(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020945
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】乳房トモシンセシスのための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/02 20060101AFI20230202BHJP
【FI】
A61B6/02 300F
A61B6/02 300Z
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022111581
(22)【出願日】2022-07-12
(31)【優先権主張番号】17/443,939
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】319011672
【氏名又は名称】ジーイー・プレシジョン・ヘルスケア・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンサン・ビスマス
(72)【発明者】
【氏名】シルヴァン・ベルナール
(72)【発明者】
【氏名】ファニー・パトロー
(72)【発明者】
【氏名】ヤナ・ポポヴァ
(72)【発明者】
【氏名】ジョルジュ・コルシノ・エスピノ
(72)【発明者】
【氏名】グザヴィエ・マンカルディ
(72)【発明者】
【氏名】マチルダ・ラヴィエール
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA11
4C093CA01
4C093CA27
4C093CA35
4C093CA39
4C093DA06
4C093EC25
4C093FA34
4C093FA55
4C093FF15
4C093FF28
4C093FF42
4C093FF47
4C093FF50
(57)【要約】
【課題】ディジタル乳房トモシンセシス(DBT)において、メモリ利用量を減少させ、また画質及び読み取り等の時間を改善する。
【解決手段】DBT取得を提示するための乳房のスラブの非一様な厚み及び/又は標本化のための様々なシステムが提供される。撮像対象を表わす一組のスラブとして患者画像を形成する方法が、トモシンセシス投影を取得するステップと、一連のスラブ画像を再構成するステップとを含んでおり、各々のスラブが乳房の部分を表わし、複数のスラブが、x軸、y軸、及びz軸により画定される3D再構成された領域において非一様厚み及び/又は非一様標本化を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像対象を表わす一組のスラブとして患者画像を形成する方法であって、
トモシンセシス投影を取得するステップと、
一連のスラブ画像を再構成するステップと
を備えており、各々のスラブが乳房の部分を表わし、複数のスラブが、x軸、y軸、及びz軸により画定される三次元(3D)再構成された領域において非一様厚み及び/又は非一様標本化を有する、方法。
【請求項2】
各々のスラブが、前記トモシンセシス投影を取得する検出器に平行であり、各々のスラブが、前記部分の高さに依存して異なる厚みを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
スラブ厚み及び/又は標本化は、前記乳房の厚み、平均病変寸法、トモシンセシス開口角、及び/又は圧迫板形式を含むイメージング・システム・パラメータに基づいている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
スラブ厚み及び/又は標本化は、関心区域に基づいており、検出アルゴリズムが前記乳房における関心区域を決定する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
各々のスラブがxy平面に平行であり、該xy平面に関して可変の局所厚みを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
各々のスラブの局所厚みは、前記乳房における関心区域の位置に基づいて決定される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
各々のスラブは、前記z軸に関する前記関心区域の前記位置に基づいて、彎曲し又は傾斜し得る、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
各々のスラブの前記局所厚みは、前記関心区域を含めると共に関心区域のない領域の包含を減少させるように適合調節される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
検出器と、
制御器であって、当該制御器の非一過性のメモリに命令が記憶されている制御器と
を備えた撮像装置用のシステムであって、前記命令は実行されると、
トモシンセシス投影データを取得し、
再構成アルゴリズムを介してトモシンセシス投影データから再構成された複数のスライスにおいて関心区域を特定し、
前記関心区域の各々から閾値距離だけ離隔した複数のスライスのデータを捉えるように構成された複数の第一のスラブ形式を成形して、
前記関心区域の各々の前記閾値距離の範囲内にある前記複数のスライスのデータを捉えるように構成された複数の第二のスラブ形式を成形する
ことを前記制御器に行なわせ、前記閾値距離はx軸、y軸、及びz軸を含む三次元の軸の系に沿って測定され、前記複数の第一及び第二のスラブ形式は非一様な厚みを含んでいる、システム。
【請求項10】
前記命令はさらに、関心区域が特定されないことに応じて前記複数の第一のスラブ形式の厚みを最大化することを前記制御器に行なわせる、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記命令はさらに、前記複数の第二のスラブ形式の厚みを最小化することを前記制御器に行なわせる、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
命令はさらに、前記複数のスライスのうち関心区域のない第一のスライスの部分を含むように、前記複数の第一のスラブ形式の第一のスラブ形式を成形することを前記制御器に行なわせ、また前記命令は、前記複数のスライスのうち前記関心区域を含む前記第一のスライスの残部を含むように、第二のスラブ形式を成形することを前記制御器に行なわせる、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記命令はさらに、前記複数の第一のスラブ形式及び前記複数の第二のスラブ形式を前記検出器に対して非平行に成形することを前記制御器に行なわせ、前記複数の第一のスラブ形式及び前記複数の第二のスラブ形式は前記xy平面に対して角度変更されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記関心区域の2以上が互いの前記閾値距離の範囲内にあることに応じて、前記複数の第二のスラブ形式の単一のスラブが前記2以上の関心区域を含んでいる、請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
前記複数の第二のスラブ形式の一つが第一の関心区域を含んでおり、前記複数の第二のスラブ形式の他の一つが第二の関心区域を含んでおり、前記第一の関心区域と前記第二の関心区域との間の距離が前記閾値距離よりも大きい、請求項9に記載のシステム。
【請求項16】
遠隔プロセッサと、
制御器であって、当該制御器の非一過性のメモリに命令が記憶されている制御器と
を備えた多次元画像データセットから画像を形成するシステムであって、前記命令は実行されると、
各々がxy平面に垂直なz軸に沿って離隔されている複数のスライスを前記遠隔プロセッサへ送り、
前記複数のスライスにおいて関心区域を特定して、
前記複数のスライスの各々を、前記関心区域の位置に基づいて複数のスラブの異なるスラブに分割する
ことを前記制御器に行なわせる、システム。
【請求項17】
関心区域を含むスライスからのデータが、第一のスラブ及び第二のスラブに分割され、前記第一のスラブは、前記関心区域から閾値距離だけ離隔した前記スライスの部分からのデータを含んでおり、前記第二のスラブは、前記関心区域の前記閾値距離の範囲内にある前記スライスの部分からのデータを含んでいる、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記閾値距離は乳房厚に基づいて調節可能である、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記関心区域の各々が、前記複数のスラブの一つに配置される、請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
異なる関心区域を含む前記複数のスラブの異なるスラブが、関心区域のないスラブにより離隔される、請求項16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本書に開示される主題の各実施形態は、ディジタル乳房トモシンセシスのための非一様標本化に関する。
【背景技術】
【0002】
X線トモシンセシスは、乳房の3D(三次元)表現(例えば3Dモデル)を作成する代替的な乳房X線撮像手法として用いられ得る。3Dモデルを観察するための一つのモードは、スタックと呼ばれる3Dモデルを形成する一連の2D(二次元)画像を観察することによる。スタックの内部の2D画像をスライスとも呼ぶ。
【0003】
トモシンセシス画像を検討するための幾つかの手法に計算機支援式検出(CAD)がある。CADは、疑われる異常、異常の位置、及び他の特性を特定するコンピュータを用いた画像解析方法を含み得る。CADアルゴリズムは、画像の関心区域を目標として着目することができる。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態では、撮像対象を表わす一組のスラブとして患者画像を形成する方法が、トモシンセシス投影を取得するステップと、一連のスラブ画像を再構成するステップとを含んでおり、各々のスラブが乳房の部分を表わし、複数のスラブが、x軸、y軸、及びz軸により画定される3D再構成された領域において非一様厚み及び/又は非一様標本化を有する。
【0005】
以上の簡単な説明は、詳細な説明においてさらに記載される様々な概念を単純化された形態で提起するために掲げられていることを理解されたい。かかる記載は、請求される主題の主要な又は本質的な特徴を特定するためのものではなく、請求される主題の範囲は、詳細な説明の後の特許請求の範囲によって一意に画定される。さらに、請求される主題は、上に記載される又は本開示の何れの部分に記載される何れの短所を解決する具現化形態にも限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示は、以下の非限定的な実施形態についての記載を添付図面と関連させて読むとさらに十分に理解されよう。
【0007】
【
図1】例示的なイメージング・システムの線図である。
【
図2】例示的なイメージング・システムの実世界での例の線図である。
【
図3】ディジタル乳房断層写真法データセットの非一様スラブを生成する第一の例を示す図である。
【
図4】ディジタル乳房断層写真法データセットの非一様スラブを生成する第二の例を示す図である。
【
図5】ディジタル乳房断層写真法データセットの非一様スラブを生成する第三の例を示す図である。
【
図6】ディジタル乳房断層写真法データセットに基づいて非一様スラブを生成する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の記載は、非一様スラブを介してトモシンセシス画像を再構成する撮像方法の実施形態に関する。ディジタル乳房断層写真を取得するシステムの一例を
図1及び
図2に示す。ディジタル乳房断層写真法(DBT)時に走査された乳房組織の画像を形成するために非一様スラブを利用する例を
図3、
図4、及び
図5に示す。容積測定画像において関心区域に基づいてスラブの形状を調節する方法を
図6に示す。
【0009】
一例では、DBT容積を再構成するための従来の方法は、乳房の最上部及び最下部の余分な平面を再構成することを含んで、乳房の最上部及び最下部の位置の不確実性(乳房支持台の形式、圧迫板の形式、スペーサ、及び圧縮力等のため)を算入する場合がある。これら存在する余分な平面は、乳房支持台又は圧迫板の存在のため画質が低下し、また読み取り時間及び記憶容量要求を増大させる場合がある。本開示による一実施形態では、DBT容積の最初及び最後の平面を非一様スラブによって置き換えることができ、これによりメモリ利用量を減少させ、また画質及び読み取り時間を改善することができる。
【0010】
一実施形態では、外縁から乳房の中心平面にかけてスラブを切り換えるように、厚みが減少するスラブによる漸進的移行を具現化することができる。もう一つの実施形態では、スラブの一様性を調節することができ、関心区域を含む容積測定画像の部分と、関心区域を有しない容積測定画像の部分とに基づいてスラブを分離することができる。関心区域は、病変、腫瘍、しこり、石灰化、膿瘍、又は組織からの他の逸脱を含み得る。
【0011】
病変検出器が容積測定画像に適用されることができ、この検出器は、スラブの標本化及び/又は厚みを操作するために、病変若しくは対照的で顕著な特徴を指示するCAD又は発見的方法に基づく手動注釈を含み得る。一実施形態では、多数の予め決められたパラメータがこの標本化を駆動することができる。例えば、最大の標本化ステップは、病変当たり一つの標本化ステップ又は多数の標本を含み得る。このことは、各々の病変型毎に、独立に設定され得る。加えて又は代替的には、パラメータは、乳房寸法、過去の走査履歴、及び他の患者要因に基づいて調節され得る。
【0012】
方法の一例が、特定された関心区域が存在しない走査面に垂直な軸に沿って区間を決定するステップを含み得る。関心区域が存在しないため関心区域が連続的に特定されない場合には、各々のかかる区間は一つのスラブのみとして表わされる。このようにして、関心区域が存在しないDBT画像の部分をまとめて単一の非一様スラブとすることができ、メモリ消費を最小化すると共に読み取り時間を短縮することができる。
【0013】
潜在的な病変又は他の形態の関心区域が存在するときに、本開示の一実施形態は、予め決められた値又は数の標本を含むように標本化を適合構成することを含み得る。例えば、各々の腫瘤毎にパラメータを設定することができ、第一の関心区域が複数のスラブに含まれる場合があり、また第二の関心区域が単一のスラブに含まれる場合もある。
【0014】
もう一つの実施形態では、加えて又は代替的に、スラブの局所厚みが適合構成されて、可変厚みを有するスラブを得る。このスラブは、病変の中心平面を示すか、病変の全てを包含するか、中間の望まれる結果を示すかの何れかになるように設定され得る。例えば、病変の断面が2以上のスラブを介して捉えられ得る。
【0015】
いくつかの潜在的な病変がz軸(例えば垂直軸)の極く近傍に位置する場合には、一実施形態は、検出器に平行なxy平面では一様でありz軸では非一様である標本化を有するスラブを含み得る。
【0016】
もう一つの実施形態では、検出器に平行でなく(傾斜面又は彎曲面の何れか)一様な厚みを有するスラブが、3D空間に対して(例えばx軸、y軸、及びz軸の各々に対して)彎曲させられる。
【0017】
さらに他の実施形態では、検出器に平行なスラブが、乳房の別々の位置に位置する異なる関心区域同士の間の厚みについて変化し得る。一例では、異なる関心区域は、他方の閾値距離の範囲内に位置していてもよいし、xy平面に平行な共通のスライスに沿って配置されていてもよい。
【0018】
DBTの異方性のため、スラブの閾値曲率は、垂直方向に容積を過度にスライスすることを回避するように設定され得る。閾値曲率は、乳房寸法、切開されているスライス数、過去の走査履歴、及び他の撮像パラメータの1又は複数に基づく非ゼロの正数であってよい。
【0019】
図1から
図2は、様々な構成要素の相対的な配置を有する構成の例を示す。互いに直に接し又は直に結合されて示されている場合には、かかる要素は、少なくとも一例では、それぞれ直に接している又は直に結合されていると参照され得る。同様に、互いに連続し又は隣り合って示されている要素は、少なくとも一例では、それぞれ互いに連続し又は隣り合っていてよい。一例として、互いに面を共有して接触して位置する構成要素は、面共有接触していると参照され得る。もう一つの例として、間に空間のみを介して他の構成要素を介さずに互いから離隔して配置される要素は、少なくとも一つの例ではそのようなものと参照され得る。さらにもう一つの例として、互いの上下に示されている要素、互いの表裏に示されている要素、又は互いの左右に示されている要素は、互いに対してそのようなものと参照され得る。さらに、各図面に示すように、少なくとも一つの例では、最上の要素又は要素点は構成要素の「最上部」と参照され、最下の要素又は要素点は構成要素の「最下部」と参照され得る。本書で用いられる場合に、最上/最下、上/下、直上/直下の各表現は、図面の上下軸に対するものであってよく、これらの表現を用いて、各図面の各要素の互いに対する配置を記述する。このようなものとして、他の要素の直上に示される要素は、一例では、他の要素の垂直方向に直上に配置されている。さらにもう一つの例として、各図面内に図示される要素の形状は、当該形状を有する(例えば円形である、直線である、平坦である、彎曲している、丸い、面取りされている、又は角度変更されている等)と参照され得る。さらに、互いに交差して示されている要素は、少なくとも一つの例では、交差要素又は互いに交差していると参照され得る。さらにまた、他の要素の内部又は他の要素の外部に示されている要素は、一例ではそのようなものと参照され得る。
【0020】
図1は、参照番号10によって全体的に示される例示的なトモシンセシス・システムの線図表現であって、このシステムは、本発明の手法に従って着目被検体を通る様々なスライス又はスラブの画像を含めてトモシンセシス画像を取得し、処理し、また表示するためのものである。スラブは、乳房支持台の形式、圧迫板の形式、スペーサ、及び圧縮力等のようなシステム・パラメータに依存し得る。
図1に示す実施形態では、トモシンセシス・システム10は、全体的に平面内で又は三次元において可動であるX線の線源12を含んでいる。この実施形態の一例では、X線源12は典型的には、X線管と、付設された支持及び濾波用の構成要素を含んでいる。一例では、支持は、患者の乳房が配置される物体に対応し得る。加えて又は代替的には、患者の乳房は、板の間で圧縮され得る。患者の乳房の支持及び圧縮は、1又は複数の撮像パラメータを画定し得る。
【0021】
放射線14の流れが線源12によって放出されて、患者18のような被検体の領域を通過する。コリメータ16は、X線源から被検体へ向けて発するX線ビーム14の寸法及び形状を画定するためのものである。放射線の部分20が被検体の内部及び周囲を通過して、参照番号22によって全体的に表わされている検出器アレイに入射する。アレイの検出器素子は、入射したX線ビームの強度を表わす電気信号を発生する。これらの信号が取得されて、被検体の内部の特徴の画像を再構成するように処理される。
【0022】
線源12は、被検体18及び検出器22に対する当該線源12の位置を含め、トモシンセシス検査系列のための電力信号及び制御信号の両方を供給するシステム制御器24によって制御される。また、検出器22もシステム制御器24に結合され、システム制御器24は、検出器22によって発生される信号の取得を命令する。システム制御器24はまた、ダイナミック・レンジの初期調節、及びディジタル画像データのインタリーブ処理等のような様々な信号処理作用及びフィルタ処理作用を実行し得る。システム制御器24は、検査プロトコルを実行して、取得されたデータを処理するようにイメージング・システム10の動作を命令する。ここでの状況では、システム制御器24はまた、典型的には汎用又は特定応用向けのディジタル・コンピュータを用いた信号処理回路、コンピュータによって実行されるプログラム及びルーチンや構成パラメータ及び画像データを記憶するための付設されるメモリ回路、並びにインタフェイス回路等を含んでいる。
【0023】
図1に示す実施形態では、システム制御器24は、線源12によるX線の発生を調整するX線制御器26を含んでいる。具体的には、X線制御器26は、電力信号及びタイミング信号をX線源12に供給するように構成されている。モータ制御器28は、被検体18及び検出器22に関して線源12の位置及び配向を調整する位置サブシステム32の移動を制御するためのものである。位置サブシステムはまた、線源12ではなく又は線源12に加えて検出器22の移動又は患者18の移動も生じ得る。幾つかの構成、具体的には、多数のアドレス指定可能な線源12が設けられているような構成では、位置サブシステム32は省かれ得ることを特記しておく。かかる構成においては、投影は、患者18及び/又は線源22に対して異なるように配置されたX線の異なる線源の起動を通じて達成され得る。最後に、
図1の図示では、検出器22は、該検出器22の読み取り電子回路によって収集されたデータを受け取るデータ取得システム30に結合されている。データ取得システム30は典型的には、標本化されたアナログ信号を検出器から受け取って、これらの信号を、コンピュータ34によって後に行なわれる処理のためにディジタル信号へ変換する。かかる変換、また実際には任意の前処理が、検出器アセンブリ自体の内部である程度まで実際に実行され得る。
【0024】
コンピュータ34は典型的には、システム制御器24に結合されている。データ取得システム30によって収集されたデータはコンピュータ34へ、またさらにメモリ装置36へ伝達される。任意の適当な形式のメモリ装置、また実際には任意の適当な形式のコンピュータが、本発明の手法に合わせて構成されることができ、具体的には、プロセッサ及びメモリ装置は、システム10によって生成される大量のデータを処理して記憶するように構成され得る。また、コンピュータ34は、キーボード、マウス、又は他の入力装置を典型的に備えた操作者ワークステーション38を介して操作者から命令及び走査パラメータを受け取るように構成され得る。操作者は、これらの装置を介してシステムを制御することができ、また画像データを取得するために検査を開始することができる。また、コンピュータ34は、画像データの再構成を実行するように構成され、このことについては後にあらためて詳述する。望まれる場合には、他のコンピュータ又はワークステーションが、メモリ装置36、又はこのイメージング・システムの所在地若しくはこの所在地から遠隔に位置する他のメモリ装置からアクセスされる画像データの後処理を含めた本発明の手法の作用の幾つか又は全てを実行してもよい。
【0025】
図1の線図では、再構成された画像を観察したり、撮像を制御したりするために、表示器40が操作者ワークステーション38に結合されている。加えて、画像はまたプリンタ42を介してハードコピーとして印刷又は他の方法で出力され得る。操作者ワークステーション、及びシステム全体は、医用画像保管通信システム(「PACS」)44のような大規模画像データ記憶装置に結合され得る。PACS44は、遠隔観察及び本書に記載されているような処理のための画像及び画像データを要求しまた伝送する等のために、参照番号46に示されているような遠隔クライアントに結合され得る。さらに、コンピュータ34及び操作者ワークステーション38は、標準的な又は特殊目的のコンピュータ・モニタ、コンピュータ、及び付設される処理回路を含み得る他の出力装置に結合され得ることを特記しておく。さらに、1又は複数の操作者ワークステーション38が、システム・パラメータを出力する、検査を依頼する、及び画像を観察する等のためにシステムに連結されていてよい。一般的には、表示器、プリンタ、ワークステーション、及びシステムの内部に提供される同様の装置は、データ取得構成要素に対して域内に位置していてもよいし、インターネット、仮想私設網、及び構内網等のような任意の適当な網によってイメージング・システムに連結されて施設内の他の場所や全く異なる位置等でこれらの構成要素から遠隔に位置していてもよい。
【0026】
図2を全体的に参照して述べると、
図1に関して議論された形式のトモシンセシス・イメージング・システムの例示的な具現化形態が示されている。特定のトモシンセシス・イメージング・システムが
図2に示されているが、マンモグラムに関連するもののような他の任意の形式のトモシンセシス画像システムが、本書に記載される実施形態の任意のものに従って用いられ得ることを特記しておく。
図2に示すように、撮像用スキャナ47は一般的には、線源12と検出器22との間に被検体18を挟んで配置することを可能にする。
図2では被検体と検出器22との間に空間が示されているが、幾つかの実施形態では、被検体は検出器22の撮像面の直に前方に又は該撮像面22に押圧されて配置されていてよい。例えば、ディジタル乳房トモシンセシス(DBT)では、撮像される乳房は一般的には、検出器カバーの直上に配置される。検出器22はまた、寸法及び構成が様々であってよい。X線源12は、一つ又は一連の投影を生成するために、線源位置又は位置48に配置されているものとして示されている。一般的には、線源は、多数のかかる投影が撮像系列において達成されることを可能にする等のために、撮像される解剖学的構造に対して可動である。
図2の図示では、線源12について利用可能な位置の配列によって、彎曲した線源面49が画定される。この彎曲した線源面49は例えば、異なるビューからの投影を取得するために、旋回点を中心として回転するガントリ・アームに取り付けられたX線管を表わし得る。線源面49は、可動式線源12のための他の三次元軌跡によって置き換えられてもよい。代替的には、二次元又は三次元のレイアウト及び構成が、独立に可動である場合もない場合もある多数の線源について画定され得る。
【0027】
典型的な動作では、X線源12はその焦点から、検出器22へ向けてX線ビームを投射する。ビーム14のうち被検体18を横断した部分が、結果として減弱したX線20を生じ、この減弱したX線20が検出器22に入射する。このように、この放射線は、医用撮像の場合には体内の解剖学的構造のような被検体の内部の特徴によって減弱し又は吸収される。検出器22は、結果として得られる画像データにおける離散的な画素又はピクセルに全体的に対応する複数の検出器素子によって形成される。個々のピクセル電子回路は、各々のピクセル位置に入射した放射線の強度を検出し、放射線を表わす出力信号を発生する。実施形態の一例では、検出器は、2048×2048ピクセルのアレイから成っている。もう一つの実施形態では、検出器は、2304×1920ピクセルのアレイから成っている。他の検出器構成及び分解能も言うまでもなく可能である。各々のピクセル位置にある各々の検出器素子が、入射した放射線を表わすアナログ信号を発生し、このアナログ信号が、処理のためのディジタル値へ変換される。
【0028】
線源12は移動して起動され、又はずらして分散配置された線源が同様に起動されて、異なる線源位置からの複数の投影又は画像を形成する。これらの投影は、異なるビュー角度において生成され、結果として得られるデータ(すなわち投影ラジオグラフ)がイメージング・システムによって収集される。乳房撮像に関連する実施形態の一例では、線源12が取り付けられたガントリ又はアームは、検出器22と同高に位置する旋回点を有する。線源12の焦点からガントリ又はアームの旋回点までの距離は、66.0cm又は他の距離である。旋回点に関するガントリの考察される角度範囲は、-30度から30度までである。尚、0度はガントリ・アームの垂直位置(すなわちX線コーン・ビームの中心線が検出器平面に垂直になる位置)に対応している。このシステムによれば典型的には、ガントリの全角度範囲を網羅する各々3度ずつ離隔した21の投影ラジオグラフが取得される。但し、画像の数及び角度間隔は様々であってよい。投影ラジオグラフのこの集合が、トモシンセシス投影データセットを構成する。
【0029】
本開示の実施形態は、撮像対象を表わす患者画像を形成する方法を含み得る。この方法は、トモシンセシス投影データを取得するステップを含み得る。トモシンセシス投影データは解析されて、複数のスライスに分割され得る。これら複数のスライスは、再構成アルゴリズムを介してトモシンセシス投影データの投影に基づいて構成され得る。一例では、複数のスライスの各々がxy平面内で構成され、xy平面に垂直なz軸に沿って離隔される。計算機支援式検出が、取得されたトモシンセシス投影データに基づいて制御器を介して1又は複数の関心区域を特定して1又は複数のスラブによる患者画像を形成することができ、ここで1又は複数のスラブは、複数のスライスの1又は複数の全て又は部分からのデータを含んでいる。
【0030】
1又は複数のスラブは、関心区域の位置に基づいてx軸、y軸、又はz軸の1又は複数に関して非一様であってよい。例えば、第一のスラブ形式の成形が、関心区域のない複数のスライスの部分に基づき得る。この成形は、厚み及び/又は標本化パラメータに基づいて決定され得る。代替的には、第二のスラブ形式の1又は複数のスラブの成形が、関心区域を含む複数のスライスの部分に基づき得る。第一のスラブ形式及び第二のスラブ形式の成形は、関心区域までの閾値距離に基づいていてよく、ここで第一のスラブ形式の成形は、関心区域から少なくとも閾値距離だけ離隔した第一のスラブ形式の成形を含んでおり、第二のスラブ形式の成形は、関心区域の閾値距離の範囲内での第二のスラブ形式の成形を含んでいる。第一の関心区域及び第二の関心区域を含むようにした第二のスラブ形式の成形は、x軸、y軸、及びz軸に対する第二のスラブ形式の境界の彎曲、傾斜、角度変更、又は寸法の調節を含み得る。第二のスラブ形式の寸法は、関心区域に対して遠位の余分なデータが含まれないように縮小され得る。第一のスラブ形式の寸法は、可能な限り少ないスラブにおいて複数のスライスの残部が表現されるように最大化され得る。
【0031】
一例では、第一のスラブ形式及び第二のスラブ形式は非一様であってよい。第一のスラブ形式は、x軸、y軸、及びz軸の1又は複数の周りで非一様であり角度変更されていてよく、ここで非一様な第一のスラブ形式は、関心区域のない複数のスライスの部分を含んでいる。第二のスラブ形式は、x軸、y軸、及びz軸の1又は複数の周りで非一様であり角度変更されていてよく、ここで非一様な第二のスラブ形式は、関心区域を含む複数のスライスの部分を含んでいる。患者画像は、複数の第一のスラブ形式と第二のスラブ形式とを含んでいてよく、第一及び第二のスラブ形式の各々が互いと異なっていてよい(例えば非一様)。このようにして、各々の第二のスラブ形式は、各々の関心区域の寸法及び形状に合わせて適合形成され、各々の第一のスラブ形式は、関心区域がないように適合形成され得る。幾つかの例では、第一のスラブ形式及び第二のスラブ形式は、選択随意で彎曲していてよい。
【0032】
幾つかの例では、閾値距離は、x軸、y軸、及びz軸の各々の周りで固定値であり一様であってよい。このようにして、単一の関心区域を有するDBTについては、単一の関心区域を含むスライスの部分を含むスラブの形状は、形状が実質的に球形となり得る。加えて又は代替的には、閾値距離は、1又は複数の走査設定及び患者要因に基づいて調節される動的な値であってもよい。例えば、閾値距離は、z軸に沿ってより小さく、x軸及びy軸に沿ってより大きくてもよい。加えて又は代替的には、閾値距離は、スラブの寸法が増大するにつれて短縮されてもよい。すなわち、閾値距離は、スラブの初期生成時には第一の値であり、次いで、スラブの寸法が大きくなるにつれて第一の値よりも小さい第二の値まで短縮され得る。加えて又は代替的には、何らかの実施形態では、閾値距離は、関心区域の形式に基づいて調節されてもよい。閾値距離は、関心区域の重心から測定されてもよいし、関心区域の外周から測定されてもよい。
【0033】
もう一つの実施形態では、撮像装置のためのシステムが、制御器を介して動作する検出器を含んでいる。制御器は、当該制御器の非一過性のメモリに記憶された命令を含むことができ、命令は実行されると、トモシンセシス投影データを取得して、トモシンセシス投影データの投影に基づいて複数のスライスを生成することを制御器に行なわせる。複数のスライスの各々が、xy平面に垂直なz軸に沿って離隔され得る。計算機支援式検出(CAD)が、複数のスライスにおける関心区域を電子的に解析して特定するように構成される。CADは、関心区域の各々から閾値距離だけ離隔した複数のスライスのデータを捉えるように構成された複数の第一のスラブ形式を成形し得る。CADは、関心区域の各々の閾値距離の範囲内にある複数のスライスのデータを捉えるように構成された複数の第二のスラブ形式を成形することができ、閾値距離は、x軸、y軸、及びz軸を含む三次元の軸の系に沿って測定される。複数の第一及び第二のスラブ形式は彎曲している。関心区域が特定されなかったことに応じた複数の第一のスラブ形式の寸法は最大化され得る。複数の第二のスラブ形式の寸法は最小化され得る。複数の第二のスラブ形式は、関心区域の閾値距離の範囲内にある複数のスライスの部分のみからのデータを含んでいる。複数のスライスの残部は、複数の第一のスラブ形式に含まれる。CADは、複数のスライスのうち関心区域のない第一のスライスの部分を含むように複数の第一のスラブ形式の一つの第一のスラブ形式を成形することができ、ここで命令は、複数のスライスのうち関心区域を含む第一のスライスの残部を含むように第二のスラブ形式を成形することを制御器に行なわせる。複数の第一のスラブ形式及び複数の第二のスラブ形式は、検出器に非平行に成形されてもよい。複数の第一のスラブ形式及び複数の第二のスラブ形式は、xy平面に対して角度変更されてもよい。関心区域の2以上が互いの閾値距離の範囲内にあることに応じて、複数の第二のスラブ形式の単一のスラブがこれら2以上の関心区域を含んでいる。複数の第二のスラブ形式の一つが第一の関心区域を含んでおり、複数の第二のスラブ形式のもう一つが第二の関心区域を含んでいる。第一の関心区域と第二の関心区域との間の距離は、閾値距離よりも大きい。
【0034】
加えて又は代替的には、関心区域を含むスライスからのデータが、第一のスラブ及び第二のスラブに分割されてもよく、ここで第一のスラブは、関心区域から閾値距離だけ離隔したスライスの部分集合からのデータを含み、第二のスラブは、関心区域の閾値距離の範囲内にあるスライスの異なる部分集合からのデータを含んでいる。閾値距離は、乳房厚に基づいて調節可能であり得る。関心区域の各々が、複数のスラブの一つに配置される。異なる関心区域を含む複数のスラブの異なるスラブが、関心区域のないスラブによって離隔される。
【0035】
図3へ移ると、同図は、DBT300の一例を、DBT300のスライスに基づく複数のスラブを介して図示された容積測定画像350と共に示す。DBT300は、
図1の被検体18のような患者の左又は右の乳房のものであり得る。DBT300は複数のスライス302を含むことができ、各々のスライスが、軸の系390に関するxy平面に平行に取得され得る。xy平面は一例では、検出器の検出面に平行である。複数のスライス302の各々が、xy平面に垂直なz軸に沿って離隔され得る。
【0036】
容積測定画像350は、第一のスラブ352、第二のスラブ354、及び第三のスラブ356を含めて三つのスラブを含み得る。第一のスラブ352、第二のスラブ354、及び第三のスラブ356の各々の寸法は、複数のスライス302の内部の特定された関心区域に基づいて調節され得る。例えば、第一のスラブ352及び第三のスラブ356は第一のスラブ形式であってよく、検出された関心区域を全く含まない。一例では、コンピュータ支援式検出(CAD)が関心区域を検出することができ、関心区域が存在しない位置はx軸、y軸、及びz軸の各々において結合され得る。
【0037】
一例では、一つのスラブが、複数のスライス302の2以上のスライスの結合を介して生成される。各々のスライスが、検出器によるX線強度の検出に対応しており、画像として再構成され得る。このように、一つのスラブが、平均するか、又は最大強度投影若しくは他の任意の結合方法を適用するかの何れかにより画像を共に結合することを含み得る。従って、一つのスラブが、より多いデータを単一の画像として提供することができ、これにより医療スタッフに対し、より簡略な撮像を提供することが可能になる。本開示の一例では、生成されるスラブは、異常検出を介したDBTの区画(例えば関心区域)であって、正常な区画(例えば関心区域がない区画)がより少ない区画のようなスラブの一形式に、より多い関連情報を含み得る。
【0038】
第二のスラブ354は第二のスラブ形式であってよく、互いの閾値距離の範囲内に1又は複数の関心区域を含み得る。一例では、閾値距離は非ゼロの正数に基づいており、z軸に沿って測定される。第二のスラブ354は、z軸に沿って離隔された複数のスライス302のうち多数のスライスの区画を含み得る。第二のスラブは、検出器に平行でないスラブの内部で可変厚みを含み得る。すなわち、可変厚みはz軸に沿って変化し得る。加えて又は代替的には、第二のスラブ354の境界は、x軸及びy軸においてそれぞれ調節され得る。第二のスラブ354の中心軸355が含まれており、第二のスラブ354の形状は中心軸355によって部分的に画定され得る。中心軸355の全体が第二のスラブ354に含まれている。一例では、第二のスラブ354の形状は、中心軸355によって少なくとも部分的に画定され得る。
【0039】
第二のスラブ354の局所厚みはxy平面に沿った異なる位置で異なっていてよい。例えば、第二のスラブ354は、乳房の部分、関心区域、又は撮像パラメータに基づいて、幾つかの領域ではより厚く他の領域ではより薄くてよい。
【0040】
一例では、医師又は他の医療スタッフのような利用者が、第二のスラブ354のみを解析することができる。このようなものとして、
図3の画像取得及び提示は、他の断層写真法方法論に対してメモリ利用量がより少なく、また検討時間を改善することができる。
【0041】
このように、
図3の例では、複数のスラブが関心区域の位置に基づいて成形され得る。スラブは、第一のスラブ形式及び第二のスラブ形式に分割され得る。第一のスラブ352及び第三のスラブ356を含み得る第一のスラブ形式には関心区域がなく、第二のスラブ形式は第二のスラブ354を含むことができ関心区域を含む。第一のスラブ形式及び第二のスラブ形式は互いに相補的であり得る。すなわち、第一のスラブ形式の曲線と第二のスラブ形式の曲線とは相補的である。
【0042】
図4へ移ると、同図は、DBTの容積測定画像の複数のスライスを表現するための多数の可変厚みスラブの第二の例400を示している。第二の例400は、第一のスラブ410、第二のスラブ420、第三のスラブ430、第四のスラブ440、及び第五のスラブ450を含み得る。第一のスラブ410、第三のスラブ430、及び第五のスラブ450には関心区域がなく、第一のスラブ形式であり得る。
【0043】
第二のスラブ420は、第一の関心区域422及び第二の関心区域424を含み得る。第二のスラブ420の中心軸426が、第一の関心区域422及び第二の関心区域424の各々を通って延在していてよい。第二のスラブ420は、第一の関心区域422及び第二の関心区域424の位置の各々に基づいて、x軸、y軸、及びz軸の各々に沿って彎曲していてよい。一例では、第二のスラブ420の彎曲を用いて、第一の関心区域422及び第二の関心区域424の閾値距離の範囲内になるように第二のスラブ420の寸法を適合調節する。加えて又は代替的には、第二のスラブ420の寸法は、第一の関心区域422と第二の関心区域424との間の位置では縮小され得る。一例では、第二のスラブ420は複数のスライスからのデータを含むことができ、ここで複数のスライスから含まれるデータは、第一の関心区域422及び第二の関心区域424の少なくとも一方の閾値距離の範囲内にある。このようなものとして、第二のスラブ420は、各スライスの部分のみを含むことができ、各スライスの他の部分は第一のスラブ410、第三のスラブ430、第四のスラブ440、及び/又は第五のスラブ450に含まれ得る。
【0044】
第四のスラブ440は第三の関心区域442を含み得る。第四のスラブ440は、第三の関心区域442と第二の関心区域424又は第一の関心区域422との間の距離が閾値距離よりも大きいため、第二のスラブ420から離隔され得る。
【0045】
図4の例では、関心区域は単一のスラブにのみ含まれる。しかしながら、幾つかの画像取得の間には、関心区域が、スラブ同士が重なり合っているような多数のスラブに含まれる場合もある。加えて又は代替的には、幾つかのスラブは関心区域の中心線又は他の標認特徴のみを含み得る。
【0046】
複数のスライスは、第一のスライス461、第二のスライス462、第三のスライス463、第四のスライス464、第五のスライス465、第六のスライス466、第七のスライス467、第八のスライス468、及び第九のスライス469を含み得る。各々のスライスが、乳房のような対象の走査に基づいて形成され得る。複数のスライスの各々のスライスの寸法は固定されていてよく、各々のスライスがxy平面に平行である。
【0047】
第一のスラブ410は、第一のスライス461、第二のスライス462、第三のスライス463、及び第四のスライス464の各部分を含み得る。第二のスラブ420は、第二のスライス462、第三のスライス463、第四のスライス464、第五のスライス465、第六のスライス466、及び第七のスライス467からのデータを含み得る。第三のスラブ430は、第五のスライス465、第六のスライス466、第七のスライス467、第八のスライス468、及び第九のスライス469の各部分を含み得る。第四のスラブ440は、第七のスライス467、第八のスライス468、及び第九のスライス469の各部分を含み得る。第五のスラブ450は、第九のスライス469のみの部分を含み得る。
【0048】
幾つかの例では、加えて又は代替的に、成形されたスラブは、複数のスライスの一つのスライスのxy平面を完全に横断して延在していなくてもよい。z軸に沿ったスラブの伸び範囲は、単一のスラブが、共に積層された全てのスライスの合計高さよりも小さいz軸に沿った高さを含み得るように成形され得る。
【0049】
このようにして、複数のスライスの各々からのデータが、検出された関心区域に基づいて異なるスラブに分割され得る。第一の関心区域422は第四のスライス464、第五のスライス465、及び第六のスライス466に含まれ得る。第二の関心区域424は、第三のスライス463及び第四のスライス464に含まれ得る。第三の関心区域442は、第七のスライス467、第八のスライス468、及び第九のスライス469に含まれ得る。第二及び第四のスラブは、関心区域に関連付けられないデータの包含を最小化するように成形され彎曲し得る。例えば、第一のスラブ420の寸法は、第一及び第二の関心区域422、424のx軸、y軸、及びz軸の1又は複数に沿った閾値距離の範囲内にまで延在しない場合がある。幾つかの例では、2以上の関心区域が単一のスライスの内部に含まれ得る場合には、閾値距離が調節され得る。例えば、第一の関心区域422と第二の関心区域424との間のx軸に沿った距離が、閾値距離よりも大きい場合がある。しかしながら、第一の関心区域422及び第二の関心区域424の各々が第四のスライス464に含まれるので、対応するスラブ(例えば第二のスラブ420)は両方を含むように成形され得る。
【0050】
医療スタッフは、対象の3D画像を表現し得る第二のスラブ420及び第四のスラブ440のみを受け取ることができる。各々のスラブが異なる3D画像の2D表現であり得る。第二のスラブ420及び第四のスラブ440に含まれないスライスの区画は含まれていなくてもよく、これにより医療スタッフの読み取り時間を短縮することができる。
【0051】
幾つかの例では、スラブは、関心区域の各々を一つの全単位として含むように成形され得る。このように、一つの関心区域は、異なる部分が異なるスラブに含まれるように分割されることはない。幾つかの例では、加えて又は代替的に、関心区域が分割されて該関心区域の異なる部分が異なる隣り合ったスラブに含まれる場合がある。幾つかの実施形態では、加えて又は代替的に、スラブが重なり合って関心区域の同一の部分を含んでいてよく、これにより医療スタッフが関心区域の異なるビューを解析することを可能にすることができる。
【0052】
このように、
図3及び
図4は、関心区域を表現する非一様スラブを生成する例を示している。スラブは複数のスライスの異なる部分を含んでいてよく、複数のスライスの各々のスライスからのデータが1又は複数のスラブに含まれ得る。スラブの各々の形状はx軸、y軸、及びz軸の各々に沿って調節されて、関心区域に隣接するデータのみを含むように、又は関心区域に関係しないデータを含むスラブ寸法を最大化するように、スラブを適合形成することができる。
【0053】
図5へ移ると、同図はDBT501の容積測定画像の複数のスライスを表現するための多数の可変厚みスラブの第三の例500を示している。第三の例500では、DBT501は、外縁スラブと内部スラブとに分割されている。外縁スラブは、第一の外縁スラブ502及び第二の外縁スラブ504を含み得る。第一の外縁スラブ502及び第二の外縁スラブ504は、z軸に沿った患者の乳房の最上部及び最下部に対応するDBTの両端を画定し得る。一例では、患者の乳房の最上部及び最下部には関心区域がない場合がある。すなわち、患者の乳房の最上部又は最下部では病変のような関心区域を走査している可能性は低い場合がある。このようなものとして、第一の外縁スラブ502及び第二の外縁スラブ504の厚みを内部スラブの厚みよりも厚くすることができ、するとスラブが非一様となる。
【0054】
内部スラブは、第一の内部スラブ511、第二の内部スラブ512、第三の内部スラブ513、第四の内部スラブ514、及び第五の内部スラブ515を含み得る。
図5の例では、内部スラブは、互いに対して一様で且つ外縁スラブよりも薄い厚みを含み得る。これにより、処理時間を短縮することができる。加えて又は代替的には、内部スラブの厚みが、関心区域の位置、形式、及び出現に基づいて非一様であってよい。このように、スラブ厚みは乳房の部分の高さに基づき得る。例えば、乳房の部分がz軸に沿った乳房の端部である場合には、スラブ厚みを増大させ、また標本化をより疎にすることができる。乳房の部分が両端の間である場合には、スラブ厚みを小さくし、また標本化をより密にすることができる。
【0055】
一例では、DBTの厚み及び/又は標本化は非一様であってよい。スラブ厚み及び/又は標本化は、乳房厚、平均病変寸法、トモシンセシス開口角、及び/又は圧迫板形式を含めたイメージング・システム・パラメータに基づき得る。開口角は、トモシンセシス・システムの取得時開口に対応し得る。例えば、スラブの厚みを相対的に小さくして、標本化を相対的に密にすることができる。もう一つの例として、スラブの厚みを相対的に大きくして、標本化を相対的に疎にすることができる。かかる例では、スラブの重なり合いは増大し得る。加えて又は代替的には、厚み及び標本化は、患者の乳房の位置に依存して調節され得る。
図5の例では、乳房の外縁において厚みを増大させ、標本化をより疎にしている。この理由は、撮像にアーティファクトが現われて撮像の品質を低下させ得るからである。加えて又は代替的には、厚み及び/又は標本化は関心区域に応じて調節されてもよい。例えば、関心区域を含むスラブについては、厚みが減少し、且つ/又は標本化はより密になり得る。標本化がより密になると、スラブの数は増大し得る。従って、関心区域が存在しない場合には、厚みを増大させて、標本化をより疎にすることができる。
【0056】
幾つかの例では、xy平面に対して直角又は一定の角度(例えば0度と180度との間)で測定され得る厚みが非一様であってよい。すなわち、スラブの厚みは、互いに対して、また単一のスラブの本体に沿って非一様であってよい。このようなものとして、単一のスラブが多数の厚みを含み得る。単一のスラブは、曲線、斜行、又は3Dの軸の系に対する平行からの他の偏りを介して適合調節され得る。
【0057】
幾つかの例では、スラブ標本化が非一様であってもよい。例えば、より多いスラブが関心区域を含み(例えばより密なスラブ標本化)、より少ないスラブが関心区域のない位置を含み得る(例えばより疎のスラブ標本化)。さらに、密な標本化の大きさは関心区域に基づいて調節され得る。例えば、より小さい関心区域は、より密でない標本化を含み得るより大きい関心区域よりも密な標本化を含み得る。加えて又は代替的には、関心区域が新規であって従来の患者撮像に存在しない場合には、従来の患者画像に含まれる関心区域の標本化に対して標本化をより密にすることができる。
【0058】
一例では、スラブ厚み及び/又は標本化は、乳房厚、平均病変寸法、トモシンセシス開口角、及び/又は圧迫板形式を含めたイメージング・システム・パラメータに基づき得る。例えば、乳房厚が減少するほど、スラブの厚みは減少し、且つ/又は標本化はより密になり得る。もう一つの例として、平均病変寸法が増大するほど、スラブ厚みは増大し、且つ/又は標本化はより疎になり得る。また、開口角が減少するほど、スラブ厚みは増大し、且つ/又は標本化はより疎になり得る。関心区域の寸法を含めて関心区域に基づいてスラブ寸法を調節する方法が
図6に示される。
【0059】
図6へ移ると、同図はDBT走査の複数のスライスに位置する関心区域に基づいて複数のスラブを成形する方法600を示している。方法600を実行するための命令は、制御器のメモリに記憶されている命令に基づいて、
図1及び
図2に関して前述したセンサのようなイメージング・システムのセンサから受け取られた信号と共に、制御器又はコンピュータによって実行され得る。制御器は、CADを介して、収集されたデータに基づいて1又は複数のスラブを成形することができる。
【0060】
方法600はブロック602において開始し、このブロックはトモシンセシス投影データを取得することを含んでいる。投影データは、例えばディジタル乳房トモシンセシス・システムに関連付けられるものであってよく、実質的に実時間で取得されてもよいし、過去に取得された記憶されたデータを含んでいてもよい。データは、各々が検出器に対して実質的に平行な方向に延在している複数のスライスとして収集され得る。一例では、投影データはCADを実行する前に複数のスライス(例えば2D画像)として再構成される。
【0061】
ブロック604では、方法600は、CADを介して各々のスライスを解析することを含み得る。CADは、複数のスライスに含まれる1又は複数の関心区域の境界及び/又は重心を特定することができる。CADは、後述するようにスラブ形状を決定するのに用いられ得る境界及び/又は重心からの閾値距離をx軸、y軸、及びz軸の各々において決定することができる。
【0062】
ブロック606では、方法600は、第一の関心区域の位置が見出されるか否かを決定することを含み得る。一例では、第一の関心区域は、腫瘍、しこり、石灰化、膿瘍、又は組織若しくは臨床的に関連する解剖学的特徴からの他の逸脱を含み得る。
【0063】
関心区域が見出されない場合には、ブロック608において、方法600は、複数のスライスの投影データの全体を含めるように第一のスラブを成形することを含み得る。このようなものとして、唯一のスラブである第一のスラブが、CADを介して成形された3D対象(例えば乳房)を表現する唯一の2D画像となり得る。前述のように、第一のスラブのようなスラブは、当該スラブに含まれるスライスを平均すること若しくは該スライスに最大強度投影を適用すること、又は他の任意のスライス集成方法を含み得る。
【0064】
第一の関心区域の位置が見出された場合には、ブロック610において、方法600は、第一の関心区域までの閾値距離に基づいて第一のスラブの境界を限定することを含み得る。第一のスラブの境界を限定することは、閾値距離に等しい量で第一の関心区域から離隔するように、CADを介して第一のスラブを成形することを含み得る。スラブを成形することは、第一のスラブの境界の外形設定、彎曲、角度変更、及びジグザグ形成を含むことができ、ここで境界の内部の区域は、複数のスライスからの含まれるべきデータに対応する。第一の関心区域から閾値距離よりも大きい距離だけ離隔した複数のスライスの区域については、第一のスラブの境界を連続させることができる。このように、第一のスラブは彎曲することができ、複数のスライスの全て及び/又は部分を含み得る。
【0065】
ブロック612では、方法600は、第一の関心区域に基づいて第二のスラブを成形することを含み得る。第二のスラブの境界は、閾値距離以下の距離だけ第一の関心区域から離隔され得る。前述のように、閾値距離は、x軸、y軸、又はz軸の何れに沿って測定されてもよい。一例では、閾値距離は、複数のスライスの各々が離隔されるときに中心となる軸に対応するz軸のみに沿って測定され得る。第二のスラブをx軸、y軸、及びz軸の各々に沿って第一の関心区域の周りで彎曲させることにより、第二のスラブが第一の関心区域の閾値距離の範囲内のスライスの部分のみを含むため、第二のスラブの寸法を小さくすることができる。このようにして、第二のスラブは、関心区域に関するデータを含むスライスの全体を含み得る他の例に対してメモリの消費を少なくしつつ、第一の関心区域を描くことができる。
【0066】
ブロック614では、方法600は、他の関心区域が特定されたか否かを決定することを含み得る。他の関心区域は、第一の関心区域と同じスライスに位置していてもよいし、1又は複数の異なるスライスに位置していてもよい。
【0067】
他の関心区域が特定されなかった場合には、ブロック616において、方法600は、第二のスラブの境界を終端させることを含み得る。境界は、第一の関心区域の閾値距離の範囲内になるように終端され得る。このようなものとして、第二のスラブの寸法が、第一の関心区域のみに焦点を当てるように最適化される。
【0068】
ブロック618では、方法600は、データの残部の周りに第三のスラブを成形することを含み得る。幾つかの例では、加えて又は代替的に、複数のスライスが第一のスラブ及び第二のスラブのみによって全体として描かれるように、第一のスラブが延長されてもよい。
【0069】
ブロック614に戻り、他の関心区域が特定された場合には、ブロック620において、方法600は、第一の関心区域と他の関心区域とが互いに閾値距離の範囲内にあるか否かを決定することを含み得る。第一の関心区域と他の関心区域とが互いの閾値距離の範囲内にある場合には、ブロック622において、方法600は、第一の関心区域の閾値距離の範囲内で他の関心区域の周りに第二のスラブを彎曲させることを含み得る。このようなものとして、第二のスラブは、x軸、y軸、及びz軸に沿って他の関心区域に向かって延長され得る。幾つかの例では、第二のスラブの寸法が、関心区域同士の間の区域で縮小されてもよい。このようなものとして、第二のスラブは狭くなった後に、異なる関心区域に近付くと拡張することができる。これにより、さらにメモリ消費を減少させ解析時間を短縮することができる。
【0070】
他の関心区域が第一の関心区域に対して閾値距離の範囲内にない場合には、ブロック624において、方法600は、第一の関心区域と他の関心区域との間のデータを捉えるように第三のスラブを成形することを含み得る。
【0071】
ブロック626では、方法600は、互いの閾値距離の範囲内にある1又は複数の他の関心区域の周りに第四のスラブを成形することを含み得る。第四のスラブは、第二のスラブから離隔されていてよい。一例では、第四のスラブは第二のスラブに接触せず、第四のスラブと第二のスラブとの間に重なり合いは生じない。一例では、第三のスラブが第二のスラブと第四のスラブとの間に直に位置していてもよい。幾つかの例では、加えて又は代替的に、第四のスラブ及び第二のスラブは、同じスライスの異なる部分からのデータを含み得る。さらに明確に述べると、一つのスライスが関心区域の配置に基づいて第二、第三、及び第四のスラブの各々によって表現され得る。このようにして、利用者によって読影されるように、一つのスライスの関連する部分のみを1又は複数のスラブに含めることができる。
【0072】
ブロック622及び626に続いて、ブロック628において、方法600は、全ての関心区域がスラブを介して捉えられたか否かを決定することを含み得る。全ての関心区域が捉えられていない場合には、ブロック630において、方法600は、関心区域の位置に基づいてスラブの彎曲を続けることを含み得る。複数のスラブを生成することができ、これら複数のスラブは、関心区域のないスライスの部分を含み得る第一のスラブ形式と、関心区域を含むスライスの部分を含み得る第二のスラブ形式とを含んでいる。第一のスラブ形式の寸法は最大化され、第二のスラブ形式の寸法は最小化され得る。
【0073】
全ての関心区域がスラブによって捉えられた場合には、ブロック632において、方法600は、関心区域を有するスラブ(例えば第二のスラブ形式)を利用者へ送ることを含み得る。関心区域のないスラブは、PACSのようなメモリに記憶され得る。一例では、関心区域のないスラブは削除され得る。一例では、表示装置は、複数のスライスから関心区域を含むスラブのみの画像を表示することができる。幾つかの例では、生成された全てのスラブが利用者に表示されてもよく、この場合には表示は、スラブを異常及び正常として分類することを含み得る。異常なスラブは関心区域を含み、正常なスラブには関心区域がない。
【0074】
方法の幾つかの例では、加えて又は代替的に、CADが複数のスライスにおいて多数の病変を決定することができる。病変の各々の間の距離を算出して、各病変が閾値距離の範囲内にあるか否かを決定することができる。最大のスラブ寸法が画定されている例では、複数のスライスの標本化は、一様な厚みのスラブが標本化されることを含み得る。隣り合ったスラブは、当該隣り合ったスラブが互いに半部ずつ重なり合うようにして、互いに重なり合うことができる。各々のスラブは、関心区域のある位置で交差しても関心区域のない位置で交差してもよい。
【0075】
関心区域が存在する場合に、重なり合ったスラブの数が閾値数よりも多い場合には、スラブを結合することができる。重なり合ったスラブの数が閾値数よりも少ない場合には、関心区域と最も重なっているスラブを選択することができる。加えて又は代替的には、関心区域の中心軸の最大部分と重なったスラブを選択してもよい。関心区域の他の部分は、隣り合ったスラブを介して表現され得る。
【0076】
加えて又は代替的には、スラブは検出器の平面に対して彎曲し又は角度変更されていてもよい(例えば複数のスライスのうち一つのスライスに対して角度変更される)。スラブが2以上の関心区域の周りで彎曲している場合には、曲率の大きさが検出器の平面に基づいて限定され得る。例えば、スラブが閾値曲率を超えて彎曲している場合には、多数のスラブを検出器の平面に対してより平行になる(例えばより小さく彎曲する)ように用いることができる。加えて又は代替的には、各々のスラブは、彎曲の量を少なくするために、単一の関心区域のみを含むように成形されていてもよい。
【0077】
撮像対象を表わす患者画像を形成する方法の一例が、各々がそれぞれのxy平面において収集され、且つ各々のxy平面に垂直なz軸に沿って離隔されている複数のスライスを介してトモシンセシス投影データを取得するステップと、取得されたトモシンセシス投影データに基づいてプロセッサを介してスラブにより患者画像を形成するステップとを含んでおり、患者画像は複数の患者画像の一つであり、1又は複数のスラブは、複数のスライスの1又は複数の全て又は部分からのデータを含んでおり、スラブの各々が、複数の患者画像の異なる患者画像に対応しており、患者画像は、複数のスライスの一つのスライスの部分のみからのデータを含む単一の非一様スラブから形成される。この方法の第一の例は、1又は複数のスラブがx軸、y軸、又はz軸の1又は複数の周りで彎曲していることをさらに含んでいる。方法の第二の例は、第一の例を選択随意で含んでおり、関心区域のない複数のスライスの部分を含むように1又は複数のスラブの第一のスラブ形式を成形するステップをさらに含んでいる。方法の第三の例は、以上の例の1又は複数を選択随意で含んでおり、関心区域を含む複数のスライスの部分を含むように1又は複数のスラブの第二のスラブ形式を成形するステップをさらに含んでいる。方法の第四の例は、以上の例の1又は複数を選択随意で含んでおり、第一のスラブ形式及び第二のスラブ形式を成形するステップは、関心区域までの閾値距離に基づいており、第一のスラブ形式を成形するステップは、関心区域から少なくとも閾値距離だけ離隔した第一のスラブ形式を成形するステップを含んでおり、第二のスラブ形式を成形するステップは、関心区域の閾値距離の範囲内で第二のスラブ形式を成形するステップをさらに含んでいる。方法の第五の例は、以上の例の1又は複数を選択随意で含んでおり、第一の関心区域及び第二の関心区域を含むように第二のスラブ形式を成形するステップをさらに含んでおり、この成形は、第一の関心区域と第二の関心区域との間の位置において第二のスラブ形式の寸法縮小するステップをさらに含んでいる。方法の第六の例は、以上の例の1又は複数を選択随意で含んでおり、第一のスラブ形式の寸法を最大化するステップと、第二のスラブ形式の寸法を最小化するステップとをさらに含んでいる。
【0078】
本書で用いる場合には、単数形で記載されており単数不定冠詞を冠した要素又はステップとの用語は、排除を明記していない限りかかる要素又はステップを複数備えることを排除しないものと理解されたい。さらに、本発明の「一実施形態」に対する参照は、所載の特徴を同様に組み入れている追加の実施形態の存在を排除しない。また、反対に明記されていない限り、特定の特性を有する一つの要素若しくは複数の要素を「含んでいる」又は「有している」実施形態は、この特性を有しないような追加の要素も包含し得る。「including包含する」との用語は「comprising含む」の標準言語の同義語として、また「in whichこのとき」との用語は「whereinここで」の標準言語の同義語として用いられている。また、「第一」、「第二」、及び「第三」等の用語は単にラベルとして用いられており、これらの用語の目的語に対して数値的要件又は特定の位置的順序を課すものではない。
【0079】
この書面の記載は、最適な態様を含めて発明を開示し、また任意の装置又はシステムを製造して利用すること及び任意の組み込まれた方法を実行することを含めて当業者が発明を実施することを可能にするように実例を用いている。特許付与可能な発明の範囲は特許請求の範囲によって画定されており、当業者に想到される他の実例を含み得る。かかる他の実例は、特許請求の範囲の書字言語に相違しない構造要素を有する場合、又は特許請求の範囲の書字言語と非実質的な相違を有する均等構造要素を含む場合には、特許請求の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0080】
10 トモシンセシス・システム
12 X線源
14 放射線
16 コリメータ
18 患者
20 放射線の部分
22 検出器アレイ
24 システム制御器
32 位置サブシステム
47 撮像用スキャナ
48 線源の位置
49 線源面
300 ディジタル乳房トモシンセシス(DBT)
302 スライス
350 容積測定画像
352、354、356 スラブ
355 中心軸
390 軸の系
400 可変厚みスラブの第二の例
410、420、430、440、450 スラブ
422、424、442 関心区域
426 中心軸
461、462、463、464、465、466、467、468、469 スライス
500 多数の可変厚みスラブの第三の例
501 DBT
502、504 外縁スラブ
511、512、513、514、515 内部スラブ
600 複数のスラブを成形する方法
【外国語明細書】