域5において、主に水素ガスと溶鋼中の溶存酸素との放熱反応が発生する。脱炭放熱領域3において、主に水素気泡が発生して炭素と酸素との反応動力学を促進し、主に水素ガス及び上吹き酸素ガスの二次燃焼が発生する。
【0038】
上吹き酸素が完了した後、RH真空チャンバ2の真空度を到達真空度67Paまでに高めて、さらに真空脱炭を行なう。
【0039】
20分間脱炭した後に上昇ガスをアルゴンに切り替え、真空処理によりRH真空チャンバ2、RH精錬装置上昇管7、RH精錬装置下降管4で溶鋼に溶存した水素を脱出し、RH精錬装置下降管4の介在物除去領域9で介在物を除去する。
【0040】
脱炭が完了した後に、溶存酸素は98ppmとなり、アルミニウムを10kg添加して脱酸素を行なう。
【0041】
真空処理を5分間継続し、真空破壊して真空処理を完了する。エンドカーボンは0.0008%である。
【0042】
精錬周期内に溶鋼温度を6℃高め、全酸素含有量を6.5ppmまで低下させ、脱炭速度を5%~20%向上させ、合計でアルゴン使用量を125m3減少させ、アルミニウムの使用量を28kg低減する。
中国国内のある製鋼所の120tRH精錬装置は、RH処理ステーションに入る溶鋼の初期温度が1630℃を求め、実際のRH処理ステーションに入る溶鋼の温度が1612℃であり、RH処理ステーションに入る溶鋼の初期炭素含有量が0.04%であり、RH処理ステーションに入る溶鋼の初期酸素の含有量が532ppmであり、ターゲット炭素の含有量が0.001%である。
20分間脱炭した後に上昇ガスをアルゴンに切り替え、真空処理によりRH真空チャンバ2、RH精錬装置上昇管7、RH精錬装置下降管4で溶鋼に溶存した水素を脱出し、RH精錬装置下降管4の介在物除去領域9で介在物を除去する。