(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023021057
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】ターボチャージャの案内装置及びターボチャージャ
(51)【国際特許分類】
F02B 37/24 20060101AFI20230202BHJP
【FI】
F02B37/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022120634
(22)【出願日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】10 2021 119 780.5
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】510153962
【氏名又は名称】マン・エナジー・ソリューションズ・エスイー
【氏名又は名称原語表記】MAN ENERGY SOLUTIONS SE
【住所又は居所原語表記】Stadtbachstr.1 86153 Augsburg,GERMANY
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・バウム
【テーマコード(参考)】
3G005
【Fターム(参考)】
3G005EA04
3G005EA16
3G005FA60
3G005GB15
3G005GB24
3G005GB81
3G005GB88
(57)【要約】
【課題】ターボチャージャの新式の案内装置と、当該案内装置を有するターボチャージャとを創出する。
【解決手段】各ガイドベーン12が、ブレード板13及びブレード脚部14を有している複数のガイドベーン12と、ガイドベーン12のためのキャリア11であって、各ガイドベーン12が、そのブレード脚部14を通じてキャリア11に取り付けられているキャリア11と、を有するターボチャージャの案内装置10であって、キャリア11は、各ガイドベーン12に関して、底壁20及び周りを取り巻く側壁21を備えた溝又はスロット状の凹部19を有しており、各ガイドベーン12は、そのブレード脚部14を通じて、ブレード脚部14のブレード板13に背向する壁22が、各凹部19の底壁20に当接するように、各凹部19にはめ込まれており、各ガイドベーン12は、前そのブレード脚部14に配設された固定手段24を通じて、キャリア11に固定されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドベーン(12)それぞれが、ブレード板(13)及びブレード脚部(14)を有している複数のガイドベーン(12)と、
前記ガイドベーン(12)のためのキャリア(11)であって、前記ガイドベーン(12)それぞれが、前記ガイドベーンのブレード脚部(14)を通じて前記キャリア(11)に取り付けられているキャリア(11)と、
を有するターボチャージャの案内装置(10)において、
前記キャリア(11)は、前記ガイドベーン(12)それぞれに関して、底壁(20)及び周りを取り巻く側壁(21)を備えた溝又はスロット状の凹部(19)を有しており、
前記ガイドベーン(12)それぞれは、前記ガイドベーンのブレード脚部(14)を通じて、前記ブレード脚部(14)の前記ブレード板(13)に背向する壁(22)が、前記凹部(19)それぞれの前記底壁(20)に当接するように、前記凹部(19)それぞれにはめ込まれており、
前記ガイドベーン(12)それぞれが、前記ガイドベーンの前記ブレード脚部(14)に配設された固定手段(24)を通じて、前記キャリア(11)に固定されていることを特徴とする案内装置(10)。
【請求項2】
前記固定手段(24)それぞれが、前記ガイドベーン(12)それぞれの前記ブレード脚部(14)の凹部(25)にはめ込まれたプランジャであることを特徴とする、請求項1に記載の案内装置。
【請求項3】
前記プランジャそれぞれの係合体(26)は、前記ガイドベーン(12)それぞれの前記ブレード脚部(14)が、前記キャリア(11)のそれぞれ溝又はスロット状の凹部(19)にはめ込まれる際に、前記キャリア(11)の前記凹部(19)それぞれの前記底壁(20)に対して平行に変位可能であることを特徴とする、請求項2に記載の案内装置。
【請求項4】
前記プランジャそれぞれの前記係合体(26)が、前記キャリア(11)の前記凹部(19)それぞれの周りを取り巻く側壁(21)の刻み目又はノッチ(28)に係合することを特徴とする、請求項2又は3に記載の案内装置。
【請求項5】
前記プランジャが、スプリングプランジャであることを特徴とする、請求項2から4のいずれか一項に記載の案内装置。
【請求項6】
前記固定手段(24)それぞれがネジであり、前記ネジは、前記ガイドベーン(12)それぞれの前記ブレード脚部(14)を貫通し、前記キャリア(11)のそれぞれ溝又はスロット状の凹部(19)の前記底壁(20)を通って、前記キャリア(11)内に突出していることを特徴とする、請求項1に記載の案内装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の案内装置(10)を有するターボチャージャ。
【請求項8】
前記案内装置(10)のキャリア(11)が、前記ターボチャージャの機能的に別個のアセンブリであることを特徴とする、請求項7に記載のターボチャージャ。
【請求項9】
前記案内装置(10)の前記キャリア(11)が、機能的に、前記ターボチャージャのアセンブリ、特に前記ターボチャージャのインサート又は軸受ハウジング又は密閉カバーに統合されていることを特徴とする、請求項7に記載のターボチャージャ。
【請求項10】
前記案内装置(10)が、前記ターボチャージャのタービンの案内装置であるか、又は、前記ターボチャージャの圧縮機の案内装置であることを特徴とする、請求項7から9のいずれか一項に記載のターボチャージャ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボチャージャの案内装置に関する。本発明はさらに、案内装置を有するターボチャージャに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1からは、圧縮機又はタービンとして構成されたターボ機械の案内装置が知られている。当該案内装置は、ガイドベーンキャリア及び複数のガイドベーンを有している。ガイドベーンは、ブレード脚部とブレード板とを有している。ガイドベーンは、そのブレード脚部で、ガイドベーンキャリアに取り付けられており、各ガイドベーンは、ガイドベーンキャリアの凹部にはめ込まれている。この際、ガイドベーン脚部は、ガイドベーンキャリアの凹部に受容される。この際、各ガイドベーンは、ガイドベーンキャリアを完全に貫通する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第102017215874号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上を前提として、本発明の課題は、ターボチャージャの新式の案内装置と、当該案内装置を有するターボチャージャと、を創出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によると、本課題は、請求項1に記載のターボチャージャの案内装置によって解決される。本発明によると、各ガイドベーンのキャリアは、底壁及び周りを取り巻く側壁を備えた溝又はスロット状の凹部を有しており、各ガイドベーンは、そのブレード脚部を通じて、各凹部に、ブレード板に背向するブレード脚部の壁が、各凹部の底壁に当接するようにはめ込まれており、各ガイドベーンは、そのブレード脚部に配設された固定手段を通じて、キャリアに固定されている。
【0006】
本発明に係る案内装置では、ガイドベーンは、単独で又は個々に製造されたアセンブリとして構成されている。ガイドベーンは、案内装置のキャリアに固定されており、具体的には、キャリアの溝又はスロット状の凹部にはめ込まれたガイドベーンのブレード脚部を通じて固定されている。ガイドベーン脚部を通じて、ガイドベーンをキャリアに固定するために、ガイドベーンのガイドベーン脚部に配設された固定手段が用いられる。本発明に係る案内装置は、容易かつ安価に製造され得る。摩耗した場合には、個別にブレードを交換することができる。
【0007】
好ましくは、各固定手段は、各ガイドベーンのブレード脚部の凹部にはめ込まれたプランジャである。各プランジャの係合体は、各ガイドベーンのブレード脚部を、キャリアのそれぞれ溝又はスロット状の凹部にはめ込む際に、キャリアの各凹部の底壁に対して平行に変位可能であり、各プランジャの係合体は、キャリアの各凹部の周りを取り巻く側壁の刻み目又はノッチに係合する。各ガイドベーンをプランジャを通じて固定することが、特に好ましい。プランジャが流路に到達し、ターボチャージャの他のアセンブリを損傷する危険は存在しない。
【0008】
本発明に係るターボチャージャは、請求項7に規定されている。
【0009】
好ましくは、案内装置のキャリアは、機能的に、ターボチャージャのアセンブリ、特にターボチャージャのインサート又は軸受ハウジング又は密閉カバーに統合されている。案内装置のキャリアをターボチャージャの他のアセンブリと統合することによって、個別のキャリアを用いずにすむ。これによって、各アセンブリの数、及び、ターボチャージャの重量を低下させることが可能である。
【0010】
本発明の好ましいさらなる発展形態は、従属請求項及び以下の説明から明らかである。
【0011】
本発明の実施例を、図面を用いて詳細に説明するが、これに限定されるべきではない。この際、示されているのは以下の図である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係るターボチャージャの第1の案内装置を示す斜視図である。
【
図2】
図1に係る案内装置のガイドベーンを示す斜視図である。
【
図3】ガイドベーンの領域における、
図1に係る案内装置を部分的に示す横断面図である。
【
図4】本発明に係るターボチャージャの第2の案内装置を示す斜視図である。
【
図5】
図4に係る案内装置のガイドベーンを示す斜視図である。
【
図6】ガイドベーンの領域における、
図4に係る案内装置を部分的に示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、ターボチャージャの案内装置に関する。案内装置は、ターボチャージャの圧縮機の案内装置か、又は、ターボチャージャのタービンの案内装置でもあり得る。典型的には、圧縮機の案内装置は、流れの側において、圧縮機のインペラの下流に配置されている。ターボチャージャのタービンの案内装置は、流れの方向において見て、典型的にはタービンのインペラの上流に配置されている。
【0014】
図1から
図3は、本発明に係るターボチャージャの第1の案内装置10の異なる見方及び詳細を示している。案内装置10は、キャリア11と複数のガイドベーン12とを有しており、
図1には、2つのガイドベーン12が例として示されている。
図2は、ガイドベーン12を単独で示している。
【0015】
各ガイドベーン12は、ブレード板13及びブレード脚部14を有している。ブレード板13は、流れ入口側縁部15及び流れ出口側縁部16、並びに、流れ入口側縁部15と流れ出口側縁部16との間に延在する、流れ誘導面17、18を含んでおり、流れ誘導面17、18は、典型的にはブレード板13の吸込側及び圧縮側として構成されている。
【0016】
案内装置10のキャリア11は、各ガイドベーン12に関して、底壁20及び周りを取り巻く側壁21を備えた溝又はスロット状の凹部19を有している。各ガイドベーン12は、そのブレード脚部14を通じて、各ガイドベーン12のブレード脚部14のブレード板13に背向する壁22が、キャリア11の各凹部19の底壁20に当接するように、各凹部19にはめ込まれている。さらに、各ガイドベーン12のブレード脚部14の周りを取り巻く周縁部23は、キャリア11の各凹部19の周りを取り巻く側壁21に当接している。
【0017】
各ガイドベーン12が、そのそれぞれのブレード脚部14を通じて、キャリア11のそれぞれ溝又はスロット状の凹部19にはめ込まれている場合、各ガイドベーン12は、ガイドベーン12のブレード脚部14に配設された固定手段24を通じて、キャリア11に固定されている。
【0018】
図1から
図3の実施例においては、各固定手段24は、各ガイドベーン12のブレード脚部14の凹部25にはめ込まれたプランジャである。この際、プランジャ24は、係合要素26を有するスプリングプランジャであり、プランジャ24は、バネ要素27の弾力に反して変位可能であり、具体的には、各ガイドベーン12がはめ込まれている各凹部19の底壁20に対して平行に変位可能である。
【0019】
各ガイドベーン12が、そのブレード脚部14を通じて、キャリア11の各凹部19にはめ込まれるべきである場合、プランジャ24の係合要素26は、バネ要素27の弾力に反して、底壁20に対して平行に、ブレード脚部14内に押し込まれ、各ガイドベーン12のブレード脚部14の壁22が凹部19の底壁20に全面で当接している場合、各凹部19の周りを取り巻く側壁21のノッチ又は刻み目28に係合する。
【0020】
このようなスプリングプランジャを通じて、各ガイドベーン12は、係合接続又はクリップによる接続の形で、案内装置10のキャリア11の各凹部19にはめ込まれ、キャリア11に固定され得る。
【0021】
図4から
図6は、本発明に係るターボチャージャの案内装置10の第2の実施例を示しており、以下において、
図4、
図5及び
図6では、
図1、
図2及び
図3と同じアセンブリには同じ参照符号が用いられる。
【0022】
不要な繰り返しを回避するために、
図4から
図6の実施例を
図1から
図3の実施例とは異なるものとしている詳細部分のみを取り上げることにする。
【0023】
図4、
図5及び
図6の実施例では、キャリア11への各ガイドベーン12の固定に用いられる各固定手段24は、ネジとして構成されている。
図6によると、当該ネジは、各ガイドベーン12のブレード脚部14を貫通して、ブレード脚部14のブレード板13に背向する壁22と、各凹部19の底壁20と、を通って、キャリア11内に進入している。すなわち、
図1、
図2及び
図3では、固定手段24は、各凹部19の底壁20に対して平行に延在している一方で、
図4、
図5及び
図6では、固定手段24は、各凹部19の底壁20に対して垂直に延在している。
【0024】
本発明は、案内装置10だけではなく、当該案内装置10を有するターボチャージャにも関している。この際、
図1、
図2及び
図3に係る案内装置10が好ましい。なぜなら、固定手段24は、意図に反して解除されることがなく、流路の領域に到達し得ないからである。
【0025】
キャリア11は、ターボチャージャの機能的に別個のアセンブリであるか、又は、ターボチャージャの別のアセンブリに機能的に統合されたアセンブリである。好ましくは、キャリア11は、ターボチャージャのインサート又は軸受ハウジング又は密閉カバーによって供給される。
【0026】
案内装置10は、ターボチャージャの圧縮機の案内装置であるか、又は、ターボチャージャのタービンの案内装置でもあり得る。
【0027】
ガイドベーン12は別個に、例えば鋳造、付加製造によって、又は、混合した製造法によっても製造される。さらに、キャリア11が別個に製造される。ガイドベーン12は、キャリア11の凹部19にはめ込まれ、各固定手段24を通じて、キャリア11に固定される。この際、
図1、
図2及び
図3の実施形態が好ましい。
【符号の説明】
【0028】
10 案内装置
11 キャリア
12 ガイドベーン
13 ブレード板
14 ブレード脚部
15 流れ入口側縁部
16 流れ出口側縁部
17 流れ誘導面
18 流れ誘導面
19 凹部
20 底壁
21 側壁
22 壁
23 周縁部
24 固定要素
25 凹部
26 係合手段
27 バネ要素
28 刻み目
【外国語明細書】