IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コリンダス インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020991
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】ロボットDRIVE用無菌DRAPE
(51)【国際特許分類】
   A61B 46/10 20160101AFI20230202BHJP
【FI】
A61B46/10
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022117649
(22)【出願日】2022-07-25
(31)【優先権主張番号】63/203,785
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/813,626
(32)【優先日】2022-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510292504
【氏名又は名称】コリンダス、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン コープ
(72)【発明者】
【氏名】ピーター ファルブ
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ ピアッツァロロ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイン バウチャー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ロボット駆動部(又は機械式駆動部)用の滅菌バリア(又は滅菌用障壁、無菌用障壁)を提供する。
【解決手段】ロボット駆動部24用の滅菌バリア122であって、駆動部本体の長手方向軸128に沿って移動可能に構成された第1の駆動モジュールを含む。滅菌バリアは、長手方向軸の近くに第1の自由端部を有する第1の弾性部材を備える。第1の駆動モジュールが長手方向軸に沿って移動する際、第1の駆動モジュールの近くにある第1の自由端部は、長手方向軸から離れるように弾性的に付勢されて、長手方向軸に復帰する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット駆動部用の滅菌バリアであって、前記ロボット駆動部は、駆動部本体の長手方向軸に沿って移動するように構成された第1の駆動モジュールを備え、
前記滅菌バリアは、前記長手方向軸の近くに第1の自由端部を有する第1の弾性部材を含み、前記第1の駆動モジュールが前記長手方向軸に沿って移動する際、前記第1の駆動モジュールの近くにある前記第1の自由端部は、前記長手方向軸から離れるように弾性的に付勢されて、前記長手方向軸に向って戻るようにした、滅菌バリア。
【請求項2】
前記長手方向軸の近くに第2の自由端部を有する第2の弾性部材を含み、前記第1の駆動モジュールが前記第1の弾性部材と前記第2の弾性部材との間で前記長手方向軸に沿って移動する際、前記第1の駆動モジュールの近くにある前記第2の自由端部は、前記長手方向軸から離れるように弾性的に付勢されて、前記長手方向軸に向って戻るようにした、請求項1に記載の滅菌バリア。
【請求項3】
前記駆動部本体に対して解除可能に取付けられた第1の剛性部材を含み、当該第1の剛性部材に対して前記第1の弾性部材が取付けられる、請求項2に記載の滅菌バリア。
【請求項4】
前記第1の剛性部材を取付けた可撓性カバーを含み、当該可撓性カバーは、前記駆動部本体を覆う、請求項3に記載の滅菌バリア。
【請求項5】
さらに、前記駆動部本体を支持するアームの一部分に対して解除可能に取付けられるC字形状クリップを備えた第1のアームカバーを含み、当該第1のアームカバーは、前記アームの下方に配置される下部アームカバー部を含み、
前記可撓性カバーは、前記アームの上方を覆う上部アームカバー部を含み、前記第1のアームカバーと前記上部アームカバー部とによって前記アームの全面を覆う、請求項4に記載の無菌バリア。
【請求項6】
前記駆動部本体に対して解除可能に取付けられる第2の剛性部材を含み、当該第2の剛性部材に対して前記第2の弾性部材が取付けられる、請求項4に記載の滅菌バリア。
【請求項7】
前記第1の剛性部材は少なくとも2つの部分を含み、それらは、梱包時には折り畳まれる方向になり、かつ装着時には折り畳まれない方向になる、請求項6に記載の滅菌バリア。
【請求項8】
前記第1の弾性部材は、第1の側部と、対向する第2の側部とを含み、前記第1の側部は、前記駆動部本体と対向し、前記第1の駆動モジュールが前記長手方向軸に沿って移動する際、前記第1の弾性部材の前記第1の側部の一部が、前記第1の駆動モジュールの外面と当接する、請求項6に記載の滅菌バリア。
【請求項9】
前記ロボット駆動部は、前記第1の駆動モジュールとは独立して、前記駆動部本体の前記長手方向軸に沿って移動する第2の駆動モジュールを含み、前記第2の駆動モジュールが前記長手方向軸に沿って移動する際、前記第2の駆動モジュールの近くの前記滅菌バリアの前記第1の自由端部と前記第2の自由端部とは、前記長手方向軸から離れるように弾性的に移動して、前記長手方向軸に向って復帰するようにした、請求項2に記載の滅菌バリア。
【請求項10】
前記ロボット駆動部は、前記第1の駆動モジュールと前記第2の駆動モジュールとから独立して、前記駆動部本体の前記長手方向軸に沿って移動する第3の駆動モジュールを含み、前記第3の駆動モジュールが前記長手方向軸に沿って移動する際、前記第3の駆動モジュールの近くにある前記滅菌バリアの前記第1の自由端部と前記第2の自由端部とは、前記長手方向軸から離れるように弾性的に移動して、前記長手方向軸に向って復帰するようにした、請求項9に記載の滅菌バリア。
【請求項11】
前記ロボット駆動部は、経皮装置に対して動作可能に取付けられる第1のカセットを含み、当該第1のカセットは、前記第1の駆動モジュールに対して解除可能に取付けられ、前記滅菌バリアは、駆動モジュール用カバーを備え、当該駆動モジュール用カバーは、前記第1のカセットに対して取付けられて、前記第1の駆動モジュールの一部を解除可能に覆う、請求項1に記載の滅菌バリア。
【請求項12】
前記第1のカセットは、前記第1の駆動モジュールの第1の側部の一部を覆い、前記駆動モジュール用カバーは、前記第1の駆動モジュールの少なくとも1つのさらなる側部を覆う、請求項11に記載の滅菌バリア。
【請求項13】
前記第1のカセットと前記駆動モジュール用カバーとは、前記第1の駆動モジュールの実質的に全ての側部を覆う、請求項12に記載の滅菌バリア。
【請求項14】
前記駆動モジュール用カバーは、剛性材料から構成されて、前記第1のカセットに対して回動可能に取付けられる、請求項11に記載の滅菌バリア。
【請求項15】
前記駆動モジュール用カバーは、可撓性材料から構成されて、前記第1カセットに対して取付けられる、請求項14に記載の滅菌バリア。
【請求項16】
カテーテル・ベースの処置システムであって、
駆動部本体を含むロボット駆動部と、支持アームと、を含み、前記駆動部本体は、前記支持アームによって支持され、さらに、
前記駆動部本体の長手方向軸に沿って移動可能な第1の駆動モジュールと第2の駆動モジュールと、
滅菌バリアと、
を含み、前記滅菌バリアは、
前記支持アームの一部と前記駆動部本体の一部とをカバーする第1の可撓性部分と、
前記第1の可撓性部分よりも剛性が高く、前記駆動部本体に対して解除可能に取付けられる第2の部分と、
前記第2の部分から延出し、前記長手方向軸の近くで、前記第1の駆動モジュールと近接する第1の自由端部を有する第3の弾性部分と、を含む、
カテーテル・ベースの処置システム。
【請求項17】
前記第3の弾性部分は、前記第1の自由端部から離れて、前記長手方向軸の近くに第2の自由端部を含み、前記第1の駆動モジュールは、前記第1の自由端部と前記第2の自由端部との間で移動可能である、請求項16に記載のカテーテル・ベースの処置システム。
【請求項18】
駆動部本体を備えるロボット駆動部と、前記駆動部本体の長手方向軸に沿って移動する第1の駆動モジュールとの上に滅菌バリアを適用する方法であって、
第1の自由端部を備える弾性部材を有する滅菌バリアを提供することと、
前記滅菌バリアを前記駆動部本体に対して取付けることと、前記第1の駆動モジュールの近くに前記駆動部本体の前記長手方向軸に沿って前記弾性部材の第1の自由端部を整列させること、とを含み、前記第1の駆動モジュールが前記ロボット駆動部に関して前記長手方向軸に沿って移動する際、前記第1の駆動モジュールの近くにある前記第1の自由端部が前記長手方向軸から離れるように弾性的に移動して、前記長手方向に向って復帰するようにした、
方法。
【請求項19】
さらに、前記第1の駆動モジュールの露出した部分に対して第1のカセットを取付けて、前記第1のカセットと前記滅菌バリアとが前記第1の駆動モジュールの実質的にすべての側部を覆うようにした、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
さらに、前記駆動部本体に対して前記滅菌バリアの剛性部分を解除可能に取付けることを含む、請求項19記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
「関連出願の相互参照」
本出願は、2021年7月30日に出願された米国仮出願第63/203,785号に基づく優先権を主張するものであり、その出願の名称は、ロボット駆動部用の滅菌カバー(STERILE DRAPE FOR ROBOTIC DRIVE)であって、その出願の開示内容が、参照により本明細書に援用されている。
【0002】
本発明は、概して、ロボット式医療処置システムの分野に関し、特に、ロボット駆動部の非滅菌部分をロボット駆動部の滅菌部分から隔離するためのカバーシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
様々な血管系の疾患の診断及び治療を行う際、侵入を最小に抑えた医療処置のため、カテーテル及び他の細長い医療デバイス(EMD:elongated medical device(s))が用いられることがある。それら血管系の疾患として、例えば、神経血管介入処置(NVI:neurovascular interventional procedure)又は神経介入手術(neurointerventional surgery)として知られているもの、経皮的冠状介入(PCI:percutaneous coronary intervention)、また、周辺血管介入処置(PVI:peripheral vascular intervention procedure)等がある。これら処置では、典型的に、脈管構造を通ってガイド・ワイヤを案内させて、そのガイド・ワイヤを介してカテーテルを進行させて、治療を行うことがある。係るカテーテル処置は、動脈又は静脈等の適切な血管にアクセスを得ることから開始されるが、その際、標準的な経皮的技法により、イントロデューサ・シース(introducer sheath)が用いられている。次に、そのイントロデューサ・シースを通って、シース又はガイド・カテーテルが、診断ガイド・ワイヤ上で、一次位置まで進められている。その位置は、例えば、NVIでは内頸動脈、PCIでは冠動脈口、PVIでは大腿動脈の表面等である。次に、脈管構造に適したガイド・ワイヤが、シース又はガイド・カテーテルを通って、脈管構造内のターゲット位置まで案内される。解剖学的構造が曲がりくねっている等の特定の状況下では、ガイド・ワイヤの案内を助けるため、サポート・カテーテル又はマイクロ・カテーテルが、ガイド・ワイヤ上に挿入されることがある。医者又は操作者は、撮像システム(例えば、透視鏡等)を用いて、コントラスト注入を伴って、画像(シネ)を得ることがあるが、それによって、固定フレームを選択して、ターゲット(例えば、病変)位置までガイド・ワイヤ又はカテーテルを案内するためのロードマップとして用いることがある。医者が、ガイド・ワイヤ又はカテーテルを移送する際、コントラストで強調された画像を得ることもでき、それによって、デバイス(装置)が、正しい経路に沿って、ターゲット位置まで移動しているか否かを確認することができる。医者は、(X線)透視法を用いて解剖学的構造を観察しながら、ガイド・ワイヤ又はカテーテルの近位端を操作して、その遠位端を、適切な導管内で、病変又はターゲットの解剖学的位置に配向させており、その際、遠位端が分岐する(側枝に進む)ことを回避している。
【0004】
ロボット式のカテーテル・ベースの処置システムは、カテーテル処置(例えば、NVI、PCI及びPVI等)を行う際に医者を助けるために開発されている。NVI処置の例には、動脈瘤のコイル塞栓形成、動静脈奇形の液体塞栓形成、及び急性虚血性脳卒中の状況における大血管閉塞の機械的血栓除去が含まれる。NVI処置では、医者はロボット・システムを用いて、神経血管ガイド・ワイヤやマイクロ・カテーテルの操作を制御して、ターゲットの病変へのアクセスを得て、治療部を移送して、正常な血流を回復させている。ターゲットへのアクセスは、シース又はガイド・カテーテルによって可能にされている。しかし、より遠位の領域では、マイクロ・カテーテルやガイド・ワイヤの適当な支持を可能にするため、中間カテーテルが必要とされることもある。ガイド・ワイヤの遠位端は、病変の種類と治療に応じて、その病変の中に、又はそこを通って案内されることがある。また、複数の動脈瘤を治療するため、病変までマイクロ・カテーテルを進めて、ガイド・ワイヤを取り外して、マイクロ・カテーテルを通して、複数の血栓コイルを動脈瘤内で展開させて、動脈瘤内への血流を遮断することがある。また、動静脈奇形を治療するためには、マイクロ・カテーテルを介して、液体塞栓が奇形部に注射されることがある。血管閉塞を治療するための機械的血栓術は、吸引及び/又はステント・レトリーバーの使用によって達成することができる。血栓の位置に応じて、吸引は、吸引カテーテルを通して行われるか、又はより小さな動脈の場合はマイクロ・カテーテルを通して行われる。吸引カテーテルが病変に到達したら、陰圧を適用して、カテーテルを通して凝固物(血栓)を除去することがある。あるいは、凝固物は、マイクロ・カテーテルを通して、ステント回収器を配置することで除去することがある。血栓がステント・レトリーバーと一体にされると、ステント・レトリーバー及びマイクロ・カテーテル(又は中間カテーテル)をガイド・カテーテル内に引き込むことによって血栓が回収される。
【0005】
PCIでは、医者はロボット・システムを使用して、病変のアクセスを得るため、冠状動脈ガイド・ワイヤを操作して、治療部を移送し、正常な血流を回復させることがある。このアクセスは、冠動脈口内にガイド・カテーテルを装着することで可能になる。ガイド・ワイヤの遠位端は、病変を通って案内されるが、解剖学的構造が複雑な場合、ガイド・ワイヤを適切に支持するため、マイクロ・カテーテルを使用することがある。病変部にステント又はバルーンを送達して展開させることで、血流を復元させている。病変は、ステント装着前に、準備を必要とすることがあるが、例えば、病変の事前拡張のためにバルーンを送達するか、あるいは、アテレクトミーを行うことがあり、例えばレーザー又は回転式アテレクトミー・カテーテルとガイド・ワイヤ上のバルーンを用いることがある。画像カテーテル又は分数流リザーブ(FFR:fractional flow reserve)測定を使用することによって、適切な治療を決定するために、診断画像及び生理学的測定を行うこともある。
【0006】
PVIでは、医師は、治療を行うためにロボット・システムを用いて、NVIと同様の技術によって、血流を回復させている。ガイド・ワイヤの遠位端は、病変部を通って案内されて、マイクロ・カテーテルを用いて、複雑な解剖学的構造に対するガイド・ワイヤの適切な支持を提供することがある。血流は、ステント又はバルーンを病変部に送達して展開することによって復元され得る。PCIと同様に、病変の準備と画像診断も同様に使用することができる。
【0007】
カテーテル又はガイド・ワイヤの遠位端での支持が求められる場合、例えば、曲がりくねった血管系又は石灰化した血管系を案内して、遠位解剖学的位置に到達させたり、又は硬い病変を横切らせるためには、オーバーザワイヤ(OTW:over-the-wire)カテーテル又は同軸システムが使用されることがある。ガイド・ワイヤがカテーテルの全長にわたって延出させるため、OTWカテーテルは、ルーメン(空洞部)を有する。これにより、ガイド・ワイヤが全長に沿って支持されるので、比較的安定したシステムが得られる。しかしながら、このシステムには、幾つかの欠点がある。例えば、急速又は迅速な交換式カテーテルと比較して、摩擦が高く、全長が長くなる(下記参照)。典型的には、内在(留置)するガイド・ワイヤの位置を維持しながら、OTWカテーテルを取り外したり、交換したりするためには、ガイド・ワイヤの露出した長さ(患者の外側)をOTWカテーテルよりも長くしなければならない。例えば、長さが300cmのガイド・ワイヤでは、通常、この目的に十分である。これは、交換長ガイド・ワイヤと呼ばれることがある。しかし、このガイド・ワイヤの長さのため、OTWカテーテルの取り外しや、交換には、2人の作業者が必要となる。このことは、3軸システムとして当該技術分野で知られている3重同軸(triple coaxial)の場合(4重同軸カテーテルの使用も知られている)、さらに困難になる。しかしながら、OTWシステムは、その安定性のため、NVIやPVIの処置ではしばしば使用されている。他方、PCI処置では、迅速交換(又はモノレール)カテーテルがしばしば使用されている。迅速交換カテーテルのガイド・ワイヤ・ルーメンは、カテーテルの遠位部分のみで走り、それは、モノレール又は迅速交換(RX:rapid exchange)部とも呼ばれている。RXシステムを用いる場合、操作者は、互いに平行な介入デバイスを操作し(OTWシステムでは、直列的な構成でデバイスが操作される場合とは対照的に)、ガイド・ワイヤの露出長さは、カテーテルのRX部よりもわずかに長くするだけでよい。迅速交換ガイド・ワイヤの長さは、通常、180cm-200cmである。より短い長さのガイド・ワイヤとモノレールが用いられる場合には、RXカテーテルは、1人の操作者で交換することができる。しかしながら、より遠位での支持が必要とされる場合、RXカテーテルは、しばしば不適合である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る一態様では、ロボット駆動部(又は機械式駆動部)用の滅菌バリア(又は滅菌用障壁、無菌用障壁)に関する。ロボット駆動部は、駆動部本体の長手方向軸に沿って移動するように構成された第1の駆動モジュールを備える。滅菌バリアは、上記長手方向軸の近くに第1の自由端部を有する第1の弾性部材を含む。第1の駆動モジュールが長手方向軸に沿って移動する際、第1の駆動モジュールの近くにある第1の自由端部は、長手方向軸から離れるように弾性的に付勢されて、長手方向軸に向って戻るように構成されている。
【0009】
一態様では、滅菌バリアは、上記長手方向軸の近くに第2の自由端部を有する第2の弾性部材を含み、第1の駆動モジュールが第1の弾性部材と第2の弾性部材との間で長手方向軸に沿って移動する際、第1の駆動モジュールの近くにある第2の自由端部は、長手方向軸から離れるように弾性的に付勢されて、長手方向軸に向って戻るように構成されている。
【0010】
一態様では、滅菌バリアは、駆動部本体に対して解除可能に取付けられた第1の剛性部材を含み、第1の剛性部材に対して第1の弾性部材が取付けられる。
【0011】
一態様では、滅菌バリアは、第1の剛性部材を取付けた可撓性カバーを含み、当該可撓性カバーは、駆動部本体を覆う。
【0012】
一態様では、滅菌バリアは、駆動部本体を支持するアームの一部分に対して解除可能に取付けられるC字形状クリップを備えた第1のアームカバーを含み、当該第1のアームカバーは、アームの下方に配置される下部アームカバー部(底部のアーム滅菌バリア)を含み、可撓性カバーは、アームの上方を覆う上部アームカバー部を含み、第1のアームカバーと上部アームカバー部とによってアームの全面を覆う。
【0013】
一態様では、滅菌バリアは、駆動部本体に対して解除可能に取付けられる第2の剛性部材を含み、当該第2の剛性部材に対して第2の弾性部材が取付けられる。
【0014】
一態様では、第1の剛性部材は少なくとも2つの部分を含み、それらは、梱包時には折り畳まれる方向になり、かつ装着時には折り畳まれない方向になる。
【0015】
一態様では、第1の弾性部材は、第1の側部と、対向する第2の側部とを含み、第1の側部は、駆動部本体と対向する。
【0016】
一態様では、第1の弾性部材の第1の側部は、第1の側部と、対向する第2の側部とを含み、第1の駆動モジュールが長手方向軸に沿って移動する際、第1の側部の一部が、第1の駆動モジュールの外面と当接する。
【0017】
一態様では、滅菌バリアは、第1の駆動モジュールとは独立して駆動部本体の長手方向軸に沿って移動する第2の駆動モジュールを含み、第2の駆動モジュールが長手方向軸に沿って移動する際、第2の駆動モジュールの近くにある滅菌バリアの第1の自由端部と第2の自由端部とは、長手方向軸から離れるように弾性的に移動して、長手方向軸に向って復帰する。
【0018】
一態様では、滅菌バリアは、第1の駆動モジュールと第2の駆動モジュールとから独立して駆動部本体の長手方向軸に沿って移動する第3の駆動モジュールを含み、第3の駆動モジュールが長手方向軸に沿って移動する際、第3の駆動モジュールの近くにある滅菌バリアの第1の自由端部と第2の自由端部とは、長手方向軸から離れるように弾性的に移動して、長手方向軸に向って復帰する。
【0019】
一態様では、滅菌バリアは、経皮装置に対して動作可能に取付けられる第1のカセットを含み、当該第1のカセットは、第1の駆動モジュールに対して解除可能に取付けられ、滅菌バリアは、駆動モジュール用カバーを備えるが、それは、第1のカセットに対して取付けられて、第1の駆動モジュールの一部を解除可能に覆う。
【0020】
一態様では、第1のカセットは、第1の駆動モジュールの第1の側部を覆い、駆動モジュール用カバーは、第1の駆動モジュールの少なくとも1つのさらなる側部を覆う。
【0021】
一態様では、第1のカセットと駆動モジュール用カバーとは、第1の駆動モジュールの実質的に全ての側部を覆う。
【0022】
一態様では、駆動モジュール用カバーは、剛性材料から構成されて、第1のカセットに対して回動可能に取付けられる(枢着される)。
【0023】
一態様では、駆動モジュール用カバーは、可撓性材料から構成されて、第1のカセットに対して取付けられる。
【0024】
さらに、一態様では、カテーテル・ベースの処置システムに関するが、当該システムは、駆動部本体を備えるロボット駆動装置と、支持アームと、を含む。駆動部本体は、支持アームによって支持される。さらに、システムは、駆動部本体の長手方向軸に沿って移動可能な第1の駆動モジュールと第2の駆動モジュールとを含む。さらに、システムは、滅菌バリアを含むが、これは、支持アームと駆動部本体の一部とをカバーする第1の可撓性部分と、当該第1の可撓性部分よりも剛性が高く、駆動部本体に対して解除可能に取付けられる第2の部分と、当該第2の部分から延出する第3の弾性部分とを含み、当該第3の弾性部分は、長手方向軸の近くで、第1の駆動モジュールと近接可能な第1の自由端部を有する。
【0025】
一態様では、第3の弾性部分は、第1の自由端部から離れて、長手方向軸の近くに第2の自由端部を含み、第1の駆動モジュールは、第1の自由端部と第2の自由端部との間で移動可能である。
【0026】
さらに、一態様では、駆動部本体を備えるロボット駆動部と、前記駆動部の長手方向軸に沿って移動する第1の駆動モジュールとの上に滅菌バリアを適用する方法に関し、当該方法は、第1の自由端部を備える弾性部材を有する滅菌バリアを提供することと;当該滅菌バリアを駆動部本体に対して取付けることと;第1の駆動モジュールの近くに駆動部本体の長手方向軸に沿って弾性部材の第1の自由端部を整列させることとを含み、第1の駆動モジュールがロボット駆動部に関して長手方向軸に沿って移動する際、第1の駆動モジュールの近くにある第1の自由端部が長手方向軸から離れるように弾性的に移動して、長手方向軸に向って復帰するようにした。
【0027】
一態様では、さらに、この方法は、第1の駆動モジュールの露出した部分に対して第1のカセットを取付けて、第1のカセットと滅菌バリアとが第1の駆動モジュールの実質的にすべての側部を覆うようにした。第1のカセットと駆動モジュール用カバーとが、第1の駆動モジュールの実質的にすべての側部をカバーする。
【0028】
一態様では、さらに、この方法は、駆動部本体に対して滅菌バリアの剛性部分を解除可能に取付けることを含む。
【0029】
本発明の内容は、添付の図面と共に、後述の詳細な説明を参照することで、より明らかになるだろう。なお、参照番号は、同様の部分を指しているものとする。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は一実施形態に係る例示的なカテーテル処置システムの斜視図である。
図2図2は一実施形態に係る例示的なカテーテル処置システムの概略的なブロック図である。
図3図3はカテーテル処置システムのカバーの右側斜視図である。
図4図4はカテーテル処置システムのカバーの左側斜視図である。
図5図5はカバーアセンブリの分解図である。
図6図6はカテーテル処置システムのカバーの側面図である。
図7図7図6のカテーテル処置システムの線7-7に沿うカバーの拡大断面図である。
図8図8は弾性カバー部分と駆動モジュールとの要部拡大図である。
図9図9は剛性カバー部を有するカセットの斜視図である。
図10図10はカテーテル処置システムの剛性カバー部を有するカセットの側面図である。
図11A図11Aは駆動モジュールと可撓性カバーとに取付けられるカセットの分解図である。
図11B図11Bはカテーテル処置システム上に可撓性カバー部を有するカセットの側面図である。
図12図12はロボットアームの一部を覆う第1のアームカバーの側面図である。
図13図13図12の第1のアームカバーとロボットアームとの要部の斜視図である。
図14図14は滅菌バリア・システムの要部の斜視図である。
図15図15は第1のアームカバーと第2のアームカバーとによって覆われたロボットアームの側面図である。
図16図16はロボットアームに取付けられた第1のアームカバーと第2のアームカバーとの要部の斜視図である。
図17図17はロボット駆動部、カセット、第1のアームカバー、ロボット駆動部カバー及び第2のアームカバーの図である。
図18図18図17の線18-18に沿う拡大図である。
図19図19は部分的に使用位置にある滅菌バリア・システムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、一実施形態に従う、例示的なカテーテル・ベース(カテーテルに基づく)処置システム10の斜視図である。カテーテル・ベースの医療処置を行うためにカテーテル・ベースの処置システム10が用いられているが、例えば、経皮的冠状介入(PCI:percutaneous coronary intervention)(例えば、STEMIを処置する)、神経血管介入処置(NVI:neurovascular interventional procedure)(例えば、救急の大型な血管閉塞(ELVO:emergent large vessel occlusion)を処置する)、周辺血管介入処置(PVI:peripheral vascular intervention procedure)(例えば、重症下肢虚血(CLI:critical limb ischemia)の処置)等)を行うことができる。カテーテル・ベースの医療処置は、診断カテーテル処置を含むことができ、その間に、患者の病気の診断を補助するために、1つ又は複数のカテーテル又は他の細長い医療デバイス(EMD:elongated medical device(s))が使用される。例えば、カテーテルに基づく診断処置の一実施形態では、その間、カテーテルを通して1つ又は複数の動脈内に造影剤(contrast)が注入されて、患者の血管構造の画像が撮影される。カテーテルを用いた医療処置には、カテーテルを用いた治療処置(例えば、血管形成術、ステントの装着、周辺血管病変の治療、血塊の除去、動脈静脈形成療法、動脈りゅうの治療等)も含まれ得るが、その間、病変を治療するためにカテーテル(又は他のEMD)が用いられる。治療処置は、例えば、血管内超音波(IVUS:intravascular ultrasound)、光コヒーレンス断層撮影(OCT:optical coherence tomography)、フラクショナル・フロー・リザーブ(FFR:fractional flow reserve)等、追加デバイス54(図2参照)を含めることで強化されてもよい。ただし、当業者であれば、実施される処置の種類に基づいて、特定の経皮介入装置又は構成要素(例えば、ガイド・ワイヤの種類、カテーテルの種類等)を選択できることを理解されたい。カテーテル・ベースの処置システム10は、その処置で用いられる特定の経皮介入装置に適応するために、マイナーな調整を行って、カテーテル・ベースの医療処置を任意の回数で実施することができる。
【0032】
カテーテル・ベースの処置システム10は、とりわけ、ベッドサイド装置20及び制御ステーション(図示略)を含む。ベッドサイド装置20は、患者12の近くに配置されるロボット駆動部(機械式駆動部)24及び位置決めシステム22を含む。患者12は、患者用の台(テーブル)18上で支持される。位置決めシステム22は、ロボット駆動部24の位置決め及び支持のために用いられる。位置決めシステム22は、例えば、ロボットアーム、多関節アーム、ホルダ等でもよい。位置決めシステム22は、その一端部を、例えば患者用の台18(図1参照)、ベース、又はカートに対して取付けることができる。位置決めシステム22の他端部は、ロボット駆動部24に対して取付けられる。位置決めシステム22は、患者用の台18上に患者12が置かれることを可能にするために、(ロボット駆動部24と共に)邪魔にならないように外に移動することができる。患者用の台18上に患者12が配置されると、位置決めシステム22を使用して、処置を行うために、患者12に対してロボット駆動部24を位置決め又は配置することができる。一実施形態に従うと、患者用の台18は、床及び/又は地面に固定された台座17によって動作可能に支持される。患者用の台18は、台座17に対して多自由度(例えばロール、ピッチ、ヨー)を有するように移動することができる。また、ベッドサイド装置20は、制御装置及びディスプレイ(表示装置)46(図2に示される)を含むことができる。例えば、制御装置及びディスプレイは、ロボット駆動部24のハウジング上に配置することができる。
【0033】
一般に、ロボット駆動部24は、適当な経皮介入装置及び付属品(アクセサリ)48(図2参照)(例えば、ガイド・ワイヤ、様々な種類のカテーテル、例えば、バルーン・カテーテル、ステント配送システム、ステント・レトリーバ、塞栓用コイル、液体塞栓、吸引ポンプ、造影剤配送装置、医薬品、止血弁アダプタ、注射器、活栓、膨張装置等)を備えて、様々な制御(制御ステーションに配置された制御及び入力等)を行うことで、使用者又は操作者がロボット・システムを介してカテーテル・ベースの医療処置を実行できるようにする。ベッドサイド装置20、特にロボット駆動部24は、本明細書に記載の機能をベッドサイド装置20に対して提供するために、任意の数及び/又は組合せで構成要素(部品)を含むことができる。ロボット駆動部24は、レール又は線形部材に対して取付けられた複数のデバイス・モジュール32a-32dを含む。デバイス・モジュール32a-32dの各々は、カテーテル又はガイド・ワイヤ等のEMDを駆動するために用いることができる。例えば、ロボット駆動部24を用いて、診断カテーテル内と、患者12の動脈内のガイド・カテーテル内とに、ガイド・ワイヤを自動的に供給することができる。EMD等の1つ又は複数のデバイス(装置)は、例えば導入器(イントロデューサ)シース(鞘)を介して、挿入点16にて、患者12の体内(例えば導管)に入る。
【0034】
ベッドサイド装置20は、制御ステーション(図示略)と通信しており、制御ステーションの使用者入力により生じた信号を、無線又は有線で、ベッドサイド装置20に対して送信して、ベッドサイド装置20の様々な機能を制御できるようにする。後述のように、制御ステーションは、制御コンピューター・システム34(図2参照)を含んでいてもよく、又は制御コンピューター・システム34を介してベッドサイド装置20と結合されていてもよい。また、ベッドサイド装置20は、フィードバック信号(例えば、装填、速度、動作条件、警告信号、エラーコード等)を、制御ステーション、制御コンピューター・システム34(図2参照)、又はその双方に提供してもよい。制御コンピューター・システム34とカテーテル・ベースの処置システム10の様々な構成要素との間の通信は、通信リンクを介して提供できるが、例えば、無線接続、ケーブル(有線)接続、又は他の任意の手段であって、構成要素間の通信を可能にするものを用いる。制御ステーション又は他の類似の制御システムは、ローカルサイト(例えば、図2に示すローカル制御ステーション38)又はリモートサイト(例えば、図2に示すリモート(遠隔)制御ステーション及びコンピューター・システム42)のいずれかに配置されてもよい。カテーテル処置システム10は、ローカルサイトの制御ステーション、リモートサイトの制御ステーション、又はローカル制御ステーションとリモート制御ステーションの双方によって同時に操作されてもよい。ローカルサイトでは、患者12及びベッドサイド装置20と同じ部屋又は隣接する部屋に、使用者又は操作者及び制御ステーションが配置される。本明細書の使用例では、ローカルサイトはベッドサイド装置20と患者12又は被験者(例えば、動物又は解剖用死体)の位置に相当し、かつ、リモートサイトは、ベッドサイド装置20をリモート制御するために用いられる使用者又は操作者及び制御ステーションの位置に相当する。ローカルサイトでの制御コンピューター・システム及び/又はリモートサイトでの制御ステーション(及び制御コンピューター・システム)及びベッドサイド装置20は、例えば、インターネットを介して、通信システム及びサービス36(図2参照)を用いて通信することができる。一実施形態に従うと、リモートサイトとローカル(患者)サイトとは互いに離れており、例えば、同じビル内の複数の部屋、同じ都市内の複数の建物、複数の都市内の複数の建物、又は他の複数の場所であって、ローカルサイトでのベッドサイド装置20及び/又は患者12に対してリモートサイトが物理的なアクセスを有していない場所でもよい。
【0035】
制御ステーションは、一般に、カテーテル・ベースの処置システム10の様々な構成要素又はシステムを作動させる使用者入力を受け取るように構成された1つ又は複数の入力モジュール28を含む。例示した実施形態では、制御ステーションは、使用者又は操作者が、カテーテル・ベースの医療処置を実行するように、ベッドサイド装置20を制御できるようにしている。例えば、入力モジュール28は、ロボット駆動部24とインターフェース接続された経皮介入装置(例えば、EMD)を用いて、様々なタスクをベッドサイド装置20に実行させるように構成されていてもよい(例えば、ガイド・ワイヤを前進、後退、又は回転させ、カテーテルを前進、後退又は回転させ、カテーテル上に位置するバルーンを膨張又は収縮させ、ステントを位置決め及び/又は展開させ、ステント・レトリーバーを位置決め及び/又は展開させ、コイルを位置決め及び/又は展開させ、カテーテルに造影剤を注入し、カテーテルに液体塞栓(エンボリック)を注入し、医薬品又は塩水をカテーテル内に注入し、カテーテルで吸引し、又はカテーテル・ベースの医療処置の一部として実行され得る他の任意の機能を実行する)。ロボット駆動部24は、経皮介入装置を含むベッドサイド装置20の部品の移動(例えば、軸方向の移動や、回転方向の移動)を生じさせるために、様々な駆動機構を含む。
【0036】
一実施形態では、入力モジュール28は、1つ又は複数のタッチスクリーン、ジョイスティック、スクロールホイール、及び/又はボタンを含んでいてもよい。制御ステーションは、入力モジュール28に加えて、フットスイッチや、音声コマンド等用のマイクロホン等の追加のユーザー制御部44(図2参照)を使用することができる。入力モジュール28は、様々な構成要素及び経皮介入装置(例えばガイド・ワイヤ、及び1つ又は複数のカテーテル又はマイクロ・カテーテル等)を前進、後退、又は回転させるように構成されていてもよい。ボタンは、例えば、非常停止ボタン、乗算ボタン、装置選択ボタン及び自動移動ボタンを含んでいてもよい。非常停止ボタンが押されると、電源(例えば、電力)が遮断されたり、ベッドサイド装置20に取り外される。速度制御モードでは、乗算ボタンは、入力モジュール28の操作に応じて関連する構成要素が移動する速度を増減させるように作用する。位置制御モードでは、乗算ボタンは、入力距離と出力指令距離との間でのマッピングを変更する。デバイス選択ボタンにより、使用者又は操作者は、ロボット駆動部24に装填された経皮介入デバイスのどれが、入力モジュール28によって制御されるのかを選択することができる。自動移動ボタンは、使用者又は操作者11からの直接の指令なしに、カテーテル・ベースの処置システム10が、経皮介入装置上で実行できるアルゴリズム動作を可能にするために使用される。一実施形態では、入力モジュール28は、タッチスクリーン(ディスプレイの一部でもよく、そうでなくてもよい)上に表示される1つ又は複数の制御装置又はアイコン(図示略)を含んでいてもよく、これは、作動されると、カテーテル・ベースの処置システム10の構成要素の動作を引き起こす。また、入力モジュール28は、バルーンを膨張又は収縮させ、及び/又はステントを展開するように構成されたバルーン又はステント制御部を含んでいてもよい。入力モジュール28の各々は、1つ以上のボタン、スクロールホイール、ジョイスティック、タッチスクリーン等を含み、これらを用いて、専用の制御が割り当てられた特定の構成要素又は複数の構成要素を制御することを可能にする。さらに、1つ以上のタッチスクリーンは、入力モジュール28の様々な部分に関連する1つ以上のアイコン(図示略)又はカテーテル・ベースの処置システム10の様々な構成要素に関連する1つ以上のアイコン(図示略)を表示することができる。
【0037】
カテーテル・ベースの処置システム10はまた、撮像(イメージング)システム14を含む。撮像システム14は、カテーテルに基づく医療処置(例えば、非デジタルX線、デジタルX線、CT、MRI、超音波等)と関連して使用され得る任意の医療撮像システムであってもよい。例示的な実施形態では、撮像システム14は、制御ステーションと通信しているデジタルX線撮像装置である。一実施形態では、撮像システム14は、撮像システム14が患者12の周囲を部分的又は完全に回転することが可能なC字形状アーム(図1参照)を含むことができ、それによって、患者12に対する異なる角度位置(例えば、サジタルビュー、尾側ビュー、前後方向ビュー等)での画像を得てもよい。一実施形態では、撮像システム14は、イメージ増強器(インテンシファイア)としても知られる検出器15とX線源13とを有するC字形状アームを含む透視装置システムである。
【0038】
撮像システム14は、処置中に患者12の適切な領域のX線画像を撮影するように構成されていてもよい。例えば、撮像システム14は、神経血管状態を診断するために頭部の1つ又は複数のX線画像を撮像するように構成されていてもよい。また、撮像システム14は、カテーテル・ベースの医療処置中に1つ又は複数のX線画像(例えば、リアルタイム画像)を撮影して、ガイド・ワイヤ、ガイド・カテーテル、マイクロ・カテーテル、ステント・レトリーバー、コイル、ステント、バルーン等を処置中に適切に位置決めするために、制御ステーションの使用者又は操作者11を補助するように構成されていてもよい。1つの画像又は複数の画像をディスプレイ30上に表示することができる。例えば、使用者又は操作者がガイド・カテーテル又はガイド・ワイヤを適切な位置に正確に移動させることを可能にするために、ディスプレイ30上に画像を表示してもよい。
【0039】
方向を明確にするために、X軸、Y軸及びZ軸を持つ直交座標系が導入されている。正のX軸は、長手方向(軸方向)遠位方向、即ち、近位端から遠位端までの方向に配向されており、換言すると、近位側から遠位側に向う方向に配向されている。Y軸とZ軸は、X軸に対して垂直面上にあり、正のZ軸は上向き、つまり重力の反対方向に配向されている。Y軸は右手の法則によって自動的に決定されるものとする。
【0040】
図2は、例示的な実施形態によるカテーテル・ベースの処置システム10のブロック図である。カテーテル処置システム10は、制御コンピューター・システム34を含んでいてもよい。制御コンピューター・システム34は、物理的には、例えば、制御ステーションの一部であってもよい。制御コンピューター・システム34は、一般に、本明細書に記載される様々な機能を有するカテーテル・ベースの処置システム10を提供するのに適した電子制御ユニットであり得る。例えば、制御コンピューター・システム34は、埋込みシステム、専用回路、本明細書に記載の機能を備えるようにプログラムされた汎用システム等であってもよい。制御コンピューター・システム34は、ベッドサイド装置20、通信システム及びサービス36(例えば、インターネット、ファイアウォール、クラウドサービス、セッション・マネージャー、病院ネットワーク等)、ローカル制御ステーション38、追加の通信システム40(例えば、テレプレゼンス・システム)、リモート制御ステーション及びコンピューター・システム42、及び患者センサ56(例えば、心電図(ECG)装置、脳電図(EEG)装置、血圧モニタ、温度モニタ、心拍数モニタ、呼吸モニタ等)と通信している。また、制御コンピューター・システムは、撮像システム14、患者用の台18、追加の医療システム50、造影剤(コントラスト)注入システム52及び追加デバイス54(例えば、IVUS、OCT、FFR等)と通信している。ベッドサイド装置20は、ロボット駆動部24、位置決めシステム22を含み、かつ更なる制御装置及びディスプレイ46を含んでいてもよい。上述のように、追加の制御装置及び表示装置は、ロボット駆動部24のハウジング上に配置することができる。介入(インターベンショナル)デバイス及び付属品48(例えば、ガイド・ワイヤ、カテーテル等)は、ベッドサイドシステム20とインターフェースする。一実施形態に従うと、介入デバイス及び付属品48は、それぞれの追加デバイス54、即ち、IVUSシステム、OCTシステム、及びFFRシステム等とインターフェースする、専用装置(例えば、IVUSカテーテル、OCTカテーテル、FFRワイヤ、コントラスト用診断カテーテル等)を含んでいてもよい。
【0041】
様々な実施形態では、制御コンピューター・システム34は、制御信号を生成するように構成されており、その信号は、入力モジュール28(例えば、ローカル制御ステーション38又はリモート制御ステーション42等の制御ステーション)との使用者の相互作用、及び/又は、制御コンピューター・システム34にアクセス可能な情報に基づき、カテーテル・ベースの処置システム10を用いて医療処置が実行できるようにする。ローカル制御ステーション38は、1つ又は複数のディスプレイ30、1つ又は複数の入力モジュール28、及び追加のユーザー制御部44を含む。リモート制御ステーション及びコンピューター・システム42は、ローカル制御ステーション38と同様の構成要素を含むことができる。リモート制御ステーション42とローカル制御ステーション38とは、必要な機能に応じて異なるように調整することができる。追加の使用者制御装置44は、例えば、1つ又は複数のフット(足)入力制御装置を含んでもよい。フット入力制御は、使用者が撮像システム14の機能を選択することができるように構成されており、例えば、X線をオン及びオフにして撮像したり、様々な保存画像をスクロールすること等を可能にしてもよい。別の実施形態では、フット入力装置は、入力モジュール28に含まれるスクロールホイールに対してどのデバイスがマッピングされるのかを使用者が選択できるように構成されていてもよい。追加の通信システム40(例えば、オーディオ会議、ビデオ会議、テレプレゼンス等)を用いて、操作者が患者、医療スタッフ(例えば、血管撮影所のスタッフ)、及び/又はベッドサイドの近くの機器と相互作用するのを助けることは可能である。
【0042】
カテーテル・ベースの処置システム10は、ここでは明示的に示されていない任意の他のシステム及び/又はデバイスを含むように接続又は構成されていてもよい。例えば、カテーテル・ベースの処置システム10は、画像処理エンジン、データ蓄積及びアーカイブシステム、自動バルーン及び/又はステント膨張システム、医薬品注入システム、医薬品追跡及び/又はログシステム、使用者ログ、暗号化システム、カテーテル・ベースの処置システム10へのアクセス又は使用を制限するシステム等を含んでいてもよい。
【0043】
上述のように、制御コンピューター・システム34は、ロボット駆動部24、位置決めシステム22を含み、追加の制御装置及びディスプレイ46を含むことができるベッドサイド装置20と通信しており、経皮介入装置(例えば、ガイド・ワイヤ、カテーテル等)を駆動するために使用されるモーター及び駆動機構の動作を制御するために制御信号をベッドサイド装置20に供給し得る。様々な駆動機構は、ロボット駆動部24の一部として設けることができる。
【0044】
図3を参照すると、ロボット駆動部24の駆動部本体100は、頂壁(上壁)102、近位壁104、遠位壁106、第1長手方向壁(第1側壁)108及び第2長手方向壁(第2側壁)110を有している。ロボット駆動部24が患者用の台18の上の使用位置にあるとき、頂壁102は患者用の台18から最も遠方の壁となり、かつ近位壁104は患者用の台18の脚部に対して最も近い又は接近した壁となる。遠位壁106は、患者用の台18の頭部に対して近い壁又は最も遠い壁となる。第1長手方向壁108と第2長手方向壁110とは、それぞれ、位置決めシステム22の基部に最も近いベッドレール112に対して近接する壁と、最も遠方の壁になる。駆動部本体100は底壁(下壁)114を有するが、その壁は、ロボット駆動部24が使用中の位置にあるとき、患者用の台18に対して最も近接する。底壁114は、近位壁104と遠位壁106との間で長手方向に延在するスロット116を有する。
【0045】
第1のデバイス・モジュール(デバイス部)32aは、駆動モジュール(駆動部)118を含み、駆動部本体100の長手方向軸128に沿って駆動される。また、第1のデバイス・モジュール32aは、接続ステージ部材120を含むが、これは、スロット116を通って延出して、駆動機構と動作可能に係合される。その駆動機構によって、駆動モジュール118は駆動部本体100の長手方向軸に沿って移動される。ロボット駆動部24の駆動部本体100と駆動モジュール118とは資本的設備に当てはまり、ベッドサイドユニット20の滅菌部(又は無菌部)の一部に当てはまらない。
【0046】
図7及び図8を参照すると、滅菌バリア122が例示されているが、これは第1の弾性部材124を含み、長手方向軸128の近くに第1の自由端部126を有している。長手方向軸128とは、それに沿って駆動モジュールが移動する軸のことである。滅菌バリア122は、駆動部本体100のスロット116と底壁114との間に滅菌バリア(滅菌用障壁又は無菌用障壁)を提供する。第1の駆動モジュール32aが長手方向軸に沿って移動する際、第1の駆動モジュール32aの近くにある第1の自由端部126の一部は、長手方向軸から離れるように弾性的に付勢され、そして、長手方向軸に向って復帰する。第1の弾性部材124は、スロット116の近位端からスロット116の遠位端まで延在するため、実質的にスロット116全体が覆われている。第1の駆動モジュール32aの近くにある第1の弾性部材124の第1の自由端部126の一部のみが、長手方向軸から離れるように付勢される。換言すると、第1の駆動モジュール32aから遠方側にある第1の弾性部材124の第1の自由縁部126の部分は、長手方向軸から離れるように付勢されない。一例として、図8を参照すると、第1の駆動モジュール32aと近接する点Aの近くにある第1の自由端部126の領域は、長手方向軸128から離れるように付勢されている。一度、第1の駆動モジュール32aが長手方向軸128に沿って移動して、点Aの近くにある第1の自由端部126の領域が第1の駆動モジュール32aともはや隣接しなくなると、点Aの近くにある第1の自由端部126の領域は、長手方向軸に向って弾性的に復帰する。一実施形態では、第1の弾性部材124と第2の弾性部材130との自由端部は、長手方向軸から離れるように移動して、復帰するが、つまり、応力(又は負荷)を受けない位置になり、例えば、当接する駆動モジュール用カバー158から0.75cm以内の間になる。一実施形態では、第1の弾性部材124と第2の弾性部材130との自由端部は、離れるように移動して、復帰して、1.0cm未満で、応力を受けない位置になる。一実施形態では、第1の弾性部材124と第2の弾性部材130との自由端部は、離れるように移動して、復帰して、0.5cm未満で、応力を受けない位置になる。
【0047】
一実施形態では、ロボット駆動部24は、第2デバイス・モジュール32bを含むが、これは、スロット116を通って延出する異なるステージと異なる駆動モジュールとを含む。第2のデバイス・モジュール32bは、第1の駆動モジュール32aとは独立して、駆動部本体の長手方向軸に沿って移動する。2つの別々の駆動モジュールが存在する場合、第2デバイス・モジュール32bの近くにある第1の弾性部材124の第2の部分は、長手方向軸から離れるように付勢される。2つの独立して移動する駆動モジュールが存在する実施形態では、第1の駆動モジュール32aと第2のデバイス・モジュール32bとの近くにある第1の部分と第2の部分とは、それぞれ、長手方向軸から離れるように付勢されるが、その際、第1の駆動モジュール32aと第2のデバイス・モジュール32bとに対して隣接しない第1の弾性部材124の残りの部分は、駆動部本体の長手方向軸から離れるように付勢されない。同様に、2つ以上の駆動モジュールが存在する場合には、各駆動モジュールの近くにある第1の弾性部材124の部分のみが、駆動部本体の長手方向軸から離れるように付勢される。第1の弾性部材124の各部分は、駆動部本体の長手方向軸から離れるように付勢されて、応力を受けない状態に復帰するが、その際、その部分の第1の自由端部126が駆動部本体の長手方向軸の近くの位置まで復帰する。このようにして、複数の駆動モジュールの間で、スロット116は、第1の弾性部材124によって実質的に覆われる。同様にして、一実施形態では、第3の駆動モジュールが、第1の駆動モジュールと第2の駆動モジュールとから独立して、駆動部本体の長手方向軸に沿って移動する。第3の駆動モジュールが長手方向軸に沿って移動するにつれて、第3の駆動モジュールの近くにある第2の自由端部132の部分と第1の自由端部126の部分とが、長手方向軸から弾性的に離れるように移動して、長手方向軸に向って復帰する。
【0048】
一実施形態に関して図6図7とを参照すると、滅菌バリア122は、第1の弾性部材124の近くに、第2の自由端部132を有する第2の弾性部材130を含んでいる。一実施形態では、第1の弾性部材124と第2の自由端部132とは、互いに重なり合う。一実施形態では、第1の弾性部材124と第2の自由端部132とは、互いに接近して当接する。一実施形態では、第1の弾性部材124と第2の自由端部132とは、所定の距離で互いに離間する。第1の弾性部材124はスロット116の第1の端部側から延出し、第2の弾性部材130はスロット116の第2の端部側から延出する。第2の弾性部材130は弾性材料(又は弾力性材料)で形成されているため、駆動モジュールの近くにある第2の自由端部132は、長手方向軸から離れるように付勢される。一実施形態では、第1の弾性部材124と第2の弾性部材130とは、同じ材料を用いて形成される。一実施形態では、第1の弾性部材124と第2の弾性部材130とは、異なる材料を用いて形成される。
【0049】
図7を参照すると、第1の弾性部材124は、第1の側部134と、対向する第2の側部136とを含む。第1の側部134は、底壁114とスロット116とに対して対向し、第2の側部136は、底壁114とスロット116とから離れる方向に向く。デバイス・モジュールと密接する第1の弾性部材124の第1の側部134の領域は、底壁114とスロット116とから離れるように付勢されるが、もはやデバイス・モジュールが近接しなくなると、底壁114とスロット116とに向かって復帰する。第1の駆動モジュールが長手方向軸に沿って移動する際、第1の側部134の一部は、第1の駆動モジュールの外面と当接する。このようにして、第1の側部134がロボット駆動部24の非滅菌環境と当接する際、第2の側部136は、滅菌環境の一部として残される。
【0050】
同様に、第2の弾性部材130は、第1の側部138と第2の側部140とを含む。第1の側部138は、底壁114とスロット116とに対して対向し、第2の側部140は、底壁114とスロット116とから離れる方向に向く。デバイス・モジュールと密接する第2の弾性部材130の領域は、底壁114とスロット116とから離れるように付勢されるが、もはやデバイス・モジュールが密接しなくなると、底壁114とスロット116とに向かって復帰する。このようにして、第1の側部138は、ロボット駆動部24の非滅菌環境と当接する際、第2の側部140は、滅菌環境の一部として残される。
【0051】
各駆動モジュールのステージ部分は、第1の弾性部材124の第1の自由端部126と第2の弾性部材130の第2の自由端部132との間で延在する。一実施形態では、各駆動モジュールに対してすぐ近くにある第2の弾性部材の第1の側部138の領域と第1の弾性部材124の第1の側部134の領域とは、その駆動モジュールの一部と当接する。
【0052】
図7を参照すると、第1の自由端部126から遠位側にある第1の弾性部材124の延長部(長手方向部)142は、駆動部本体100に対して固定されており、かつ自由端部132から遠位側にある第2の弾性部材130の延長部(長手方向部)144は、駆動部本体100に対して固定されている。一実施形態では、第1の剛性部材146が、駆動部本体100に対して解除可能に固定されていて、第1の弾性部材124は、その第1の剛性部材146に対して固定されている。第1の弾性部材124は、第1の剛性部材146を介して、駆動部本体100と固定されている。一実施形態では、第1の剛性部材146は、固定位置では、第1の剛性部材146の第1の壁部148(図5参照)に沿って、第1の長手方向壁108と隣接する。第1の剛性部材146は、さらに第1の壁部148から離れるように延出して、底壁114と隣接して位置する第2の壁部150(図5参照)を含む。一実施形態では、第1の壁部148は、第1の長手方向壁108上で、駆動部本体100に対して固定される。一実施形態では、第2の壁部150は、底壁114に対して固定される。
【0053】
さらに、第2の剛性部材152(図5参照)が、スロット116の第2の側部に隣接する底壁114に対して固定されている。第2の剛性部材152は、駆動部本体100の底壁114に対して解除可能に固定されている。第2の弾性部材130は、第2の剛性部材152の長手方向部に対して固定されている。
【0054】
第1の剛性部材146と第2の剛性部材152とは、連結具(カプラ)を用いて駆動部本体100と結合されているが、例えば、ファスナ、磁石、フック及びループ、又は他の既知の連結具を用いて結合されていてもよい。第1の弾性部材が第1の剛性部材に固定されるとともに、第2の弾性部材が第2の剛性部材に固定されるため、第1の弾性部材は駆動部本体100に対して解除可能に結合されている。
【0055】
一実施形態では、経皮装置と動作可能に係合する第1のカセット154(図9参照)が、第1の駆動モジュール32aに対して解除可能に取付けられる。第1の駆動モジュール32aに対してカセット154が取付けられる際、第1の剛性部材146(図5参照)の第1の壁部148が駆動部本体100と第1のカセット154との間に位置する。カセット154は滅菌環境の一部に当てはまり、滅菌バリア122によって駆動部本体100から隔離されている。
【0056】
図3図4及び図5を参照すると、滅菌バリア122には可撓性カバー(覆い又はドレープ)156が含まれており、それによってロボット駆動部24と位置決めシステム22の一部を覆っている。可撓性カバーは、頂壁102、近位壁104、遠位壁106、第2の長手方向壁110を覆うとともに、第1の長手方向壁108の少なくとも一部を覆い、かつ底壁114の一部を覆う。一実施形態では、第1の剛性部材146は、可撓性カバー156に対して固定されており、第1の長手方向壁108の全体が滅菌バリア122によって覆われるようにしている。一実施形態では、第2の剛性部材152は、底壁114の少なくとも一部を覆う可撓性カバー156に対して固定されている。一実施形態では、可撓性カバー156は、0.002インチ(0.00508cm)の厚さを有するポリエチレン材料を用いて形成されるが、当技術分野で公知の他の材料を用いることは可能である。第1の剛性部材146は、0.03インチ(0.0762cm)の厚さを有するポリカーボネート材料を用いて形成されるが、当技術分野で公知の他の材料を用いることは可能である。第1の弾性部材124と第2の弾性部材130とは、1/32インチ(0.0794cm)の厚さを有するEPDM (エチレン・プロピレン・ジエン・モノマー)ゴムを用いて形成される。第1の剛性部材146は、可撓性カバー156と比較して、より剛性が高い。第1の弾性部材124と第2の弾性部材130とは、可撓性カバー156と比較して、より弾性が高い。一実施形態では、第1の壁部148は、連続的に滅菌バリアを形成する可撓性カバー156に対して取付けられる。第1の壁部148は、可撓性カバー156に対して取付けられる際、例えば、接着ボンド、音波溶接、機械的締結具、テープ又は当技術分野で公知の他の接続手段を用いて固定される。同様に、第2の剛性部材152は、可撓性カバー156の一部に対して取付けられる。第1の弾性部材124と第2の側部140とは、それぞれ、同様の仕方で第1の剛性部材146と第2の剛性部材152とに対して取付けられる。同様に、第2の剛性部材152は、可撓性カバー156の一部に対して取付けられてもよい。可撓性カバー156は、ロボット駆動部24と位置決めシステム22とに対する装着を容易にするため、スリット又は自由端部を有することができる。そのスリットは、当技術分野で公知の接着テープ又は他の機械的連結具によって覆われていてもよい。
【0057】
図9及び図10を参照すると、カセット154に対して駆動モジュール用カバー158が取付けられている。一実施形態では、駆動モジュール用カバー158は、駆動モジュール118の一部を解除可能に覆うようにカセット154に対して回動可能に固定される(枢着される)。駆動モジュール用カバー158は、非カバー位置からカバー位置まで移動可能である。駆動モジュール用カバー158は、底壁、第1の側壁、第2の側壁、及び第3の後壁を有している。カバー位置では、駆動モジュール用カバー158は、駆動モジュール118の底壁、第1の側壁、第2の側壁、及び第3の後壁のうち、少なくとも一部を覆う。一実施形態では、カセット154は、駆動モジュール118の少なくとも1つの側部に対して解除可能に取付けられる。一実施形態では、駆動モジュール118の実質的に全てが、駆動モジュール用カバー158とカセット154とによって覆われる。一実施形態では、駆動モジュール用カバーは剛性であり、駆動モジュール用カバー158をカセット154に対して取付けるための連結具を含む。
【0058】
図11A及び図11Bを参照すると、駆動モジュール用カバー158は、可撓性部材から形成されていて、開口部、側壁及び底部を備える袋形状を有している。そのため、駆動モジュール用カバー158は、駆動モジュール118の上に解除可能に配置されると、駆動モジュール118の露出部分を実質的に覆うことができる。一実施形態では、可撓性の駆動モジュール用カバー158もカセット154の一部に対して取付けられる。
【0059】
一実施形態では、滅菌バリア122は、ロボット駆動部を覆うが、ロボット駆動部は、位置決めシステム22の支持アームと、支持アームによって支持される駆動部本体100とを含む。第1の駆動モジュール32aと第2の駆動モジュール32bとは、駆動部本体100の長手方向軸に沿って移動する。滅菌バリア122は、ロボットアームと駆動部本体100の一部を覆う第1の可撓性部分156と、当該第1の可撓性部分156よりも剛性が高い第2の剛性部(第2の部分)146とを含む。第2の剛性部146は、駆動部本体100に対して解除可能に取付けられている。滅菌バリア122は、第2の剛性部材152と隣接する弾性部材(弾性部分)130を含む。弾性部材130は、駆動部本体の長手方向軸と近接し、さらに第1の駆動部32aと近接する第1の自由端部132を有する。一実施形態では、弾性部材130は、第1の自由端部126とは離れて、長手軸と近接する自由端部132を含む。駆動モジュール32aは、第1の自由端部と第2の自由端部との間で移動可能となっている。
【0060】
図9図10図11A及び図11Bを参照すると、一実施形態では、ベッドサイドユニット20は、駆動部本体の長手方向軸に沿って移動する第1の駆動モジュールを備えたロボット駆動部24を有する。第1のカセットは、第1の駆動モジュールに対して解除可能に取付けられている。駆動モジュール用カバーは第1のカセットに対して取付けられて、第1の駆動モジュールの一部を解除可能に覆う。一実施形態では、駆動モジュール用カバーは、カセットに対して動作可能に固定される剛性材料を用いて形成される。一実施形態では、駆動モジュール用カバーは、カセットに対して動作可能に取付けられる可撓性材料を用いて形成される。
【0061】
図12を参照すると、一実施形態では、滅菌バリア・システム200は、底部(下部)のアーム滅菌バリア202を含み、それによって位置決めシステム22の底部を覆っている。底部のアーム滅菌バリア202は、後述のように滅菌バリア122と共に用いることができる。
【0062】
底部のアーム滅菌バリア202は、クリップ206と連結される可撓性カバー204を含んでおり、クリップ206は、上部回転ジョイント22aにて、位置決めシステム22に対して解除可能に連結されている。底部のアーム滅菌バリア202は、位置決めシステム22の下方でクリップ206から延出しているが、上部回転ジョイント22aから下部回転ジョイント22cまで延在している。図13を参照すると、可撓性カバー204の終端から延出する一対のストラップ208a及び208bが、基部(ベース)の位置決めシステム22に対して固定されている。このように、可撓性カバー204は、位置決めシステム22の下側を覆っている。一実施形態では、底部のアーム滅菌バリア202は、クリップ206の近くで可撓性カバー204に固定されるポケット(図示略)を含み、それによって、使用者が可撓性カバー204の滅菌部分に触れることなく、位置決めシステム22上にクリップ206を配置することを可能にしている。
【0063】
図14を参照すると、滅菌バリア・システム200は、ロボット駆動部24の遠位端部側に取付けられるように内部空洞を画定した遠位カバー部210を含んでいる。遠位カバー部210は、遠位カバー部210の外部上に第1ポケット212aを含み、それによって、使用者が、ロボット駆動部24の遠位端部上で遠位カバー部210を引っ張ること等ができるように、使用者の手が第1ポケット212a内に配置できるようにしている。一実施形態では、遠位カバー部210上に第2ポケット212bが設けられており、使用者が、遠位ロボット駆動部24上の遠位カバー部210について補助できるように、使用者の手が第2ポケット212b内に配置できるようにしている。一実施形態では、遠位カバー部210は、ロボット駆動部24の遠位端側からロボット駆動部24の近位端側まで所定の距離で延在している。その所定の距離とは、ロボット駆動部の長手方向軸に沿ったロボット駆動部24の全長には及ばないものとする。
【0064】
一実施形態では、スナップの第1部分(図示略)が、ロボット駆動部24の頂壁102上のスナップの第2部分に対してスナップ留めされる。なお、他の連結手段を用いることは可能であって、例えば、ロボット駆動部24の頂壁102に磁石を備えて、それに対して、遠位カバー部210に設けられた磁気親和性材料(鉄ディスク又はワッシャ等)を解除可能に取付けてもよい。
【0065】
一実施形態では、滅菌バリア・システム200は、第1の長手方向壁108、頂壁102、及び第2の長手方向壁110の一部を覆うように、第2の可撓性カバー部214を有している。第2の可撓性カバー部214の遠位部分は、遠位カバー部210に対して取付けられる。滅菌バリア・システム200は、滅菌バリア122の第1の剛性部材146と同様に、第1の剛性部材システム216を有している。一実施形態では、第1の剛性部材システム216は、複数の隣接する部分(区間)216a、216b、216c、及び216dを有しており、これらの各々を互いに対して折り畳むことができるようにしており、それによって、包装、出荷、展開の際に利便性を高めている。例示した一実施形態では、剛性部材システム216は、4つの部分を有しているが、他、剛性部材システム216は、1つ又は複数の部分を有していてもよい。一実施形態では、折畳みの数は2つである。一実施形態では、折畳みの数は3つである。1つの実装では、折畳みの数は2つから4つのうちの任意である。一実施形態では、折畳みの数は4つより大きい。剛性部材システム216の各部分は、一体成形ヒンジ(リビング・ヒンジ)によって隣接する部分と接続されている。ここで、一体成形ヒンジとは、それが接続する2つの剛性部分と同じ材料から形成された厚さの薄い可撓性ヒンジのことである。一実施形態では、各部分は、それらの近位端及び/又は遠位端で直接的に接続されず、一実施形態では、各部分がアコーディオン状に折り畳まれるように、各隣接する部分が可撓性材料によって接続される。剛性部材システム216の各部分は、上方の長手方向端部と、下方の長手方向端部とを有する。
【0066】
剛性部材システム216は、展開される(折り畳まれない)と、ロボット駆動部24の近位端に取付けられる。一実施形態では、剛性部材システム216の近位端は、近位空洞を含む近位部分を有し、ロボット駆動部24の近位端部上に配置されて、それを覆うようにする。一実施形態では、剛性部材システム216は、スナップ特徴部を用いて(又は、上述した当技術分野で公知の他の連結機構を用いて)ロボット駆動部24の前方部に取付けられる。その際、スナップの一部分が剛性部材システム216に取付けられて、第2のスナップ特徴部がロボット駆動部24の前方部に取付けられる。一実施形態では(図19参照)、剛性部材システム216の各折り畳み部分は、ロボット駆動部24の第1の長手方向壁108に対して取付けられる。剛性部材システム216の各折り畳み部分は、本明細書で説明したように、スナップ接続を用いて取付けることができ、その際、各スナップ接続部の第1の部分がロボット駆動部に取付けられて、各スナップ接続部の第2の部分が各折り畳み部分に取付けられる。一実施形態では、剛性部材システム216の各折り畳み部分は、磁性接続を用いてロボット駆動部24の第1の長手方向壁108に対して取付けることができる。その際、ロボット駆動部24と剛性部材システム216との一方が磁石を含むとともに、ロボット駆動部24と剛性部材システム216との他方が、対応する磁石に対して磁気的に接続可能な金属製ディスク又は部材を含むことができる。
【0067】
第2の可撓性カバー部214の一部は、剛性部材システム216に対して取付けられて、梱包時には折畳方向にされる。図19を参照すると、剛性部材システム216の部分は、折り畳まれておらず、ロボット駆動部24に対して取付けられており、第2の可撓性カバー部214は、使用者によって、第1の長手方向壁108を上方から覆い、頂壁102を横切って、第2の長手方向壁110に沿って下方に配置されている。なお、剛性部材システム216をロボット駆動部24に対して取付ける前に、第2の可撓性カバー部214によって第1の長手方向壁108、頂壁102及び第2の長手方向壁110を覆うことは可能である。
【0068】
上部アームカバー部218は、第2の可撓性カバー部214から延出している。図15及び図16を参照すると、上記部分218は、位置決めシステム22の頂部の上方に配置されている。上記部分218の自由端部は、一対のストラップ220a及び220bを用いて、位置決めシステムの基部に対して取付けられている。上記部分218は、底部のアーム滅菌バリア202の長手方向端部にわたって延在する第1の端部と第2の端部とを含む。ストラップ部材222を用いることで、回転式ジョイント22a、22b及び22cと、それら回転式ジョイント間に延在するアーム22e及び22dとの移動が可能になるため、位置決めシステム22の上方で十分な空間を取って、底部のアーム滅菌バリア202と上記部分218とを取付けることができる。
【0069】
図5図17及び図18を参照すると、剛性部材システム216の各部分はL字形状を有している。そのL字形状には、ロボット駆動部24の第1の長手方向壁108に隣接する前面パネル224と、ロボット駆動部24の底面壁114に隣接する第2のより短い部分226とが含まれる。なお、剛性部材システム216のL字形状は、剛性部材146の場合と同様である(図5参照)。第1の弾性部材124と剛性部材システム216の第2のより短い部分226は、滅菌バリア122に関して上述した第1の弾性部材124の場合と同様に作用する。第2の剛性部材230は、底壁114に対して取付けられる。第2の弾性部材130は、第2の剛性部材230に対して取付けられて、滅菌バリア122に関して上述した第2の弾性部材130の場合と同様に作用する。一実施形態では、第2の剛性部材230は、滅菌バリア・システム200の可撓性カバー部に対して接続されない。本明細書で上述したように、剛性部材システム216の部分は、隣接する部分を接続する一体成形ヒンジ又は可撓性部材を有することができる。しかし、一実施形態では、第1の部材130は連続的であって、一体成形ヒンジを有しない。ただし、第1の部材130は十分に柔軟であるため、第2の弾性部材130を曲げさせて、剛性部材システム216の折り畳まれた部分と共に第2の弾性部材130を収納することを可能にしている。一実施形態では、剛性部材システム216の一体成形ヒンジ又は可撓性材料と対応して、第2の弾性部材130は一体成形ヒンジ又は可撓性材料を有する。
【0070】
動作中、滅菌バリア・システム200は、使用前には折り畳み方向で包装されて、小袋の中に配置される。一実施形態では、滅菌バリア・システム200は、位置決めシステム22の底部をカバーする底部アーム滅菌バリア202と、ロボット駆動部24と位置決めシステム22の頂部とをカバーする第2のカバーとを含む。一実施形態では、底部アーム滅菌バリア202と第2のカバーとを組み合わせて共に包装する。
【0071】
使用者は、底部のアーム滅菌バリア202を取り出すと、底部のアーム滅菌バリア202の一部に形成されたポケット内に手を入れる。その後、使用者は、そのポケット内に使用者の手を維持しながら、クリップを用いて、位置決めシステムの一部に対して、底部のアーム滅菌バリア202の可撓性部分を取付ける。患者用の台の上で、底部アーム無菌バリア202の可撓性部分から延出するストラップを配置すると、次に、使用者は、位置決めシステムの基部の周りでストラップを巻いて、フックとループの形式の連結部、例えば、ベルクロ(Velcro)(登録商標)等を用いて、ストラップを互いに固定させて、位置決めシステムに対して底部アーム無菌バリア202を取付ける。
【0072】
使用者は、折り畳まれた剛性プレート部分216a-216dをつかむと、使用者の手を第1のポケット212a内に挿入する。次に、使用者は、使用者の手を広げて、ロボット駆動部24の遠位部分の上に遠位カバー210を配置する。次に、第1ポケット212aに隣接して位置するスナップを、ロボット駆動ハウジング上の対応するスナップ部に対して取付けて、ロボット駆動部に対して遠位カバー210を取付ける。
【0073】
次に、使用者は、折り畳まれた剛性プレート部を1つずつ展開していくが、それらがロボット駆動ハウジングの第1長手方向壁108(使用者に面する壁)に対して水平となることを確認する。次に使用者は、右の人差し指と中指とを用いて、ロボット駆動部上の対応するスナップ特徴部を用いて、最も近位の剛性プレート部の近くのポケット上のスナップ特徴部を押して、ロボット駆動部に対してカバー・プレートを取付ける。使用者は、片手により使用者の手を対応する近位のポケットの中に入れて、ロボット駆動部の上方にカバーを案内するとともに、片手により駆動部の後方にカバーを案内する。使用者は、互いに噛み合うスナップ機能部を用いて、駆動部の背面に対してカバーをスナップさせて、ロボット駆動部の背面に対してカバーを取付ける。使用者は、カバー上に設けられたタブを用いて、カバーの一部を持ち上げて、ロボット駆動ハウジングの上方に配置する。
【0074】
次に、使用者は、展開された折り畳みカバー・プラントから、底部の弾性カバー・プレートらを離す。次に、互いに噛み合うスナップ特徴部を用いて、第1の弾性部材124の一部をロボット駆動部ハウジングの底部に対して取付けるとともに、第2の弾性部材130の一部をロボット駆動部ハウジングの底部の後部に対して取付ける。
【0075】
次に、使用者は、位置決めシステムの頂部に、カバーの上方位置決めシステムを配置する。ストラップを用いて、底部アーム滅菌バリア202に対して、カバーの上方位置決め部を取付けて、位置決めシステムを完全に覆わせる。一実施形態では、位置決めシステムは、関節アームである。スナップは、幾つかの取付け用の特徴部として例示されているが、当技術分野で公知の他の結合方法を用いることは可能である。非限定的な例を挙げると、本明細書に記載の機械的スナップと、フックとループとの接続部と共に、又はその代わりに、磁石、接着テープ、フック、他の機械的、電気機械的及び化学的結合手段を用いることは可能である。
【0076】
以上、本開示内容について、実施形態を参照して説明した。当業者であれば、本発明主題の技術思想とその範囲から逸脱することなく、実施形態とその詳細に対して変更を加えることができるであろう。例えば、各実施形態は、1つ又は複数の有益な1つ又は複数の特徴部を含むものとして説明されてきたが、上記実施形態又は他の代替的実施形態では、上記特徴部を交換してもよく、又は、互いに組み合わせてもよい。本開示内容に係る技術は比較的複雑であるため、その技術についてすべての変更を予め想定することは不可能といえる。そこで、上記本開示内容は、可能な限り広範囲であることを想定している。例えば、特段の断りが無い限り、単一の特徴部についての説明は、複数の特徴部についても包括的に適用できるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【外国語明細書】