(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020946
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】駐車場構造およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
E04H 6/10 20060101AFI20230202BHJP
G08G 1/14 20060101ALI20230202BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20230202BHJP
E04H 6/00 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
E04H6/10 A
G08G1/14 A
G07B15/00 N
E04H6/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112018
(22)【出願日】2022-07-12
(31)【優先権主張番号】P 2021125112
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591069086
【氏名又は名称】パーク二四株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100101384
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 成夫
(72)【発明者】
【氏名】高木 利幸
(72)【発明者】
【氏名】松田 隆一
(72)【発明者】
【氏名】久保 美穂
(72)【発明者】
【氏名】高澤 一樹
(72)【発明者】
【氏名】有吉 紀子
【テーマコード(参考)】
3E127
5H181
【Fターム(参考)】
3E127AA18
3E127CA23
3E127EA04
3E127EA33
5H181AA01
5H181CC04
5H181CC11
5H181KK01
5H181KK06
5H181KK07
5H181KK08
(57)【要約】
【課題】 駐車場として用意する土地や空間を、柔軟に、効率的に利用するための技術を提供する。
【解決手段】 駐車場の路面の水平方向を多数に区分し、各区分には、路面を発光させる
発光装置および/または路面の上方へ向かって電磁波を発信してその電磁波の反射波を受信する受発信センサを備える。受発信センサにおける反射波の検知結果を入力データとして受信し、その入力データに基づいて車両の有無および車両が駐車した場合の占有区域とその面積を算出する占有面積算出手段と、その占有面積算出手段が算出した占有区域とその面積に基づいて前記の発光装置による発光を前記の区分毎に制御する制御装置を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場の路面の水平方向を多数に区分し、
各区分には、前記の路面を発光させる発光装置および/または前記の路面上の上方へ向かって電磁波を発信してその電磁波の反射波を受信する受発信センサを備え、
前記の受発信センサにおける反射波の検知結果を入力データとして受信し、その入力データに基づいて車両の有無および車両が駐車した場合の占有区域とその面積を算出する占有面積算出手段と、
その占有面積算出手段が算出した占有区域とその面積に基づいて前記の発光装置による発光を前記の区分毎に制御する制御装置と、
を備えた駐車場構造。
【請求項2】
前記の受発信センサおよび前記の発光装置を車両の重さから守るとともに、前記の発光装置が発光する光を前記の路面の上方へ透過させる保護層を備えた
請求項1に記載の駐車場構造。
【請求項3】
前記の保護層における上面は、前記の路面へ水を滞留させないための傾斜または/および上方へ凸となるように湾曲させて形成した
請求項2に記載の駐車場構造。
【請求項4】
駐車した車両が駐車している駐車時間を前記の受発信センサに基づいて計測するタイマーと、
そのタイマーが計測した駐車時間および前記の占有面積算出手段が算出した占有面積に基づいて駐車料金を算出する料金算出手段と、 その料金算出手段が算出した駐車料金を出力する料金出力手段と、
を備えた請求項1に記載の駐車場構造。
【請求項5】
駐車しようとする車両に対して前記の占有面積算出手段が算出した車両の占有区域とその面積を提供できるか否かを判断する駐車判断手段と、
その駐車判断手段が駐車スペースを提供可能と判断した場合に、駐車スペースを決定する駐車スペース決定手段と、
を備え、
前記の制御装置は、前記の駐車スペース決定手段が決定した駐車スペースへ前記の駐車しようとする車両を導くために、前記の発光装置を用いて誘導点灯を実行することとした
請求項1に記載の駐車場構造。
【請求項6】
前記の駐車判断手段が駐車スペースを提供不能と判断した場合には、
前記の制御装置は、前記の駐車しようとする車両を駐車場から退場させるように導くために、前記の発光装置を用いて誘導点灯を実行することとした
請求項5に記載の駐車場構造。
【請求項7】
前記の駐車場の入口付近に、駐車する車両の高さ方向寸法を計測するための目盛りと、
前記の駐車場に駐車した車両を前記の目盛りとともに撮影して車両高さ計測用イメージデータを取得する高さ計測カメラと、
前記の高さ計測カメラにて取得した車両高さ計測用イメージデータから、駐車した車両の高さ寸法を算出する車両高さ算出手段と、
前記の駐車場における看板の配置等のレイアウトデータを蓄積する駐車場レイアウトデータベースと、
を備え、
前記の制御装置は、前記の車両高さ算出手段が算出した高さ寸法および駐車場レイアウトデータベースに蓄積されたレイアウトデータに基づいて前記の発光装置による発光を制御することとした
請求項1に記載の駐車場構造。
【請求項8】
駐車場の路面の水平方向を多数に区分し、その各区分には、前記の路面を発光させる発光装置および/または前記の路面の上方へ向かって電磁波を発信してその電磁波の反射波を受信する受発信センサを備えた駐車場構造の制御装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記の受発信センサにおける電磁波の検知の結果を入力データとして受信する電磁波受信手順と、
その電磁波受信手順にて受信した入力データに基づいて車両の有無および車両が駐車した場合の占有区域とその面積を算出する占有面積算出手順と、
その占有面積算出手順にて算出した占有区域とその面積に基づいて前記の発光装置による発光を前記の区分毎に制御する発光制御手順と、
を前記の制御装置に実行させることとしたコンピュータプログラム。
【請求項9】
駐車した車両が駐車している駐車時間を前記の受発信センサに基づいて計測する駐車時間計測手順と、
その駐車時間計測手順にて計測した駐車時間および前記の占有面積算出手順にて算出した占有面積に基づいて駐車料金を算出する料金算出手順と、
その料金算出手順にて算出した駐車料金を出力する料金出力手順と、
を前記の制御装置に実行させることとした
請求項8に記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
駐車しようとする車両に対して前記の占有面積算出手順にて算出した車両の占有区域とその面積を提供できるか否かを判断する駐車判断手順と、
その駐車判断手順にて駐車スペースを提供可能と判断した場合に、駐車スペースを決定する駐車スペース決定手順と、
前記の駐車スペース決定手順にて決定した駐車スペースへ前記の駐車しようとする車両を導くために、前記の発光装置を用いて誘導点灯を実行する誘導手順と、
を前記の制御装置に実行させることとした
請求項8または請求項9のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項11】
前記の駐車場構造には、 前記の駐車場の入口付近に、駐車する車両の高さ方向寸法を計測するための目盛りと、
前記の駐車場に駐車した車両を前記の目盛りとともに撮影して車両高さ計測用イメージデータを取得する高さ計測カメラと、
前記の高さ計測カメラにて取得した車両高さ計測用イメージデータから、駐車した車両の高さ寸法を算出する車両高さ算出手段と、
前記の駐車場における看板の配置等のレイアウトデータを蓄積する駐車場レイアウトデータベースと、
を備えることとし、
前記の制御手順においては、前記の車両高さ算出手段が算出した高さ寸法および駐車場レイアウトデータベースに蓄積されたレイアウトデータに基づいて前記の発光装置による発光を制御することとした
請求項8に記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場として確保された空間を、駐車場ユーザにとって利便性を向上させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転者に対して車両を駐車する駐車スペースを提供し、運転者から提供の対価を受け取るという駐車場ビジネスは、古くから存在する。提供の対価(料金)は、駐車スペースを占有していた時間(例えば、10分、15分)を単位とすることが一般的である。
【0003】
提供した駐車スペースの広さ(専有面積)の広狭に応じて料金を上下させる場合もある。たとえば、「普通車用スペース」よりも広い「大型車用スペース」を用意しておき、前者の利用料金よりも後者の利用料金を高額に設定するのである。
【0004】
特許情報プラットフォームにおいて、以下の検索式を用いて先行技術文献を調査した。
検索式=[駐車場/TX]*[区分/CL]*[細分/SP]*[単位/SP]
この結果、48件がヒットし、以下の特許文献を検証した。
【0005】
特許文献1には、各車両において積載重量に関連した料金ではなく、道路損傷への影響度の大きさに応じた課金が実現できる課金システム、課金方法、プログラム及び輪重計が開示されている。
【0006】
特許文献2には、駐車スペースの提供とともに、車両が電気自動車である場合の充電サービスを提供する設備に関する技術が開示されている。
すなわち、電力供給状態、すなわち充電が正常な状況によって実行されるかどうかがきちんと把握されなくて充電時間が遅延することを防止し、充電品質を確実に担保することができるうえ、電気料金算定の際に考慮される様々な条件を具体的に適用して正確な課金されるようにすることに重点を置いた技術が開示されている。
【0007】
特許文献3には、大規模な複合用途施設の駐車場の計画、運営に際しては、利用車両の目的別、例えば業務、商業、宿泊、宴会、サービス車両、VIP車両、タクシーなど、曜日別、時間帯別、車室別、用途別駐車時間、契約種別などを考慮する必要がある。実例として施設のデータが存在する場合には、それをも考慮すべきであろう。そうしたシミュレーションを動的に実行可能な技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公表2018-109660号公報
【特許文献2】特開2017-16547号公報
【特許文献3】特開平11-161703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
駐車場として利用している土地や空間は、車両の大きさを想定して予め区分して駐車区画を定めているのが一般的である。それを前提とする場合、駐車を希望する車両に対する柔軟な対応が困難である。
【0010】
たとえば、定められた区画よりも大きな区域とその面積が必要な車両は、駐車することができない。他の車両の出入りに支障を来すこととなるためである。とはいえ、定められた区画を無視して駐車する車両も、時にはある。
【0011】
また、大型車両用の区画が空いているのに、普通車両用の区画が埋まっている場合、駐車できないことはないが、時にはある。大型車両用の区画は、普通車両用のそれよりも駐車料金が高めに設定されているので駐車料金が余分に掛かってしまうが、駐車料金が無料であったり、所定の買い物などによって実質的に無料となったりする場合には、大型車両用の区画へ普通車両が駐車してしまうこともある。
【0012】
上述したような課題を解決するため、駐車場として用意する土地や空間を、柔軟に、効率的に利用することについて検討を重ねた。
本発明が解決しようとする課題は、駐車場として用意する土地や空間を、柔軟に、効率的に利用するための技術を提供することにある。
【0013】
なお、本発明の解決手段に合わせて、以下のような検索式によっても先行する特許文献を検索した。
[駐車/CL]*[検知/SP+検出/SP+計測/SP+測定/SP]*[面積/CL]
この結果、117件がヒットしたので、空きスペースを検知する技術(特開2018-106479号)、区画線を検知する技術(特開2018-116579号)などを検証してみたが、本願発明とは類似していなかった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述した課題を解決するため、駐車場の構造に係る第一の発明、および第一に係る駐車場構造を制御するコンピュータプログラムに係る第二の発明を提供する。
【0015】
(第一の発明)
第一の発明は、駐車場の路面の水平方向を多数に区分し、
各区分には、前記の路面を発光させる発光装置および/または前記の路面の上方へ向かって電磁波を発信してその電磁波の反射波を受信する受発信センサを備え、
前記の受発信センサにおける反射波の検知結果を入力データとして受信し、その入力データに基づいて車両の有無および車両が駐車した場合の占有区域とその面積を算出する占有面積算出手段と、
その占有面積算出手段が算出した占有区域とその面積に基づいて前記の発光装置による発光を前記の区分毎に制御する制御装置と、
を備えた駐車場構造に係る(
図1参照)。
【0016】
(用語説明)
「区分」とは、駐車場の路面における駐車可能な部位を所定の境界線にて区切った場合の境界線に囲まれた部位である。区分の形状は、正方形が一般的であるが(
図1参照)、他の形状でも良い(
図15参照)。
【0017】
「および/または」としたのは、ひとつの区分に受発信センサおよび発光装置を備えてもよいし、一つの受発信センサを備えた区分に複数の発光装置を備えてもよいことを意図している(
図13、
図14参照)。
一つの区分に複数の発光装置を備え、更に複数の発光装置が発光する光の色を複数種類としておくことが望ましい。発信する情報の種類を多様化することに寄与するからである
。
【0018】
区分を正方形とした場合、受発光センサを配置するピッチ寸法(
図13において「L」)は、小さいほど(製造コストが増加するが)占有区域や占有面積の算出が正確になる。よって、小さいほど望ましいが(
図3を
図1と比較して参照)、車両のサイズとの関係から区分の最大寸法は、約最大で500ミリメートルである。最大値を採用した場合、車両の占有面積を算出する単位は、0.25平方メートルが一単位となる。
区分の寸法は10~100ミリメートルが現時点で採用されるが、製造コストが下がればもっと小さな寸法とすることが望ましい。
【0019】
発光装置を配置する区分は、受発光センサを配置する区分よりも細分化することが望ましい。区分を正方形とした場合、発光装置を配置する区分の一辺の寸法(
図13において「M」)は、M=L/4としている。
【0020】
「受発信センサ」とは、拡散しにくい直進性の高い電磁波(たとえば、超音波)を発信(発振)し、その電磁波を反射した反射波を受信することができるセンサである。発信と受信とをひとつの機器で実行する場合(
図2参照)、発信センサと受信センサとを物理的に分ける場合(
図14参照)がある。
【0021】
「車両」には、四輪の普通車両の他、大型車両、特殊車両、自動二輪、小型モビリティ、電動キックボード、軽車両(自転車)なども含む。
【0022】
「占有面積算出手段」には、「受発信センサ」が検知する「所定の電磁波」に応じた所定の補整手段(補整演算のアルゴリズムおよびその実行手段)が含まれる。
なお、「占有区域の面積」とは、駐車をすることによって他の車両が使うことのできない面積とする場合が主である(後述する実施形態においてはこちらの意味)が、車両を投影した面積とする場合もあり、駐車場毎に、あるいは駐車場の管理運営方針などによって、その定義が異なる余地を含む。
【0023】
(作用)
受発信センサは、駐車場に車両が存在しない場合には、全区分において発信した電磁波を検知していない。
駐車場の路面に車両が入ってきたとする。発信した電磁波をその車両の車輪や車体が反射した反射波を受信した受発信センサが区分に存在する受発信センサは、車輪や車体を検知することとなる。車輪や車体を検知できる区分とできない区分との入力データを受信することで、占有面積算出手段が当該車両の占有区域と占有面積を算出する。
その占有面積算出手段が算出した占有区域と占有面積に基づいて、制御装置が発光装置による発光を区分毎に制御する。例えば、車両が駐車した場所の一回り大きな周囲を発光させることで、他の車両が駐車や出庫のために近づくことを抑制する。
【0024】
以上のように、各構成要件が作用することで、車両の大きさが様々であったとしても、駐車している車両が利用している区域を他の場所と区別することができる。その結果、駐車場として用意する土地や空間を柔軟に、効率的な利用に供することとなる。
【0025】
(第一の発明のバリエーション1)
第一の発明は、以下のように形成してもよい。
すなわち、前記の受発信センサおよび前記の発光装置を車両の重さから守るとともに、前記の発光装置が発光する光を前記の路面側へ透過させる保護層を備えるのである(
図6、
図15等参照)。
【0026】
「保護層」は、単一の材質で構成されている場合の他、異なる材質による複数の層から構成されている場合を含む。受発光センサが検知する電磁波(反射波を含む)を透過させることができ、発光装置から発光される光を透過させることができる材質が採用される。たとえば、強化ガラス、樹脂などである。
【0027】
(作用)
受発信センサを配置する区分と、発光装置を配置する区分とは、異なる区分とすることで、駐車場構造の製造、運用を合理的にすることができる場合がある。
【0028】
(第一の発明のバリエーション2)
第一の発明は、以下のように形成してもよい。
すなわち、前記の保護層における上面は、前記の路面へ水を滞留させないための傾斜または/および上方へ凸となるように湾曲させて形成するのである(
図16(b)、
図17(b)参照)。
【0029】
(用語説明)
傾斜や湾曲は、本発明に係る駐車場構造を利用する車両へ乗車している人が違和感を覚えない程度であることが望ましい。
たとえば、「傾斜」の角度は、1~6度程度である。傾斜または/および上方へ凸となるように湾曲は、駐車した車両がサイドブレーキを使っていなくても動かない方向への傾斜/湾曲とすることが望ましい。
路面に多数の溝を設けておき、その溝の凹部上面のみを傾斜させることとしても良い。
【0030】
(作用)
本発明に係る駐車場構造が屋外である場合、降雨による雨水を路面へ滞留させないことに寄与する。
本発明に係る駐車場が屋内である場合でも、清掃その他の事情で水が路面に流れる場合があり得るが、そうした場合にも滞留させないことに寄与する。
【0031】
(第一の発明のバリエーション3)
第一の発明は、以下のように形成してもよい。
すなわち、駐車した車両が駐車している駐車時間を前記の受発信センサに基づいて計測するタイマーと、
そのタイマーが計測した駐車時間および前記の占有面積算出手段が算出した占有面積に基づいて駐車料金を算出する料金算出手段と、
その料金算出手段が算出した駐車料金を出力する料金出力手段と、
を備えるのである(
図1等における「精算機」を参照)。
【0032】
(用語説明)
「料金出力手段」は、精算機の出力画面のほか、本発明に係る駐車場構造を管理している管理サーバが存在する場合には、その管理サーバへのデータ送信手段を含む(
図20参照)。
【0033】
(作用)
占有面積に応じた駐車料金を算出することができるので、駐車場ユーザにとって不公平感の小さな合理的な駐車料金を演算することができる。
【0034】
(第一の発明のバリエーション4)
第一の発明は、以下のように形成してもよい。
すなわち、駐車しようとする車両に対して前記の占有面積算出手段が算出した車両の占有区域とその面積を提供できるか否かを判断する駐車判断手段と、
その駐車判断手段が駐車スペースを提供可能と判断した場合に、提供する駐車スペースを決定する駐車スペース決定手段と、を備える。
そして、前記の制御装置は、前記の駐車スペース決定手段が決定した駐車スペースへ前記の駐車しようとする車両を導くために、前記の発光装置を用いて誘導点灯を実行することとするのである(
図10参照)。
【0035】
(作用)
駐車しようとする車両に対して、占有面積算出手段が算出した車両の占有区域とその面積を提供できるか否かを、駐車判断手段が判断する。駐車スペースを提供可能と判断した
場合には、提供する駐車スペースを、駐車スペース決定手段が決定する。
制御装置は、駐車スペース決定手段が決定した駐車スペースへ駐車しようとする車両を導くために、所定の発光装置を点灯させたり点滅させたりすることで誘導を実行する。
【0036】
(第一の発明のバリエーション5)
第一の発明におけるバリエーション4は、以下のように形成してもよい。
すなわち、前記の駐車判断手段が駐車スペースを提供不能と判断した場合には、 前記の制御装置は、前記の駐車しようとする車両を駐車場から退場させるように導くために、前記の発光装置を用いて誘導点灯を実行する(
図12のS7参照)。
【0037】
(作用)
駐車判断手段が駐車スペースを提供不能と判断すると、制御装置は、駐車しようとする車両を駐車場から退場させるように、所定の発光装置を点灯させたり点滅させたりすることで誘導を実行する。
【0038】
(第一の発明のバリエーション6)
第一の発明は、以下のように形成してもよい。
すなわち、 前記の駐車場の入口付近に、駐車する車両の高さ方向寸法を計測するための目盛りと、
前記の駐車場に駐車した車両を前記の目盛りとともに撮影して車両高さ計測用イメージデータを取得する高さ計測カメラと、
前記の高さ計測カメラにて取得した車両高さ計測用イメージデータから、駐車した車両の高さ寸法を算出する車両高さ算出手段と、
前記の駐車場における看板の配置等のレイアウトデータを蓄積する駐車場レイアウトデータベースと、
を備える。
そして、前記の制御装置は、前記の駐車スペース決定手段が決定した駐車スペースへ前記の駐車しようとする車両を導くために、前記の発光装置を用いて誘導点灯を実行することとするのである(
図23参照)。
【0039】
「レイアウトデータ」とは、たとえば、看板がどこに配置されていて高さや大きさはどの程度なのか、予め区分けされた従来型の車室がどのように配置されているか、本願発明に係る駐車場構造を駐車場全体の一部に採用した場合にはその箇所がどこに位置するのか、といったデータがある。
【0040】
(作用)
駐車場における看板の配置等のレイアウトデータを、駐車場レイアウトデータベースが予め蓄積している。また、駐車場の入口付近には、駐車する車両の高さ方向寸法を計測するための目盛りと、が設けられている。
駐車しようとして入口から入ってくる車両は、目盛りとともに車両高さ計測用イメージデータが高さ計測カメラにてを取得される。取得した車両高さ計測用イメージデータから、車両高さ算出手段が駐車した車両の高さ寸法を算出する。制御装置は、駐車スペース決定手段が決定した駐車スペースへ駐車しようとする車両を導くために、発光装置を用いて誘導点灯を実行する。
【0041】
たとえば、駐車しようとして入口から入ってくる車両の車両高さ寸法が大きく、駐車場内に設置された看板の前に駐車されてしまうと看板が見えなくなってしまって、看板が発揮すべき機能が損なわれる。よって、その車両が駐車しても看板が見える位置(または車室)に駐車するように、制御装置が発光装置を制御し、店頭誘導にて導くこととするのである。
【0042】
(第二の発明)
第二の発明は、第一の発明に係る駐車場構造の制御装置のためのコンピュータプログラムに係る。
すなわち、第一の発明における前記の受発信センサにおける電磁波の検知の結果を入力データとして受信する電磁波受信手順と、
その電磁波受信手順にて受信した入力データに基づいて車両の有無および車両が駐車した場合の占有区域とその面積を算出する占有面積算出手順と、
その占有面積算出手順にて算出した占有区域とその面積に基づいて前記の発光装置による発光を前記の区分毎に制御する発光制御手順と、
を前記の制御装置に実行させることとしたコンピュータプログラムである。
【0043】
(第二の発明のバリエーション1)
第二の発明は、以下のようにすると、より好ましい。
すなわち、駐車した車両が駐車している駐車時間を受発信センサに基づいて計測する駐車時間計測手順と、
その駐車時間計測手順にて計測した駐車時間および前記の占有面積算出手順にて算出した占有面積に基づいて駐車料金を算出する料金算出手順と、
その料金算出手順にて算出した駐車料金を出力する料金出力手順と、
を前記の制御装置に実行させることとするのである。
【0044】
(第二の発明のバリエーション2)
第二の発明は、以下のようにすると、より好ましい。
すなわち、駐車しようとする車両に対して前記の占有面積算出手順にて算出した車両の占有区域とその面積を提供できるか否かを判断する駐車判断手順と、
その駐車判断手順にて駐車スペースを提供可能と判断した場合に、駐車スペースを決定する駐車スペース決定手順と、
前記の駐車スペース決定手順にて決定した駐車スペースへ前記の駐車しようとする車両を導くために、前記の発光装置を用いて誘導点灯を実行する誘導手順と、
を前記の制御装置に実行させることとするのである。
【0045】
(第二の発明のバリエーション3)
第二の発明は、以下のようにすると、より好ましい。
すなわち、 前記の駐車場構造には、 前記の駐車場の入口付近に、駐車する車両の高さ方向寸法を計測するための目盛りと、
前記の駐車場に駐車した車両を前記の目盛りとともに撮影して車両高さ計測用イメージデータを取得する高さ計測カメラと、
前記の高さ計測カメラにて取得した車両高さ計測用イメージデータから、駐車した車両の高さ寸法を算出する車両高さ算出手段と、
前記の駐車場における看板の配置等のレイアウトデータを蓄積する駐車場レイアウトデータベースと、
を備えることとする。
そして、前記の制御手順においては、前記の車両高さ算出手段が算出した高さ寸法および駐車場レイアウトデータベースに蓄積されたレイアウトデータに基づいて前記の発光装置による発光を制御するのである。
【0046】
第二の発明に係るコンピュータプログラムを、記録媒体へ記憶させて提供することもできる。
ここで、「記録媒体」とは、それ自身では空間を占有し得ないプログラムを担持することができる媒体である。例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、DVD-R、フラッシュメモリなどである。
また、この発明に係るプログラムを格納したコンピュータまたは駐車場構造の制御コンピュータから、通信回線を通じて駐車場構造の制御コンピュータへ伝送することも可能である。
【発明の効果】
【0047】
第一の発明によれば、駐車場として用意する土地や空間を、柔軟に、効率的に利用するための駐車場構造を提供することができる。
第二の発明によれば、駐車場として用意する土地や空間を、柔軟に、効率的に利用するための駐車場構造を制御するコンピュータプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】本発明の第一の実施形態に係る駐車場構造の全体を示す平面図および概略側面図(一部は断面図)である。
【
図2】本発明の第一の実施形態における主要部(受発信センサ)を示す斜視図である。
【
図3】本発明の第二の実施形態に係る駐車場構造の全体を示す平面図および概略側面図(一部は断面図)である。
【
図4】本発明の第一の実施形態に係る駐車場構造の作動(車両が移動中)を示す概略側面図(一部は断面図)である。
【
図5】本発明の第一の実施形態に係る駐車場構造の作動(駐車の前後)を示す概略側面図(一部は断面図)である。
【
図6】本発明の第三の実施形態に係る駐車場構造を示す平面図および概略側面図(一部は断面図)である。
【
図7】本発明の第一の実施形態に係る駐車場構造の作動(駐車中)を示す平面図である。
【
図8】本発明の第一の実施形態に係る駐車場構造の作動(駐車中)を示す平面図である。
【
図9】本発明の第一の実施形態に係る駐車場構造の作動(入庫前)を示す平面図である。
【
図10】本発明の第一の実施形態に係る駐車場構造の作動(駐車への誘導)を示す平面図である。
【
図11】本発明の第一の実施形態に係る駐車場構造の作動(入庫から駐車への誘導)を示す平面図である。
【
図12】駐車場への入場後に入庫場所を決定するためのフローチャートである。
【
図13】本発明の第四の実施形態に係る駐車場構造の全体を示す平面図および概略側面図(一部は断面図)である。
【
図14】本発明の第五の実施形態に係る駐車場構造の全体を示す平面図および概略側面図(一部は断面図)である。
【
図15】本発明の第六および第七の実施形態に係る駐車場構造の全体を示す平面図および概略側面図(一部は断面図)である。
【
図16】本発明の第八および第九の実施形態に係る駐車場構造の全体を示す概略側面図(一部は断面図)である。
【
図17】本発明の第十の実施形態に係る駐車場構造の全体を示す概略側面図(一部は断面図)である。
【
図18】本発明の主要部(受発信センサ)に関するバリエーションを示す平面図および概略側面図である。
【
図19】本発明に係る駐車場構造がネットワーク化された場合を示す概念図である。
【
図20】本発明に係る駐車場構造がネットワーク化された場合を示す概念図である。
【
図21】本発明を駐車場の一部に採用した場合の実施形態を示す平面図である。
【
図22】駐車しようとする車両の高さ方向寸法を計測するための駐車場構造を示す斜視図である。
【
図23】駐車しようとする車両の高さ方向寸法を計測し、適切な位置へ駐車させるためのブロック図である。
【
図24】駐車しようとする車両の高さ方向寸法を計測するための車両高さ基準値を示す斜視図である。
【
図25】本発明を駐車場の一部に採用した場合とその活用例を示す平面図である。
【
図26】本発明を駐車場の一部に採用した場合とその活用例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明の実施形態について、図面(
図1から
図26)を参照して説明する。本発明は、実施形態に限定されるものではなく、本発明を解釈するための形態である。
【0050】
(
図1)
図1は、平面形状が正方形をなす駐車場の平面図(a)、断面図(b)を示している。
その水平方向を多数の正方形に区分している。正方形の一辺の寸法は、100~250ミリメートルとした。
【0051】
各区分には、前記の路面に車両が存在する場合にその車両へ超音波を発信(発振)してその反射波を受信する受発信センサが含まれたパネルと、前記の路面を発光させる発光装置が含まれたパネル(以下、単に「発光部」)と、その発光部における発光のオンオフを制御する基板と、からなる。
【0052】
前記の基板は、制御ユニットに接続されており、その制御ユニットには、前記の受発信センサにおける反射波の受信の結果を入力データとして受信し、その入力データに基づいて車両の有無および車両が駐車した場合の占有区域とその面積を算出する占有面積算出手段と、その占有面積算出手段が算出した占有区域とその面積に基づいて前記の発光装置による発光を前記の区分毎に制御する制御装置とを備えている。
【0053】
(精算機)
前記の基板は、精算機にも接続されている。その精算機には、 駐車した車両が駐車している駐車時間を前記の受発信センサに基づいて計測するタイマーと、 そのタイマーが計測した駐車時間および前記の占有面積算出手段が算出した占有面積に基づいて駐車料金を算出する料金算出手段と、 その料金算出手段が算出した駐車料金を出力する料金出力手段と、を備えている(図示は省略)。
【0054】
(
図2)
図2は、前記の受発信センサの詳細を示すための図である。
超音波を受発信する受発信センサは、円柱形をなしている。円柱の円方向の中央には、円柱形をなす超音波の発信部、その発信部の周囲には反射波の受信部が備えられている。
【0055】
受発信センサ(α)は、発信部から超音波を発信したものの、反射する対象物(車両)が存在しなかったために、受信部での受信がなされなかったことを示している。
一方、受発信センサ(β)は、発信部から超音波を発信し、反射する対象物(車両)が存在していたために、その対象物に反射した反射波を受信部が受信した様子を示している
。
【0056】
なお、屋根のある駐車場にて、本実施形態に係る駐車場構造を採用する場合、受発信センサが発振した超音波を屋根が反射し、反射波を受信部が受信する場合がある。しかし、車両に反射する場合とは、反射波が到達する時間が異なる。そのことを利用して、発信部が発信した瞬間と受信部が受信した時間差(の大きさの違い)によって車両の有無を区別するように、受発信センサまたは制御ユニットへ判断手段を組み込んでおくことが必要となる。
【0057】
(
図3)
図3は、
図1に示した区分よりも細分化した実施形態を示している。
単位面積当たりの受発信センサの数が増えれば、車両がどこにあるか、どのくらいの大きさであるか、などの推定が正確になる。また、単位面積当たりの発光部の数が増えれば、多彩な表示や車両が占有する区域(
図10(b)参照)の細かな設定が可能となる。
【0058】
(
図4)
図4は、前述の駐車場構造の路面を車両が移動している場合(a)と、徐行している場合(b)を示す。
図4(a)では、車両が移動中、車両の下に位置する受発信センサが反射波を検知している旨を図示している。
【0059】
図4(b)では、徐行を始めた車両が
図4(a)よりも前進し、車両の下に位置する受発信センサも場所が変化している旨を図示している。
【0060】
(
図5)
図5は、前述の駐車場構造の路面で車両が停車した場合(a)と、停車位置で駐車することとなった場合(b)を示す。
【0061】
図5(a)で示すのは、車両が停止したことで車両からの反射波を受信した受発信センサの位置が特定された旨を示している。受発信センサは、基板を介してどの受発信センサが車両からの反射波を検知し、どの受発信センサは車両からの反射波を検知していないのかについて、制御ユニットに電気信号として伝える。そして、受発信センサからの電気信号を解析し、車両が占有する区域とその面積を算出する。
【0062】
制御ユニットは、発光層において、駐車する車両が占有する区域の外周部分に該当する部分を発光させる。
図5(a)では、発光した区分(発光部)のハッチングの種類を変更して示している。車両を運転する運転者に対しては、どの区域へ車両を駐車させるべきであるか、駐車後にどの区域を占有して借りているのか、を発光部によって示すことができる。
【0063】
(
図6)
図6では、受発信センサおよび発光部の上端となる面を覆って路面となる保護層を備えた実施例を示す。
保護層は、受発信センサが検知する電磁波を透過させることができ、発光装置から発光される光を透過させることができる材質が採用される。たとえば、強化ガラス、熱可塑性樹脂などの単一の材質で構成してもよいが、異なる材質による複数の層から構成してもよい。
【0064】
(
図7)
図7は、本実施形態に係る駐車場構造を備えた駐車場へ、駐車した車両を平面図にて示している。車両が占有する区域よりも一回り広い区域の周囲が発光している。路面に白線を塗装して駐車のための区域を表示してきた従来型の駐車場とは異なり、駐車場全体をフレキシブルに使うことができる。
【0065】
車両が占有する区域よりも一回り広い区域を、その車両が駐車によって借りる区域となる。その区域については、後述するカメラ(
図9など)が、入庫しようとする車両の写真を撮影し、その車両写真を分析した結果を用いることで、より細かな区域設定を可能となる。
【0066】
たとえば、右ハンドルの車両であれば、駐車した車両のハンドル側をやや広めとして乗降のしやすさを考慮した区域設定とすることができる。また、荷物を積んだ車両であれば、駐車した車両の後方に「荷さばきスペース」を設けた区域設定とすることができる。
【0067】
(
図8)
図8では、駐車を終えて運転者が車両を離れた状態(a)と、車両に人が近づいた状態(b)とを示す。
図8(a)では、運転者が車両を離れ、周囲に人や車両が存在しない場合には、発光層による発光は不要であるため、消灯している状態を示している。
【0068】
図8(b)では、駐車場または駐車している区域へ近づく人がいる旨を、図示を省略した人感センサが検知し、車両が駐車して占有している領域を示すために、発光層の所定の区分を発光させた状態を示している。
なお、図示を省略するが、駐車場内で他の車両が近づいてきた場合には、その旨を光感知パネルが検知するので、同様に、発光層の所定の区分を発光させる。
【0069】
(
図9)
図9では、一般道に面して本実施形態に係る駐車場構造を備えたL字形をなす駐車場へ、既に駐車中の車両とは別に、駐車しようとしている車両が現れた旨を、平面図にて示している。
【0070】
一般道からの駐車場の入口には、入庫しようという車両を検知したら開放されるゲート(小規模な駐車場やナンバープレート撮影で代用する駐車場などではゲートが無い場合もある)と、ゲートから入庫しようとする車両の車種やナンバープレートを撮影するカメラまたは車両の存在を検知可能なセンサが備えられている。
【0071】
(
図10)
図10では、駐車しようとしている車両が駐車場へ入場した場合を示している。
駐車しようとしている車両の運転者に見えるように、駐車すべき場所への誘導のため、発光パネルの所定区分が、誘導のために点灯している。
また、誘導のための点灯の先には、駐車のための区域を示す発光パネルの所定区分が点滅している。
【0072】
ゲートから入庫しようとする車両の車種やナンバープレートを撮影するカメラは、制御ユニットを介して、ナンバープレートデータを陸運局データベースへ送信する。そして、ナンバープレートデータに紐付いた車両寸法データを取得することとしている。それによって、ゲートから入庫しようとする車両に対する正確な寸法を把握することができ、その車両が駐車に必要な面積を合理的に算出可能である。
【0073】
(
図11)
図11では、
図9および
図10で示した駐車しようとしている車両が一般道から駐車場へ入ろうとする直前と直後について、当該車両と本実施形態に係る駐車場構造との関係を示している。
【0074】
図11(a)では、車両が一般道から駐車場へ入ろうとする直前を平面図で示し、
図11(b)では、その状態の際における駐車場構造について車両を省略した状態として示している。駐車場と一般道との境目にある受発信センサが反射波を検知した状態では、車両が占有する区域およびその面積が決定されない。
【0075】
図11(c)では、車両が駐車場へ入った直後を平面図で示し、
図11(d)では、その状態の際における駐車場構造について車両を省略した状態として示している。駐車場と一般道との境目にある受発信センサには、反射波を検知しているものがなくなっている。車両が駐車場内に完全に入ったからである。
【0076】
それ以後のある瞬間において、反射波を検知した受発光センサがどこであるか、というデータに基づいて制御ユニットが、当該車両が駐車した場合に占有する区域およびその面積を算出する。そして、算出した区域を提供できる場所を算出し、その場所へ車両を誘導するための点灯命令を、所定の発光パネルに対して出力する。
【0077】
(
図12)
図12は、車両が駐車場へ入場した後に、駐車すべき場所を決定し、駐車場所へ案内するアルゴリズムを実行する場合のフローチャートである。
【0078】
まず、入場してきた車両がどのような占有区域を要するか、を決定する(S1)。なお、どのような占有区域を要するか、については、
図11(a)~(d)を用いて説明した。
【0079】
続いて、決定した占有区域を、その駐車場が現時点で提供できるか否か、を判断する(S2)。提供できないと判断した場合には、退場への道案内を表示することとなる(S7)。そしてその場合、その車両が駐車場から退場した旨を確認し、終了する(S8)。
【0080】
決定した占有区域を提供できる場合、その車両が駐車すべき場所を決定する(S3)。そして、その駐車場所へ当該車両が移動するための案内表示(
図11(c)、(d)など)を、制御ユニットによる発光層に対する区分への制御によって実行する(S4)。
【0081】
案内表示にしたがった車両が移動する旨は、反射波を検知した受発光センサがどのように変化するか、によって制御ユニットにおいて把握できる。その移動に応じた別の案内表示が必要であれば、案内表示も移動させる(S5)。
【0082】
案内によって導いた駐車すべき区域(
図7に図示)へ車両が停車したら、その区域における受発光センサが反射波を検知しなくなるので、駐車場所へ停車した旨を制御ユニットにおいて把握できる(S6)。停車して所定時間が経過したことを検知することで、駐車場所への案内を終了する(S9)。
【0083】
(
図13)
図13は、受発光センサおよび発光部の配置についてのバリエーション示す平面図(a)および断面図(b)である。
【0084】
受発光センサを配置するピッチLに対して、発光部を形成する区分Mは、四分の一としている。具体的なLの寸法としては100ミリメートル、Mは25ミリメートルとした。しかし、本発明がこれらの寸法や前述の比である必要はない。
【0085】
Mについては、小さければ小さいほど、駐車場の利用者(車両の運転者に限らない。たとえば、駐車場の近くを歩行する人など)に対する情報提供が多彩化できる。
Lについては、小さければ小さいほど、車両の大きさに関する正確なデータを取得できる。
【0086】
(
図14)
図14は、受発光センサを、発信センサと受信センサとに分け、それぞれが交互に位置するように配置した実施形態を示す。発信センサを配置するピッチLに対して、発光部を形成する区分Mは、四分の一とし、受信センサを配置するピッチNは、Lと同じとしている。
【0087】
発信センサが発信する電磁波の種類に応じて、発信センサと受信センサとに分けた方が合理的な場合があり、配置するピッチとの関係も考慮し、こうした実施形態を採用することがある。
【0088】
(
図15)
図15は、受発光センサを埋め込んだパネルの区分の形状を正方形ではなく正六角形とし、発光部の区分を形成する形状を前記の正六角形を六等分する正三角形とした場合について示す平面図(a)および断面図(b)である。
この図で示したように、受発光センサを埋め込んだ区分の形状も発光部の区分の形状も、正方形に限られない。
【0089】
(
図16、
図17)
続いて、路面へ雨水などの水を対流させないための構造について説明する。駐車場が屋外である場合には雨水が滞留しないようにするためであり、駐車場が屋内であっても清掃時などに水を使う場合があるためである。
【0090】
図16(a)では、保護層を備えていない駐車場構造であり、受発光センサを備えたパネルおよび発光部を備えたパネルを交互に配置した層および基板からなる構造全体を傾斜させている。
【0091】
傾斜角度θaは、0.5~6度ほどが一般的である。ただし、本発明を採用する場所(駐車場ごと)によって、適正な傾斜角度は異なる。
傾斜の方向は、駐車する車両の前後方向ではなく、原則として左右方向とすべきである。車両のサイドブレーキかけ忘れがあったとしても、車両が動いてしまわないためである。
【0092】
図16(b)では、路面の上面を形成することとなる保護層のみで傾斜を形成する場合を示している。この実施形態における保護層は、駐車する車両の下方が山となり、左右方向へ下方傾斜させるように形成している。傾斜角度θbは、0.5~6度ほどが一般的であるが、これも駐車場毎に適正値が異なる。
図15(a)と比べた場合、運転者など車両に乗る乗車者へ違和感を与えにくいというメリットがある。
【0093】
図17(a)では、保護層のみを一方向へ傾斜させている実施形態を示す。傾斜角度θcもまた、0.5~6度ほどが一般的であるが、これも駐車場毎に適正値が異なる。
【0094】
図17(b)では、保護層のみを上に凸となるような湾曲をさせている実施形態を示す。湾曲させた部位の平均的な傾斜角度θdもまた、0.5~6度ほどが一般的であるが、これも駐車場毎に適正値が異なる。
【0095】
(
図18)
図18に示す実施形態では、発光部に発熱材を備えており、積雪のある地域における駐車場構造として提供する。この図では、発光部全てではなく、ひとつ置きに備えることとしている。発熱材は、基板を介して提供される電気エネルギを熱エネルギに変換し、路面の積雪を溶かす機能を果たす。
【0096】
図示は省略するが、保護層を備える実施形態において、保護層へ発熱材を備えることとしてもよい。また、発光部が発光の際に発熱を伴うものであれば、前述の発熱材は省略可能である。
【0097】
発熱材に代わって、水または温水を路面に対して噴出させて雪を溶かす構造としてよい。融雪が可能な水温の水を得られる場所では、そうした水を少量ずつ流す構造を備えることで発熱材に代替させることもできる。
【0098】
(
図19)
図19は、複数の駐車場A,B,Cに、それぞれ本発明に係る駐車場構造を採用した場合、制御ユニットにて受信したり処理したりするデータを駐車場管理サーバへ送信するデータ送信装置を備えている旨を、概念的に示したものである。
【0099】
駐車場管理サーバでは、各駐車場A,B,Cから送信されるデータをデータ受信装置によって受信し、駐車場管理データベースへ蓄積する。
なお、図示を省略しているが、駐車場管理サーバから各駐車場A,B,Cへデータを送信することも可能である。送信するデータには、制御ユニットにて実行するコンピュータプログラムなどを含む。そのため、制御ユニットにて実行するコンピュータプログラムを更新することが容易となる。
【0100】
(
図20)
図20は、
図19で示したデータ送信装置を精算機としたものである。各駐車場A,B,Cにおける制御ユニットと精算機とは双方向でデータの送受信を実行するが、その精算機を介して駐車場管理サーバへ各種のデータを送信することができるようにしたものである。
【0101】
図20に示す実施形態によれば、駐車料金やその料金算出の根拠となったデータを駐車場管理サーバが受信できる。それらのデータ収集とその収集データの分析によって、より合理的な駐車場の運営管理に寄与する。
【0102】
なお、図示を省略しているが、駐車場管理サーバから各駐車場A,B,Cへデータを送信することも可能であるのは、
図18の実施形態と同様である。送信するデータには、精算機にて実行するコンピュータプログラム、制御ユニットにて実行するコンピュータプログラムなどを含む。
【0103】
(
図21)
図21(a)では、従来の駐車場における精算機の近傍において、未利用のスペース(デッドスペース)が存在することを示している。
【0104】
図21(b)では、
図21(a)で示した精算機に最も近い車室を含めた領域に、本発明に係る駐車場構造を採用した場合を示している。
この駐車場構造を採用することで、採用した領域は、車室を示すペイントは不要であり、駐車した車両に応じた車室が設定可能である。たとえば、精算機の近傍に、車椅子のドライバが運転する車両が駐車した場合、前後左右の占有区分を、車両が占有する区分よりも広めに設定する、といった柔軟な使い方をすることが可能となる。
【0105】
(
図22)
図22は、駐車しようとする車両の高さ方向寸法を計測するための駐車場構造を示す斜視図である。
本願発明に係る駐車場構造を採用した区域を、当該駐車場の入口付近における壁には、高さ方向にもマス目を描いている。そして、高さ方向のマス目を示す「あいうえお」といった記号も示している。
【0106】
壁に描かれたマス目や記号が、入口付近を通過する車両とともに高さ計測カメラにて撮影される。マス目とともに車両が撮影されれば、高さ計測カメラを複数備えてステレオ撮影して正確に高さ方向寸法を計測しなくても、現実の車両高い差寸法と誤差の小さな測定が可能となる。
【0107】
図22(a)、(b)、(c)では、高さ計測カメラは単独であり、その高さ方向カメラはそれぞれ異なる所定の高さにて固定されている。しかし、壁に描かれたマス目とともに撮影することで、誤差の小さな高さ方向寸法を得ることができる。
【0108】
(
図23)
図23は、高さ計測カメラにて、車両高さ基準値を記した壁とともに入庫した車両のイメージデータを取得し、駐車場内の適切な領域(この場合、領域A)へ導くまでを、概念的に示している。
【0109】
駐車場内に入庫した車両に対して、高さ計測カメラが自動撮影し、イメージデータを取得する。その自動撮影は、車両高さ基準値を記した壁とともに撮影される。そのため、その撮影データは、車両高さのデータを伴っている。
【0110】
一方、駐車場のレイアウトデータベースには、駐車場内のレイアウトに関するデータが蓄積されている。高さ計測カメラにて取得した車両高さデータは、車両データ区分対応データベースに蓄積されたデータ、レイアウトデータとともに、駐車すべき領域を算出する領域算出手段に掛けられる。そして車両基準値の判定を実施する。
【0111】
車両高さ基準値を超過した場合には、レイアウトデータを用いて、看板が見えにくくならない領域(A)へその車両が駐車するように、制御ユニットが当該車両を誘導する。
車両高さ基準値を超過しなかった場合には、看板の近傍に位置する領域(B)であっても看板は見にくくならないので、その車両が領域(B)に駐車するように、制御ユニットが当該車両を誘導する。
【0112】
(
図24)
図24は、車両高さ基準値の種類を示す図である。(a)は、車両高さ基準値となる高さ位置に、壁の色と異なる色を用いてペイントすることで、車両高さ基準値を示している。(b)は、車両高さ基準値となる高さ位置が境界となるように、壁の色を塗り分けることで、車両高さ基準値を示している。(c)は、マス目を壁に示すとともに、車両高さ基準値となる高さ位置に、壁の色と異なる色を用いてペイントすることで、車両高さ基準値を示している。
【0113】
(
図25)
図25は、本願発明に係る駐車場構造を部分的に採用する場合のバリエーションを、サンプルレイアウトを基準として示している。
(a)は、サンプルレイアウトであり、出入り口とは反対側に、標準的な車両区分(2.5x5.0メートル)が3つ配置でき、出入り口側には2つが配置できる。
【0114】
(b)は、サンプルレイアウトにおける出入り口の正面部分に該当する2つの標準的な車両区分に相当する領域に、本願発明に係る駐車場構造を配置し、フレキシブル車室とする。すなわち、普通車が2台駐車できる大きさである。そのフレキシブル車室を、どのような車両が使うのか、を判断するため、出入り口から入庫する車両に対しては、入口カメラが設置されており、どのような車両が入庫したのか、を撮影する。
【0115】
(c)に示すように、入庫してきた車両のフロントガラスなどに表示された「車椅子マーク」を入口カメラが認識できた場合、その車両は、フレキシブル車室を目一杯使って良い、という案内(誘導)を制御ユニットが実行する。なお、入口カメラは、「車椅子マーク」のほか、初心者、高齢者、マタニティ、各種許可証を認証し、的確な駐車場所へ誘導することとする。
【0116】
(
図26)
図26は、フレキシブル車室の使い方に関するバリエーションを示す。
(a)は、普通車両の占有面積を大きく上回る大型車両が入庫してきた場合に、フレキシブル車室へ、その大型車両を誘導した状態を示す。そして、大型車両を駐車しても初心者、高齢者、マタニティ、各種許可証空いているスペースについては、自動二輪車(原動機付き自転車を含む)、電動キックボード、自転車などが駐車できるスペースとして使う。
【0117】
(b)は、フレキシブル車室を時間帯に応じた使い方をする例を示す。たとえば、この駐車場が首都圏への通勤客が多い鉄道の駅に隣接しているとする。晴天の朝の通勤時間帯は、自宅から駅に向かう人が電動キックボードでやってくることを想定し、フレキシブル車室を、4行2列で8台の電動キックボードが駐車できる専用スペースとするのである。たとえば、午前10時までは電動キックボードを含む自転車などの専用スペースとして活用する。
【0118】
電動キックボードが「シェア車両」である場合、ここへ停めた電動キックボードに乗っていく人がいることも想定される。その場合、全ての電動キックボードが出庫してしまったら、様々なサイズの車両駐車に対応できるフレキシブル車室として活用する。
【0119】
なお、自動二輪車(原動機付き自転車を含む)、電動キックボード、自転車などが駐車できるスペースとしてフレキシブル車室を使う場合、一般の車室との間に「セフティゾーン」と呼ばれる駐車させない領域を設定する。自動二輪車が転倒して、一般車室へ駐車した車両を傷付けるリスクを低減するためである。
【0120】
前述してきた実施形態によれば、駐車場として用意する土地や空間を、柔軟に、効率的に利用するための駐車場構造を提供することができる。たとえば、駐車によってその車両が占有する区域を合理的に配置することが可能なので、駐車できる台数を増やしたり、規格外の占有をする車両に対して合理的な課金をしたりするなど、柔軟な対応を可能とする。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明は、駐車場の設備製造業、駐車場の管理業、駐車場および貸し出し用車両を利用したカーシェアリング事業やレンタカー事業、駐車場管理用データの通信機器の製造業、データ通信におけるデータ管理業、駐車場の制御ユニットや駐車場管理サーバにおけるアプリケーションソフトウェアの開発業、などにおいて利用可能性を有する。