IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルストム レノバブレス エスパーニャ, エセ.エレ.の特許一覧

<>
  • 特開-電気機械の能動素子の冷却 図1
  • 特開-電気機械の能動素子の冷却 図2
  • 特開-電気機械の能動素子の冷却 図3
  • 特開-電気機械の能動素子の冷却 図4
  • 特開-電気機械の能動素子の冷却 図5
  • 特開-電気機械の能動素子の冷却 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020899
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】電気機械の能動素子の冷却
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/22 20060101AFI20230202BHJP
   F03D 80/60 20160101ALI20230202BHJP
【FI】
H02K9/22 Z
F03D80/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022093434
(22)【出願日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】21382701.7
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】513131419
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック レノバブレス エスパーニャ, エセ.エレ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】シモン・バンコフスキ
(72)【発明者】
【氏名】サディオ・ラムタハル
(72)【発明者】
【氏名】フリオ・セサル・ウレスティ
【テーマコード(参考)】
3H178
5H609
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA22
3H178AA43
3H178BB52
3H178CC25
3H178DD08Z
3H178DD12X
3H178DD63X
5H609BB03
5H609BB12
5H609PP06
5H609PP08
5H609QQ23
5H609RR58
(57)【要約】
【課題】電気機械、及び電気機械の能動素子を冷却するための方法を提供する。
【解決手段】本開示は、電気機械、及び電気機械の能動素子を冷却するための方法に関する。より具体的には、本開示は、発電機、並びに風力タービン、例えば直接駆動型風力タービンの発電機の隣接する能動ロータ素子及び/又は隣接する能動ステータ素子を冷却するための方法に関する。電気機械は、複数の能動ロータ素子を含むロータと、複数の能動ステータ素子を含むステータと、能動ロータ素子と能動ステータ素子とを分離するエアギャップとを備える。電気機械は、第1と第2の隣接する能動ロータ素子の間、又は第1と第2の隣接する能動ステータ素子の間に配置された放射線吸収体をさらに備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の能動ロータ素子(115)を備えるロータ(110)と、複数の能動ステータ素子(125)を備えるステータ(120)と、前記能動ロータ素子(115)と前記能動ステータ素子(125)とを分離するエアギャップ(116)と、
第1及び第2の隣接する能動ロータ素子(115)の間及び/又は第1及び第2の隣接する能動ステータ素子(125)の間に配置された放射線吸収体(130)と
を備える電気機械(100)。
【請求項2】
前記放射線吸収体(130)は、0.8以上、具体的には0.9以上、より具体的には0.95以上の熱放射線に対する吸収率を有する、請求項1に記載の電気機械(100)。
【請求項3】
前記放射線吸収体(130)は、前記第1及び第2の隣接する能動素子(115、125)に対して実質的に同じ距離を有するように配置される、請求項1又は2に記載の電気機械(100)。
【請求項4】
前記放射線吸収体(130)は、前記第1の隣接する能動素子(115)と前記第2の隣接する能動素子(125)との間の距離の1%~20%、より具体的には1%~10%、より具体的には2%~5%の厚さを有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電気機械(100)。
【請求項5】
前記放射線吸収体(130)は、能動素子の高さに実質的に完全に沿って延在し、高さは、前記第1及び第2の能動素子(115、125)が接続される前記ロータリム又は前記ステータリムの局所表面に対して実質的に垂直に測定される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電気機械(100)。
【請求項6】
前記放射線吸収体(130)は、1つ又は複数の金属合金を含む、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電気機械(100)。
【請求項7】
前記放射線吸収体(130)は、熱放射線吸収性能を強化するために処理された表面を有する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電気機械(100)。
【請求項8】
前記放射線吸収体(130)が、前記第1の能動素子(115)に面する第1の面と、前記第2の能動素子(125)に面する第2の面とを有するシートである、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電気機械(100)。
【請求項9】
前記シートが、0.1~5ミリメートル、より具体的には0.1~3ミリメートル、より具体的には0.2~1ミリメートルの厚さを有する、請求項8に記載の電気機械(100)。
【請求項10】
前記放射線吸収体(130)は、その高さに沿って変化する厚さを有し、任意選択的に、前記放射線吸収体(130)から隣接する能動素子までの距離は実質的に一定である、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の電気機械(100)。
【請求項11】
前記放射線吸収体(130)は、1つ又は複数の隣接する能動素子を越えて前記エアギャップ(116)内に延在するように構成される、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の電気機械(100)。
【請求項12】
前記放射線吸収体(130)は、前記隣接する能動素子のうちの1つ又は複数の輪郭に従うように適合されている、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の電気機械(100)。
【請求項13】
発電機(42)である、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の電気機械(100)。
【請求項14】
永久磁石発電機である、請求項13に記載の発電機(42)。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の発電機(42)を備える風力タービン(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気機械、及び電気機械の能動素子を冷却するための方法に関する。より具体的には、本開示は、発電機、並びに風力タービン、例えば直接駆動型風力タービンの発電機の隣接する能動ロータ素子及び/又は隣接する能動ステータ素子を冷却するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モータ及び発電機などの電気機械は、一般に、ロータ構造及びステータ構造を備える。大型発電機は、例えば、電気励起発電機又は永久磁石励起発電機(PMG)であってもよい。電気機械のロータは、ステータに対して回転する。ロータは内側構造であってもよく、ステータは外側構造であってもよい。したがって、この場合のステータは、例えば半径方向にロータを囲む。あるいは、構成は反対であってもよく、すなわちロータが例えば半径方向にステータを囲む。
【0003】
そのような発電機は、例えば風力タービンで使用することができる。風力タービンは、一般に、ロータハブ及び複数のブレードを有するロータを備える。ロータは、ブレードへの風の影響下で回転するように設定される。ロータシャフトの回転は、直接発電機ロータを駆動する(「直接駆動型」)か、又はギアボックスを使用して駆動する。
【0004】
直接駆動型風力タービン発電機は、例えば6~10メートル(236~328インチ)の直径、例えば2~3メートル(79~118インチ)の長さを有してもよく、例えば2~20rpm(回転毎分)の範囲の低速で回転することができる。あるいは、発電機はまた、発電機の回転速度を例えば50~500rpm又はそれ以上に増加させるギアボックスに結合されてもよい。
【0005】
直接駆動型風力タービンの発電機などの電気機械では、冷却が一般に重要である。特に、ロータ及びステータの能動素子、例えば永久磁石及びコイルは、発熱する可能性がある。能動ロータ素子及び能動ステータ素子の温度の上昇は、能動素子の故障につながり、発電機の効率を低下させる可能性がある。ロータ及びステータの能動素子の温度を低下させるために、能動素子を分離するエアギャップを通過するように冷却流体を流してもよい。冷却流体は、能動素子に接触し、能動素子から熱を奪う。冷却流体をエアギャップに向かって、及びエアギャップから離れるように案内し、したがってロータ及びステータの能動素子から熱を除去するための冷却システムを設けることができる。
【0006】
能動素子によって放出される熱放射線、すなわち主に電磁スペクトルの赤外線領域における熱的性質の電磁放射線は、隣接する能動素子の温度を上昇させる。シュテファン-ボルツマンの法則によれば、ここでは能動素子である物体から放射される力は、物体の温度の4乗で増加する。したがって、能動素子の温度の比較的小さな上昇は、能動素子が放射する力の関連する増加を引き起こす可能性がある。
【0007】
さらに、能動素子の表面の放射率(放射率は、表面からの熱放射線と、シュテファン-ボルツマンの法則によって与えられる、同じ温度での理想的な黒色表面からの放射との比として定義され得る)は、1に近くてもよく、すなわち、熱放射線としてエネルギーを放出するのに特に効果的である場合がある。例えば、コイルの放射率は、約0.9以上であってもよい。したがって、第1の能動素子は、放射によって隣接する第2の能動素子を加熱する場合があり、したがって第2の能動素子の温度をさらに上昇させる場合があり、逆もまた同様である。例えば、2つの隣接する能動ステータ素子又は2つの隣接する能動ロータ素子は、熱放射線によって互いを加熱する場合がある。
【0008】
したがって、熱放射線は、電気機械の能動素子の冷却要件を増加させる。能動素子を冷却するために、より強力な冷却システムが必要とされる可能性がある。能動素子の温度は、それを超えると要素の故障が起こる温度閾値を克服しない可能性があるため、熱放射線はまた、例えば発電機が出力し得る電力を制限する。
【発明の概要】
【0009】
本開示の一態様では、電気機械が提供される。電気機械は、ロータとステータとを備える。ロータは複数の能動ロータ素子を備え、ステータは複数の能動ステータ素子を備える。電気機械は、能動ロータ素子と能動ステータ素子とを分離するエアギャップをさらに備える。電気機械は、第1と第2の隣接する能動ロータ素子の間、又は第1と第2の隣接する能動ステータ素子の間に配置された放射線吸収体をさらに備える。
【0010】
この態様によれば、ロータの2つの隣接する素子又はステータの2つの隣接する素子の間に放射線吸収体が設けられる。能動素子が使用中に加熱されると、放射線吸収体は、隣接する能動素子によって放出される熱放射線の少なくとも一部を吸収し、それにより、第1の能動素子によって放出される熱放射線の少なくとも一部が第2の能動素子に到達することを回避することができ、逆もまた同様である。冷却流体は、隣接する能動素子を通って、したがって放射線素子に沿って流れ、例えば対流によって能動素子及び放射線吸収体の温度を低下させることができる。
【0011】
したがって、放射線吸収体が存在しない状況に比べて、隣接する能動素子の温度を低下させることができる。能動素子の温度が低下すると、能動素子の寿命を延ばすことができる。また、能動素子に流体接続された冷却システムのサイズを低減することができる。加えて、電気機械の出力を増加させることができる。能動素子は、それを超えると能動素子が故障する可能性がある温度閾値に到達しない可能性があるため、能動素子がより高い温度に耐える可能性があるので、電気機械の発電量を増加させることができる。能動素子の電力生産及び寿命の要件に応じて、能動素子の寿命を延ばすことと電気機械の電力出力を増加させることとのバランスをとってもよい。
【0012】
放射線吸収体は、本開示を通して、入射熱放射線を吸収することができる素子として理解することができる。放射線吸収体の吸収率(absorptivity)が高いほど、放射線吸収体の吸収性能は良好となる。吸収率は、本開示を通して、表面によって吸収される表面に入射する電磁放射線、特に熱放射線の比として理解することができる。吸収率は、吸収能(absorptance)としても知られる場合がある。本開示を通して、熱放射線は、特に、0.1μm~100μmの波長範囲の非ゼロ温度にある電磁放射線と見なすことができる。熱放射線という用語は、この形態の電磁放射線を電波、X線、又はガンマ線などの他の形態と区別するために頻繁に使用される。
【0013】
本開示を通して使用される能動素子は、磁気的及び/又は電気的に能動的なロータ及び/又はステータの素子と見なすことができる。能動ステータ素子は、例えば、1つ若しくは複数の永久磁石、1つ若しくは複数の永久磁石モジュール、1つ若しくは複数のコイル、又は1つ若しくは複数のコイルモジュールであってもよい。能動ロータ素子は、同様に、1つ若しくは複数の永久磁石、1つ若しくは複数の永久磁石モジュール、1つ若しくは複数のコイル、又は1つ若しくは複数のコイルモジュールであってもよい。例えば、能動ステータ素子は、コイルであってもよく、能動ロータ素子は、永久磁石モジュールであってもよい。他の例では、能動ステータ素子及び能動ロータ素子の両方がコイルであってもよい。
【0014】
電気機械は、発電機、特に風力タービン用の発電機、より具体的には直接駆動型風力タービン用の発電機であってもよい。
【0015】
さらなる態様では、方法が提供される。本方法は、電気機械のロータを回転させるステップを含む。本方法は、隣接する能動ロータ素子の間及び隣接する能動ステータ素子の間に冷却流体を流し、隣接する能動ロータ素子のうちの1つと隣接する能動ステータ素子との間に少なくとも含まれる複数の放射線吸収体の周りも冷却流体が流れるようにするステップをさらに含む。
【0016】
さらに別の態様では、風力タービン用の発電機が提供される。発電機は、複数の能動ロータ素子を含むロータと、複数の能動ステータ素子を備えるステータと、能動ロータ素子と能動ステータ素子とを分離するエアギャップとを備える。発電機は、隣接する能動ロータ素子の間及び/又は隣接する能動ステータ素子の間に配置された複数の放射線吸収シートをさらに備える。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】風力タービンの一例の斜視図を概略的に示す図である。
図2】風力タービンのハブ及びナセルの例を示す図である。
図3】一例による電気機械の拡大断面図を概略的に示す図である。
図4】いくつかの能動ロータ素子が取り外された、図3の電気機械の拡大斜視図を概略的に示す図である。
図5図3及び図4の電気機械の拡大断面図における放射線吸収体のいくつかの例を概略的に示す図である。
図6】能動ロータ素子及び/又は能動ステータ素子を冷却するための方法の一例のフローチャートを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここで、本開示の実施形態を詳細に参照するが、その1つ又は複数の例が図面に示されている。各例は、本開示の限定としてではなく、本開示の例示として提供されている。実際には、本開示の範囲及び精神から逸脱せずに、本開示において様々な修正及び変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。例えば、ある実施形態の一部として図示又は記載された特徴は、またさらなる実施形態をもたらすために、別の実施形態と共に使用することができる。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内にあるそのような修正及び変更を包含することを意図している。
【0019】
本明細書では直接駆動型風力タービン用の発電機が主に参照されるが、本明細書に開示される例は、一般に電気機械に適用することができる。
【0020】
図1は、風力タービン10の一例の斜視図である。この例では、風力タービン10は、水平軸風力タービンである。あるいは、風力タービン10は、垂直軸風力タービンであってもよい。この例では、風力タービン10は、地面12上の支持システム14から延在するタワー15と、タワー15に装着されたナセル16と、ナセル16に結合されたロータ18とを含む。ロータ18は、回転可能なハブ20と、ハブ20に結合され、ハブ20から外側に延在する少なくとも1つのロータブレード22とを含む。この例では、ロータ18は、3つのロータブレード22を有する。代替の実施形態では、ロータ18は、3つよりも多い又は少ない数のロータブレード22を含む。タワー15は、支持システム14とナセル16との間に空洞(図1には図示せず)を画定するために管状鋼から製作することができる。代替の実施形態では、タワー15は、任意の適切な高さを有する任意の適切なタイプのタワーである。代替形態によれば、タワーは、コンクリート製の部分及び管状鋼部分を備えるハイブリッドタワーであってもよい。また、タワーは、部分的又は完全な格子タワーであってもよい。風力タービン10は、陸上及び海上の両方に設置することができる。
【0021】
ロータブレード22は、ロータ18の回転を容易にし、運動エネルギーが風から使用可能な機械的エネルギー、続いて電気エネルギーに伝達され得るように、ハブ20の周りに離間して配置されてもよい。ロータブレード22は、ブレード根元部分24を複数の負荷伝達領域26でハブ20に結合することによって、ハブ20に嵌合される。負荷伝達領域26は、ハブ負荷伝達領域及びブレード負荷伝達領域(両方とも図1には図示せず)を有してもよい。ロータブレード22に誘導された負荷は、負荷伝達領域26を介してハブ20に伝達される。
【0022】
例では、ロータブレード22は、約15メートル(m)~約90m以上の範囲の長さを有してもよい。ロータブレード22は、風力タービン10が本明細書で説明するように機能することを可能にする任意の適切な長さを有してもよい。例えば、ブレード長さの非限定的な例は、20m以下、又は37m、48.7m、50.2m、52.2m、若しくは91mを超える長さを含む。風が風向28からロータブレード22に当たると、ロータ18は、ロータ軸30を中心に回転する。ロータブレード22が回転して遠心力を受けると、ロータブレード22も様々な力及びモーメントを受ける。したがって、ロータブレード22は、中立位置又は非偏向位置から偏向位置に偏向及び/又は回転することができる。
【0023】
さらに、ロータブレード22のピッチ角、すなわち、風向に対するロータブレード22の向きを決定する角度は、ピッチシステム32によって変更され、風ベクトルに対する少なくとも1つのロータブレード22の角度位置を調整することによって、風力タービン10によって生成される負荷及び電力を制御することができる。ロータブレード22のピッチ軸34もまた、示されている。風力タービン10の動作中、ピッチシステム32は、ロータブレード(の一部)の迎え角が低減されるようにロータブレード22のピッチ角を特に変更することができ、これにより回転速度の低減を容易にし、かつ/又はロータ18の失速を容易にする。
【0024】
この例では、各ロータブレード22のブレードピッチは、風力タービンコントローラ36又はピッチ制御システム80によって個々に制御される。あるいは、すべてのロータブレード22についてのブレードピッチは、前記制御システムによって同時に制御されてもよい。
【0025】
さらに、この例では、風向28が変化するにつれて、ナセル16のヨー方向をヨー軸38を中心に回転させ、風向28に対してロータブレード22を位置決めすることができる。
【0026】
この例では、風力タービンコントローラ36はナセル16内に集中しているように示されているが、風力タービンコントローラ36は、風力タービン10全体、支持システム14上、風力発電基地内、及び/又は遠隔制御センターにおいて分散したシステムであってもよい。風力タービンコントローラ36は、本明細書に記載の方法及び/又はステップを実施するように構成されたプロセッサ40を含む。さらに、本明細書に記載の他の構成要素の多くは、プロセッサを含む。
【0027】
本明細書で使用される場合、「プロセッサ」という用語は、従来技術においてコンピュータと呼ばれている集積回路に限定されず、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、特定用途向け集積回路、及び他のプログラマブル回路を広く指し、これらの用語は、本明細書では互換的に使用される。プロセッサ及び/又は制御システムはまた、メモリ、入力チャネル、及び/又は出力チャネルを含むことができることを理解されたい。
【0028】
図2は、風力タービン10の一部の拡大断面図である。この例では、風力タービン10は、ナセル16と、ナセル16に回転可能に結合されたロータ18とを含む。より具体的には、ロータ18のハブ20は、主シャフト44、ギアボックス46、高速シャフト48、及びカップリング50によって、ナセル16内に位置決めされた電気発電機42に回転可能に結合される。この例では、主シャフト44は、ナセル16の長手方向軸(図示せず)と少なくとも部分的に同軸に配置される。主シャフト44の回転はギアボックス46を駆動し、ギアボックス46は、ロータ18及び主シャフト44の比較的遅い回転運動を高速シャフト48の比較的速い回転運動に転換することによって、その後高速シャフト48を駆動する。後者は、カップリング50の助けを借りて電気エネルギーを生成するために発電機42に接続される。さらに、400V~1000Vの電圧を有する発電機42によって生成された電気エネルギーを中電圧(10~35kV)を有する電気エネルギーに変換するために、変圧器90及び/若しくは適切な電子機器、スイッチ、並びに/又はインバータをナセル16に配置することができる。前記電気エネルギーは、電力ケーブルを介してナセル16からタワー15に伝導される。
【0029】
ギアボックス46、発電機42、及び変圧器90は、ナセル16の主支持構造フレームによって支持されてもよく、任意選択で主フレーム52として具現化されてもよい。ギアボックス46は、1つ又は複数のトルクアーム103によって主フレーム52に接続されたギアボックスハウジングを含むことができる。この例では、ナセル16はまた、主前方支持軸受60及び主後方支持軸受62を含む。さらに、発電機42は、特に発電機42の振動が主フレーム52に導入され、それによってノイズ放出源を引き起こすことを防止するために、分離支持手段54によって主フレーム52に装着されてもよい。
【0030】
任意選択で、主フレーム52は、ロータ18及びナセル16の構成要素の重量、並びに風及び回転負荷によって引き起こされる負荷全体を担持し、さらに、これらの負荷を風力タービン10のタワー15に導入するように構成される。ロータシャフト44、発電機42、ギアボックス46、高速シャフト48、カップリング50、並びに、限定はしないが、支持体52、前方支持軸受60、及び後方支持軸受62を含む任意の関連する締結、支持、及び/又は固定デバイスは、ドライブトレイン64と呼ばれることがある。
【0031】
いくつかの例では、風力タービンは、ギアボックス46のない直接駆動型風力タービンであってもよい。発電機42は、直接駆動型風力タービンにおけるロータ18と同じ回転速度で動作する。したがって、それらは一般に、ギアボックスを有する風力タービンと同様の量の電力を提供するために、ギアボックス46を有する風力タービンで使用される発電機よりもはるかに大きい直径を有する。
【0032】
ナセル16はまた、ヨー軸38を中心にナセル16、ひいてはロータ18を回転させ、風向28に対するロータブレード22の釣り合いを制御するために使用することができるヨー駆動機構56を含んでもよい。
【0033】
風向28に対してナセル16を適切に位置決めするために、ナセル16はまた、風向計及び風速計を含み得る少なくとも1つの気象測定システムを含んでもよい。気象測定システム58は、風向28及び/又は風速を含み得る情報を風力タービンコントローラ36に提供することができる。この例では、ピッチシステム32は、ハブ20内にピッチアセンブリ66として少なくとも部分的に配置される。ピッチアセンブリ66は、1つ又は複数のピッチ駆動システム68と、少なくとも1つのセンサ70とを含む。各ピッチ駆動システム68は、ピッチ軸34に沿ってロータブレード22のピッチ角を変調するために、それぞれのロータブレード22(図1に示す)に結合される。3つのピッチ駆動システム68のうちの1つのみが、図2に示されている。
【0034】
この例では、ピッチアセンブリ66は、ピッチ軸34を中心にそれぞれのロータブレード22(図1に示す)を回転させるために、ハブ20及びそれぞれのロータブレード22に結合された少なくとも1つのピッチ軸受72を含む。ピッチ駆動システム68は、ピッチ駆動モータ74と、ピッチ駆動ギアボックス76と、ピッチ駆動ピニオン78とを含む。ピッチ駆動モータ74は、ピッチ駆動ギアボックス76に結合され、それにより、ピッチ駆動モータ74は機械的力をピッチ駆動ギアボックス76に付与する。ピッチ駆動ギアボックス76は、ピッチ駆動ピニオン78に結合され、それにより、ピッチ駆動ピニオン78はピッチ駆動ギアボックス76によって回転される。ピッチ軸受72は、ピッチ駆動ピニオン78の回転がピッチ軸受72の回転を引き起こすように、ピッチ駆動ピニオン78に結合される。
【0035】
ピッチ駆動システム68は、風力タービンコントローラ36からの1つ又は複数の信号の受信時にロータブレード22のピッチ角を調整するために風力タービンコントローラ36に結合される。この例では、ピッチ駆動モータ74は、ピッチアセンブリ66が本明細書で説明するように機能することを可能にする電力及び/又は油圧システムによって駆動される任意の適切なモータである。あるいは、ピッチアセンブリ66は、限定はしないが、油圧シリンダ、ばね、及び/又はサーボ機構などの任意の適切な構造、構成、配置、及び/又は構成要素を含んでもよい。特定の実施形態では、ピッチ駆動モータ74は、ハブ20の回転慣性及び/又はエネルギーを風力タービン10の構成要素に供給する蓄積エネルギー源(図示せず)から抽出されたエネルギーによって駆動される。
【0036】
ピッチアセンブリ66はまた、特定の優先状況の場合、及び/又はロータ18の過速度中、風力タービンコントローラ36からの制御信号に従ってピッチ駆動システム68を制御するための1つ又は複数のピッチ制御システム80を含んでもよい。この例では、ピッチアセンブリ66は、風力タービンコントローラ36から独立してピッチ駆動システム68を制御するために、それぞれのピッチ駆動システム68に通信可能に結合された少なくとも1つのピッチ制御システム80を含む。この例では、ピッチ制御システム80は、ピッチ駆動システム68及びセンサ70に結合される。風力タービン10の通常動作中、風力タービンコントローラ36は、ロータブレード22のピッチ角を調整するようにピッチ駆動システム68を制御することができる。
【0037】
一実施形態によれば、例えば、バッテリー及び電気コンデンサを備える電力発電機84は、ハブ20に又はハブ20内に配置され、センサ70、ピッチ制御システム80、及びピッチ駆動システム68に結合されて電力源をこれらの構成要素に提供する。この例では、電力発電機84は、風力タービン10の動作中に継続的な電力源をピッチアセンブリ66に提供する。代替の実施形態では、電力発電機84は、風力タービン10の電力損失事象中にのみ電力をピッチアセンブリ66に提供する。電力損失事象は、送電網の損失若しくは低下、風力タービン10の電気システムの誤動作、及び/又は風力タービンコントローラ36の故障を含んでもよい。電力損失事象中、電力発電機84は、ピッチアセンブリ66が電力損失事象中に動作することができるように、電力をピッチアセンブリ66に提供するように動作する。
【0038】
この例では、ピッチ駆動システム68、センサ70、ピッチ制御システム80、ケーブル、及び電力発電機84は各々、ハブ20の内面88によって画定された空洞86内に位置決めされる。代替の実施形態では、前記構成要素は、ハブ20の外面に対して位置決めされ、外面に直接的又は間接的に結合されてもよい。
【0039】
本開示の一態様では、電気機械100が提供される。電気機械100は、ロータ110と、ステータ120とを備える。ロータ110は複数の能動ロータ素子115を備え、ステータは複数の能動ステータ素子125を備える。電気機械100は、能動ロータ素子115と能動ステータ素子125とを分離するエアギャップ116をさらに備える。電気機械100は、第1及び第2の隣接する能動ロータ素子111、112の間、又は第1及び第2の隣接する能動ステータ素子121、122の間に配置された放射線吸収体130をさらに備える。
【0040】
図3は、電気機械100の断面の拡大図を概略的に示す。この例では、電気機械100はラジアル機械、特に発電機42である。発電機は、風力タービン10用の、より具体的には直接駆動型風力タービン用の発電機であってもよい。能動ロータ素子115は永久磁石モジュールであり、能動ステータ素子125はコイルであるが、他の能動ロータ素子及びステータ素子も可能である。例えば、能動ロータ素子及び能動ステータ素子の両方がコイルであってもよい。図3に示すように、ステータコイル125は、ステータ歯119の周りに巻回されている。
【0041】
永久磁石モジュールは、複数の磁石が共に装着され、共に装着解除され得るような、複数の永久磁石を有するユニットとして定義することができる。そのようなモジュールは、複数の永久磁石を収容又は受け入れるのに適した形状を有するモジュール基部を有してもよい。磁石は、様々な方式で基部に固定されてもよい。基部は、複数の磁石がモジュール基部を介して界磁リムに共に固定されるように、界磁リム、例えば、ロータリムに固定されるように構成されてもよい。永久磁石モジュールの使用は、発電機界磁の製造を容易にすることができる。
【0042】
図3では、ロータ110はステータ120を囲んでいるが、他の例では、ステータ120がロータ110を囲んでもよい。同様に、他の構成及び他のタイプの電気機械100が使用されてもよい。例えば、電気機械100は、軸流機械、例えば軸流発電機であってもよい。電気機械100は、いくつかの他の例では、モータであってもよい。
【0043】
電気機械100は、2つの隣接する能動素子の間、この図ではコイルなどの円周方向132に隣接する2つの能動ステータ素子125の間に放射線吸収体130をさらに備える。電気機械100は、ステータ120内に1つ若しくは複数の放射線吸収体130を、かつ/又はロータ110内に1つ若しくは複数の放射線吸収体130を備えてもよい。例えば、電気機械100は、隣接する能動ステータ素子125の各対の間に放射線吸収体130を備えてもよい。代替的又は追加的に、電気機械100は、隣接する能動ロータ素子115の各対の間に放射線吸収体130を備えてもよい。
【0044】
放射線吸収体130は、0.8を超える、より具体的には0.9を超える、より具体的には0.95を超える吸収率を有してもよい。いくつかの例では、放射線吸収体の吸収度は約0.98であってもよい。吸収率は、放射線吸収体が熱放射線をどの程度効率的に吸収するかを示すことができる。吸収率の値が1に近いほど、良好な吸収体である。いくつかの例では、放射線吸収体130は黒色であってもよい。
【0045】
放射線吸収体130は、いくつかの例では、適切な又は強化された熱吸収特性を有するために処理された表面を有してもよい。放射線吸収体は、例えば、熱放射線吸収コーティングを有してもよい。放射線吸収体130の塗装には、赤外線吸収塗料などの熱放射線吸収塗料が使用されてもよい。1種又は複数の熱放射線用、例えば赤外放射線用吸収体フィルム又は箔を使用して、放射線吸収体を(部分的又は全体的に)覆ってもよい。放射線吸収体130は、熱放射線吸収体塗料及びフィルムの両方を備えてもよい。
【0046】
いくつかの例では、放射線吸収体130は、1種又は複数の金属合金を備えてもよい。金属合金は、熱放射線を効率的に吸収するのに適する可能性がある。金属合金は、例えば、銀合金、銅合金、アルミニウム合金又は真鍮合金を含んでもよい。金属合金放射線吸収体130の表面は処理されてもよく、例えば、1種若しくは複数の熱放射線吸収塗料で塗装されてもよく、及び/又は1種若しくは複数の熱放射線吸収フィルム若しくは箔で覆われてもよい。
【0047】
放射線吸収体130は、2つの隣接する能動ステータ素子121、122の間又は2つの隣接する能動ロータ素子111、112の間の中間領域に配置されてもよい。すなわち放射線吸収体130は、放射線吸収体130と第1の隣接する能動素子111、121との間の距離135aが、放射線吸収体130と第2の隣接する能動素子112、122との間の距離135bと同様又は実質的に同じになるように配置されてもよい。放射線吸収体と能動素子との間の距離135a、135bは、所与の半径方向高さにおける円周方向132で測定されてもよい。
【0048】
ロータの2つの隣接する能動素子111、112の間、又はステータの2つの隣接する能動素子120、121の間に放射線吸収体130を配置することにより、特に吸収体130から隣接する素子までの距離135a、135bが実質的に同じである場合、隣接する能動素子間の冷却流体の使用を改善することができる。放射線吸収体130が存在しない場合、能動素子に近接又接触する冷却流体の一部のみが加熱され、能動素子の温度を低下させるために熱を運び去る。しかし、放射線吸収体130が使用される場合、吸収体130に近接又は接触する冷却流体の一部も加熱され、熱を運び去る。したがって、冷却流体のより良好な使用は、2つの隣接する能動ロータ素子又は能動ステータ素子の間に放射線吸収体130を設置することによって、特に放射線吸収体130が能動素子から実質的に同じ距離135a、135bに配置されている場合に達成することができる。したがって、冷却効率を向上させることができる。
【0049】
図3の例では、半径方向において、隣接するコイル間の間隔がわずかに増加しているのを見ることができる。この特定の例では、放射線吸収体シート130の厚さは一定である。他の例では、放射線吸収体の厚さは、半径方向に変化してもよい。いくつかの例では、放射線吸収体の厚さは、隣接するコイル(又は磁石)までの距離が半径方向に、すなわち放射線吸収体の高さに沿って実質的に一定になるように変化してもよい。
【0050】
放射線吸収体130は、長さ、例えば軸方向131の長さ、高さ、例えば半径方向133の高さ、及び幅、例えば円周方向132の幅を有してもよい。放射線吸収体は、0.1~5ミリメートル(mm)、より具体的には0.1~3mm、より具体的には0.2~1ミリメートル、例えば約0.5mmの厚さ、すなわち幅を有してもよい。
【0051】
ロータ110内の隣接する能動素子115の間又はステータ120内の隣接する能動素子125の間に放射線吸収体130を配置することは、隣接する能動素子間の冷却流体の流れを妨げる可能性がある。いくつかの例では、放射線吸収体130の厚さは、例えば、隣接する能動素子121、122間の距離135の1%~20%、より具体的には1%~10%、より具体的には2%~5%であってもよい。冷却流体の流れは減少する可能性があるが、この減少は、放射線吸収体130によって提供される熱吸収によって補償することができる。
【0052】
上記範囲の幅であれば、隣接する能動素子の間に放射線吸収体130を配置することによる冷却の減少分を、放射線吸収体130による除熱の増加によって補償することができる。いくつかの例では、冷却流体の流れは、放射線吸収体130の配置に起因して2~4%減少する可能性があるが、放射線吸収体130は、冷却を約10%増加させることができる。そのため、除熱が改善される。
【0053】
放射線吸収体130は、能動素子115、125の寸法に沿って部分的に又は全体的に延在してもよい。放射線吸収体130と同様に、能動素子115、125は、長さ、例えば軸方向131の長さ、高さ、例えば半径方向133の高さ、及び幅、例えば円周方向132の幅を有してもよい。放射線吸収体130は、能動素子115、125の寸法のいずれかに沿って部分的に又は全体的に延在してもよい。例えば、図3では、放射線吸収体130は、能動素子125の高さに沿って全体的に延在する。
【0054】
能動素子115、125は、ロータリム又はステータリムに接続、例えば取り付けられてもよい。能動素子115、125の高さは、一般に、能動素子が接続される、例えば取り付けられるロータリム又はステータリムの局所表面に対して実質的に垂直に測定されてもよい。同様に、放射線吸収体130の高さは、能動素子が接続される、例えば取り付けられるロータリム又はステータリムの局所表面に対して実質的に垂直に測定されてもよい。
【0055】
放射線吸収体は、様々な方法で電気機械に装着することができる。図3の例などの例では、放射線吸収体(シートなど)は、ステータリム又はロータリムに装着されてもよい。すなわち、放射線吸収体は、コイルの「脚部」若しくは基部、又は永久磁石(モジュール)の基部に、又はその付近に装着されてもよい。他の例では、放射線吸収体は、隣接する能動素子に1つ又は複数の点で取り付けられてもよい。例えば、この目的のために接着剤が使用されてもよい。これらの装着方法の組み合わせも可能である。
【0056】
図4は、いくつかの能動ロータ素子が取り外された、図3の電気機械100の拡大斜視図を概略的に示す。ステータ歯119に巻回された複数のコイル125を見ることができる。図3のように、能動ロータ素子115は、永久磁石モジュールである。隣接するコイルの間に2つの放射線吸収体130を見ることができる。放射線吸収体130は、能動素子115、125の長さに沿って部分的に又は全体的に延在してもよい。図4では、放射線吸収体130は、(軸方向131に沿って測定された)コイル125の長さに沿って部分的に延在する。
【0057】
例えば図4のコイルなどの能動素子115、125は、中央部分128、第1の長手方向端部126、及び第2の対向する長手方向端部127を有してもよい。図4では、放射線吸収体130は、コイル125の隣接する端部126、127の間に延在していない。他の例では、放射線吸収体130は、隣接する能動素子の端部126、127の間、例えば端部の間のみに延在してもよい。放射線吸収体130は、能動素子の第1の端部126の間及び/又は第2の端部127の間に延在してもよい。
【0058】
いくつかの例では、例えば図3及び図4のように、放射線吸収体130はシートであってもよい。シートは、隣接する能動素子の間の比較的小さなギャップ117に配置され、能動素子によって放射される熱放射線の吸収を最適化するのに適した形状を有することができる。シートは、第1の面及び第2の面を有してもよい。第1の面は第1の能動素子121に面するように配置されてもよく、第2の面は第2の能動素子122に面するように配置されてもよい。シートは、0.1~5ミリメートル(mm)、より具体的には0.2~1ミリメートル、例えば約0.5mmの厚さ、すなわち幅を有してもよい。
【0059】
放射線吸収体130は、能動素子115、125を越えて延在してもよい。図5は、図3及び図4の電気機械100の拡大断面図における放射線吸収体のいくつかの例を示す。この例では、ロータ放射線吸収体130’は、隣接する能動ロータ素子111、112を越えてエアギャップ116内に延在する。ステータ放射線吸収体130もまた、隣接する能動ステータ素子121、122を越えてエアギャップ116内に延在する。ロータ放射線吸収体130’は、第1の能動素子111の周り及び第2の能動素子112の周りで湾曲する。ロータ放射線吸収体130’は、この例では断面が略T字状であるが、他の例では他の形状であってもよい。ステータ放射線吸収体130は、第1の能動ステータ素子121の周りで湾曲する。ステータ放射線吸収体130は、この例では断面が略L字状であるが、他の例では他の形状であってもよい。放射線吸収体130、130’は、1つ又は複数の隣接する能動素子115、125を越えて延在し、隣接する能動素子115、125のうちの1つ又は複数の輪郭に適合するように構成されてもよい。
【0060】
いくつかの例では、放射線吸収体230、230’は、冷却チャネル231を形成するように構成されてもよい。放射線吸収体が冷却流体を案内し得る冷却チャネル231の一部であるように構成される場合、放射線吸収体は冷却チャネル231を形成するように構成されていることが理解されよう。この場合の放射線吸収体230は、第1の能動素子と第2の能動素子との間、及び第2の能動素子と第3の能動素子との間の2点でリムに直接装着されてもよい(この場合はロータのリムであるが、ステータに関しても同じことが可能であることは明らかである)。
【0061】
冷却チャネル231は、断面が閉じた輪郭を有する。冷却チャネル(及び放射線吸収体)の断面は、隣接する能動素子間に冷却流体が注入される方向に対して実質的に垂直であると解釈することができる。例えば、冷却流体は、冷却チャネル231を通って軸方向131に流れてもよく、断面は、半径方向133及び円周方向132に延在してもよい。例えばロータ又はステータに取り付けられると、放射線吸収体230、230’は導管の一部を形成してもよい。例えば、放射線吸収体は、導管の1つ又は複数の壁を形成してもよい。
【0062】
冷却流体、例えば空気が冷却チャネル231に導入される場合、冷却流体と能動素子との間の接触を強化することができる。したがって、冷却チャネルを形成する放射線吸収体を用いない冷却と比較して、冷却効率を改善することができる。冷却流体と能動素子との間の接触を増加させることは、冷却チャネル231を形成しない放射線吸収体によっても達成され得ることに留意されたい。例えば、図5では、放射線吸収体130及び130’はまた、冷却流体の周方向132への移動を制限しながら、冷却流体と隣接する能動素子との間の接触を増加させることができる。したがって、放射線吸収体130、130’が存在しない状況に対しても冷却を強化することができる。
【0063】
いくつかの例では、冷却チャネル231を形成するために、放射線吸収体の端部232を能動素子支持体119に取り付けてもよい。例えば、能動ステータ素子125がコイルである場合、放射線吸収体の端部232は、コイルが巻回された歯190に取り付けられてもよい。歯119への取り付けの一例が図5に概略的に示されており、L字状放射線吸収体230の短壁がコイル122の歯119に取り付けられている。そのような例では、吸収体230が、例えばコイル122の全長(軸方向131)に沿って歯119に接合されている限り、エアギャップ116に向かう冷却流体の流れを回避することができる。
【0064】
いくつかの例では、冷却チャネル231を形成するために、放射線吸収体の端部を能動素子に取り付けてもよい。例えば、図5の放射線吸収体131’が冷却チャネルを形成するものであった場合、周方向132に延在する端部は、例えばエアギャップ116に入ることなく、能動ロータ素子111及び112に取り付けられてもよい。
【0065】
いくつかの例では、放射線吸収体230’は、C字状又はU字状の断面を有してもよい。例えば、断面において能動素子、例えばロータ素子115を完全に囲むように構成された放射線吸収体を設けてもよい。そのような場合、図5に概略的に示すように、ロータリムに接合され、例えば能動ロータ素子111を完全に囲む放射線吸収体230’が設けられる。
【0066】
冷却チャネルを形成するように構成された放射線吸収体130、130’、230、230’は、1つ又は複数の壁を備えてもよい。例えば、放射線吸収体の断面形状がC字状であれば、放射線吸収体は1つの壁を有すると言ってもよい。しかし、例えば、放射線吸収体がL字状、T字状又はU字状の断面を有する場合、放射線吸収体は2つ以上の壁によって形成されてもよい。2つの壁、例えば第1及び第2の壁は、それらの間で実質的に垂直であってもよい。
【0067】
放射線吸収体130、130’、230、230’は、任意の適切な締結具又は手段によって、ロータリム又はステータリムに接合又は接続することができる。いくつかの例では、締結具としてTブロック又はウェッジが使用されてもよい。放射線吸収体130は、必ずしもロータ又はステータリムに直接取り付けられなくてもよいが、1つ又は複数の能動素子支持体119の基部に取り付けられてもよい。例えば、図3の例に示すように、コイルを支持するように構成された2つの歯119の間に放射線吸収体130が取り付けられてもよい。
【0068】
本開示のさらなる態様では、方法300が提供される。本方法は、図6に概略的に示されている。
【0069】
本方法は、ブロック310において、電気機械100のロータ110を回転させるステップを含む。電気機械100は、図3図5に関して説明した電気機械100であってもよい。すなわち電気機械は、ロータ110とステータ120とを備え、ロータ110は複数の能動ロータ素子115を備え、ステータ120は複数の能動ステータ素子125を備える。電気機械は、能動ロータ素子115と能動ステータ素子125とを分離するエアギャップ116をさらに備える。いくつかの例では、電気機械100は、発電機42、特に風力タービン用の発電機、より具体的には直接駆動型風力タービン用の発電機であってもよい。
【0070】
本方法は、ブロック320において、隣接する能動ロータ素子115の間及び隣接する能動ステータ素子125の間に冷却流体を流し、隣接する能動ロータ素子115のうちの1つと隣接する能動ステータ素子125との間に少なくとも含まれる複数の放射線吸収体130の周りも冷却流体が流れるようにするステップをさらに含む。
【0071】
この態様によれば、隣接する能動素子によって放出された熱放射線は、隣接する能動素子の間に配置された放射線吸収体130によって吸収することができる。冷却流体が放射線吸収体130の周りを流れるときに放射線吸収体130に接触すると、冷却流体は対流によって放射線吸収体130(及び能動素子115、125)から熱を奪うことができる。放射線吸収体130は、隣接する能動素子間の冷却流体の流れを妨げる可能性があるが、放射線吸収体130によって吸収された熱放射線、したがって隣接する能動素子に到達しない熱が、放射線吸収体130をロータ及び/又はステータ120に配置することによって冷却流体の流れを妨げることで失われた冷却効果を補償することができる。
【0072】
放射線吸収体130は、ロータ110及び/又はステータ120に配置されてもよい。放射線吸収体130は、図3図5に関して既に説明した1つ又は複数の特徴を有してもよい。例えば、放射線吸収体130は、合金金属シートであってもよい。
【0073】
冷却流体は、いくつかの例では空気であってもよい。冷却流体は、いくつかの例では、軸方向131において能動ロータ素子の間及び能動ステータ素子の間を流れてもよい。
【0074】
ロータの回転は、冷却流体を作動させる前、後、又は実質的に同時に開始されてもよい。
【0075】
いくつかの例では、ロータを回転させることは、風の作用によって複数の風力タービンブレード22を回転させることを含む。これらの例では、電気機械100は発電機42である。発電機42は、直接駆動されてもよいし、ギアボックスを介して駆動されてもよい。
【0076】
本開示のさらなる態様では、風力タービン10のための発電機42が提供される。発電機42は、ロータ110とステータ120とを備える。ロータは、複数の能動ロータ素子115を備える。ステータは、複数の能動ステータ素子125を備える。発電機は、能動ロータ素子115と能動ステータ素子125とを分離するエアギャップ116をさらに備える。発電機42は、隣接する能動ロータ素子111、112の間及び/又は隣接する能動ステータ素子121、122の間に配置された複数の放射線吸収体130をさらに備える。
【0077】
エアギャップ116は、いくつかの例では半径方向133のエアギャップであってもよい。
【0078】
いくつかの例では、複数の放射線吸収体130は、複数のシートであってもよい。いくつかの例では、複数のシートのうちの1つ又は複数のシート、例えばすべてのシートは、0.1~5ミリメートル、より具体的には0.1~3ミリメートル、より具体的には0.2~1ミリメートルの厚さを有してもよい。
【0079】
いくつかの例では、複数のシート、すなわち複数のシートの各シートの吸収率は、0.95以上であってもよい。
【0080】
図3図5に関する説明は、この態様に適用される。
【0081】
本明細書は、例を使用して、好ましい実施形態を含む本教示を開示し、また、当業者が、任意のデバイス又はシステムを作製し使用し、任意の組み込まれた方法を実施することを含めて、本明細書で開示される教示を実践することを可能にする。特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者には想起される他の実施例を含んでもよい。そのような他の例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を有する場合、又は特許請求の範囲の文言との実質的な差異を有さない等価な構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることを意図している。当業者であれば、上述の様々な実施形態からの態様並びに各々のそのような態様についての他の公知の均等物を混ぜ合わせて適合させることで、本出願の原理に従ったさらなる実施形態及び技術を構築することができる。図面に関連する参照符号が特許請求の範囲の括弧内に配置されている場合、それらの参照符号は単に特許請求の範囲の明瞭性を高めるためのものであり、特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0082】
10 風力タービン
12 地面
14 支持システム
15 タワー
16 ナセル
18 ロータ
20 ハブ
22 風力タービンブレード
24 ブレード根元部分
26 負荷伝達領域
28 風向
30 ロータ軸
32 ピッチシステム
34 ピッチ軸
36 風力タービンコントローラ
38 ヨー軸
40 プロセッサ
42 発電機
44 ロータシャフト、主シャフト
46 ギアボックス
48 高速シャフト
50 カップリング
52 主フレーム、支持体
54 分離支持手段
56 ヨー駆動機構
58 気象測定システム
60 主前方支持軸受
62 主後方支持軸受
64 ドライブトレイン
66 ピッチアセンブリ
68 ピッチ駆動システム
70 センサ
72 ピッチ軸受
74 ピッチ駆動モータ
76 ピッチ駆動ギアボックス
78 ピッチ駆動ピニオン
80 ピッチ制御システム
84 電力発電機
86 空洞
88 内面
90 変圧器
100 電気機械
110 ロータ
103 トルクアーム
111 能動ロータ素子、第1の能動素子、第1の隣接する能動素子
112 能動ロータ素子、第2の能動素子、第2の隣接する能動ロータ素子
115 能動ロータ素子
116 エアギャップ
119 能動素子支持体、ステータ歯
120 能動素子、ステータ
121 第1の能動素子、第1の能動ステータ素子、第1の隣接する能動素子
122 第2の能動素子、能動ステータ素子、コイル、第2の隣接する能動素子
125 能動素子、能動ステータ素子、ステータコイル
126 第1の端部、長手方向端部
127 第2の端部、長手方向端部
128 中央部分
130 放射線吸収体
130’ 放射線吸収体
131 軸方向
131’ 放射線吸収体
132 円周方向
133 半径方向
135 距離
135a 距離
135b 距離
190 歯
230 放射線吸収体
230’ 放射線吸収体
231 冷却チャネル
232 端部
300 方法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】