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特開2023-21089ナノクレイ充填ポリマーを含む球状粒子、並びにその生成法及び使用法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023021089
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】ナノクレイ充填ポリマーを含む球状粒子、並びにその生成法及び使用法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/11 20060101AFI20230202BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20230202BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20230202BHJP
   C08L 77/00 20060101ALI20230202BHJP
   C08L 75/04 20060101ALI20230202BHJP
   C08L 23/00 20060101ALI20230202BHJP
   C08J 3/16 20060101ALI20230202BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230202BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20230202BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20230202BHJP
【FI】
C08J3/11 CES
C08J3/11 CFG
C08L101/00
C08K3/34
C08L77/00
C08L75/04
C08L23/00
C08J3/16 CFF
B33Y10/00
B33Y70/00
B29C64/153
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022121702
(22)【出願日】2022-07-29
(31)【優先権主張番号】17/388,861
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100196405
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 邦光
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・クラリッジ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレリー・エム.・ファルジア
【テーマコード(参考)】
4F070
4F213
4J002
【Fターム(参考)】
4F070AA12
4F070AA53
4F070AA54
4F070AC22
4F070AC23
4F070AC27
4F070AC92
4F070AE01
4F070AE28
4F070CA02
4F070CB05
4F070CB15
4F070DA31
4F070DA33
4F070DA39
4F070DC14
4F070EA03
4F213AA03
4F213AA29
4F213AA31
4F213AB06
4F213AB11
4F213AB17
4F213AC04
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL03
4F213WL13
4F213WL23
4F213WL25
4J002AC011
4J002AC031
4J002AC061
4J002BB031
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4J002BB121
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4J002BC031
4J002BD03
4J002BD141
4J002BD151
4J002BF031
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4J002BG051
4J002BG061
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4J002CF051
4J002CF081
4J002CF191
4J002CG001
4J002CH071
4J002CH091
4J002CK001
4J002CK031
4J002CK041
4J002CL011
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4J002CN011
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4J002CP031
4J002DJ036
4J002FB086
4J002FD016
4J002GB00
4J002GC00
4J002GJ01
4J002GJ02
4J002GM00
4J002GM02
4J002GN00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ナノクレイ充填ポリマーを含む、高度に球状の粒子の生成方法を提供する。
【解決手段】(a)熱可塑性ポリマー中に分散されたナノクレイを含むナノクレイ充填ポリマー複合体、(b)ナノクレイ充填ポリマー複合体の熱可塑性ポリマーと非混和性である分散媒、任意選択的に(c)ナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー、及び任意選択的に(d)乳化安定剤、を含む、混合物を、ナノクレイ充填ポリマーの熱可塑性ポリマー、及び、含まれている場合、熱可塑性ポリマーの融点又は軟化温度以上の温度で混合物して、ナノクレイ充填ポリマー複合体を分散媒に分散させることと、混合物を融点又は軟化温度未満まで冷却して、ナノクレイ充填ポリマー粒子を形成することと、ナノクレイ充填ポリマー粒子を分散媒から分離させることと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
(a)熱可塑性ポリマー中に分散されたナノクレイを含むナノクレイ充填ポリマー複合体、(b)前記ナノクレイ充填ポリマー複合体の前記熱可塑性ポリマーと非混和性である分散媒、任意で(c)ナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー、及び任意で(d)乳化安定剤、を含む混合物を、前記ナノクレイ充填ポリマーの前記熱可塑性ポリマー、及び、含まれている場合、前記熱可塑性ポリマーの融点以上又は軟化温度以上の温度で混合して、前記ナノクレイ充填ポリマー複合体を前記分散媒に分散させる工程と、
前記混合物を前記融点未満又は前記軟化温度未満まで冷却して、ナノクレイ充填ポリマー粒子を形成する工程と、
前記ナノクレイ充填ポリマー粒子を前記分散媒から分離する工程と、
を含む方法。
【請求項2】
前記ナノクレイの少なくとも90重量%が、1層~10層の粒子として前記熱可塑性ポリマー中に分散される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ナノクレイが、四級アンモニウム化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ナノクレイ充填ポリマー複合体が、前記ナノクレイを前記熱可塑性ポリマーと、約5分間~約1時間、約125℃~約250℃で溶融混合することによって形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ナノクレイ充填ポリマーが、前記ナノクレイ充填ポリマー複合体の総重量に基づいて、約80重量%~約99.9重量%の前記熱可塑性ポリマーと、約0.05重量%~約20重量%の前記ナノクレイとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記乳化安定剤が存在し、複数のナノ粒子を含み、複数の酸化物ナノ粒子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の酸化物ナノ粒子が、シリカナノ粒子を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記シリカナノ粒子が、前記ナノクレイ充填ポリマー複合体の総重量に基づいて、約0.01重量%~約10重量%の範囲のシリカナノ粒子含有量で存在する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記分散媒が、50:50~90:10の範囲の前記分散媒と前記ナノクレイ充填ポリマー複合体との重量比で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記分散媒が、ポリジメチルシロキサンである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ナノクレイが、インターカレーション、凝集、及び/又は剥離を介して、前記熱可塑性ポリマー中に分散される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ナノクレイ充填ポリマー複合体が、約200%~約600%の範囲の破断点伸びを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ナノクレイ充填ポリマー複合体が、約10MPa~約30MPaの範囲の引張強度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ナノクレイ充填ポリマー複合体が、約20kD~約500kDの範囲の分子量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ナノクレイ充填ポリマー粒子が、約20μm~約80μmの範囲のD50を有し、直径スパンが約2以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記熱可塑性ポリマーが、ポリアミド、ポリオレフィン、及び/又はポリウレタンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
選択的レーザ焼結の方法であって、前記方法は、
任意に他の熱可塑性ポリマー粒子と組み合わせて、表面上にナノクレイ充填ポリマー粒子を堆積させる工程であって、前記ナノクレイ充填ポリマー粒子が、前記ナノクレイ充填ポリマーの前記熱可塑性ポリマー中に分散された少なくとも90重量%の前記クレイを有するナノクレイ充填ポリマー複合体を含む、工程と、
堆積させた後、前記ナノクレイ充填ポリマー粒子の少なくとも一部分をレーザに曝露させて、その前記ナノクレイ充填ポリマー粒子を融合させ、選択的レーザ焼結によって固結体を形成する工程と、
を含む方法。
【請求項18】
前記ナノクレイ充填ポリマー複合体が、前記ナノクレイを前記熱可塑性ポリマーと、約5分間~約1時間、約125℃~約250℃で溶融混合することによって形成される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ナノクレイが、四級アンモニウム化合物を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
ナノクレイ充填ポリマー複合体を含むナノクレイ充填ポリマー粒子を含み、少なくとも90重量%の前記ナノクレイが、1層~10層の粒子として熱可塑性ポリマー中に分散されている、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ナノクレイ充填ポリマーを含む、高度に球状の粒子に関する。本開示は、かかる粒子の組成物、合成方法、及び用途に更に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性ポリマーは、フィルム、袋、粒子、及びフィラメントなどの押出成形された物体を作製するために使用されることが多い。熱可塑性ポリマーの一例は、ポリウレタンである。ポリウレタンは、物理的特性を損なうことなく、高温又は低温に耐える能力を有する。ポリウレタンは、ゴムの可撓性を靭性及び耐久性と組み合わせる高性能エラストマー材料である。
【0003】
ポリウレタンは、自動車(例えば、シート、アームレスト、ヘッドレスト、グレーズフロントガラス(glaze windshield)及び窓)、医薬(例えば、カテーテル、汎用チューブ、病院寝具、外科用ドレープ、創傷包帯、射出成形装置、医療用インプラント、医療デバイス)、接着剤、シーラント、フィルタ、履物用部品、ワイヤシース、保護衣類、コンピュータ構成要素、航空宇宙用部品、並びに部品において複数の用途を有する。熱可塑性エラストマーは、結晶質「ハード」セグメント及び非晶質「ソフト」セグメントを有するコポリマーである。ポリウレタンは、典型的にはイソシアネート、ポリオール、及び鎖延長剤の重合によって調製された熱可塑性エラストマーである。ソフトセグメントは、典型的には、ポリマー材料に柔軟性を与える低いガラス転移温度を有するポリオールである。ハードセグメントは、典型的には、靭性を提供する鎖延長剤を有するウレタンである。
【0004】
したがって、ポリウレタンなどの熱可塑性ポリマーで形成された物体は、動力工具、自動車部品、ギア、及び電化製品部品のような要求の高い用途に使用することができる。積層造形(additive manufacturing)としても既知の三次元(three-dimensional、3D)印刷は、かかる物体の製作にますます使用されている。選択的レーザ焼結は、ポリスチレン、ナイロン、他のプラスチック、並びにポリマー被覆金属及びセラミックなど複合材料など様々な材料からの高い解像度かつ寸法精度の三次元物体の直接製造を可能にした。
【0005】
ポリウレタンは、その流動特性、他のポリマーよりも低いコスト、及び望ましい焼結窓から、積層造形に使用される最も一般的なポリマーのうちの1つである。しかしながら、積層造形によって製作された物体に必要な物理的特性は、ポリウレタンの特性を超える場合がある。
【0006】
ナノクレイとしても知られるクレイナノ充填剤は、ポリウレタン複合体のようなポリマー複合体の機械的特性を増加させるための一般的な添加剤となっている。ナノクレイは、特徴的なプレートレット形態、薄片状軟質構造、低比重、軽量、及びナノスケールの厚さを有する高アスペクト比を有する。ポリマーへのナノクレイの組み込みは、ポリマー複合体の物理的及び機械的特性を改善するために重要である。ポリマーとナノクレイとの間の不十分な物理的相互作用は、典型的には、機械的及び熱的特性が不十分になる。ポリマーマトリックス全体への改善されたナノクレイ分散が依然として必要とされている。ナノクレイ充填ポリマー複合体を物体に製造することができる方法を拡張することは、ポリマー複合体産業を更に拡大することになる。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、ナノクレイ充填ポリマーを含む、高度に球状の粒子に関する。本開示は、かかる粒子の組成物、合成方法、及び用途に更に関する。
【0008】
本開示は、方法であって、(a)熱可塑性ポリマー中に分散されたナノクレイを含むナノクレイ充填ポリマー複合体、(b)ナノクレイ充填ポリマー複合体の熱プラスチックと非混和性である分散媒、任意選択的に(c)ナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー、及び任意選択的に(d)乳化安定剤、を含む、混合物を、ナノクレイ充填ポリマーの熱可塑性ポリマー、及び、含まれている場合、熱可塑性ポリマーの融点又は軟化温度以上の温度で混合して、ナノクレイ充填ポリマー複合体を分散媒に分散させることと、混合物を融点又は軟化温度未満まで冷却して、ナノクレイ充填ポリマー粒子を形成することと、ナノクレイ充填ポリマー粒子を分散媒から分離させることと、を含む、方法を含む。
【0009】
本開示は、前述の方法によって生成されたナノクレイ充填ポリマー粒子を、任意選択的に、熱可塑性ポリマー粒子(好ましくは、類似のサイズ及び形状であるが、多孔質又は中実であり得る)と合わせて、表面に(例えば、層状で、及び/又は特定の形状で)堆積させることと、堆積させると、ポリイミド微粒子の少なくとも一部を加熱して、その固結化を促進し、固結体(又は物体)を形成することと、を含む、方法も含む。
【0010】
第4の非限定的な例示的な実施形態は、ナノクレイ充填ポリマー複合体を含むナノクレイ充填ポリマー粒子を含む組成物であり、少なくとも90重量%のナノクレイが、1層~10層粒子として熱可塑性ポリマー中に分散される。
【0011】
本開示は、方法であって、ナノクレイ充填ポリマー粒子(少なくとも90重量%のナノクレイが1層~10層の粒子として熱可塑性ポリマー中に分散されている)を、任意選択的に、熱可塑性ポリマー粒子(好ましくは、類似のサイズ及び形状であるが、多孔質又は中実であり得る)と合わせて、表面に(例えば、層状で、及び/又は特定の形状で)堆積させることと、堆積させると、ポリイミド微粒子の少なくとも一部を加熱して、その固結化を促進し、固結体(又は物体)を形成することと、を含む、方法も含む。
【0012】
以下の図は、実施形態の特定の態様を例示するために含まれ、排他的な実施形態としてみられるべきではない。開示される主題は、本開示の利益を有する当業者に想到されるような、形態及び機能において相当な修正、変更、組み合わせ、及び等価物が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の非限定的な例示的方法のフローチャートである。
【0014】
図2A】様々なTPU/ナノクレイ複合体の走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)断面画像である。
図2B】様々なTPU/ナノクレイ複合体の走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)断面画像である。
図3A】様々なTPU/ナノクレイ複合体の走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)断面画像である。
図3B】様々なTPU/ナノクレイ複合体の走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)断面画像である。
図4A】様々なTPU/ナノクレイ複合体の走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)断面画像である。
図4B】様々なTPU/ナノクレイ複合体の走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)断面画像である。
図5A】様々なTPU/ナノクレイ複合体の走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)断面画像である。
図5B】様々なTPU/ナノクレイ複合体の走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)断面画像である。
図6A】様々なTPU/ナノクレイ複合体の走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)断面画像である。
図6B】様々なTPU/ナノクレイ複合体の走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)断面画像である。
図7A】様々なTPU/ナノクレイ複合体の走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)断面画像である。
図7B】様々なTPU/ナノクレイ複合体の走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)断面画像である。
図8A】様々なTPU/ナノクレイ複合体の走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)断面画像である。
図8B】様々なTPU/ナノクレイ複合体の走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)断面画像である。
【0015】
図9A】様々なTPU/ナノクレイ配合粒子のSEM断面画像である。
図9B】様々なTPU/ナノクレイ配合粒子のSEM断面画像である。
図10A】様々なTPU/ナノクレイ配合粒子のSEM断面画像である。
図10B】様々なTPU/ナノクレイ配合粒子のSEM断面画像である。
図11A】様々なTPU/ナノクレイ配合粒子のSEM断面画像である。
図11B】様々なTPU/ナノクレイ配合粒子のSEM断面画像である。
図11C】様々なTPU/ナノクレイ配合粒子のSEM断面画像である。
【0016】
図12A】ワンポット溶融乳化プロセスを介して調製されたTPU/ナノクレイ複合体粒子のSEM断面画像である。
図12B】ワンポット溶融乳化プロセスを介して調製されたTPU/ナノクレイ複合体粒子のSEM断面画像である。
【0017】
図13】TPU/ナノクレイ複合体の選択的レーザ焼結(selective laser sintering、SLS)である。
【0018】
図14】化学処理を受けたTPU及びTPU/ナノクレイ複合体の様々な射出成形部品の代表的な写真である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示は、ナノクレイ充填ポリマーを含む、高度に球状の粒子に関する。本開示は更に、そのようなナノクレイ充填ポリマー粒子の組成物、合成方法、及び用途に更に関する。本明細書に記載のナノクレイ充填ポリマーは、例えば、ナノクレイが熱可塑性ポリマー全体に十分に分散している溶融混合方法によって生成され得る。熱可塑性ポリマーはナノクレイで充填されるため、ナノクレイ充填ポリマーを組み込む物体は、より均一に分散したナノクレイを有する。
【0020】
より具体的には、本開示は、とりわけ、積層造形のための出発材料として有用であり得るナノクレイ充填ポリマーを含む高度に球状のポリマー粒子を作製する方法を含む。本明細書に記載の溶融乳化方法は、有利には、熱可塑性ポリマー中のナノクレイの良好な分散を維持し得、これは、ナノクレイ充填ポリマーを含むポリマー粒子から生成された物体におけるより良好な特性に変換され得る。
【0021】
有利には、本開示の組成物及び方法は、クライオミリングのような他の方法によって作製されたポリマー粒子と比較して、より良好な粒径分布及び改善された流動特性を有する、3D印刷及び他の製造用途に好適な高度に一体形成された球状粒子を提供する。更に、任意のナノクレイ充填ポリマーなしで作製されたポリマー粒子と比較した場合、本開示の組成物は、増大した機械的特性(例えば、引張強度、破断点伸び)、増大した熱安定性、改善された耐燃性、改善された耐溶剤性(又は改善された耐化学性)、及び/又は改善されたガスバリア特性(例えば、より少ない酸素及び他のガスが透過することを可能にする)を表示し得る。更に、当該特性のうちの1つ以上は、粒径分類(例えば、ふるい分け)をほとんどから全く伴わずに及び/又はナノクレイの低充填量で達成され得る。したがって、当該物品が改善された特性(例えば、難燃性、耐化学性、及び/又はより少ないガス透過性)を有する、積層造形によるより軽量の物品の製作が達成され得る。
定義及び試験方法
【0022】
本明細書で使用される数値範囲は、範囲に列挙される数字を含む。例えば、「1重量%~10重量%」の数値範囲は、列挙された範囲内で1重量%及び10重量%を含む。
【0023】
本明細書で使用するとき、「不混和性」という用語は、組み合わされたときに、周囲気圧及び室温で、又は室温で固体である場合は成分の融点で、互いに5重量%未満の溶融度を有する2つ以上の相を形成する成分の混合物を指す。例えば、10,000g/molの分子量を有するポリエチレンオキシドは、室温で固体であり、65℃の融点を有する。したがって、当該ポリエチレンオキシドは、材料及び当該ポリエチレンオキシドが、65℃で5重量%未満の溶融度をお互いに有する場合、室温で液体である当該材料と非混和性である。
【0024】
ポリマーを-mer単位で指すとき、当業者であれば、-mer単位がポリマー中で重合した形態にあることを理解するであろう。
【0025】
本明細書で使用するとき、「熱可塑性ポリマー」という用語は、加熱及び冷却において可逆的に軟化及び硬化するプラスチックポリマー材料を指す。熱可塑性ポリマーは、熱可塑性エラストマーを包含する。
【0026】
本明細書で使用するとき、「エラストマー」という用語は、結晶性「硬質」部分及び非晶性「軟質」部分を含むコポリマーを指す。ポリウレタンの場合、結晶性部分は、ウレタン官能性及び任意選択的な鎖延長基を含むポリウレタンの一部分を含み得、軟質部分は、例えば、ポリオールを含み得る。
【0027】
本明細書で使用するとき、「ポリウレタンモノマー」という用語は、ポリウレタンを形成するモノマーを指す。本明細書で使用するとき、「ポリウレタン」という用語は、ジイソシアネートと、ポリオールと、任意選択的な鎖延長剤との間のポリマー反応生成物を指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、「ナノクレイ」という用語は、微量の金属酸化物及び有機物質を有する層状ケイ酸塩又はクレイ鉱物で構成された微細な天然岩石又は土壌材料を指す。クレイ鉱物は、結晶形態を有し、しばしば鉄、マグネシウム、リチウム、アルカリ金属、アルカリ土類、及び他のカチオンなどの可変量の金属を有する、含水アルミニウムフィロケイ酸塩である。クレイの微細構造は、直径2μm未満及び厚さが10nm未満のプレートレット様式で観察されることが多い。更に、各層は、少なくとも1つのシリカ(SiO2)四面体(T)、続いて1つのアルミナ(Al)の1つのアルミナ(Al23)八面体(O)を含む。四面体(T)及び八面体(O)単位の数は、クレイ間で異なり得る。クレイは、多くの場合、それらの結晶構造、並びに基本細胞内の電荷の量及び位置、カチオン交換容量(cation exchange capacity、CEC)、T及びO単位の比、中間層空間(d空間)、及び形態に基づいて分類される。
【0029】
本明細書で使用される場合、「ナノクレイ充填ポリマー」という用語は、任意の好適な組み込み/充填方法(例えば、インターカレーション、凝集剤剥離)によってそこから熱可塑性ポリマーに組み込まれたナノクレイを指す。これらの用語は、構造が製作される方法を暗示するのではなく、構造自体について説明する。
【0030】
本明細書で使用するとき、「酸化物」という用語は、金属酸化物及び非金属酸化物の両方を指す。本開示の目的では、ケイ素は、金属であるとみなされる。
【0031】
本明細書で使用するとき、粒子(例えば、ナノ粒子)及びポリマー粒子の表面に関して「埋め込む」という用語は、ナノ粒子がポリマー粒子の表面上に単に置かれた場合よりも大きい程度まで、ポリマーがナノ粒子と接触するように、粒子がポリマー粒子の表面に少なくとも部分的に延在していることを指す。
【0032】
以下本明細書では、D10、D50、D90、及び直径スパンは、粒径を記載するために主に使用される。本明細書で使用するとき、「D10」という用語は、粒子集団の10%(別途指定のない限り、体積ベースの分布に対して)に見出される粒径を指す。本明細書で使用するとき、「D50」、「平均粒子直径」、及び「平均粒径」という用語は、直径であって、それ未満に、粒子集団の50%(別途指定のない限り、体積基準のメジアン平均に関して)が見出される、直径、を指す。本明細書で使用するとき、「D90」という用語は、直径であって、それ未満に、粒子集団の90%(別途指定のない限り、体積基準の分布に関して)が見出される、直径、を指す。本明細書で使用するとき、直径に言及する際の「直径スパン」及び「スパン」並びに「スパンサイズ」という用語は、粒径分布の広がりの指標を提供し、(D90-D10)/D50として計算される。
【0033】
粒子直径及び粒径分布は、Malvern MASTERSIZER(商標)3000を使用する光散乱技術によって判定される。光散乱技術については、対照試料は、Malvern Analytical Ltd.から入手した商標名Quality Audit Standards QAS4002(商標)の15μm~150μmの範囲内の直径を有するガラスビーズであった。別途記載のない限り、試料は乾燥粉体として分析された。分析した粒子は、空気中に分散され、MASTERSIZER(商標)3000により、AERO S(商標)乾燥粉体分散モジュールを使用して分析された。粒径は、サイズの関数としての体積密度のプロットから、計器ソフトウェアを使用して導出された。
【0034】
本明細書で使用するとき、ふるい分けについて言及する場合、孔/スクリーンサイズは、U.S.A.Standard Sieve(ASTM E11-17)により説明されているものである。
【0035】
本明細書で使用する場合、粒子に関する「真円度」という用語は、粒子が完全な球体にどの程度近いかを指す。真円度を判定するために、フロー粒子撮像を使用して光学顕微鏡画像を撮影する。顕微鏡画像の平面内の粒子の周囲の長さ(P)及び面積(A)を(例えば、Malvern Instrumentsから入手可能なSYSMEX FPIA 3000粒子形状及び粒径分析器を使用して)計算する。粒子の真円度はCEA/Pであり、式中、CEAは、実際の粒子の面積(A)に相当する面積を有する円の外周である。本明細書では、真円度は、SYSMEX FPIA 3000粒子形状及び粒径分析器による3回の分析に基づいており、1回ごとに6,000~10,000個の粒子を分析する。報告された真円度は、粒子数に基づいた中央平均真円度である。分析では、背景画素と粒子画素との間のグレースケールレベル(greyscale level)を区別するための閾値(例えば、不均一な照明条件を補正するため)を背景モーダル値の90%に設定した。
【0036】
本明細書で使用するとき、「剪断力」という用語は、流体中で機械的撹拌を誘導する撹拌又は類似のプロセスを指す。
【0037】
本明細書で使用するとき、「アスペクト比」という用語は、長さを幅で除したものを指し、長さは、幅よりも大きい。
【0038】
別途指定のない限り、ポリマーの融点は、ASTM E794-06(2018)により、昇温速度及び冷却速度10℃/分で判定される。
【0039】
別途指定のない限り、ポリマーの軟化温度又は軟化点は、ASTM D6090-17により判定される。軟化温度は、1℃/分の加熱速度で0.50グラムの試料を使用して、Mettler-Toledoから入手可能なカップアンドボール装置を使用することで測定することができる。
【0040】
Mwは、重量平均分子量である。特に明記しない限り、Mwは、g/mol又はkDa(1,000g/mol=1kDa)の単位を有し、ゲル浸透クロマトグラフィによって測定される。
【0041】
メルトフローインデックス(melt flow index、MFI)は、定義された条件のセット(単位:g/10分)下でのポリマー溶融物の流れに対する耐性の尺度であり、2mmのオリフィス及び2.16kgの荷重を使用して195℃でASTM1238-20標準手順Aによって測定される。低剪断速度条件における尺度であるため、MFIは、ポリマーの分子量に反比例する。
【0042】
本明細書で使用するとき、固体材料の「引張弾性率」(MPa)は、その剛性を測定する機械的特性である。MPaは、弾性変形を受けるときのその引張応力(単位面積当たりの力)対その歪み(相対変形)の比率として定義される。MPaは、1平方インチ当たりのパスカル又はポンド(per square inch、psi)で表され得る。ポリマーの引張弾性率は、ASTM D638-14を使用して判定され得る。
【0043】
安息角は、粉体の流動性の尺度である。安息角の測定値は、ASTM D6393-14「Standard Test Method for Bulk Solids Characterized by Carr Indices」を使用するHosokawa MicronのPowder Characteristics Tester PT-Rを使用して判定された。
【0044】
通気密度(aerated density)(ρaer)は、ASTM D6393-14に従って測定される。
【0045】
嵩密度(ρbulk)は、ASTM D6393-14に従って測定される。
【0046】
タップ密度(ρtap)は、ASTM D6393-14に従って測定される。
【0047】
ハウスナー比(Hr)は、粉体の流動性の尺度であり、Hr=ρtap/ρbulkにより計算され、式中、ρbulkは、ASTM D6393-14による嵩密度であり、ρtapはASTM D6393-14によるタップ密度である。
【0048】
本明細書で使用するとき、分散媒の粘度は、別途記載のない限り、ASTM D445-19により測定して、25℃での動粘度である。商業的に調達された分散媒(例えば、ポリジメチルシロキサン油(polydimethylsiloxane oil、PDMS))については、本明細書に引用される動粘度データは、前述のASTM又は別の標準的な測定技法に従って測定されるかどうかにかかわらず、製造元によって提供された。
【0049】
結晶化温度は、ポリマーが、自然に又は人工的に開始されたプロセスで結晶化(すなわち、凝固)して構造形態になる温度であり、原子又は分子は、結晶へと高度に編成される。結晶化温度は、示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry、DSC)によって測定され得る。DSCは、ポリマーの溶融に必要な熱に基づいてポリマー結晶化度を判定するための迅速な方法を提供する。結晶化温度(℃)は、ASTM E794-06(2018)に従って、10℃/分の傾斜及び冷却速度で測定され、結晶化温度は、第2の加熱及び冷却サイクルに基づいて判定される。
【0050】
別途指定のない限り、ポリマーの結晶化度は、ASTM D3418-15により判定される。結晶化度計算の場合、100%結晶性TPUは、196.8J/gのエンタルピーを有すると考えられる。
【0051】
ここで、ヤング率、引張、及び破断点伸びは、Instron Frame3367、2kNロードセル、5型dogbones、及び50mm/秒試験速度を使用してASTM D412-16e1に従って測定される。
【0052】
本明細書では、曲げ弾性率は、Instron Frame3367、2kNロードセル、及び3点曲げを使用してASTMD790-17に従って測定される。
【0053】
SLS部分の寸法精度(%)は、3D印刷されたSLSの焼結部の精度の定量的尺度である。
ナノクレイ充填ポリマー
【0054】
一般に、本開示の組成物、合成方法、及び適用方法は、熱可塑性ポリマー全体に分散された天然又は合成的に修飾されたナノクレイを使用する。本明細書では、ナノクレイが熱可塑性ポリマー中に分散されているときに説明する場合、少なくとも90重量%のナノクレイが、1層~10層の粒子として熱可塑性ポリマー中に分散される。理論によって限定されるものではないが、少数の層におけるクレイ層の剥離及び/又はクレイの分散は、ナノクレイフィルタポリマーの機械的特性を改善し、最終的にはそこから生成される物体(例えば、ナノクレイ充填ポリマー粒子から生成された3D印刷された物品)を改善すると考えられる。
【0055】
熱可塑性ポリマー全体のナノクレイの分散は、溶融混合を介して実行され得る。結果は、ナノクレイ充填ポリマーである。ナノクレイの化学的性質及びナノクレイを分散させるために使用される方法のために、ナノクレイ充填ポリマー複合体を形成するために、熱可塑性ポリマー中の十分に分散したナノクレイは、熱可塑性ポリマーの結晶化速度を増加させる有効な核形成剤として作用することができる。
【0056】
本開示のナノクレイ充填-ポリマー組成物は、1つ以上のナノクレイ及び1つ以上の熱可塑性ポリマーを含み得る。当該ナノクレイ充填ポリマー組成物の生成は、熱可塑性ポリマーマトリックス中に高度に分散したナノクレイを生成するための溶融混合方法によるものであり得る。
【0057】
熱可塑性ポリマーの例としては、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエチレン(好ましくは官能化ポリエチレン)、ポリプロピレン(好ましくは官能化ポリプロピレン)、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate、PBT)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate、PEN)、ポリトリメチレンテレフタレート(polytrimethylene terephthalate、PTT)、エチレンビニルアセテートコポリマー(ethylene vinyl acetate、EVA)、エチレンプロピレンジエンゴム(ethylene propylene diene rubber、EPDM)、エチレンプロピレンエラストマー(ethylene-propylene elastomer、EPR)、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエテン、ポリエステル(例えば、ポリ乳酸)、ポリエーテル、ポリエーテルスルホン(polyether sulfones、PESU)、ポリスルホン(polysulfones、PSU)、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリイミド、アクリロニトリルブタジエンスチレン(acrylonitrile butadiene styrene、ABS)、ポリフェニレンスルフィド、ビニルポリマー、ポリアリーレンエーテル、ポリアリーレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエステル、ポリエーテルブロック及びポリアミドブロック(PEBA又はポリエーテルブロックアミド)を含むコポリマー、グラフト化又は非グラフト化熱可塑性ポリアミド、官能化又は非官能化エチレン/ビニルモノマーポリマー、官能化又は非官能化エチレン/アルキル(メタ)アクリレート、官能化又は非官能化(メタ)アクリル酸ポリマー、官能化又は非官能化エチレン/ビニルモノマー/アルキル(メタ)アクリレートターポリマー、エチレン/ビニルモノマー/カルボニルターポリマー、エチレン/アルキル(メタ)アクリレート/カルボニルターポリマー、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン(methylmethacrylate-butadiene-styrene、MBS)型コアシェルポリマー、ポリスチレン-ブロック-ポリブタジエン-ブロック-ポリ(メチルメタクリレート)(polystyrene-block-polybutadiene-block-poly(methyl methacrylate)、SBM)ブロックターポリマー、塩素化又はクロロスルホン化ポリエチレン、ポリビニリデンフルオリド(polyvinylidene fluoride、PVDF)、フェノール樹脂、ポリ(エチレン/酢酸ビニル)、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン系ブロックコポリマー、ポリアクリロニトリル、シリコーンなど、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。また、前述の1つ以上を含むコポリマーが本開示の方法及びシステムにおいて使用され得る。好ましいポリマーは、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリアミド、ポリウレタン、及びそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0058】
ポリアミドの例としては、ポリカプロアミド(ナイロン6、ポリアミド6、又はPA6)、ポリ(ヘキサメチレンサクシンアミド)(ナイロン4,6、ポリアミド4,6、又はPA4,6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン6,6、ポリアミド6,6、又はPA6,6)、ポリペンタメチレンアジパミド(ナイロン5,6、ポリアミド5,6、又はPA5,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン6,10、ポリアミド6,10、又はPA6,10)、ポリウンデカアミド(ナイロン11,ポリアミド11,又はPA11)、ポリドデカアミド(ナイロン12、ポリアミド12、又はPA12)、及びポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T、ポリアミド6T、又はPA6T)、ナイロン10,10(ポリアミド10,10又はPA10,10)、ナイロン10,12(ポリアミド10,12又はPA10,12)、ナイロン10,14(ポリアミド10,14又はPA10,14)、ナイロン10,18(ポリアミド10,18又はPA10,18)、ナイロン6,18(ポリアミド6,18又はPA6,18)、ナイロン6,12(ポリアミド6,12又はPA6,12)、ナイロン6,14(ポリアミド6,14又はPA6,14)、ナイロン12,12(ポリアミド12,12又はPA12,12)など、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。コポリアミドも使用され得る。コポリアミドの例としては、PA11/10,10、PA6/11、PA6,6/6、PA11/12、Pa 10,10/10,12、PA10,10/10,14、PA11/10,36、PA11/6,36、PA10,10/10,36、PA6T/6,6など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。ポリアミドの後に第1の数のコンマ第2の数が続くものは、ペンダントを有しない部分の窒素=Oの間の第1の数の主鎖炭素を有するポリアミドであり、第2の数の主鎖炭素は、ペンダント=Oを有する部分の2つの窒素の間にある。非限定的な例として、ナイロン6,10は、[NH-(CH26-NH-CO-(CH28-CO]nである。ポリアミドの後に数字、バックスラッシュ、数字が付いたものは、バックスラッシュの前後の数字によって示されたポリアミドのコポリマーである。
【0059】
本開示の組成物及び方法における、ナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー108は、エラストマー又は非エラストマーであり得るが、好ましくは熱硬化性ポリマーではない。熱可塑性ポリマーの前述の例のうちのいくつかは、ポリマーの正確な組成に応じて、エラストマー又は非エラストマーであってもよい。例えば、エチレンとプロピレンとのコポリマーであるポリエチレンは、ポリマー中のプロピレンの量に応じて、エラストマーであっても又はエラストマーでなくてもよい。
【0060】
熱可塑性エラストマーは、概して、スチレン系ブロックコポリマー、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー、熱可塑性加硫ゴム(エラストマー合金とも称される)、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性コポリエステル、及び熱可塑性ポリアミド(典型的にはポリアミドを含むブロックコポリマー)の6つのクラスのうちの1つの範囲内に入る。熱可塑性エラストマーの例は、Handbook of Thermoplastic Elastomers,2nd ed.,B.M.Walker and C.P.Rader,eds.,Van Nostrand Reinhold,New York,1988に見出すことができる。熱可塑性エラストマーの例としては、エラストマー性ポリアミド、ポリウレタン、ポリエーテルブロック及びポリアミドブロックを含むコポリマー(PEBA又はポリエーテルブロックアミド)、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン(methacrylate-butadiene-styrene、MBS)型コアシェルポリマー、ポリスチレン-ブロック-ポリブタジエン-ブロック-ポリ(メチルメタクリレート)(polystyrene-block-polybutadiene-block-poly(methyl methacrylate)、SBM)ブロックターポリマー、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン系ブロックコポリマー、並びにポリアクリロニトリル、シリコーンなどが挙げられるが、これらに限定されない。弾性スチレン系ブロックコポリマーとしては、イソプレン、イソブチレン、ブチレン、エチレン/ブチレン、エチレン-プロピレン、及びエチレン-エチレン/プロピレンからなる群から選択される少なくとも1つのブロックが挙げられ得る。より具体的な弾性スチレン系ブロックコポリマーの例としては、ポリ(スチレン-エチレン/ブチレン)、ポリ(スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン)、ポリ(スチレン-エチレン/プロピレン)、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレン)、ポリ(スチレン-エチレン/プロピレン-スチレン-エチレン-プロピレン)、ポリ(スチレン-ブタジエン-スチレン)、ポリ(スチレン-ブチレン-ブタジエン-スチレン)など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
ポリウレタンは、脂肪族基、芳香族基、エーテル基、エステル基、ウレタン基、及び尿素基を含み得、したがって、多種多様な他のポリマーとの混和性、又は少なくとも強い界面結合を促進し得る広範囲の極性及び水素結合可能性を提供する。
【0062】
本明細書のポリウレタンは、熱可塑性ポリウレタン(thermoplastic polyurethane、TPU)であり得る。eは、ハードセグメント(例えば、ジイソシアネート及びジオール、又はジアミン)、及びソフトセグメント(ポリエステル又はポリエーテルマクロジオール)からなり得る。
【0063】
ポリウレタンは、(a)ポリイソシアネート成分、(b)ポリオール成分、及び(c)任意選択的な鎖延長剤成分から生成され得る。ポリイソシアネート成分は、芳香族ジイソシアネートを含み得る。ポリイソシアネート成分は、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)、トルエンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。ポリオール成分は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルとポリエステルポリオールとのコポリマー、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。更に、ポリオール成分は、ポリ(テトラメチレンエーテルグリコール)、ポリカプロラクトン、アジピン酸ポリエステル、それらのコポリマー、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。鎖延長剤成分は、1,4-ブタンジオール、1,12-ドデカンジオール、ジプロピレングリコール、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される直鎖アルキレンジオールを含み得る。
【0064】
ポリウレタンの例は、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、混合ポリエーテル及びポリエステルポリウレタンなど、並びにこれらの任意の組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。熱可塑性ポリウレタンの例としては、ポリ[4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)-alt-1,4-ブタンジオール/ジ(プロピレングリコール)/ポリカプロラクトン]、ELASTOLLAN(登録商標)1190A(ポリエーテルポリウレタンエラストマー、BASFから入手可能)、ELASTOLLAN(登録商標)1190A10(ポリエーテルポリウレタンエラストマー、BASFから入手可能)など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
ポリウレタンは、ジイソシアネートとジオールとの重付加反応によって、有機分子触媒(例えば、有機スズ触媒、有機スズ触媒と組み合わされた有機三級アミン、又はN-複素環式カルベン(N-heterocyclic carbene、NHC))の存在下で合成され得る。本明細書では、ジイソシアネート、ポリオール、及び鎖延長剤は、約5:0.1:0.1~約1:1:1、例えば、1:0.5:0.5などの範囲のモル比で使用され得(モル比は、異なる特性を得るために変更され得る)、プレポリマーは、ジイソシアネート(例えば、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI))を、約50℃~約120℃(好ましくは80℃)の範囲の温度でポリオール(例えば、ポリエーテルポリオール)と反応させることによって調製され得る。本明細書で使用される有機反応物(例えば、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide、DMF))と混和性の有機溶媒などの溶媒を本明細書で使用することができる。-OH基の変換は、NCO基の滴定によって監視/分析され得る。ジオール(例えば、1,4-ブタンジオール)及び触媒(例えば、ジブチルスズジラウレート触媒などの有機スズ触媒)を反応容器に添加し、鎖延長を可能にすることができる。次いで、得られたスラリー混合物を金型に注ぎ、溶媒を蒸発させることができる。約25℃~約100℃(好ましくは50℃)の範囲の温度の真空オーブンにポリマー生成物を配置することによって、あらゆる残留溶媒を除去することができる。
【0066】
相溶化剤は、ナノクレイ充填ポリマーと、ナノクレイを有さない1つ以上の熱可塑性ポリマーとのブレンド効率性及び有効性を改善するために任意選択的に使用され得る。ポリマー相溶化剤の例としては、限定するものではないが、PROPOLDER(商標)MPP2020 20(ポリプロピレン、Polygroup Inc.から入手可能)、PROPOLDER(商標)MPP2040 40(ポリプロピレン、Polygroup Inc.から入手可能)、NOVACOM(商標)HFS2100(無水マレイン酸官能化高密度ポリエチレンポリマー、Polygroup Inc.から入手可能)、KEN-REACT(商標)CAPS(商標)L(商標)12/L(有機金属カップリング剤、Kenrich Petrochemicalsから入手可能)、KEN-REACT(商標)CAPOW(商標)L(商標)12/H(有機金属カップリング剤、Kenrich Petrochemicalsから入手可能)、KEN-REACT(商標)LICA(商標)12(有機金属カップリング剤、Kenrich Petrochemicalsから入手可能)、KEN-REACT(商標)CAPS(商標)KPR(商標)12/LV(有機金属カップリング剤、Kenrich Petrochemicalsから入手可能)、KEN-REACT(商標)CAPOW(商標)KPR(商標)12/H(有機金属カップリング剤、Kenrich Petrochemicalsから入手可能)、KEN-REACT(商標)チタン酸&ジルコン酸(有機金属カップリング剤、Kenrich Petrochemicalsから入手可能)、VISTAMAXX(商標)(エチレン-プロピレンコポリマー、ExxonMobilから入手可能)、SANTOPRENE(商標)(エチレン-プロピレン-ジエンゴム及びポリプロピレンの熱可塑性加硫物、ExxonMobilから入手可能)、VISTALON(商標)(エチレン-プロピレン-ジエンゴム、ExxonMobilから入手可能)、EXACT(商標)(プラストマー、ExxonMobilから入手可能)EXXELOR(商標)(ポリマー樹脂、ExxonMobilから入手可能)、FUSABOND(商標)M603(ランダムエチレンコポリマー、Dowから入手可能)、FUSABOND(商標)E226(無水物変性ポリエチレン、Dowから入手可能)、BYNEL(商標)41E710(共押出可能な接着剤樹脂、Dowから入手可能)、SURLYN(商標)1650(アイオノマー樹脂、Dowから入手可能)、FUSABOND(商標)P353(化学修飾ポリプロピレンコポリマー、Dowから入手可能)、ELVALOY(商標)PTW(エチレンターポリマー、Dowから入手可能)、ELVALOY(商標)3427AC(エチレン及びブチルアクリレートのコポリマー、Dowから入手可能)、LOTADER(商標)AX8840(エチレンアクリレート系ターポリマー、Arkemaから入手可能)、LOTADER(商標)3210(エチレンアクリレート系ターポリマー、Arkemaから入手可能)、LOTADER(商標)3410(エチレンアクリレート系ターポリマー、Arkemaから入手可能)、LOTADER(商標)3430(エチレンアクリレート系ターポリマー、Arkemaから入手可能)、LOTADER(商標)4700(エチレンアクリレート系ターポリマー、Arkemaから入手可能)、LOTADER(商標)AX8900(エチレンアクリレート系ターポリマー、Arkemaから入手可能)、LOTADER(商標)4720(エチレンアクリレート系ターポリマー、Arkemaから入手可能)、BAXXODUR(商標)EC 301(BASFから入手可能なエポキシ用アミン)、BAXXODUR(商標)EC 311(エポキシ用アミン、BASFから入手可能)、BAXXODUR(商標)EC 303(エポキシ用アミン、BASFから入手可能)、BAXXODUR(商標)EC 280(エポキシ用アミン、BASFから入手可能)、BAXXODUR(商標)EC 201(エポキシ用アミン、BASFから入手可能)、BAXXODUR(商標)EC 130(エポキシ用アミン、BASFから入手可能)、BAXXODUR(商標)EC 110(エポキシ用アミン、BASFから入手可能)、スチレン系、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、EASTMAN(商標)G-3003(無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレン、Eastmanから入手可能)、RETAIN(商標)(ポリマー変性剤、Dowから入手可能)、AMPLIFY TY(商標)(無水マレイン酸グラフトポリマー、Dowから入手可能)、INTUNE(商標)(オレフィンブロックコポリマー、Dowから入手可能)など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0067】
ナノクレイの例は、天然又は合成的に修飾されたナノクレイ(例えば、四級アンモニウムで有機修飾されたクレイ)であり得る。それに組み込まれ得るナノクレイの例としては、ラポナイト、層状複水酸化物、モンモリロナイト、ハロイサイト、ベントナイト、及びセピオライトなど、並びにそれらの任意の組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。モンモリロナイトは、金属カチオンで表面置換された約1nmの厚さのアルミノシリケート層からなり、約10μmサイズの多層積層体に積層される。ナノクレイ表面改質の非限定的な例としては、イオン修飾、共有結合及び二重修飾(イオン及び共有結合)が挙げられ得る。ナノクレイの非限定的な例としては、ジメチル二水素化獣脂アンモニウム化合物(M2HT)、ジメチルベンジル水素化獣脂アンモニウム(2MBHT)、ジメチル水素化獣脂2-エチルヘキシルアンモニウム(2MHTL8)、メチル獣脂ビス-2ヒドロキシエチルアンモニウム(MT2EtOH)などの四級アンモニウムを含むナノクレイであり得る。本開示のナノクレイは、ナノクレイShelsite Na+(未修飾クレイ)、ナノクレイShelsite15A(ジメチルベンジル水素化タロー四級アンモニウム)、ナノクレイShelsite20A(ジメチルベンジル水素化タローアンモニウムクロライド修飾モンモリロナイト)、ナノクレイShelsite30A(メチルタロービス-2-ヒドロキシエチル四級塩化アンモニウム)、ナノクレイShelsite93A(メチル脱水素タローアンモニウム)、ナノクレイNANOMER(登録商標)PGV(親水性ベントナイト)、ナノクレイカオリン、ナノクレイメタカオリンなど、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0068】
官能基(例えば、ヒドロキシル基)を有するナノクレイの修飾は、モノマー単位、オリゴマー、又はいくつかの熱可塑性ポリマー(例えば、ポリウレタン)のより長いポリマー鎖と更に反応して、ポリマーマトリックス内のナノクレイの分散能力を改善し得る。したがって、官能化ナノクレイは、ポリマーマトリックス内に容易に組み込まれて、対応するナノクレイ充填-ポリマー及び熱可塑性ポリマーナノコンポジットを形成し得る。
【0069】
市販のナノクレイの例には、D50サイズが25ミクロン未満のNANOMER(登録商標)PGV(カチオン性ナノクレイ、親水性ベントナイト、SigmaAldrichから入手可能)、14~18ミクロンのD50サイズのNANOMER(登録商標)I.34TCN(SigmaAldrichから入手可能)、<80nmミクロンのD50サイズのカオリンナノクレイ(Nanoshel LLCから入手可能)、40~50nmのD50サイズのメタカオリン(カオリナイトの脱ヒドロキシル化形態、Nanoshel LLCから入手可能)、D50サイズが30~70nmのハロイサイト(SigmaAldrichから入手可能)、D50サイズが100nm未満のナノクレイシェルサイト15A(ジメチルベンジル水素化獣脂四級アンモニウム修飾モンモリロナイト、Nanoshel LLCから入手可能)、D50サイズが80nm未満のナノクレイシェルサイト20A(ジメチルベンジル水素化獣脂アンモニウムクロリド修飾モンモリロナイト、Nanoshel LLCから入手可能)、D50サイズが80nm未満のナノクレイシェルサイト30B(メチル獣脂ビス-2-ヒドロキシエチル四級アンモニウムクロリド修飾モンモリルオナイト、NanoshelLLCから入手可能)、D50サイズが80nm未満のナノクレイシェルサイト93A(メチル脱水素獣脂アンモニウム修飾モンモリロナイト、Nanoshel LLCから入手可能)、D50サイズが10μm未満のCLOISITE(登録商標)20A(フィロケイ酸塩、BYKから入手可能)、D50サイズが15μm未満のCLOISITE(登録商標)116(フィロケイ酸塩、BYKから入手可能)、D50サイズが10μm未満のCLOISITE(登録商標)CA++(フィロケイ酸塩、BYKから入手可能)、25μm未満のD50サイズのCLOISITE(登録商標)Na+(フィロケイ酸塩、BYKから入手可能)など、及びそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0070】
ナノクレイの表面は、約10nm~約500マイクロメートル(又は約20nm~約400ミクロン、又は約30nm~約300ミクロン、又は約50nm~約200ミクロン、又は約1ミクロン~約200ミクロン、又は約1ミクロン~約150ミクロン、又は約5ミクロン~約100ミクロン、又は約10ミクロン~約50ミクロン、又は約25ミクロン~約200ミクロン、又は約100ミクロン~約500ミクロン)の平均直径(又はD50)を有し得る。
【0071】
熱可塑性ポリマーマトリックスへのナノクレイの組み込み方式は、ナノクレイ充填ポリマーの物理的特性に影響を及ぼし得る。ナノクレイ組み込みは、既知の方法によって行うことができる。
【0072】
ナノクレイファイル-ポリマーの第1の非限定的な例示的な合成は、溶融混合を介してナノクレイと熱可塑性ポリマーとを物理的に混合し、クレイと熱可塑性ポリマーとの間の極性、水素結合、及び剪断などの物理的トラップ力をもたらすことを含み得る。ナノクレイは、インターカレーション、凝集、及び/又は剥離を介して組み込まれ得る。
【0073】
熱可塑性ポリマーがポリウレタンを含むナノクレイ充填ポリマーの第2の非限定的な例示的な合成は、ポリウレタンのイソシアネート成分中のナノクレイを最初に分散させて(例えば、超音波処理を介した分散)、混合物を生成することと、混合物をポリウレタンのポリオール成分と混合することと、を含み得る(ManasaNayanietal.,InternationalJournalofPolymerScience,2013)。他の混合方法が、当業者には明らかとなるであろう。
【0074】
ナノクレイは、約125℃~約250℃(又は約125℃~約200℃、又は約150℃~約225℃、又は約200℃~約250℃)で約5分~約1時間以上(又は約10分~約30分、又は約20分~約40分、又は約30分~約1時間)、熱可塑性ポリマーとの溶融混合を介して熱可塑性ポリマーに組み込まれ得る。
【0075】
非限定的な例では、ナノクレイ充填ポリマーは、ナノクレイの酸媒介酸化を介してナノクレイの表面修飾から生成されるヒドロキシル官能化ナノクレイを含有する熱可塑性ポリマーであり得る。
【0076】
本明細書に記載のナノクレイ充填-ポリマーは、約0.1:10~約0.1:1000(又は約0.1:10~約0.1:200、又は約0.1:100~約0.1:500、又は約0.1:250~約0.1:1000、又は約0.5:100~約20:100、又は約1:100~約15:100、又は約1.5:100~約10:100、又は約2:100~約5:100)のナノクレイ対熱可塑性ポリマーの重量比を有し得る。
【0077】
ナノクレイ充填ポリマーは、ナノクレイ充填ポリマーの総重量に基づいて、約80重量%~約99.9重量%(又は約85重量%~約95重量%、又は約85重量%~約90重量%、又は約95重量%~約99.9重量%)の熱可塑性ポリマー、及び約0.05重量%~約20重量%(又は約0.1重量%~約18重量%、又は約1重量%~約15重量%、又は約2重量%~約10重量%)のナノクレイを含み得る。
ナノクレイ充填ポリマー粒子及び作製方法
【0078】
図1は、本開示の非限定的な例示的方法100のフローチャートである。ナノクレイ充填ポリマー複合体102(ナノクレイの少なくとも90重量%が1層~10層の粒子として熱可塑性ポリマー中に分散されている場合)、分散媒104、任意選択的に乳化安定剤106、及び任意選択的にナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー108(例えば、ナノクレイ充填ポリマー102の熱可塑性ポリマー、ナノクレイ充填ポリマー102ではない熱可塑性ポリマー、又はそれらの任意の組み合わせ)を混ぜ合わせて110、混合物112を生成する。参照番号108は、「ナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー」を指すことに留意されたい。
【0079】
ナノクレイ充填ポリマー102のポリマーは、熱可塑性ポリマーであり得る。ナノクレイ充填ポリマー102のポリマーは、エラストマーポリマーであり得る。ナノクレイ充填ポリマー102のポリマーは、非エラストマーポリマーであり得る。ナノクレイ充填ポリマー102のポリマーは、本明細書に列挙される特定の熱可塑性ポリマー(例えば、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエチレン(好ましくは官能化ポリエチレン)、ポリプロピレン(好ましくは官能化ポリプロピレン)、ポリアセタール、ポリカーボネート、PBT、PETなど)のうちの1つ以上であり得る。
【0080】
成分102、104、106、及び108は、個別に、又は成分のブレンドで任意の順序で添加することができ、成分102、104、106、及び108を混ぜ合わせる(110)プロセス中の混合及び/又は加熱を含む。例えば、ナノクレイ充填ポリマー102及びナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー108(含まれる場合)を、混ぜ合わせる(110)前に、予備混合し得る。本明細書では、ナノクレイ充填ポリマーの熱可塑性ポリマーは、ナノクレイが充填又はさもなければブレンドされていない場合、熱可塑性ポリマーを指す。
【0081】
次いで、(a)ナノクレイ充填ポリマー102の熱可塑性ポリマー、又は(b)ナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー108の融点又は軟化温度(いずれか高い方)か又はそれよりも高い温度で、混合物112に十分に高い剪断力を適用することによって混合物112を処理して(114)、溶融乳化物116を形成し得る。この温度は、混合物112(すなわち、ナノクレイ充填ポリマー102の熱可塑性ポリマー、及び含まれる場合は、ナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー108)のポリマー部分の融点又は軟化温度を超えるので、ナノクレイ充填ポリマー102、及び含まれる場合は、ナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー108を含むポリマー溶融物が形成される。剪断速度は、ポリマー溶融物(例えば、ナノクレイ充填ポリマーを含む)を液滴(すなわち、ポリマー乳化物116)として分散媒104中に分散させるのに十分であるべきである。理論に限定されるものではないが、全ての他の要因が同じである場合、剪断力を高めると、分散媒104中のポリマー溶融物の液滴のサイズが減少するはずであると考えられる。しかしながら、ある時点では、剪断を増加させ、液滴サイズを減少させた際に戻りが減少する場合がある、又は液滴の内容物が崩壊して、それから生成される粒子の品質が低下する場合がある。
【0082】
次いで、混合容器の中及び/又は外にある溶融乳化物116を冷却して(118)、ポリマー液滴を固化させてナノクレイ充填ポリマー粒子124にする。「ナノクレイ充填ポリマー粒子」という用語は、ナノクレイ充填ポリマー102を含むポリマー粒子を指し、ポリマー粒子中の他の成分(例えば、ナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー108)を含み得る。
【0083】
次いで、冷却された混合物120を処理して(122)、ナノクレイ充填ポリマー粒子124(ナノクレイの少なくとも90重量%が、1層~10層の粒子として熱可塑性ポリマー中に分散されている)を他の成分126(例えば、分散媒104、過剰乳化安定剤106など)から分離し、ナノクレイ充填ポリマー粒子124を洗浄又は他の方法で精製することができる。ナノクレイ充填ポリマー粒子124は、ナノクレイ充填ポリマー102と、含まれる場合は、ナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー108とを含み、含まれる場合は、乳化安定剤106の少なくとも一部分は、ナノクレイ充填ポリマー粒子124の外側表面をコーティングする。乳化安定剤106又はその一部は、ナノクレイ充填ポリマー粒子124上にコーティングとして、恐らく均一なコーティングとして堆積され得る。温度(冷却速度を含む)、ナノクレイ充填ポリマー102の種類、並びに乳化安定剤106の種類及びサイズなどの非限定的な要因に依存し得るいくつかの場合には、乳化安定剤106のナノ粒子は、ナノクレイ充填ポリマー粒子124の外側表面内に少なくとも部分的に埋め込まれ得る。埋め込みを行わなかったとしても、乳化安定剤106内のナノ粒子の少なくとも一部分は、ナノクレイ充填ポリマー粒子124と強固に会合したままであり、その更なる使用を容易にし得る。対照的に、既に形成されたポリマー微粒子(例えば、低温粉砕又は沈殿のプロセスによって形成された)とシリカナノ粒子のような流動助剤との乾燥ブレンドによって、ポリマー微粒子上の流動助剤の強固で均一なコーティングは得られない。
【0084】
任意選択的にナノクレイ充填ポリマー粒子124を更に精製して(128)(以下により詳細に記載される)、精製されたナノクレイ充填ポリマー130を得ることができる。
【0085】
分散媒104は、様々な処理温度(例えば、室温から処理温度まで)においてナノクレイ充填ポリマー102及び分散媒104が不混和性であるように選択されるべきである。考慮され得る追加の要因は、ナノクレイ充填ポリマー102と分散媒104との間の処理温度における粘度の差(例えば、その差又は比)である。粘度の差は、液滴破壊及び粒径分布に影響を及ぼし得る。
【0086】
ナノクレイ充填ポリマー102は、ナノクレイ充填ポリマー102、混ぜ合わされたナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー108、及び分散媒104の約5重量%~約60重量%(又は約5重量%~約25重量%、又は約10重量%~約30重量%、又は約20重量%~約45重量%、又は約25重量%~約50重量%、又は約40重量%~約60重量%)で混合物112中に存在し得る。ナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー108が含まれる場合、混ぜ合わされたナノクレイ充填ポリマー102及びナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー108は、混ぜ合わせたナノクレイ充填ポリマー102、ナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー108、及び分散媒104の約5重量%~約60重量%(又は約5重量%~約25重量%、又は約10重量%~約30重量%、又は約20重量%~約45重量%、又は約25重量%~約50重量%、又は約40重量%~約60重量%)で、混合物112中に存在し得る。含まれる場合、ナノクレイ充填ポリマー102とナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー108との重量比は、約10:90~99.9:0.1(又は約10:90~約50:50、又は約25:75~約75:25、又は約50:50~約99:1、又は約80:20~約99.9:0.1)であり得る。
【0087】
ナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー108の例は、上記のもの(例えば、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエチレン(好ましくは官能化ポリエチレン)、ポリプロピレン(好ましくは官能化ポリプロピレン)、ポリアセタール、ポリカーボネート、PBT、PETなど)を含み得る。更に、上記の相溶化剤は、混合物112に含まれ得る。例えば、非極性ポリマーブレンド(例えば、TPUと、ポリアセタール、ポリアミド6、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ビニルブチラール)、ポリカーボネート、ポリプロピレン、及びポリエチレンなどの様々な熱可塑性ポリマーとのポリマーブレンド)は、相溶化剤を使用することによって達成可能であり得る。TPU自体は、他のポリマー(例えば、相溶化剤としてのポリ(スチレン-b-4-ビニルピリジン)ジブロックコポリマー)とのその適合性又は混和性を増加させるために、ソフトセグメント及びハードセグメントを介して調整され得る。
【0088】
ナノクレイ充填ポリマー102の熱可塑性ポリマー及び/又はナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー108は、約50℃~約450℃(又は約50℃~約125℃、又は約100℃~約175℃、又は約150℃~約280℃、又は約200℃~約350℃、又は約300℃~約450℃)の融点又は軟化温度を有し得る。場合によっては、ナノクレイ充填ポリマー102の熱可塑性ポリマー及び/又はナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー108は、約150℃~約170℃の融点又は軟化温度を有し得る。
【0089】
ナノクレイ充填ポリマー102の熱可塑性ポリマー及び/又はナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー108は、約-60℃~約100℃(又は約-60℃~約0℃、又は約-25℃~約50℃、又は約0℃~約100℃)のガラス転移温度(10℃/分の上昇及び冷却率でのASTM E1356-08(2014))を有し得る。
【0090】
ナノクレイ充填ポリマー102は、約5MPa~約200MPa(又は約5MPa~約150MPa、又は約10MPa~約100MPa、又は約10MPa~約50MPa)の範囲の引張強度を有し得る。
【0091】
ナノクレイ充填ポリマー102は、約5MPa~約100MPa(又は約10MPa~約75MPa、又は約20MPa~約50MPa、又は約30MPa~約40MPa)の範囲のヤング率を有し得る。
【0092】
ナノクレイ充填ポリマー102は、約100%~約800%(又は約250%~約600%)の範囲の破断点伸び(%)を有し得る。
【0093】
ナノクレイ充填ポリマー102は、約40MPa~約100MPa(又は約50MPa~約90MPa、又は約60MPa~約800MPa)の範囲の曲げ弾性率を有し得る。
【0094】
ナノクレイ充填ポリマー102は、約0.5MPa~約20MPa(又は約1MPa~約15MPa、又は約5MPa~約10MPa)の範囲の曲げ強さを有し得る。
【0095】
ナノクレイ充填ポリマー102は、約10~約200(又は約20~約150、又は約40~約100)の範囲の硬度(ショアA)を有し得る。
【0096】
ナノクレイ充填ポリマー102は、約10kDa~約500kDa(又は約20kDa~約400kDa、又は約30kDa~約300kDa、又は約40kDa~約200kDa)の範囲の分子量(Mw、kDa)を有し得る。例えば、ナノクレイ充填ポリマー102は、約50kDa~約60kDaの範囲の分子量(molecular weight、Mw)を有し得る。
【0097】
ナノクレイ充填ポリマー102は、約120℃~約200℃(又は約130℃~約190℃、約140℃~約180℃、約150℃~約170℃)の範囲の温度Tm(℃)を有し得る。
【0098】
ナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー108は、任意選択的に添加剤を含み得る。典型的には、添加剤は、混合物への熱可塑性ポリマーの添加前に存在する。したがって、ポリマー溶融物液滴及び得られたナノクレイ充填ポリマー粒子124/130では、添加剤は、ポリマー全体に分散される。そのため、明確にするために、この添加剤は本明細書では「内部添加剤」と称される。内部添加剤は、混合物を作製する直前に又はかなり前に熱可塑性ポリマーとブレンドされ得る。
【0099】
本明細書に記載の組成物(例えば、混合物112及びナノクレイ充填ポリマー粒子124)中の成分量を説明する場合、内部添加剤を含まない熱可塑性ポリマーに基づく重量パーセントである。例えば、10重量%の内部添加剤及び90重量%の熱可塑性ポリマーを含む100gの熱可塑性ポリマーの重量に対して1重量%の乳化安定剤106を含む組成物は、0.9gの乳化安定剤106と、90gの熱可塑性ポリマーと、10gの内部添加剤と、を含む組成物である。
【0100】
内部添加剤は、ナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー108の約0.1重量%~約60重量%(又は約0.1重量%~約5重量%、又は約1重量%~約10重量%、又は約5重量%~約20重量%、又は約10重量%~約30重量%、又は約25重量%~約50重量%、又は約40重量%~約60重量%)で熱可塑性ポリマー中に存在し得る。例えば、熱可塑性ポリマーは、約70重量%~約85重量%の熱可塑性ポリマーと、約15重量%~約30重量%のガラス繊維又は炭素繊維のような内部添加剤と、を含み得る。
【0101】
内部添加剤の例としては、充填剤、強化剤、顔料、pH調整剤など、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。充填剤の例としては、ガラス繊維、ガラス粒子、鉱物繊維、炭素繊維、酸化物粒子(例えば、二酸化チタン及び二酸化ジルコニウム)、金属粒子(例えば、アルミニウム粉体)など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。顔料の例としては、有機顔料、無機顔料、カーボンブラックなど、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0102】
好適な分散媒(例えば、分散媒104)は、25℃で約1,000cSt~約150,000cSt(又は約1,000cSt~約60,000cSt、又は約40,000cSt~約100,000cSt、又は約75,000cSt~約150,000cSt)の粘度を有し得る。例えば、好適な分散媒(例えば、分散媒104)は、25℃で約10,000cSt~約60,000cStの粘度を有し得る。
【0103】
分散媒(例えば、分散媒104)の例としては、限定するものではないが、シリコーンオイル、フッ素化シリコーンオイル、ペルフッ素化シリコーンオイル、ポリエチレングリコール、アルキル末端ポリエチレングリコール(例えば、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(tetraethylene glycol dimethyl ether、TDG)などC1~C4末端アルキル基)、パラフィン、流動ワセリン、ミンクオイル、タートルオイル、大豆油、ペルヒドロスクアレン、スイートアーモンドオイル、カロフィルムオイル、パームオイル、パールリームオイル、グレープシードオイル、ゴマ油、トウモロコシ油、菜種油、ヒマワリ油、綿実油、杏油、ヒマシ油、アボカド油、ホホバ油、オリーブ油、穀物胚芽油、ラノリン酸のエステル、オレイン酸のエステル、ラウリン酸のエステル、ステアリン酸のエステル、脂肪族エステル、高級脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪酸変性ポリシロキサン、脂肪族アルコール変性ポリシロキサン、ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサンなど、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。シリコーンオイルの例としては、限定するものではないが、ポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane、PDMS)、メチルフェニルポリシロキサン、アルキル変性ポリジメチルシロキサン、アルキル変性メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性ポリジメチルシロキサン、アミノ変性メチルフェニルポリシロキサン、フッ素変性ポリジメチルシロキサン、フッ素変性メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性メチルフェニルポリシロキサンなど、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。分散媒104が、前述のうちの2つ以上を含む場合、分散媒104は、1つ以上の相を有し得る。例えば、脂肪酸変性ポリシロキサン及び脂肪族アルコール変性ポリシロキサン(好ましくは、脂肪酸及び脂肪族アルコールと同様の鎖長を有する)は、単相分散媒を形成し得る。別の例では、シリコーンオイル及びアルキル末端ポリエチレングリコールを含む分散媒104は、二相分散媒を形成し得る。少なくとも1つの実施形態では、分散媒104は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)である。
【0104】
分散媒104は、混ぜ合わせたナノクレイ充填ポリマー102、ナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー108、及び分散媒104の約40重量%~約95重量%(又は約75重量%~約95重量%、又は約70重量%~約90重量%、又は約55重量%~約80重量%、又は約50重量%~約75重量%、又は約40重量%~約60重量%)で混合物中に存在し得る。分散媒は、50:50~90:10の範囲の分散媒対ナノクレイ充填ポリマー102と熱可塑性ポリマーとの組み合わせの重量比で存在し得る。例えば、分散媒は、70:30の分散媒対ナノクレイ充填ポリマー102と熱可塑性ポリマーとの組み合わせの重量比で存在し得る。
【0105】
いくつかの場合、分散媒104は、約0.6g/cm3~約1.5g/cm3の密度を有し得、熱可塑性ポリマーは、約0.7g/cm3~約1.7g/cm3の密度を有し得、熱可塑性ポリマーは、分散媒104の密度と同様であるか、それより低いか、又はそれより高い密度を有し得る。
【0106】
ナノクレイは、処理温度で分解しないように十分に安定であるべきである。上に記載されるように、ナノクレイの非限定的な例は、ナノクレイShelsite Na+、ナノクレイShelsite15A、ナノクレイShelsite20A、ナノクレイShelsite30A、ナノクレイShelsite93A、ナノクレイNANOMER(登録商標)PGV、ナノクレイカオリン、ナノクレイメタカオリンなど、及びそれらの任意の組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。
【0107】
本開示の方法及び組成物に使用される乳化安定剤(例えば、乳化安定剤106)は、ナノ粒子(例えば、酸化物ナノ粒子、カーボンブラック、ポリマーナノ粒子、及びこれらの組み合わせ)、界面活性剤など、及びこれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0108】
酸化物ナノ粒子は、金属酸化物ナノ粒子、非金属酸化物ナノ粒子、又はこれらの混合物であってもよい。酸化物ナノ粒子の例としては、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ、酸化鉄、酸化銅、酸化スズ、酸化ホウ素、酸化セリウム、酸化タリウム、及び酸化タングステンなど、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、及びアルミノホウケイ酸塩のような混合された金属酸化物及び/又は非金属酸化物も、金属酸化物という用語に含まれる。酸化物ナノ粒子は、親水性であっても疎水性であってもよく、天然の粒子であっても粒子の表面処理の結果であってもよい。例えば、ジメチルシリル、トリメチルシリルなどのような疎水性表面処理を有するシリカナノ粒子が本開示の方法及び組成物に使用され得る。加えて、メタクリレート官能基のような機能的な表面処理を施したシリカが、本開示の方法及び組成物に使用され得る。非官能化酸化物ナノ粒子もまた同様に、使用に好適であり得る。
【0109】
シリカナノ粒子の市販の例としては、Evonikから入手可能なAEROSIL(登録商標)(例えば、AEROSIL(登録商標)R812S(疎水変性表面及び260±30m2/gのBET表面積を有する平均直径約7nmのシリカナノ粒子)、AEROSIL(登録商標)RX50(疎水変性表面及び35±10m2/gのBET表面積を有する平均直径約40nmのシリカナノ粒子)、AEROSIL(登録商標)380(疎水変性表面及び380±30m2/gの表面積を有するシリカナノ粒子)など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
カーボンブラックは、本明細書に開示される組成物及び方法において乳化安定剤として存在し得る別の種類のナノ粒子である。様々な等級のカーボンブラックが当業者に馴染みのあるものであり、そのうちのいずれかが本明細書で使用され得る。赤外線を吸収することができる他のナノ粒子が同様に使用され得る。
【0111】
ポリマーナノ粒子は、本明細書の開示において乳化安定剤(例えば、乳化安定剤106)として存在し得る、別の種類のナノ粒子である。好適なポリマーナノ粒子は、本明細書の開示による溶融乳化によって処理されたときに溶融しないように、熱硬化性である及び/又は架橋されている1つ以上のポリマーを含み得る。高い融点又は分解点を有する高分子量熱可塑性ポリマーも同様に、好適なポリマーナノ粒子乳化安定剤を含み得る。
【0112】
界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、非イオン性、又は双性イオン性であり得る。界面活性剤の例としては、以下に限定されないが、ドデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ソルビタン、ポリ[ジメチルシロキサン-コ-[3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロピルメチルシロキサン]]、ドキュセートナトリウム(ナトリウム1,4-ビス(2-エチルヘキソキシ)-1,4-ジオキソブタン-2-スルホネート)など、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。界面活性剤の市販の例としては、CALFAX(登録商標)DB-45(ドデシルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウム、Pilot Chemicalsから入手可能)、SPAN(登録商標)80(ソルビタンマレエート非イオン性界面活性剤)、MERPOL(登録商標)界面活性剤(Stepan Companyから入手可能)、TERGITOL(商標)TMN-6(水溶性非イオン性界面活性剤、DOWから入手可能)、TRITON(商標)X-100(オクチルフェノールエトキシレート、SigmaAldrichから入手可能)、IGEPAL(登録商標)CA-520(ポリオキシエチレン(5)イソオクチルフェニルエーテル、SigmaAldrichから入手可能)、BRIJ(登録商標)S10(ポリエチレングリコールオクタデシルエーテル、SigmaAldrichから入手可能)など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0113】
界面活性剤は、ナノクレイ充填ポリマー102の重量を基準として、約0.01重量%~約10重量%(又は約0.01重量%~約1重量%、又は約0.5重量%~約2重量%、又は約1重量%~約3重量%、又は約2重量%~約5重量%、又は約5重量%~約10重量%)の濃度で混合物に含まれ得る。あるいは、混合物は、界面活性剤を含まない(すなわち、界面活性剤が不在である)場合がある。
【0114】
乳化安定剤106中のナノ粒子対界面活性剤の重量比は、約1:10~約10:1(又は約1:10~約1:1、又は約1:5~約5:1、又は約1:1~約10:1)であり得る。
【0115】
乳化安定剤106は、ナノクレイ充填ポリマー102及びナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー108の重量に基づいて、約0.01重量%~約10重量%(又は約0.01重量%~約1重量%、又は約0.1重量%~約3重量%、又は約1重量%~約5重量%、又は約5重量%~約10重量%)の濃度で混合物中に含まれ得る。
【0116】
図1の混ぜ合わせること110に関して、場合によっては、乳化安定剤106は、まず、ナノクレイ充填ポリマー102及び/又はナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー108を添加する前に、任意選択的に当該分散液を加熱しながら、分散媒104中に分散され得る。別の非限定的な例では、ナノクレイ充填ポリマー102及び/又はナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー108が加熱されて、分散媒104及び乳化安定剤106が一緒に又は任意の順序で添加されるポリマー溶融物を生成し得る。更に別の非限定的な例では、ナノクレイ充填ポリマー102及び/又はナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー108は、分散媒104と共に、本明細書に記載の必要な融点又は軟化温度よりも高い温度、かつ分散媒104中にポリマー溶融物を分散させるのに十分な剪断速度で混合され得る。次いで、乳化安定剤106が添加されて、混合物112を形成し、設定された期間の間、好適なプロセス条件で維持され得る。
【0117】
ナノクレイ充填ポリマー102、ナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー108、分散媒104、及び任意選択的に乳化安定剤106を任意の組み合わせで混ぜ合わせることは、処理に使用される混合装置及び/又は別の好適な容器において生じ得る。非限定的な例として、ナノクレイ充填ポリマー102及び/又はナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー108は、処理に使用される混合装置内で、本明細書に記載の必要な融点又は軟化温度よりも高い温度まで加熱され得、乳化安定剤106は、別の容器内の分散媒104中に分散され得る。次いで、当該分散液は、処理に使用される混合装置内の溶融物に添加され得る。
【0118】
溶融乳化物116を生成するための処理(114)に使用する混合装置は、溶融乳化物116を本明細書に記載の必要な融点又は軟化温度又はそれを超える温度で維持し、ポリマー溶融物を液滴として分散媒104中に分散させるのに十分な剪断速度を適用することができるべきである。
【0119】
溶融乳化物116を生成するための処理(114)に使用する混合装置の例としては、限定するものではないが、押出機(例えば、連続押出機、バッチ押出機など)、撹拌反応器、ブレンダ、インラインホモジナイザシステムを備える反応器など、及びそこから派生する装置が挙げられ得る。
【0120】
設定した期間に好適なプロセス条件(例えば、温度、剪断速度など)での処理(114)及び溶融乳化物116の形成。
【0121】
処理(114)及び溶融乳化物116の形成の温度は、本明細書に記載の必要な融点又は軟化温度よりも高く、混合物112中の任意の成分(すなわち、ナノクレイ充填ポリマー102、ナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー108、分散媒104、乳化安定剤106)の分解温度未満であるべきである。例えば、処理(114)及び溶融乳化物116の形成の温度は、処理及び溶融乳化物116の形成の温度が混合物112中の任意の成分(すなわち、ナノクレイ充填ポリマー102、ナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー108、分散媒104、乳化安定剤106)の分解温度未満であるという条件で、本明細書に記載の融点又は軟化温度より約1℃~約250℃(又は約10℃~約225℃、又は約15℃~約200℃)高いことがある。
【0122】
処理114及び溶融乳化物116の形成の剪断速度は、ポリマー溶融物を液滴として分散媒104中に分散させるのに十分高くあるべきである。当該液滴は、直径が約1000μm以下(又は約1μm~約1000μm、又は約1μm~約50μm、又は約10μm~約100μm、又は約10μm~約250μm、又は約50μm~約500μm、又は約250μm~約750μm、又は約500μm~約1000μm)の液滴を含むべきである。
【0123】
処理114及び溶融乳化物116の形成ための当該温度及び剪断速度を維持する時間は、10秒~18時間以上(又は10秒~30分、又は5分~1時間、又は15分~2時間、又は1時間~6時間、又は3時間~18時間)であり得る。理論に束縛されるものではないが、液滴サイズの定常状態には、処理を停止し得る時点で到達すると考えられる。その時間は、とりわけ、温度、剪断速度、ナノクレイ充填ポリマー102、ナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー108、分散媒組成物104、及び乳化安定剤組成物106に依存し得る。
【0124】
次いで、溶融乳化物116が、冷却118され得る。冷却(118)は低速(例えば、周囲条件下で溶融乳化物116を冷却すること(118)を可能にする)から高速(例えば、急冷)であり得る。例えば、冷却(118)の速度は、約10℃/時間~約100℃/秒、更には急冷(例えばドライアイス中)によるほぼ瞬時(又は約10℃/時間~約60℃/時間、又は約0.5℃/分~約20℃/分、又は約1℃/分~約5℃/分、又は約10℃/分~約60℃/分、又は約0.5℃/秒~約10℃/秒、又は約10℃/秒~約100℃/秒)の範囲であり得る。
【0125】
冷却中、剪断力はほとんど又は全く溶融乳化物116に適用されないことがある。いくつかの場合、加熱中に適用される剪断力が冷却(118)中に適用され得る。
【0126】
溶融乳化物116の冷却(118)から得られる冷却された混合物は、固化したナノクレイ充填ポリマー粒子124及び他の成分(例えば、分散媒104、過剰な乳化安定剤106など)を含み得る。ナノクレイ充填ポリマー粒子124は、分散媒104中に分散され得、かつ/又は分散媒104中に沈降し得る。
【0127】
次いで、冷却された混合物を処理して、ナノクレイ充填ポリマー粒子124を他の成分から単離し得る。好適な処理としては、洗浄、濾過、遠心分離、及びデカントなど、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0128】
ナノクレイ充填ポリマー粒子124の洗浄に使用される溶媒は、概して、(a)分散媒104と混和性であり、かつ(b)ナノクレイ充填ポリマー102、及び/又はナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー108と非反応性(例えば、非膨潤性及び非溶解性)であるべきである。溶媒の選択は、とりわけ、分散媒104、ナノクレイ充填ポリマー102、及びナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー108の組成に依存することになる。
【0129】
溶媒の例としては、炭化水素溶媒(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、デカン、ドデカン、トリデカン、及びテトラデカン)、芳香族炭化水素溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、2-メチルナフタレン、及びクレゾール)、エーテル溶媒(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、及びジオキサン)、ケトン溶媒(例えば、アセトン及びメチルエチルケトン)、アルコール溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及びn-プロパノール)、エステル溶媒(例えば、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、及び酪酸ブチル)、ハロゲン化溶媒(例えば、クロロホルム、ブロモフォーム、1,2-ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼン、及びヘキサフルオロイソプロパノール)、水など、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0130】
溶媒は、空気乾燥、熱乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥、又はこれらのハイブリッドなどの適切な方法を使用して乾燥することによって、ナノクレイ充填ポリマー粒子124から除去され得る。加熱は、好ましくは、ナノクレイ充填ポリマー102の熱可塑性ポリマーの軟化点及び含まれる場合、ナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー108の軟化点よりも低い温度(例えば、約50℃~約150℃)で実施され得る。
【0131】
有利には、本明細書に記載のシステム及び方法の分散媒(例えば、分散媒104)及び洗浄溶媒は、再生可能かつ再利用可能である。当業者であれば、再生プロセスに必要な使用済み分散媒104及び溶媒の任意の必要な洗浄を認識するであろう。
【0132】
他の成分から単離した後のナノクレイ充填ポリマー粒子124は、任意選択的に更に精製され得る。例えば、粒径分布を狭くする(又は直径スパンを減少させる)ために、ナノクレイ充填ポリマー粒子124を、孔径が約10μm~約250μm(又は約10μm~約200μm、又は約20μm~約150μm、又は約30μm~約100μm)のふるいに通すことができる。
【0133】
別の例示的な精製技法では、ナノクレイ充填ポリマー粒子124の表面と関連付けられるナノ粒子の実質的に全てを維持しながら、ナノクレイ充填ポリマー粒子124を水で洗浄して界面活性剤を除去し得る。更に別の例示的な精製技法では、ナノクレイ充填ポリマー粒子124を添加剤とブレンドして、所望の最終生成物を達成し得る。明確にするために、このような添加剤は、粒子が固化された後に本明細書に記載のナノクレイ充填ポリマー粒子124とブレンドされるため、このような添加剤は、本明細書では「外部添加剤」と称される。外部添加剤の例としては、流動助剤、他のポリマー粒子、充填剤など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0134】
いくつかの場合、ナノクレイ充填ポリマー粒子124の作製に使用される界面活性剤は、下流用途において望ましくないことがある。したがって、更に別の例示的な精製技法は、ナノクレイ充填ポリマー粒子124から(例えば、洗浄及び/又は熱分解により)界面活性剤を少なくとも実質的に除去することを含み得る。
【0135】
ナノクレイ充填ポリマー粒子124及び/又は精製されたナノクレイ充填ポリマー粒子124は、組成物、物理的構造などによって特徴付けられ得る。
【0136】
上述のように、乳化安定剤(例えば、乳化安定剤106)は、ポリマー溶融物と分散媒104との間の界面にある。その結果、混合物が冷却されると、乳化安定剤(例えば、乳化安定剤106)は、当該界面に、又はその付近に留まる。したがって、ナノクレイ充填ポリマー粒子124の構造は、概して、乳化安定剤(例えば、乳化安定剤106)が使用されるとき、(a)ナノクレイ充填ポリマー粒子124の外側表面に分散し、かつ/又は(b)ナノクレイ充填ポリマー粒子124の外側部分(例えば、外側1体積%)に埋め込まれた、乳化安定剤を含む。
【0137】
更に、ポリマー溶融物液滴の内部に空隙が形成される場合、乳化安定剤(例えば、乳化安定剤106)は、概して、空隙の内部とナノクレイ充填ポリマー124及び/又は熱可塑性ポリマーとの間の界面にある(及び/又はそこに埋め込まれている)べきである。空隙は概して、ナノクレイ充填ポリマー124及び/又は熱可塑性ポリマーを含有しない。むしろ、空隙は、例えば、分散媒104を含み得る、空気を含み得る、又は空隙であり得る。ナノクレイ充填ポリマー124は、分散媒104を、ナノクレイ充填ポリマー粒子124の約5重量%以下(又は約0.001重量%~約5重量%、又は約0.001重量%~約0.1重量%、又は約0.01重量%~約0.5重量%、又は約0.1重量%~約2重量%、又は約1重量%~約5重量%)で含み得る。
【0138】
ナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマーが含まれる場合、混ぜ合わされたナノクレイ充填ポリマー及びナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマーは、ナノクレイ充填ポリマー粒子の約90重量%~約99.9重量%(又は約90重量%~約95重量%、又は約92重量%~約97重量%、又は約95重量%~約99.9重量%)で、ナノクレイ充填ポリマー粒子中に存在し得る。ナノクレイ充填ポリマー対ナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー(含まれる場合)の重量比は、約10:90~約99:1(又は約10:90~約50:50、又は約25:75~約75:25、又は約50:50~約99:1、又は約80:20~約99:1)であり得る。
【0139】
含まれる場合、乳化安定剤(例えば、乳化安定剤106)は、ナノクレイ充填ポリマー粒子124の約10重量%以下(又は約0.01重量%~約10重量%、又は約0.01重量%~約1重量%、又は約0.5重量%~約5重量%、又は約3重量%~約7重量%、又は約5重量%~約10重量%)で、ナノクレイ充填ポリマー粒子124中に存在し得る。界面活性剤又は別の乳化安定剤を少なくとも実質的に除去するように精製すると、乳化安定剤は、0.01重量%未満(又は0重量%~約0.01重量%、又は0重量%~0.001重量%)でナノクレイ充填ポリマー粒子124/130中に存在し得る。
【0140】
微粒子状乳化安定剤を使用して本明細書の開示によるナノクレイ充填ポリマー粒子124を形成する際、シリカナノ粒子など微粒子状乳化安定剤の少なくとも一部は、ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130の外側表面にコーティングとして配設され得る。界面活性剤の少なくとも一部分は、使用される場合、同様に外側表面に会合し得る。コーティングは、外側表面上に実質的に均一に配置され得る。コーティングに関して本明細書で使用するとき、「実質的に均一」という用語は、コーティング組成物(例えば、ナノ粒子及び/又は界面活性剤)によって被覆される表面位置、特に外側表面全体における、均一なコーティング厚さを指す。乳化安定剤106は、ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130の表面積の少なくとも5%(又は約5%~約100%、又は約5%~約25%、又は約20%~約50%、又は約40%~約70%、又は約50%~約80%、又は約60%~約90%、又は約70%~約100%)を被覆するコーティングを形成し得る。界面活性剤又は別の乳化安定剤を少なくとも実質的に除去するように精製すると、乳化安定剤は、ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130の表面積の25%未満(又は0%~約25%、又は約0.1%~約5%、又は約0.1%~約1%、又は約1%~約5%、又は約1%~約10%、又は約5%~約15%、又は約10%~約25%)でナノクレイ充填ポリマー粒子124/130中に存在し得る。ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130の外側表面上の乳化安定剤の被覆率は、走査電子顕微鏡画像(SEM顕微鏡写真)の分析を使用して判定され得る。乳化安定剤は、ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130(及びコーティングされたナノクレイ充填ポリマー粒子(生成される場合))の表面積の少なくとも5%(又は約5%~約100%、又は約5%~約25%、又は約20%~約50%、又は約40%~約70%、又は約50%~約80%、又は約60%~約90%、又は約70%~約100%)を被覆するコーティングを形成し得る。界面活性剤又は別の乳化安定剤を少なくとも実質的に除去するように精製すると、乳化安定剤は、ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130の表面積の25%未満(又は0%~約25%、又は約0.1%~約5%、又は約0.1%~約1%、又は約1%~約5%、又は約1%~約10%、又は約5%~約15%、又は約10%~約25%)でナノクレイ充填ポリマー粒子124/130中に存在し得る。ナノクレイ充填ポリマー粒子の外側表面での乳化安定剤被覆率は、SEM顕微鏡写真の画像分析を使用して判定され得る。
【0141】
本開示のナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130の約0.05重量%~約20重量%(又は約0.1重量%~約18重量%、又は約1重量%~約15重量%、又は約2重量%~約10重量%)でナノクレイ(又は2つ以上を使用する場合、累積ナノクレイ)を含み得る。
【0142】
ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、1つ以上のナノクレイを含み得る。例えば、2つ以上の異なるナノクレイが同一反応で熱可塑性ポリマーに組み込まれ、次いで本明細書に記載の方法及び組成物においてナノクレイ充填ポリマー102として使用され得る。別の例では、2つの異なるナノクレイ充填ポリマーは、本明細書に記載の溶融乳化プロセスの混合プロセスの前(又は最中)に生成され、ブレンドされ得る。
【0143】
ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、約0.90~約1.0の真円度を有し得る。
【0144】
ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、約25μm~約75μm、例えば約30μm~約70μm、例えば約40μm~約60μmなどの、約20μm~約80μmの平均粒径(体積に基づくD50)を有し得る。
【0145】
ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、約25μm~約75μm、例えば約30μm~約70μm、例えば約40μm~約60μmなどの、約20μm~約80μmの平均粒径を有し得る。
【0146】
ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、約0.2m2/g~約100m2/g(又は約0.2m2/g~約50m2/g、又は約25m2/g~約75m2/g、又は約50m2/g~約100m2/g)のBET表面積を有し得る。
【0147】
ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、D10が、約0.1μm~約125μm(又は約0.1μm~約5μm、約1μm~約10μm、約5μm~約30μm、又は約1μm~約25μm、又は約25μm~約75μm、又は約50μm~約85μm、又は約75μm~約125μm)であってもよく、D50が、約0.5μm~約200μm(又は約0.5μm~約50μm、又は約25μm~約125μm、又は約75μm~約200μm)であってもよく、D90が、約3μm~約300μm(又は約3μm~約15μm、又は約10μm~約50μm、又は約25μm~約75μm、又は約70μm~約200μm、又は約60μm~約150μm、又は約150μm~約300μm)であってもよく、D10<D50<D90である。ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130はまた、直径スパンが、約0.2~約10(又は約0.2~約0.5、又は約0.4~約0.8、又は約0.5~約1、又は約1~約3、又は約2~約5、又は約5~約10)であってもよい。限定するものではないが、1.0以上の直径スパン値は広いとみなされ、直径スパン値0.75以下は狭いとみなされる。好ましくは、ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、約0.2~約2の粒径スパンを有する。
【0148】
第1の非限定的な例では、ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、D10が約0.1μm~約10μmであってもよく、D50が約0.5μm~約25μmであってもよく、D90が約3μm~約50μmであってもよく、D10<D50<D90である。当該ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、直径スパンが約0.2~約2であってもよい。
【0149】
第2の非限定的な例では、ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、D10が約5μm~約30μmであってもよく、D50が約30μm~約70μmであってもよく、D90が約70μm~約120μmであってもよく、D10<D50<D90である。当該ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、直径スパンが約1.0~約2.5であってもよい。
【0150】
第3の非限定的な例では、ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、D10が約25μm~約60μmであってもよく、D50が約60μm~約110μmであってもよく、D90が約110μm~約175μmであってもよく、D10<D50<D90である。当該ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、直径スパンが約0.6~約1.5であってもよい。
【0151】
第4の非限定的な例では、ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、D10が約75μm~約125μmであってもよく、D50が約100μm~約200μmであってもよく、D90が約125μm~約300μmであってもよく、D10<D50<D90である。当該ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、直径スパンが約0.2~約1.2であってもよい。
【0152】
第5の非限定的な例では、ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、D10が、約1μm~約50μm(又は約5μm~約30μm、又は約1μm~約25μm、又は約25μm~約50μm)であってもよく、D50が、約20μm~約80μm(又は約30μm~約80μm)であってもよく、D90が、約60μm~約300μm(又は約70μm~約200μm、又は約60μm~約150μm、又は約150μm~約300μm)であってもよく、D10<D50<D90である。ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130はまた、直径スパンが約0.4~約3(又は約0.6~約2、又は約0.4~約1.5、又は約1~約3)であってもよい。
【0153】
ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、真円度が、約0.9以上(又は約0.90~約1.0、又は約0.93~約0.99、又は約0.95~約0.99、又は約0.97~約0.99、又は約0.98~1.0)であってもよい。
【0154】
ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、安息角が、約25°~約45°(又は約25°~約35°、又は約30°~約40°、又は約35°~約45°)であってもよい。場合によっては、ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、約30°~約35°の安息角を有し得る。
【0155】
ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、ハウスナー比が、約1.0~約1.5(又は約1.0~約1.2、又は約1.1~約1.3、又は約1.2~約1.35、又は約1.3~約1.5)であってもよい。
【0156】
ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、嵩密度が、約0.3g/cm3~約0.8g/cm3(又は約0.3g/cm3~約0.6g/cm3、又は約0.4g/cm3~約0.7g/cm3、又は約0.5g/cm3~約0.6g/cm3、又は約0.5g/cm3~約0.8g/cm3であってもよい。
【0157】
ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、約0.5g/cm3~約0.8g/cm3(又は約0.5g/cm3~約0.7g/cm3、又は約0.55g/cm3~約0.80g/cm3)の通気密度を有し得る。
【0158】
ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、約0.6g/cm3~約0.9g/cm3(又は約0.60g/cm3~約0.75g/cm3、又は約0.65g/cm3~約0.80g/cm3、又は約0.70g/cm3~約0.90g/cm3)のタップ密度を有し得る。
【0159】
処理の温度及び剪断速度、並びに成分(ナノクレイ充填ポリマー102、熱可塑性ポリマー、分散媒104、過剰な乳化安定剤106など)の組成及び相対濃度に応じて、ナノクレイ充填ポリマー124/130を構成する異なる形状の構造が生成され得る。典型的には、ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、実質的に球状の(真円度が約0.97以上の)粒子を含む。しかしながら、円盤状及び細長い構造など他の構造がナノクレイ充填ポリマー粒子124/130において観察され得る。したがって、ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、(a)真円度が0.97以上の実質的に球状の粒子、(b)アスペクト比が約2~約10の円盤状構造、及び(c)アスペクト比が10以上の細長い構造のうちの1つ以上を含み得る。(a)、(b)、及び(c)構造の各々は、(a)、(b)、及び(c)構造の外側表面上に分散された、並びに/又は(a)、(b)、及び(c)構造の外側部分に埋め込まれた乳化安定剤を有する。(a)、(b)、及び(c)構造のうちの少なくともいくつかは凝集し得る。例えば、(c)の細長い構造は、(a)の実質的に球状の粒子の表面上に位置し得る。
【0160】
ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、ナノクレイ充填ポリマーの熱可塑性ポリマーの焼結ウィンドウの10℃以内、好ましくは5℃以内である焼結ウィンドウを有し得る。
【0161】
ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、約150℃~約200℃(又は約155℃~約195℃、又は約160℃~約190℃)の範囲の融点を有し得る。
【0162】
ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、約120℃~約170℃(又は約125℃~約165℃、又は約130℃~約160℃、例えば約135℃~約155℃など)の範囲の結晶化温度を有し得る。
【0163】
ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、約10%~約40%(又は約10%~約30%、又は約20%~約35%、又は約30%~約40%)の範囲の結晶化度を有し得る。
【0164】
ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、約0.5g/10分~約10g/10分(又は約1g/10分~約8g/10分、又は約1.5g/10分~約6g/10分、又は約2g/10分~約5g/10分)の範囲のMFI流量を有し得る。
【0165】
ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、0.1%~約5%(又は約0.5%~約4.5%、又は約1%~約4%)の範囲のSLS部分の寸法精度を提供し得る。
【0166】
ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、約5MPa~約200Mpa(又は約10MPa~約150Mpa)の範囲の引張強度を有し得る。
【0167】
ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130のSLS部分の引張強度及び寸法精度は、同一の処理パラメータを有する典型的な熱可塑性ポリマー粒子のSLS部分の引張強度及び寸法精度よりも有利に高いことがある。
【0168】
ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、約10MPa~約1000MPa(又は約15MPa~約800MPa、又は約20MPa~約600MPa、又は約30MPa~約500MPa、又は約50MPa~約600MPa)の範囲の引張弾性率(繊維として)を有し得る。
【0169】
ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、約50MPa~約500MPa(又は約60MPa~約450MPa、又は約70MPa~約400MPa、又は約80MPa~約350MPa、又は約90MPa~約300MPa、又は約100MPa~約250MPa、又は約50MPa~約150MPa、又は約80MPa~約120MPa)の範囲の極限強度を有し得る。
【0170】
ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、約40MPa~約2000MPa(又は約50MPa~約1500MPa、又は約60MPa~約1000MPa)の範囲の曲げ弾性率を有し得る。
【0171】
ナノクレイ充填ポリマー粒子124/130は、約10%~約600%(又は約50%~約550%、又は約100%~約500%、又は約150%~約450%)の範囲の破断点伸びを有し得る。
ナノクレイ充填ポリマーの用途
【0172】
ナノクレイ充填ポリマーは、様々な物体(又は物品)を製作するために使用され得る。本明細書に記載のナノクレイ充填ポリマーは、必要に応じて、単独で、又は他の熱可塑性ポリマー及び相溶化剤と組み合わせて使用され得る。熱可塑性ポリマー及び相溶化剤の例は、上に提供されている。
【0173】
物体を製作するための方法としては、限定するものではないが、溶融押出、射出成形、圧縮成形、溶融紡糸、溶融乳化、噴霧乾燥(例えば、粒子の形成)、極低温ミリング(又は極低温粉砕)、凍結乾燥ポリマー分散液、ポリマー分散体の沈殿など、及びこれらの任意のハイブリッドが挙げられる。
【0174】
有利には、本開示の組成物及び方法は、クライオミリングのような他の方法によって作製されたポリマー粒子と比較して、より良好な粒径分布及び改善された流動特性を有する、3D印刷及び他の製造用途に好適な高度に一体形成された球状粒子を提供する。更に、任意のナノクレイ充填ポリマーなしで作製されたポリマー粒子と比較した場合、本開示の組成物は、増大した機械的特性(例えば、引張強度、破断点伸び)、増大した熱安定性、改善された耐燃性、改善された耐溶剤性(又は改善された耐化学性)、及び/又は改善されたガスバリア特性(例えば、より少ない酸素及び他のガスが透過することを可能にする)を表示し得る。更に、当該特性のうちの1つ以上は、粒径分類(例えば、ふるい分け)をほとんどから全く伴わずに及び/又はナノクレイの低充填量で達成され得る。したがって、当該物品が改善された特性(例えば、難燃性、耐化学性、及び/又はより少ないガス透過性)を有する、積層造形によるより軽量の物品の製作が達成され得る。
【0175】
ナノクレイ充填ポリマーが当該物品の全て又は一部分であり得る、このような方法によって製作され得る物品の例としては、限定するものではないが、粒子、フィルム、包装、玩具、家庭用品、建造物(建物セクション及び構造パネル)、自動車部品(ガスタンク、バンパー、内装及び外装パネル)、化学的プロセス(触媒)、薬剤(薬品及び浸透剤の担体として)、航空宇宙/航空機関連部品、難燃剤、容器(例えば、食品、飲料、化粧品、パーソナルケア組成物、医薬などの用途)、靴底、家具部品、家庭用装飾品、プラスチックギア、ねじ、ナット、ボルト、ケーブルタイ、宝石、美術作品、彫刻、医療関係物品、プロテーゼ、整形外科用インプラント、教育における学習を支援する人造物の作製、手術において支援する3D解剖学的モデル、ロボット、生物医学的装置(装具)、家電、歯科用具、電子機器、スポーツ用品などが挙げられる。更に、粒子は、塗料、粉体コーティング、インクジェット材料、電子写真トナー、3D印刷などが挙げられるがこれらに限定されない用途において有用であり得る。当該物品は、本明細書に記載のナノクレイを含めることなく生成された物品と比較して、より高い程度の難燃性、より高い程度の耐化学性、及び/又はより少ないガス透過性(又はより高い程度のガスバリア特性)を有し得る。
【0176】
非限定的な例として、本開示の3D印刷プロセスは、本開示の1つ以上のナノクレイ充填ポリマー(ナノクレイの少なくとも90重量%が1層~10層の粒子として熱可塑性ポリマー中に分散されている)(及び任意選択的に1つ以上の他の熱可塑性ポリマー及び/又は1つ以上の相溶化剤)を含む粒子を特定の形状に表面上に堆積させることと、堆積されると、粒子の少なくとも一部分を加熱して、粒子の固結化を促進し、固結化体(物体)を形成することであって、固結化体は、固結化後に約5%以下(例えば、0%~約5%、又は約0.5%~約2%、又は約1%~約3%、又は約2%~約5%)の空隙率を有する、形成することと、を含む。例えば、熱可塑性ポリマー粒子の加熱及び固結化は、選択的レーザ焼結によって加熱及び固結化が行われるように、レーザを用いる3D印刷装置内で行われ得る。
【0177】
非限定的な例として、本開示の3D印刷プロセスは、本開示の1つ以上のナノクレイ充填ポリマー(及び任意選択的に1つ以上の他の熱可塑性ポリマー及び/又は1つ以上の相溶化剤)を含むフィラメントを、オリフィスを通って押出成型することであって、フィラメントは、押出成形時にポリマー溶融物となる、押出成型することと、ポリマー溶融物をプラットフォーム上の第1の層として堆積させることと、層を冷却することと、第1の層上にポリマー溶融物の追加層を堆積させることと、追加層を冷却することと、少なくとも1つの追加層の堆積及び冷却を繰り返して、3D形状を生成することと、を含み得る。
【0178】
更に別の非限定的な例は、本開示の1つ以上のナノクレイ充填ポリマー(並びに任意選択的に1つ以上の他の熱可塑性ポリマー及び/又は1つ以上の相溶化剤)を含むポリマー溶融物を、オリフィスを通って押出成形して、フィルム、繊維(又はフィラメント)、粒子、ペレットなどを生成することを含み得る。
【0179】
本明細書に記載のナノクレイ充填ポリマーを含む粒子は、3D印刷を含む様々な用途において有用であり得る。本開示の3D印刷プロセスは、本開示のナノクレイ充填ポリマー粒子(例えば、1つ以上のナノクレイ充填ポリマー及び任意選択的に1つ以上の他の熱可塑性ポリマーを含む粒子)を特定の形状に表面に堆積させることと、堆積されると、粒子の少なくとも一部分を加熱して、粒子の固結化を促進し、固結化体(物体)を形成することにより、固結化体は、固結化後に約5%以下の空隙率を有することと、を含み得る。例えば、熱可塑性ポリマー粒子の加熱及び固結化は、選択的レーザ焼結によって加熱及び固結化が行われるように、レーザを用いる3D印刷装置内で行われ得る。
例示的実施形態
【0180】
本開示の第1の非限定的な例示的な実施形態は、(a)熱可塑性ポリマー中に分散されたナノクレイを含むナノクレイ充填ポリマー複合体(例えば、少なくとも90重量%のナノクレイが1層~10層粒子として熱可塑性ポリマー中に分散されている)(例えば、熱可塑性ポリマーがエラストマーポリマーであり得る)(例えば、熱可塑性ポリマーが非エラストマーポリマーであり得る)(例えば、熱可塑性ポリマーが、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリカーボネート、PBT、PETなどを含む本明細書に記載の熱可塑性ポリマーのうちの1つ以上であり得る)、(b)ナノクレイ充填ポリマー複合体の熱可塑性ポリマーと非混和性である分散媒、任意選択的に(c)ナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー、及び任意選択的に(d)乳化安定剤、を含む、混合物を、ナノクレイ充填ポリマーの熱可塑性ポリマー、及び、含まれている場合、熱可塑性ポリマーの融点又は軟化温度以上の温度で(例えば、また、十分に高い剪断速度で)混合して、ナノクレイ充填ポリマー複合体を分散媒に分散させることと、混合物を融点又は軟化温度未満に冷却して、ナノクレイ充填ポリマー粒子を形成することと、ナノクレイ充填ポリマー粒子を分散媒から分離させることと、を含む。第1の非限定的な例示的実施形態は、以下の1つ以上を更に含み得る:要素1:熱可塑性ポリマーは、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)である;要素2:ナノクレイが四級アンモニウム化合物を含む;要素3:ナノクレイ充填ポリマー複合体が、ナノクレイを熱可塑性ポリマーと約5分間~約1時間、約125℃~約250℃で溶融混合することによって形成される;要素4:ナノクレイ充填ポリマーは、ナノクレイ充填ポリマー複合体の総重量に基づいて、約80重量%~約99.9重量%の熱可塑性ポリマーと、約0.05重量%~約20重量%のナノクレイを含む;要素5:乳化安定剤が存在し、複数のナノ粒子を含み、複数の酸化物ナノ粒子を含む;要素6:要素5及び複数の酸化物ナノ粒子が、シリカナノ粒子を含む;要素7:要素6及びシリカナノ粒子が、ナノクレイ充填ポリマー複合体の総重量に基づいて、約0.01重量%~約10重量%の範囲のシリカナノ粒子含有量で存在する;要素8:分散媒は、50:50~90:10の範囲の分散媒対ナノクレイ充填ポリマー複合体との重量比で存在する;要素9:分散媒はポリジメチルシロキサン(PDMS)である;要素10:ナノクレイが、インターカレーション、凝集、及び/又は剥離を介して熱可塑性ポリマー中に分散される;要素11:ナノクレイ充填ポリマー複合体が、約200%~約600%の範囲の破断点伸びを有する;要素12:ナノクレイ充填ポリマー複合体が、約10MPa~約30MPaの範囲の引張強度を有する;要素13:ナノクレイ充填ポリマー複合体が、約20kD~約500kDの範囲の分子量を有する;要素14:ナノクレイ充填-ポリマー粒子が、約20μm~約80μmの範囲のD50を有し、直径スパンが約2以下である;要素15:ナノクレイ充填ポリマーは、約0.5μm~約50μmのD10と、約10μm~約200μmのD50と、約50μm~約300μmのD90とを有し、D10<D50<D90である;要素16:ナノクレイ充填ポリマー粒子は、約0.2~約10の直径スパンを有する;要素17:ナノクレイ充填ポリマー粒子は、約0.9以上(又は約0.90~約1.0)の真円度を有する;要素18:ナノクレイ充填ポリマー粒子は、約25°~約45°の安息角を有する;要素19:ナノクレイ充填ポリマー粒子は、約1.0~約1.5のハウスナー比を有する;要素20:ナノクレイ充填ポリマー粒子が、約0.2g/cm3~約0.8g/cm3の嵩密度を有する;要素21:ナノクレイ充填ポリマー粒子が、約0.2m2/g~約100m2/gのBET表面積を有する;要素22:ナノクレイ充填ポリマー粒子は、ナノクレイ充填ポリマーの熱可塑性ポリマーの焼結ウィンドウの10℃以内の焼結ウィンドウを有する;要素23:ナノクレイ充填ポリマー粒子は、約150℃~約200℃の融点を有する;要素24:ナノクレイ充填ポリマー粒子は、約-60℃~約100℃のガラス転移温度を有する;要素25:ナノクレイ充填ポリマー粒子は、約120℃~約170℃の結晶化温度を有する;要素26:ナノクレイ充填ポリマー粒子は、約10%~約40%の結晶化度を有する;要素27:ナノクレイ充填-ポリマー粒子が、約0.5g/10分~約10g/10分のMFI流量を有する。組み合わせの例は、要素2~27のうちの1つ以上と組み合わせた要素1を含むが、これらに限定されない;要素1と、要素2~27のうちの1つ以上との組み合わせ、要素2と、要素3~27のうちの1つ以上との組み合わせ、要素3と、要素4~27のうちの1つ以上との組み合わせ、要素4と、要素5~27のうちの1つ以上との組み合わせ、要素5(任意選択的に要素5又は要素5及び6と組み合わせたもの)を要素7~27のうちの1つ以上と組み合わせたもの;要素6と、要素2~27のうちの1つ以上との組み合わせ、要素7と、要素2~27のうちの1つ以上との組み合わせ、要素8と、要素2~27のうちの1つ以上との組み合わせ、要素9と、要素2~27のうちの1つ以上との組み合わせ、要素10と、要素2~27のうちの1つ以上との組み合わせ、要素11と、要素2~27のうちの1つ以上との組み合わせ、要素12と、要素2~27のうちの1つ以上との組み合わせ、要素13と、要素2~27のうちの1つ以上との組み合わせ、要素14と、要素2~27のうちの1つ以上との組み合わせ、要素15と、要素2~27のうちの1つ以上との組み合わせ、要素16と、要素2~27のうちの1つ以上との組み合わせ、要素17と、要素2~27のうちの1つ以上との組み合わせ、要素18と、要素2~27のうちの1つ以上との組み合わせ、要素19と、要素2~27のうちの1つ以上との組み合わせ、要素20と、要素2~27のうちの1つ以上との組み合わせ、要素21と、要素2~27のうちの1つ以上との組み合わせ、要素22と、要素2~27のうちの1つ以上との組み合わせ、要素23と、要素2~27のうちの1つ以上との組み合わせ、要素24を要素2~27のうちの1つ以上と組み合わせたもの;及び要素24~27のうちの2つ以上の組み合わせ。
【0181】
第2の非限定的な例示的な実施形態は、第1の非限定的な例示的実施形態(例えば、少なくとも90重量%のナノクレイが、1層~10層粒子として熱可塑性ポリマー中に分散されている)の方法によって生成されたナノクレイ充填-ポリマー粒子を含む組成物である。
【0182】
第3の非限定的な例示的実施形態は、第2の非限定的な例示的実施形態のナノクレイ充填ポリマー粒子を、任意選択的に、熱可塑性ポリマー粒子(好ましくは、類似のサイズ及び形状であるが、多孔質又は中実であり得る)と合わせて、表面に(例えば、層状で、及び/又は特定の形状で)堆積させることと、堆積させると、ナノクレイ充填ポリマー粒子の少なくとも一部を加熱して、その固結化を促進し、固結体(又は物体)を形成することと、を含む、方法である。
【0183】
第4の非限定的な例示的な実施形態は、ナノクレイ充填ポリマー複合体を含むナノクレイ充填ポリマー粒子を含む組成物であり、少なくとも90重量%のナノクレイが、1層~10層粒子として熱可塑性ポリマー中に分散される。当該粒子は、任意選択的に、粒子の表面を少なくとも部分的にコーティングする乳化安定剤を含み得る。更に、ナノクレイ充填ポリマー粒子は、要素1~27のうちの1つ以上を含み得る。
【0184】
第5の非限定的な例示的実施形態は、第4の非限定的な例示的実施形態のポリイミド微粒子を、任意選択的に、熱可塑性ポリマー粒子(好ましくは、類似のサイズ及び形状であるが、多孔質又は中実であり得る)と合わせて、表面に(例えば、層状で、及び/又は特定の形状で)堆積させることと、堆積させると、ポリイミド微粒子の少なくとも一部を加熱して、その固結化を促進し、固結体(又は物体)を形成することと、を含む、方法である。
条項
【0185】
条項1.方法は、(a)熱可塑性ポリマー中に分散されたナノクレイを含むナノクレイ充填ポリマー複合体(例えば、熱可塑性ポリマーがエラストマーポリマーであり得る)(例えば、熱可塑性ポリマーが非エラストマーポリマーであり得る)(例えば、熱可塑性ポリマーが、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリカーボネート、PBT、PETなどを含む本明細書に記載の熱可塑性ポリマーのうちの1つ以上であり得る)、(b)ナノクレイ充填ポリマー複合体の熱可塑性ポリマーと非混和性である分散媒、任意選択的に(c)ナノクレイで充填されていない熱可塑性ポリマー、及び任意選択的に(d)乳化安定剤、を含む、混合物を、ナノクレイ充填ポリマーの熱可塑性ポリマー、及び、含まれている場合、熱可塑性ポリマーの融点又は軟化温度以上の温度で(例えば、また、十分に高い剪断速度で)混合して、ナノクレイ充填ポリマー複合体を分散媒に分散させることと、混合物を融点又は軟化温度未満まで冷却して、ナノクレイ充填ポリマー粒子を形成することと、ナノクレイ充填ポリマー粒子を分散媒から分離させることと、を含む。
【0186】
条項2.熱可塑性ポリマーが、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)である、条項1に記載の方法。
【0187】
条項3.ナノクレイが、四級アンモニウム化合物を含む、条項1に記載の方法。
【0188】
条項4.ナノクレイ充填ポリマー複合体が、ナノクレイを熱可塑性ポリマーと約5分間~約1時間、約125℃~約250℃で溶融混合することによって形成される、条項1に記載の方法。
【0189】
条項5.ナノクレイ充填ポリマーは、ナノクレイ充填ポリマー複合体の総重量に基づいて、約80重量%~約99.9重量%の熱可塑性ポリマーと、約0.05重量%~約20重量%のナノクレイを含む、条項1に記載の方法。
【0190】
条項6.乳化安定剤が存在し、複数のナノ粒子を含み、複数の酸化物ナノ粒子を含む、条項1に記載の方法。
【0191】
条項7.複数の酸化物ナノ粒子が、シリカナノ粒子を含む、条項6に記載の方法。
【0192】
条項8.シリカナノ粒子が、ナノクレイ充填ポリマー複合体の総重量に基づいて、約0.01重量%~約10重量%の範囲のシリカナノ粒子含有量で存在する、条項7に記載の方法。
【0193】
条項9.分散媒は、50:50~90:10の範囲の分散媒対ナノクレイ充填ポリマー複合体との重量比で存在する、条項1に記載の方法。
【0194】
条項10.分散媒はポリジメチルシロキサン(PDMS)である、条項1に記載の方法。
【0195】
条項11.ナノクレイが、インターカレーション、凝集、及び/又は剥離を介して熱可塑性ポリマー中に分散される、条項1に記載の方法。
【0196】
条項12.ナノクレイ充填ポリマー複合体が、約200%~約600%の範囲の破断点伸び(%)を有する、条項1に記載の方法。
【0197】
条項13.ナノクレイ充填ポリマー複合体が、約10MPa~約30MPaの範囲の引張強度(MPa)を有する、条項1に記載の方法。
【0198】
条項14.ナノクレイ充填ポリマー複合体が、約20kD~約500kDの範囲の分子量(Mw、kD)を有する、条項1に記載の方法。
【0199】
条項15.ナノクレイ充填-ポリマー粒子が、約20μm~約80μmの範囲のD50を有し、直径スパンが約2以下である、条項1に記載の方法。
【0200】
条項16.ナノクレイ充填ポリマーは、約0.5μm~約50μmのD10と、約10μm~約200μmのD50と、約50μm~約300μmのD90とを有し、D10<D50<D90である、条項1に記載の方法。
【0201】
条項17.ナノクレイ充填粒子が、約0.2~約10の直径スパンを有する、条項1に記載の方法。
【0202】
条項18.ナノクレイ充填ポリマー粒子は、約0.9以上(又は約0.90~約1.0)の真円度を有する、条項1に記載の方法。
【0203】
条項19.ナノクレイ充填ポリマー粒子は約25°~約45°の安息角を有する、条項1に記載の方法。
【0204】
条項20.ナノクレイ充填ポリマー粒子が、約1.0~約1.5のハウスナー比を有する、条項1に記載の方法。
【0205】
条項21.ナノクレイ充填ポリマー粒子が、約0.2g/cm3~約0.8g/cm3の嵩密度を有する、条項1に記載の方法。
【0206】
条項22.ナノクレイ充填ポリマー粒子が、約0.2m2/g~約100m2/gのBET表面積を有する、条項1に記載の方法。
【0207】
条項23.ナノクレイ充填ポリマー粒子が、ナノクレイ充填ポリマーの熱可塑性ポリマーの焼結ウィンドウの10℃以内の焼結ウィンドウを有する、条項1に記載の方法。
【0208】
条項24.ナノクレイ充填ポリマー粒子は、約150℃~約200℃の融点を有する、条項1に記載の方法。
【0209】
条項25.ナノクレイ充填ポリマー粒子は、約-60℃~約100℃のガラス転移温度を有する、条項1に記載の方法。
【0210】
条項26.ナノクレイ充填ポリマー粒子は、約120℃~約170℃の結晶化温度を有する、条項1に記載の方法。
【0211】
条項27.ナノクレイ充填ポリマー粒子は、約10%~約40%の結晶化度を有する、条項1に記載の方法。
【0212】
条項28.ナノクレイ充填ポリマー粒子は、約0.5g/10分~約10g/10分のMFI流量を有する、条項1に記載の方法。
【0213】
条項28.条項1に従っ生成製されたナノクレイ充填ポリマー粒子。
【0214】
条項29.ナノクレイ充填ポリマー複合体を含むナノクレイ充填ポリマー粒子を含む組成物であって、ナノクレイの少なくとも90重量%は、1層~10層の粒子としてのナノクレイ充填ポリマー複合体の熱可塑性ポリマー中に分散されている(熱可塑性ポリマーはエラストマーポリマーであり得る)(例えば、熱可塑性ポリマーは非エラストマーポリマーであり得る)(例えば、熱可塑性ポリマーは、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリカーボネート、PBT、PETなどを含む本明細書に記載の熱可塑性ポリマーのうちの1つ以上であり得る)、組成物。
【0215】
条項30.熱可塑性ポリマーが、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)である、条項29に記載の組成物。
【0216】
条項31.ナノクレイが、四級アンモニウム化合物を含む、条項29に記載の組成物。
【0217】
条項32.ナノクレイ充填ポリマーは、ナノクレイ充填ポリマー複合体の総重量に基づいて、約80重量%~約99.9重量%の熱可塑性ポリマーと、約0.05重量%~約20重量%のナノクレイを含む、条項29に記載の組成物。
【0218】
条項33.ナノクレイ充填ポリマー複合体が、約200%~約600%の範囲の破断点伸び(%);約10MPa~約30MPaの範囲の引張強度(MPa);約20kD~約500kDの範囲の分子量(Mw、kD)のうちの1つ以上を有する、条項29に記載の組成物。
【0219】
条項34.ナノクレイ充填ポリマー粒子は、約0.5μm~約50μmのD10と、約10μm~約200μmのD50と、約50μm~約300μmのD90とを有し、D10<D50<D90である、条項29に記載の組成物。
【0220】
条項35.ナノクレイ充填ポリマー粒子が、約0.2~約10の直径スパンを有する、条項29に記載の組成物。
【0221】
条項36.ナノクレイ充填ポリマー粒子は、約0.9以上(又は約0.90~約1.0)の真円度を有する、条項29に記載の組成物。
【0222】
条項37.ナノクレイ充填ポリマー粒子は約25°~約45°の安息角を有する、条項29に記載の組成物。
【0223】
条項38.ナノクレイ充填ポリマー粒子が、約1.0~約1.5のハウスナー比を有する、条項29に記載の組成物。
【0224】
条項39.ナノクレイ充填ポリマー粒子が、約0.2g/cm3~約0.8g/cm3の嵩密度を有する、条項29に記載の組成物。
【0225】
条項40.ナノクレイ充填ポリマー粒子が、約0.2m2/g~約100m2/gのBET表面積を有する、条項29に記載の組成物。
【0226】
条項41.ナノクレイ充填ポリマー粒子が、ナノクレイ充填ポリマーの熱可塑性ポリマーの焼結ウィンドウの10℃以内の焼結ウィンドウを有する、条項29に記載の組成物。
【0227】
条項42.ナノクレイ充填ポリマー粒子は、約150℃~約200℃の融点を有する、条項29に記載の組成物。
【0228】
条項43.ナノクレイ充填ポリマー粒子は、約-60℃~約100℃のガラス転移温度を有する、条項29に記載の組成物。
【0229】
条項44.ナノクレイ充填ポリマー粒子は、約120℃~約170℃の結晶化温度を有する、条項29に記載の組成物。
【0230】
条項45.ナノクレイ充填ポリマー粒子は、約10%~約40%の結晶化度を有する、条項29に記載の組成物。
【0231】
条項46.ナノクレイ充填ポリマー粒子は、約0.5g/10分~約10g/10分のMFI流量を有する、条項29に記載の組成物。
【0232】
条項47.選択的レーザ焼結の方法であって、任意選択的に他の熱可塑性ポリマー粒子と組み合わせて表面上に条項29のナノクレイ充填ポリマー粒子を堆積させることと、堆積されると、ナノクレイ充填ポリマー粒子の少なくとも一部をレーザに曝露して、そのナノクレイ充填ポリマー粒子を溶融させ、選択的レーザ焼結によって固結体を形成することと、を含む、方法。
【0233】
別途記載のない限り、本明細書及び関連する特許請求の範囲で使用される成分の量、分子量などの特性、プロセス条件などを表す全ての数字は、あらゆる場合において、「約」という用語によって修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、反対の指示がない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本開示の実施形態によって得ることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、特許請求の範囲の範囲への均等論の適用を制限しようとするものではなく、それぞれの数値パラメータは、報告された有効数字の数に照らして、通常の四捨五入法を適用することによって解釈されるべきである。
【0234】
本明細書に開示される本開示の実施形態を組み込む1つ以上の例示的実施形態が、本明細書に提示される。明確にするために、物理的実装形態の全ての特徴が本出願に記載又は表示されているわけではない。本開示の実施形態を組み込む物理的実施形態の開発において、実装形態によって、また時によって異なる、システム関連、ビジネス関連、政府関連、及び他の制約を伴うコンプライアンスなどの開発者の目標を達成するために、数多くの実装形態固有の決定がなされなければならないことが理解される。開発者の努力には時間がかかる場合があるが、それにもかかわらず、そのような努力は、当業者にとって日常的な作業であり、本開示の利益を得るものとなるであろう。
【0235】
組成物及び方法は、様々な成分又はステップを「含む」という用語で本明細書に記載されているが、組成物及び方法はまた、様々な成分及びステップ「から本質的になる」又は「からなる」可能性がある。
【0236】
本開示の実施形態のより良好な理解を容易にするために、好ましい又は代表的な実施形態の以下の実施例を付与する。以下の実施例は、決して、本開示の範囲を制限するか、又は定義するように読解されるべきではない。
【実施例0237】
ナノクレイ及びシリカナノ粒子を含む熱可塑性ポリマー組成物を形成して、増大した機械的及び抵抗特性を有する高度に球状のポリマーミクロスフェアを生成した。
【0238】
ポリウレタンミクロスフェアの粉体流を、2つの技術、(1)ふるい分け(2)安息角測定を使用して評価した。ふるい分けされた収量(150μm)は、150μmの開口を有する米国規格ふるいASTM E11のふるいを通過した粉体の質量のパーセンテージを測定することによって判定された。安息角の測定値は、ASTM D6393-14「Standard Test Method for Bulk Solids Characterized by Carr Indices」を使用するHosokawa MicronのPowder Characteristics Tester PT-Rを使用して判定した。
【0239】
ポリマーは、高剪断ロータを備えるHAAKE(商標)RHEOMIX二軸スクリュー押出機で溶融混合することによって配合され、したがって、ナノクレイプレートレットをポリマー媒体全体に分散させた。最高の分散度を得るために、いくつかのクレイを試験した。ELASTOLLAN(登録商標)1190Aは、BASFから購入した。ナノクレイShelsite20Aは、Nanoshel LLCから購入した。ナノクレイNANOMER(登録商標)PGV(親水性ベントナイト)は、Sigma Aldrichから購入した。ナノクレイカオリンは、Nanoshel LLCから購入した。ナノクレイメタカオリンは、Nanoshel LLCから購入した。クレイナノ粉体(水和ケイ酸アルミニウム)は、Nanoshel LLCから購入した。AEROSIL(登録商標)RX50は、Evonikから購入した。
【0240】
実施例A.TPUとナノクレイの配合(TPU/クレイ化合物1~3)。
【0241】
57gの熱可塑性ポリウレタン(TPU)エラストマーELASTOLLAN(登録商標)1190A10を、適切な量のナノクレイ(例えば、1.4g(2.5重量%)、又は2.8g(5重量%))と予備混合し、混合前に60℃の真空オーブンで12時間乾燥させた。HAAKE(商標)RHEOMIX二軸ミキサを、最小回転(rpm)で200℃、210℃、及び220℃の温度に設定した。設定温度に達したときに、混合物を完全に添加するまで、乾燥TPU/ナノクレイ混合物をミキサにゆっくりと供給した。ポリマーが溶融すると、ミキサを200rpmで操作した。温度が設定温度に戻った後、TPU/クレイ混合物を約5分間混合した。次いで、配合したTPU/クレイ混合物を放出し、室温に冷却した。次いで、固化したポリマー複合体を、更なる処理のために3DevoSHR3DITshredderで管理可能なペレットに細断した。表1は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)エラストマーELASTOLLAN(登録商標)1190A10から形成された様々な配合試料(TPU/クレイ化合物1~3)の条件を要約する。
【表1】
【0242】
図2A図2B図3A図3B図4A図4B図5A図5B図6A図6B図7A図7B、及び図8A図8Bは、様々なTPU/ナノクレイ複合体の走査型電子顕微鏡(SEM)断面画像である(試料1a、1b、1c、2a、2b、3a、及び3b)。図2A図2B図3A図3B、及び図4A図4Bは、クレイナノプレートレットがTPUポリマーマトリックス全体に分散したことを示す。NANOMER(登録商標)PGVクレイ(図5A図5B及び図6A図6B、試料2a及び2b)は十分に分布しているが、分散品質は、微小複合材をより思い起こさせることがわかった。すなわち、クレイ粒子は剥離されるようには見えないが、しばしば1μmを超えるサイズを有するより大きいクレイ粒子として分散される。メタカオリンナノクレイ(図7A図7B及び図8A図8B、試料3a及び3b)は、粒子のより微細な分散をもたらしたが、試料3a及び3b複合体に関連するいくつかの欠陥、すなわち大きい空隙/気泡及びいくつかのクレイ凝集体が存在した。試料2a、2b、3a、及び3bと比較すると、有機修飾されたShelsite 20A(試料1a、1b、及び1c)から作製された複合材は、非常に微細に分布したプレートレット、非常に少量のクレイ凝集体、及び空隙なしで、最良の分散品質を示した。
【0243】
実施例B.溶融乳化による粒子の調製。(試料4a~4c)。TPU/ナノクレイ化合物(TPU/クレイ化合物1b)(16g)、37gのPDMS油(37g、60,000cSt)、及びAEROSIL(登録商標)RX50(0.16g、1重量%)を真空オーブンで乾燥させて、水分及び空気を除去した。HAAKE(商標)RHEOMIX二軸ミキサを、最小回転速度で190℃に設定した。TPU/ナノクレイ化合物(試料1b)、PDMS油、及びAEROSIL(登録商標)RX50を予備混合し、次いで混合物をHAAKE(商標)RHEOMIX二軸ミキサにゆっくりと添加した。全ての混合物を添加したところ、回転速度をゆっくりと200rpmまで上げた。内部温度を190℃まで戻した後、混合物を200rpmで5分間混合した。5分間の混合の後、加熱及び混合を停止し、スラリーをHAAKE(商標)RHEOMIX二軸ミキサからアルミニウムパンに排出した。スラリーをビーカーに移し、100mLのヘプタンで希釈し、30分間撹拌し、次いで濾過した。得られた粒子をヘプタン(2×100mL)で更に洗浄し、次いで濾過し、真空オーブンで乾燥させた。
【0244】
実施例C.溶融乳化による粒子の調製。(試料5)。TPU/クレイ化合物1bではなく溶融乳化にTPU/クレイ化合物2bを使用したことを除いて、実施例Bの手順を繰り返した。
【0245】
図9A図9B図10A図10B、及び図11A図11Cは、様々なTPU/ナノクレイ配合粒子(それぞれ、試料4a、4b、及び5)のSEM断面画像である。当該粒子は、HAAKE(商標)RHEOMIX二軸ミキサにおける溶融乳化を介して、試料4a~4bのELASTOLLAN(登録商標)1190a/NANOMER(登録商標)PGV及び試料5のELASTOLLAN(登録商標)1190A/Shelset 20AなどのTPU/ナノクレイ化合物から調製した。TPU/NANOMER(登録商標)PGV複合体(例えば、試料4a~4b)から作製された粒子は、大きいクレイ凝集体及び分散質の全体的な低下をもたらした。しかしながら、TPU/Shelsite20A複合体((試料5))から作製された粒子は、TPUマトリックス内のクレイの非常に微細な分散を保持した。剥離クレイプレートレットは、TPU粒子内で見ることができる(図11C)。Shelsite 20Aを用いる分散品質は、クレイプレートレット中の層間の空間が四級アンモニウム塩の添加により増加したためNANOMER(登録商標)PGVによるものよりもはるかに良好であった。有利なことに、そのような増加した間隔は、モノマー又はポリマーがより容易に層に浸透することを可能にし、インターカレーション及び剥離を容易にする。
【0246】
表2は、TPU/ナノクレイ複合体粒子の特性及び条件を示す(実施例B~C、試料4~5)は、2ステッププロセスで調製された。
【表2】
【0247】
実施例D.溶融乳化による粒子の調製。(試料6)(比較)。
【0248】
真空オーブンで、20kgのTPUポリマーペレットを80℃で一晩乾燥させた。シリカ分散液を、以下のようにPDMS油中で調製した:0.05kgのシリカを、KILO-LAB(登録商標)B135シリンダに配置されたオーバーヘッドミキサで5ガロンのプラスチックペール中の30kgのPDMS油(10,000cSt)と混合した。全ての乾燥粉体が組み込まれると、シリカ分散液を清浄なPDMS供給タンクに装填し、一晩放置して脱気した。次いで、LEISTRITZ(商標)27mmHP二軸スクリュー押出機(モデル「ZSE-27」)に乾燥TPUポリマーペレット、及びPDMS供給タンク中のシリカ分散液を装填し、次いで目標温度まで加熱した。LEISTRITZ(商標)27mmHP二軸スクリュー押出機が目標温度に達した後、押出機スクリューをゆっくりと目標回転速度(rpm)まで増加させた。TPUポリマーを4kg/時の速度で供給し、PDMSを6kg/時の速度で供給した。空気ナイフと水冷却の両方で、冷却コンベヤベルトをオンにした。TPUポリマー及びPDMS供給が開始されたときにゼロ(t=0)の時間を記録し、試料収集前に定常状態を少なくとも20分記録した。収集容器をコンベヤベルトの端部に配置して、PDMS中のポリマー粒子の冷却されたスラリーを収集した。PDMS及びTPUポリマーを含むスラリーを40kgの洗浄溶媒(例えば、ヘプタン)と混合し、清浄なフィルタ「06-10」に充填した。各々40kgのヘプタンを含む3つの追加の再スラリー洗浄を行い、ポリマー粒子からPDMSを除去した。表3は、試料6の特性及び条件を示す。ポリマー粒子(試料6)を真空オーブン内で乾燥させて、残留溶媒を除去し、3D印刷評価用に調製した。
【0249】
実施例E.溶融乳化による粒子の調製。(試料7)(比較例)。
【0250】
TPU/Shelsite20A複合粒子(試料7)のワンポット調製を以下のように実行した:ELASTOLLAN(登録商標)1190A(16g)、37gのPDMS油(37g;60,000cSt)、Shelsite20A(ナノクレイモンモリロナイト20A)(0.8g)、及びAEROSIL(登録商標)RX50(0.16g、1重量%)を真空オーブンで乾燥させて水分及び空気を除去した。HAAKE(商標)RHEOMIX二軸ミキサを、最小回転速度で190℃に設定した。ELASTOLLAN(登録商標)1190A、PDMS油、Shelsite20A、及びAEROSIL(登録商標)RX50を予備混合した。次いで、混合物をHAAKE(商標)RHEOMIX二軸ミキサにゆっくりと添加した。全ての混合物を添加すると、回転速度をゆっくりと200rpmまで上げた。内部温度を190℃まで戻した後、混合物を200rpmで5分間混合した。5分後、加熱及び混合を停止し、スラリーをHAAKE(商標)RHEOMIX二軸ミキサからアルミニウムパンに排出した。スラリーをビーカーに移し、100mLのヘプタンで希釈し、30分間撹拌し、次いで濾過した。得られた粒子をヘプタン(2×100mL)で更に洗浄し、濾過し、真空オーブンで乾燥させた。表3は、試料7の特性及び条件を示す。
【0251】
表3は、シリカナノ粒子、クレイナノ粒子、又はそれらの組み合わせを含む様々なポリマーミクロスフェアの条件及び特性をまとめたものである。
【表3】
*目視検査では、結果は実施例C(5重量%のShelsite20Aを使用)と同様であるが、得られた試料の量が限られているため、測定は取得されなかった。
【0252】
図12A及び図12Bは、ワンポット溶融乳化プロセスを介して調製されたTPU/ナノクレイ複合体粒子(試料7)のSEM断面画像である。本明細書では、溶融乳化プロセスを1つのステップで行い、TPU/Shelsite 20A複合体及びその対応する粒子の両方を形成した。上記のように、ポリマー、ナノクレイ、シリカナノ粒子、及びPDMS油は全てHAAKE(商標)RHEOMIX二軸ミキサに添加され、10分間混合された。図12A及び図12Bに示されるように、多くの不規則な形状の粒子が観察され、したがって、ポリマー粒子内の再凝集、大きい空隙、及び凝集したナノクレイによるものである。加えて、溶融乳化は、自由流動性粒子をもたらさなかったが、むしろ大きいチャンクに合体された。そのような観察は、シリカナノ粒子及びPDMS油と混合する前のTPUポリマー/ナノクレイ複合体の形成の重要な役割を示す。
【0253】
実施例F.選択的レーザ焼結
【0254】
図13は、Haakeミキサを介した溶融乳化によって作製されたELASTOLLAN(登録商標)1190A、5重量%のShelsite 20A)粉体、及び1重量%のAEROSIL(登録商標)RX50から調製された試料5の選択的レーザ焼結(SLS)である。試料5の単一層を、SNOWWHITE SLSプリンタ(Sharebotから入手可能)を使用して焼結した。クレイを含まないTPU粉体よりも少し高い場合、同等であった35%のレーザ出力で開始して、試料5の粉体は十分に焼結した。本質的に、シングル層内のボイドは、全てのレーザ電力(35%~55%)で観察され、35%では0.2%の空隙のみを有する。
【0255】
実施例G.射出成形
【0256】
表4は、様々な射出成形(injection molded、IM)試料(試料8a、試料8b、及び試料8c)の機械的試験を示す。Shelsite 20Aは、NANOMER(登録商標)PGV及びメタカオリンと比較した場合、TPUマトリックス(試料8a~8b)内のより良好な分散特性を示した。試料8b及び8cをHAAKE(商標)RHEOMIX二軸ミキサで配合し、射出成形のために提供した。未希釈のELASTOLLAN(登録商標)1190Aポリマー(試料8a)も混合し、対照として射出成形のために提供した。表4は、未希釈のELASTOLLAN(登録商標)1190Aポリマー(試料8A)、並びにELASTOLLAN(登録商標)1190A及びShelsite20A(試料8b、及び試料8c)を含む複合試料の射出成形試料の機械的特性を示す。興味深いことに、試料8c(5重量%のShelsite 20A)は、未希釈のELASTOLLAN(登録商標)1190Aポリマー(試料8a)よりも11%の引張強度の増加及び31%の破断点伸びの増加を示した。典型的には、クレイナノ充填剤の添加は、複合材料の伸びの低減をもたらす。本明細書では、試料8cは、そのゴム状の性質を維持しながら、試料8aと比較した場合、より高い引張強度を有した。
【表4】
【0257】
表5は、ニートELASTOLLAN(登録商標)1190Aポリマー(試料8A)及びTPU/Shelsite 20A複合体(試料8b及び試料8c)の融解温度を要約する。表5に示すように、クレイを添加した後にTPUポリマーの溶融温度の増加を得た。
【表5】
【0258】
射出成形部品をアセトンに供した(表6、図14)。射出成形部品を計量し、次いで、室温で20mLのアセトンを有する瓶に浸漬した。表6は、ベースポリマーが、5重量%のShelsite 20Aを含有する試料8cよりわずかに高い膨張度を示したことを示す。膨張の減少に加えて、5重量%のShelsite 20A試料もより低い程度の溶解度を示し、試料の6.6重量%のみがベースポリマーとは対照的にアセトンに失われ、10重量%の損失をもたらした。
【0259】
表6は、ニートのELASTOLLAN(登録商標)1190Aポリマー(試料8a)とTPU/Shelsite20A複合体(試料8b及び試料8c)の耐溶剤性をまとめたものである。
【表6】
【0260】
図14は、アセトンに供された後の、上記の各射出成形部品の代表的な写真である。試料8は、試料8b及び試料8cと比較して、より大量の層間剥離及び亀裂を提示する。試料8bと試料8cは、小さな亀裂と少量の層間剥離を示したが、試料8と比較した場合、サイズ及び形状は、ほぼ保持されていた。
【0261】
実施例H.(予言的)
【0262】
ナイロン6及びCloisite30Bクレイは、約30rpmで約250℃でバーベンダミキサ中で配合されて、クレイがナイロンとインターカレートされ得るナノクレイ充填ナイロンを生成し得る。当該ナノクレイ充填ナイロンを使用して、本明細書に記載の溶融乳化方法によって(例えば、実施例B~Cに記載の方法によって又はナイロンに好適な他の温度において)粒子を作製し得る。
【0263】
実施例I.(予言的)
【0264】
ナイロン66及びナトリウムモンモリロナイト(Na-MMT)クレイは、約265℃~約270℃の範囲のゾーン及び/又はヘッド温度を有する二軸スクリュー押出機で配合されて、ナノクレイ充填ナイロンを生成し得る。当該ナノクレイ充填ナイロンを使用して、本明細書に記載の溶融乳化方法によって(例えば、実施例B~Cに記載の方法によって又はナイロンに好適な他の温度において)粒子を作製し得る。
【0265】
実施例J.(予言的)
【0266】
エポキシ及びナトリウムモンモリロナイト(Na-MMT)クレイの硬化剤は、超音波処理又は別様に混合され得る。次いで、エポキシプレポリマーを硬化剤及びNa-MMTに添加し、約80℃で約15分間混合し得る。次いで、得られた混合物を(例えば、金型内で)硬化させて、ナノクレイ充填エポキシを得ることができ、ナノクレイはエポキシで剥離され得る。当該ナノクレイ充填エポキシを使用して、本明細書に記載の溶融乳化方法によって(例えば、実施例B~Cに記載の方法によって、又はエポキシに好適な他の温度において)粒子を作製し得る。
【0267】
実施例K.(予言的)
【0268】
ポリアミド及びNa-MMTクレイは、約265℃~約270℃の範囲のゾーン及び/又はヘッド温度を有する二軸スクリュー押出機で配合されて、ナノクレイ充填ポリアミドを生成し得、ナノクレイがポリアミド中で剥離され得る。当該ナノクレイ充填ポリアミドを使用して、本明細書に記載の溶融乳化方法によって(例えば、実施例B~Cに記載の方法によって、又はポリアミドに好適な他の温度において)粒子を作製し得る。
【0269】
実施例L.(予言的)
【0270】
モンモリロナイト(montmorillonite、MMT)クレイは、超音波処理又は他の混合法によってドデシル硫酸ナトリウムを含む水溶液中に分散され得る。ポリプロピレンラテックスは、ドデシル硫酸ナトリウムの水溶液に懸濁されたMMTに添加され得る。得られた混合物を凍結乾燥して、ナノクレイ充填ポリプロピレンを得ることができ、ナノクレイはポリプロピレン中で剥離され得る。当該ナノクレイ充填ポリプロピレンを使用して、本明細書に記載の溶融乳化方法によって(例えば、実施例B~Cに記載の方法によって、又はポリプロピレンに好適な他の温度において)粒子を作製し得る。
【0271】
実施例M.(予言的)
【0272】
MMTクレイは、ポリ塩化ビニルと乾式ブレンドされ得る。得られた乾燥ブレンド混合物は、約150℃で約5分間溶融混合されて、ナノクレイ充填ポリ塩化ビニルを得ることができ、ナノクレイは、ポリ塩化ビニルで剥離され得る。当該ナノクレイ充填ポリ塩化ビニルを使用して、本明細書に記載の溶融乳化方法によって(例えば、実施例B~Cに記載の方法によって、又はポリ塩化ビニルに好適な他の温度において)粒子を作製し得る。
【0273】
実施例N.(予言的)
【0274】
ポリ(メチルメタクリレート)及びNa-MMT及び/又はCloisite20Aクレイは、約180℃で約50rpmでバーベンダミキサ中で配合されて、クレイがポリ(メチルメタクリレート)とインターカレートされ得るナノクレイ充填ポリ(メチルメタクリレート)を得ることができる。当該ナノクレイ充填ポリ(メチルメタクリレート)を使用して、本明細書に記載の溶融乳化方法によって(例えば、実施例B~Cに記載の方法によって、又はポリ(メチルメタクリレート)に好適な他の温度において)粒子を作製し得る。
【0275】
実施例O.(予言的)
【0276】
無水マレイン酸修飾ポリプロピレン及びMMTクレイは、約140℃~約165℃のバーベンダープラスチコーダーで配合されて、クレイが無水マレイン酸変性ポリプロピレンで剥離され得るナノクレイ充填無水マレイン酸変性ポリプロピレンを得ることができる。当該ナノクレイ充填無水マレイン酸変性ポリプロピレンを使用して、本明細書に記載の溶融乳化方法によって(例えば、実施例B~Cに記載の方法によって、又は無水マレイン酸変性ポリプロピレンに好適な他の温度において)粒子を作製し得る。
【0277】
実施例P.(予言的)
【0278】
天然ゴム及び有機MMTクレイ(例えば、Cloisite10A、15A、25A、30B、93B、及びそれらの組み合わせ)は、ツインロールミルで混合され得る。得られた混合物を、室温でイソプレンと混合し、次いで硬化させて、クレイが天然ゴムとインターカレートされ得るナノクレイ充填天然ゴムを得ることができる。当該ナノクレイ充填天然ゴムを使用して、本明細書に記載の溶融乳化方法によって(例えば、実施例B~Cに記載の方法によって、又は天然ゴムに好適な他の温度において)粒子を作製し得る。
【0279】
実施例Q.(予言的)
【0280】
ポリスチレン及び有機MMTクレイは、約170℃のツインロールミルで混合されて、クレイがポリスチレンとインターカレートされ得るナノクレイ充填ポリスチレンを得ることができる。当該ナノクレイ充填ポリスチレンを使用して、本明細書に記載の溶融乳化方法によって(例えば、実施例B~Cに記載の方法によって、又はポリスチレンに好適な他の温度において)粒子を作製し得る。
【0281】
実施例R.(予言的)
【0282】
アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)及び有機MMTクレイを、約190℃のツインロールミル内で混合して、クレイがABSとインターカレートされ得るナノクレイ充填ABSが得られ得るる。当該ナノクレイ充填ABSを使用して、本明細書に記載の溶融乳化方法によって(例えば、実施例B~Cに記載の方法によって、又はABSに好適な他の温度において)粒子を作製し得る。
【0283】
実施例R.(予言的)
【0284】
ポリアミド12及び有機MMTクレイは、約225℃で押出機内で混合されて、クレイがポリアミド12とインターカレートされ得るナノクレイ充填ポリアミドを得ることができる。当該ナノクレイ充填ポリアミドを使用して、本明細書に記載の溶融乳化方法によって(例えば、実施例B~Cに記載の方法によって、又はポリアミド12に好適な他の温度において)粒子を作製し得る。
【0285】
したがって、本開示は、言及された目標及び利点、並びにそれに固有の目標及び利点を達成するように十分に適合されている。本開示は、本明細書の教示の利益を有する当業者には明らかな、異なるが等価な方法で修正かつ実施され得るため、上記に開示された特定の実施例及び構成は単なる例示に過ぎない。更に、以下の特許請求の範囲に記載されるもの以外の、本明細書に示される構造又は設計の詳細に限定することを意図するものではない。したがって、上記に開示された具体的な例示的実施例が、変更され、組み合わされ、又は修正され得、全てのそのような変形が、本開示の範囲及び趣旨内で考慮されることは明らかである。好適に本明細書に例示的に開示される本開示は、本明細書に具体的に開示されない任意の要素、及び/又は本明細書に開示される任意の任意選択的な要素の不在下で実施され得る。組成物及び方法は、様々な成分又はステップを「含む(comprising)」、「含む(containing)」、又は「含む(including)」という用語で記載されているが、組成物及び方法はまた、様々な成分及びステップ「から本質的になる」又は「からなる」可能性がある。上に開示された全ての数及び範囲は、多少異なる場合がある。下限及び上限を有する数値範囲が開示されるときはいつでも、その範囲内にある任意の数及び任意の含まれる範囲が具体的に開示される。とりわけ、本明細書に開示される(「約a~約b(from about a to about b)」、又は等しく「約a~b(approximately a to b)」、又は等しく「約a~b(from approximately a-b)」という形態の)値の全ての範囲は、広範な値の範囲内に包含される全ての数及び範囲を記載するものと理解されるべきである。また、特許請求の範囲における用語は、特許権所有者によって明示的かつ明確に定義されない限り、平易な通常の意味を有する。加えて、特許請求の範囲で使用するとき、不定冠詞「a」又は「an」は、本明細書において、それが導入する要素のうちの1つ又は1つ超を意味するように定義される。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図13
図14
【外国語明細書】