(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023020994
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】高電圧保護とインピーダンス制御とを備えたマルチドライバアーキテクチャの装置
(51)【国際特許分類】
H03K 19/0175 20060101AFI20230202BHJP
H04L 25/02 20060101ALI20230202BHJP
H03K 19/003 20060101ALN20230202BHJP
【FI】
H03K19/0175 290
H03K19/0175 220
H04L25/02 S
H04L25/02 V
H04L25/02 F
H03K19/003 230
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117669
(22)【出願日】2022-07-25
(31)【優先権主張番号】63/227,676
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/540,683
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518364964
【氏名又は名称】ルネサス エレクトロニクス アメリカ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】RENESAS ELECTRONICS AMERICA INC.
【住所又は居所原語表記】1001 Murphy Ranch Road, Milpitas, California 95035, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビカース・アグラワル
(72)【発明者】
【氏名】フォン・チュー
【テーマコード(参考)】
5J032
5J056
5K029
【Fターム(参考)】
5J032AA05
5J032AC18
5J056AA05
5J056AA40
5J056BB01
5J056BB46
5J056DD13
5J056DD27
5J056DD29
5J056DD51
5J056FF09
5K029GG07
5K029JJ08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】マルチドライバアーキテクチャを実装するための装置、システム及び方法を提供する。
【解決手段】マルチドライバアーキテクチャを実装する装置100は、入力電圧Vinを受け取る低電圧ドライバ110と高電圧ドライバ112とを含む。回路101及びプリドライバ回路102、103は、低電圧ドライバと高電圧ドライバとのうちの1つを選択して、入力電圧を出力電圧Voutに変換する。電圧調整器104、130、回路132及びスイッチ120は、低電圧ドライバと高電圧ドライバに接続される。スイッチ120は、低電圧ドライバの出力端子と回路132との間に接続される。回路132は、スイッチ120のスイッチインピーダンスを制御する。低電圧ドライバが選択されたことに応答して、低電圧ドライバは一定のインピーダンスレベルで出力電圧を出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
ドライバ回路の内部抵抗を制御して、前記ドライバ回路に、一定のインピーダンスレベルで出力電圧を出力させるように構成されたコントローラを備える、
装置である。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記コントローラは、前記ドライバ回路の前記内部抵抗を複数の異なるレベルに調整して、複数の異なる一定のインピーダンスレベルで前記出力電圧を出力するための前記ドライバ回路を構成するように構成された、
装置である。
【請求項3】
請求項1記載の装置において、前記コントローラと前記ドライバ回路の出力端子との間に接続されたスイッチをさらに備え、
前記コントローラは、前記スイッチに、前記ドライバ回路の前記内部抵抗を制御できるように構成された、
装置である。
【請求項4】
請求項3記載の装置において、
前記スイッチは、複数のスイッチング素子を備え、
前記コントローラは、前記スイッチ内の特定の数のスイッチング素子を有効にすることによって前記内部抵抗を制御するように構成された、
装置である。
【請求項5】
請求項3記載の装置において、
前記スイッチは、1つまたは複数のN型金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を含む、
装置である。
【請求項6】
請求項5記載の装置において、
前記1つまたは複数のN型MOSFETのゲート厚は、前記ドライバ回路に供給される供給電圧に基づいて選択される、
装置である。
【請求項7】
請求項3記載の装置において、
前記ドライバ回路は、積層N型金属酸化膜半導体(NMOS)ドライバと相補対称型金属酸化膜半導体(CMОS)ドライバとを備え、
前記スイッチは、前記積層NMОSドライバの出力端子に接続され、
前記コントローラは、前記積層NMОSドライバの出力端子と前記ドライバ回路の出力端子との間に接続された前記スイッチを有効にすることによって、前記ドライバ回路の前記内部抵抗を制御するように構成された、
装置である。
【請求項8】
請求項7記載の装置において、
第1の電圧調整器および第2の電圧調整器をさらに備え、
前記第2の電圧調整器は、前記積層NMОSドライバに接続され、
前記第1の電圧調整器は、前記第2の調整器および前記コントローラに一定の供給電圧を出力するように構成され、
前記第2の調整器は、前記積層NMОSドライバによって出力された電圧の振幅を制御するように構成された、
装置である。
【請求項9】
請求項1記載の装置において、
前記出力電圧が、差動電圧信号である、
装置である。
【請求項10】
装置であって、
入力電圧を受け取るように構成された第1のドライバと、
前記入力電圧を受け取るように構成された第2のドライバと、
前記第1のドライバと前記第2のドライバのうち1つを選択して、前記入力電圧を出力電圧に変換するように構成されたプリドライバ論理回路と、
前記第1のドライバと前記第2のドライバとに接続されたコントローラと、
前記第1のドライバの出力端子と前記コントローラとの間に接続されたスイッチと、
を備え、
前記コントローラは、前記スイッチの内部抵抗を制御するように構成され、
前記第1のドライバが前記プリドライバ論理回路によって選択されたことに応答して、前記第1のドライバは、一定のインピーダンスレベルで前記出力電圧を出力する、
装置である。
【請求項11】
請求項10記載の装置において、
前記コントローラは、前記スイッチの前記内部抵抗を複数の異なるレベルに調整して、複数の異なる一定のインピーダンスレベルで前記出力電圧を出力するための前記第1のドライバを構成するように構成された、
装置である。
【請求項12】
請求項10記載の装置において、
前記スイッチは、複数のスイッチング素子を備え、
前記コントローラは、前記スイッチ内の特定の数のスイッチング素子を有効にすることによって、前記内部抵抗を制御するように構成された、
装置である。
【請求項13】
請求項10記載の装置において、
前記スイッチは、1つまたは複数のN型金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MОSFET)を含む、
装置である。
【請求項14】
請求項13記載の装置において、
前記1つまたは複数のN型MОSFETのゲート厚さは、前記装置に供給される供給電圧に基づく、
装置である。
【請求項15】
請求項10記載の装置において、
前記第1のドライバは、積層NMОSドライバであり、
前記第2のドライバは、CMОSドライである、
装置である。
【請求項16】
請求項10記載の装置において、
第1の電圧調整器および第2の調整器をさらに備え、
前記第2の電圧調整器は、前記第1のドライバに接続され、
前記第1の電圧調整器は、前記第2の調整器および前記コントローラに一定の供給電圧を出力するように構成され、
前記第2の調整器は、前記第1のドライバによって出力される電圧の振幅を制御するように構成された、
装置である。
【請求項17】
請求項10記載の装置において、
前記入力電圧と前記出力電圧は、差動電圧信号である、
装置である。
【請求項18】
システムであって、
回路と、
前記回路に接続される装置と、
を備え、
前記装置は、
入力電圧を受け取るように構成された第1のドライバと、
前記入力電圧を受け取るように構成された第2のドライバと、
前記第1のドライバと前記第2のドライバのうち1つを選択して、前記入力電圧を出力電圧に変換するように構成されたプリドライバ論理回路と、
前記第1のドライバおよび前記第2のドライバに接続されたコントローラと、
前記第1のドライバの出力端子と前記コントローラとの間に接続されたスイッチと、
を備え、
前記コントローラは、前記スイッチの内部抵抗を制御するように構成され、
前記第1のドライバが前記プリドライバ論理回路によって選択されたことに応答して、前記第1のドライバは、一定のインピーダンスレベルで前記出力電圧を出力し、
前記出力電圧は、前記装置および前記回路の外部の終端抵抗を使用せずに前記回路に供給される、
システムである。
【請求項19】
請求項18記載のシステムにおいて、
前記スイッチは、1つまたは複数のN型金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MОSFET)を含み、
前記1つまたは複数のN型MОSFETのゲート厚は、前記装置に供給される供給電圧に基づく、
システムである。
【請求項20】
請求項18記載のシステムにおいて、
第1の電圧調整器および第2の調整器をさらに備え、
前記第2の電圧調整器は、前記第1のドライバに接続され、
前記第1の電圧調整器は、前記第2の調整器および前記コントローラに一定の供給電圧を出力するように構成され、
前記第2の調整器は、前記第1のドライバによって出力される電圧の振幅を制御するように構成された、
システムである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2021年7月30日に出願された米国仮出願第63/227、676号および2021年12月2日に出願された米国特許出願第17/540、683号の利益を主張する。米国仮出願第63/227、676号および米国特許出願第17/540、683号の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、差動出力ドライバを利用する装置およびシステムに関する。特に、本開示は、一定のインピーダンスを有する出力電圧を使用して別の回路を駆動することができる差動出力ドライバに関する。
【背景技術】
【0003】
ドライバ回路(またはドライバ)は、回路に流れる電流の調整を制御することによって、別の回路を制御するために使用され得る。たとえば、トランジスタドライバは、低電流源(たとえば、論理ゲートまたはセンサ)から入力電流を受け取り、電球およびモータなどのコンポーネント(構成要素)または回路を駆動するために使用され得るより高い電流に当該入力電流を駆動する電流増幅デバイスとして実装され得る。別の例では、ドライバは、入力電圧を調整し、調整した電圧を使用して別のコンポーネントを駆動または制御することができる。別の例では、コンピュータデバイス(計算装置)は、複数の出力ドライバを含むクロック発生器を使用してもよい。クロック発生器は、入力クロック信号を受信でき、複数のドライバは、その入力クロック信号をより高い電流に駆動して、コンピュータデバイスに実装されているさまざまなコンポーネントまたはアプリケーションを駆動することができる。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態では、マルチドライバアーキテクチャを実装するための装置が一般的に説明されている。この装置は、ドライバ回路の内部抵抗を制御して、ドライバに一定のインピーダンスレベルで出力電圧を出力させるように構成されたコントローラを含んでもよい。
【0005】
一実施形態では、マルチドライバアーキテクチャを実装するための装置が一般的に説明されている。装置は、入力電圧を受け取るように構成された第1のドライバを含んでもよい。装置は、入力電圧を受け取るように構成された第2のドライバをさらに含んでもよい。この装置は、第1のドライバと第2のドライバのうちの1つを選択して、入力電圧を出力電圧に変換するように構成されたプリドライバ論理回路をさらに含んでもよい。装置は、第1のドライバおよび第2のドライバに接続されたコントローラをさらに含んでもよい。装置は、第1のドライバの出力端子とコントローラとの間に接続されたスイッチをさらに含んでもよい。コントローラは、スイッチの内部抵抗を制御するように構成されてもい。前記第1のドライバがプリドライバ論理回路によって選択されたことに応答して、第1のドライバは、一定のインピーダンスレベルで出力電圧を出力してもよい。
【0006】
一実施形態では、マルチドライバアーキテクチャを実装するためのシステムが一般的に説明される。システムは、回路と、当該回路に接続された装置とを含んでもよい。装置は、入力電圧を受け取るように構成された第1のドライバを含んでもよい。装置は、入力電圧を受け取るように構成された第2のドライバをさらに含んでもよい。この装置は、第1のドライバと第2のドライバのうちの1つを選択して、入力電圧を出力電圧に変換するように構成されたプリドライバ論理回路をさらに含んでもよい。装置は、第1のドライバおよび第2のドライバに接続されたコントローラをさらに含んでもよい。装置は、第1のドライバの出力端子とコントローラとの間に接続されたスイッチをさらに含んでもよい。コントローラは、スイッチの内部抵抗を制御して、入力電圧を出力電圧に変換するために第1のドライバと第2のドライバのうち1つを選択するように構成されてもよい。第1のドライバがプリドライバ論理回路によって選択されたことに応答して、第1のドライバは、一定のインピーダンスレベルで出力電圧を出力してもよい。出力電圧は、装置および回路の外部にある終端抵抗を使用せずに回路に提供されてもよい。
【0007】
前述の要約は例示にすぎず、どんな方法であっても限定するよう意図されない。上記の例示的な態様、実施形態、および特徴に加えて、さらなる態様、実施形態、および特徴は、図面および以下の詳細な説明を参照することによって明らかになるであろう。図面において、同様の参照番号は、同一または機能的に類似した要素を示している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態において、高電圧保護およびインピーダンス制御を備えたマルチドラバアーキテクチャを実装することができる例示的な装置を示す図である。
【
図2】一実施形態において、高電圧保護およびインピーダンス制御を備えたマルチドライバアーキテクチャを実装することができる別の例示的な装置を示す図である。
【
図3】一実施形態において、高電圧保護およびインピーダンス制御を備えたマルチドライバアーキテクチャを実装することができる別の例示的な装置300を示す図である。
【
図4A】一実施形態において、高電圧保護およびインピーダンス制御を備えたマルチドライバアーキテクチャの例示的な実装を示す図である。
【
図4B】一実施形態において、高電圧保護およびインピーダンス制御を備えたマルチドライバアーキテクチャの別の例示的な実装を示す図である。
【
図5A】一実施形態において、高電圧保護およびインピーダンス制御を備えたマルチドライバアーキテクチャの別の例示的な実装を示す図である。
【
図5B】一実施形態において、高電圧保護およびインピーダンス制御を備えたマルチドライバアーキテクチャの別の例示的な実装を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明では、本出願の様々な実施形態の理解を提供するために、特定の構造、コンポーネント(構成要素)、材料、寸法、処理ステップおよび技術などの多数の特定の詳細が説明されている。しかしながら、本出願の様々な実施形態がこれらの特定の詳細の説明なく実施され得ることは、当業者によって理解されるであろう。他の例では、本出願を曖昧にすることを回避するために、周知の構造または処理ステップは、詳細に説明されていない。
【0010】
一態様では、差動出力ドライバは、コモンモード電圧(同相電圧)の測定を通じて調整される振幅調整電圧源として実装されてもよい。差動出力ドライバは、調整した電圧を別の回路またはコンポーネントに出力して、その回路またはコンポーネントを制御または駆動してもよい。一態様では、インピーダンス整合は、インピーダンス差により電流がドライバに逆流するのを防ぐことができる。たとえば、終端抵抗(たとえば、差動出力ドライバの外部)を、差動出力ドライバの差動出力(たとえば、真の出力と相補出力)の間に接続して、インピーダンス整合を実行してもよい。一態様では、終端抵抗のセンタータップの電圧を測定してもよく、測定した電圧は、出力電圧の振幅調整を実施する調整器へのフィードバックとして提供されてもよい。電力とノイズ特性との間の交換条件を維持するためのアプリケーション固有の出力ドライバの要件は、電力とノイズ特性とのバランスをとるための複数の機能を含むように差動出力ドライバを構成または設計することにより対処してもよい。ただし、機能の数が増えると、差動出力ドライバを作成するためのコストが増えるかもしれない。比較的高いコストにより、一部の差動出力ドライバは、比較的低い性能仕様を必要とするように設計または構成されてもよい。
【0011】
本明細書に記載の装置、システム、および方法は、特定の範囲(たとえば、1.8ボルト(V)から3.3ボルト)内の供給電圧に関係なく、複数のドライバタイプにわたるノイズ特性などのアプリケーション固有の出力ドライバ要件に関連する様々な問題に対処してもよい。さらに、本明細書に記載の装置、システム、および方法は、コストを改善するために比較的小さな設置面積(実装面積)を提供してもよく、電力とノイズ特性との間の交換条件を維持してもよい。一例では、本明細書に記載の装置、システム、および方法は、プログラム可能な電圧レベルを備えた複数のドライバタイプが、同時に共存できるようにするとともにノイズおよび信号プロファイルに関して性能レベルを改善できるようにしてもよく、より小さな設置面積で実現されてもよい。さらに、1つまたは複数のスイッチ(たとえば、比較的厚いゲートを備えたN型金属酸化膜半導体)は、インピーダンス制御論理ブロックによって制御されて、複数の供給電圧にわたって一定のインピーダンスレベルを提供してもよい。複数の電源電圧にわたる一定のインピーダンスレベルにより、差動出力ドライバが終端抵抗なしで機能できるようにされてもよい。終端抵抗を取り外すと、回路基板を占有するコンポーネントの量が減少され、回路基板の設置面積が減少されるかもしれない。
【0012】
図1は、一実施形態において、高電圧保護およびインピーダンス制御を備えたマルチドライバアーキテクチャを実装することができる例示的な装置100を示す図である。一例では、装置100は、電子デバイス内のドライバまたはバッファとして実装されている集積回路であってもよい。装置100は、入力電圧Vinなどの入力信号を受信し、Vinを出力電圧Voutなどの出力信号に変換することができる。装置100は、出力電圧信号Voutを使用して、回路150などの別の回路またはコンポーネントを駆動してもよい。
図1に示す例では、装置100は、回路101、プリドライバ回路102、プリドライバ回路103、電圧調整器104、ドライバ110、ドライバ112、別の電圧調整器130、回路132(「制御論理ブロック132」)、スイッチ120を含んでもよい。一実施形態では、回路101、プリドライバ回路102、プリドライバ回路103、ドライバ110、およびドライバ112は、装置100のドライバ回路を形成してもよく、電圧調整器104、電圧調整器130、回路132、およびスイッチ120は、装置100の制御ブロックまたはコントローラを形成してもよい。装置100の回路101は、入力電圧信号Vinなどの異なる電圧信号を入力として受け取ってもよく、ここで、Vinは、真の成分および相補的な成分(たとえば、Vin_nおよびVin_p)を有する差動入力であってもよい。回路101は、プリドライバ回路102、103のうちの1つを選択するように構成されたプリドライバ論理を含んでもよく、入力電圧信号Vinに対してレベルシフト(レベル変化)を実行して、Vinの電圧レベルにドライバ110またはドライバ112のいずれかに適切なレベルをもたらしてもよい。たとえば、Vinがプリドライバ回路102およびドライバ110に提供されている場合、回路101はVinを第1の電圧レベルにレベルシフトしてもよく、または、Vinがプリドライバ103およびドライバ112に提供されている場合、回路101はVinを第2の電圧レベルにレベルシフトしてもよい。一例では、第2の電圧レベルは、第1の電圧レベルよりも大きくてもよい。一例の実施形態では、第2の電圧レベルは、装置100に提供される供給電圧Vddoと同等であってもよく、ここで、Vddoは1.8Vから3.3Vの間で変化し得、第1の電圧レベルは1.8Vであってもよい。
【0013】
プリドライバ回路102、103は、回路101からレベルシフトされた電圧を受け取ってもよく、より低い面積要件で、ドライバ110、112によって出力される電圧信号などの複数の供給電圧にわたってノイズ性能をそれぞれ最適化してもよい。ドライバ110は、積層N型金属酸化膜半導体(NMOS)構成を有する低電圧ドライバであってもよく、ドライバ110は、第1の電圧レベル(たとえば、電圧調整器104によって調整される0.8V)を有する電圧を供給するように構成されてもよい。一実施形態では、ドライバ110は、低電力高速電流ステアリングロジック(LP-HCSL)を実装してもよい。1.8ボルトで構成されたプリドライバ回路102を備えた積層NMOSトポロジーを使用すると、低電圧ドライバ(たとえば、ドライバ110)の全体的な面積要件が減少されるかもしれないことに留意すべきである。ドライバ112は、相補対称型金属酸化膜半導体(CMOS)構成(たとえば、NMOSで積層されたP型金属酸化膜半導体(PMOS)を有する)を有する高電圧ドライバであってもよく、ドライバ112は、供給電圧Vddоを使用して動作しもよい。装置100は、改善された電源ノイズ除去とともに、特定のプロセス、電圧および温度変動仕様を満たすように構成されてもよい。
【0014】
一例では、電圧調整器130は、基準電圧Vref1(たとえば、1.2V)を受け取り、Vref1を1.8Vなどの定電圧に変換してもよい。電圧調整器130は、電圧調整器104および制御論理ブロック132に定電圧を提供してもよい。電圧調整器130は、供給電圧Vddoに基づいて動作してもよい。電圧調整器130によって出力される定電圧は、電圧調整器104および制御論理ブロック132のための供給電圧であってもよい。電圧調整器104は、基準電圧Vref2を受け取り、Vref2を、ドライバ110によって出力される電圧信号の振幅を制御するために使用される振幅制御電圧(たとえば、0.8V)に変換してもよい。一例では、基準電圧Vref2は、プログラム可能であってもよく、0.4Vから1.0Vの間で変化してもよい。プログラム可能な基準電圧Vref2は、ドライバ110によって出力される電圧信号の電圧スイング(電圧揺れ)をプログラム可能にできるようにしてもよい。
【0015】
一例では、スイッチ120は、並列に接続された1つまたは複数のスイッチング素子(たとえば、N型金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)などのトランジスタ)を含んでもよい。スイッチ120内のスイッチング素子のそれぞれは、スイッチング素子の閾値電圧を低減するとともに信号インテグリティ(信号品位)を改善するために、スイッチ120のバルクまたは本体端子をそのソース端子に接続させてもよい。スイッチ120内のスイッチング素子は、制御論理ブロック132によって選択的に有効化(またはスイッチオン)または無効化(またはスイッチオフ)されてもよい。制御論理ブロック132は、スイッチ120を制御するために使用され得る定電圧を表すデジタル信号を出力するように構成されたコントローラすなわちデジタル制御ブロックであってもよい。たとえば、制御論理ブロック132は、スイッチ120内の第1の数のスイッチング素子を有効にし得る第1の定電圧を表す第1のデジタル信号を出力してもよく、または、スイッチ120内の第2の数のスイッチング素子を有効にし得る第2の定電圧を表す第2のデジタル信号を出力してもよい。スイッチ120で有効にされるスイッチング素子の数は、スイッチサイズと呼ばれることがある。
【0016】
電圧調整器130を使用して固定または定電圧を制御論理ブロック132に供給することにより、制御論理ブロック132は、スイッチ120のスイッチサイズを設定することによってスイッチ120のスイッチインピーダンスを設定してもよい。一定のスイッチインピーダンスは、装置100内の異なるコンポーネントにわたって固定または一定のインピーダンスレベル、すなわち供給電圧の複数の値(たとえば、Vddo)を提供してもよい。スイッチ120によって設定された一定のインピーダンスは、装置の出力、Voutにも一定のインピーダンスを持たせることができる。一例では、有効化された第1の数のスイッチング素子は、85オームの一定のスイッチインピーダンスを提供してもよく、有効化された第2の数のスイッチング素子は、100オームの一定のスイッチインピーダンスを提供してもよい。スイッチサイズの選択は、スイッチ120の内部抵抗を調整し、装置100の内部抵抗を効率的に制御してもよい。たとえば、スイッチ内の有効なスイッチング素子の数が減少するにつれて、スイッチ120の内部抵抗は増加してもよい。スイッチの内部抵抗は、有効なスイッチング素子の数に基づいて調整または増加されてもよい。スイッチの内部抵抗は、装置100が特定のインピーダンスレベルでのソース終端をサポートする差動出力(たとえば、Vout)を生成することができるように、特定のレベルまで増加させてもよい。一定のインピーダンスを備えた出力電圧Voutは、装置100の差動出力ライン間に外部終端抵抗を接続することなく、装置100に、回路150を駆動することができるようにし得る。一実施形態では、出力電圧Voutは、スイッチサイズによって設定された固定インピーダンス(たとえば、85オームまたは100オーム)を備えることができ、インピーダンス整合のため何らの終端抵抗を接続する必要がないようにしている。一実施形態では、2つを超えるインピーダンスレベルを、スイッチ120のスイッチサイズによって設定することができる。一実施形態では、Voutは、装置100がクロック発生器の出力ドライバ回路に実装されることに応答して、差動クロック信号であってもよい。
【0017】
一例では、スイッチ120は無効またはスイッチオフにされてもよい(たとえば、無効にされたすべてのスイッチング素子)一方、ドライバ112は有効され得るとともにドライバ110は無効にされ得る。ドライバ112を有効にするとともにドライバ110を無効にすることに応答して、装置100は、通常の状態で(たとえば、スイッチを使用して一定のインピーダンスを設定することなく)動作してもよい。スイッチ120が有効にされまたはスイッチオンされることに応答して(たとえば、1つまたは複数のスイッチング素子を有効にしておく)、ドライバ110は有効にされ得るとともにドライバ112は無効にされ得る。このようにして、ドライバ110または112のいずれかをドライバパスとして選択して、入力電圧Vinを出力電圧Voutとしての別のデバイスにバッファリングまたは渡し(パス)てもよい。一実施形態では、回路101は、プリドライバ回路102、103のうちの1つのイネーブルピン(EP)にイネーブル信号を送信して、プリドライバ回路102、103のうちの1つを有効にするように構成され得る。それから、イネーブル信号を受信しなかったプリドライバ102、103のうちのプリドライバは無効にされる。例示的な実施形態では、スイッチ120内のスイッチング素子は、複数の入出力(IO)ドライバタイプ(たとえば、ドライバ110などの低電圧ドライバおよびドライバ112などの高電圧ドライバ)を集積する実現可能性を許容する薄いゲートNMOS保護スイッチであってもよい。スイッチング素子のゲートが比較的薄い場合、3.3Vなどの比較的高い電圧がスイッチング素子を破壊する可能性がある。より厚いゲートNMOSを使用してスイッチ120を実装することにより、追加の高電圧保護スイッチの要件を排除し、回路基板のスペースを維持するとともに設計の複雑さを軽減し得る。一例では、スイッチ120内のスイッチング素子のゲート厚は、少なくとも3.3Vの電圧に耐えることができる厚さであってもよい。
【0018】
図2は、一実施形態において、高電圧保護およびインピーダンス制御を備えたマルチドライバアーキテクチャを実装することができる別の例示的な装置200を示す図である。
図2に示される例では、装置200は、208-1、208-2、…、208-NなどのN個の差動出力ドライバを含む装置であってもよい。装置200の差動出力ドライバは、差動出力ドライバ208-1からVout-1などの差動出力電圧信号を出力してもよく、ここで、Vout-1は、真のコンポーネントVout-1aおよび相補的なコンポーネントVuot-1bを含んでもよい。一例では、Nは、装置200が12個の差動出力を有することができるように12であってもよい。別の例では、Nは、装置200が8個の差動出力を有することができるように8であってもよい。
【0019】
装置200は、回路204およびマルチプレクサ206をさらに含んでもよい。回路204は、装置200の用途に関連するコンポーネントを含んでもよい。たとえば、装置200がクロック発生器である場合、回路204は発振器、出力分周器、メモリデバイスなどを含んでもよい。さらに、装置200は、
図2に示されていない可能性のある追加の入力および出力ピンまたは端子を含んでもよい。差動出力ドライバ208-1、208-2、…、208-Nのそれぞれは、装置100を含んでもよい。マルチプレクサ206は、差動出力ドライバ208-1、208-2、…、208-Nのうちの1つまたは複数を選択して、電圧VinをVoutに駆動するように構成されてもよい。たとえば、マルチプレクサ206が差動出力ドライバ208-1、208-2を選択した場合、差動出力ドライバ208-1、208-2はVinをVoutに駆動することができる。一例では、装置200がクロック発生器である場合、マルチプレクサ206は、回路204の中の出力分周器から1つのチャネルを選択して、クロック信号を差動出力ドライバ208-1、208-2、…、208-Nの1つに送るように構成されてもよく、ここで、すべてのドライバは、さまざまなチャネルから必要なクロック信号を出力するように有効化され得る。一実施形態では、ドライバ208-1、208-2、…、208-Nのそれぞれは、それ自体の供給電圧(たとえば、
図1のVddo)に接続されてもよい。さらに、ドライバ208-1、208-2、…、208-Nのそれぞれは、電圧調整器のそれぞれのセットを含むことができる。
【0020】
図3は、一実施形態において、高電圧保護およびインピーダンス制御を備えたマルチドライバアーキテクチャを実装することができる別の例示的な装置300を示す図である。一例では、装置300は、CPUオーバークロックを備えたハイエンドデスクトップ(HEDT)または動的周波数要件を備えた民生用アプリケーションなどのアプリケーション用のプログラム可能なクロック発生器であってもよい。装置300は、回路302を含んでもよい。
図2の例を参照すると、回路302は、
図2に示される回路204であってもよい。
図1に示される装置100のコピーは、装置300の差動出力に接続された出力ドライバ208-1、…、208-Nのそれぞれの範囲内であり得る。一実施形態では、
図3に示される装置300は、差動出力(OUT0、OUT0b)から(OUT11、OUT11b)までの範囲の12個の差動出力を有する。別の実施形態では、装置300は、8個の差動出力などの異なる数の差動出力を含んでもよい。
【0021】
差動出力(OUT0、OUT0b)から(OUT11、OUT11b)のそれぞれは、入力を個々のアプリケーションに送るために使用されてもよい。たとえば、装置300の差動出力は、入力を様々なアプリケーションに送るために使用されるクロック信号であってもよい(たとえば、装置300がクロック発生器である場合)。差動出力(OUT0、OUT0b)は、入力を第1のペリフェラル・コンポーネント・インターコネクト・エクスプレス(PCIe)アプリケーションに送ることができ、差動出力(OUT3、OUT3b)は、入力を第2のPCIeアプリケーションに送ることができる。装置100を差動出力ドライバ208-1、…、208-Nのそれぞれに実装することより、装置300は、固定出力インピーダンス(たとえば、85オームまたは100オーム)を有する異なるセットの差動出力を生成することができる。差動出力の固定出力インピーダンスにより、差動出力が、入力を異なるアプリケーションに直接送ることを可能にできる(たとえば、差動出力間に外部終端抵抗を接続せずに)。
【0022】
図4Aおよび4Bは、一実施形態において、高電圧保護およびインピーダンス制御を備えたマルチドライバアーキテクチャの例示的な実装を示す図である。
図4Aは、ドライバ112が有効にされるとともにドライバ110が無効にされる場合に、
図1の装置100の実装を示している。
図4Aでは、有効にされたドライバ112は、直流(DC)結合を介してVoutを別のデバイス400に出力してもよい。
図4Bでは、有効にされたドライバ112は、交流(AC)結合を介してデバイス400にVoutを出力してもよい。
【0023】
一例では、ドライバ112は、比較的高い電圧入力(たとえば、3.3V)を処理してもよく、パワーレイル(母線)との信号干渉を防ぐとともに内部ノイズを低減するために、Voutの振幅は、フルスイング(フル振動)から少なくともハーフスイング(ハーフ振動)に減らされる必要がある。たとえば、
図4Aおよび4Bに示されるように、ドライバ112は、高速3.3VのCMOSドライバとして実装されてもよい。
図4Aおよび4Bに示される構成では、ドライバ(Rо)の出力インピーダンスおよび直列抵抗(Rs)の合計は、伝送線路インピーダンスZoに等しい。加えて、水晶入力での整合終端(装置100がクロック発生器内に実装されている場合)は、信号を半分に減衰させるだろう。これは、2つの方法のいずれかで実行され得る。まず、並列のR1とR2は伝送線路インピーダンスと等しくするべきである。ほとんどの50オームアプリケーションでは、R1とR2は100オームであり得る。あるいは、これは、R1を削除してR2を50オームに変更することによっても達成することができる。一例では、抵抗の値を大きくして、低速で壊れやすいCMOSドライバの負荷を減らすことができる。
【0024】
図5Aおよび5Bは、一実施形態において、高電圧保護およびインピーダンス制御を備えたマルチドライバアーキテクチャの例示的な実装を示す図である。
図5Aおよび5Bは、ドライバ110が有効にされるとともにドライバ112が無効にされる場合に、
図1の装置100の実装を示している。
図5Aでは、有効にされたドライバ110は、直流(DC)結合を介して別のデバイス500にVoutを出力してもよい。
図5Bでは、有効にされたドライバ110は、AC結合を介してデバイス500にVoutを出力してもよい。
図5Aに示される例では、ドライバ110は、低電力高速電流ステアリングロジック(LP-HCSL)差動プロトコルを実装することができ、
図2に示される装置200は、クロック発生器(たとえば、
図3の装置300)であってもよく、デバイス500は、Voutによって駆動されるクロック信号に基づいて動作するデバイスであってもよい。
図5Aに示される構成は、たとえば、85または100オームの一定の差動出力インピーダンスを提示するソース終端をサポートしてもよい。
図5Aに示される例では、一定の差動出力インピーダンスにより、ドライバ110の異なる出力ライン(たとえば、50オームトレース)の間に端子抵抗が接続されていないことに留意すべきである。
【0025】
図5Bは、
図1に示されるドライバ110によって実施されるプロトコルに関係なく、AC結合を使用して、別のデバイスまたはクロック発生器のクロック入力ピンを駆動してもよい場合の構成を示している。
図5Bに示す構成は、100オームの差動伝送回線環境下にある。一例では、ドライバ110は、駆動される受信機のための適切な電圧振幅選択を用いて、AC結合用のLP-HCSLプロトコルを実装してもよい。ドライバ110とAC結合コンデンサCSとの間に終端抵抗は必要ないことに留意すべきである(たとえば、差動出力ラインまたは2つの50オームトレースの間に接続された終端抵抗はない)。AC結合コンデンサの受信器側の抵抗は、特定の受信機に適切な電圧バイアスを提供するように選択されることに留意すべきである。一例では、(受信機の近くにある)差動ペアを横切る100オームの抵抗は、クロック信号品位を損なう可能性のある受信機での反射を減衰または防止し得る。
【0026】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数形も含むことを意図している。さらに、「comprises(含む)」および/または「comprising(含む)」という用語は、本明細書で使用される場合、言及された特徴、整数、ステップ、操作、要素、および/または構成要素(コンポーネント)の存在を指定するが、1つまたは複数の他の機能、整数、ステップ、操作、要素、コンポーネント、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するのではないことが理解される。
【0027】
以下の特許請求の範囲においては、あったとしても、すべての手段またはステッププラス機能要素の対応する構造、材料、行為、および同等物は、具体的に請求項に記載されているように、他の請求項に記載された要素と組み合わせて機能を実行するための任意の構造、材料、または行為を含むよう意図されている。本発明の説明は、例示および説明の目的で与えられたが、網羅的であること、または開示された形態の本発明に限定されることを意図するものではない。多くの変形および変更は、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。実施形態は、本発明の原理および実際の適用を最もよく説明するために、および、当業者が、企図される特定の使用に適した様々な変形を伴う様々な実施形態について本発明を理解できるようにするために、選択および説明された。