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特開2023-20952飲料を得るためのカプセルの補強リング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020952
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】飲料を得るためのカプセルの補強リング
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/06 20060101AFI20230202BHJP
   A47J 31/44 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
A47J31/06 320
A47J31/44 180
A47J31/06 323
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022112929
(22)【出願日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】102021000020315
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】509263294
【氏名又は名称】アロマ システム エスアールエル
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジーノ ラッパリーニ
(72)【発明者】
【氏名】マウリツィオ ゼネラリ
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA20
4B104BA35
4B104BA77
4B104EA08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】機械的及び機能的特徴を変更せずに構造を軽量化し、生産コストを削減し、堆肥化可能の要件を満たしながら材料の量を減らすことができる補強リングに関する。
【解決手段】飲料、例えばコーヒーを得るためのカプセルの補強リング10であって、側壁1と、好ましくは均一な厚さを有し、側壁から突出した平坦面と、を備える補強リングに関する。補強リング10は、側壁1が、端部における側壁の厚さを減少させ、リングを製造するために使用される材料の総量を減少させるように、平坦面と反対側の端部に溝6を有することを特徴とする。補強リングは、例えばフィルタ材料からなる飲料を得るためのカプセルの本体を補強するために使用できる。補強リングをカプセル本体に溶着する機械、及び、飲料を製造するためのシステムであって加圧水を供給するステップの間、補強リングを有するカプセルが挿入される容器を有するシステムにも関する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料、例えばコーヒーを得るためのカプセルの補強リング(10)であって、
‐第1の端部(2)、第2の端部(3)、及び厚さ(4)を有する側壁(1)と、
‐好ましくは均一な厚さを有し、前記第1の端部(2)が対応する位置に、前記側壁(1)から突出する平坦面(5)と、を有し、
前記側壁(1)及び前記突出する平坦面(5)は、好ましくは単一体として形成される補強リング(10)であって、
前記側壁(1)は、前記第2の端部(3)が対応する位置に、前記第2の端部(3)が対応する位置の前記側壁(1)の前記厚さ(4)を減少させるような、溝(6)を有し、
前記側壁(1)は、前記第2の端部(3)が対応する位置に、前記リング(10)の外側に面する第1の部分(1a)と、前記リング(10)の内側に面する第2の部分(1b)とを有し、前記第1の部分(1a)と前記第2の部分(1b)とは、前記溝(6)により分割されるように構成される、ことを特徴とする、補強リング(10)。
【請求項2】
前記溝(6)は、前記補強リング(10)の外周に沿って連続したラインを形成する、請求項1に記載の補強リング(10)。
【請求項3】
前記溝(6)は、前記補強リング(10)の外周に沿って不連続なラインを形成する、請求項1に記載の補強リング(10)。
【請求項4】
前記溝(6)の断面が、前記第2の端部(3)に対して逆V字の形状を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の補強リング(10)。
【請求項5】
前記側壁(1)は、前記リング(10)の製造のために使用される材料の総量をさらに減少させるように、厚さが減少した領域(7)を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の補強リング(10)。
【請求項6】
前記平坦面(5)は、その外周に沿って溝(8)を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の補強リング(10)。
【請求項7】
前記補強リング(10)は、生分解可能、及び/又は、堆肥化可能な、及び/又は、バイオベースの材料、例えば、PLA、PHA、PBS、スターチブレンド、バイオベースのPE、PET、PA、PTからなる、請求項1から6のいずれか1項に記載の補強リング(10)。
【請求項8】
飲料、例えばコーヒーを得るためのカプセル(20)であって、
‐請求項1から7のいずれか1項に記載の補強リング(10)と、
‐所望の飲料、例えば挽いたコーヒーを得るために使用されるプロダクトのための収容容積を形成するように構成されたカプセル本体(30)と、を備える、カプセル(20)。
【請求項9】
前記カプセル本体(30)は、熱成形可能なフィルタ材料からなり、溶着を通じて前記補強リング(10)の前記側壁(1)に固定されている、請求項8に記載のカプセル(20)。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のカプセル(20)の製造方法であって、前記方法は、固定ジオメトリ溶着機(210)を通じて実現される溶着ステップを含み、
前記カプセル本体(30)は、前記カプセル本体(30)が前記補強リング(10)に挿入された後に、前記カプセル本体(30)の内側から前記補強リング(10)に溶着され、
前記補強リング(10)の前記側壁の少なくとも一部(1b)は、前記溝(6)の存在により弾性変形し、前記カプセル本体(30)の前記補強リング(10)への前記溶着ステップの間に、前記固定ジオメトリ溶着機(210)の構造に適合するように構成される、方法。
【請求項11】
前記第2の部分(1b)は、前記固定ジオメトリ溶着機(210)と接触するように配置された時に、前記カプセル本体(30)の前記補強リング(10)への溶着を補助するように、弾性変形する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
システム(100)を用いた飲料の製造方法であって、前記システム(100)は、
‐請求項8又は9に記載のカプセル(20)と、
‐飲料の製造のために加圧水を供給するステップの間、前記カプセル(20)を収容するように構成された容器(50)であって、供給中に前記カプセル(20)を収容するように構成された区画(V)を形成する側面(51)及び底(55)を備える容器(50)と、を含み、
前記方法は、前記容器(50)の前記側面(51)の内面(52)の所定の部分と、前記補強リング(10)の前記側壁の少なくとも一部(1a)との間にシールを作り上げるステップを、含み、
前記側壁の前記少なくとも一部(1a)は、前記溝(6)の存在により、前記内面(52)の前記所定の部分と接触しているときに弾性変形するように構成され、前記補強リング(10)と前記容器(50)の間の界面からの前記飲料の漏出が妨げられるように、前記内面(52)の前記所定の部分のジオメトリに適合するように構成される、飲料の製造方法。
【請求項13】
前記側壁(1)は第1の直径(D1)を有し、前記区画(V)は前記補強リング(10)の収容部が対応する位置に第2の直径(D2)を有し、前記第1の直径(D1)は前記第2の直径(D2)以上であり、
前記シールを作り上げるステップは、前記側壁の少なくとも一部(1a)が前記内面(52)に接触したときに弾性変形し、前記弾性変形により前記補強リング(10)が前記区画(V)に挿入され、前記シールを実現することを含む、請求項12に記載の飲料の製造方法。
【請求項14】
前記シールを作り上げるステップは、加圧水を供給するステップの間、前記加圧水の少なくとも一部が前記溝(6)に入り前記側壁の少なくとも一部(1a)を弾性変形させ、これにより前記側壁(1)と前記内面(52)との間にシールを作り上げることを含む、請求項12又は13に記載の飲料の製造方法。
【請求項15】
前記第1の部分(1a)は前記区画(V)と面するとともに第1の厚さを有し、前記第2の部分(1b)は前記カプセル本体(30)と面するとともに第2の厚さを有し、前記第1の部分(1a)の前記弾性変形を補助して前記シールを作り上げるように、前記第1の厚さが前記第2の厚さより薄くなっている、請求項12から14のいずれか1項に記載の飲料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えばコーヒーなどの飲料を得るためのカプセルの分野に関するものである。より詳細には、本発明は飲料を得るためのカプセルの補強リングの分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
飲料を得るためのカプセルに用いられる幅広い補強リングが市場で入手可能である。このようなリングの例は、EP2555997A2の番号で公開された欧州特許出願に記載されている。
【0003】
しかし、既知のタイプの補強リングは多くの場合、かなりの量の例えばプラスチックの材料を使用して作られており、したがってそれらは高価であり、生分解可能及び/又は堆肥化可能として分類される要件を満たすには適していない。
【0004】
EP3152134A1の番号で公開された欧州特許出願は、例えば上述の問題を解決するために、リングの安定性を保証する一方でリングを製造するために使用される全材料の量を減少させるように、厚さが減少されたゾーンを有する補強リングを開示している。
【0005】
しかしながら、本発明の目的はリングの機械的及び機能的特徴を変更せずに維持するだけでなく、さらに改善することによって、構造を著しく軽量化し、生産コストを削減し、堆肥化可能の要件を満たすように、リングを作るために使用する材料の量をさらに減らすことである。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、飲料を得るためのカプセルの補強リングを、一端に溝が設けられた側壁を有するものとすることで、リングを製造するための材料の総量を減らすというアイデアに基づくものである。
【0007】
本発明の一実施形態によれば、飲料、例えばコーヒーを得るためのカプセルのために設けられる補強リングであって、
第1の端部、第2の端部、及び厚さを有する側壁と、
好ましくは均一な厚さを有し、第1の端部が対応する位置に、側壁から突出する平坦面と、を備え、
側壁及び突出する平坦面は好ましくは単一体として形成され、補強リングは、第2の端部が対応する位置に第2の端部が対応する位置の側壁の厚さを減少させるように、側壁が溝部を有することを特徴とする。
【0008】
この解決策は、リングを作るために使用される材料の量が減少し、その結果、製造コストが削減されるため、特に有利である。さらに、補強リングの側壁に溝が存在することにより、リングの端部を薄くすることができより弾性的にすることができるので、その脆弱性が減少しその加工が単純化される。
【0009】
溝はリングの側壁の一方の端部にのみ形成されるので、当該技術分野において知られているリングに対してシステムの質量分布の非対称性を増大させるという利点もあり、これにより、製造中の潜在的な選別又は取り扱いの段階においてリングを方向付けるのに役立つ。特に、溝を有する側壁の部分は側壁から突出した平面を有するリングの部分よりもはるかに低い質量を有する。
【0010】
リングが生分解可能又は堆肥化可能な材料で作られている場合、溝の存在はリングを製造するために使用される材料の量を減少させることによって、リング自体の分解を補助することにもなる。これに加えて、溝の存在は全体の厚さが1.6mm未満の側壁を製造することを可能にし、これにより堆肥化可能な材料を使用する場合はより堆肥化可能なポリマー、例えば1.6mm未満の適合厚をしばしば要求するHOME COMPOST材料を使用できるようになる。
【0011】
本開示では、補強リングの側壁は、厚みと、第1の端部と、第1の端部とは反対側の第2の端部とを有する環状構造を形成していることが理解されるはずである。この環状構造の上に平坦面が形成され、当該平坦面は第1の端部において側壁から突出する環状縁を形成する。第2の端部における側壁の環状構造の厚さは、第2の端部を規定する表面から深さ方向に延びる溝の存在によって局所的に減少し、例えば溝は1mmから6mmの深さとなり得る。
【0012】
好ましい構成によれば、溝を有する補強リングは当該技術分野で知られている構造と比較して軽量化され、その質量は10%以上低減される。
【0013】
本発明によれば、その側壁が第2の端部においてリングの外側に面する第1の部分と、リングの内側に面する第2の部分とを有するように構成され、第1の部分と第2の部分とが溝により分割される補強リングが提供される。
【0014】
この構成は、突出した平坦面とは反対側で補強リングの側壁の端部を規定する表面から単にチャネルを作ることによって溝が形成されるため、有利である。これにより、リングの側壁の第2の端部は溝を画定する2つの部分を有する。
【0015】
本開示において、リングの外側及び内側は、リングのプロファイルを画定する円周の中心と一致するリングの中心を基準として定義されることが理解されるはずである。
【0016】
好ましい構成によれば、溝を画定する第1及び第2の部分は2つの異なる厚さを有してもよく、例えば第1の部分は第2の部分より薄くてもよく、或いは第1の部分は第2の部分より厚くてもよい。代替構成によれば、溝の縁にある2つの部分は対称的であってもよく、同じ厚さを有してもよい。
【0017】
本発明のさらなる実施形態によれば、その溝が補強リングの外周に沿って連続したラインを形成する補強リングが提供される。
【0018】
この構成は、溝の作成工程が迅速かつ簡単で、全周にわたって一定の弾性挙動を確保できるため、有利である。
【0019】
好ましい構成によれば、溝は側壁の(突出した平坦面と反対側の)第2の端部において連続した周方向のラインを形成してもよい。
【0020】
本発明のさらなる実施形態によれば、その溝が補強リングの外周に沿って不連続なラインを形成する補強リングが提供される。
【0021】
この構成は、溝の作成工程が迅速かつ簡単で、特定の所定点で弾性を変化させることができるため、有利である。
【0022】
好ましい構成によれば、溝は(突出した平坦面と反対側の)第2の端部において側壁の全周周りに不連続なライン、例えば点線を形成していてもよい。
【0023】
本発明のさらなる実施形態によれば、溝の断面が第2の端部に対して逆「V」字の形状を有する補強リングが提供される。
【0024】
この解決策は特に有利であり、なぜなら、これが供給中に飲料を製造するための所定のシステムに収容された、飲料を得るためのカプセルの構造を補強するために使用される場合、リングのシール性を向上させるためである。実際、溝のV字形状は飲料製造中に吐出される水の圧力を利用することを可能にする。なぜなら、水は、溝にまで浸入するとき、溝を画定する側壁の部分を拡張し、飲料容器の内面に対するシール性を高めるからである。
【0025】
さらに、側面の第2の端部に対して逆「V」字の形状を有する溝は、補強リングの製造中に容易に実現できる。
【0026】
本発明のさらなる実施形態によれば、リングを製造するために使用される材料の総量をさらに減少させるように、厚さが減少した領域を側壁が有する補強リングが提供される。
【0027】
この解決策は、リングの安定性と補強機能を維持したまま、さらに軽量化し製造コストを削減することができるという点で特に有利である。
【0028】
好ましい構成によれば、厚みが減少した領域はリングの側壁に沿って、例えばリングの側壁の外面上又は内面上に形成された凹部で構成されてもよい。例えばこのような厚みが減少した領域は側壁の外面又は内面に周期的に形成されてもよく、また例えば突出した平坦面に対してU字又はV字の形状を有していてもよい。
【0029】
本発明のさらなる実施形態によれば、平坦面が全周周りに溝を含む補強リングが提供される。
【0030】
この解決策は、平坦面上の溝がシール要素、例えばシールフィルムを補強リングに溶着する工程を簡略化するので、特に有利である。さらに、平坦面にも溝が存在することで、リングを作るために使用される材料の量がさらに減少する。
【0031】
本開示では、補強リングの平坦面は外周、例えば円形の外周を有し、溝はその外周に沿って形成されていることが理解されるはずである。例えば平坦面の溝は平坦面の外周に沿った連続的な円状のラインを形成してもよいし、或いは例えば平坦面の外周に沿った不連続なラインを形成してもよい。
【0032】
本発明のさらなる実施形態によれば、生分解可能及び/又は堆肥化可能及び/又はバイオベースの材料、例えばPLA、PHA、PBS、スターチブレンド、バイオベースのPE、PET、PA、PTからなる補強リングが提供される。
【0033】
この解決策は、溝を有するリングを製造するために使用される材料の量が、当該技術分野で知られているリングに一般的に使用される材料の量よりも少ないので、これにより、廃棄後のリングの分解がさらに促進されるため、特に有利である。
【0034】
本発明のさらなる実施形態によれば、コーヒーなどの飲料を得るためのカプセルが提供され、当該カプセルは、上述したような補強リングと、例えば挽いたコーヒーのような所望の飲料を得るために使用されるプロダクトための収容容積を形成するように構成されたカプセル本体とを備える。
【0035】
この構成は、カプセル本体に取り付けられた補強リングの存在により飲料を得るためのカプセルの安定性と信頼性が向上する一方で、溝の存在により補強リングの構造が軽量化され柔軟性が増すため、特に有利である。これにより、カプセル全体としての取り扱い性、柔軟性、適合性が単純化される。
【0036】
本発明のさらなる実施形態によれば、カプセル本体が熱成形可能なフィルタ材料で作られ溶着によって補強リングの側壁に取り付けられるカプセルが提供される。
【0037】
この構成は、溶着によってカプセル本体のフィルタ材料が補強リングにしっかりと確実に固定されるため、特に有利である。カプセル本体のフィルタ材料を補強リングに溶着する工程では、補強リングの内部がより薄くより柔軟であるという事実が、溶着機のジオメトリ(形状)への適合を助ける。好ましくは、溶着工程中に固定ジオメトリを有する溶着機、例えば固定ジオメトリを有する円錐溶着機が使用され、これは柔軟な補強リングに良好に適する。
【0038】
本発明のさらなる実施形態によれば、上述のようなカプセルを製造するための方法(カプセルの製造方法)が提供され、当該方法は、固定ジオメトリ溶着機によって実現される溶着ステップを含む。当該方法においては、カプセル本体が補強リングに挿入された後に、カプセル本体がカプセル本体の内側から補強リングに溶着される。また、当該方法においては補強リングの側壁の少なくとも一部が溝の存在により弾性的に変形し、カプセル本体の補強リングへの溶着ステップの間に固定ジオメトリ溶着機の構造に適合するように構成される。
【0039】
この構成は、カプセル本体のフィルタ材料を補強リングに溶着するプロセスにおいて、補強リングの内部がより薄くより柔軟であるという事実が、溶着機のジオメトリへの適合を補助するので、特に有利である。
【0040】
固定ジオメトリ溶着機は、可変ジオメトリ溶着機よりも使いやすいので、溶着プロセスにおいて使用することが好ましい。実際、可変ジオメトリ溶着機は例えば、円形表面の溶着プロセスを時間間隔で区切られた2つ以上のステップに分割する必要があり、その中で可変ジオメトリ溶着機は円形の溶着を行うために自身の軸を中心に回転する必要がある。
【0041】
リングの薄く弾性のある側壁は溶着機の構造に適合できるため、固定ジオメトリ溶着機は柔軟な補強リングに適しており、これにより2つの対象物間のいかなるジオメトリの差(例えば、補強リングが公称の構造と比較して楕円形になるなど、わずかに変形している場合)、及び/又は、位置の違い(例えば、溶着機の下でリングを搬送するシステムが使用又はさまざまな故障により精度を失った場合)も補償される。特に、溶着機と接触する側壁の内側部分は溶着作業中に弾性的に変形する。
【0042】
本発明のさらなる実施形態によれば、上述のようなカプセルを製造するための方法が提供され、当該方法において、側壁は溝が対応する位置にカプセルの外側に面する第1の部分とカプセルの内側に面する第2の部分とを備える。第2の部分は固定ジオメトリ溶着機と接触して配置されたときに、カプセル本体の補強リングへの溶着を補助するように弾性的に変形するよう構成される。
【0043】
この構成には、リングの側壁の薄くて弾力性がある第2の部分を溶着機の構造に適合させることができるという利点があり、これにより2つの対象物間のいかなるジオメトリの差(例えば、補強リングが公称の構造に対して楕円形になるなど、わずかに変形している場合)、及び/又は、位置の違い(例えば、溶着機の下でリングを搬送するシステムが使用又はさまざまな故障により精度を失った場合)も補償される。したがって、補強リングをフィルタ本体に溶着する作業が単純化され、高速化される。
【0044】
本発明のさらなる実施形態によれば、システムによって飲料を製造するための方法(飲料の製造方法)が提供され、当該システムは、
上述のようなカプセルと、
飲料の製造のために加圧水を供給するステップの間、カプセルを収容するように構成された容器であって、供給中にカプセルを収容するように構成された区画を形成する側面及び底を備える容器と、を含み、
当該方法は、容器の側面の内面の所定の部分と、補強リングの側壁の少なくとも一部との間にシールを作り上げるステップを、含み、
リングの側壁の少なくとも一部は、容器の内面の所定の部分と接触すると、溝の存在により弾性的に変形するように構成され、補強リングと容器との間の界面からの飲料の漏出が妨げられるように、内面の所定の部分のジオメトリに適合するように構成される。
【0045】
この構成は、溝を備える補強リングが特に柔軟で弾性的であり、そのために弾性的に変形することができ、これにより高圧であっても飲料を製造するための所定の容器に収容されるカプセルのシール性が保証されるため、特に有利である。例えば生産上又は販売上の理由から、カプセルが収容される容器のサイズが増減した場合、溝を有することにより軽量かつ柔軟な補強リングの存在は、側壁が容器の形状及び構造に適合できることのおかげで、最適なシール性を保証する。リングの弾力性は例えば、補強リングを備えるカプセルと容器との間のいかなるジオメトリの差異も補償することを可能にし、例えば円形の補強リングを備えたカプセルを完全な円形ではなく、例えば楕円形の容器に使用することができる。
【0046】
特に、カプセルの外側に面する補強壁の部分は有利に弾性的に変形することができ、これにより2つの対象物の間のいかなる構造上の差異も補償することができる。
【0047】
本発明のさらなる実施形態によれば、飲料を製造するための方法が提供され、当該方法において、側壁は第1の直径を有し、区画は補強リングの収容部が対応する位置に第2の直径を有し、第1の直径は第2の直径以上であり、シールを作り上げるステップは、側壁の少なくとも一部が内面に接触するときに弾性変形し、弾性変形により補強リングが区画内に挿入され、シールを実現することを含む。
【0048】
この構成は、補強リングの側壁の第1の直径と容器の内面の第2の直径との間のいかなる直径の差も、容器の内面と接触する補強リングの局所的な弾性変形によって補償し得るので、特に有利である。
【0049】
リングの側壁の第1の直径は補強リングの円周の直径を指し、容器の内面の第2の直径はカプセルリングが収容される領域が対応する位置における容器の内面によって規定される円周の直径を示すことが理解されるはずである。
【0050】
本発明のさらなる実施形態によれば、飲料を製造するための方法が提供され、当該方法において、シールを作り上げるステップは、加圧水を供給するステップの間、加圧水の少なくとも一部が溝に入り側壁の少なくとも一部を弾性変形させ、これにより側壁と内面との間にシールを作り上げることを含む。
【0051】
この解決策は、所定の飲料製造システムに収容される、飲料を得るためのカプセルの構造を補強するために使用される場合、飲料の製造中に供給される水の圧力を利用してリングのシール性を改善するという有利な点を有する。水が溝に入ると、水は溝を画定する側壁の部分を拡張し、飲料を製造するための容器の壁部に対するシールを強化する。
【0052】
例示的な構成によれば、側壁の第1の直径は容器の内面の第2の直径と等しく、供給水の圧力の結果としてのリングの側壁の弾性変形は側壁、特に容器の区画に面する側壁の部分を容器の内面にさらに押し付けることにより、リングと容器との間のシールを改善し得る。
【0053】
さらなる例示的な構成によれば、側壁の第1の直径は容器の内面の第2の直径よりも小さくすることができ、これによりリングと容器との間のシールは供給水の圧力によるリングの側壁の弾性変形によって確保される。一方、側壁が溝を備えず、容器の内面に対して弾性的に変形できない場合、シールは最適ではなく、カプセルのリングとハウジングの縁の間の隙間から飲料が漏出する可能性がある。
【0054】
本発明のさらなる実施形態によれば、飲料を製造するための方法が提供され、当該方法において、溝が対応する位置における側壁は、区画と面し第1の厚さを有する第1の部分と、カプセル本体に面し第2の厚さを有する第2の部分とを形成し、第1の部分の弾性変形を補助してシールを作り上げるように、第1の厚さが第2の厚さよりも小さくなっている。
【0055】
この構成は、容器区画と接触する第1の部分が特に薄く柔軟であり、したがって弾性的に変形しリングと容器壁との間にさらにより良好なシールを確保するように構成されるという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
本発明は、添付の図面を参照して説明され、同一及び/又は類似の番号及び/又は記号は、システムの同一及び/又は対応する部分を示す。
図1図1は、本発明の一実施形態による、側壁に溝を備える補強リングの外観立体図を概略的に示す。
図2図2は、本発明のさらなる実施形態による、側壁の内面に厚さが減少した領域が追加的に設けられた補強リングの外観立体図を概略的に示す。
図3図3は、本発明のさらなる実施形態による、平坦面上にさらに溝が設けられた補強リングの断面図を概略的に示す。
図4図4は、本発明の一実施形態による、補強リングを備えた飲料を製造するためのカプセルの外観立体図を概略的に示す。
図5図5は、本発明の特定の実施形態による、補強リングを飲料カプセルの本体に溶着するための溶着ステーションの断面図を概略的に示す。
図6図6は、本発明の一実施形態による、補強リングを飲料カプセルの本体に溶着するステップ中の溶着ステーションの断面図を概略的に示す。
図7図7は、本発明の一実施形態による、カプセルと、供給中にカプセルを収容するのに適した容器とを備える、飲料を製造するためのシステムの分解図を概略的に示す。
図8図8は、使用段階における、図7に示される飲料を製造するためのシステムの断面図を概略的に示す。
図9図9は、さらなる使用段階における、図7に示される飲料を製造するためのシステムの断面図を概略的に示す。
図10図10は、さらなる使用段階における、図7に示される飲料を製造するためのシステムの断面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下では、同封の図面プレートに例示された特定の実施形態を参照して本発明を説明する。しかしながら、本発明は以下の詳細な説明に記載され、図に示された特定の実施形態に限定されるものではなく、記載された実施形態は単に本発明の様々な態様を例示するものであり、その範囲は特許請求の範囲によって定義される。本発明のさらなる修正及び変形は当業者には自明であろう。
【0058】
図1は、本発明の実施形態による、飲料を得るためのカプセルの補強リング10を概略的に示す。
【0059】
補強リング10は、アメリカンコーヒーなどの飲料を得るためのカプセルの構造を補強するために使用することができる。本発明に応じた補強リング10は、平坦面5がその上端に形成された第1の端部2(図1における上端部)と、第1の端部とは反対側の第2の端部3(図1における下端部)とを有する環状の側壁1を備える。したがって、平坦面5は第1の端部2において側壁1から突出した環状の平坦面を有する。側壁1はさらに、第2の端部3において溝6によって分割された側壁1の第1の部分1a及び第2の部分1bを形成するように、第2の端部3に溝6を有する。このようにして、第2の端部3における側壁1の総厚が減少し、リング10を製造するために使用される材料の総量が減少する。
【0060】
側壁1及び突出する平坦面5は好ましくは単一体として実現される。側壁1は、図1に示す特定の実施形態によれば、均一な厚さを有していてもよい。
【0061】
図2に示す代替実施形態によれば、側壁1は厚さが減少した領域7、すなわちリングの側壁1上に形成された凹部を有していてもよい。厚さが減少した領域7は例えば、(図2に示すように)リング10の内側に面する表面、又はリング10の外側に面する表面に形成されてもよい。減少した厚さの領域を有する側壁を備える飲料を得るためのカプセルの補強リングの例は、同じ出願人による特許出願EP3152134A1に記載されており、その内容は参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0062】
突出した平坦面5は好ましくは均一な厚さである。
【0063】
図3に示される更なる実施形態によれば、補強リング10は側壁1における溝6と平坦面5上の溝8との両方を有していてもよい。好ましくは、溝8は例えば平坦面5の外周に沿って連続した円形の溝を形成してもよい。
【0064】
代替的な構成によれば、溝8は例えば平坦面5の周囲に沿って不連続な円形の溝を形成することができる。このようにして、平坦面5上の溝8の存在により補強リング10へのシール要素11、例えばシールフィルムの溶着が補助される。
【0065】
不図示のさらなる実施形態によれば、補強リング10は、側壁1に溝6を有し、平坦面5上に溝8を有し、リングの側壁1の内面及び/又は外面上に厚さが減少した領域7を有してもよい。このようにして、リングの製造に使用される材料の量が大幅に削減される。
【0066】
図4は、補強リング10とカプセル本体30とを有し、アメリカンコーヒーなどの飲料を得るためのカプセル20を概略的に示す。カプセル本体30は、挽いたコーヒーなどの所望の飲料を得るために使用されるプロダクトのための容器容積を画定し、有利にはフィルタ材料、例えば紙フィルタ又は熱成形可能なフィルタ材料で作られる。このようなフィルタは実際に環境に優しいという利点がある。カプセル20に補強リング10が存在することは、フィルタ材料で作られたカプセル本体30に安定性と堅牢性を与えるために必要である。
【0067】
カプセル20は補強リング10から突出する平坦面5に溶着されたシール要素11、例えば平坦面5に熱シールされたシール要素11をさらに有してもよい。
【0068】
図4に示されるカプセル20は実質的に平坦な底部壁31と、プリーツ加工された、すなわち規則的又は不規則なひだを備えるように作られた側壁32とを有するカプセル本体30を有する。さらに、カプセル本体30の底部31の直径はカプセル本体30の上縁の直径よりも小さいため、カプセル本体30は円錐台形状を有する。このタイプのカプセルは例えば同じ出願人による特許EP3357819B1に記載されており、その内容は参照により本明細書に完全に組み込まれる。特に、特許EP3357819B1はひだ付きカプセル本体及び補強要素を有する飲料カプセルを形成するための方法及び機械に関し、段落[0074-0084]において、ひだ付きカプセル本体を補強要素に溶着する方法、及び対応する溶着ステーションを説明している。本発明の特定の実施形態によれば、例えば、補強リング10をカプセル本体30に取り付けるために、EP3357819B1に示されたものと同様の溶着プロセスを実行できることが理解されるはずである。
【0069】
以下では、図5及び図6を参照して、補強リング10自体をカプセル本体30に溶着するステップ中、例えばEP3357819B1に記載された方法による、本発明に応じた溝6を備える補強リング10の構成の利点が強調して示される。
【0070】
図5及び6は、本発明の一実施形態による、飲料カプセル20を形成するために補強リング10をカプセル本体30に溶着するステップを概略的に示す。
【0071】
溶着機210は図示されるように、固定されたジオメトリを有する。この構成により、溶着作業がより簡単かつ安全になる。上述のように、カプセル本体30の底部31とカプセル本体30の上縁との間には直径の差がある。これにより、可変ジオメトリ溶着機に頼る必要なく、固定ジオメトリ溶着機210を挿入することが容易な、顕著な円錐台形状を有するカプセル本体30が得られる。これは好ましいことであり、なぜなら可変ジオメトリ溶着機は本来的により複雑であるためで、例えば円形溶着を行うことは、円形表面の溶着プロセスを、溶着機が自身の軸の周りを回転する時間間隔によって分離された少なくとも2つのステップに分割することを含んでいるためである。
【0072】
図5に示されるように、カプセル本体30は最初に補強リング10の内側に配置される。固定ジオメトリ溶着機210はカプセル20の上方にその同軸上に配置され、カプセル20に近づけられる。溶着機210がカプセル20の内側に達すると、カプセル本体30と補強リング10との間の溶着が行われる。溶着は例えばホットバーによって、又は超音波や電磁誘導などの他の技術によって行われてもよい。
【0073】
図6に示すように、溶着機210がカプセル20の内部に挿入されると、補強リング10は弾性的に変形して溶着機210の形状に適合し、これにより構造及び/又は位置のいかなる違いも補償される。特に、補強リング10の内側の第2の部分1bは、側壁1の溝6の内側でわずかに屈曲することによって弾性的に変形し、溶着機210のジオメトリに適合する。
【0074】
本発明の特定の実施形態によるカプセル20は、当該技術分野で知られている飲料を製造するためのシステム、例えば抽出システムで使用することができる。飲料を得るためのシステムの例であって、補強リングを含みフィルタ材料で作られたカプセルが使用され、飲料の供給中にカプセルを収容するのに適した容器に挿入されるシステムの例は、同じ出願人による特許EP3403547B1に記載されており、その内容は参照によりここに完全に組み込まれる。
【0075】
以下では、図7から図10を参照して、EP3403547B1に示されるような飲料の製造のためのシステムにおいて、本発明の実施形態による、側壁1に溝6を有する補強リング10を備えるカプセル20を使用する利点が強調して示される。
【0076】
図7は、本発明の実施形態による、カプセル20と、供給中にカプセル20を収容するのに適した容器50と、容器50を閉じるための閉鎖要素60とを備える飲料を製造するためのシステム100を示す図である。閉鎖要素60は加圧水注入のためのチャネル(流路)61をさらに備える。容器50は供給中にカプセル20を収容するのに適した区画Vを形成する側面51及び底面55を含む。容器50は最終飲料を供給するための供給チャネル57をさらに備える。
【0077】
本発明の例示的な実施形態によれば、容器50は例えばEP3403547B1に記載された容器Aとして構成されてもよい。
【0078】
本発明の実施形態による、溝6を有する補強リング10を備えるカプセル20は、以下に説明するように公称のものとわずかに異なる内径を有する容器50に適合するため、図7に示すような飲料を製造するためのシステム100において有利に使用することが可能である。
【0079】
図8は、本発明の実施形態に係る飲料を製造するためのシステムの使用段階における断面図を概略的に示す図である。
【0080】
この図は最初のステップを示しており、このステップにおいて、カプセル20は容器50の区画Vに収容され、閉鎖要素60はカプセル20の上に置かれて容器50を閉鎖する。
【0081】
カプセル20は、補強リング10が内側面52の一部と部分的又は全体的に接触するように、容器50の区画Vに収容される。補強リング10の側壁1は直径D1を有する。容器50の上部内面52はシール領域が対応する位置に直径D2を有する。好ましくは、側壁1の直径D1は内面52の直径D2と等しい。しかしながら、図9及び図10を参照して以下に説明するように、溝6を備えるリング10の特定の構造により、直径D1が直径D2よりもわずかに大きくてもわずかに小さくても、リング壁1と上部内面52との間の最適なシールが可能になる。
【0082】
閉鎖要素60は、高圧水注入用のチャネル61と、例えば穿孔針のような第1の穿孔要素62とを有する。閉鎖要素60はカプセル20のシール要素11上に置かれるので、第1の穿孔要素62はシール要素11を貫通し、加圧して供給される水はその後、導管61を通ってカプセル20に入ることができる。容器50の底部55に形成された第2の穿孔要素56は、フィルタ材料により構成されるカプセル本体30と接触していない。
【0083】
図9は、図8の飲料を製造するためのシステムのさらなる使用段階における断面図を概略的に示す。
【0084】
図9では、飲料を製造するためのシステム100が組み立てられ、加圧水がチャネル61を介してカプセル本体30と区画Vとに供給される段階が示されている。加圧水は飲料を製造するためのプロダクトが収容されたカプセル本体30に入り、このようにして飲料が得られる。飲料はフィルタカプセル体30から出る際に区画Vに自己収集され、最終的に供給チャネル57を介して吐出される。
【0085】
図9において、補強リング10の突出した平坦面5が容器50の上縁に載り、補強リング10の側壁1の下側外側の部分(第1の部分)1aが容器50の上部内面52に接触していることが分かる。このようにすると、補強リング10の側壁1と容器50の上部内面52との間にシールが作り上げられ、高圧水がフィルタ材料で作られたカプセル本体30を出て、補強リング10と容器50との間の界面を通過するときに、容器50から漏出するのが防止される。
【0086】
なお、図9は補強リング10の側壁1の下側外側の部分1aとともにシールを作り上げることを示すが、補強リング10の側壁1全体と容器50の側壁51の内面52との間でシールを作り上げる代替構成も可能である。
【0087】
シールは、補強リング10の側壁1、又はその下側の部分(第1の部分)1aのみを、容器50の側壁51の内面52と少なくともその所定の部分においてシールを作り上げる外径を有するようにすることによって得ることができる。これは、カプセル20全体の寸法、すなわちカプセル本体30及び補強リング10の寸法を容器50の寸法に適合させること、及び、補強リング10の側壁1、又はその下側の部分1aのみの厚さを増減させることの両方によって達成できる。
【0088】
あるいは、補強リング10の側壁1、又はその下側の部分1aのみを、それらの外壁が側壁51の内面52に対して少なくともその所定の部分において所定の勾配を有するようにし、それによってシールを作り上げるようにしてもよい。
【0089】
あるいは、補強リング10の側壁1の外壁、又はその下側外側の部分1aのみのプロファイルは、側壁51の内面52のプロファイルと少なくともその所定の部分において一致するように実現され、それによってシールを作り上げるようにしてもよい。例えば内面52が段差を有し、側壁1が対応する段差を有するように形成されてもよい。
【0090】
補強リング10の側壁1と容器の内面52との接触に基づく上述のシールシステムは有効であるが、システムを構成するジオメトリの変化によりシールが損なわれる可能性がある。例えば、容器50の直径D2が製造上の不具合により公称値から増減した場合、あるいは商業上の要求により変更された場合、シール性の悪化や(直径D2が増加する場合)、補強リング10を有するカプセル20を容器50に挿入することが困難また不可能になる(直径D2が減少する場合)可能性があった。
【0091】
直径D2は、ここでは内面52が対応する位置での容器50の円形断面の直径として理解されるはずである。
【0092】
本発明の実施形態によれば、飲料を製造するためのシステム100に溝6を有する補強リング10を備えるカプセル20を使用することで、上述した問題が解決される。実際、側壁1が溝6を備えるリング10の構造はより大きな柔軟性と適合性をリング10に与える。したがって、補強リング10の側壁1の直径D1と容器50の内面52の直径D2との間のいかなる直径の差も、容器50の内面52と接触する第1の部分1aにおける補強リング10の局所的な弾性変形によって補償され得る。
【0093】
このようにすると、例えば補強リング10が直径D2よりも若干大きな直径D1を有していても、補強リング10を備えるカプセル20を容器50に挿入する際に、側壁1の部分1aの弾性変形が許容されるので、最適なシールを確保することができる。
【0094】
例えば、側壁1の直径D1が容器50の直径D2よりわずかに小さい場合、図10に関連して後述するように、加圧水の押圧による側壁1、特に外側の第1の部分1aの弾性変形によって、シールが確保される。
【0095】
図10は、図9の飲料を製造するためのシステムの更なる使用段階における断面図を概略的に示す図である。特に、図10はカプセル本体30内に供給された加圧水に長時間さらされた後のシステム100の構成を示す。
【0096】
フィルタ材料からなるカプセル本体30内に加圧水が供給されると、カプセル本体30のフィルタ材料及び/又はそれに含まれる飲料製造用のプロダクトによって、水の通過に対抗する抵抗が生じるため、カプセル本体30が変形してしまう。カプセル本体30に収容されたプロダクト及び加圧水から得られた飲料は、最終的にカプセル本体30から出て区画Vに溜まり、それから飲料の供給チャネル57を通って外に出ていく。図9を参照して説明したように、補強リング10の側壁1と容器50の内面52との間のシールにより、補強リング10と容器50との間の界面から飲料が出ることが防止される。
【0097】
図10に見て取れるように、加圧水を供給するステップの間、容器50に収容された飲料の一部が側壁1の溝6に漏出し、第1の部分1a及び第2の部分1bに圧力を発生させる。すると、第1の部分1a及び第2の部分1bの弾性壁は弾性的に変形して容器50の内面52にしっかりと(直径D1が直径D2よりもわずかに小さい場合)、あるいはさらにしっかりと(2つの直径D1及びD2が本質的に等しい場合)密着する傾向が見られ、これにより最適なシールが確保される。特に、(A)に詳細に示すように、外側の第1の部分1aは有利には内側の第2の部分1bよりも薄くすることができ、このようにすると、容器50の内面52上での外側の第1の部分1aの弾性変形がさらに補助され、さらに優れたシールが確保される。
【0098】
以上、開示された実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明の目的及び保護範囲から逸脱することなく、上述の教示に照らして添付の請求項の範囲内で本発明の種々の変更を実現できることは当業者には明らかである。
【0099】
さらに、当業者に周知であると考えられる領域については、記載された発明が不必要に影で覆われることを避けるため、記載されていない。
【0100】
したがって、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲の保護範囲によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0101】
1 補強リングの側壁
1a 側壁の第1の部分
1b 側壁の第2の部分
2 側壁の第1の端部
3 側壁の第2の端部
5 補強リングの平坦面
6 側壁の溝
7 厚さが減少した領域
8 平坦面の溝
10 補強リング
11 シール要素
20 飲料を得るためのカプセル
30 カプセル本体
31 カプセルの底部
32 カプセルの側壁
50 容器
51 容器の側壁
52 容器の内面
55 容器の底部
56 第2の穿孔素子
57 供給チャネル
60 容器の閉鎖要素
61 加圧水用のチャネル
62 第1の穿孔要素
100 飲料を製造するためのシステム
210 溶着機
D1 第1の直径
D2 第2の直径
V 区画
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2022-10-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料、例えばコーヒーを得るためのカプセルの補強リング(10)であって、
‐第1の端部(2)、第2の端部(3)、及び厚さ(4)を有する側壁(1)と、
‐好ましくは均一な厚さを有し、前記第1の端部(2)が対応する位置に、前記側壁(1)から突出する平坦面(5)と、を有し、
前記側壁(1)及び前記突出する平坦面(5)は、好ましくは単一体として形成される補強リング(10)であって、
前記側壁(1)は、前記第2の端部(3)が対応する位置に、前記第2の端部(3)が対応する位置の前記側壁(1)の前記厚さ(4)を減少させるような、溝(6)を有し、
前記側壁(1)は、前記第2の端部(3)が対応する位置に、前記リング(10)の外側に面する第1の部分(1a)と、前記リング(10)の内側に面する第2の部分(1b)とを有し、前記第1の部分(1a)と前記第2の部分(1b)とは、前記溝(6)により分割されるように構成される、ことを特徴とする、補強リング(10)。
【請求項2】
前記溝(6)は、前記補強リング(10)の外周に沿って連続したラインを形成する、請求項1に記載の補強リング(10)。
【請求項3】
前記溝(6)は、前記補強リング(10)の外周に沿って不連続なラインを形成する、請求項1に記載の補強リング(10)。
【請求項4】
前記溝(6)の断面が、前記第2の端部(3)に対して逆V字の形状を有する、請求項に記載の補強リング(10)。
【請求項5】
前記側壁(1)は、前記リング(10)の製造のために使用される材料の総量をさらに減少させるように、厚さが減少した領域(7)を有する、請求項に記載の補強リング(10)。
【請求項6】
前記平坦面(5)は、その外周に沿って溝(8)を有する、請求項に記載の補強リング(10)。
【請求項7】
前記補強リング(10)は、生分解可能、及び/又は、堆肥化可能な、及び/又は、バイオベースの材料、例えば、PLA、PHA、PBS、スターチブレンド、バイオベースのPE、PET、PA、PTからなる、請求項に記載の補強リング(10)。
【請求項8】
飲料、例えばコーヒーを得るためのカプセル(20)であって、
‐請求項1から7のいずれか1項に記載の補強リング(10)と、
‐所望の飲料、例えば挽いたコーヒーを得るために使用されるプロダクトのための収容容積を形成するように構成されたカプセル本体(30)と、を備える、カプセル(20)。
【請求項9】
前記カプセル本体(30)は、熱成形可能なフィルタ材料からなり、溶着を通じて前記補強リング(10)の前記側壁(1)に固定されている、請求項8に記載のカプセル(20)。
【請求項10】
請求項に記載のカプセル(20)の製造方法であって、前記方法は、固定ジオメトリ溶着機(210)を通じて実現される溶着ステップを含み、
前記カプセル本体(30)は、前記カプセル本体(30)が前記補強リング(10)に挿入された後に、前記カプセル本体(30)の内側から前記補強リング(10)に溶着され、
前記補強リング(10)の前記側壁の少なくとも一部(1b)は、前記溝(6)の存在により弾性変形し、前記カプセル本体(30)の前記補強リング(10)への前記溶着ステップの間に、前記固定ジオメトリ溶着機(210)の構造に適合するように構成される、方法。
【請求項11】
前記第2の部分(1b)は、前記固定ジオメトリ溶着機(210)と接触するように配置された時に、前記カプセル本体(30)の前記補強リング(10)への溶着を補助するように、弾性変形する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
システム(100)を用いた飲料の製造方法であって、前記システム(100)は、
‐請求項に記載のカプセル(20)と、
‐飲料の製造のために加圧水を供給するステップの間、前記カプセル(20)を収容するように構成された容器(50)であって、供給中に前記カプセル(20)を収容するように構成された区画(V)を形成する側面(51)及び底(55)を備える容器(50)と、を含み、
前記方法は、前記容器(50)の前記側面(51)の内面(52)の所定の部分と、前記補強リング(10)の前記側壁の少なくとも一部(1a)との間にシールを作り上げるステップを、含み、
前記側壁の前記少なくとも一部(1a)は、前記溝(6)の存在により、前記内面(52)の前記所定の部分と接触しているときに弾性変形するように構成され、前記補強リング(10)と前記容器(50)の間の界面からの前記飲料の漏出が妨げられるように、前記内面(52)の前記所定の部分のジオメトリに適合するように構成される、飲料の製造方法。
【請求項13】
前記側壁(1)は第1の直径(D1)を有し、前記区画(V)は前記補強リング(10)の収容部が対応する位置に第2の直径(D2)を有し、前記第1の直径(D1)は前記第2の直径(D2)以上であり、
前記シールを作り上げるステップは、前記側壁の少なくとも一部(1a)が前記内面(52)に接触したときに弾性変形し、前記弾性変形により前記補強リング(10)が前記区画(V)に挿入され、前記シールを実現することを含む、請求項12に記載の飲料の製造方法。
【請求項14】
前記シールを作り上げるステップは、加圧水を供給するステップの間、前記加圧水の少なくとも一部が前記溝(6)に入り前記側壁の少なくとも一部(1a)を弾性変形させ、これにより前記側壁(1)と前記内面(52)との間にシールを作り上げることを含む、請求項12に記載の飲料の製造方法。
【請求項15】
前記第1の部分(1a)は前記区画(V)と面するとともに第1の厚さを有し、前記第2の部分(1b)は前記カプセル本体(30)と面するとともに第2の厚さを有し、前記第1の部分(1a)の前記弾性変形を補助して前記シールを作り上げるように、前記第1の厚さが前記第2の厚さより薄くなっている、請求項12に記載の飲料の製造方法。
【外国語明細書】