(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023021002
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】引込可能な水中翼を有する船舶
(51)【国際特許分類】
B63B 1/30 20060101AFI20230202BHJP
【FI】
B63B1/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022118102
(22)【出願日】2022-07-25
(31)【優先権主張番号】2150972-4
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(31)【優先権主張番号】2150973-2
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(31)【優先権主張番号】2150974-0
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(31)【優先権主張番号】2151352-8
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(71)【出願人】
【識別番号】522296918
【氏名又は名称】カンデラ テクノロジー アクチエボラグ
【氏名又は名称原語表記】Candela Technology AB
【住所又は居所原語表記】Vardshusvagen 1, Lidingo, Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グスターヴ ハッセルスコーグ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】船体と、支柱を備える水中翼保持装置によって船体に取り付けられた水中翼とを備える船舶を提供する。
【解決手段】船舶は、船体と、支柱を有する水中翼保持装置によって船体に搭載される水中翼と、展開位置から拘束位置まで水中翼を移動するように、拡張位置から引込位置まで支柱を引き込むように構成され、拡張位置および/または引込位置で支柱をロックするように構成される支柱調整装置と、を備える船舶であって、支柱の少なくとも一部は、前縁および鈍形後縁を形成するハイドロダイナミック部分を有し、支柱調整装置の保護部分が、支柱の長手方向における保護部分の拡張部が支柱の長手方向における鈍形後縁の拡張部内であり、かつ、船舶の直進方向から見て保護部分が鈍形後縁の後に位置する、および/または、ハイドロダイナミック部分の、鈍形後縁から延びる1つ以上のキャビティ内に位置するように、位置決めされるように構成されている。
【選択図】
図4a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体(2)と、
支柱(3021、503)を有する水中翼保持装置(302)によって前記船体(2)に搭載される水中翼(301、601)と、
展開位置から拘束位置まで前記水中翼(301、601)を移動するように、拡張位置から引込位置まで前記支柱(3021、503)を引き込むように構成され、および/または、前記拡張位置および/または前記引込位置で前記支柱をロックするように構成される支柱調整装置(310、510)と、を備える船舶であって、
前記支柱の少なくとも一部は、前縁(5036)および鈍形後縁(5037)を形成するハイドロダイナミック部分を有し、
前記支柱調整装置の保護部分(5101’、5104、5036)が、前記支柱の長手方向における前記保護部分の拡張部が前記支柱の前記長手方向における前記鈍形後縁の拡張部内であり、かつ、前記船舶の直進方向から見て前記保護部分が前記鈍形後縁の後に位置する、および/または、前記ハイドロダイナミック部分の、前記鈍形後縁から延びる1つ以上のキャビティ(5111)内に位置するように、位置決めされている、および/または位置決めされるように構成されている、
船舶。
【請求項2】
前記支柱調整装置の前記保護部分(5101’、5104、5036)は、前記ハイドロダイナミック部分の翼弦線(CL)に対して、横方向に延びている、または、延びるように構成され、前記翼弦線を横切る方向における、前記鈍形後縁の前記拡張部(TE)より、前記翼弦線から離れていない、
請求項1に記載の船舶。
【請求項3】
前記支柱調整装置(310、510)の前記保護部分(5101’、5104、5036)は、前記鈍形後縁(5037)から完全に最大距離(MD)内にある、または、あるように配置されており、
最大距離は、前記ハイドロダイナミック部分の前記翼弦線に沿う前記ハイドロダイナミック部分の拡張部の、300%、好ましくは200%、好ましくは100%、好ましくは50%、好ましくは30%、好ましくは20%、である、
請求項1または請求項2に記載の船舶。
【請求項4】
前記船舶が水中翼モードで動いている場合、水面下になるように配置される前記支柱調整装置の全ての部分は、前記船舶の直進方向から見て前記鈍形後縁の後に位置している、および/または、前記ハイドロダイナミック部分の、前記鈍形後縁から延びる1つ以上のキャビティ内に位置している、
請求項1~3の何れか1項に記載の船舶。
【請求項5】
前記船舶は、前記支柱に取り付けられるプロペラ装置(5011、5012)を含み、
前記船舶が静止して浮いている場合、前記鈍形後縁は、前記プロペラ装置によって形成されるプロペラディスクの垂直拡張部上で終結している、
請求項1~4の何れか1項に記載の船舶。
【請求項6】
前記支柱調整装置(310、510)の前記保護部分(5101’、5104、5036)は、第1係合装置(5104)を含み、
前記支柱調整装置は、前記第1係合装置と係合して前記支柱(3021、503)を前記引込位置でロックするように構成される第2係合装置(5106)を含む、
請求項1~5の何れか1項に記載の船舶。
【請求項7】
前記支柱調整装置(310、510)の前記保護部分(5101’、5104、5036)は、前記鈍形後縁(5037)に沿って延びる伸長可撓装置(5101)の少なくとも一部を含み、
前記支柱(3021、503)は、前記伸長可撓装置により引っ張られることによって前記拡張位置から前記引込位置まで引き込まれるように構成される、
請求項1~6の何れか1項に記載の船舶。
【請求項8】
船舶の船体(2)に水中翼(301、601)を搭載するための支柱であって、
前記支柱は、展開位置から拘束位置まで前記水中翼(301、601)を移動するように、拡張位置から引込位置に前記支柱(3021、503)を引き込むように構成され、および/または、前記拡張位置および/または前記引込位置で前記支柱をロックするように構成される支柱調整装置(310、510)用の1つ以上のパーツ(5104、5108)を含み、
前記支柱の少なくとも一部分は、前縁(5036)および鈍形後縁(5037)を形成するハイドロダイナミック部分を有し、
前記支柱調整装置用の前記1つ以上のパーツ(5104、5108)は、前記ハイドロダイナミック部分の翼弦線の方向において、前記鈍形後縁を含む前記ハイドロダイナミック部分の側に位置し、および/または、前記ハイドロダイナミック部分の、前記鈍形後縁から延びる1つ以上のキャビティ(5111)内に位置する、
支柱。
【請求項9】
前記支柱調整装置(310、510)用の前記1つ以上のパーツ(5104、5108)は、前記鈍形後縁(5037)により形成される表面の拡張部(TE)内に位置し、拡張部は、前記ハイドロダイナミック部分の翼弦線(CL)を横切る、
請求項8に記載の支柱。
【請求項10】
前記支柱調整装置(310、510)用の前記1つ以上のパーツ(5104、5108)は、前記鈍形後縁(5037)から完全に最大距離(MD)内であり、
最大距離は、前記ハイドロダイナミック部分の前記翼弦線に沿う前記ハイドロダイナミック部分の拡張部の、300%、好ましくは200%、好ましくは100%、好ましくは50%、好ましくは30%、好ましくは20%、である、
請求項8または請求項9に記載の支柱。
【請求項11】
前記ハイドロダイナミック部分により形成される前記鈍形後縁は、前記支柱を横切る断面において、前記ハイドロダイナミック部分の翼弦線に対して60-120度の角度、好ましくは70-110度の1つ以上の角度を形成する1つ以上の表面によって形成される、
請求項8~10の何れか1項に記載の支柱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船体と、支柱を備える水中翼保持装置によって船体に取り付けられた水中翼とを備える船舶に関する。本発明はまた、水中翼を船舶の船体に取り付けるための支柱に関する。
【背景技術】
【0002】
水中翼船舶は、エネルギー効率の良いタイプの海上輸送を提供することができる。しかしながら、このような船舶の欠点は、水中翼及びそれらを保持する構造が、海底面又は浮遊物に当たると損傷を受けやすいことである。
【0003】
WO2020056530A2は、浮遊物体または海底面との衝突からのそれらの保護のために折り畳まれている水中翼船舶の水中翼を開示している。しかしながら、そのような折り畳み可能性を提供するためのアクチュエータおよびリンク機構は、船舶の複雑さ、したがって、船舶のコストを増加させる。また、折り畳み性のためのリンクが水面より下にある場合には、抗力を増加させ、従って、船舶のエネルギー効率を減少させる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、船舶のエネルギー効率を保ちながら、水中翼が損傷から保護される水中翼船舶を提供することである。
【0005】
その目的は、請求項1に記載の船舶で達成される。したがって、目的は、
船体と、
支柱を有する水中翼保持装置によって前記船体に搭載される水中翼と、
展開位置から拘束位置まで前記水中翼を移動するように、拡張位置から引込位置まで前記支柱を引き込むように構成され、および/または、前記拡張位置および/または前記引込位置で前記支柱をロックするように構成される支柱調整装置と、を備える船舶であって、
前記支柱の少なくとも一部は、前縁および鈍形後縁を形成するハイドロダイナミック(hydrodynamic)部分を有し、
前記支柱調整装置の保護部分が、前記支柱の長手方向における前記保護部分の拡張部が前記支柱の前記長手方向における前記鈍形後縁の拡張部内であり、かつ、前記船舶の直進方向から見て前記保護部分が前記鈍形後縁の後に位置する、および/または、前記ハイドロダイナミック(hydrodynamic)部分の、前記鈍形後縁から延びる1つ以上のキャビティ内に位置するように、位置決めされている、および/または位置決めされるように構成されている、船舶で達成される。
【0006】
船舶は、様々な異なるタイプのものであってもよい。例えば、船舶は、モーターボート、遊覧船、または乗客および/または物品を運ぶ、または監視もしくはサービスなどの商業的操作用の船舶であってもよい。いくつかの実施形態では、船舶は軍用船舶であってもよい。
【0007】
支柱調整装置は、支柱を拡張位置から引込位置に引き込むように構成されてもよい。代替的に、または追加的に、支柱調整装置は、支柱を拡張位置にロックするように構成されてもよい。あるいは、または加えて、支柱調整装置は、支柱を引込位置にロックするように構成されてもよい。
【0008】
支柱は、少なくとも部分的に船体から下方に延びるように構成することができる。ハイドロダイナミック部分によって形成される前縁は、支柱の横断面に見られるように丸くすることができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、ハイドロダイナミック部分によって形成される前縁は尖っていてもよい。
【0009】
支柱調整装置は、支柱に固定される第1作動装置と、第1作動装置と係合されるか、または係合されるように適合される第2作動装置とを含んでいても良い。支柱調整装置は、第2作動装置が第1作動装置を動かすように力を第1作動装置に付与し、それによって支柱を動かすように、第2作動装置が第1作動装置に力を付与するように構成された駆動装置をさらに備えてもよい。支柱調整装置の保護部分は、1つ以上の第1作動装置を備えることができる。いくつかの実施形態では、支柱調整装置の保護部分は、1つ以上の第2作動装置、または第2作動装置の一部を備える。
【0010】
保護部分は、支柱調整装置の1つ以上の部分によって形成することができる。保護部分は、支柱に沿った鈍形後縁の拡張部内に位置することができる。いくつかの実施形態では、支柱調整装置の保護部分は、船舶の直進方向から見て、鈍形後縁の後に位置するように、位置決めされる、および/または位置決めされるように構成される。
【0011】
他の実施形態では、保護部分は、ハイドロダイナミック部分内の1つ以上のキャビティ内にあるように位置し、および/または位置するように構成され、1つ以上のキャビティは、鈍形後縁から延びる。このような実施形態では、好ましくは、前記1つ以上のキャビティは、鈍形後縁から船舶の直進方向に延在する。これにより、支柱調整装置の保護部分は、船舶の直進方向に見られるように、鈍形後縁の前方に位置することができる。いくつかの実施態様において、1つ以上のキャビティは、支柱の長手方向に延びる溝によって形成されてもよい。
【0012】
支柱調整装置の保護部分、またはその1つ以上の部分は、支柱の引込位置において、鈍形後縁の後ろの位置から、および/またはハイドロダイナミック部分の1つ以上のキャビティから除去されてもよい。
【0013】
例えば、以下に例示するように、支柱調整装置の保護部分は、引き込まれた支柱の位置のウインチ上で巻き上げられるロープ又はワイヤのような伸長可撓性要素の一部を備えることができる。しかしながら、拡張された支柱の位置では、伸長可撓性要素の少なくとも一部は、船舶の直進方向に見て鈍形後縁の後にあるように、および/または、1つ以上のキャビティが鈍形後縁から延在するハイドロダイナミック部分内の1つ以上のキャビティ内にあるように、位置付けられる。それによって、伸長可撓性要素の少なくとも一部は、船舶の直進方向に見て鈍形後縁の後に位置するように、および/または1つ以上のキャビティが鈍形後縁から延在するハイドロダイナミック部分内の1つ以上のキャビティ内に位置するように、位置決めされるように構成される。
【0014】
したがって、支柱調整装置の保護部分は、支柱が伸長位置にあるとき、船舶の直進方向に見て鈍形後縁の後に位置するように、および/または1つ以上のキャビティが鈍形後縁から延在するハイドロダイナミック部分内の1つ以上のキャビティ内に位置するように、位置決めされるように構成され得る。
【0015】
ハイドロダイナミック部分によって形成される鈍形後縁は、支柱の横断面において、ハイドロダイナミック部分の翼弦線に対して60~120度、好ましくは70~110度の1つ以上の角度を形成する1つ以上の表面によって形成され得る。例えば、鈍形後縁を形成する1つ以上の表面は、ハイドロダイナミック部分の翼弦線に垂直であってもよい。鈍形後縁を形成する1つ以上の表面は、支柱に沿って延在してもよい。翼弦線は、ハイドロダイナミック部分の対称線と一致してもよい。翼弦線は、前縁から鈍形後縁の中間点まで延びてもよい。好ましくは、支柱の横断面に見られるように、鈍形後縁を形成する1つ以上の表面は直線である。あるいは、鈍形後縁を形成する1つ以上の表面は、湾曲していてもよい。
【0016】
好ましくは、支柱の横断面に見られるように、鈍形後縁を形成する1つ以上の表面は、ハイドロダイナミック部分のそれぞれの側面を有する角部を形成する。角部は、互いに70~110度の角度で配向された表面によって形成されてもよい。角部は、小さい半径、例えば、鈍形後縁の幅の1/10未満を有することができる。それによって、角部は急激であり得る。これにより、角部において、ハイドロダイナミック部分の側面を通過する水流の分離がもたらされる。これにより、以下に説明するように、鈍形後縁の後にキャビティが形成される。
【0017】
保護部分は、支柱に沿った鈍形後縁の拡張部内に位置するように、位置決めされ、及び/又は位置決めされるように構成される。即ち、保護部分は、位置決めされ、及び/又は位置決めされるように構成され、支柱の長手方向における鈍形後縁の拡張部内に位置するようになっている。従って、船舶が真っ直ぐ前方に進行しているとき、支柱調整装置の保護部分の垂直方向の拡張部は、鈍形後縁の垂直方向の拡張部内とすることができる。
【0018】
好ましくは、支柱調整装置の保護部分の少なくとも一部は、船舶が静穏な水上を水中翼モードで直進しているときに水面下になるように配置される。これにより、船舶が静かな水上で水中翼モードで真っ直ぐに走行しているときに、保護部分の一部を水面の上方に配置することができる。
【0019】
好ましくは、支柱調整装置の保護部分は、ハイドロダイナミック部分の翼弦線に対して横方向に、かつ支柱の長軸に対して横方向に延在する、または延在するように配置され、翼弦線に対して横方向であり、かつ支柱の長軸に対して横方向である方向において、鈍形後縁の拡張部よりも翼弦線から離れていない。それによって、支柱調整装置の保護部分は、鈍形後縁によって形成された1つ以上の表面の拡張部内に位置することができ、この拡張部は、ハイドロダイナミック部分の翼弦線を横切る。これにより、鈍形後縁の幅方向において、支柱調整装置の保護部分は鈍形後縁よりも遠くに延びない。従って、保護部分は、支柱の横方向拡張部内に位置する。
【0020】
上記から理解されるように、いくつかの実施形態では、支柱調整装置の保護部分は、後縁から前縁に向かって翼弦線に沿った方向に見られるように、鈍形後縁の後方である、又は後縁の後方になるように配置される。好ましくは、支柱調整装置の保護部分は、鈍形後縁から完全に最大距離内にある、またはあるように配置されており、その最大距離は、ハイドロダイナミック部分の翼弦線に沿うハイドロダイナミック部分の拡張部の300%、好ましくは200%、好ましくは100%、好ましくは50%、好ましくは30%、好ましくは20%である。支柱調整装置の保護部分は、翼弦線の拡張部に沿って、後縁の後方に分布させることができる。
【0021】
鈍形後縁によって、支柱は換気プロファイルを形成することができる。支柱は、ベース換気プロファイルであってもよい。いくつかの実施形態では、支柱は、スーパーキャビテーティング(supercavitating)プロファイルを形成してもよい。それによって、ベース換気セクションは、大気に通気されるベースキャビティを備えることができる。鈍形後縁の後方に作られたキャビティは、大気から支柱に沿って下方に向かって空気通路を形成することができる。鈍形後縁は、前縁と後縁の間にあるセクションのパーツの換気のリスクを軽減する。換気に必要な条件は流れの分離である。同様に、流れの分離は、支柱から見られるように、流量がプロファイルに沿って減少することを前提としている。水の速度は、プロファイルが厚くなるにつれて増加する。最大速度は、プロファイルがその最大厚さを有する位置でほぼ到達することができる。この位置の下流では、速度が低下する。それによって、流れは分離する危険性がある。例えば、支柱が上方に延びて水面より上に達するので、空気へのアクセスがある場合、分離された流れによって形成されたキャビティ内に空気が吸い込まれる危険性がある。これにより、換気が行われる。換気の問題は、通常、突然、一般に片側のみにくることである。これにより、換気側の負圧の大部分が失われる。これは、船舶の横方向に力を生成する。そのような換気は、支柱が船舶の船尾またはその付近に位置する場所で、ヨーモーメントを生成することができる。このような換気は、支柱が船舶の重心により近くに位置する場合、ロールモーメントを発生させる。
【0022】
鈍形後縁では、このような換気を回避することができる。代わりに、換気された外形で、安定したエアポケット、または空気で満たされたキャビティが、支柱の後ろに形成され得る。
【0023】
加えて、耐水性に対する曲げ剛性の比は、従来のプロファイル、例えば、同様の比率の従来のプロファイルよりも、換気プロファイルの方が良好であり得る。
【0024】
本発明の実施形態では、船舶が前方に移動しているとき、支柱調整装置の保護部分は、自由水流から保護される。それによって、船舶が前方に移動するにつれて、本発明は、支柱調整装置の保護部分が、支柱によって形成された後流内に位置することを可能にする。したがって、本発明は、支柱調整装置の保護部分のために、プロファイルの後の空間、または鈍形後縁内の1つ以上のキャビティの使用を可能にする。この位置は、1つ以上の部品が耐水性に影響を及ぼさないことを意味する。すなわち、鈍形後縁の後ろに、および/または鈍形後縁の1つ以上のキャビティに形成される空気キャビティが、水流に影響を及ぼすことなく、支柱調整装置のために使用される。
【0025】
船舶の抵抗を低減するために、支柱調整装置の1つ以上のパーツは、鈍形後縁の後に、および/または鈍形後縁の1つ以上のキャビティに配置され、45ノットを超える船舶速度ならびにより低い速度で有用である。したがって、本発明の実施形態では、船舶は、40ノット未満、例えば35ノット未満の最大速度を有することができる。それにもかかわらず、船舶は、15ノットを超える、例えば18ノットを超える最大速度を有することができる。
【0026】
支柱を拡張位置から引込位置に引き込む能力により、海岸上陸のため、及び/又は船舶をトレーラーに乗せるために、浅い水中での操作が可能になる。また、引込容量は、海藻等の成長から水中翼を保護することを可能にし、これは、船舶の効率を損なう可能性がある。引込容量は、さらに、半翼または純平面モードを可能にしてもよく、この場合、翼は、船体抗力を減少させるために、ある程度の揚力を提供しながら、支柱抗力を減少させるために、より高くなる。
【0027】
理解されるように、支柱調整装置の1つ以上の部分は、鈍形後縁の後方に、および/または鈍形後縁の1つ以上のキャビティ内に配置され、船舶の抵抗の増加を引き起こすことなく、引込性を許容する。
【0028】
船舶の直進方向に見て鈍形後縁の後に位置するように、および/または鈍形後縁内の1つ以上のキャビティ内に位置するように、支柱調整装置の1つ以上のパーツを位置決めすることによって、1つ以上のパーツは、支柱に沿って延在することができる。これにより、支柱調整装置の保護部分を支柱に近づけることができる。支柱調整装置は、支柱を支柱の長軸に沿って移動させることによって、支柱を引き込むように構成されてもよい。それによって、支柱は、回転することなく引き込まれるように構成され得る。これは、船舶の直進方向に見て鈍形後縁の後に位置するように、および/または鈍形後縁内の1つ以上のキャビティ内に位置するように、支柱調整装置の保護部分が位置決めされる、または位置決めされるように構成されることと組み合わせて、支柱調整装置の短いモーメントアームを可能にする。
【0029】
このような短いモーメントアームは、支柱調整装置の複雑さ及び/又は重量を減少させることになる。低い重量は船舶のエネルギー効率を保持するのに寄与し得る。したがって、本発明は、船舶のエネルギー効率を保ちながら、水中翼を損傷から保護するための支柱調整装置の簡単な実施形態を可能にする。
【0030】
さらに、回転せずに引き込まれるように構成されている支柱は、船舶が動いているときに、引込位置から拡張位置へ、またその逆への調節を可能にする。それによって、水中翼は、拘束位置から展開位置に移動される間、実質的に同じ迎え角にとどまることができ、逆もまた同様である。これとは対照的に、折り畳み/回転機構を備えた水中翼は、一方の位置から他方の位置へ回転しているときに、強い抵抗および/または強い垂直力を引き起こす迎え角を推測することができる。
【0031】
好ましくは、船舶が水中翼モードで動いている場合、水面下になるように配置される支柱調整装置の全てのパーツは、船舶の直進方向から見て鈍形後縁の後に位置している、および/またはハイドロダイナミック部分の、鈍形後縁から延びる1つ以上のキャビティ内に位置している。好ましくは、水中翼モードでは、船体は水から持ち上げられる。
【0032】
従って、支柱調整装置の保護部分は、船舶が水中翼モードで進行しているときに水面下にあるように配置される支柱調整装置の全てのパーツを備えることができる。
【0033】
船舶が水中翼モードで動いているときに水面下になるように配置される支柱調整装置のパーツは、支柱調整装置のウェット(wet)部分を形成することができる。ウェット部分は、船舶が水中翼モードで、直進し、平坦な水上を走行しているときに、水面下になるように配置される支柱調整装置の一部であってもよい。したがって、ウェット部分を規定するさらなる特徴は、船舶が最大のエンジンまたはモータ電力で進行することであってもよい。ウェット部分を規定するさらなる特徴は、船舶がその最大重量で積載されることであり得る。水中翼モードの要件としては、船体全体が水面より上にあることが考えられる。したがって、好ましくは、支柱調整装置のウェット部分は、船舶の直進方向に見て鈍形後縁の後に位置するように、および/または1つ以上のキャビティが鈍形後縁から延在するハイドロダイナミック部分の1つ以上のキャビティ内に位置するように、位置決めされ、および/または位置決めされるように構成される。
【0034】
さらなる実施形態では、支柱調整装置の保護部分は、支柱調整装置の静止水中部分を備え、この静止水中部分は、船舶が平坦な水中で静止して浮いているときに、水面下にあるように配置される。それによって、静止水中部分を規定するさらなる特徴は、船舶がその最大重量で積載されることであり得る。静止水中部分を規定するさらなる特徴は、支柱がその拡張位置にあることであり得る。したがって、好ましくは、支柱調整装置の静止水中部分は、船舶の直進方向に見て鈍形後縁の後に位置するように、および/または1つ以上のキャビティが鈍形後縁から延在するハイドロダイナミック部分の1つ以上のキャビティ内に位置するように、位置決めされ、および/または位置決めされるように構成される。
【0035】
いくつかの実施形態では、船舶は、支柱に取り付けられるプロペラ装置を含む。従って、船舶が静止して浮いている場合、鈍形後縁は、プロペラ装置によって形成されるプロペラディスクの垂直拡張部上で終結していてもよい。鈍形後縁の下方では、支柱は鋭い後縁を呈してもよい。これにより、鈍形後縁の後方に形成されたエアポケットは、プロペラ装置に到達しないことがある。これにより、プロペラの操作を阻害する空気を回避することができる。プロペラ装置は、1つ以上のプロペラを備えてもよい。プロペラディスクは、プロペラ装置のプロペラのブレードの後退領域によって形成することができる。プロペラ装置が2つ以上のプロペラ、例えば2つの同軸プロペラを含む場合、プロペラディスクは、プロペラのうちの1つのプロペラディスクとみなされ得る。プロペラが等しくないサイズのディスクを有する場合、鈍形後縁は、最大プロペラディスクの垂直方向の拡張部の上で終結することができる。
【0036】
好ましくは、船舶は、船舶が静かな水上で水中翼モードで真っ直ぐに動いているとき、鈍形後縁が水面の下方から水面の上方に延びるように構成される。それによって、先に述べたように、鈍形後縁は、支柱調整装置のウェット部分の上方に延在することができる。
【0037】
好ましくは、支柱調整装置の保護部分は、第1係合装置を含み、支柱調整装置は、第1係合装置と係合して支柱を引込位置でロックするように構成された第2係合装置を含む。それによって、鈍形後縁の後に、および/または鈍形後縁の1つ以上のキャビティ内に位置するように位置決めされる、支柱調整装置の1つ以上のパーツは、第1係合装置を備えることができ、支柱調整装置は、第1係合装置と係合して支柱を引込位置にロックするように構成される第2係合装置を備える。支柱調整装置の保護部分は、更なる第1係合装置を更に備えることができる。第2係合装置は、拡張位置で支柱をロックするために、第1係合装置にさらに係合するように構成されてもよい。従って、支柱調整装置は、支柱を引込位置、好ましくは拡張位置にロックするためのロック装置を備えることができる。
【0038】
それによって、支柱をロックするための1つ以上の第1係合装置が、支柱上に直接配置され得る。これにより、支柱ロック装置のためのモーメントアームが無くなる、または短くなることが可能になり、これにより、ロック装置のための単純または軽量の構造が可能になる。
【0039】
第1係合装置は、鈍形後縁から延びるロック突起の形成で設けることができる。ロック突起は、第2係合装置の可動雄型係合要素を受容するように構成された凹部または貫通開口を備えてもよい。このような複数のロック突起は、鈍形後縁から隆起し、鈍形後縁に沿って延在する隆起部を形成することができる。より一般的には、2つの第1係合装置は、鈍形後縁に沿って分配されてもよく、それによって、第2係合装置は、第1係合装置の1つと係合して、支柱を引込位置にロックし、第1係合装置の他の1つと係合して、支柱を拡張位置にロックするように構成される。
【0040】
いくつかの実施形態では、第1係合装置は、第2係合装置の可動雄型係合要素を受け入れるように構成された鈍形後縁の凹部を備える。あるいは、第1係合装置は、支柱に取り付けられた雄型係合要素を備えることができ、第2係合装置は、雄型係合要素を受け入れるように構成された凹部を備えた可動要素を備えることができる。
【0041】
支柱調整装置の実施形態にかかわらず、1つ以上の第1係合装置は、好ましくは、船舶の直進方向に見て鈍形後縁の後に、および/またはより具体的には鈍形後縁の1つ以上のキャビティ内に位置するように配置される。
【0042】
提案されるように、いくつかの実施形態では、支柱調整装置の保護部分は、鈍形後縁に沿って延びる、伸長可撓装置、例えばロープ、ワイヤ、またはケーブルの少なくとも一部を含む。それによって、船舶の直進方向に見て鈍形後縁の後に位置するように配置される支柱調整装置の1つ以上の部分、および/または1つ以上のキャビティが鈍形後縁から延びるハイドロダイナミック部分内の1つ以上のキャビティ内に位置するように配置される支柱調整装置の1つ以上の部分は、鈍形後縁に沿って延びる伸長可撓装置の少なくとも一部を備えることができ、支柱は、伸長可撓装置により引っ張られることによって、拡張位置から引込位置まで引き込まれるように配置される。それによって、支柱は、伸長可撓装置によって引っ張られることによって、拡張位置から引込位置に引き込まれるように配置され得る。それによって、支柱は、支柱の長手方向の拡張部に沿って引っ張られることができる。
【0043】
伸長可撓装置は、支柱を引っ張るために支柱に係合されてもよい。伸長可撓性要素は、支柱に固定される締結要素に係合されてもよい。締結要素は、突出部の形成であってもよく、その中に開口部を有する。それによって、伸長可撓性要素は、突出部に固定される開口部を通って延在し得る。突出部は、ブラケット、リッジ(ridge)、U字釘、ステープル、または同様の形態であってもよい。突出部が鈍形後縁からはみ出す場合がある。例えば、引込位置および拡張位置に支柱をロックするための凹部または貫通孔を有するリッジは、鈍形後縁から隆起させてもよく、鈍形後縁に沿って延在させてもよい。それにより、伸長可撓装置は、凹部または貫通孔の下のリッジに締結されてもよい。
【0044】
突出部は、本明細書で第1作動装置と呼ばれるものを形成することができ、伸長可撓性要素は、本明細書で第2作動装置と呼ばれるものを形成することができる。伸長可撓性要素のためのウインチは、本明細書では駆動装置と呼ばれるものを形成することができる。
【0045】
代替の実施形態では、支柱調整装置の保護部分は、鈍形後縁に沿って分配された歯を含み、例えば、歯のラックを形成する。これにより、電動歯付ピニオンホイールを、支柱保持アセンブリに固定し、支柱歯に係合し、かつ回転して、支柱を上下に駆動するように構成してもよい。鈍形後縁に沿って分配された歯は、本明細書で第1作動装置と呼ばれるものを形成することができる。ピンオンホイールの歯は、本明細書で第2作動装置と呼ばれるものを形成することができる。電動歯付ピニオンホイールの残部は、本明細書では駆動装置と称されるものを形成することができる。
【0046】
船舶は、第1水中翼保持装置によって船体に取り付けられた第1水中翼と、第2水中翼保持装置によって船体に取り付けられた第2水中翼とを備えることができる。第1水中翼および/または第2水中翼は、上述の水中翼であってもよく、第1水中翼保持装置および/または第2水中翼保持装置は、上述の水中翼保持装置であってもよい。それによって、第2水中翼保持装置は、第1水中翼保持装置から分離され得る。第1水中翼保持装置は、1つ以上の第1水中翼支柱を含むことができる。第1及び/又は第2水中翼支柱は、船舶が直立状態で浮遊しているときに、少なくとも部分的に船体から下方に延びるように構成することができる。第1および/または第2水中翼支柱は、垂直に真っ直ぐに、または垂直軸に対してゼロでない角度で延在してもよい。第1および/または第2水中翼は、それぞれの支柱に固定されてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、第2水中翼支柱および/または1つ以上の第1水中翼支柱は、それぞれの伸長可撓装置によって、引込位置から拡張位置まで少なくとも部分的に下方に引っ張られるように配置される。他の実施形態では、第2水中翼支柱および/または1つ以上の第1水中翼支柱は、重力のみによって引込位置から拡張位置に移動するように構成され得る。
【0048】
第2水中翼は、船舶の直進方向から見て、第1水中翼の後方に配置されてもよい。あるいは、第2水中翼は、船舶の直進方向から見て、第1水中翼の前方に配置されてもよい。
【0049】
上記の目的は、請求項8に記載の支柱によっても達成される。従って、目的は、水中翼を船舶の船体に装着するための支柱で達成される。支柱は、展開位置から拘束位置まで水中翼を移動するように、拡張位置から引込位置に支柱を引き込むように構成され、及び/又は、拡張位置及び/又は引込位置に支柱をロックするように構成される支柱調整装置要の1つ以上のパーツを備える。支柱の少なくとも一部は、前縁および鈍形後縁を形成するハイドロダイナミック部分を有し、支柱調整装置のための1つ以上のパーツは、ハイドロダイナミック部分の翼弦線の方向において、鈍形後縁を含むハイドロダイナミック部分の側に位置し、および/またはハイドロダイナミック部分の、鈍形後縁から延びる1つ以上のキャビティ内に位置する。支柱調整装置用の1つ以上のパーツは、支柱の長手方向における支柱調整装置用の1つ以上のパーツの拡張部が、支柱の長手方向における鈍形後縁の拡張部内にあるように、位置決めされ、かつ/または位置決めされるように構成され得る。支柱調整装置用の1つ以上のパーツが、鈍形後縁を備えるハイドロダイナミック部分の側に配置されることによって、支柱調整装置用の1つ以上のパーツは、支柱が船体に取り付けられたときに、船舶の直進方向に見て鈍形後縁の後ろに配置され得る。
【0050】
有益な実施形態は、請求項9~11に定義されている。
【0051】
例えば、目的は、船舶の船体に水中翼を取り付けるための支柱で達成され、支柱の少なくとも一部は、前縁および鈍形後縁を形成するハイドロダイナミック部分を有し、支柱は、1つ以上のキャビティをハイドロダイナミック部分に提示し、1つ以上のキャビティは、1つ以上のキャビティが鈍形後縁から延在し、1つ以上のキャビティは、展開位置から拘束位置に水中翼を移動させるように支柱を拡張位置から引込位置に引き込むように構成され、および/または拡張位置および/または引込位置に支柱をロックするように構成された支柱調整装置用の1つ以上のパーツを収容するように適合される。
【0052】
本発明の第2の態様は、
船体と、
第1水中翼保持装置によって船体に取り付けられた第1水中翼と、
第1水中翼保持装置とは別体である支柱を含む第2水中翼保持装置によって船体に取り付けられる第2水中翼であって、船体から少なくとも部分的に下方に延びるように配置される支柱に固定される第2水中翼と、
トルク発生アセンブリと、
トルク発生アセンブリによって駆動されるように構成されたプロペラ装置と、
を含み、
プロペラ装置は、支柱に取り付けられ、
第2水中翼の支柱は、船舶が静止して浮いている場合、プロペラ装置および第2水中翼が水面より上にあるドライ(dry)位置に拡張位置から引き込まれるように配置され、
拡張位置からドライ位置に引き込まれる支柱の配置は、支柱の長軸にそって移動されるように配置される支柱を含む、船舶を提供する。
【0053】
引込位置からドライ位置に引き込まれる支柱の配置によって、プロペラ装置および第2水中翼の汚損を回避することができる。より具体的には、静止状態にあるときの第2水中翼上の増殖および腐食のリスクが低減または排除される。また、拡張位置、引込位置、およびドライ位置のいずれも、支柱が支柱の長軸に沿って移動されることによって到達することができる。それによって、単一の支柱調整装置を使用して、3つの位置すべてに到達することができる。これにより、支柱調整のための比較的単純なアセンブリが可能になる。
【0054】
船舶、例えば遊覧船の場合、進歩したモードは、その推進のために十分な電力容量が利用可能であれば、変位モードから平面モードに変換され得る。水中翼によって、船舶は進歩した水中翼モードをとることができる。水中翼モードの間、船体は水中から持ち上げられる。これにより、推進動力必要量を低減することができる。
【0055】
それにもかかわらず、波が比較的高いとき、水中翼船舶は、波が水中翼によって持ち上げられた船体に当たるという問題に遭遇する可能性があり、これは、船舶内の人に不快感を生じさせる可能性があり、また、水中翼がもはやその船体を支持することができなくなるほど、船舶の速度を低下させる可能性がある。また、水中翼モードにないときの水中翼船舶は、比較的大きい喫水を有し、これは、例えば、船舶をドッキングするときのように、浅い水域を移動するときに問題を生じさせる可能性がある。
【0056】
好ましくは、支柱は、プロペラ装置を展開位置から拘束位置に移動させるように、拡張位置から引込位置に引き込まれるように配置され、拘束位置では、プロペラ装置は、船舶を運ぶ水中に沈むように配置され、プロペラ装置は、展開位置では、拘束位置よりもさらに下方に位置し、拡張位置と同様に引込位置では、支柱は、プロペラ装置とともに、船舶を操縦するように、船体に対して回転するように構成される。
【0057】
これにより、プロペラ装置は、船舶の平面モードのために水中に保持され得る。従って、支柱、第2水中翼、及びプロペラ装置は、船舶の平面モードと同様に、水中翼モードにおいて、推力を発生させ、船舶操舵能力を提供するために、引き延ばされ、かつ、引っ込められ得る。
【0058】
平面モードは、波状の状況で役立つ場合がある。船舶が水中翼モードの場合、波が船舶の船体に当たる可能性がある。第2水中翼は、拘束位置において、周囲の水中に沈められるように配置されてもよい。従って、平面モードでは、第2水中翼は、船舶の船尾を持ち上げる役割を果たすことができ、これは船舶の抗力を減少させる可能性がある。これにより、船舶は、水中翼モードと同様に、平面モードにおいて高い出力効率で移動することができる。
【0059】
第2水中翼支柱は、船舶が静止して浮いているときに、プロペラ装置及び第2水中翼が水面より上にあるドライ位置に、引込位置から引き込まれるように配置することができる。
【0060】
支柱の長軸に沿って移動するように構成される支柱によって、支柱は、支柱長軸に沿って引込可能であってもよい。これにより、支柱は、回転することなく引き込むことができる。例えば、支柱が、支柱回転軸受アセンブリによって、船体に枢動可能に接続される場合、例えば、1つ以上の支柱保持ブラケットを備える支柱保持アセンブリが、支柱回転軸受アセンブリに接続されてもよい。これにより、支柱保持アセンブリを回転可能にすることができる。従って、支柱保持アセンブリは、支柱を横方向に保持してもよく、船舶操舵のために支柱を回すように回動可能であってもよい。引込のために、支柱は、支柱長軸に沿って、1つ以上のブラケットに関連して移動させることができる。
【0061】
回転せずに引き込まれるように構成されている支柱は、船舶が動いているときに、引込位置から拡張位置への調整、またその逆の調整を可能にする。それによって、水中翼は、拘束位置から展開位置に移動される間、実質的に同じ迎え角にとどまることができ、逆もまた同様である。これとは対照的に、折り畳み/回転機構を備えた水中翼は、一方の位置から他方の位置へ回転しているときに、強い抵抗および/または強い垂直力を引き起こす迎え角を推測することができる。
【0062】
好ましくは、第2水中翼は、支柱の長手方向の拡張部に沿ったプロペラ装置の拡張部内にある支柱の長手方向の拡張部に沿った位置で、第2水中翼支柱に固定される。それによって、第2水中翼およびプロペラ装置は、支柱に沿って実質的に同じ位置にあり得る。これにより、プロペラ装置と第2水中翼との組み合わせの垂直方向の伸長を最小限に抑えながら、支柱の引込位置、すなわち船舶の平面モードにおけるプロペラ装置と第2水中翼との利益を得ることができる。これにより、平面モードにおける船舶の喫水を制限することができる。また、支柱のドライ位置については、プロペラ装置と第2水中翼の組合せの垂直方向の拡張が制限されているため、水面と支柱持ち上げ装置との間に必要な距離を低く抑えることができる。
【0063】
トルク発生アセンブリは、任意の適切なタイプであってもよい。例えば、それは、1つ以上のエンジン、1つ以上の電気モータ、又は1つ以上の油圧モータを含むことができる。いくつかの実施形態では、トルク発生アセンブリは、例えば、1つ以上のエンジンおよび/または1つ以上の電気モータおよび/または1つ以上の油圧モータを備えるハイブリッドパワートレインであってもよい。
【0064】
第2水中翼が固定される支柱は、本明細書では第2水中翼支柱とも呼ばれる。支柱は、船舶が直立状態で浮遊しているときに、少なくとも部分的に船体から下方に延びるように構成される。支柱は、垂直に、または垂直軸に対してゼロ以外の角度で、真っ直ぐに延びていてもよい。
【0065】
プロペラ装置は、1つ以上のプロペラを備えてもよい。1つ以上のプロペラは、ダクトなしであってもダクト付きであってもよい。1つ以上のプロペラの回転軸は、支柱に対して固定されてもよい。プロペラ装置は、支柱の下端に取り付けることができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、プロペラ装置は、支柱の下端より上方に取り付けられてもよい。
【0066】
第2水中翼は、支柱の下端に固定されてもよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、第2水中翼は、支柱の下端の上方に固定されてもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、支柱は、拡張位置から引込位置に引込可能である。支柱の拡張位置では、第2水中翼は展開位置を仮定し、支柱の引込位置では、第2水中翼は拘束位置を仮定する。プロペラ装置と同様に、第2水中翼は、拘束位置よりもさらに下に配置された、展開位置にある。プロペラ装置の関係、すなわち、第2水中翼は、拘束位置よりも展開位置の方がさらに下方にあるが、直立状態で浮遊する船舶の文脈において理解されるべきである。
【0068】
従って、拡張位置ではもちろん、引込位置では、プロペラ装置を有する支柱は、船舶を操縦するように、船体に対して旋回可能である。船舶を操縦するために船体に対して旋回または回転する支柱の能力は、1つ以上の支柱軸受を含む支柱旋回軸受アセンブリによって提供されてもよく、それによって、支柱およびプロペラ装置は、船舶を操縦するために船体に対して旋回可能であるように、支柱が船体に旋回可能に接続される。支柱旋回軸受アセンブリは、支柱を船体に取り付けるための支柱取付装置を介して、船体に接続されてもよい。したがって、第2水中翼保持装置は、支柱に加えて、支柱回転軸受アセンブリおよび支柱取付装置を備えることができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、第2水中翼は、船舶が平面モードにあるとき、拘束位置において水の上にあるように配置されることに留意されたい。このために、第2水中翼は、プロペラ装置より上の支柱に固定されてもよい。
【0070】
好ましくは、第1水中翼を船体に取り付けるための第1水中翼保持装置は、第1水中翼を展開位置から拘束位置に移動させるように、拡張位置から引込位置に引き込まれるように構成され、第1水中翼は、展開位置において、拘束位置よりもさらに下に位置する。
【0071】
好ましくは、拘束位置において、第1水中翼は、船舶が移動するときに船舶を通過する水から除去される。拘束位置では、第1水中翼を船体の凹部に置くことができる。凹部は、下方に開くことができる。第1水中翼保持装置の引込時に、第1水中翼は、凹部内に上方に移動され得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、第1水中翼は、拘束位置に沈められるように配置される。それによって、拘束位置は、船舶の半翼モードのために使用され得る。半翼モードでは、水中翼は、水に対する船体の摩擦を減少させる揚力を作り出すことがある。半翼モードは、荒海において有用であり得る。それによって、第1水中翼は、それが部分的に展開され、水中に配置される第1拘束位置にあり、第2拘束位置にあり、移動中に船体を通過する水から除去される。第1拘束位置は、半翼モードに使用されてもよく、第2拘束位置は、平面モードに使用されてもよい。
【0073】
このような実施形態では、第1水中翼が第1拘束位置にあるとき、第2水中翼は、部分的に展開され、水中に配置される第1拘束位置にあってもよく、第1拘束位置よりも上にある、依然として水中にある第2拘束位置にあってもよい。従って、第2水中翼の第1拘束位置は、半翼モードのために使用されてもよく、第2水中翼の第2拘束位置は、平面モードのために使用されてもよい。
【0074】
しかしながら、いくつかの実施形態では、第1水中翼は、例えば半翼モードのために、単一の拘束位置に移動可能であってもよい。従って、第2水中翼は、例えば半翼モードのために、単一の拘束位置に移動可能であってもよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、第1水中翼保持装置は、船体から少なくとも部分的に下方に延在する1つ、2つ、またはそれ以上の支柱を備える。このような支柱は、本明細書では第1水中翼支柱とも呼ばれる。
【0076】
第2水中翼は、船舶の直進方向から見て、第1水中翼の後方に配置されてもよい。あるいは、第2水中翼は、船舶の直進方向から見て、第1水中翼の前方に配置されてもよい。
【0077】
第1水中翼保持装置が1つ、2つ、またはそれ以上の第1水中翼支柱を備え、第1水中翼保持装置が引き込まれるように構成される場合、1つ以上の第1水中翼支柱は、第1水中翼支柱のそれぞれの長軸に沿って移動するように構成され得る。それによって、第1水中翼保持装置は、1つ以上の支柱をそれらの長軸に沿って持ち上げることによって引き込むように構成され得る。これにより、第1水中翼保持装置は、回転することなく引き込まれることができる。他の実施形態では、1つ以上の第1水中翼支柱は、折り畳まれることによって引き込まれる。
【0078】
第1水中翼が引き込まれるように構成される場合、拘束位置において、第1水中翼は、船舶が静止して浮かんでいるときに水面より上にあってもよい。これにより、静止時の第1水中翼の増殖及び腐食の危険性が低減又は排除される。
【0079】
これは、第1水中翼を水面の上方に移動させるのに十分な深さの船体の凹部によって達成され得る。凹部は、船体内に段差を形成するように適合され得る。このようなステップは、船舶が平面モードで移動するときに、空気が船体を潤滑することを可能にする役割を果たすことができる。
【0080】
トルク発生アセンブリおよびプロペラ装置は、推進装置のパーツを形成してもよい。好ましくは、推進装置は、モータポッドの形状で提供される。
【0081】
従って、好ましくは、プロペラ装置及びトルク発生アセンブリは、第2水中翼支柱に固定されたモータポッドのパーツを形成する。これにより、船体に対して支柱及びモータポッドが旋回して船舶を操縦するように構成される。モータポッドは、ケーシングと、ケーシング内に収容されたトルク発生アセンブリと、トルク発生アセンブリによって駆動されるように構成されたプロペラ装置とを備えることができる。プロペラ装置は、船舶が前方に進行しているときに理解されるように、第2水中翼支柱の上流又は下流とすることができる。すなわち、プロペラ装置は、引っ張っていても、押していてもよい。プロペラ装置は、逆回転する2つのプロペラを備えることができる。
【0082】
トルク発生アセンブリが、第2水中翼支柱に固定されたモータポッドに含まれることによって、動力をプロペラ装置に送るための駆動軸を支柱内に含む必要がない。これにより、支柱を引込位置まで引き込まれるために移動させ、支柱を引込位置から拡張位置に向かって移動させることが容易となる。
【0083】
トルク発生アセンブリは、1つ、2つ、または複数の電気モータを備えることが好ましい。従って、トルク発生アセンブリのための電力は、第2水中翼支柱を通って延びる1つ以上の電気ケーブルによって送達されてもよい。電力は、バッテリパックによって供給されてもよく、このバッテリパックは、船体内に設けられてもよい。1つ以上のケーブルは、好ましくは可撓性を有する。これにより、ケーブルは、支柱が引込位置へ、および引込位置から移動する間、屈曲することができる。
【0084】
第2水中翼およびモータポッドは、第2水中翼支柱に沿って実質的に同じ位置にあり得る。それによって、第2水中翼の翼は、モータポッドの両側から延在することができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、第2水中翼およびプロペラ装置は、支柱に沿って異なる位置にある。例えば、第2水中翼は、プロペラ装置の上方で支柱に固定されてもよい。例えば、支柱が下側支柱部と上側支柱部とを備える場合、第2水中翼は、下側支柱部と上側支柱部との間で、下側支柱部に取り付けられ、プロペラ装置は、下側支柱部に取り付けられてもよい。他の実施形態では、プロペラ装置は、第2水中翼の上方で支柱に固定される。
【0085】
提案されるように、第2水中翼支柱調整装置のうちの1つ以上は、伸長可撓装置を含んでいても良い。伸長可撓装置は、それぞれの支柱に固定されてもよい。モータなどの駆動装置によって駆動されるドラムまたはホイールは、伸長可撓装置と係合して支柱を引き上げるように構成されてもよい。ドラム及び駆動装置は、ウインチを形成することができる。そのようなドラムまたはホイールは、支柱保持アセンブリに固定され、支柱を横方向に保持するように構成され、船舶を操縦するために支柱を旋回させるように旋回可能である。
【0086】
いくつかの実施形態では、機械的動力は、支柱の内側に延在し、第2水中翼支柱の長手方向に沿って延在するシャフトによって、プロペラ装置に送達されてもよいことに留意されたい。これにより、トルク発生アセンブリを支柱の上端に固定することができる。
【0087】
好ましくは、船体は、船の平面モードで船体が接触する水が船尾端の船体から放出されるように構成された船尾端を呈し、第2水中翼は、船の直進方向に見られるように、船尾端の後方に配置された第2水中翼支柱の引込位置にある。船尾端は、船舶の直進方向に見られるように、横断方向または少なくとも部分的に横断方向であってもよい。これにより、船舶に作用する揚力の中心は、その平面モードでは、比較的遠く前方であり得る。これは、平面モードにおける船体に対する前記揚力の中心が、船体に対する揚力の中心に比較的近く、船舶の水中翼モードにおいて水中翼に作用することを意味する。したがって、これらのモード間の遷移における揚力の中心の移動は、比較的小さくてもよい。好ましくは、船舶の重心から船尾端までの距離は、船舶重心及び第2水中翼からの距離の90%以下である。
【0088】
さらなる変形が可能である。例えば、プロペラ装置は、船舶が水中翼モードで直進しているときに、第1水中翼よりも水中に沈むように配置されてもよい。他の実施形態では、プロペラ装置は、船舶が水中翼モードで直進しているとき、第1水中翼と実質的に同じ深さにあるように配置され得る。第1水中翼は、浸水型水中翼、または表面貫通水中翼であってもよい。
【0089】
モータポッド駆動船舶の複雑さ及びコストを低減するために、本発明の第3の態様は、以下のような船舶を提供する。
船舶は、
船体と、
モータポッドと、
水中構造と、を備え、
モータポッドは、水中構造によって、船体に取り付けられ、
モータポッドは、トルク発生アセンブリと、トルク発生アセンブリによって駆動されるように構成されたプロペラ装置と、を含み、
モータポッドは、ケーシングをさらに含み、
トルク発生アセンブリは、ケーシング内に収容され、
ケーシングは、凹部を備え、水中構造は、ケーシングの凹部内に延びており、
水中構造は、水中翼およびさらなる要素とを含み、水中翼およびさらなる要素は、ともにケーシングを完全に取り囲むように、それぞれが部分的にケーシングを取り囲み、
さらなる要素および水中翼は、互いに固着されている。
【0090】
ケーシングは、細長い形状を有することができる。ケーシングは、プロペラ装置の回転軸に沿って延在してもよい。ケーシングは、プロペラ装置によって生成される推力の方向に延在してもよい。ケーシングは、トルク発生アセンブリを収容するために中空であってもよい。水中構造によって船体に装着されるモータポッド内にトルク発生アセンブリが含まれることによって、プロペラ装置に動力を送達するために、潜水可能な構造体内に駆動軸を含む必要がない。トルク発生アセンブリは、1つ、2つ、または複数の電気モータを備えることが好ましい。従って、トルク発生アセンブリのための電力は、水中構造を通って延びる1つ以上の電気ケーブルによって送達されてもよい。モータポッドケーシングは、例えば、フライス加工によって、ケーブルがケーシング内部から水中構造内部まで延在する1つ以上の貫通孔を備えることができる。電力は、バッテリパックによって供給されてもよく、このバッテリパックは、船体内に設けられてもよい。
【0091】
モータポッドケーシングの凹部内に延びる水中構造によって、ケーシングは、モータポッドの長手方向にロックされてもよい。それによって、モータポッドは、水中構造にしっかりと固定され得る。
【0092】
ケーシングの凹部は、ケーシングと水中構造との間の機械的係合によってケーシングを水中構造に固定することを可能にする。これにより、ケーシングと水中構造との組み合わせの製造を容易にすることができる。より具体的には、これらの部品のための異なる材料を一体化することは容易である。例えば、水中構造は、軽量複合材料、例えば、繊維強化プラスチック材料で作製されてもよい。ケーシングは、金属、例えば、青銅又はステンレス鋼で作ることができる。ケーシングの凹部は、異なる材料から作られたこれらの部品の単純なアセンブリを可能にする。
【0093】
したがって、製造上の複雑さを伴うことなく、これらのパーツの容易な組み立てを可能にしながら、水中構造へのケーシングの強力な係合が提供される。従って、モータポッド駆動船舶の複雑さ及びコストが低減され得る。
【0094】
凹部は、ケーシング内に腰部として設けられてもよい。ケーシング、またはケーシングの1つ以上のパーツは、円筒形状を有してもよい。例えば、凹部の両側のケーシングの一部は、ケーシングの長手方向において、円筒状であってもよい。これにより、凹部を形成する腰部は、縮径したケーシングの一部によって形成することができる。これにより、ケーシングを旋盤内に形成して旋回チューブを形成することができる。これにより、モータポッドの製造が簡略化され、したがってより安価になる。したがって、構造的な効率が製造上の利点と組み合わされる。
【0095】
ケーシングの回転対称軸線は、プロペラ装置の回転軸線と同軸であってもよい。また、ケーシングは、凹部において円筒状であってもよい。
【0096】
好ましくは、ケーシングの円周の少なくとも一部に沿って、水中構造のケーシングの長手方向の拡張部は、ケーシングの長手方向の凹部の拡張部と同じである。これにより、ケーシング長手方向の凹部の端部において、水中構造は、半径方向のケーシングの区切りと同じであるケーシングの半径方向の区切りを、凹部のすぐ外側に有してもよい。これにより、ケーシングの外面が水中構造の外面に滑らかに移行することができる。
【0097】
水中翼およびさらなる要素は、好ましくは、互いに解放可能に固定される。あるいは、水中翼およびさらなる要素は、例えば、接着剤またはリベットによって、互いに解放不能に固定されてもよい。
【0098】
水中構造は、水中翼保持装置を備えてもよい。それによって、水中翼は、水中翼保持装置によって船体に取り付けることができる。水中翼は、浸水型水中翼であってもよいし、表面貫通水中翼であってもよい。
【0099】
水中翼保持装置は、支柱を備えることができる。従って、水中翼は、支柱によって船体に取り付けることができる。例えば、さらなる要素は支柱であってもよい。支柱は、少なくとも部分的に船体から下方に延びるように構成することができる。水中翼およびモータポッドは、支柱に沿って実質的に同じ位置にあってもよい。それによって、水中翼の翼は、モータポッドの両側から延びることができる。翼は片持ちであってもよい。プロペラ装置は、船舶が前方に進行しているときに理解されるように、支柱の上流または下流であってもよい。すなわち、プロペラ装置は、引っ張り型の又は押し出し型の装置であってもよい。
【0100】
支柱は、ケーシングを部分的に囲むことができる。支柱は、ケーシングをケーシングの円周方向に部分的に囲むことができる。支柱は、翼弦線を有するハイドロダイナミックプロファイルを形成することができる。従って、ケーシング長軸は、翼弦線と実質的に平行であってもよい。モータポッドは、支柱の下端に取り付けることができる。しかし、いくつかの実施形態では、モータポッドは、支柱の下端より上に取り付けられてもよい。
【0101】
支柱がケーシングを部分的に囲む場合、水中翼は、支柱と水中翼が一緒にケーシングを完全に囲むようにケーシングを部分的に囲むことができる。これにより、水中翼は、ケーシングの円周方向にケーシングを部分的に囲むことができる。支柱と水中翼とは、互いに固定されてもよい。それによって、支柱および水中翼は、例えば、ボルト締めによって、または、例えば、接着剤もしくはリベットによって、解放不可能に、互いに解放可能に締結され得る。
【0102】
好ましくは、水中翼およびさらなる要素は、ケーシングの凹部内に延在する。例えば、支柱ならびに水中翼は、ケーシングの凹部内に延在してもよい。それにより、支柱及び水中翼は、ケーシングの凹部内に延びながらケーシングを完全に囲むことができる。
【0103】
いくつかの実施形態では、支柱は、ケーシングを部分的に取り囲むために、フォークまたは部分的な円を形成する。これにより、船舶が静止して浮いているときに、支柱と水中翼との間の分割線が水平であってもよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、支柱と水中翼との間の分割線は、ゼロ度よりも大きく90度以下の水平に対する角度であってもよい。
【0104】
提案されるように、凹部は、ケーシング内の腰部として提供されてもよい。モータポッドを支柱に固定するために、支柱の下端は、部分的な円、またはフォークを形成することができ、これは、少なくとも部分的に、腰部内のケーシングを取り囲んでいる。水中翼は、モータポッド及び支柱が先端間にある状態で、1つの翼先端から別の翼先端まで延在してもよい。それによって、水中翼は、2つの翼先端の間に延在する単一の構成要素として提供され得る。それによって、水中翼は、ケーシングの凹部内に延在することができる。それによって、水中翼は、ケーシングを部分的に取り囲むための湾曲部分を備えることができる。支柱および第2水中翼は、モータポッドの両側で、例えば、ボルトまたは同様の解放可能な締結具、または接着剤または他の非解放可能な締結手段によって接続されてもよい。
【0105】
いくつかの実施態様において、さらなる要素は、ケーシングを部分的に取り囲み、水中翼及びポッド固定部材が共にケーシングを完全に取り囲むようにするポッド固定装置であり、水中翼及びポッド固定部材が互いに固定される。水中翼は、水中翼保持装置によって船体に取り付けることができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、水中構造は、いかなる水中翼保持装置も含まない。例えば、水中構造は、船体から直接、例えば、船体の対称面に向かって、又は対称面から部分的に離れて、部分的に下方に延びる表面貫通水中翼を備えることができる。
【0106】
水中構造が支柱を備える場合、船舶は、支柱を拡張位置から引込位置に引き込まれるように構成された支柱調整装置を備えることができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、支柱は、非可逆的である。
【0107】
本発明の第3の態様はまた、船体を備える船舶のための、モータポッドと水中構造との組合せを提供する。
モータポッドは、水中構造によって船体に取り付けられるように構成されており、
モータポッドは、トルク発生アセンブリと、トルク発生アセンブリによって駆動されるように構成されたプロペラ装置とを含み、
モータポッドは、ケーシングをさらに含み、トルク発生アセンブリは、ケーシング内に収容され、
ケーシングは、凹部を含み、水中構造は、ケーシングの凹部内に延びており、
水中構造は、水中翼とさらなる要素とを含み、さらなる要素と水中翼とがともにケーシングを完全に取り囲むように、水中翼およびさらなる要素のそれぞれが、部分的にケーシングを部分的に取り囲み、さらなる要素と水中翼とが互いに固着される。
【0108】
凹部は、ケーシング内に腰部として設けられてもよい。ケーシング、またはケーシングの1つ以上のパーツは、円筒形状を有してもよい。ケーシングの円周の少なくとも一部に沿って、拡張部は、ケーシングの長手方向において、水中構造の、ケーシングの長手方向における凹部の拡張部と同じであってもよい。水中構造は、水中翼保持装置を備えてもよく、水中翼は、水中翼保持装置によって船体に取り付けられる。水中翼保持構成は、支柱を備えてもよく、水中翼およびモータポッドは、支柱に沿って実質的に同じ位置にある。支柱は、少なくとも部分的にケーシングを取り囲むことができる。水中翼と同様に支柱はケーシングの凹部内に伸びていてもよい。
【0109】
本発明のさらなる利点および有利な特徴は、以下の説明および従属請求項に開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【
図1】本発明の実施形態における、いくつかの隠れパーツを破線で示した水中翼構造を有する船舶の側面図である。
【
図2】本発明の実施形態における、いくつかの隠れパーツを破線で示した水中翼構造を有する船舶の側面図である。
【
図4a】
図1に示す船舶の水中翼支柱のIV-IV断面図である。
【
図4b】本発明の代替実施形態による船舶の水中翼支柱の断面図である。
【
図4c】本発明の代替実施形態による船舶の水中翼支柱の断面図である。
【
図4d】本発明の代替実施形態による船舶の水中翼支柱の断面図である。
【
図4e】本発明の代替実施形態による船舶の水中翼支柱の断面図である。
【
図4f】本発明の代替実施形態による船舶の水中翼支柱の断面図である。
【
図4g】本発明の代替実施形態による船舶の水中翼支柱の断面図である。
【
図5】本発明の実施形態における、いくつかの隠れパーツを破線で示した水中翼構造を有する船舶の側面図である。
【
図6】
図5に示す水中翼形状を有する船舶を後方から見た図である。
【
図7】
図6における、モータポッド、支柱の一部、およびプロペラのVII-VII断面図である。
【
図8】
図7における、モータポッドの断面、支柱の一部、および水中翼の一部のVIII-VIII断面図である。
【
図10】本発明の別の実施形態による船舶の側面図である。
【
図12】
図10および
図11において、船舶のモータポッド、水中翼の一部、およびポッド固定部材の一部における、
図8と同様の断面図である。
【
図13】水中翼モードのための水中翼の構成を有する、本発明の代替実施形態による船舶の側面図である。
【
図14】水中翼構成を有する、本発明の別の実施形態による船舶の側面図である。
【
図15】
図14における水中翼形状を有する船舶を前方から見た図である。
【
図16】水中翼構成を有する、本発明の別の実施形態による船舶の側面図である。
【
図17】本発明のさらに別の実施形態による船舶の側面図である。
【
図18】本発明のそれぞれの代替実施形態におけるそれぞれの支柱調整装置の、
図3と同様の詳細を示す図である。
【
図19】本発明のそれぞれの代替実施形態におけるそれぞれの支柱調整装置の、
図3と同様の詳細を示す図である。
【
図20】本発明のさらなる実施形態による船舶の側面図である。
【
図22】本発明のさらなる実施形態による船舶の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0111】
図1に水中翼船舶1を示す。船舶は、船体2を備える。
【0112】
船舶は、第1水中構造を備える。第1水中構造は、第1水中翼301と、第1水中翼保持装置302とを備える。第1水中翼301は、第1水中翼保持装置302によって船体2に取り付けられている。第1水中翼301は、浸水型水中翼である。第1水中翼301は、第1水中翼の迎え角を変えるように、調整可能なピッチ方向を有する。第1水中翼301は、第1水中翼保持装置302によって船体に接続される。第1水中翼保持装置302は、本明細書では第1水中翼支柱3021とも呼ばれる2つの支柱を備える。第1水中翼301は、船舶1の進行方向にあり、船舶の重心CGに近接して位置することができる。
【0113】
いくつかの実施形態では、船舶は、調整可能な水中翼を備えていない。いくつかの実施形態では、船舶は、第1水中翼を貫通する表面を備える。
【0114】
船舶はまた、第2水中構造を備える。第2水中構造は、第2水中翼601を備える。第2水中翼601は、浸水型水中翼である。第2水中構造は、本明細書では第2水中翼支柱とも呼ばれる支柱503を備える第2水中翼保持装置をさらに備える。第2水中翼は、第2水中翼保持装置によって船体2に取り付けられる。第2水中翼支柱503は、第1水中翼保持装置302とは別個である。第2水中翼支柱は、船体2から下方に延びるように構成されている。第2水中翼は、第2水中翼支柱の下端に固定される。
【0115】
第2水中翼は、船舶の直進方向から見て、第1水中翼301の後方に配置される。第2水中翼は、水中翼駆動モードにおいて、船体の後部を支持するように配置されている。
【0116】
船舶はまた、以下でより詳しく説明するモータポッド502を備える。モータポッド502は、第2水中翼支柱503の下端に固定されている。第2水中翼601の翼は、以下に詳述するように、モータポッドから反対側に延在する。モータポッド502は、後述するトルク発生アセンブリと、トルク発生アセンブリによって駆動されるように構成される2つの逆回転プロペラ5011、5012を備えるプロペラ装置とを備える。
【0117】
モータポッド502および第2水中翼601を保持する第2水中翼支柱503は、2つの支柱軸受5033を備える支柱旋回軸受アセンブリによって、船体に固定されたブラケットの形成で、第2水中翼支柱取付装置5034に回動可能に接続される。したがって、第2水中翼支柱503に加えて、第2水中翼保持装置は、支柱旋回軸受アセンブリ5033および支柱取付装置5034を含む。これにより、第2水中翼支柱は、旋回軸TAを中心として船体に関連して旋回することができる。旋回を実行するためのアクチュエータ(図示せず)が設けられている。アクチュエータが船舶のハンドルである場合には、ハンドルと第2水中翼支柱との間に適当なリンク機構を設けることができる。それにより、モータポッドを有する第2水中翼支柱は、船舶を操縦するように制御されてもよい。
【0118】
第2水中翼支柱503は、船舶のトランサム(transom)102の前方の距離で船体を貫通して延在する。このために、船舶には、船体の底部から船舶を通って上方に垂直に延びる開口部101を通る第2水中翼支柱が設けられている。第2水中翼支柱は、開口部101を通って第2水中翼支柱を通って延びている。
【0119】
以下に説明するように、船舶は、水中翼モード又は平面モードで選択的に走行するように構成されている。船体2は、船舶の平面モードで船体が接触した水が船尾端で船体から放出されるように構成された船尾端201を呈示する。2本目の水中翼支柱は、船尾端の後方に配置されている。船体は、船舶が静止しているとき、船尾端201の後方の船体の一部が、喫水線WLの上方になるような形状を有する。
【0120】
さらに、船舶には、船体の底部から船舶を通って上方に垂直に延びる開口部103を通る2つの第1水中翼支柱が設けられている。第1水中翼を保持する第1水中翼支柱3021は、それぞれ開口部103を通って第1水中翼支柱のそれぞれを通って延びる。
【0121】
船舶は、以下に例示されるように、第2水中翼支柱のための調整装置510を備える。船舶は、以下に例示されるように、第1水中翼保持装置のための調整装置310をさらに備える。
【0122】
【0123】
第2水中翼支柱調整装置510によって、第2水中翼支柱503は、
図1に示す拡張位置から
図2に示す引込位置に引き込まれるように構成される。より具体的には、第2水中翼支柱503は、第2水中翼支柱の長軸に沿って上方に移動されるように構成される。これにより、プロペラ装置5011、5012及び第2水中翼601は、本明細書で「展開位置」と呼ばれる位置から「拘束位置」に移動する。展開位置および拘束位置において、プロペラ装置5011、5012および第2水中翼601は、船舶を運ぶ水中に沈むように配置される。しかしながら、プロペラ装置5011、5012および第2水中翼601は、拘束位置よりもさらに下方に、すなわち水中でより深く配置された展開位置にある。展開位置は、船舶の水中翼モードのために提供され、拘束位置は、船舶の平面モードのために提供される。
【0124】
プロペラ装置5011、5012および第2水中翼601は、船尾端201の後方に位置する第2水中翼支柱の拡張位置と同様に、第2水中翼支柱の引込位置にある。
【0125】
以下に例示するように、拡張位置並びに引込位置において、第2水中翼支柱503は、第2水中翼及びプロペラ装置と共に、船舶を操縦するように船体に対して旋回するように構成される。
【0126】
同様に、第1水中翼支柱調整装置310によって、第1水中翼301を保持する第1水中翼支柱3021は、
図1に示す拡張位置から
図2に示す引込位置に引き込まれるように構成される。より具体的には、第1水中翼支柱3021は、第1水中翼支柱3021のそれぞれの長軸に沿って上方に移動されるように構成される。それによって、第1水中翼301は、本明細書では「展開位置」と呼ばれる位置から「拘束位置」に移動される。
【0127】
拘束位置では、船舶が静止して浮いているとき、第1水中翼は水面より上にある。このために、船体は、第1水中翼が水面の上方に移動することを可能にするのに十分な深さである凹部202を備える。
図2に示すように、凹部の前方下縁2021は、凹部の後方下縁2022よりも低い。それによって、凹部は、船体内に段差を形成するように適合される。このステップでは、船舶が平面モードで移動するときに、エアーが船体に潤滑油を供給することができる。
【0128】
【0129】
第2水中翼支柱調整装置510は、ロープ、ワイヤ、またはケーブルの形態の伸長可撓装置5101を備える。伸長可撓装置5101は、第2水中翼支柱503に固定される。モータ(図示せず)などの駆動装置によって駆動されるように構成されたドラム5102が、伸長可撓装置内でリール状に配置され、第2水中翼支柱を引き上げる。ドラム5102および駆動装置は、ウインチを形成する。伸長可撓装置5101は、ドラム5102の下の第2水中翼支柱に固定されることが理解される。駆動装置を備えたドラム5102は、第2水中翼支柱保持アセンブリ5103に取り付けられる。第2水中翼支柱保持アセンブリ5103は、第2水中翼支柱を横方向に保持し、かつ、船舶の操縦のために、プロペラ装置5011、5012と共に、支柱503を回すように回動可能となるように構成される。このために、第2水中翼支柱保持アセンブリ5103は、支柱回転軸受アセンブリ5033に接続される。
【0130】
第2水中翼支柱は、第2水中翼支柱保持アセンブリ5103を通って延在する。第2水中翼支柱保持アセンブリ5103は、2つの支柱保持ブラケットを備える。それにより、ドラム5102の回転によって、第2水中翼支柱は、伸長可撓装置5101によって、拡張位置から引込位置(
図3に示される)に上方に引っ張られてもよい。第2水中翼支柱は、ドラムを反対方向に回転させることによって、重力だけで引込位置から拡張位置に移動するように構成されている。
【0131】
【0132】
第2水中翼支柱の主要部分は、前縁5036および鈍形後縁5037を形成するハイドロダイナミック部分5035を伴う横断面を有する。ハイドロダイナミック部分によって形成される前縁は丸みを帯びている。鈍形後縁は、ハイドロダイナミック部分5035の翼弦線CLに対して直線および垂直である表面5037を形成する。それにより、支柱の横断面に見られるように、鈍形後縁を形成する表面は、ハイドロダイナミック部分5035のそれぞれの側面50352を伴う鋭角部50351を形成する。
【0133】
また、第2水中翼支柱調整装置は、第2水中翼支柱を引込位置に、かつ拡張位置にロックするためのロック装置を備える。ロック装置は、鈍形後縁から延在する係止突起5104の形態の第1係合装置を備える。係止突起5104は、鈍形後縁から隆起し、鈍形後縁に沿って延在する突起によって提供される。
【0134】
突起5104は、第2水中翼支柱503に沿って分配された複数の、この例では3つの貫通開口部5105を備える。
図3における貫通開口部5105は、雄型係合要素5106の形態の第2係合装置を受容するように構成される。
図3中の参照番号51011によっても示されるように、伸長可撓装置5101の下端は、貫通開口部5105の下の突起に固定される。第2水中翼支柱503を選択的に移動させて、貫通開口部5105のうちの1つを雄型係合要素5106と整合させることによって、第2水中翼支柱を、拡張位置に、引込位置に、または後述するドライ位置に、位置決めおよびロックすることができる。
【0135】
支柱の拡張位置では、伸長可撓装置5101および突起5104の部分5101’は、鈍形後縁5037によって形成される表面の拡張部TE内に位置し、該拡張部は、ハイドロダイナミック部分の翼弦線CLに対して横方向である。さらに、伸長可撓装置5101および突起5104は、完全に、鈍形後縁5037から最大距離MD内にある。最大距離は、ハイドロダイナミック部分の翼弦線に沿ったハイドロダイナミック部分の拡張部と同じである。
【0136】
それによって、伸長可撓装置5101の上記の部分5101’は、船舶の直進方向に見て鈍形後縁の後に位置するように位置決めするように構成される。より具体的には、伸長可撓装置5101の該部分5101’は、支柱が拡張位置にある場合、船舶の直進方向に見られるように、鈍形後縁の後方に位置する。しかしながら、支柱が引込位置にあるとき、伸長可撓装置5101の前記部分5101’の少なくとも一部は、ウインチのドラム5102上に巻き上げられる。この例では、突起5104は、船舶の直進方向に見られるように、鈍形後縁の後方に位置するように構成される。これは、支柱が引込位置にあるか拡張位置にあるかにかかわらず、突起の位置である。それによって、突起5104および伸長可撓装置5101の前記部分5101’は、本明細書では支柱調整装置の保護部分と呼ばれるものを形成する。
【0137】
図1に示すように、支柱調整装置の保護部分は、船舶が水中翼モードで直進し、平坦な水上を直進し、最大のモータ電力を有し、かつその最大重量を積載しているときに水面下にあるように配置される支柱調整装置の一部によって形成されるウェット部分の510wを備えることができる。好ましくは、水中翼モードでは、船体全体が水面より上にある。
図1において、そのような水中翼モードにおける水面は、WLHとして示される。
【0138】
支柱調整装置の保護部分は、静止水中部分510rを備えることができ、この静止水中部分は、船舶が平坦な水中で静止して浮いており、支柱がその拡張位置にあり、船舶にその最大重量が積載されているときに、水面下にあるように配置される。
図1において、このような条件における水面は、WLHとして示される。
【0139】
図1および
図2に示すように、第1水中翼支柱調整装置310は、第2水中翼支柱調整装置510と同様である。すなわち、ロープ、ワイヤ、またはケーブル、およびウインチの形態の、各第1水中翼支柱302のための伸長可撓装置によって、第1水中翼支柱は、伸長可撓装置5101により、拡張位置から引込位置まで上方に引っ張られ得る。第1水中翼支柱を拡張位置又は引込位置にロックするために、ロック装置が配置されている。
【0140】
第2水中翼支柱と同様に、各第1水中翼支柱は、支柱の横断面において、丸みを帯びた又は尖った前縁及び鈍形後縁を形成するハイドロダイナミック部分を有することができる。これにより、伸長可撓装置の一部が、船舶の直進方向に見られるように鈍形後縁の後方に位置するように配置される。ロック装置は、鈍形後縁上の第1係合装置と、第1係合装置と係合して第1水中翼支柱を拡張位置又は引込位置に選択的にロックするように構成された第2係合装置とを備える。それによって、ロック装置の第1係合装置および伸長可撓装置の前記部分は、本明細書では第1水中翼支柱調整装置310の保護部分と呼ばれるものを形成する。
【0141】
図4bは、代替的なロック装置を示す図である。ロック装置は、鈍形後縁5037から延在する係止突起5104の形態の3つの第1係合装置を備える。係止突起5104は、スタッドの形成で提供され、各々は、第2係合装置(図示せず)の凹部と係合するように構成される。第2係合装置は、第2係合装置に位置決めされた係止突起5104に向かって、およびそれから離れるように移動可能である。それによって、係止突起5104および伸長可撓装置の一部は、本明細書では支柱調整装置の保護部分と呼ばれるものを形成する。
【0142】
図4cは、代替の支柱断面を示す図である。ハイドロダイナミック部分5035は、尖った前縁5036を有する。鈍形後縁5037により、ハイドロダイナミック部分は、スーパーキャビテーション(supercavitating)プロファイルを形成する。
図4aに示すものと同様に、支柱を引き込むための伸長可撓装置5101の一部は、船舶の直進方向に見られるように、鈍形後縁5037の後方に位置するように位置決めするように構成される。また、
図4aに示すものと同様に、係止突起5104は、鈍形後縁に沿って延在する突起によって提供され、それによって、係止突起5104は、船舶の直進方向に見られるように、鈍形後縁5037の後方に位置するように位置決めされる。それによって、係止突起5104および伸長可撓装置の前記部分は、本明細書では支柱調整装置の保護部分と呼ばれるものを形成する。
【0143】
図4dを参照する。
図4dに示されるものに類似する、さらなる代替例を示す。ただし、次のものを除く。突起5104は、支柱に沿って延びるキャビティ5111を有する。キャビティ5111は、後方に開口している。キャビティ5111は、突起の後方に面する表面に開口している。
【0144】
第2水中翼支柱調整装置の伸長可撓装置5101の一部は、突起上のキャビティ5111内に位置決めされるように構成される。これにより、伸長可撓装置5101および隆起部の前記部分は、位置決めされる、および位置決めされるように構成される、支柱調整装置の保護部分を形成し、船舶の直進方向に見られるように、鈍形後縁5037の後方に位置するようになる。
【0145】
図4dから分かるように、2つの表面5037’は、鈍形後縁5037を形成する。鈍形後縁表面5037’は、突起5104の反対側に分布される。鈍形後縁表面5037’は、ハイドロダイナミック部分の翼弦線CLに垂直である。鈍形後縁表面5037’は、ハイドロダイナミック部分のそれぞれの側面50352を伴う角部50351を形成する。角部は尖っている。したがって、それらは、小さい半径、例えば、鈍形後縁の幅の1/10未満を有する。
【0146】
図4eを参照する。
図4eは、
図4dに示されるものに類似する、別の代替例を示す。ただし、以下を除く。鈍形後縁5037は、支柱に沿って延在するキャビティ5111を示す。キャビティ5111は、後方に開口している。キャビティ5111は、鈍形後縁から延びる。
【0147】
第2水中翼支柱調整装置の伸長可撓装置5101の一部は、鈍形後縁5037上のキャビティ5111内に位置決めされるように構成される。それによって、伸長可撓装置5101の前記部分は、キャビティ5111内に位置決めされるように構成される、支柱調整装置の保護部分の少なくとも一部を形成する。
【0148】
図4fを参照する。
図4fは、
図4dのものと同様の例を示すが、以下の差異を有する。鈍形後縁表面5037’は、ハイドロダイナミック部分の翼弦線CLの方を部分的に向くように角度をつけられる。
【0149】
図4gを参照する。
図4gは、4d図のものと同様の例を示すが、以下の差異を有する。鈍形後縁表面5037’は、ハイドロダイナミック部分の翼弦線CLから部分的に離れるように角度をつけられる。
【0150】
図5および
図6にも参照する。第2水中翼支柱調整装置によって、第2水中翼支柱503は、船舶が静止して浮いているときに、プロペラ装置5011、5012および第2水中翼601が水面より上にあるドライ位置に、引込位置から引き込まれるように構成される。これにより、プロペラ装置5011、5012及び第2水中翼601は、船尾端201の後方に配置される。より具体的には、プロペラ装置5011、5012および第2水中翼601は、トランサム102と船尾端201との間に位置する。これにより、プロペラ装置及び第2水中翼の汚損を回避することができる。
【0151】
図7も参照する。モータポッドは、ケーシング5021を備える。ケーシングは細長い形状をしている。ケーシングは円筒状の外面を有する。ケーシングは、金属、例えば、青銅又はステンレス鋼で作ることができる。ケーシングは、旋盤加工によって形成することができる。
【0152】
トルク発生アセンブリは、2つの電気モータ5051、5052を備える。モータはケーシング内に同軸で収納される。2つのプロペラ5011、5012は、モータのそれぞれによって駆動されるように構成される。提案されるように、プロペラ5011、5012は、船舶の直進方向に見られるように、モータの後方に位置する逆回転である。プロペラは、プロペラハブ上に取り付けられたブレードを備える。
【0153】
各モータは、ステータ5071、5072を備える。ステータは、ケーシング5021の内面に固定される。各モータは、2つのプロペラシャフト、5091、5092のそれぞれに固定された、ロータ5081、5082も備える。シャフトの内側シャフト5091は、モータの前方モータ5051をプロペラの後方プロペラ5011に接続する。シャフトの外側シャフト5092は、モータの後部モータ5051をプロペラの前方プロペラ5012に接続する。内側シャフト5091は、外側シャフト5092を通って延在する。
【0154】
モータ5051、5052は、
図1、
図2、
図5に例示されるように、バッテリパック504などの電源によって給電されるように構成される。この実施形態では、電源504は、船舶の船体2内に位置する。
図1、
図2、
図5、
図7に示すように、1つ以上の電気ケーブル506が、電源504からトルク発生アセンブリ5051、5052への電力の送達のために提供される。1つ以上のケーブル506は、第2水中翼支柱503を貫通して延在する。1つ以上のケーブル506は、好ましくは可撓性である。これにより、第2水中翼支柱が引込位置に移動し、引込位置から移動する間、ケーブルが屈曲する可能性がある。この実施形態では、ケーブル(複数可)506は、第2水中翼支柱の上端で支柱503に入る。これにより、
図1、
図2、
図5に例示されるように、第2水中翼支柱が引き込まれている間に持ち上げられることを可能にするために、余分なケーブル長さが船体内に設けられ、それによって、ケーブルは、持ち上げられた第2水中翼支柱に合わせて調整されるように供給される。
【0155】
船舶はまた、モータの制御のためのワイヤを含むことが理解される。そのようなワイヤはまた、前記ケーブルと同様に、第2水中翼支柱を通って延在してもよい。
【0156】
図8も参照する。提案されるように、第2水中翼601の翼は、モータポッド502の両側から延びる。
【0157】
図7に示すように、ケーシング5021の外面には凹部5025が形成されている。凹部は、ケーシングの長手方向に、ケーシングの中央部全体にわたって延在する。前記凹部は、ケーシングの周方向に延びている。一般に、凹部は、ケーシングの円周の少なくとも半分を通って延在してもよい。この例では、凹部5025は、ケーシングの全周にわたって延在する。凹部は、ケーシング内に腰部として設けられている。
【0158】
支柱503および第2水中翼601は、凹部5025内に延在する。
図8に示すように、モータポッド502を支柱503に固定するために、支柱の下端は、凹部内のケーシングを部分的に取り囲むフォーク5038を形成している。
【0159】
第2水中翼601は、2つの翼先端部の間に延在する単一の構成要素として提供される。これにより、水中翼601は、ケーシングの凹部5025内に延在する。それによって、第2水中翼支柱503および第2水中翼601によって形成された水中構造は、ケーシングの凹部内に延在する。
【0160】
水中翼は、凹部内のケーシングを部分的に取り囲む湾曲部分6011を備える。湾曲部分6011は、水中翼の翼6012を接続する。これにより、支柱503と水中翼601とが一緒にケーシングを完全に囲む。
【0161】
第2水中翼支柱503および第2水中翼601は、
図8に示されるように、線BCによりボルトによってモータポッド502の反対側で接続される。より具体的には、フォーク5038の端部から、接続耳部5039はそれぞれ、翼部6012のそれぞれの方向に延在する。耳部5039は、翼部6012の凹部6013に嵌合される。ボルト接続部BCは、耳部5039および翼部6012の凹部を通って延在する。
【0162】
これにより、支柱503は、ケーシング内の凹部5025によって、モータポッドの長手方向、すなわちプロペラの軸線に沿ってケーシングにロックされる。また、第2水中翼601は、ケーシング内の凹部5025によって、モータポッドの長手方向にロックされている。したがって、第2水中翼601は、ポッド固定部材の機能を提供し、これは、支柱503とともに、モータポッドを支柱に固定する。
【0163】
図9も参照する。
図9に例示されるように、モータポッドは、ケーシング5021に隣接して位置するノーズコーン(nose cone)5022を備える。ケーシング5025は、プロペラ装置5011、5012からノーズコーン5022まで、その長手方向に延在する。
【0164】
モータポッドにおいて、支柱は、ケーシング5021上に延在する前縁および後縁拡張部5031、5032を提示する。拡張部5031、5032は、側方拡張部を有し、したがって、ケーシングの円周のそれぞれの部分にわたって延在する。
【0165】
拡張部5031、5032が延在しないケーシング周囲の残りの部分に沿って、支柱503および水中翼601のケーシングの長手方向の拡張部は、ケーシングの長手方向の凹部5025の拡張部REと同じである。これにより、ケーシング長手方向の凹部の端部において、支柱503および水中翼601は、ケーシングの半径方向の区切りと同じであるケーシングの半径方向の区切りを、凹部のすぐ外側に有する。これにより、ケーシングの外面の支柱503および水中翼601の外面への滑らかな遷移が提供される。
【0166】
図10~
図12は、本発明の代替実施形態による船舶を示す。
図1~
図8を参照して説明した船舶と同様に、船舶は、2つの第1水中翼支柱3021を備える第1水中翼保持装置302によって船体2に取り付けられた第1水中翼301を備える。船舶はまた、第2水中翼支柱503を備える第2水中翼保持装置によって船体2に取り付けられた第2水中翼601を備える。第2水中翼支柱503は、支柱旋回軸受アセンブリ5033によって、船体に固定された支柱取付装置5034に旋回可能に接続され、それによって、支柱は、旋回軸を中心として船体に対して旋回可能である。
【0167】
図1~
図8の船舶とは異なる、第2水中翼支柱503は、船舶のトランサム102の後ろに延在する。船舶は、第2水中翼支柱503のための第2水中翼支柱調整装置510を備える。第2水中翼調整装置510は、第2水中翼支柱保持アセンブリ5103を備える。船舶はまた、第1の水中箔支柱のための第1の水中箔支柱調整装置(図示せず)を含む。
【0168】
上述のものと同様に、第2水中翼支柱調整装置510によって、第2水中翼支柱503は、
図10および
図11に示される拡張位置から引込位置に引き込まれるように構成される。また、第1水中翼支柱3021は、
図10および
図11に示すように、拡張位置から引き込まれるように構成される。それによって、第1水中翼、プロペラ装置5011、5012、および第2水中翼601は、展開位置から拘束位置に移動される。
【0169】
展開位置は、船舶の水中翼モードのために提供され、拘束位置は、船舶の平面モードのために提供される。拡張位置においても引込位置においても、第2水中翼支柱503は、第2水中翼とともに、船舶を操縦するように船体に対して旋回するように構成される。
【0170】
図1~
図8の船舶と同様に船舶は、モータポッド502を備える。
図1~
図8の船舶とは異なる、モータポッド502は、第1水中翼301に固定される。それによって、第1水中翼301の翼は、モータポッドから両側に延在する。
【0171】
図12から分かるように、第1水中翼301は、ケーシング5021を部分的に取り囲む湾曲部分3011をケーシングの凹部5025内に含む。湾曲部分3011は、水中翼の翼を接続する。ポッド固定部材303は、凹部5025内に延在しながら、ケーシング周囲の残部を取り囲む。それによって、ポッド固定部材303および水中翼301は、一緒にケーシングを完全に取り囲む。
【0172】
ポッド固定部材303および水中翼301は、
図12に示されるように、線BCによりボルトによってモータポッド502の反対側で接続される。より具体的には、ポッド固定部材303の端部から、接続耳部3039は、水中翼のそれぞれの1つの翼の方向にそれぞれ延在する。耳部5039は、翼部の凹部に嵌合される。ボルト接続部BCは、耳部5039および翼の凹部を貫通して延在する。
【0173】
図13を参照する。この実施形態では、第1水中翼301は、
図13に示されるように、部分的に展開され、水中に配置される第1拘束位置にあり得る。さらに、第2水中翼601はまた、部分的に展開され、水中に配置される第1拘束位置にある。第1および第2水中翼301、601の第1拘束位置は、船舶の半翼モードのために使用される。半翼モードでは、水中翼は、水に対する船体の摩擦を減少させる揚力を作り出すことがある。半翼モードは、荒海において有用であり得る。
【0174】
第1および第2水中翼は、例えば、
図2に示されるように、それぞれの第2拘束位置に移動され得る。第2拘束位置は、平面モードのために使用されてもよい。それによって、第1水中翼は、移動中に船体を通過する水から除去される。さらに、第2拘束位置では、第2水中翼は、依然として水中にあるが、第1拘束位置の上方にある。
【0175】
【0176】
図1~
図8を参照して説明した船舶と同様に、船舶は、2つの第1水中翼支柱3021を備える第1水中翼保持装置302によって船体2に取り付けられた第1水中翼301を備える。船舶はまた、第2水中翼支柱503を備える第2水中翼保持構成によって船体2に取り付けられた第2水中翼601を備える。船舶はまた、第2水中翼支柱503の下端に固定されたモータポッド502を備える。第2水中翼601の翼は、モータポッドから両側に延在する。モータポッド502は、トルク発生アセンブリと、2つの逆回転プロペラ5011、5012を備えるプロペラ装置とを備える。第2水中翼支柱503は、支柱旋回軸受アセンブリ5033によって、船体に固定された支柱取付装置5034に旋回可能に接続され、それによって、支柱は、旋回軸を中心として船体に対して旋回可能である。
【0177】
図1~
図8の船舶とは異なる、第2水中翼支柱503は、船舶のトランサム102の後ろに延在する。船舶は、第2水中翼支柱503のための第2水中翼支柱調整装置510を備える。第2水中翼調整装置510は、第2水中翼支柱保持アセンブリ5103を備える。船舶はまた、第1水中翼支柱のための第1水中翼支柱調整装置(図示せず)を含む。
【0178】
上述のものと同様に、第2水中翼支柱調整装置510によって、第2水中翼支柱503は、
図14、
図15に示す拡張位置から、
図16に示す引込位置に引き込むように構成される。また、第1水中翼支柱3021は、
図14、
図15に示す拡張位置から
図16に示す引込位置に引き込まれるように構成される。それによって、第1水中翼、プロペラ装置5011、5012、および第2水中翼601は、展開位置から拘束位置に移動される。
【0179】
展開位置は、船舶の水中翼モードのために提供され、拘束位置は、船舶の平面モードのために提供される。拡張位置及び引込位置において、第2水中翼支柱503は、第2水中翼及びプロペラ装置と共に、船舶を操縦するように船体に対して旋回するように構成されている。
【0180】
図17を参照する。
図17は、本発明のさらなる実施形態を示す。実施形態は、
図14~
図16に示されるものと同様であるが、次の例外を除く。
【0181】
第2水中翼支柱503は、船舶が直立状態で浮遊しているときには実質的に水平であり、船舶の直進方向に対して実質的に水平である軸の周りに傾斜するように構成されている。それによって、第2水中翼支柱は、後方または前方に傾斜させることができる。これにより、第2水中翼支柱は、第2水中翼601の迎え角を調整するために傾斜する。
【0182】
傾斜は、傾斜軸受521によって提供される。傾斜軸受は、第2水中翼支柱保持アセンブリ5103を支柱旋回軸受アセンブリ5033と接続する。
【0183】
図18を参照する。
図18は、本発明の代替実施形態における支柱調整装置510を示す。
【0184】
上述の実施形態のように、支柱調整装置510は、ロープ、ワイヤ、またはケーブルの形態の伸長可撓装置5101を備える。伸長可撓装置5101は、モータなどの駆動装置によって駆動されるように構成された、ドラムまたは作動ホイール5102の周りの1つ以上の回転である。作動ホイール5102は、作動ホイール5102上の伸長可撓装置5101の滑りを回避するために、粗面または歯付き円周軌道(図示せず)を有してもよい。駆動装置を備えたドラム5102は、支柱保持アセンブリ5103に取り付けられる。
【0185】
伸長可撓装置5101の一端は、作動ホイール5102の下の支柱503に固定される。伸長可撓装置5101の他端は、作動ホイール5102の上方の支柱503に固定される。支柱は、支柱保持アセンブリ5103を通って延在する。支柱保持アセンブリ5103は、2つの支柱保持ブラケットを備える。プーリホイール5107は、伸長可撓装置5101を支柱から作動ホイール5102、およびその逆に案内するために提供される。
【0186】
それにより、作動ホイール5102の一方向への回転によって、支柱は、伸長可撓性装置5101によって、拡張位置から引込位置(
図18に示される)に上方に引き上げられてもよい。作動ホイール5102の反対方向への回転によって、支柱は、伸長可撓性装置5101によって、引込位置から拡張位置まで下方に引っ張られてもよい。従って、重力に加えて、支柱は、例えば、支柱保持アセンブリ5103における摩擦を克服するために、支柱調整装置510によって引き下げられてもよい。
【0187】
上述の実施形態と同様に、支柱調整装置は、支柱を引込位置、拡張位置、およびドライ位置にロックするためのロック装置を備える。ロック装置は、支柱の鈍形後縁から隆起し、鈍形後縁に沿って延びる突起によって提供される第1係合装置を備える。突起は、支柱503に沿って分配された3つの貫通開口部を備える。貫通開口部は、雄型係合要素5106の形態の第2係合装置を受容するように構成される。
【0188】
図19を参照する。支柱調整装置には多くの代替形態が可能であることが理解される。例えば、支柱後縁は、後縁に沿って分配された歯5108を備えることができる。これにより、電動歯付き車輪5019を、支柱保持アセンブリに固定し、支柱歯に係合するように配置してもよく、回転して、支柱を上下に駆動するようにしてもよい。それにより、支柱の一部は、前縁および鈍形後縁を形成するハイドロダイナミック部分を有してもよい。それによって、歯5108は、好ましくは、船舶の直進方向に見て鈍形後縁の後ろに位置するように配置される。それによって、歯5108の少なくともいくつかは、支柱調整装置の保護された部分を形成する。歯5108は、第1係合装置を形成することができ、ホイール5109は、歯5108と係合して支柱を引込位置にロックするように構成された第2係合装置を形成することができる。
【0189】
図20、
図21を参照する。
図20、
図21は、本発明のさらなる実施形態を示す。本発明のいくつかの実施形態では、支柱3021、503は、水中翼301、601とは別個である。
図20、
図21の実施形態は、
図14~
図16に示すものと同様であるが、次の例外を除く。船舶は、2つの第1水中翼301を備える。水中翼301は、船体の対称面の反対側に、部分的に船体から下方に、部分的に外方に、船体対称面から離れて延びている。水中翼301は、表面貫通型である。
【0190】
各水中翼301はまた、本明細書で支柱3021と呼ばれるものを形成する。この実施形態では、各水中翼301およびそれぞれの支柱3021が一体化される。したがって、各水中翼は、船舶の水中翼モードで船体に揚力を提供し、その水中翼が船体に取り付けられる手段によって水中翼保持装置302の一部を形成するという二重の提案を果たす。
【0191】
支柱調整装置は、支柱3021、すなわち水中翼301を拡張位置から引込位置に引き込むように構成される。引込によって、水中翼301は、
図16および
図21に示される展開位置から拘束位置(図示せず)に移動される。
【0192】
支柱3021、すなわち水中翼301は、前縁3026および鈍形後縁3027を形成するハイドロダイナミック部分を有する。上述の実施形態と同様に、支柱調整装置は、支柱を拡張位置から引込位置に引っ張るように構成された伸長可撓装置3101を備える。それによって、支柱3021は、1つ以上の支柱をそれらの長軸に沿って持ち上げることによって引き込まれるように構成される。
【0193】
伸長可撓装置3101の一部は、鈍形後縁3027に沿って延在する。これにより、伸長可撓装置3101は、船舶の直進方向に見られるように、鈍形後縁の後方に配置される。
【0194】
図22は、本発明のさらに別の実施形態による船舶の正面図を示す。船舶は、
図10~
図12を参照して説明された船舶と同様であるが、以下の違いがある。
【0195】
船舶は、2つのモータポッド502を備える。各モータポッド502は、第1水中翼301およびそれぞれの第1水中翼支柱3021に固定される。これにより、各モータポッド502は、第1水中翼301とそれぞれの第1水中翼支柱3021との間の接合部に固定される。それによって、第1水中翼301の中間部分および第1水中翼301のそれぞれの片持ち端部は、それぞれのモータポッドから両側に延在する。
【0196】
図22には詳細には示されていないが、
図10~
図12の実施例と同様である、各モータポッド502について、第1水中翼301は、ケーシングの凹部内でモータポッドケーシングを部分的に囲む湾曲した部分を含む。湾曲部分は、第1水中翼301の中間部分と、第1水中翼301のそれぞれの片持ち支持された端部分とを接続する。それぞれの第1水中翼支柱3021の下端は、凹部内に延在しながら、それぞれのケーシング周囲の残部を取り囲んでいる。それぞれの第1水中翼支柱3021および水中翼301は、例えばボルトによって、それぞれのモータポッド502の反対側で接続される。
【0197】
本発明は、上記で説明され、図面に示された実施形態に限定されず、むしろ、当業者は、添付の特許請求の範囲内で多くの変更および修正が行われ得ることを認識するであろう。
【0198】
以下のパラグラフのうちの1つ以上は、1つ以上の分割特許出願におけるクレームであり得る。
【0199】
パラグラフ1:船舶は、
船体(2)と、
第1水中翼保持装置(302)によって船体(2)に取り付けられた第1水中翼(301)と、
第1水中翼保持装置(302)とは別個の支柱(503)を備える第2水中翼保持装置によって船体(2)に取り付けられた第2水中翼(601)であって、少なくとも部分的に船体(2)から下方に延在するように構成された支柱(503)に固定される第2水中翼と、
トルク発生アセンブリ(5051、5052)と、
前記トルク発生アセンブリによって駆動されるように構成されたプロペラ装置(5011、5012)と、
を含み、
プロペラ装置(5011、5012)は、支柱(503)に取り付けられ、
支柱(503)は、拡張位置から、船舶が静止して浮いているときにプロペラ装置(5011、5012)および第2水中翼(601)が水面より上にあるドライ位置まで引き込まれるように構成され、
拡張位置からドライ位置まで引き込まれる支柱(503)の構成は、支柱の長軸に沿って移動するように構成されている支柱を含む。
【0200】
パラグラフ2:支柱(503)が、展開位置から引込位置に引き込まれるように構成され、プロペラ装置(5011、5012)を展開位置から拘束位置に移動させるように構成され、拘束位置では、プロペラ装置が、船舶を運ぶ水中に沈められるように配置され、プロペラ装置が、展開位置では、拘束位置よりもさらに下方に位置し、拡張位置ならびに引込位置では、プロペラ装置(5011、5012)を有する支柱(503)が、船体に対して旋回して船舶を操縦するように構成される、パラグラフ1に記載の船舶。
【0201】
パラグラフ3:第2水中翼(601)が、支柱の長手方向拡張部に沿ったプロペラ装置(5011、5012)の拡張部内にある支柱の長手方向拡張部に沿った位置で支柱(503)に固定される、上記パラグラフのいずれか1つに記載の船舶。
【0202】
パラグラフ4:船舶は、
船体(2)と、
第1水中翼保持装置(302)によって船体(2)に取り付けられた第1水中翼(301)と、
第1水中翼保持装置(302)とは別個の支柱(503)を備える第2水中翼保持装置によって船体(2)に取り付けられた第2水中翼(601)であって、少なくとも部分的に船体(2)から下方に延在するように構成された支柱(503に固定された第2水中翼と、
トルク発生アセンブリ(5051、5052)と、
前記トルク発生アセンブリによって駆動されるように構成されたプロペラ装置(5011、5012)と、
を含み、
プロペラ装置(5011、5012)は、支柱(503)に取り付けられ、
前記支柱(503)は、前記プロペラ装置(5011、5012)を展開位置から拘束位置に移動させるように、拡張位置から引込位置に引き込まれるように構成され、拘束位置では、プロペラ装置は、前記船舶を運ぶ水中に沈むように配置され、展開位置では、前記プロペラ装置は、前記拘束位置よりもさらに下に位置し、
前記拡張位置においても、前記引込位置においても、前記支柱(503)は、前記プロペラ装置(5011、5012)と共に、前記船体に対して旋回して前記船舶を操縦するように構成され、
前記第1水中翼(301)を船体に装着するための前記第1水中翼保持装置(302)は、前記第1水中翼を展開位置から拘束位置に移動させるように、拡張位置から引込位置に引き込まれるように構成され、前記第1水中翼は、前記展開位置において、前記拘束位置よりもさらに下方に位置し、
第1水中翼は、浸水するように配置された拘束位置にある。
【0203】
パラグラフ5:船舶は、
船体(2)と、
モータポッド(502)及び水中構造(301、302、503、601)と、
を含み、
モータポッド(502)が、水中構造によって前記船体(2)に取り付けられ、
前記モータポッドは、トルク発生アセンブリと、前記トルク発生アセンブリによって駆動されるように構成されたプロペラ装置とを備え、
前記モータポッドは、前記トルク発生アセンブリが前記ケーシング内に収容されるケーシング(5021)をさらに備え、
ケーシングは、凹部(2025)を備え、水中構造は、ケーシングの凹部内に延在し、
前記水中構造は、水中翼およびさらなる要素を含み、前記さらなる要素と前記水中翼とが一緒に前記ケーシングを完全に取り囲むように、水中翼およびさらなる要素のそれぞれが、前記ケーシングを部分的に取り囲み、前記さらなる要素と前記水中翼とが互いに固着される。
【0204】
パラグラフ6:パラグラフ5に記載の船舶であって、ケーシング(5021)の外周の少なくとも一部に沿って、水中構造(503、601)の、ケーシングの長手方向における拡張部が、ケーシングの長手方向における凹部の拡張部(RE)と同じである船舶。
【0205】
パラグラフ7:水中構造(503、601)は、水中翼保持装置(302、503)を備え、水中翼(301、601)は、水中翼保持装置によって船体(2)に取り付けられる、パラグラフ5~6のいずれか1つに記載の船舶。
【0206】
パラグラフ8:水中翼保持装置(302、503)が支柱(3021、503)を含み、水中翼とモータポッドが支柱に沿って実質的に同じ位置にある、パラグラフ7に記載の船舶。
【0207】
パラグラフ9:さらなる要素が支柱である、パラグラフ5~8のいずれか1つに記載の船舶。
【0208】
パラグラフ10:水中翼およびさらなる要素が、ケーシングの凹部内に延在する、パラグラフ5~9のいずれか1つに記載の船舶。
【0209】
パラグラフ11:船体(2)を備える船舶のための、モータポッド(502)と水中構造との組合せであって、
前記モータポッド(502)は、前記水中構造によって前記船体(2)に取り付けられるように構成されており、
前記モータポッドは、トルク発生アセンブリと、前記トルク発生アセンブリによって駆動されるように構成されたプロペラ装置とを備え、
前記モータポッドは、前記ケーシングを更に備え、前記トルク発生アセンブリは、前記ケーシング内に収容され、
前記ケーシングは、凹部を備え、前記水中構造は、前記ケーシングの前記凹部内に延在し、
前記水中構造は、水中翼及びさらなる要素を含み、前記さらなる要素と前記水中翼とが一緒に前記ケーシングを完全に取り囲むように、前記水中翼および前記さらなる要素のそれぞれが、前記ケーシングを部分的に取り囲み、前記さらなる要素と前記水中翼とが互いに固着される。
【外国語明細書】