(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002100
(43)【公開日】2023-01-10
(54)【発明の名称】アプリケータ
(51)【国際特許分類】
A45D 34/04 20060101AFI20221227BHJP
【FI】
A45D34/04 510A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021103121
(22)【出願日】2021-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】アレクシ・レオナール
(57)【要約】
【課題】繊維を有しない単純な構成を有するマスカラアプリケータを提供すること。
【解決手段】本発明は、液体化粧品をケラチン物質に塗布するためのアプリケータに関する。アプリケータは、アプリケータヘッドと、ユーザがアプリケータを把持するための握り部とを含む。アプリケータヘッドは、遠位端と、握り部に接続された近位端とを有する多重らせん構造を含み、多重らせん構造は、少なくとも1本のワイヤで形成される。隙間が、液体化粧品を保持するためのバルクリザーバを形成するために、多重らせん構造内のワイヤの間に形成される。アプリケータの遠位端における先端は、少なくとも1本のワイヤを折り曲げることによって形成された折り曲げ先端であり、折り曲げ先端は、アプリケータヘッドの縦軸に沿って突出する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体化粧品をケラチン物質に塗布するためのアプリケータであって、
アプリケータヘッドと、
ユーザが前記アプリケータを把持するための握り部と、
を含み、
前記アプリケータヘッドは、遠位端と、前記握り部に接続された近位端とを有する多重らせん構造を含み、前記多重らせん構造は、少なくとも1本のワイヤで形成され、
隙間が、前記液体化粧品を保持するためのバルクリザーバを形成するために、前記多重らせん構造内の前記ワイヤの間に形成され、
前記アプリケータの前記遠位端における先端は、前記少なくとも1本のワイヤを折り曲げることによって形成された折り曲げ先端であり、前記折り曲げ先端は、前記アプリケータヘッドの縦軸に沿って突出する、アプリケータ。
【請求項2】
前記多重らせん構造は、2本の平行ワイヤで形成された二重らせん構造である、請求項1に記載のアプリケータ。
【請求項3】
前記近位端における前記多重らせん構造において、前記少なくとも1本のワイヤは、前記ワイヤの間に隙間がないように、密接に撚り合される、請求項1または2に記載のアプリケータ。
【請求項4】
前記遠位端における前記多重らせん構造は、前記先端に向けて先細りである、請求項3に記載のアプリケータ。
【請求項5】
前記先端は、丸められた形状を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項6】
前記少なくとも1本のワイヤは、金属、好ましくはステンレス鋼で形成される、請求項1から5のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項7】
前記少なくとも1本のワイヤは、0.3mm~1mmの直径、好ましくは0.65mmの直径を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項8】
前記多重らせん構造は、1.5mm~5mmのピッチ、好ましくは3mmのピッチを有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のアプリケータと、
液体化粧品を含有するための容器と、
を含み、
前記液体化粧品は、スピンドルM3を使用して、30~50UDの粘度、好ましくは35~40UDの粘度を有する、キット。
【請求項10】
前記液体化粧品は、所定の接触角、好ましくは20~70度の接触角、より好ましくは30~60度の接触角を有する、請求項9に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体化粧品をケラチン物質に塗布するためのアプリケータに関し、詳細には、液体化粧品を睫毛に塗布するためのアプリケータに関する。加えて、本発明は、そのようなアプリケータを含むキットに関する。
【背景技術】
【0002】
撚り合され繊維を保持する2本の金属アームによって形成されたコアを有するブラシを含むいくつかのアプリケータは、液体化粧品をケラチン物質に塗布するためのアプリケータとしてよく知られている。
【0003】
加えて、らせんコイルを含むアプリケータも、よく知られている。そのようなアプリケータは、以下の文献の中で開示されている。
【0004】
米国特許出願公開第2018/0344009号は、マスカラを睫毛に塗布するためのアプリケータであって、中心軸と、中心軸周りにらせん形に配置された単一のコイルばねと、中心軸を単一のコイルばねに固定するための固定部材とを含む、アプリケータを開示している。
【0005】
しかしながら、米国特許出願公開第2018/0344009号に記載されるマスカラアプリケータは、中心軸を単一のコイルばねに固定するために、固定部材などの追加の構成要素を含まなければならない。加えて、米国特許出願公開第2018/0344009号に記載されるマスカラアプリケータは、中心軸と中心軸周りにらせん形に配置された単一のコイルばねとを含む複雑な形状を有する。それゆえ、このマスカラアプリケータは、繊維を有する一般的なマスカラアプリケータを製造することができる既存の製造機器を使用して製造することはできない。
【0006】
米国特許出願公開第2018/0344009号に記載されるマスカラアプリケータは、中心軸周りにらせん形に配置された単一のコイルばねを有する。それゆえ、中心軸とばねのコイルとの間、および/またはばねのコイルの間に隙間がない。この場合、化粧品、特に液体化粧品を、このマスカラアプリケータによって十分に保持することはできない。したがって、十分な量の液体化粧品が睫毛に塗布されない可能性がある。
【0007】
隙間が、中心軸とばねのコイルとの間、および/またはばねのコイルの間に存在する場合でも、隙間が広すぎて、化粧品、特に液体化粧品を十分に保持しない。それゆえ、化粧品が、塗布の間に不注意にこぼれる可能性がある。したがって、このマスカラアプリケータは、十分な量の化粧品を睫毛に塗布することはできない。
【0008】
国際公開第2010/092551号パンフレットは、化粧品をケラチン物質に塗布するためのアプリケータであって、らせん構造を有する1つのコイルばねを含む、アプリケータを開示している。
【0009】
国際公開第2010/092551号パンフレットのアプリケータは、らせん構造を有する1つのコイルばねを有し、したがって、コイルばねの間に隙間はない。この場合、アプリケータは、化粧品、特に液体化粧品を十分に保持することはできない。それゆえ、アプリケータは、十分な量の化粧品をケラチン物質に塗布することはできない。
【0010】
隙間が、コイルばねの間に存在する場合でも、コイルばねの間の隙間が広すぎて、化粧品、特に液体化粧品を十分に保持しない。それゆえ、化粧品が、塗布の間に不注意にこぼれる可能性がある。したがって、このアプリケータは、十分な量の化粧品をケラチン物質に塗布することはできない。
【0011】
さらに、国際公開第2010/092551号パンフレットのアプリケータは、コイルばねの先端によってユーザまたは消費者に傷を生じることがある。
【0012】
米国特許第8079373号は、らせん構造を有する単一のばねのコイルと、ばねのコイルの先端をカバーするためのプラスチック材料で作られた部材とを含むマスカラアプリケータを開示している。
【0013】
米国特許第8079373号のマスカラアプリケータは、プラスチック材料で作られた部材などの追加の構成要素を含む。それゆえ、このマスカラアプリケータは、繊維を有する一般的なマスカラアプリケータを製造することができる既存の製造機器を使用して製造することはできない。
【0014】
加えて、このマスカラアプリケータは、らせん構造を有する単一のばねのコイルを有し、それゆえ、ばねのコイルの間の隙間は小さい。この場合、このマスカラアプリケータは、化粧品、特に液体化粧品を十分に保持することはできない。したがって、十分な量の化粧品を、ケラチン物質に塗布することはできない。
【0015】
さらに、ばねのコイルの間の隙間が広すぎる場合、化粧品、特に液体化粧品を十分に保持することができず、したがって、化粧品が、塗布の間に不注意にこぼれる可能性がある。それゆえ、このマスカラアプリケータは、十分な量の化粧品をケラチン物質に塗布することはできない。
【0016】
米国特許第3998235号は、中心ロッドと、中心ロッド周りにらせん形に配置された単一のばねのコイルと、中心ロッドをばねのコイルに接続するためのキャップ部材とを含むマスカラアプリケータであって、キャップ部材は中心ロッドの遠位端に配置される、マスカラアプリケータを開示している。
【0017】
このマスカラアプリケータは、中心ロッドをばねのコイルに接続するために、キャップ部材などの追加の構成要素を含まなければならない。加えて、米国特許第3998235号に記載されるマスカラアプリケータは、中心ロッドと中心ロッド周りにらせん形に配置された単一のばねのコイルとを含む複雑な形状を有する。それゆえ、このマスカラアプリケータは、繊維を有する一般的なマスカラアプリケータを製造することができる既存の製造機器を使用して製造することはできない。
【0018】
さらに、米国特許第3998235号のマスカラアプリケータは、中心ロッド周りにらせん形に配置された単一のばねのコイルを有する。それゆえ、中心ロッドとコイルばねとの間、および/またはコイルばねの間に隙間がない。この場合、化粧品、特に液体化粧品を、このマスカラアプリケータによって十分に保持することはできない。したがって、十分な量の液体化粧品を、ケラチン物質に塗布することはできない。
【0019】
隙間が、中心ロッドとコイルばねとの間、および/またはコイルばねの間に存在する場合でも、隙間が広すぎて、化粧品、特に液体化粧品を十分に保持しない。それゆえ、化粧品が、塗布の間に不注意にこぼれる可能性がある。したがって、このマスカラアプリケータは、十分な量の化粧品をケラチン物質に塗布することはできない。
【0020】
米国特許第4744377号は、らせん構造を含む、マスカラを睫毛に塗布するためのアプリケータを開示している。
【0021】
米国特許第4744377号のマスカラアプリケータは、らせん構造内に隙間を有しない。この場合、このマスカラアプリケータは、化粧品、特に液体化粧品を十分に保持することはできない。それゆえ、このマスカラアプリケータは、十分な量のマスカラ化粧品を睫毛に塗布することはできない。
【0022】
隙間がらせん構造内に形成される場合でも、隙間が広すぎて、化粧品、特に液体化粧品を十分に保持しない。それゆえ、化粧品が、塗布の間に不注意にこぼれる可能性がある。したがって、このマスカラアプリケータは、十分な量のマスカラ化粧品を睫毛に塗布することはできない。
【0023】
さらに、米国特許第4744377号は、このマスカラアプリケータの製造方法を開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0344009号
【特許文献2】国際公開第2010/092551号パンフレット
【特許文献3】米国特許第8079373号
【特許文献4】米国特許第3998235号
【特許文献5】米国特許第4744377号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明の目的は、上記で説明した問題を解決するために作成されており、繊維を有する一般的なマスカラアプリケータを製造することができる既存の機器を使用して製造することができる、繊維を有しない単純な構成を有するマスカラアプリケータを提供することができる。
【0026】
加えて、本発明の目的は、十分な量の化粧品、特に液体化粧品を保持することができるアプリケータを提供することができる。
【0027】
さらに、本発明の目的は、その先端によってユーザまたは消費者を傷つけるリスクを低減するアプリケータを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記で説明した目的を達成するために、本発明は、液体化粧品をケラチン物質に塗布するためのアプリケータを提供し、アプリケータは、
アプリケータヘッドと、
ユーザがアプリケータを把持するための握り部とを含み、
アプリケータヘッドは、遠位端と、握り部に接続された近位端とを有する多重らせん構造を含み、多重らせん構造は、少なくとも1本のワイヤで形成され、
隙間は、液体化粧品を保持するためのバルクリザーバを形成するために、多重らせん構造内のワイヤの間に形成され、
アプリケータの遠位端における先端は、少なくとも1本のワイヤを折り曲げることによって形成された折り曲げ先端であり、折り曲げ先端はアプリケータヘッドの縦軸に沿って突出する。
【0029】
アプリケータの一態様によれば、多重らせん構造は、2本の平行ワイヤで形成された二重らせん構造であり得る。
【0030】
アプリケータの一態様によれば、近位端における多重らせん構造内の少なくとも1本のワイヤが、ワイヤの間に隙間がないように、密接に撚り合され得る。
【0031】
アプリケータの一態様によれば、遠位端における多重らせん構造は、先端に向けて先細りであり得る。
【0032】
アプリケータの一態様によれば、先端は、丸められた形状を有し得る。
【0033】
アプリケータの一態様によれば、少なくとも1本のワイヤは、金属、好ましくはステンレス鋼で形成され得る。
【0034】
アプリケータの一態様によれば、少なくとも1本のワイヤは、0.3mm~1mmの直径、好ましくは0.65mmの直径を有し得る。
【0035】
アプリケータの一態様によれば、多重らせん構造は、1.5mm~5mmのピッチ、好ましくは3mmのピッチを有し得る。
【0036】
加えて、上記で説明した目的を達成するために、本発明は、
上述のアプリケータと、
液体化粧品を含有するための容器とを含むキットを提供し、
液体化粧品は、スピンドルM3を使用して、30~50UD、好ましくは35~40UDの粘度を有する。
【0037】
キットの一態様によれば、液体化粧品は、所定の接触角、好ましくは20~70度の接触角、より好ましくは30~60度の接触角を有し得る。
【0038】
本発明は、繊維を有する一般的なマスカラアプリケータを製造することができる既存の機器を使用して製造することができる。
【0039】
加えて、本発明は、十分な量の化粧品、特に液体化粧品を保持することができる。
【0040】
さらに、本発明は、その先端によってユーザまたは消費者を傷つけるリスクを低減することができる。
【0041】
次に、本発明の非限定的で代表的な実施形態について、本発明がより良く理解され得るように添付の図面を参照しながら以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明によるアプリケータを含む、化粧品をパッケージングして塗布するためのアセンブリ(キット)を概略的に示す図である。
【
図2】本発明によるアプリケータを概略的に示す図である。
【
図3】本発明によるアプリケータヘッドを概略的に示す図である。
【
図4】本発明によるアプリケータヘッドにおける先端の拡大図である。
【
図5】化粧品を塗布するときの本発明によるアプリケータを概略的に示す図である。
【
図6】本発明によるアプリケータの第1の例を概略的に示す図である。
【
図7】本発明によるアプリケータの第2の例を概略的に示す図である。
【
図8】本発明によるアプリケータの第3の例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以降、本発明の実施形態について、詳細な形で説明する。以後の実施形態では、「長手方向」という用語は、アプリケータヘッドが延びる方向を意味する。加えて、「軸」という用語は、軸方向成分ではなく、仮想軸を意味する。
【0044】
さらに、「近位端」という用語は、ユーザの手で把持され得る側により近い、長手方向の片側の一端を示す。加えて、「近位端」は、長手方向における長さを有する。その一方で、「遠位端」という用語は、長手方向の別の側の一端、すなわち、ユーザの手で把持され得る側から遠い、近位端と反対の一端を示す。加えて、「遠位端」は、長手方向における長さを有する。
【0045】
[第1の実施形態]
図1に示すキット10は、睫毛に塗布される製品Pを含有する容器20と、当該の例では容器20に取外し可能に装着され得るアプリケータ30とを含む。製品Pは、たとえば、液体化粧品、好ましくは液体のマスカラである。
【0046】
容器20が製品Pを含有することができる限り、容器20の形状および材料は限定されない。容器20の形状は、たとえば、円筒形、ピラミッド形、円すい形、ピラミッド形、たる形、涙滴形、楕円形、または球形であり得る。加えて、容器20の材料は、透明ガラス、曇りガラス、半透明ガラス、または着色ガラス(ソーダ石灰ガラス、クリスタルガラスなど)、透明合成樹脂、曇り合成樹脂、半透明合成樹脂、または着色合成樹脂(PE、PP、PETなど)、および金属(アルミニウムなど)を含む。
【0047】
アプリケータ30は、この実施形態では、ユーザがアプリケータ30を把持するための握り部40と、使用中に塗布される製品Pを保持するように構成されたアプリケータヘッド50と、縦軸Xに沿って延びて、握り部40をアプリケータヘッド50に接続するステム60とを含む。
【0048】
ステム60は、縦軸Xに沿って延びるロッド状部材である。加えて、ステム60は、有利には、熱可塑性材料で作られる丸い棒状構成要素である。
【0049】
ステム60は、近位端62と遠位端64とを有する。ステム60の遠位端64には、アプリケータヘッド50が設けられ、ステム60の近位端62には、握り部40が設けられる。
【0050】
ステム60がアプリケータヘッド50を支持することができる限り、ステム60の形状および材料は限定されない。ステム60の形状は、たとえば、円筒形、ピラミッド形、円すい形、ピラミッド形、たる形、涙滴形、楕円形、または球形であり得る。加えて、ステム60の材料は、透明ガラス、曇りガラス、半透明ガラス、または着色ガラス(ソーダ石灰ガラス、クリスタルガラスなど)、透明合成樹脂、曇り合成樹脂、半透明合成樹脂、または着色合成樹脂(PE、PP、PETなど)、および金属(アルミニウムなど)を含む。
【0051】
加えて、握り部40が、ユーザの手で把持され得る限り、握り部40の形状および材料は限定されない。握り部40の形状は、たとえば、円筒形、ピラミッド形、円すい形、ピラミッド形、たる形、涙滴形、楕円形、または球形であり得る。加えて、握り部40の材料は、透明ガラス、曇りガラス、半透明ガラス、または着色ガラス(ソーダ石灰ガラス、クリスタルガラスなど)、透明合成樹脂、曇り合成樹脂、半透明合成樹脂、または着色合成樹脂(PE、PP、PETなど)、および金属(アルミニウムなど)を含む。
【0052】
握り部40は、同じく、容器20を密閉して閉じるためのキャップ42を形成する。特に
図1でわかるように、容器20は、上部にねじ山付きネック24が設けられた本体22を含み、容器20を密閉して閉じるために、ねじ山付きネック24に握り部40をねじ込むことができる。代替として、アプリケータ30は、他の何らかの方法で容器20に取り付けられてもよい。
【0053】
図示のように、ネック24は、たとえばその中に取り付けられる拭い取り部材26を受けることができる。この拭い取り部材26は、ステム60の直径に適合する直径の拭い取り穴を定めるリップ28を有する。
【0054】
アプリケータヘッド50は、ステム60の遠位端64において従来の方式で取り付けられ得る。
【0055】
[多重らせん構造]
本出願の
図2および
図3に示すように、アプリケータヘッド50は、多重らせん構造100を有する。
【0056】
多重らせん構造100は、複数のワイヤ102が、らせん形に撚り合されて互いに平行に組み合わされる構造である。多重らせん構造100は、縦軸Xに沿って延び、多重らせん構造100を構成するワイヤ102は、縦軸X周りに巻き付けられる。
【0057】
多重らせん構造100の直径D、特に多重らせん構造100内の最大直径の部分の直径DMaxは、ステム60の直径と同じかまたはそれより小さくなるように形成される。それにより、アプリケータ30が容器20から除去されるとき、アプリケータヘッド50および/またはステム60に付着する余分の化粧品Pが、リップ28によって画定される拭い取り穴によって拭い取られ、アプリケータ、特にアプリケータヘッド50は、拭い取り穴を容易に通過することができる。
【0058】
多重らせん構造100は、遠位端106と、遠位端106の反対側の近位端104と、遠位端106と近位端104との間の本体部108とを有する。多重らせん構造100の近位端104は、ステム60に取り付けられる。
【0059】
多重らせん構造100内の本体部108の直径Dは、長手方向に沿った全長にわたって同じである。しかしながら、多重らせん構造100内の本体部108の直径Dは、長手方向に沿って可変であってもよく、たとえば、多重らせん構造100内の本体部108の直径Dは、長手方向における中央部から長手方向における両側まで徐々に減少または徐々に増加してもよい。加えて、多重らせん構造100内の本体部108の直径Dは、アプリケータヘッド50の全長に沿って遠位端側から近位端側まで徐々に減少または徐々に増加してもよい。
【0060】
多重らせん構造100の近位端104において、ワイヤ102が、密接に撚り合されるので、ワイヤ102の間に隙間はない。言い換えれば、多重らせん構造100の近位端104は、ワイヤ102が緊密に織り合わされる形態を有する。それゆえ、多重らせん構造100内の近位端104の直径は、多重らせん構造100内の本体108の直径Dより小さい。
【0061】
さらに、多重らせん構造100の近位端104の長手方向の長さは、アプリケータヘッド50を支持することができるほど十分に長くあり得る。
【0062】
本出願の
図4は、多重らせん構造100の遠位端106の拡大図である。本出願の
図4に示すように、多重らせん構造100の遠位端106は、アプリケータヘッド50の縦軸Xに沿って延びる先端110を有する。さらに、多重らせん構造100の遠位端106は、先端110に向けて先細りである。言い換えれば、多重らせん構造100の遠位端106は、先端110に向けて直径が徐々に減少している。
【0063】
加えて、この先端110は、少なくとも1本のワイヤ102を折り曲げることによって形成された折り曲げ先端102である。この折り曲げ先端は、丸められた形状を有するように形成される。言い換えれば、折り曲げ先端は、所定の半径の曲率に従って湾曲するワイヤで形成される。
【0064】
本出願の
図2~
図4を参照すると、多重らせん構造100は、少なくとも1本のワイヤ102を2つに折り曲げて、2本のワイヤ102を撚り合せることによって形成され得る。少なくとも1本のワイヤ102は、塑性変形可能な材料で製造され、具体的には、ワイヤ102の材料は、金属、好ましくはステンレス鋼、より好ましくはALSL316Lである。
【0065】
隙間112は、多重らせん構造100内のワイヤ102の間に形成される。これらの隙間112は、所定の粘度を有する液体化粧品Pを保持するためのバルクリザーバとして働くことができる。言い換えれば、液体化粧品Pの毛細管現象によって、所定の粘度を有する液体化粧品Pが、ワイヤ102の間のこれらの隙間112の中に保持される。
【0066】
多重らせん構造100は、長手方向における長さLと直径Dとを有する円筒の形状であり得る。
【0067】
多重らせん構造100の長さLは、約20mm~約35mm、好ましくは約25mm~約30mmの範囲内にあり、より好ましくは約27mmである。多重らせん構造100の直径Dは、約1.5mm~約3mmの範囲内、好ましくは約1.75mm~約2.6mmの範囲内にあり、より好ましくは約2.15mmである。
【0068】
加えて、多重らせん構造100は、約1.5mm~約5mmのピッチP、好ましくは約3mmのピッチPを有する。さらに、この多重らせん構造のピッチPの数は、5~15、好ましくは10であり得る。
【0069】
加えて、ワイヤ102の直径DWは、約0.3mm~約1mm、好ましくは約0.5mm~約0.8mm、より好ましくは約0.65mmである。
【0070】
本出願の
図3に示すように、少なくとも1本のワイヤ102は、アプリケータヘッド50の縦軸Xに対して所定の角度αを有する。言い換えれば、所定の角度αは、縦軸Xと少なくとも1本のワイヤ102との間に配置される。この角度αは、30度と50度との間、好ましくは45度未満であり得る。
【0071】
[化粧品]
多重らせん構造100を有するアプリケータ30は、特定の粘度を有する液体化粧品Pをケラチン物質に塗布するのに好適である。言い換えれば、特定の粘度を有する液体化粧品Pは、アプリケータヘッド50によって、特に毛細管現象を使用することによって少なくとも1本のワイヤ102によって保持され得る。
【0072】
化粧品Pは、200rpmで回転するスピンドルM2が装備されたRHEOMAT 180粘度計を使用して25℃において測定される、30UD(偏差単位)~50UD、好ましくは35UD~40UDの粘度を有する。
【0073】
上記で説明したように、本発明による組成物の粘度は、PRORHEO社からの200rpmで回転するスピンドルM2が装備されたPRORHEO R180粘度計を使用して25℃において測定される。
【0074】
加えて、化粧品Pの粘度は、以下のようにして測定され得る。粘度は、一般に、製品の粘度に対して好適な運動体(測定値が常に、30UDと50UDとの間、好ましくは35UDと40UDとの間、または偏差単位であるように選択された運動体)が装備されたRHEOMAT RM 180粘度計を使用して25℃において測定され、測定は、10分間(その時間の後に安定した粘度および運動体の回転速度が観測される時間)組成物内で運動体を回した後、200s'のせん断速度において行われる。
【0075】
化粧品は、接触角βを有する。接触角βは、約20度と約70度との間、好ましくは約30度と約60度との間である。接触角βは、以下のようにして測定され得る。化粧品、特に液体化粧品の一滴が、注射器を使用してガラス板などの板の表面に置かれる。滴下から約20秒後、接触角βの測定が、カメラを使用してPCによって取り込まれた画像を使用して実行される。WINGOUTTEソフトウェアが、画像処理によって滴の輪郭をデジタル化する。次いで、そのソフトウェアは、補間法を使用して接触角βを決定する。WINGOUTTEソフトウェアは、接触角βを決定するために、多項式補間法または弧線補間法(arc-of-circle interpolation method)を使用する。場合によっては、動力システムが、滴の前進角(advancing angle)および後退角(recessing angle)を測定することを可能にし、注射器の針は、その後滴の中に保持される。
【0076】
[製造方法]
本発明のアプリケータヘッド50は、既存の製造機器を使用して製造することができる。
【0077】
既存の製造機器は、従来のアプリケータヘッド、すなわち、繊維とともに金属ワイヤを撚り合せることによって金属ワイヤの間に繊維を挟み込むアプリケータヘッドを製造するための機器である。
【0078】
本発明の多重らせん構造100を有するアプリケータヘッド50を製造するための方法は、
-複数のワイヤ102を準備するステップと、
-溶接または他の知られている固定方法を使用することによってワイヤ102をその一端において固定するステップと、
-固定されたワイヤ102の自由端を既存の製造機器に固定するステップと、
-ワイヤ102を自由端から固定端まで撚り合せるステップと、
-撚り合せるステップの後、多重らせん構造100を形成するために、これらのワイヤ102の固定端(先端110に対応する)から自由端の近傍(近位端104に対応する)まで、撚り合されたワイヤ102の撚りを解くかまたは撚りを戻すステップとを含む。
【0079】
複数のワイヤ102を準備するステップについて、以下で詳細に説明する。
これらのワイヤ102は、複数の真っすぐなワイヤ102であってよく、これらのワイヤ102の長さは、互いに同じであっても異なってもよい。
【0080】
ワイヤ102をそれらの一端において固定するステップは、以下の方法によって行われ得る。
これらのワイヤ102は、知られている固定方法を使用することによって、特に溶接工程を使用することによって、それらの一端において互いに接続または固定され得る。ワイヤ102の固定端は先端110に対応するので、これらのワイヤ102の固定端は丸められた形状を有しなければならない。
加えて、単一の真っすぐなワイヤ102は、ワイヤ102の中心または中央部付近に折り曲げ部を形成するために、ジグなどを使用することによってU字形に曲げられてもよく、または2つに折り曲げられてもよい。互いのワイヤ102の一端は、知られている固定方法を使用することによって、特に溶接工程を使用することによってワイヤ102の折り曲げ部に接続または固定され得る。これらのワイヤ102は、同じ方向に沿って延びる自由端を有してもよく、ワイヤセクションは、互いに平行に延びてもよい。ワイヤ102の折り曲げ部は先端110に対応するので、折り曲げ部は、先端110が丸められた形状を有するように曲げられなければならない。
さらに、ワイヤ102の各々は、各ワイヤ102の中心または中央部において折り曲げ部を形成するために、U字形に曲げられてもよく、または2つに折り曲げられてもよい。次いで、折り曲げ部は、溶接または他の知られている固定方法を使用することによって互いに固定され得る。
【0081】
ワイヤ102を自由端から固定端まで撚り合せるステップについて、以下で詳細に説明する。
既存の製造機器を使用することによって、ワイヤ102の自由端が固定されてよく、ワイヤ102の固定端は、これらのワイヤ102が緊密におよび/または密接に撚り合されるように、長手方向周りに一方向に回される。言い換えれば、これらのワイヤ102は、ワイヤ102の間に隙間がないように、緊密におよび/または密接に撚り合される。
【0082】
撚り合されたワイヤ102を固定端(先端110に対応する)から自由端の近傍まで撚りを解くかまたは撚りを戻すステップについて、以下で詳細に説明する。
撚り合されたワイヤ102の固定端または折り曲げ部は、ワイヤ102を撚り合せる回転方向と反対の方向に、縦軸周りに回される。これにより、撚り合された金属ワイヤ102は、所定の長さだけ、折り曲げ部から撚りを解かれるかまたは撚りを戻される。それゆえ、これにより、先端110から長手方向の長さLを有する多重らせん構造100の形成がもたらされる。当然ながら、多重らせん構造100の近位端において、ワイヤ102は、緊密におよび/または密接に撚り合されたままである。
上述の撚りを解くかまたは撚りを戻すステップは、上記で説明した既存の製造機器を使用することによって、撚り合せるステップとともに連続的に実行され得る。すなわち、製造機器は、ワイヤ102を撚り合せるために固定端または折り曲げ部を一定方向に回し、次いで何も交換することなく、固定端または折り曲げ部を反対方向に回すことができる。
【0083】
当然ながら、本発明の多重らせん構造100を含むアプリケータヘッド50は、当業者に知られている他の方法で形成されてもよい。
【0084】
[効果]
ユーザは、握り部40を回すことによって、握り部40と容器20との間の接続を解放する。次いで、ユーザは、握り部40を把持し、握り部40に接続されるステム60およびアプリケータヘッド50を容器20の外に引き出す。言い換えれば、ユーザは、握り部40を容器20に対して上方に引っ張る。
【0085】
その時点で、ステム60およびアプリケータヘッド50に付着する余分の液体化粧品Pが、容器20の拭い取り部材26によって拭い取られ得る。言い換えれば、ステム60およびアプリケータヘッド50が拭い取り部材26の拭い取り穴を通過するとき、余分の液体化粧品Pが、拭い取り部材26によってこすり落とされて、容器20内にとどまる。
【0086】
本出願の
図5は、容器20から引き抜かれた状態のアプリケータ30を示す。
本出願の
図5に示すように、本発明のアプリケータ30は、余分の液体化粧品Pを拭い取り部材26によって拭い取りながら、十分な量の液体化粧品Pを睫毛に塗布することができる。それゆえ、本発明のアプリケータ30は、液体化粧品Pが塗布の間に不注意にこぼれるのを防止することができる。
【0087】
本発明のアプリケータ30は、少なくとも1本のワイヤ102で形成された多重らせん構造100を有するアプリケータヘッド50を含む。それゆえ、本発明のアプリケータ30を製造するとき、キャップ部材および/または固定部材などの追加の構成要素を準備する必要はなく、本発明のアプリケータ30は、既存の製造機器を使用して製造することができる。したがって、本発明のアプリケータ30の製造コストは、低減され得る。
【0088】
本発明のアプリケータ30は、少なくとも1本のワイヤ102で形成された多重らせん構造100を有するアプリケータヘッド50を含み、隙間112がワイヤ102の間に形成され、これらの隙間112は、所定の粘度を有する液体化粧品Pを隙間112の中に保持するためのバルクリザーバとして働くことができる。それゆえ、本発明のアプリケータ30は、化粧品Pをケラチン物質、特に睫毛に塗布するために、十分な量の液体化粧品Pを隙間112の中に毛細管現象によって保持することができる。
【0089】
本発明のアプリケータ30は、アプリケータヘッド50の縦軸Xに沿って延びる先端110を各々が有する多重らせん構造100のアプリケータヘッド50を含み、先端110は、少なくとも1本のワイヤ102を折り曲げることによって形成された折り曲げ先端であり、折り曲げ先端は丸められるように形成される。それゆえ、所定の粘度を有する液体化粧品Pは、毛細管現象によって先端110において保持され得る。したがって、本発明のアプリケータ30は、同じく、液体化粧品Pを不注意にこぼすことなく、先端110において保持された液体化粧品Pを塗布することができる。
【0090】
本発明のアプリケータ30は、少なくとも1本の金属ワイヤ102で形成された多重らせん構造100を有するアプリケータヘッド50を含む。それゆえ、本発明のアプリケータ30は、プラスチック材料などと比較すると、金属ワイヤ102からの冷却効果を取得することができる。したがって、本発明のアプリケータ30は、この冷却効果によって、液体化粧品Pを睫毛に穏やかに容易に塗布することができる。
【0091】
本発明のアプリケータ30は、少なくとも1本のワイヤ102で形成された多重らせん構造100を有するアプリケータヘッド50を含む。それゆえ、本発明のアプリケータ30は、ユーザを傷つけることがある剛毛を有せず、したがって、剛毛のブラシを有する従来のマスカラアプリケータと比較すると、ユーザの傷に対するおそれを軽減する。
【0092】
本発明のアプリケータ30は、丸められるように形成された折り曲げ先端110を有する。本発明のアプリケータ30は、液体化粧品Pを睫毛に塗布するときに、ユーザを傷つけることはなく、またはユーザを傷つける可能性を低減する。
【0093】
[実施例1(二重らせん構造)]
本出願の
図6は、多重らせん構造100が二重らせん構造200であるときの本発明のアプリケータ30を示す。
上記の実施形態の構成と同じ構成の記述は省略する。
【0094】
本発明の多重らせん構造100は、2本の撚り合されたワイヤ202で、好ましくは2本の平行な撚り合されたワイヤ202で形成された二重らせん構造200である。好ましくは、これらの2本の平行な撚り合されたワイヤ202は、1本のワイヤ202をU字形に曲げてその両端を撚り合せることによって、または1本のワイヤ202を2つに折り曲げてその両端を撚り合せることによって形成される。
【0095】
二重らせん構造200は、長手方向の長さLと直径Dとを有する円筒の形状である。二重らせん構造200の長手方向の長さLは、約27mmである。加えて、二重らせん構造200の直径Dは、約2.15mmである。二重らせん構造200のピッチPの数は、10である。
【0096】
ワイヤ202は、金属で、具体的にはステンレス鋼、特にALSL 316Lで製造される。このワイヤ202の直径DWは、約0.65mmである。
【0097】
この実施例1の二重らせん構造200を有するアプリケータ30は、30UD~50UDの範囲内の特定の粘度を有する液体化粧品Pを塗布するのに好適である。具体的には、この化粧品Pは、35UD~40UDの粘度を有する。さらに、この化粧品Pは、所定の接触角βを有する。具体的には、この化粧品Pは、約20度~約70度の接触角β、より好ましくは約30度~約60度の接触角を有する。液体化粧品Pの一滴をガラス板の上に滴下してから20秒後に、接触角βが測定される。
【0098】
[二重らせん構造の製造方法]
二重らせん構造200を含むアプリケータヘッド50は、既存の製造機器を使用して製造することができる。
【0099】
二重らせん構造200を含むアプリケータヘッド50を製造するための方法は、
-金属ワイヤ202の中心または中央部において折り曲げ部を形成するために、1本の金属ワイヤ202をU字形に曲げるかまたは1本の金属ワイヤ202を2つに折り曲げるステップと、
-金属ワイヤ202を金属ワイヤ202の両端から折り曲げ部まで撚り合せるステップと、
-二重らせん構造200を形成するために、撚り合された金属ワイヤ202を折り曲げ部からこれらの両端の近傍まで撚りを解くかまたは撚りを戻すステップとを含む。
【0100】
金属ワイヤ202の中心または中央部において折り曲げ部を形成するために、1本の金属ワイヤ202をU字形に曲げるかまたは1本の金属ワイヤ202を2つに折り曲げるステップについて、以下で詳細に説明する。
最初に、1本の真っすぐな金属ワイヤ202が準備される。
次いで、1本の真っすぐな金属ワイヤ202は、金属ワイヤ202の中心または中央部付近に折り曲げ部を形成するために、ジグなどを使用することによってU字形に曲げられるか、または2つに折り曲げられる。曲げられた金属ワイヤ202は、同じ方向に沿って延びる両端を有し、2つのワイヤセクションは、互いに平行に延びる。
金属ワイヤ202の折り曲げ部は先端110に対応するので、折り曲げ部は、先端110が丸められた形状を有するように曲げられなければならない。
【0101】
加えて、金属ワイヤ202を金属ワイヤ202の両端から折り曲げ部まで撚り合せるステップについて、以下で詳細に説明する。
既存の製造機器を使用することによって、金属ワイヤ202の両端が固定され、折り曲げ部が、縦軸周りに一定方向に回される。
それにより、金属ワイヤ202が、撚り合され得る。
金属ワイヤ202を撚り合せることによって、2本の金属ワイヤ202は、互いに緊密にまたは密接に撚り合される。言い換えれば、2本の金属ワイヤ202は、金属ワイヤ202の間に隙間がないように、緊密にまたは密接に撚り合される。
【0102】
二重らせん構造200を形成するために、撚り合された金属ワイヤ202を折り曲げ部から両端の近傍まで撚りを解くかまたは撚りを戻すステップについて、以下で詳細に説明する。
撚り合された金属ワイヤ202の折り曲げ部が、金属ワイヤ202を撚り合せる回転方向と反対の方向に、縦軸周りに回される。これにより、撚り合された金属ワイヤ202は、所定の長さだけ、折り曲げ部から撚りを解かれるかまたは撚りを戻される。それゆえ、これにより、折り曲げ部に対応する先端110から長手方向の長さLを有する二重らせん構造200の形成がもたらされる。当然ながら、二重らせん構造200の近位端において、金属ワイヤ202は、緊密におよび/または密接に撚り合されたままである。
上述の撚りを解くかまたは撚りを戻すステップは、上記で説明した既存の製造機器を使用することによって、撚り合せるステップとともに連続的に実行され得る。すなわち、製造機器は、金属ワイヤ202を撚り合せるために折り曲げ部を一定方向に回し、次いで何も交換することなく、折り曲げ部を反対方向に回すことができる。
【0103】
[実施例2(三重らせん構造)]
本出願の
図7は、多重らせん構造100が三重らせん構造300であるときの本発明のアプリケータ30を示す。
上記の実施形態の構成と同じ構成の記述は省略する。
【0104】
本出願の
図7に示すように、本発明の多重らせん構造100は、3本の撚り合されたワイヤ302および302'で、好ましくは3本の平行な撚り合されたワイヤ302および302'で形成された三重らせん構造300である。
【0105】
金属ワイヤの中心または中央部において折り曲げ部を形成するために、1本の金属ワイヤをU字形に曲げるかまたは1本の金属ワイヤを2つに折り曲げることによって、2本の金属ワイヤ302が形成される。1本の追加の金属ワイヤ302'が、溶接または他のよく知られている固定方法によってワイヤ302の折り曲げ部の近傍に接続または固定される。それゆえ、3本の金属ワイヤ302および302'は、折り曲げ部から延びる。これらの3本のワイヤ302および302'は、アプリケータヘッド50の先端110において互いに接続される。
【0106】
これらの3本の金属ワイヤ302および302'のうちの2本の間の空隙または隙間は、互いに同じであってもよくまたは異なってもよい。これらの3本の金属ワイヤ302および302'のうちの2本の間の空隙は、二重らせん構造200におけるワイヤ202の間の空隙より狭くあり得る。
【0107】
[三重らせん構造の製造方法]
本発明の三重らせん構造300を含むアプリケータヘッド50は、既存の製造機器を使用して製造することができる。
【0108】
本発明の三重らせん構造300を有するアプリケータヘッド50を製造するための方法は、
-金属ワイヤ302の中心または中央部において折り曲げ部を形成するために、単一の金属ワイヤ302をU字形に曲げるかまたは単一の金属ワイヤ302を2つに折り曲げるステップと、
-溶接工程などの知られている固定方法を使用して、1本の追加の金属ワイヤ302'を折り曲げ部に固定するステップと、
-金属ワイヤ302および302'の両端を既存の製造機器に固定するステップと、
-これらの金属ワイヤ302および302'が緊密におよび/または密接に撚り合されるように、折り曲げ部を長手方向周りに一方向に回すステップと、
-回すステップの後、3本の金属ワイヤ302および302'を含む三重らせん構造300を形成するために、撚り合された金属ワイヤ302および302'を折り曲げ部からこれらの金属ワイヤ302および302'の両端の近傍まで撚りを解くかまたは撚りを戻すステップとを含む。
【0109】
本発明の三重らせん構造300を有するアプリケータヘッド50は、上記の方法以外の知られて方法を使用して形成されてもよい。
【0110】
[実施例3(四重らせん構造)]
本出願の
図8は、多重らせん構造100が四重らせん構造400であるときの本発明のアプリケータ30を示す。
上記の実施形態の構成と同じ構成は、記述を省略する。
【0111】
本出願の
図8に示すように、本発明の多重らせん構造100は、4本の撚り合されたワイヤ402、好ましくは4本の平行な撚り合されたワイヤ402で形成された四重らせん構造400である。
【0112】
金属ワイヤ402の中心または中央部において折り曲げ部を形成するために、2本の金属ワイヤ402の各々をU字形に曲げるかまたは2本の金属ワイヤ402の各々を2つに折り曲げることによって、4本のワイヤ402が形成される。2本の金属ワイヤ402の折り曲げ部は、溶接または他のよく知られている固定方法によって互いに接続または固定される。それゆえ、4本の金属ワイヤ402は、固定された折り曲げ部から延びる。
【0113】
これらの4本の金属ワイヤ402のうちの2本の間の空隙または隙間は、互いに同じであってもよくまたは異なってもよい。この空隙は、二重らせん構造200における金属ワイヤ202の間の空隙および三重らせん構造300における金属ワイヤ302の間の空隙より狭くあり得る。
【0114】
[四重らせん構造の製造方法]
本発明の四重らせん構造400を含むアプリケータヘッド50は、既存の製造機器を使用して製造することができる。
【0115】
四重らせん構造400を有するアプリケータヘッド50を製造するための方法は、
-各金属ワイヤ402の中心または中央部において折り曲げ部を形成するために、2本の金属ワイヤ402の各々をU字形に曲げるかまたは2本の金属ワイヤ402の各々を2つに折り曲げるステップと、
-溶接または他の知られている固定方法を使用することによって2つの折り曲げ部を互いに固定するステップと、
-金属ワイヤ402の両端を既存の製造機器に固定するステップと、
-これらの金属ワイヤ402が緊密におよび/または密接に撚り合されるように、固定された折り曲げ部を長手方向周りに一方向に回すステップと、
-回すステップの後、4本の金属ワイヤ402を含む四重らせん構造400を形成するために、撚り合された金属ワイヤ402を固定された折り曲げ部からこれらの金属ワイヤ402の両端の近傍まで撚りを解くかまたは撚りを戻すステップとを含む。
【0116】
本発明の四重らせん構造400を有するアプリケータヘッド50は、上記の方法以外の知られている方法を使用することによって形成されてもよい。
【0117】
本発明は、上記で説明した実施形態および実施例に限定されない。たとえば、上記の実施形態では、アプリケータヘッド50は、ステム60を介して握り部40に間接的に接続される。しかしながら、本発明におけるアプリケータヘッド50は、握り部40に直接的に接続されてもよい。
【0118】
加えて、上記の実施例は、二重らせん構造200、三重らせん構造300、または四重らせん構造400を有するアプリケータヘッド50を説明する。しかしながら、本発明はそれらに限定されず、五重らせんまたはそれ以上の多重らせん構造を有するアプリケータヘッドであってもよい。
【0119】
その一方で、本発明の技術的な趣旨を、上記の実施形態に従って詳細に説明したが、上記の実施形態は、説明のためのものであって限定するためのものではないことに留意されたい。加えて、様々な実施形態が、本発明の技術的思想の範囲内で可能であることは、当業者には理解されよう。
【符号の説明】
【0120】
10 キット
20 容器
22 本体
24 ねじ山付きネック
26 拭い取り部材
28 リップ
30 アプリケータ
40 握り部
42 キャップ
50 アプリケータヘッド
60 ステム
62 近位端
64 遠位端
100 多重らせん構造、多重らせん構造
102 ワイヤ
104 近位端
106 遠位端
108 本体部、本体
110 先端
200 二重らせん構造
202 ワイヤ、金属ワイヤ
300 三重らせん構造
302 ワイヤ、金属ワイヤ
302' ワイヤ、金属ワイヤ
400 四重らせん構造
402 ワイヤ、金属ワイヤ
【外国語明細書】