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特開2023-20936肌質を改善するための組成物及び肌質の改善方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020936
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】肌質を改善するための組成物及び肌質の改善方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/718 20060101AFI20230202BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20230202BHJP
   A61K 31/733 20060101ALI20230202BHJP
   A61K 31/702 20060101ALI20230202BHJP
   A61K 31/716 20060101ALI20230202BHJP
   A61K 35/744 20150101ALI20230202BHJP
   A61K 36/48 20060101ALI20230202BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20230202BHJP
   A23L 33/125 20160101ALI20230202BHJP
【FI】
A61K31/718
A61P17/16
A61K31/733
A61K31/702
A61K31/716
A61K35/744
A61K36/48
A23L33/135
A23L33/125
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108655
(22)【出願日】2022-07-05
(31)【優先権主張番号】P 2021123116
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】521332394
【氏名又は名称】株式会社Smart Lab
(74)【代理人】
【識別番号】100115129
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 昇
(72)【発明者】
【氏名】酒井 康光
(72)【発明者】
【氏名】田宗 道弘
【テーマコード(参考)】
4B018
4C086
4C087
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE03
4B018LE05
4B018MD31
4B018MD33
4B018MD34
4B018MD58
4B018MD86
4B018ME14
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA01
4C086EA20
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA07
4C086MA52
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA89
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC56
4C087MA02
4C087MA52
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZA89
4C088AB61
4C088AC04
4C088BA07
4C088MA02
4C088MA52
4C088NA05
4C088NA14
4C088ZA89
(57)【要約】
【課題】肌質を改善するための組成物及び肌質の改善方法を提供する。
【解決手段】ハイアミロースコーンスターチを含む、肌質を改善するための組成物を提供する。ハイアミロースコーンスターチを、肌質の改善に有効な1日分の摂取量で4週間以上摂取させることを含む、肌質の改善方法(ただし、ヒトに対する医療行為を除く)を提供する。
【選択図】図1



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイアミロースコーンスターチを含む、肌質を改善するための組成物。
【請求項2】
さらにイヌリンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
さらにフラクトオリゴ糖を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
さらにβグルカンを含む、請求項2又は3に記載の組成物。
【請求項5】
さらに乳酸菌を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
さらに大豆を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記ハイアミロースコーンスターチは、湿熱処理レジスタントスターチの含有量が60%以上である、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
組成物を15g以上含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
4週間以上摂取させる量の、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
ハイアミロースコーンスターチを、肌質の改善に有効な1日分の摂取量で4週間以上摂取させることを含む、肌質の改善方法(ただし、ヒトに対する医療行為を除く)。





【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌質を改善するための組成物及び肌質の改善方法に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、全身を覆う最大の臓器で、体内と外部環境を隔て、生体の恒常性を維持する重要な役割を担っている。最外層にある表皮は、厚さが平均約0.2ミリの薄い膜、水分の蒸散を防ぐとともに、外界からの有害成分の侵入を防ぐバリアの役割を果たす。
真皮に存在する線維芽細胞は、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸等の細胞外マトリックスを産生し、皮膚構造を維持している。このコラーゲンやエラスチンという線維状のたんぱく質が、網目状にネットワークをつくることで、弾力やハリを保っている。線維芽細胞は少しずつ繊維成分の分解と再生を繰り返し、ターンオーバーを行なっており、線維芽細胞の活性化状態がハリや弾力性に重要な影響を及ぼしている。このような表皮や真皮の働きにより、皮膚の健康が保たれていると考えられている。
しかし、紫外線や乾燥などの外部環境からのダメージや、加齢に伴う線維芽細胞の減少や活性低下等により、真皮細胞外マトリックスのコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸等が減少すると、皮膚のバリア機能が低下して、潤いや弾力性が失われ、肌の老化が引き起こされる。シワやたるみは、コラーゲンやエラスチンの産生低下だけでなく、コラーゲンの分解などでも引き起こされる。
そこで、肌質を改善することが求められている。
【0003】
これに関連する技術として、例えば、特許文献1には、肌質を改善するための新規な組成物および肌質改善剤ならびに肌質改善方法の提供することを課題とし、本発明によれば、カカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドを含んでなる肌質を改善するための組成物および肌質改善剤が提供される。本発明によればまた、カカオ豆由来ルミナコイドおよびアーモンド由来ルミナコイドを肌質改善に有効な1日分の摂取量で4週間以上摂取させることを含む、肌質改善方法が提供されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-100263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、肌質を改善するための組成物及び肌質の改善方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、ハイアミロースコーンスターチを含んでなる組成物が、ヒトの肌質を改善することを見出した。本発明はこの知見に基づくものである。
【0007】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
[1]ハイアミロースコーンスターチを含む、肌質を改善するための組成物。
[2]さらにイヌリンを含む、[1]に記載の組成物。
[3]さらにフラクトオリゴ糖を含む、[1]又は[2]に記載の組成物。
[4]さらにβグルカンを含む、[2]又は[3]に記載の組成物。
[5]さらに乳酸菌を含む、[4]に記載の組成物。
[6]さらに大豆を含む、[1]から[5]のいずれか一項に記載の組成物。
[7]前記ハイアミロースコーンスターチは、湿熱処理レジスタントスターチの含有量が60%以上である、[1]から[6]のいずれか一項に記載の組成物。
[8]組成物を15g以上含む、[1]から[7]のいずれか一項に記載の組成物。
[9]4週間以上摂取させる量の、[1]から[9]のいずれか一項に記載の組成物。
[10]ハイアミロースコーンスターチを、肌質の改善に有効な1日分の摂取量で4週間以上摂取させることを含む、肌質の改善方法(ただし、ヒトに対する医療行為を除く)。
【発明の効果】
【0008】
本発明の組成物を摂取すること及び肌質の改善方法は、肌の状態を改善させるとの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(1)ホエイプロティンを摂取した8人の被験者の試験結果を示すグラフである。
図2】(2)水を摂取した8人の被験者の試験結果を示すグラフである。
図3】(3)ハイアミロースコーンスターチのみを成分とした組成物を摂取した8人の被験者の試験結果を示すグラフである。
図4】(4)ハイアミロースコーンスターチとイヌリンを成分とした組成物を摂取した8人の被験者の試験結果を示すグラフである。
図5】(5)6種類の成分を含む組成物を摂取した8人の被験者の試験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、肌質を改善するための組成物である。ヒトおよび非ヒト動物に、その組成物を摂取させるものである。その組成物には、ハイアミロースコーンスターチを含む。ここでハイアミロースコーンスターチは、とうもろこし由来のレジスタントスターチ(難消化性デンプン)である。また、レジスタントスターチのタイプは、アミロース含量の高いデンプンであるRS2bである。
【0011】
さらに組成物には、イヌリンを含むようにしてもよい。この場合、組成物の成分は、ハイアミロースコーンスターチとイヌリンの組み合わせになる。
【0012】
さらに組成物には、フラクトオリゴ糖を含むようにしてもよい。この場合、組成物の成分は、ハイアミロースコーンスターチとフラクトオリゴ糖、又は、ハイアミロースコーンスターチとイヌリンとフラクトオリゴ糖の組み合わせになる。
【0013】
さらに組成物には、βグルカンを含むようにしてもよい。この場合、組成物の成分は、ハイアミロースコーンスターチとイヌリンとβグルカン、ハイアミロースコーンスターチとフラクトオリゴ糖とβグルカン、又は、ハイアミロースコーンスターチとイヌリンとフラクトオリゴ糖とβグルカンの組み合わせになる。
なお、βグルカンは、パン酵母由来のβグルカンを用いることが価格面で優れている。
【0014】
さらに組成物には、乳酸菌を含むようにしてもよい。この場合、組成物の成分は、ハイアミロースコーンスターチとイヌリンとβグルカンと乳酸菌、ハイアミロースコーンスターチとフラクトオリゴ糖とβグルカンと乳酸菌、又は、ハイアミロースコーンスターチとイヌリンとフラクトオリゴ糖とβグルカンと乳酸菌の組み合わせになる。
まお、乳酸菌は、有胞子性乳酸菌が好ましい。
【0015】
さらに組成物には、大豆を含むようにしてもよい。大豆は粉状としたものである。また、大豆をペースト状としたものであってもよい。この場合、組成物の成分は、ハイアミロースコーンスターチと大豆、ハイアミロースコーンスターチとイヌリンと大豆、ハイアミロースコーンスターチとフラクトオリゴ糖と大豆、ハイアミロースコーンスターチとイヌリンとフラクトオリゴ糖と大豆、ハイアミロースコーンスターチとイヌリンとβグルカンと大豆、ハイアミロースコーンスターチとフラクトオリゴ糖とβグルカンと大豆、ハイアミロースコーンスターチとイヌリンとフラクトオリゴ糖とβグルカンと大豆、ハイアミロースコーンスターチとイヌリンとβグルカンと乳酸菌と大豆、ハイアミロースコーンスターチとフラクトオリゴ糖とβグルカンと乳酸菌と大豆、又は、ハイアミロースコーンスターチとイヌリンとフラクトオリゴ糖とβグルカンと乳酸菌と大豆の組み合わせになる。
【0016】
組成物中のハイアミロースコーンスターチは、湿熱処理レジスタントスターチの含有量が60%以上のものとしてもよい。
以下の説明で用いる組成物は、上記した組成物のいずれかである。
ハイアミロースコーンスターチ及びハイアミロースコーンスターチ以外の成分を含む複数種類からなる組成物においては、ハイアミロースコーンスターチを主成分とすることが望ましい。その場合のハイアミロースコーンスターチの含有率は50%以上であることが望ましい。さらに、75%以上とすることがより望ましい。
特に、成分が複数種類からなる組成物においては、分子サイズの異なるルミナコイドを複数種類組み合わせている。その結果、大腸において、腸内フローラの発酵の時間差を生み、大腸の隅々まで行き渡らせることができ、大腸全体に短鎖脂肪酸を産み出すことができるようにしている。
【0017】
ここで、肌質の改善とは、皮膚角層水分量の改善、皮膚ターンオーバーの改善、肌の炎症の改善、及び/又は、肌に関する自覚症状の改善を意味する。
【0018】
組成物は、医薬品、医薬部外品、飲食品、飼料等の形態で提供することができる。
また、1回の摂取量として、組成物を15g以上含むことが好ましい。また、摂取回数は、1日に3回であり、食前に摂取することが望ましい。その際、200ccの水(お湯を含む)に組成物を溶かして飲用することが好ましい。
なお、1日に3回は例示であり、3回未満、3回より多くてもよい。ただし、毎日、組成物を摂取することが好ましい。食前は例示であり、食後、食間、起床時、就寝時、予め定められた時間おき、予め定められた時間(例えば、午前8時、午後1時、午後8時等)等としてもよい。また、200ccの水も例示であり、200ccより多く、200ccより少なくでもよく、水以外の液体(牛乳、ジュース等)であってもよい。また、組成物を原材料とした食品(食品に組成物を混ぜる)としてもよい。また、組成物は、ヒト及び非ヒト動物に経口摂取させるにあたり、常温の状態、温かい状態、冷たい状態等から任意に選択することができる。ただし、摂取する際に、腸の低温化は内臓機能低下に繋がることを配慮する必要がある。
【0019】
また、組成物の摂取方法として、ヒトおよび非ヒト動物による経口摂取が一般的である。ただし、経口摂取は例示であり、経口摂取以外の経管投与、経鼻管投与、座薬等の体内への投与も、肌質を改善するための組成物および肌質改善剤の形状に応じて可能である。例えば、粘性を有する液状の組成物又は半固形状の組成物とすることで、経口摂取ができないヒト及び非ヒト動物に対しても投与することができる。
経口摂取にあたって、組成物の経口剤の形態として、顆粒剤、散剤、錠剤(糖衣錠を含む)、丸剤、カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤等が挙げられる。なお、上記した組成物は、それらの成分のみで構成されているのが好ましい。いわゆる添加物は含まないことが好ましい。ただし、組成物は、当分野で通常行われている手法により、薬学上許容される担体を用いて製剤化することができる。薬学上許容される担体としては、賦形剤、結合剤、希釈剤、添加剤、香料、緩衝剤、増粘剤、着色剤、安定剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、防腐剤等が挙げられる。
【0020】
組成物を4週間(28日間)以上摂取させることによって、肌質を改善させることができる。そのために、4週間以上の組成物をセッットとして提供してもよい。
【0021】
本発明は、ハイアミロースコーンスターチを、肌質の改善に有効な1日分の摂取量で4週間以上摂取させることを含む、肌質の改善方法である。ただし、ヒトに対する医療行為を除く。
なお、この肌質の改善方法として、ハイアミロースコーンスターチの部分を、前述の組成物(ハイアミロースコーンスターチとイヌリン、フラクトオリゴ糖、βグルカン、乳酸菌、大豆との組み合わせ)としてもよい。
【実施例0022】
以下の例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
(1)ハイアミロースコーンスターチのみを成分とする組成物、(2)ハイアミロースコーンスターチとイヌリンを成分とした組成物、(3)6種の成分(ハイアミロースコーンスターチとイヌリンとフラクトオリゴ糖とβグルカンと乳酸菌と大豆)を含む組成物が皮膚に与える影響を検証するために以下の試験を行った。
【0023】
試験方法としては、ダブルブラインドテスト(double blind test;DBT、二重盲検試験)である。
測定機器は、Courage+Khazaka(ドイツ)社製Corneometer CM825(型番:CM825MP)を用いた。
また、測定部位としては、顔の眉間上の額中央部の1箇所とした。そして、皮膚表面から約15μm(主に角層)に含まれる「水分量」を12回測定し、最大値と最小値を除外した10回分の数値から平均値を算出した。
測定方法は、恒温恒湿室内(24℃,30%Rh)において、成人8名、4グループ、合計16名を被験者として行った。30分以上暴露した状態で待機後、測定を開始した。
測定期間は、摂取した物に応じて、以下の4グループに分け、2021年5月1日から順次28日間後、56日間後に測定した。それぞれ午前10~12時の時間帯で行った。
(1)ホエイプロティン(たんぱく質92.4%,水分4.0%,脂質1.3%,灰分2.3%)
(2)水
(3)ハイアミロースコーンスターチ(成分:湿熱処理レジスタントスターチ含有量60%以上)
(4)ハイアミロースコーンスターチ(成分:湿熱処理レジスタントスターチ含有量60%以上)とイヌリンを成分とした組成物
(5)6種類の成分を含む組成物(原材料:ハイアミロースコーンスターチ、イヌリン、大豆、フラクトオリゴ糖、パン酵母由来βグルカン、有胞子性乳酸菌)。(5)の組成物に含まれるハイアミロースコーンスターチは、(3)と同様に湿熱処理レジスタントスターチ含有量60%以上のものである。
【0024】
(1)と(2)がプラセボ試料に該当し、(3)と(4)と(5)が本発明の組成物の一形態に該当する。
(1)、(3)、(4)、(5)は、被験者に、1日3回、食前に200ccの水に15gの粉末を溶かし飲用してもらった。(2)については、被験者に、1日3回、食前に200ccの水を飲用してもらった。
【0025】
なお、本試験を行うにあたって、被験者について、以下に示すようなスクリーニングを行っている。
・生活習慣アンケート(年齢、既往歴、合併症、食物アレルギーの有無、医薬品や健康食品の摂取状況、飲酒等の確認)、自覚アンケート(肌の状態、排便の状態)、理学的検査(身長、体重、血圧、脈拍数、BMI)を実施し、除外基準(除外基準については、以下に詳細に示す)を適用して、成人32名を選抜した。
【0026】
スクリーニングにおける除外基準は以下の通りである。
以下の者をスクリーニング対象から除外した。
・現在、何らかの慢性疾患を有し、薬物治療を受けている者
・牛乳、大豆にアレルギーを有する者
・乳糖不耐症を有する者
・スクリーニング前3か月間に、明らかに普段と異なる強い情動的ストレスを抱えている者
・スクリーニング前3か月間に、明らかに普段と異なる食習慣に変わった者
・スクリーニング前3か月間に、明らかに普段と異なる医薬品や健康食品を飲用している者
・スクリーニング前3か月間に、他の臨床試験およびモニター試験に参加した者、あるいは本試験同意後に他の臨床試験に参加する予定のある者
・妊娠している者、試験期間中に妊娠の予定、希望がある者
・授乳中の者
・アルコール多飲用者(純アルコール換算で、1日平均60g以上を超える飲酒者)
なお、多量飲酒者(ハイリスク群)は、飲酒する日には純アルコール換算で60g以上飲酒している人(2013年の厚生労働省研究班の調査による)が該当する。
・その他、被験者として不適当と判断した者
【0027】
また、試験後の除外として、試験中に新たに普段と異なる医薬品や健康食品を服用・摂取した者は対象から除外した。
【0028】
(1)ホエイプロティンを摂取した8人の被験者について、摂取前、摂取開始から28日後、56日後の前記測定機器で測定した結果を表1に示す。つまり、額の皮膚表面から約15μmに含まれる水分量を示す数値(10回測定した平均値)である。
【表1】
そして、その試験結果の四分位数を表2に示す。四分位数とは、データを小さい順に並べて、4等分したものである。小さい値から数えて、総数の1/4番目に当たる値が第一四分位数、真ん中に当たる値が第二四分位数(つまり、中央値)、3/4番目にあたる値が第三四分位数となる。
【表2】
【0029】
(2)水を摂取した8人の被験者について、摂取前、摂取開始から28日後、56日後の前記測定機器で測定した結果を表3に示す。つまり、額の皮膚表面から約15μmに含まれる水分量を示す数値(10回測定した平均値)である。
【表3】
そして、その試験結果の四分位数を表4に示す。
【表4】
【0030】
(3)ハイアミロースコーンスターチのみを成分とした組成物を摂取した8人の被験者について、摂取前、摂取開始から28日後、56日後の前記測定機器で測定した結果を表5に示す。つまり、額の皮膚表面から約15μmに含まれる水分量を示す数値(10回測定した平均値)である。
【表5】
そして、その試験結果の四分位数を表6に示す。
【表6】
【0031】
(4)ハイアミロースコーンスターチとイヌリンを成分とした組成物を摂取した8人の被験者について、摂取前、摂取開始から28日後、56日後の前記測定機器で測定した結果を表7に示す。つまり、額の皮膚表面から約15μmに含まれる水分量を示す数値(10回測定した平均値)である。
【表7】
そして、その試験結果の四分位数を表8に示す。
【表8】
【0032】
(5)6種類の成分を含む組成物を摂取した8人の被験者について、摂取前、摂取開始から28日後、56日後の前記測定機器で測定した結果を表9に示す。つまり、額の皮膚表面から約15μmに含まれる水分量を示す数値(10回測定した平均値)である。
【表9】
そして、その試験結果の四分位数を表10に示す。
【表10】
【0033】
図1~5は、箱ひげ図形式のグラフで試験結果を表したものである。箱ひげ図は、四分位数を用いてデータの散らばりを表している。図1は(1)ホエイプロティンを摂取した8人の被験者の試験結果、図2は(2)水を摂取した8人の被験者の試験結果、図3は(3)ハイアミロースコーンスターチのみを成分とした組成物を摂取した8人の被験者の試験結果、図4は(4)ハイアミロースコーンスターチとイヌリンを成分とした組成物を摂取した8人の被験者の試験結果、図5は(5)6種類の成分を含む組成物を摂取した8人の被験者の試験結果である。
【0034】
プラセボ試料である(1)ホエイプロティン、(2)水を摂取した8人の被験者の試験結果では、摂取前、摂取28日後、摂取56日後において、水分量の有意な変化はみられなかった(図1図2参照)。
【0035】
本発明の組成物の一形態である(3)ハイアミロースコーンスターチのみを成分とした組成物では、摂取前と摂取28日後を比較して、第三四分位数、第二四分位数において、水分量の有意な増加がみられた(図3参照)。そして、摂取前と摂取56日後を比較して、上限、第三四分位数、第二四分位数、第一四分位数、下限の全てにおいて、水分量の有意な増加がみられた(図3参照)。いわゆる肌の保水量が増加していることがわかる。
【0036】
本発明の組成物の一形態である(4)ハイアミロースコーンスターチとイヌリンを成分とした組成物では、摂取前と摂取28日後を比較して、第三四分位数、第二四分位数において、水分量の有意な増加がみられた(図4参照)。そして、摂取前と摂取56日後を比較して、上限、第三四分位数、第二四分位数、第一四分位数、下限の全てにおいて、水分量の有意な増加がみられた(図4参照)。いわゆる肌の保水量が増加していることがわかる。
【0037】
本発明の組成物の一形態である(5)6種類の成分を含む組成物では、摂取前と摂取28日後を比較して、上限、第三四分位数、第二四分位数、第一四分位数、下限の全てにおいて、水分量の有意な増加がみられた(図5参照)。そして、摂取前と摂取56日後を比較して、上限、第三四分位数、第二四分位数、第一四分位数、下限の全てにおいて、水分量の有意な増加がみられた(図5参照)。さらに、摂取28日後と摂取56日後を比較しても、上限、第三四分位数、第二四分位数、第一四分位数、下限の全てにおいて、水分量の有意な増加がみられた(図5参照)。いわゆる肌の保水量が増加していることがわかる。
【0038】
これらの試験結果から、(3)ハイアミロースコーンスターチのみを成分とした組成物、(4)ハイアミロースコーンスターチとイヌリンを成分とした組成物、(5)6種類の成分を含む組成物には、肌の水分量を改善する効果、すなわち肌質を改善する効果があることが示唆される。
【0039】
また、本試験において、被験者による感想を以下に記す。
(3)ハイアミロースコーンスターチのみの成分である組成物を摂取した被験者による感想
・化粧ノリが良くなった
・気にある顎のカサカサがなくなった
・肌がしっとりしてきた
・肌の艶が良くなったような気がする
【0040】
(5)6種類の成分を含む組成物を摂取した被験者による感想
・化粧ノリが良い
・周りから肌のキメが良くなったと言われる
・肌の調子が良い
・肌が乾燥しにくくなった気がする
・乾燥していた部分がなくなった
・肌にハリが出たように思う
これらの被験者による感想からも、肌質を改善する効果があることが示唆される。
【0041】
(4)ハイアミロースコーンスターチとイヌリンを成分とした組成物の場合
上記(3)の感想と同じであり、以下のような便通についての改善がみられた。
摂取前においては、被験者8名のうち、3名が慢性の便秘症状があり、残りの5名は、ほぼ毎日1回排便があった。この5名のうち、便が比較的柔らかいのが1名、残りの4名は特筆するものがなかった。
ハイアミロースコーンスターチとイヌリンを成分とした組成物を摂取した28日後、56日後における被験者による便通は以下の通りである。
被験者8名全て、ほぼ毎日排便があり、6名は1日に2~3回と排便回数が増えた。便の状態は、比較的柔らかいもので、スムーズに排便するようになった。





図1
図2
図3
図4
図5