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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020975
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】荷役車両
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/24 20060101AFI20230202BHJP
   B60P 1/64 20060101ALI20230202BHJP
   B60P 1/48 20060101ALI20230202BHJP
   B60P 3/07 20060101ALI20230202BHJP
   B60Q 1/50 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
B60Q1/24 C
B60P1/64 B
B60P1/48 A
B60P3/07 Z
B60Q1/50 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116587
(22)【出願日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】P 2021124285
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博元
(72)【発明者】
【氏名】仲江 陽一
(72)【発明者】
【氏名】岡野 啓一
(72)【発明者】
【氏名】西田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 祐太
(72)【発明者】
【氏名】河▲崎▼ 翔平
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA17
3K339AA22
3K339AA31
3K339AA43
3K339BA03
3K339BA09
3K339BA10
3K339BA22
3K339BA25
3K339BA26
3K339CA30
3K339EA02
3K339EA03
3K339EA05
3K339EA06
3K339FA04
3K339GB22
3K339KA01
3K339KA06
3K339LA17
3K339MA01
3K339MB02
3K339MC01
3K339MC43
3K339MC77
(57)【要約】
【課題】ボディの展開時に、周囲に注意を喚起することができる車両の安全装置を備えた車両、並びに、被搬送物の円滑な積み込みと積み降ろしを実現できる車両を提供する。
【解決手段】車両部と積載装置と光線照射装置を有し、前記車両部に前記積載装置と光線照射装置とが搭載された荷役車両であって、前記積載装置は、積み降ろし装置と制御装置とを有し、前記積み降ろし装置は、被搬送物を直接的にあるいはボディに載置して間接的に積み降ろしできるように構成されており、前記積み降ろし装置が、ボディあるいは非搬送物を地面に接地する降ろし動作と、ボディあるいは被搬送物を車両部上に引き入れる積み込み動作を実施するように構成されていて、前記光線照射装置が、ボディあるいは被搬送物が接地される地面の領域に、及び/又は積み込み動作に適した位置に光線を照射できることを特徴とする荷役車両。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両部と積載装置と光線照射装置を有し、前記車両部に前記積載装置と光線照射装置とが搭載された荷役車両であって、
前記積載装置は、積み降ろし装置と制御装置とを有し、
前記積み降ろし装置は、被搬送物を直接的にあるいはボディに載置して間接的に積み降ろしできるように構成されており、
前記積み降ろし装置が、ボディあるいは被搬送物を地面に接地する降ろし動作と、ボディあるいは被搬送物を車両部上に引き入れる積み込み動作を実施するように構成されていて、
前記光線照射装置が、ボディあるいは被搬送物が接地される地面の領域に、及び/又は積み込み動作に適した位置に光線を照射できることを特徴とする荷役車両。
【請求項2】
前記荷役車両は車両運搬車であって、
前記積み降ろし装置は、リフトフレームとスライドボディとを有し、
前記リフトフレームは、傾斜姿勢に姿勢を変更することが可能であり、
前記スライドボディは、リフトフレームに沿って直線移動することが可能であって、
前記積み降ろし装置は、スライドボディを地上に降ろす降ろし動作とスライドボディを前記車両部上に引き入れる積み込み動作を行うように構成されており、
前記降ろし動作は、スライドボディの後端を接地した傾斜姿勢の状態で実施することが可能であって、
前記光線照射装置が、前記傾斜姿勢におけるリフトフレームとスライドボディとを平面視投影した際の地面上での専有領域に光線を照射できることを特徴とする請求項1に記載の荷役車両。
【請求項3】
前記荷役車両は車両運搬車であって、
前記積み降ろし装置は、リフトフレームとスライドボディとを有し、
前記リフトフレームは、傾斜姿勢に姿勢を変更することが可能であり、
前記スライドボディは、リフトフレームに沿って直線移動することが可能であって、
前記積み降ろし装置は、スライドボディを地上に降ろす降ろし動作とスライドボディを前記車両部上に引き入れる積み込み動作を行うように構成されており、
前記降ろし動作は、スライドボディを地面に略平行に接地させた平行姿勢の状態で実施することが可能であって、
前記光線照射装置が、前記平行姿勢におけるリフトフレームとスライドボディとを平面視投影した際の地面上での専有領域に光線を照射できることを特徴とする請求項1に記載の荷役車両。
【請求項4】
前記荷役車両は車両運搬車であって、
前記積み降ろし装置は、リフトフレームとスライドボディとを有し、
前記リフトフレームは、傾斜姿勢に姿勢を変更することが可能であり、
前記スライドボディは、リフトフレームに沿って直線移動することが可能であって、
前記積み降ろし装置は、スライドボディを地上に降ろす降ろし動作とスライドボディを前記車両部上に引き入れる積み込み動作を行うように構成されており、
前記降ろし動作は、スライドボディの後端を接地した傾斜姿勢の状態で実施することと、スライドボディを地面に略平行に接地させた平行姿勢の状態で実施することが可能であって、
前記光線照射装置が、前記傾斜姿勢におけるリフトフレームとスライドボディとを平面視投影した際の地面上での専有領域と、前記平行姿勢におけるリフトフレームとスライドボディとを平面視投影した際の地面上での専有領域とに光線を照射できることを特徴とする請求項1に記載の荷役車両。
【請求項5】
前記光線照射装置が、前記傾斜姿勢におけるリフトフレームとスライドボディとを平面視投影した際の地面上での専有領域あるいは、前記平行姿勢におけるリフトフレームとスライドボディとを平面視投影した際の地面上での専有領域とに、人の意思で選択的に、光線を照射できることを特徴とする請求項4に記載の荷役車両。
【請求項6】
前記光線照射装置が、前記傾斜姿勢におけるリフトフレームとスライドボディとを平面視投影した際の地面上での専有領域と、前記平行姿勢におけるリフトフレームとスライドボディとを平面視投影した際の地面上での専有領域とに同時に光線を照射することが可能な請求項4又は5に記載の荷役車両。
【請求項7】
前記光線照射装置が、前記傾斜姿勢におけるリフトフレームとスライドボディとを平面視投影した際の地面上での専有領域と、前記平行姿勢におけるリフトフレームとスライドボディとを平面視投影した際の地面上での専有領域とに異なる色の光線を同時又は選択的に照射することが可能な請求項4又は5に記載の荷役車両。
【請求項8】
前記光線照射装置が、スライドボディが接地するまでは前記傾斜姿勢におけるリフトフレームとスライドボディとを平面視投影した際の地面上での専有領域に光線を照射し、スライドボディが接地した後は前記平行姿勢におけるリフトフレームとスライドボディを平面視投影した際の地面上での専有領域に光線を照射する請求項4又は5に記載の荷役車両。
【請求項9】
前記荷役車両は、少なくとも二つのサイズのコンテナを運搬することが可能なコンテナ運搬車であって、
前記積み降ろし装置は、前記コンテナと係合する係合部を備える荷役アームを有しており、
前記荷役アームは、地上に置かれたコンテナに係合部を係合し荷役アームを駆動してコンテナを車両部上に引き入れる積み込み動作と、前記車両部上に載置されたコンテナを荷役アームによって地上に降ろす降ろし動作を行うように構成されており、
前記光線照射装置が、降ろし動作の対象であるコンテナが地上に降ろされた際に専有する地面の領域に、光線を照射できることを特徴とする請求項1に記載の荷役車両。
【請求項10】
前記光線照射装置は、前記降ろし動作を開始する前に光線の照射を開始することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、又は9に記載の荷役車両。
【請求項11】
前記荷役車両は、コンテナを運搬することが可能なコンテナ運搬車であって、コンテナ運搬車の操舵量を検知できる操舵量検知部を備えており、
前記積み降ろし装置は、前記コンテナと係合する係合部を備える荷役アームを有しており、
前記荷役アームは、地上に置かれたコンテナに係合部を係合し荷役アームを駆動してコンテナを車両部上に引き入れる積み込み動作と、前記車両部上に載置されたコンテナを荷役アームによって地上に降ろす降ろし動作を行うように構成されており、
前記光線照射装置は、コンテナ運搬車の後方を照射するものであって、操舵量検知部の検知結果に応じて照射軌跡を変更できることを特徴とする請求項1に記載の荷役車両。
【請求項12】
前記荷役車両は、コンテナを運搬することが可能なコンテナ運搬車であり、
前記積み降ろし装置は、前記コンテナと係合する係合部を備える荷役アームを有しており、
前記荷役アームは、地上に置かれたコンテナに係合部を係合し荷役アームを駆動してコンテナを車両部上に引き入れる積み込み動作と、前記車両部上に載置されたコンテナを荷役アームによって地上に降ろす降ろし動作を行うように構成されており、
前記光線照射装置は、前記積み込み動作実行時にコンテナ積載可能な位置を照射できることを特徴とする請求項1に記載の荷役車両。
【請求項13】
前記荷役車両は、適正位置検知部をさらに有し、前記適正位置検知部は、コンテナ運搬車の位置が積み込み対象のコンテナに対して、積み込むのに適正な位置にあることを検知するものであり、
前記光線照射装置は、前記適正位置検知部が前記適正な位置を検知すると、前記光線照射装置の照射パターンを変更できることを特徴とする請求項12に記載の荷役車両。
【請求項14】
前記荷役アームの基端側は、車両部に設けられた荷役アーム回動軸に取り付けられており、前記荷役アームは、前記荷役アーム回動軸を中心として搖動可能であって、
前記光線照射装置が、係合部の荷役アーム回動軸回りの搖動軌跡のうち、コンテナの被係合部との係合位置に相当する地面に、係合作業を行う際に目印となる照射パターンを照射できることを特徴とする請求項12に記載の荷役装置。
【請求項15】
前記荷役車両は、荷役アーム姿勢検知部をさらに有し、前記荷役アーム姿勢検知部は、荷役アーム回動軸から係合部までの距離を検知するものであり、
前記光線照射装置が、荷役アーム姿勢検知部により検知した前記荷役アーム回動軸から係合部までの距離に基づき、前記係合作業を行う際に目印となる照射パターンを照射できることを特徴とする請求項14に記載の荷役装置。
【請求項16】
前記荷役車両は、係合部の地面からの高さを検知する係合部高さ検知部をさらに有し、
前記光線照射装置は、荷役アームが後方に搖動して前記係合部の地面からの高さがコンテナの被係合部の地面からの高さを下回ると、光線照射装置の照射パターンを変更できることを特徴とする請求項12乃至15のいずれかに記載の荷役装置。
【請求項17】
前記荷役車両は、被係合部の地面からの高さを検知する被係合部高さ検知部をさらに有し、
前記光線照射装置は、荷役アームが後方に搖動し、係合部の地面からの高さと被係合部の地面からの高さを比較して係合部の高さがコンテナの被係合部の高さを下回ると、光線照射装置の照射パターンを変更できることを特徴とする請求項16に記載の荷役装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両運搬車やコンテナ運搬車の様に荷台部分の一部が移動したり、荷台部分の一部を地上に下ろしたりする機能を備えた荷役車両の安全装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には車両を載置できるボディを有し該ボディを地面に接地する降ろし動作と、ボディを車両部上に引き込む積み込み動作とを行う車両運搬車が開示されている。特許文献1に開示された車両運搬車は、乗用車や土木機械等の車両を運搬する際に使用されるものである。
【0003】
特許文献1に記載の車両運搬車は、リフトフレームを有しており、またボディはリフトフレーム上でスライドできるようにリフトフレーム上に搭載されている。そして特許文献1に開示された車両では、リフトフレームを傾斜させ、ボディを下方にスライドさせてボディを地上に降下させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-108768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ボディが走行時のリフトフレーム上に格納された状態から、リフトフレームを傾斜させボディを下方にスライドさせた状態あるいはボディを地上に降下させた状態に変更する際には、ボディは、車体の後方に配置されるため、周囲の人がボディの動作を予測できなかった場合、ボディに人が接触する恐れがある。また、ボディが配置される領域内に物が存在する場合があり、ボディを下方にスライドさせた状態あるいはボディを地上に降下させた状態に展開すると、ボディが当該物に接触してしまう。
【0006】
そこで本発明は、ボディの展開時に、周囲に注意を喚起することができる安全装置を備えた車両を提供することを課題としている。さらに本発明は、被搬送物の円滑な積み込みと積み降ろしを実現できる車両を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するための態様は、車両部と積載装置と光線照射装置を有し、前記車両部に前記積載装置と光線照射装置とが搭載された荷役車両であって、前記積載装置は、積み降ろし装置と制御装置とを有し、前記積み降ろし装置は、被搬送物を直接的にあるいはボディに載置して間接的に積み降ろしできるように構成されており、前記積み降ろし装置が、ボディあるいは被搬送物を地面に接地する降ろし動作と、ボディあるいは被搬送物を車両部上に引き入れる積み込み動作を実施するように構成されていて、前記光線照射装置は、ボディあるいは被搬送物が接地される地面の領域に、及び/又は積み込み動作に適した位置に光線を照射できることを特徴とする荷役車両である。
【0008】
本態様の荷役車両は、その後方で専有する地面の領域に光線を照射する光線照射装置を有するので、荷役車両の周囲の人は、光線が照射された地面を見ることによってボディ等の着地点が予想でき、この空間への侵入を避けることができる。また、車両の乗員または作業員は、照射された光線に照らされた領域内に物があるか否かを視認することができる。そして、光線が照射された領域内から当該物を移動させることができる。又は車両を移動させて光線に照らされる領域内に物が存在しない場所で、荷物の積み降ろし作業を実施することができる。
【0009】
上記した態様において、前記荷役車両は車両運搬車であって、前記積み降ろし装置は、リフトフレームとスライドボディとを有し、前記リフトフレームは、傾斜姿勢に姿勢を変更することが可能であり、前記スライドボディは、リフトフレームに沿って直線移動することが可能であって、前記積み降ろし装置は、スライドボディを地上に降ろす降ろし動作とスライドボディを前記車両部上に引き入れる積み込み動作を行うように構成されており、前記降ろし動作は、スライドボディの後端を接地した傾斜姿勢の状態で実施することが可能であって、前記光線照射装置が、前記傾斜姿勢におけるリフトフレームとスライドボディとを平面視投影した際の地面上での専有領域に光線を照射できることが望ましい。
【0010】
上記した態様において、前記荷役車両は車両運搬車であって、前記積み降ろし装置は、リフトフレームとスライドボディとを有し、前記リフトフレームは、傾斜姿勢に姿勢を変更することが可能であり、前記スライドボディは、リフトフレームに沿って直線移動することが可能であって、前記積み降ろし装置は、スライドボディを地上に降ろす降ろし動作とスライドボディを前記車両部上に引き入れる積み込み動作を行うように構成されており、前記降ろし動作は、スライドボディを地面に略平行に接地させた平行姿勢の状態で実施することが可能であって、前記光線照射装置が、前記平行姿勢におけるリフトフレームとスライドボディとを平面視投影した際の地面上での専有領域に光線を照射できることが望ましい。
【0011】
上記した態様において、前記積み降ろし装置は、リフトフレームとスライドボディとを有し、前記リフトフレームは、傾斜姿勢に姿勢を変更することが可能であり、前記スライドボディは、リフトフレームに沿って直線移動することが可能であって、前記積み降ろし装置は、スライドボディを地上に降ろす降ろし動作とスライドボディを前記車両部上に引き入れる積み込み動作を行うように構成されており、前記降ろし動作は、スライドボディの後端を接地した前記傾斜姿勢の状態で実施することと、スライドボディを地面に略平行に接地させた前記平行姿勢の状態で実施することが可能であって、前記光線照射装置は、前記傾斜姿勢におけるリフトフレームとスライドボディとを平面視投影した際の地面上での専有領域と、前記平行姿勢におけるリフトフレームとスライドボディとを平面視投影した際の地面上での専有領域とに光線を照射できることが望ましい。
【0012】
本態様の荷役車両は、車両運搬車に適用したものである。本態様においては、降ろし動作時に、スライドボディの後端のみを接地した傾斜姿勢とスライドボディを地面に略平行に接地させた平行姿勢とに姿勢変更することが可能であって、傾斜姿勢と平行姿勢の各々の姿勢で降ろし動作の実行が可能である。ここで、傾斜姿勢と平行姿勢の各々で、リフトフレームとスライドボディとを平面視投影した際の地面上での専有領域が異なる。このため、傾斜姿勢におけるリフトフレームとスライドボディとを平面視投影した際の地面上での専有領域と、平行姿勢におけるリフトフレームとスライドボディとを平面視投影した際の地面上での専有領域との両者に対する光線を照射できる光線照射装置としている。
【0013】
上記した態様において、前記光線照射装置が、前記傾斜姿勢におけるリフトフレームとスライドボディとを平面視投影した際の地面上での専有領域あるいは、前記平行姿勢におけるリフトフレームとスライドボディとを平面視投影した際の地面上での専有領域とに、人の意思で選択的に、光線を照射できることが望ましい。
【0014】
上記した各態様において、前記光線照射装置が、前記傾斜姿勢におけるリフトフレームとスライドボディとを平面視投影した際の地面上での専有領域と、前記平行姿勢におけるリフトフレームとスライドボディとを平面視投影した際の地面上での専有領域とに同時に光線を照射することが可能なことが望ましい。
【0015】
上記した各態様において、前記光線照射装置が、前記傾斜姿勢におけるリフトフレームとスライドボディとを平面視投影した際の地面上での専有領域と、前記平行姿勢におけるリフトフレームとスライドボディとを平面視投影した際の地面上での専有領域とに異なる色の光線を同時又は選択的に照射することが可能なことが望ましい。
【0016】
上記した各態様において、前記光線照射装置が、スライドボディが接地するまでは前記傾斜姿勢におけるリフトフレームとスライドボディとを平面視投影した際の地面上での専有領域に光線を照射し、スライドボディが接地した後は前記平行姿勢におけるリフトフレームとスライドボディとを平面視投影した際の地面上での専有領域に光線を照射することが可能なことが望ましい。
【0017】
上記した態様において、前記荷役車両は、少なくとも二つのサイズのコンテナを運搬することが可能なコンテナ運搬車である。前記積み降ろし装置は、前記コンテナと係合する係合部を備える荷役アームを有しており、前記荷役アームは、地上に置かれたコンテナに係合部を係合し荷役アームを駆動してコンテナを車両部上に引き入れる積み込み動作と、前記車両部上に載置されたコンテナを荷役アームによって地上に降ろす降ろし動作を行うように構成されており、前記光線照射装置は、降ろし動作の対象であるコンテナが地上に降ろされた際に専有する地面の領域に、光線を照射できることが望ましい。
【0018】
本態様の荷役車両は、コンテナ運搬車に適用したものである。本態様においては、少なくとも二つのサイズのコンテナを運搬することが可能なコンテナ運搬車である。ここで、荷役車両に積み込まれている降ろし動作の対象であるコンテナが地上に降ろされた際に専有する地面の領域に光線を照射できる構成としている。
【0019】
上記した各態様において、前記光線照射装置は、前記降ろし動作を開始する前に光線を照射できることが望ましい。
【0020】
この構成によれば、光線照射装置は、前記降ろし動作を開始する前に光線を照射するので、車両の周囲の人は、リフトフレームあるいはスライドボディが延伸することを事前に知ることができ、延伸したリフトフレームあるいはスライドボディが占有する地面の領域に入ること及び物を置くことを避けることができる。
【0021】
上記した態様において、前記荷役車両は、コンテナを運搬することが可能なコンテナ運搬車であって、コンテナ運搬車の操舵量を検知できる操舵量検知部を備えており、前記積み降ろし装置は、前記コンテナと係合する係合部を備える荷役アームを有しており、前記荷役アームは、地上に置かれたコンテナに係合部を係合し荷役アームを駆動してコンテナを車両部上に引き入れる積み込み動作と、前記車両部上に載置されたコンテナを荷役アームによって地上に降ろす降ろし動作を行うように構成されており、前記光線照射装置は、コンテナ運搬車の後方を照射するものであって、操舵量検知部の検知結果に応じて照射軌跡を変更できることが望ましい。
【0022】
上記した態様において、前記荷役車両は、コンテナを運搬することが可能なコンテナ運搬車であり、前記積み降ろし装置は、前記コンテナと係合する係合部を備える荷役アームを有しており、前記荷役アームは、地上に置かれたコンテナに係合部を係合し荷役アームを駆動してコンテナを車両部上に引き入れる積み込み動作と、前記車両部上に載置されたコンテナを荷役アームによって地上に降ろす降ろし動作を行うように構成されており、前記光線照射装置は、前記積み込み動作実行時にコンテナ積載可能な位置を照射できることが望ましい。
【0023】
上記した態様において、前記荷役車両は、適正位置検知部をさらに有し、前記適正位置検知部は、コンテナ運搬車の位置が積み込み対象のコンテナに対して、積み込むのに適正な位置にあることを検知するものであり、前記光線照射装置は、前記適正位置検知部が前記適正な位置を検知すると、前記光線照射装置の照射パターンを変更できることが望ましい。
【0024】
上記した態様において、前記荷役アームの基端側は、車両部に設けられた荷役アーム回動軸に取り付けられており、前記荷役アームは、前記荷役アーム回動軸を中心として搖動可能であって、前記光線照射装置が、係合部の荷役アーム回動軸回りの搖動軌跡のうち、コンテナの被係合部との係合位置に相当する地面に、係合作業を行う際に目印となる照射パターンを照射できることが望ましい。
【0025】
上記した態様において、前記荷役車両は、荷役アーム姿勢検知部をさらに有し、前記荷役アーム姿勢検知部は、荷役アーム回動軸から係合部までの距離を検知するものであり、前記光線照射装置が、荷役アーム姿勢検知部により検知した前記荷役アーム回動軸から係合部までの距離に基づき、前記係合作業を行う際に目印となる照射パターンを照射できることが望ましい。
【0026】
上記した態様において、前記荷役車両は、係合部の地面からの高さを検知する係合部高さ検知部をさらに有し、前記光線照射装置は、荷役アームが後方に搖動して前記係合部の地面からの高さがコンテナの被係合部の地面からの高さを下回ると、光線照射装置の照射パターンを変更できることが望ましい。
【0027】
上記した態様において、前記荷役車両は、被係合部の地面からの高さを検知する被係合部高さ検知部をさらに有し、前記光線照射装置は、荷役アームが後方に搖動し、係合部の地面からの高さと被係合部の地面からの高さを比較して係合部の高さがコンテナの被係合部の高さを下回ると、光線照射装置の照射パターンを変更できることが望ましい。
【発明の効果】
【0028】
本発明の荷役車両によると、車両の周囲の人に注意を喚起することができ、ボディが人や物に接触する事態を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の第一実施形態の荷役車両(車両運搬車)の車を積んだ状態での側面図で、(a)は光線照射装置の動作を始める前の状態で、(b)は、光線照射装置の動作を開始した状態を示す。
図2図1に示す荷役車両であり、(a)(b)(c)は、降ろし動作における各部の動作を示す側面図である。
図3図1に示す荷役車両であり、(d)(e)は、降ろし動作における図3に続く各部の動作を示す側面図である。
図4図1に示す荷役車両であり、(f)(g)は、降ろし動作における図4に続く各部の動作を示す側面図である。
図5】リモートコントロール装置の正面図である。
図6】本発明の第二実施形態の荷役車両(コンテナ運搬車)の側面図で、(a)は光線照射装置88の動作を始める前の状態で、(b)は、光線照射装置88の動作を開始した状態を示す。
図7】本発明の第二実施形態の荷役車両(コンテナ運搬車)の側面図で図6よりも小さいサイズのコンテナを運搬する状態を示し、(a)は光線照射装置88の動作を始める前の状態で、(b)は、光線照射装置88の動作を開始した状態を示す。
図8図6に示す荷役車両であり、(a)(b)(c)は、降ろし動作における各部の動作を示す側面図である。
図9図6に示す荷役車両であり、(d)(e)(f)は、降ろし動作における図8に続く各部の動作を示す側面図である。
図10】本発明の第三実施形態の荷役車両(コンテナ運搬車)の側面図である。
図11図10に示す荷役車両の平面図であり、(a)は、光線照射装置188の動作前の荷役車両とコンテナの位置配置を示し、(b)は、光線照射装置188を動作させた際の、操舵量と照射光線の関係を示し、(c)は、荷役車両がコンテナ2の前後方向にある位置に配置された状態を示し、(d)は、荷役車両がコンテナ積載の可能な位置に到達した状態を示す。
図12】本発明の第四実施形態の荷役車両(コンテナ運搬車)の側面図である。
図13図12に示す荷役車両の側面図であり、(a)は、荷役車両と積み込むコンテナの初期の位置関係を示し、(b)は、荷役車両の荷役アームの搖動軌跡とコンテナとの位置関係を示し、(c)は荷役アームの係合部がコンテナの被係合部に係合された状態を示す。
図14図12に示す荷役車両の光線照射装置を動作させた状態での平面図であり、(a)は、荷役車両と積み込むコンテナの初期状態を示し、(b)は、荷役車両と積み込むコンテナの係合可能状態での配置状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について説明する。
以下の説明において、前後の関係は、荷役車両1、40、51、56の前後を基準とする。即ち前側とは、運転席100側を意味し、後側はその反対側を意味する。
本発明の第一実施形態の荷役車両1は、車両運搬車であり、車両部5上にあったスライドボディ32を地上に降ろして自動車等を載せ、この状態でスライドボディ32を車両部5上に引き上げて搬送するものである。
荷役車両1は、図1(a)、(b)の様に、車両部5と積載装置18と光線照射装置88を有している。
光線照射装置88(安全装置)は、LEDランプで構成されており、例えば小糸製作所製の「LED描画ランプ」を採用することができる。光線照射装置88は、走行時等においては図1(a)に示すように、光線を照射しない。しかしながら荷役車両1の後方の領域を用いて車の積み込みあるいは積み降ろしを実行する場合においては、図1(b)に示すように、照射光線を照射して周囲に安全を喚起するように構成されている。
積載装置18は、積み降ろし装置26を有している。図3、4に示すように、積み降ろし装置26は、大きく分けてリフトフレーム30と、チルト機構(傾斜手段)31及びスライドボディ32によって構成されている。
【0031】
また積載装置18には、制御装置6と、油圧装置7及びバンパー装置50が含まれている。さらに積載装置18には、図5のリモートコントロール装置(以下、リモコンと称する)8が含まれる。
車両部5は、公知のトラックの車体であり、エンジンを有し、車輪を回転させて道路上を走行するものである。
リフトフレーム30は、車両部5のサブフレーム33に設置されており、車両部5の後端側に設けられたピン(図示せず)を中心として揺動する。即ち図3図4の様に傾斜姿勢をとることができる。
また図示しない油圧シリンダの作用によって、リフトフレーム30自体が車両部5に対して前後方向に移動する。
【0032】
チルト機構(傾斜手段)31は、油圧シリンダ35及びリンク機構36によって構成され、前記したリフトフレーム30を後方側が下となる傾斜姿勢にするためのものである。チルト機構31は、リフトフレーム30の角度を変化させる傾斜動作を実施する傾斜手段である。
【0033】
スライドボディ32は、前記したリフトフレーム30に対してスライド可能に取り付けられており、図示しないチェーン等が懸架されていてリフトフレーム30に沿って直線移動する。またスライドボディ32の後端には踏み板37が設けられている。
踏み板37はスライドボディ32の後端にあって起立姿勢と平置姿勢とに姿勢変更可能である。
【0034】
制御装置6は、所定の手順に則って、各電磁弁に信号を送る回路を備えている。制御装置6の信号によって、積み降ろし装置26が所定の順番に動作する。
制御装置6は、リモコン8と通信する通信手段を有している。
【0035】
リモコン8には、図5に示す様に、積み降ろし装置26を動作させる作動スイッチとして、自動降ろしスイッチ60と、自動積み込みスイッチ61が装備されている。
これらのスイッチ60、61は、いずれもボタンスイッチであり、作業者が押している間だけオン状態となり、手を離すとオフ状態となる。
【0036】
リモコン8には、また光線照射領域切替スイッチ110が設けられている。光線照射領域切替スイッチ110はディップスイッチで、Aなる表示の方にスライドした場合とBなる表示の方にスライドした場合で、光線照射装置88は異なる光線照射領域を選択する。
本発明の光線照射装置88は、二つの光線照射領域に光を照射することができる。以下、二つの光線照射領域の詳細について、説明する。
【0037】
本実施形態の荷役車両1は、車両運搬車であり、載せる自動車の最低地上高(以下、車高)に応じて図3(e)あるいは図4(g)の状態で車両の積み降ろし並びに積み込み動作を行うものである。即ち、車高の高い車を積み降ろしたり積み込む場合は、車前端と傾斜姿勢のスライドボディ32とが緩衝しないので、図3(e)の状態で踏み板37を地面に対して水平姿勢にし、車両の積み降ろし並びに積み込みを行うことが可能である。一方、車高の低い車を積み降ろしたり積み込む場合は、車前端と傾斜姿勢のスライドボディ32とが緩衝するので図4(f)の状態、つまりスライドボディ32を平行姿勢まで降ろした状態で積み降ろし並びに積み込み動作を行う必要がある。
【0038】
ここで、図3(e)に示すようにスライドボディ32が傾斜してその一端が接地している状態で、荷役車両後方でリフトフレーム30とスライドボディ32とを平面視投影した際に地面上で専有する領域を傾斜姿勢の領域Aと名付ける。そして図4(f)に示すようにスライドボディ32が地面と平行姿勢になるまで降ろされた状態で、荷役車両後方でリフトフレーム30とスライドボディ32とを平面視投影した際に地面上で専有する領域を平行姿勢の領域Bと名付ける。リモコン8の光線照射領域切替スイッチ110でAを選択すると、光線照射装置88は傾斜姿勢の領域Aを照射する。一方、リモコン8の光線照射領域切替スイッチ110でBを選択すると、光線照射装置88は平行姿勢の領域Bを照射する。このとき、作業者がスイッチにより選択的に光線を照射しており、すなわち「人の意思で選択的に、光線を照射」している。ここで「人の意思で選択的に、光線を照射」するとは、「降ろし動作の過程で操作するスイッチとは別の入力装置であって照射を行う入力装置での操作で照射」することを含んでいる。入力装置には、例えば、専用のスイッチあるいは他のスイッチ(一例として動作速度の切替スイッチ)との兼用、音声入力装置、カメラで特定の動作を認識する、などが含まれる。
【0039】
以下具体的に、スライドボディ32を降ろす際の積み降ろし装置26および光線照射装置88等の動作について、図3、4、5を参照しながら、説明する。なおスライドボディ32を降ろす操作は、スライドボディ32に運搬する車両を積み込む際と、積み込まれている運搬車両を降ろす際の動作である。以下、スライドボディに運搬する車両を積み込む際の動作について、説明する。
【0040】
最初に図4(g)の様に、スライドボディ32を下まで降ろした状態で車両の積み込む際の動作について、説明する。この場合リモコン8の光線照射領域切替スイッチ110は、B側にスライドしておき平行姿勢の領域Bを選択するように設定しておく。
荷役車両1は、走行時においては、図2(a)の様にリフトフレーム30が水平姿勢となっており、スライドボディ32は、リフトフレーム30上に引き上げられている。リフトフレーム30の姿勢は水平(着床状態)であり、且つ前後方向には、前端の位置(初期位置)にある。またスライドボディ32についても、前端の位置(初期位置)にある。
【0041】
そして積み降ろし装置26で、スライドボディ32を地上に降ろす。
降ろし動作は、車高の低い車両を積み降ろしあるいは積み込む場合は、次の工程を順次実行することにより行われる。
(1)光線照射工程
(2)リフトフレーム後退工程(スライドボディ水平移動工程)
(3)第一傾斜工程(最初の傾斜動作)
(4)スライドボディ降下工程
(5)第二傾斜工程
【0042】
(1)光線照射工程
最初に光線照射装置88を動作させ、降ろし動作の実行に際して荷役車両1の後方で必要な領域に、照射光線を照射して周囲に安全を喚起する。車高の低い車両を積み込む際のスライドボディ32の降ろし動作を行うので、平行姿勢の領域Bへの光線照射を開始する。
【0043】
(2)リフトフレーム後退工程(スライドボディ水平移動工程)
リフトフレーム後退工程は、図示しない油圧シリンダによって、リフトフレーム30を水平姿勢のままで後方に移動させる工程である。
リフトフレーム後退工程は、スライドボディを初期位置から車両部の後部側に移動させる水平移動動作でもある。水平移動動作とは、車両部に対してスライドボディを移動させる動作で、図2(a)、(b)を経て図2(c)の位置までスライドボディを移動させる。
【0044】
(3)第一傾斜工程
第一傾斜工程は、降ろし動作における最初の傾斜動作である。第一傾斜工程は、油圧シリンダ35を起動し、チルト機構31を動作させて、図3(d)の様にリフトフレーム30を一定の角度まで傾斜させる工程である。
【0045】
(4)スライドボディ降下工程
スライドボディ降下工程は、図3(e)の様に、スライドボディ32をリフトフレーム30にそって車両後方側に直線移動させスライドボディ32の後端が地面に接地するまでスライドボディ32をずり下ろす工程である。ここで、スライドボディ32の後端が地面に近づくと光線照射装置88からの光がスライドボディ32を超えて光線を照射しにくくなる。従い、本実施形態では踏み板37に別の光線照射装置(図示せず)を設置して光線照射を補助している。
【0046】
(5)第二傾斜工程
第二傾斜工程は、図4(f)を経て図4(g)の様に、リフトフレーム30を最高角度まで上昇させ、スライドボディ32の底面全体を地上に着地させる工程である。そしてスライドボディ32が完全に地上に着地すると光線照射装置88の動作を止める。そして踏み板37を水平姿勢にし、車両を搬入又は搬出する。
【0047】
前述したように、車高の高い車を積み降ろしあるいは積み込む場合は、図3(e)の状態で、踏み板37を地面に対して水平にし、車両の積み降ろしあるいは積み込むを行うことも可能である。この場合はリモコン8の光線照射領域切替スイッチ110はAを選択しておき、光線照射装置88が、図3(e)に示す傾斜姿勢の領域Aを照射するように設定する。従い、図2(b)、(c)、図3(d)、(e)の光線照射領域は平行姿勢の領域Bではなく、傾斜姿勢の領域Aとなる。この場合はスライドボディを平行姿勢まで降ろす工程、即ち(5)の第二傾斜工程を省略することができる。従い、(4)のスライドボディ降下工程が終了後、光線照射装置88の動作を停止させる。
【0048】
荷役車両1は、被搬送物を直接的にあるいはボディに載置して間接的に積み降ろしできるように構成されている。ここで被搬送物をボディに載置して間接的に積み降ろしをする場合、ボディを傾斜姿勢にして荷役車両から遠い位置にある端部のみを接地する場合と、ボディの全底面を接地する場合とがある。端部のみを接地する場合、この荷役車両1から遠い位置にある端部がなす直線部のみが照射されることになる。これでも車両の乗員または作業員は、どの範囲が危険領域なのかの判断は、可能である。しかしながら、この接地する端部とボディの反対側端部とを対辺とする四角形全領域に対して光線を照射すると、さらに安全性に優れた荷役車両となる。以上から、「ボディあるいは被搬送物が接地される地面の領域に光線を照射する」という概念は、この四角形全領域に対して光線を照射することを含むものとする。
光線の照射は、上記の実施形態では、(4)のスライドボディ降下工程あるいは(5)の第二傾斜工程の終了まで継続させた。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、傾斜姿勢の領域Aへの照射を(1)のリフトフレーム後退工程を実行中のみ続行させるようにしてもよい。
【0049】
本実施形態の光線照射装置88は、光線照射領域切替スイッチ110を用いて、傾斜姿勢の領域Aあるいは平行姿勢の領域Bのどちらかに選択的に光線を照射するものである。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、同時に二つの領域A,Bを照射しても良い。この場合、例えば色を変える、線を引くなどを実施することで、二つの領域A,Bを区別することができる。
【0050】
さらに別の実施形態として、傾斜姿勢の領域Aと平行姿勢の領域Bとを自動的に切り替えて表示してもよい。
即ち、図2(a)に示すように前述のリフトフレーム後退工程を始めると、光線照射装置88は、傾斜姿勢の領域Aに対する光線の照射を開始する。この傾斜姿勢の領域Aへの光線の照射は、図2(c)のリフトフレーム後退工程の終了ならびに図3(d)の第一傾斜工程の開始を経て図3(e)の第一傾斜工程の終了まで継続する。
そして図3(e)の第一傾斜工程が終了し、スライドボディ降下工程が開始するとともに、光線照射装置88は、平行姿勢の領域Bに対する光線の照射を開始する。この平行姿勢の領域Bに対する光線の照射は、図4(f)のスライドボディ降下工程の実行状態を経て、図4(g)に示す第二傾斜工程が終了するまで継続し、光線照射装置88は、第二傾斜工程の終了とともに、平行姿勢の領域Bに対する光線の照射を終了する。
【0051】
積み込み動作は、概ね前記した降ろし動作を逆の順序で実行することにより行われるので、詳細の説明を省略する。
なお本実施形態では、この積み込み動作の際には光線照射装置88による光線の照射を実施していないが、光線の照射を実施してもよい。
【0052】
以上、荷役車両1として、車両運搬車を例に実施形態を説明したが、本発明は、例えば図6、7の様なコンテナ運搬車にも適用することができる。以下、他の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、先の実施形態と共通する部材等については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0053】
本発明の第二実施形態の荷役車両40は、コンテナ運搬車であり、図6、7の様に、車両部5と積載装置17と光線照射装置88を有している。光線照射装置88(安全装置)は、LEDランプで構成されており、例えば小糸製作所製の「LED描画ランプ」を採用することができる。光線照射装置88は、走行時等においては図6(a)、図7(a)に示すように、光線を照射しない。しかしながら荷役車両40の後方の領域を用いてコンテナの積み込みならびに積み降ろしを実行する場合、図6(b)、図7(b)に示すように、照射光線を照射して周囲に安全を喚起するように構成されている。
本実施形態の荷役車両40は、大きさの異なる二つのコンテナ2を運搬することが可能である。例えば、大きいコンテナ2を運搬する場合は、光線照射装置88は、図6(b)に示すように、大きいコンテナ2が地上に降ろされた際に専有する地面の領域Cへの光線の照射を可能としている。一方、小さいコンテナ2を運搬する場合は、光線照射装置88は、図7(b)に示すように、小さいコンテナ2が地上に降ろされた際に専有する地面の領域Dへの光線の照射を可能としている。
【0054】
積載装置17には、制御装置6と、油圧装置7及びバンパー装置50が含まれている。
積載装置17は、コンテナ2を載置するコンテナ載置部11と、荷役アーム3を有している。
コンテナ載置部11は、コンテナ2を載置するフレームである。
【0055】
図9に示すように、荷役アーム3はフックアーム20と、リフトアーム21によって構成されている。
荷役アーム3は、リフトアーム21の先端側に、フックアーム20が角度をつけた姿勢で揺動可能に取り付けられたものであり、全体形状が、略「L」状を呈している。フックアーム20とリフトアーム21の間には油圧シリンダ22が取り付けられており、フックアーム20は油圧シリンダ22を伸縮することによってリフトアーム21に対する角度が変化する。
フックアーム20の先端には、フック(係合部)23が設けられている。
リフトアーム21の基端側は、車両部5に揺動可能に取りけられており、荷役アーム3は、全体として揺動可能である。またリフトアーム21には、油圧シリンダ25が取り付けられており、当該油圧シリンダ25によって、荷役アーム3が全体的に揺動する。即ち、前記荷役アーム3の基端側は、車両部に設けられた荷役アーム回動軸150に取り付けられており、前記荷役アーム3は、前記荷役アーム回動軸150を中心として搖動可能である。
【0056】
荷役車両40についても、荷役アーム3と、バンパー装置50を連携させて自動的にコンテナ2を降ろす自動降ろし動作を行うことができる。また、荷役アーム3と、バンパー装置50を連携させて自動的にコンテナ2を積み込む自動積み込み動作を行うことができる。
【0057】
次に、荷役車両40における、コンテナ2を降ろす際の荷役アーム3および光線照射装置88等の動作について説明する。図8(a)が動作を始める前の初期状態である。
最初に、図8(b)に示すように、光線照射装置88を動作させ、降ろし動作の実行時にコンテナ2が地上に降ろされた際に専有する地面の領域C、Dへの光線の照射を開始する。
次に、荷役車両40から、コンテナ2を降ろすため、図8図9の様に、フックアーム20を後方(図面時計回り)に揺動させてから、リフトアーム21を傾斜姿勢に変化させる。その結果、コンテナ2は、ゆっくりと地上に降ろされる。
即ち、図8(c)の様に、フックアーム20を後方(図面時計回り)に揺動して、リフトアーム21を鋭角に姿勢変更し、コンテナ2を後方にスライドさせる。
続いて、図9(d)の様にリフトアーム21を後方(図面時計回り)に揺動してリフトアーム21の姿勢を傾斜させる。図9(e)の様にリフトアーム21をさらに後方(図面時計回り)に揺動し、コンテナ2の後端を地面に着地させる。
そして、リフトアーム21をさらに後方(図面時計回り)に揺動すると共に、フックアーム20をやや前方(図面反時計回り)に揺動し、図9(f)の様にコンテナ2の前端を着地させ、コンテナ2を地上に降ろす。コンテナ2が地面と水平な姿勢となり地面に完全に着地すると、光線照射装置88は、光線の照射を停止する。
【0058】
コンテナ2を積み込む際の荷役アーム3等の動作については、概ね前記した降ろす際の動作を逆の順序で実行することにより行われる。従い、これ以上の詳細な記述は行わない。
なお本実施形態では、この積み込み動作の際には光線照射装置88による光線の照射を実施していないが、光線の照射を実施してもよい。
【0059】
以上説明した荷役アーム3は、スイング式と称される形式であり、フックアーム20及びリフトアーム21は、いずれも揺動のみ可能であり、直線移動はしない。
これに対して、スライド式と称される荷役アームが知られており、当該荷役アーム
は、一部の部材が直線移動する。
本発明は、スイング式の荷役アーム3を採用するものに限定されるものではなく、
スライド式の荷役アームを採用する荷役車両にも適用することができる。
【0060】
以上説明した実施形態では、光線照射装置88は、バンパー装置50の上部かつ幅方向の中央に設けられている。しかしながら本発明は、これに限定されず、光線照射装置88が傾斜姿勢の領域A、平行姿勢の領域B、あるいはコンテナ2が地上に降ろされた際に専有する地面の領域C、Dに光線を照射できるのであれば、光線照射装置88をバンパー装置50のどのような位置に設けられても良い。
【0061】
以上説明した実施形態では、光線照射装置88は、バンパー装置50に設けられていた。しかしながら本発明は、これに限定されず、光線照射装置88が傾斜姿勢の領域A、平行姿勢の領域B、あるいはコンテナ2が地上に降ろされた際に専有する地面の領域C、Dに光線を照射できるのであれば、光線照射装置88を荷役装置のどこに設けても良い。例えば、リフトフレームの下面、スライドフレームの下面、あるいは踏み板等が考えられる。
【0062】
以上説明した実施形態では、光線が照射される領域は、リフトフレームとスライドボディとを平面視投影した際の地面上での専有領域A、B(傾斜姿勢の領域A、平行姿勢の領域B)あるいはコンテナ2が地上に降ろされた際に専有する地面の領域C、Dであるが、少し余裕を持たせて、これら領域を含むエリアとしても良い。このようにすることで、さらに安全面に配慮した荷役車両を提供することができる。
【0063】
以上説明した実施形態において、荷役車両の走行時に光線を照射してしまうことがないように、例えば、荷物の積み降ろしの準備又は実施を行うスイッチを設置し、このスイッチがオン状態であることを検知するなんらかの検知手段を設け、当該スイッチがオンであることを条件の一つとして、光線を照射してもよい。具体的には、エンジンの回転を「油圧」に変えるPTO(パワーテイクオフ)機能を動作可能状態にする図示しないPTOスイッチがオンであることを条件の一つとして、光線を照射してもよい。
【0064】
以上説明した実施形態において、傾斜姿勢でのリフトフレームとスライドボディとを平面視投影した際の地面上での専有領域への光線の照射と、平行姿勢でのリフトフレームとスライドボディとを平面視投影した際の地面上での専有領域への光線の照射とを選択的に行ってもよい。本実施形態において、両姿勢に対して同じ色の光線を照射しても異なる色の光線を照射してもよい。
【0065】
以上説明した実施形態において、降ろし動作を傾斜姿勢で行う際には、傾斜姿勢でのリフトフレームとスライドボディとを平面視投影した際の地面上での専有領域にのみ光線を照射してもよい。また降ろし動作を平行姿勢で行う際には、平行姿勢でのリフトフレームとスライドボディとを平面視投影した際の地面上での専有領域にのみ光線を照射してもよい。
【0066】
以上説明した実施形態において、光線照射領域切替スイッチはリモコンに装備されていたが、キャブ内あるいはボディに装備されてもよい。また光線照射領域切替スイッチの形状はレバー等でもよい。さらにスマートフォンで、スイッチの機能を代用してもよい。
【0067】
以上説明した実施形態において、傾斜姿勢の状態で、ボディ前端が接地していてもよい。例えば、前端に伸縮する足が付いているものでもよい。
【0068】
以上説明した実施形態では、積み込み動作の際には光線照射装置88による光線の照射は実施していなかった。しかしながら、本発明における光線照射装置は、積み込み動作においても効果を発揮することができる。以下、当該の光線照射装置を備えた実施形態について説明する。
【0069】
本発明の第三実施形態の荷役車両51は、コンテナ運搬車であり、図10の様に、光線照射装置188と、操舵量検知部105と、適正位置検知部106を備えている。第二実施形態の荷役車両40と比較すると、荷役車両51が備える光線照射装置188は、第二実施形態の光線照射装置88(図9(f))とは構成が異なるものである。また、操舵量検知部105と適正位置検知部106は、第二実施形態の荷役車両40が備えていないものである。
【0070】
操舵量検知部105は、荷役車両51の操舵量、即ちハンドルによって操作される操舵角を検知するものである。適正位置検知部106は、荷役車両51の位置が積み込み対象のコンテナ2を積み込むのに適正な位置にあることを検知するものである。
【0071】
本実施形態の荷役車両51の機能を概説すると、操舵量検知部105による情報を利用してハンドルの操作で荷役車両51のコンテナ2に対する左右方向のずれを調整するとともに、適正位置検知部106による情報を利用して荷役車両51のコンテナ2に対する前後方向のずれを調整し、積み込むのに適正な位置に到達したことを確定させる。このとき、光線照射装置188の照射パターンも参考にしながら適正位置に到達したことを確定させる。適正位置検知部の例としては、カメラが挙げられる。例えば、カメラで撮影した写真を画像処理して荷役車両51とコンテナ2との相対位置を得ることが挙げられる。
【0072】
次に、本実施形態の荷役車両51の位置をコンテナ2を積み込むのに適正な位置に到達させる手順を、光線照射装置188に特有な照射パターンも含めて説明する。
図11(a)の様に、荷役車両51の初期位置がコンテナ2の後方、即ち前後方向の制御で到達できない位置にあるものとする。このとき、荷役車両51は、ある操舵量でハンドルを切った状態でバックさせる必要がある。ここで、本実施形態の荷役車両51は、操舵量を検知する操舵量検知部105を備えている。さらに、荷役車両51の光線照射装置188は、図11(b)に示すように、操舵量に応じて、例えば0°、5°、10°、15°の操舵量でバックした場合のトラックの後部中心部の軌跡をある一定の距離にわたって直線(0°の場合)あるいは曲線(5°、10°、15°の場合)で、図11(b)の照射光線41(0°)、42(5°)、43(10°)、44(15°)のように照射する。本実施形態の光線照射装置188は、それぞれの操作量の曲線を地面に照射できるライトを複数個配置することでこの光線照射を可能としている。
【0073】
この光線照射が為されている時、コンテナ2の設置されている位置に近づけるのに最も適した照射光線が照射光線41(0°)、42(5°)、43(10°)、44(15°)のどれであるかを補助員が確認し、ドライバーに伝える。本実施形態の場合は、10°が最も操舵量に近いものである。
そしてドライバーは操舵量10°で荷役車両51をバックさせる。コンテナ2に近づくと、補助員の指示する操作量の微調整に応じて、ドライバーは操舵量を変更し、最終的に荷役車両51は、図11(c)に示すように、コンテナ2の前後方向にある位置に配置することができる。
【0074】
次に、荷役車両51を操舵量0°で前後方向にバックで直進させる。このとき、光線照射装置188は、この前後方向のバック時では、図11(c)に示すように、コンテナ2の全面、左側面の一部、および右側面の一部を地面上に投影した、コ字状の線を照射する。
荷役車両51を前後方向にバックで直進させて、荷役車両51がコンテナ2に近接し、荷役車両51の適正位置検知部106が、荷役車両51の位置が積み込み対象のコンテナ2を積み込むのに適正な位置にあると検知すると、光線照射装置188は、照射する光線の色を変えるという構成としている。即ち、図11(c)、(d)に示されるように、荷役車両51は、当初は例えば赤色で照射されていたコンテナ2の設置領域AAを、コンテナ積載可能な状態に到達した時に青色の光線で照射するように変更する。こうすることで補助員は、荷役車両51がコンテナ積載が可能な位置に到達したことを容易に確認することができる。
なお、積載可能な位置であることを知らせる方法として、光線の色を変える以外にも例えば照射光線を点滅させるということも考えられる。
【0075】
以上で、荷役車両51は積み込み動作が実施できる状態になっている。よって、この後は積み込み動作を行えば良い。前述したように、積み込み動作は、図8,9の動作を、即ち、図9(f)、図9(e)、図9(d)、図8(c)、図8(b)、図8(a)の順番に行えばよい。
【0076】
以上説明した第三実施形態では、補助員が照射光線の確認等の作業を行っていた。しかしながら本発明は、これに限定されず、ドライバーが荷役車両51の後部に設けられたカメラ等で後方を運転室内に設置したモニター等で確認しながら、補助員の補助を受けずに一人で行ってもよい。
【0077】
以上説明した第三実施形態では、操舵に応じて発生させる照射光線41,42,43、44は、与えられた操舵量でバックした場合のトラックの後部中心部の軌跡、即ち一本の線状のライトであったが、左右両方のタイヤの延長線上、即ち二本の線状のライトでもよい。
【0078】
以上説明した第三実施形態では、ある操舵量を有して荷役車両51を動作させる場合に、照射する光線は曲線としたが、本発明は、これに限定されない。直線照射のままで照射方向を変更するものであってもよい。
【0079】
以上説明した第三実施形態では、光線照射装置188は、前後調整用のライトと左右調整用のライトとを有している。この場合、一部のライトが両方の機能を兼ねてもよい。これにより、コストダウンが期待できる。
【0080】
以上説明した第三実施形態では、操舵量検知部105と適正位置検知部106からの情報を積み込み動作に用いているが、本発明はこれに限らず、降ろし動作に用いても良い。即ち、操舵量検知部105による情報を利用してハンドルの操作で荷役車両51のコンテナ2に対する左右方向のずれを調整するとともに、適正位置検知部106による情報を利用して荷役車両51のコンテナ2に対する前後方向のずれを調整して、荷役車両51をコンテナ2の積み降ろしをすべき目標位置に移動するのに用いてもよい。
【0081】
次に、本発明の第四実施形態について説明する。図12に示す第四実施形態の荷役車両56は、第三実施形態と同様のコンテナ運搬車であり、光線照射装置189を備えている。光線照射装置189は、第三実施形態の光線照射装置188とは構成が異なるものである。
【0082】
荷役車両56における積み込み動作は、図12に示す状態から開始される。この状態から、荷役車両56をコンテナ2に近づけて、その後に荷役アーム3のフックアーム20の先端にある係合部(フック)23を、コンテナ2の被係合部24に係合させる、係合工程を行う必要がある。本実施形態の荷役車両56は、この係合工程で用いることができる光線照射装置189を備えている。
【0083】
また第四実施形態の荷役車両56は、荷役アーム姿勢検知部160と、係合部高さ検知部161と、被係合部高さ検知部162とを備えている。荷役アーム姿勢検知部160と、係合部高さ検知部161と、被係合部高さ検知部162は、第二実施形態の荷役車両40が備えていないものである。
【0084】
荷役アーム姿勢検知部160は、荷役アーム回動軸150から係合部23までの距離を検知するもので、リフトアーム21の基端側に搭載されている。係合部高さ検知部161と被係合部高さ検知部162とは、それぞれ係合部23の地面からの高さと被係合部24の地面からの高さを検知するものである。
光線照射装置189は、係合部24の係合可能な位置を目印となる光線(例えば十文字状の光線)によって地面に照射するものである。
【0085】
次に、第四実施形態における係合工程の手順について図13を用いて説明する。
図13において、RRは、荷役アーム3のフックアーム21の先端にある係合部23の搖動軌跡を示している。そして、搖動軌跡RR上のEは係合部23の地面からの高さがコンテナ2の被係合部24の高さより高い地点を、搖動軌跡RR上のFは係合部23の地面からの高さがコンテナ2の被係合部24の高さより低い地点を、搖動軌跡RR上のGは係合部23の地面からの高さがコンテナ2の被係合部24の高さと同じ高さである地点を示している。
最初に、図13(a)に示す様に、荷役車両56を矢印の方向にバックさせて、コンテナ2に近づける。ここで、荷役アーム3のフックアーム21の先端にある係合部23が、E地点、即ち、係合部23の地面からの高さがコンテナ2の被係合部24の高さより高い地点にあったとする。このとき、フックアーム20の先端にある係合部23をコンテナ2の被係合部24にほとんど隣接する程度まで近づける。この過程で、リフトアーム21を図13の搖動軌跡RR上を右方向に回転させることで、図13(b)に示すように、荷役アーム3の係合部23の地面からの高さを被係合部24の地面からの高さよりも低い地点Fに位置させる。
そして、荷役アーム3を図13の搖動軌跡RR上を左回転させて係合部23を搖動軌跡RR上でF地点からG地点に移動させる。このようにして、搖動軌跡RR上のG地点で荷役アーム3の係合部23は、図13(c)に示す様に、コンテナ2の被係合部24と係合する。
本実施形態の光線照射装置189は、後述するように、この係合工程の各手順を円滑に進めるのに有用なものである。
【0086】
即ち、光線照射装置189は、荷役車両56が積載可能な位置にあることを知らせるため、フックアーム20の先端にある係合部23の、荷役アーム3の回動軸回りの搖動軌跡RRを地面上に投影した直線を、図14(a)に示すように、荷役車両56の後端部から、この後端部中央から後端部に垂直な光線BBとして照射する。ここで、光線照射装置189は、フックの搖動軌跡の後端部に光線BBと垂直な光線CCとからなる十文字状の目印となる光線を照射するライトを含んでいる。そして、この光線BBと垂直な光線CCの位置は、搖動軌跡RRの半径Rが分かればよい。図12に示すように、本実施形態では、荷役アーム回動軸から係合部23までの距離を検知する荷役アーム姿勢検知部160を、リフトアーム21の基端側に設置しており、これを用いて搖動軌跡RRの半径Rを知ることができる。
【0087】
以上の背景の元、光線照射装置189から目印光線CCを照射させながら、荷役車両56をバックさせて、この目印光線CCが図14(b)に示すように、コンテナ2の被係合部24と一致する地点に到達すると、荷役車両56がコンテナ2を積載するのに適正な位置に到達した、と判断する。本実施形態では、荷役車両56のドライバーと補助員とのペアによって、荷役車両56がコンテナ2を積載するのに適正な位置に到達したことを判断している。即ち、目印光線CCが被係合部24に到達していることを補助員が確認し、ドライバーに連絡している。そして、この後、積み込み動作を実行する。
なお、ドライバーが荷役車両56の後部に設けられたカメラ等で後方を運転室内に設置したモニター等で確認しながら、補助員の補助を受けずに、一人で目印光線CCが被係合部24に到達していることを確認するという手順にしてもかまわない。
【0088】
なお、距離を検知する荷役アーム姿勢検知部160として、直接的に距離を計測するもののみならず、カメラで撮影した画像を処理して被係合部との相対位置を判断する方式を用いることが可能である。
【0089】
また、荷役アーム姿勢検知部160を、車両部5、フックアーム20、リフトアーム21に、それぞれ天地方向の角度を検知する傾斜センサを設けることで構成してもよい。この場合、あらかじめフックアーム20の長さとリフトアーム21の長さを記憶しておき、これらから荷役アーム回動軸150から係合部23までの距離を算出する構成としてもよい。
【0090】
本実施形態においては、フックアーム20の先端にある係合部23とコンテナ2の被係合部24とを係合させる場合、係合部23をコンテナ2の被係合部24の下側に配置してその位置から上方向にスイングさせるのが好適であるように、被係合部24の形状が設計されている。従って、荷役車両56をバックさせてこの目印光線CCが被係合部24に到達させる動作の前に、前もって係合部23を搖動させて、係合部23を被係合部24より下方に位置させている。
ここで、係合部23の地上面からの高さが被係合部24の地上面の高さより低くなった場合には図14に示した光線BBとCCの照射パターンを、例えば色を変えるとか点滅させるというように、変更する。これを補助員が確認してドライバーに知らせる。それを受けて、ドライバーは係合部の搖動運動を停止させる。このとき、照射パターンの変化を、例えばカメラ等で撮影して運転室内のモニターに表示して、ドライバー自らが係合部23の地上からの高さが被係合部24の地上からの高さより、低くなっているかを確認するようにしてもよい。
本実施形態においては、荷役車両56が一定の高さ位置に被係合部24を有するコンテナ2を運搬している。また本実施形態では、荷役車両56が係合部の地上面からの高さを検知する係合部高さ検知部161を有している。従って、係合部23の地上面からの高さが被係合部の地上面からの高さよりも低い位置にあることの確認は、係合部23の地上面からの高さを係合部高さ検知部161で得て、この値と荷役車両56の制御装置6が記憶している被係合部24の地上からの高さを比較することで得ることができる。
【0091】
しかしながら、荷役車両56が、異なった高さ位置に被係合部24を有するコンテナ2を、積み込んで運搬するとしても、上記の係合部高さ検知部161に加えて、被係合部高さ検知部162を有するようにすれば、係合部23の地上面からの高さが被係合部の地上面からの高さよりも低い位置にあることの確認は容易である。被係合部高さ検知部162は、例えば後方を撮影するカメラを設けてこのカメラによる画像をデータ処理して検知する構成とすればよい。これにより、係合部23を搖動させて係合部23を被係合部24より下方に位置する動作は容易である。
あるいは、コンテナ2のサイズごとに被係合部23の高さを決める方式として、このコンテナ2のサイズと被係合部23の高さとの対応表をあらかじめ荷役車両56に記憶させておき、運搬すべきコンテナ2のサイズに応じてこの対応表から被係合部23の高さを得て処理する方式としてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1、40、51、56 荷役車両
2 コンテナ
3 荷役アーム
5 車両部
6 制御装置
17 積載装置
18 積載装置
23 フック(係合部)
26 積み降ろし装置
30 リフトフレーム
32 スライドボディ
88、188、189 光線照射装置
110 光線照射領域切替スイッチ
A 傾斜姿勢の領域
B 平行姿勢の領域
C、D コンテナ2が地上に降ろされた際に専有する地面の領域
105 操舵量検知部
150 荷役アーム回動軸
160 荷役アーム姿勢検知部
161 係合部高さ検知部
162 被係合部高さ検知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14