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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023021099
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】ターフエアレータ
(51)【国際特許分類】
   A01B 45/02 20060101AFI20230202BHJP
   A01G 20/10 20180101ALI20230202BHJP
【FI】
A01B45/02
A01G20/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022122716
(22)【出願日】2022-08-01
(31)【優先権主張番号】17/390,023
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】598159757
【氏名又は名称】ザ・トロ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Toro Company
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ジョーセフ ダブリュ.ポガトチュニク ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】スコット エー.トムソン
(72)【発明者】
【氏名】キース エー.ゲッツ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス アール.プフィングステン
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン アール.ヘンドリクソン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン アール.ケス
(72)【発明者】
【氏名】ケリー エス.ミームケン
【テーマコード(参考)】
2B022
2B034
【Fターム(参考)】
2B022AB02
2B022AB06
2B034AA01
2B034BA07
2B034BB05
2B034BC05
2B034BD02
2B034BD07
2B034BD08
2B034CA01
2B034CB01
(57)【要約】
【課題】エアレータの提供。
【解決手段】ターフ表面のためのエアレータは、トラクション制御部、OPCベイル、及び片手操作可能なエアレーションベイルを有する。コントローラは、エアレーションベイルの閉じ時にマークされた開始位置でタインヘッドを自動的に下げてエアレーションを開始し、エアレーションベイルの解放時にマークされた終了位置でタインヘッドを上げてエアレーションを終了させる。コントローラは更に、開始位置でターフ表面に入るタインを所望ホール深さまで侵入させる。コントローラはまた、エアレーションパス中に所望ホール間隔が維持されるよう対地速度を自動的に調整するが、車輪の擦りの軽減のために操縦可能な前輪をフリーホイールにしつつパス間の転回中にオペレータによる速度上昇を許容する。ばね釣り合いバランスを有するハンドルアセンブリは高さ調整可能であり、直立非動作位置に置かれると駐車ブレーキに自動的に係合する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターフ表面のためのエアレータであって、
(a)ターフ表面上を移動可能なフレームと、
(b)前記ターフ表面にエアレーションホールを形成するための複数の繰り返しの動作サイクルにおける各動作サイクル中に、互いに異なる時間に前記ターフ表面に出入りするよう移動可能な複数のタインアセンブリと、
(c)前記フレームに取り付けられた、前記タインアセンブリを担持するためのタインヘッドであって、前記タインアセンブリが前記ターフ表面をエアレーションしない上昇非動作位置と、前記タインアセンブリが前記ターフ表面をエアレーションする下降動作位置との間で、前記フレーム上を鉛直方向に移動可能な、タインヘッドと、
(d)前記タインアセンブリの動作速度と前記タインヘッドに対する前記タインアセンブリの位置とを含むタインアセンブリデータを提供するための少なくとも1つのタインアセンブリセンサと、
(e)前記タインアセンブリデータを受信し使用して、前記ターフ表面内に最初に移動した前記タインアセンブリがいずれも、前記ターフ表面にあらかじめ選択されたホール深さまで実質的に侵入するように、前記タインヘッドをその非動作位置から自動的に下降させる、マイクロプロセッサベースのコントローラと、
を備える、エアレータ。
【請求項2】
前記フレームに対する前記タインヘッドの高さを含むタインヘッドデータを提供するための少なくとも1つのタインヘッド高さセンサを更に含み、前記コントローラは、タインアセンブリの1つまたは複数のタインの最下端が前記ターフ表面に実質的に近づいているが実質的に入っていない状態を表す第1のタインヘッド高さを記憶し、前記コントローラは、前記タインアセンブリデータを使用して、どのタインアセンブリが第1のタインアセンブリの直前にあるかを決定し、前記コントローラは更に、前記タインヘッドデータおよび前記第1のタインヘッド高さを受信し使用して、前記第1のタインアセンブリを前記ターフ表面に前記あらかじめ選択されたホール深さまで実質的に侵入させるやり方として、直前の前記タインアセンブリを前記第1のタインヘッド高さに位置付けるように前記タインヘッドを下降させる、請求項1に記載のエアレータ。
【請求項3】
前記タインアセンブリは、回転可能なクランクシャフトによって生成される各動作サイクルにおいて概ね鉛直方向往復運動を有し、前記少なくとも1つのタインアセンブリセンサによって検出される前記タインアセンブリの前記動作速度は、前記クランクシャフトの回転速度を含む、請求項1に記載のエアレータ。
【請求項4】
前記タインアセンブリの少なくともいくつかは、互いに他に対して位相がずれて動作される固定角度間隔を有する互いに異なる角度位置で前記クランクシャフトに接続され、前記少なくとも1つのタインアセンブリセンサは更に、前記クランクシャフトの各回転中に少なくとも1つのタインアセンブリの位置を検出し、前記コントローラは、前記タインアセンブリ同士間の前記固定角度間隔を使用して、前記位相がずれているタインアセンブリのうちの他の位置を補間する、請求項3に記載のエアレータ。
【請求項5】
前記位相がずれているタインアセンブリは、複数のタインアセンブリの複数のグループに配置され、各グループのタインアセンブリは互いに同期して動作する、請求項4に記載のエアレータ。
【請求項6】
ターフ表面をエアレーションするためのエアレータであって、
(a)フレームであって、前記フレームを前記ターフ表面上において少なくとも前方向に自己推進させるためのトラクションドライブを有するフレームと、
(b)前記フレームに担持されたタインヘッドであって、鉛直方向に往復する、横並びの複数のタインであって、前記ターフ表面にエアレーションホールを穿孔するためのタインを有し、前記タインが前記ターフ表面よりも上方に位置する上昇非動作位置と、前記タインが前記ターフ表面に係合して前記ターフ表面に前記エアレーションホールを形成する下降動作位置との間で、前記フレーム上を鉛直方向に移動可能な、タインヘッドと、
(c)前記ターフ表面を横切る前記エアレータの各パスについて、オペレータが前記ターフ表面上に目標エアレーション開始位置を確立するのを可能にする第1の状態と、オペレータが前記ターフ表面上に目標エアレーション終了位置を確立するのを可能にする第2の状態と、を有するエアレーション制御部と、
(d)マイクロプロセッサベースのコントローラであって、
(i)前記目標エアレーション開始位置を受信すると、前記タインヘッドに担持された前記タインの少なくとも一部が前記ターフ表面に入ってほぼ前記目標エアレーション開始位置で選択済みターフ表面をエアレーションし始めるのが可能になる瞬間に、前記タインヘッドの下降を自動的に開始し、
(ii)前記目標エアレーション終了位置を受信すると、前記タインヘッドに担持された前記タインが前記ターフ表面から出てほぼ前記目標エアレーション終了位置で前記ターフ表面へのエアレーションを終了するのが可能になる瞬間に、前記タインヘッドの上昇を自動的に開始する、
コントローラと、
を備える、エアレータ。
【請求項7】
前記エアレーション制御部は、ピボットベイルであって、前記ベイルが前記オペレータにより固定ハンドルに対し閉じられると前記第1の状態を画定し、前記ベイルが前記オペレータにより解放されて前記ベイルが前記固定ハンドルから離れるように移動するのが許容されると前記第2の状態を画定する、ピボットベイルを備える、請求項6に記載のエアレータ。
【請求項8】
エアレーションが望まれる選択済みターフ表面であって、エアレーションが望まれない非選択表面と第1の境界を有する選択済みターフ表面をエアレーションするためにエアレータを操作する方法であって、
(a)前記エアレータを、前記選択済みターフ表面にエアレーションホールを形成可能なタインヘッドであって前記選択済みターフ表面の上方の高さに配置されたタインヘッドともに、前記選択済みターフ表面に向かって前進運動方向に推進することと、
(b)前記前進運動方向に関し前記タインヘッドの前方において前記エアレータ上に位置する基準特徴が、いつ前記第1の境界を横切って前記選択済みターフ表面の上方に位置しまたはそれと接触するかを検出することと、
(c)前記選択済みターフ表面の上方のまたはそれと接触する前記基準特徴の瞬間的な位置を目標エアレーション開始位置として確立することと、
(d)前記目標エアレーション開始位置の確立をマイクロプロセッサベースのコントローラに送信することと、
(e)前記タインヘッドに担持された少なくともいくつかの鉛直方向に往復動するホール形成タインが、ほぼ前記目標エアレーション開始位置において、前記選択済みターフ表面に侵入して前記選択済みターフ表面をエアレーションし始めることを可能にする瞬間に、前記コントローラが前記タインヘッドの下降を自動的に開始することと、
を含む方法。
【請求項9】
前記検出するステップは、オペレータが前記基準特徴を視覚的に観察することを含み、前記確立するステップは、前記オペレータがエアレーション制御部の状態を手動で変更することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記エアレーション制御部の状態を変更することは、前記エアレータ上の固定ハンドルに対して旋回エアレーションベイルを手動で閉じることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
更に、
(a)前記タインヘッドが前記選択済みターフ表面をエアレーションしつつ、前記エアレータを、前記選択済みターフ表面と前記非選択表面との間の第2の境界に向かって、前記選択済みターフ表面上を前進運動方向に推進し続けることと、
(b)前記前進運動方向に関し前記タインヘッドの前方において前記エアレータ上に位置する前記基準特徴が、いつ前記第2の境界に近づくけれども依然として前記選択済みターフ表面の上に位置しておりまたはそれと接触しているかを検出することと、
(c)前記選択済みターフ表面の上方のまたはそれと接触する前記基準特徴の瞬間的な位置を目標エアレーション終了位置として確立することと、
(d)前記目標エアレーション終了位置の確立をマイクロプロセッサベースのコントローラに送信することと、
(e)前記タインヘッドに担持された前記タインが、ほぼ前記目標エアレーション終了位置において、前記選択済みターフ表面から離れて前記選択済みターフ表面をエアレーションし終わることを可能にする瞬間に、前記コントローラが前記タインヘッドの上昇を自動的に開始することと、
のステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
油圧シリンダであって、加圧流体が前記シリンダに印加されると前記タインヘッドを上昇させ、前記加圧流体が前記シリンダから解放されると前記タインヘッドが公称落下速度で下降するのを許容するための油圧シリンダを更に含み、前記コントローラは、前記選択済みターフ表面を横切る前記エアレータの第1のパスにおいて前記公称落下速度を使用して、前記シリンダから前記加圧流体を解放することにより前記タインヘッドの下降を自動的に開始する時期を決定する、
請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記選択済みターフ表面を横切る前記エアレータの後続のパスにおける落下速度の動作変化を補正することを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記タインの動作速度および前記タインヘッドに対する前記タインの位置を感知することを更に含み、前記自動下降ステップは、前記選択済みターフ表面に入る前記少なくともいくつかの鉛直方向に往復動するホール形成タインが、ほぼ前記目標エアレーション開始位置において前記選択済みターフ表面のエアレーションを開始して、前記目標エアレーション開始位置において前記ターフ表面にあらかじめ選択されたホール深さまで実質的に侵入するようにすることを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
ターフ表面をエアレーションするためのエアレータであって、
(a)フレームであって、前記フレームを前記ターフ表面上において可変速度でもって少なくとも前方向に自己推進させるためのトラクションドライブを有するフレームと、
(b)前記フレームに担持された、横並びの複数のタインアセンブリであって、前記ターフ表面にエアレーションホールを穿孔するために前記フレームに対し鉛直方向に往復動する、タインアセンブリと、
(c)操作制御部を担持する制御コンソールであって、
(i)オペレータの手で把持されるように構成された固定ハンドグリップと、
(ii)前記オペレータの手が固定ハンドグリップを握りつつ前記オペレータの手の少なくとも1つの指によって動かされて前記フレームの可変前進速度を制御するように構成された可動トラクション制御部と、
(iii)前記固定ハンドグリップに隣接する第1の枢動ベイルグリップであって、前記オペレータの手の指により把持されるように、かつ、前記固定ハンドグリップに対し閉じられてエアレーション操作を開始するように構成され、更に、前記固定ハンドグリップから離れる移動のために前記オペレータの指により解放されてエアレーション操作を終了させるように構成される、第1の枢動ベイルグリップと、
を備える制御コンソールと、
を備える、エアレータ。
【請求項16】
前記固定ハンドグリップに隣接する第2の枢動ベイルグリップを更に含み、前記第2のハンドグリップは、前記オペレータの手により係合されるとともに前記固定ハンドグリップに対し閉じられて前記エアレータの動作を可能にするように構成され、更に、前記固定ハンドグリップから離れる移動のために前記オペレータの手により解放されて前記エアレータの動作を不能にするように構成される、請求項15に記載のエアレータ。
【請求項17】
前記第1の枢動ベイルグリップが前記固定ハンドグリップの下にあり、前記第2の枢動ベイルグリップが前記固定ハンドグリップの上にある、請求項16に記載のエアレータ。
【請求項18】
前記オペレータの手の前記少なくとも1つの指は前記オペレータの手の親指を含み、前記トラクション制御部は、回転可能であり、かつ、開いた頂部及び開いた側部を有する上向きの切り欠きであって、前記オペレータの手が前記固定ハンドグリップを把持しているときに前記オペレータの手の親指が前記切り欠き内に受容されるのを許容する切り欠きを有する、請求項15に記載のエアレータ。
【請求項19】
前記制御コンソールが、歩行しているオペレータが前記フレームを案内および操縦するのを許容するためのハンドルアセンブリ上に担持される、請求項15に記載のエアレータ。
【請求項20】
前記ハンドルアセンブリが前記フレームの前進運動方向に関し前記フレームの前端にあり、前記タインアセンブリが前記フレームの前進運動方向に関し前記フレームの後端にある、請求項19に記載のエアレータ。
【請求項21】
ターフ表面をエアレーションするためのエアレータであって、
(a)フレームであって、前記フレームを前記ターフ表面上において可変速度でもって少なくとも前方向に自己推進させるためのトラクションドライブを有するフレームと、
(b)前記フレームに担持された、横並びの複数のタインアセンブリであって、前記ターフ表面にエアレーションホールを穿孔するために前記フレームに対し鉛直方向に往復動する、タインアセンブリと、
(c)マイクロプロセッサベースのコントローラであって、
(i)所望の前後ホール間隔を記憶し、
(ii)前記所望のホール間隔を達成するために、前記エアレータの各エアレーションパス中に前記トラクションドライブの動作速度を自動調整する、
コントローラと、
を備える、エアレータ。
【請求項22】
前記動作速度の前記自動調整は、連続するエアレーションパス同士間の任意の転回動作において前記オペレータによりオーバーライドされることが可能であり、その際に前記オペレータは、前記動作速度よりも高い転回速度を命令するトラクション速度入力を前記コントローラに供給する、請求項21に記載のエアレータ。
【請求項23】
前記フレームの前端に少なくとも1つの前輪が設けられ、前記フレームの方向を制御するために前記少なくとも1つの前輪を操縦可能であり、前記コントローラは、前記少なくとも1つの前輪を各転回動作中にフリーホイール状態にして、ホイールの擦りを軽減する、請求項22に記載のエアレータ。
【請求項24】
ターフ表面をエアレーションするためのエアレータであって、
(a)フレームであって、前記フレームを前記ターフ表面上において少なくとも前方向に自己推進させるためのトラクションドライブを有するフレームと、
(b)前記フレームに担持された、横並びの複数のタインアセンブリであって、前記ターフ表面にエアレーションホールを穿孔するために前記フレームに対し鉛直方向に往復動する、タインアセンブリと、
(c)歩行しているオペレータが前記フレームを案内および操縦することを可能にするために操縦可能な車輪に動作可能に接続されたハンドルアセンブリであって、前記フレーム上で高さが調整可能であるとともに、前記フレーム上で前記のハンドルアセンブリの調整を容易にするために前記ハンドルアセンブリと前記フレームとの間に作用するバネ釣り合いバランスによって実質的にオフセットされた重量を有する、ハンドルアセンブリと、
を備える、エアレータ。
【請求項25】
前記ハンドルアセンブリを非動作位置に配置することができ、前記ハンドルアセンブリの前記非動作位置への移動により駐車ブレーキが自動係合される、請求項24に記載のエアレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、ターフ(芝)表面の農学的健全性を改善するためにターフ表面にホール(穴)を形成しまたは開けるための複数のタイン(歯)を有するエアレータに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本出願人であるザ トロ カンパニーは長期にわたり、ターフエアレータであって、エアレータがターフ表面上を通過するときに、ターフ表面に間隔を置いて配置された鉛直ホールのアレイを形成しまたは開けるターフエアレータを製造販売してきた。そのようなエアレータの一例は、Toro ProCore(登録商標)648ターフエアレータであり、それは、ハンドルアセンブリを保持する歩行オペレータによって案内される。ProCore(登録商標)648エアレータは、タインヘッドを担持する自走式フレームを有する。タインヘッドは、鉛直方向に往復し、回転可能な、並列配置された複数のタインアセンブリを含み、各タインアセンブリは複数のホール形成用タインを有する。本出願人の以前の特許文献1は、ProCore(登録商標)648エアレータに関する。
【0003】
ProCore(登録商標)648エアレータおよび他の同様のエアレータでは、エアレータフレームは、一対の後輪および前輪を備える三輪構成の複数の車輪によって支持される。前輪は、フレームの前部で鉛直軸回りに枢動する車輪マウント上に担持される。ハンドルアセンブリは、エアレータの操作中にオペレータがフレームの前方を歩くように、前輪マウントに取り付けられて前輪マウントから前方に延びる。オペレータは、前輪を旋回させてエアレータを操舵するために、ハンドルアセンブリを左右に揺動させることができる。
【0004】
ハンドルアセンブリは左右のハンドグリップに分割された旋回トラクションベイルを担持し、オペレータがエアレータの前方または後方へのトラクションドライブに従事するのを可能にする。更に、ハンドルアセンブリは、タインヘッドスイッチであって、スイッチの一端を押し下げることによりタインヘッドを低下させてタインアセンブリの回転を実行し、又は、スイッチの他端を押し下げることによりタインヘッドを上昇させてタインアセンブリの回転を停止させるためのタインヘッドスイッチを担持する。したがって、オペレータは、タインヘッドスイッチを使用して、ターフ表面を横切るエアレータの通過の開始時にターフ表面のエアレーション(通気)を開始し、ターフ表面を横切るエアレータの通過の終了時にターフ表面のエアレーションを停止する。
【0005】
ProCore(登録商標)648エアレータは一般的に、ゴルフコースのグリーンに使用されて、ゴルファーがパットするターフ表面の健康を維持する。ゴルフコースグリーンのエッジはカラーによって画定され、このカラーは、グリーン自体に使用される草とは異なる種類の草から構成されることが多いターフ表面によって形成される。加えて、カラーのターフ表面は、グリーンと周囲のカラーとの間に明確な境界を有するように、グリーンのターフ表面よりもはるかに高い切断高さに維持される。ProCore(登録商標)648エアレータの幅は、グリーンの幅または長さよりも著しく小さい。したがって、グリーン全体をエアレーションするために、ProCore(登録商標)648エアレータは、グリーン上を前後に複数回通過しなければならない。
【0006】
タインヘッドは、ProCore(登録商標)648エアレータのフレームの後端に担持される。この位置において、オペレータは、エアレータのほぼ全長によってタインヘッドから分離される。典型的には、タインが非作動の上昇位置にタインヘッドが配置されつつ、エアレータがカラー上に位置決めされて、エアレーションパス(エアレーションを伴う通過)が始まる。エアレーティングパスを開始するために、オペレータは、トラクションドライブに従事して、グリーンのエッジに向かってカラー上でエアレータを前方に推進させる。
【0007】
オペレータがグリーンのエッジに到達したときに、タインヘッドは、タインが非作動の上昇位置にある。この瞬間又は時期にオペレータがタインヘッドスイッチを使用して、タインヘッドを低下させるとともにタインの回転を実行したとすると、タインヘッドがオペレータを追従するという事実のため、タインヘッドは、グリーンのエッジに到達する前にカラーの一部をエアレーションし始めるであろう。しかしながら、カラーにおける所望のホール間隔、ホール直径、タインのタイプ、およびエアレーションの頻度がグリーンにとって望ましいものとは異なることが多いので、カラーのエアレーションは望ましくない。加えて、そのことにより、カラーで使用される異なる草種の粒子または断片がグリーンに輸送され、それによって、グリーンで使用されるターフ表面の純度が潜在的に汚染されるというリスクがもたらされる。
【0008】
オペレータは、タインヘッドスイッチを作動させて、タインヘッドを下降させ、回転するタインがまずグリーンのまさにエッジにあるカラーのすぐ内側の地面に入るようにタインを作動させる瞬間を調整することにより、これらの結果を軽減しようと試みることができる。このことは、熟練した経験豊富なオペレータにとってさえ困難である。加えて、この手順は、エアレータがグリーンからグリーンの反対側のカラーに戻るときに、エアレーションパスの終わりに繰り返されなければならない。オペレータは同様に、タインヘッドスイッチを作動させてタインヘッドを上昇させタインヘッドの回転を停止させて、隣接するカラーをエアレーションすることなく、グリーンの反対側のまさにエッジにおいてタインヘッドが地面から持ち上げられることを可能にする瞬間に調整しなければならない。
【0009】
単一のグリーンをエアレーションするのにしばしば多くのパスが必要とされ、特定の日に複数のグリーンをエアレーションする必要があり得る。タインヘッドの下降および持ち上げを適切に制御してグリーンをエアレーションしつつカラーのエアレーションを回避するためにオペレータが必要とする注意は、重要であり、熟練したオペレータを必要とし、熟練したオペレータにとってさえ骨の折れるものである。
【0010】
ゴルフコースのグリーンのような細かいターフ表面に関するエアレーションの別の課題は、当該技術分野において「タフティング」として知られている。ProCore(登録商標)648エアレータでは、タインヘッドに含まれる複数のタインアセンブリは、全てが同時にターフ表面に入ったりそこから出たりするのではなく、互いに位相がずれて回転する対の形で配置される。タインヘッドがターフ表面に向かって下降するときに、一対のタインが最初にターフ表面に入ることになる。場合によっては、その対のタインは、それらがそれらの完全な深さまで入らないように、それらがターフ表面に近づくときにターフ表面に対して傾斜している。明確で実質的に鉛直のホールをターフ表面に残す代わりに、タインは所望よりも浅く入り、ターフ表面に小さな長手方向スリットを形成し、このとき、スリットの出口端部にターフ表面の小さなタフトが残されている。これは明らかに欠点であり、極端な場合にはそれが起こる箇所に修復が必要となるおそれがある。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]米国特許第7,096,969号
【発明の概要】
【0011】
発明の概要
本発明の第1の態様は、ターフ表面のためのエアレータであって、ターフ表面上を移動可能なフレームを有するエアレータに関する。複数のタインアセンブリは、ターフ表面にエアレーションホールを形成するための複数の繰り返しの動作サイクルにおける各動作サイクル中に、互いに異なる時間にターフ表面に出入りするように移動可能である。タインヘッドが、タインアセンブリを担持するためにフレームに取り付けられる。タインヘッドは、タインアセンブリがターフ表面をエアレーションしない上昇非動作位置と、タインアセンブリがターフ表面をエアレーションする下降動作位置との間で、フレーム上を鉛直方向に移動可能である。少なくとも1つのタインアセンブリセンサは、タインアセンブリの動作速度と、タインヘッドに対するタインアセンブリの位置とを含むタインアセンブリデータを提供する。マイクロプロセッサベースのコントローラは、タインアセンブリデータを受信し使用して、ターフ表面内に最初に移動したタインアセンブリがどれであっても、ターフ表面にあらかじめ選択されたホール深さまで実質的に侵入するように、タインヘッドをその非動作位置から自動的に下降させる。
【0012】
本発明の第2の態様は、ターフ表面をエアレーションするためのエアレータに関し、このエアレータは、フレームをターフ表面上において少なくとも前方向に自己推進させるためのトラクションドライブを有するフレームを備える。タインヘッドは、フレーム上に担持される。タインヘッドは、鉛直方向に往復する、横並びの複数のタインであって、ターフ表面にエアレーションホールを穿孔するためのタインを有する。タインヘッドは、タインがターフ表面よりも上方に位置する上昇非動作位置と、タインがターフ表面に係合してターフ表面にエアレーションホールを形成する下降動作位置との間で、フレーム上を鉛直方向に移動可能である。ターフ表面を横切るエアレータの各パスについて、オペレータがターフ表面上に目標エアレーション開始位置を確立するのを可能にする第1の状態と、オペレータがターフ表面上に目標エアレーション終了位置を確立するのを可能にする第2の状態と、を有するエアレーション制御部が提供される。マイクロプロセッサベースのコントローラも提供される。コントローラは、目標エアレーション開始位置を受信すると、タインヘッドに担持されたタインの少なくとも一部がターフ表面に入ってほぼ目標エアレーション開始位置で選択済みターフ表面をエアレーションし始めるのが可能になる瞬間に、タインヘッドの下降を自動的に開始する。また、コントローラは、目標エアレーション終了位置を受信すると、タインヘッドに担持されたタインがターフ表面から出てほぼ目標エアレーション終了位置でターフ表面へのエアレーションを終了するのが可能になる瞬間に、タインヘッドの上昇を自動的に開始する。
【0013】
本発明の第3の態様は、エアレーションが望まれる選択済みターフ表面であって、エアレーションが望まれない非選択表面と第1の境界を有する選択済みターフ表面をエアレーションするためにエアレータを操作する方法に関する。本方法は、エアレータを、選択済みターフ表面にエアレーションホールを形成可能なタインヘッドであって選択済みターフ表面の上方の高さに配置されたタインヘッドともに、選択済みターフ表面に向かって前進運動方向に推進することと、前進運動方向に関しタインヘッドの前方においてエアレータ上に位置する基準特徴が、いつ第1の境界を横切って選択済みターフ表面の上方に位置しまたはそれと接触するかを検出することと、選択済みターフ表面の上方のまたはそれと接触する基準特徴の瞬間的な位置を目標エアレーション開始位置として確立することと、目標エアレーション開始位置の確立をマイクロプロセッサベースのコントローラに送信することと、タインヘッドに担持された少なくともいくつかの鉛直方向に往復動するホール形成タインが、ほぼ目標エアレーション開始位置において、選択済みターフ表面に侵入して選択済みターフ表面をエアレーションし始めることを可能にするとコントローラにより計算された瞬間に、コントローラがタインヘッドの下降を自動的に開始することと、を含む。
【0014】
本発明の第4の態様は、ターフ表面をエアレーションするためのエアレータを備える。このエアレータは、フレームであって、フレームをターフ表面上において可変速度でもって少なくとも前方向に自己推進させるためのトラクションドライブを有するフレームを備える。フレームには、横並びの複数のタインアセンブリが担持される。タインアセンブリは、ターフ表面にエアレーションホールを穿孔するためにフレームに対し鉛直方向に往復動する。制御コンソールは、操作制御部を担持する。制御部は、オペレータの手で把持されるように構成された固定ハンドグリップと、オペレータの手が固定ハンドグリップを握りつつオペレータの手の少なくとも1つの指によって係合されかつ動かされてフレームの可変前進速度を制御するように構成された可動トラクション制御部と、固定ハンドグリップに隣接する第1の枢動ベイルグリップと、を備える。第1の枢動ベイルグリップは、オペレータの手の指により把持されるように、かつ、固定ハンドグリップに対し閉じられてエアレーション操作を開始するように構成され、更に、固定ハンドグリップから離れる移動のためにオペレータの指により解放されてエアレーション操作を終了させるように構成される。
【0015】
本発明の第5の態様は、ターフ表面をエアレーションするためのエアレータに関する。このエアレータは、フレームであって、フレームをターフ表面上において可変速度でもって少なくとも前方向に自己推進させるためのトラクションドライブを有するフレームを備える。フレームには、横並びの複数のタインアセンブリが担持され、タインアセンブリは、ターフ表面にエアレーションホールを穿孔するためにフレームに対し鉛直方向に往復動する。マイクロプロセッサベースのコントローラが設けられ、このコントローラは、所望の前後ホール間隔を記憶し、所望のホール間隔を達成するために、エアレータの各エアレーションパス中にトラクションドライブの動作速度を自動的に調整する。
【0016】
本発明の第6の態様は、ターフ表面をエアレーションするためのエアレータを備える。このエアレータは、フレームであって、フレームをターフ表面上において少なくとも前方向に自己推進させるためのトラクションドライブを有するフレームを備える。フレームには、横並びの複数のタインアセンブリが担持され、タインアセンブリは、ターフ表面にエアレーションホールを穿孔するためにフレームに対し鉛直方向に往復動する。歩行しているオペレータがフレームを案内および操縦することを可能にするために、操縦可能な車輪にハンドルアセンブリが動作可能に接続される。ハンドルアセンブリは、フレーム上で高さが調整可能であるとともに、フレーム上でのハンドルアセンブリの調整を容易にするためにハンドルアセンブリとフレームとの間に作用するバネ釣り合いバランスによって実質的にオフセットされた重量を有する。
【0017】
図面の簡単な説明
本発明は、以下の図面と併せて解釈されるとき、以下の詳細な説明において、より完全に説明される。図面では、同様の参照番号は全体を通して同様の要素を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明によるエアレータの一実施形態の正面斜視図である。
【0019】
図2図2は、図1のエアレータの背面斜視図であって、タインヘッドによって担持される種々のタインアセンブリをよりよく例示するためにタインヘッドの部分が除去されている図である。
【0020】
図3図3は、図1のエアレータのタインヘッドの正面斜視図であって、エアレータのフレーム上での鉛直移動のためにタインヘッドを支持する4つのバーリンク機構と、エアレータのフレームに対するタインヘッドの高さを決定するためのセンサとをよりよく例示するためにタインヘッドの部分が除去されている図である。
【0021】
図4図4は、図1のエアレータのハンドルアセンブリと、ハンドルアセンブリの頂部に担持された制御ステーションとの拡大正面斜視図である。
【0022】
図5図5は、図4に示されたハンドルアセンブリの制御ステーションの頂面図である。
【0023】
図6図6は、図4に示された制御ステーションの側面図である。
【0024】
図7図7は、図4に示された制御ステーションの底面図である。
【0025】
図8図8は、図4から図7に描かれた操作制御部の一部の代替形態の斜視図である。
【0026】
図9A図9Aは、図4から図7に描かれた操作制御部で使用されるサムホイールのうちの1つの側面図である。
【0027】
図9B図9Bは、図8に描かれた操作制御部で使用されるサムホイールのうちの1つの側面図である。
【0028】
図10図10は、タインヘッド駆動プーリと、タインヘッドに含まれるタインアセンブリの回転速度および位置を決定する隣接センサとの側面図である。
【0029】
図11図11は、フレームに対するタインヘッドの鉛直位置を決定するためのセンサの正面斜視図である。
【0030】
図12図12は、図1のエアレータの油圧システムの一部の簡略化された部分概略図であって、特に、エアレータのタインヘッドを昇降させる油圧シリンダへの油圧流体回路の部分のみを示す図である。
【0031】
図13図13は、図1のエアレータの油圧システムの一部の簡略化された部分概略図であって、特に、エアレータの油圧トラクションドライブへの油圧流体回路の部分のみを示す図である。
【0032】
図14図14は、図1のエアレータのハンドルアセンブリの下部の斜視図であって、特に、ハンドルアセンブリを枢動調節するための調節機構を示しており、ハンドルアセンブリを保持するためのポップピンリテーナであって枢動調節済み動作位置にあるポップピンリテーナが、ポップピンの内側端部を図示するために図14においてわずかに横方向外側に変位されている図である。
【0033】
図15図15は、図14と同様の斜視図であって、特に、インストール位置に配置されたリテーナを示しており、リテーナが、ハンドルアセンブリを直立非動作位置にロックするために使用されている図である。
【0034】
図16図16は、図1のエアレータのハンドルアセンブリの一部の右側面図であって、特に、ハンドルアセンブリであってその枢動調整済み動作位置にあるハンドルアセンブリを示す図である。
【0035】
図17図17は、図12と同様の右側面図であるが、ハンドルアセンブリであってその直立ロック済み非動作位置にあるハンドルアセンブリを示す図である。
【0036】
図18図18は、図1のエアレータを操作するための制御システムの簡略化された模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
詳細な説明
本発明によるエアレータ2の一実施形態を図1に示す。エアレータ2は、ProCore(登録商標)648歩行ウォークエアレータとして、本出願人によって長期にわたり製造販売されているタイプのものである。
【0038】
本出願人のProCore648(登録商標)エアレータの多くの特徴が、ここで開示されるエアレータ2の例示的な実施形態において使用されている。図1から図3を参照すると、これらの特徴には以下が含まれる:
a)フレーム4と、フレーム4上の一対の後輪6および単一の前輪8という三輪構成と、前輪8に結合されたハンドルアセンブリ10であって、フレーム4の前部で歩行オペレータがフレーム4を操舵するのを可能にするために鉛直軸回りに旋回可能なハンドルアセンブリ10と、
b)フレーム4上に担持された原動機12であって、内燃エンジン、ハイブリッド式エンジン/電気原動機、完全電気原動機、または、水素燃料電池などの水素ベース原動機、などの原動機12と、
c)フレーム4上に担持されたタインヘッド14、および、タインヘッド14がフレーム4およびターフ表面に対してどのように昇降されるか、と、
d)タインヘッド14内の複数のタインアセンブリAからFの性質、および、タインアセンブリAからFがどのように駆動されるか、と、
e)エアレーションスワス(帯状部)の内側及び前方における後輪6の配置と、
f)トラクションドライブ16と、
g)あらかじめ選択されたホール深さを維持するために地面輪郭の変化に応答してタインヘッド14の鉛直位置を調整するためのスキッド又はターフガード18に続く地面の輪郭を特に含む地面輪郭検知システム。
これらの特徴は本出願人の特許文献1に記載されており、これは参照によって本開示に援用される。
【0039】
操作制御部
本発明のエアレータ2には、エアレータ2を操作する作業を容易にする一組の操作制御部が設けられている。ここで、図4から7を参照すると、制御部は、ハンドルアセンブリ10の前部および頂部において制御コンソール20上に配置される。制御コンソール20は、制御コンソール20上に概ねC形状のハンドル22を搭載する。C形状ハンドル22の閉じた背側は、ハンドル22が制御コンソール20上に静止するように、制御コンソール20に固定される。C形状ハンドル22の開いた前側の内向きに突出する端部は、オペレータの手のための左右のハンドグリップ24l、24rを形成する。ハンドグリップ24lおよび24rは図5に最もよく示されるように、内向きに延びるにつれて、わずかに前方に傾斜する。本開示で使用するとき、左右とは、オペレータが制御コンソール20の前方に立ってタインヘッド14の方を向いているときのオペレータの左右を意味するものとする。
【0040】
制御コンソール20はハンドグリップ24l、24rの間を延びる前方突出部26を有し、突出部26の前端はハンドグリップ24l、24rの前方に位置する。トラクション制御部28は、横方向の水平回転軸線回りに回転するよう突出部26内に回転可能に軸支されたシャフト30を備える。シャフト30の互いに対向する端部は、突出部26を越えて横方向に延びて、左サムホイール32lおよび右サムホイール32rがシャフト30と共に回転するようにサムホイール32l、32rがシャフト30の互いに対向する左端部および右端部に回転不能に固定されるのを可能にする。そのように固定されると、サムホイール32l、32rは、ハンドグリップ24lおよび24rと突出部26の側部との間の空間を実質的に満たす。一実施形態では、サムホイール32l、32rを、製造を容易にしコストを低減するために、プラスチックで作製してもよい。
【0041】
図4から図6を参照すると、各サムホイール32lまたは32rの頂部には、横方向に延びる上向きの切り欠き34であって、オペレータがハンドル22の隣接するほうのハンドグリップ24lまたは24rを把持するのに使用する手の親指を受け入れるための切り欠き34が設けられる。各切り欠き34は、傾斜した前壁36fおよび後壁36bであって、切り欠き34の床38から上方に延びる前壁36fおよび後壁36bを有する。前壁36fおよび後壁36bは、切り欠き34が横方向外向きに進むにつれて、互いから離れるように広がる。したがって、切り欠き34はその外側端部で最も幅広であり、切り欠き34の幅は切り欠き34がその内側端部で消失するまで徐々に狭くなる。各切り欠き34の床38は、その曲率が隣接するハンドグリップ24lまたは24rの内側端部の曲率に実質的に一致するようにわずかに丸められている。
【0042】
ここで図7を参照すると、トラクション制御部28のシャフト30は、シャフト41の端部に隣接配置されたポテンショメータなどの回転運動センサ(図示せず)を動作させるためのトラクション制御センサアセンブリ42の回転シャフト41に、タイロッド40により連結されて、ニュートラルからトラクション制御部28のシャフト30の回転の量および方向を決定する。トラクション制御部28は、一対の平行な脚部46であってそれらの間にトラクション制御部28のフィンガ48を受容する一対の平行な脚部46を有するトーションばね44によって、ニュートラルに戻るように付勢される。トラクション制御部28が所与の方向に回転されると、フィンガ48がトーションばね44の一方の脚部46を押してトーションばね44を巻き上げるとともに、トーションばね44の脚部間に同様に受容される固定ピン50によってトーションばね44の他方の脚部が回転するのが防止される。明らかなことに、トーションばね44はトラクション制御部28の両方の回転向に作用して、トラクション制御部28がニュートラルから外れる方向と逆方向に双方向回転し、次いでオペレータがトラクション制御部28を解放すると必ずニュートラルに戻るのを可能にする。所望であれば、トラクション制御センサアセンブリ42のシャフト41において、同様のニュートラルトーションばね52への戻りが使用されてもよい。
【0043】
再び図4から6を参照すると、制御コンソール20は、概ねC形状のオペレータプレゼンス制御(OPC)ベイル54および概ねC形状のエアレーションベイル56を更に搭載する。図6に最もよく示されるように、C形状のベイル54、56の閉じた後側はそれぞれ、制御コンソール20において、水平方向かつ横方向にそれぞれ延びる上方及び下方ピボット軸線X1,X2回りに回転するよう、軸支される。C形状のベイル54、56の開いた前側の端部であって内向きに突出する端部は、OPCベイル54に関するオペレータの手の掌のための左右のベイルグリップ58l、58rと、エアレーションベイル56に関するオペレータの手の指のための左右のベイルグリップ60l、60rとを形成する。OPCベイル54の左右のベイルグリップ58l、58rおよびエアレーションベイル58の左右のベイルグリップ60l、60rはそれぞれ、ハンドル22のハンドグリップ24l、24rと同様に内向きに延びるにつれて、わずかに前向きに傾斜して、上側及び下側においてハンドル22のハンドグリップ24l、24rに実質的に重なっている。
【0044】
ベイル54、56はバネ(図示せず)によって、図4から6に示されている通常の係合解除位置に付勢されている。図4から6では、ベイルのハンドグリップは、ハンドル22のハンドグリップから離間されている。オペレータはオペレータの片方の手の掌をOPCベイル54のベイルグリップの一方58lまたは58rに置き、それを下向きに押して、ベイルグリップ58lまたは58rがハンドル22の対応するハンドグリップ24lまたは24rに接近または当接するまで、OPCベイル54をその軸X1回りに回転させなければならない。次いで、オペレータは、OPCベイル54と接触している手の指を更にハンドル22の下側の周りに近づけて、ハンドル22に対してOPCベイル54を保持することができる。これにより、OPCスイッチまたはセンサ(図示せず)の状態が変化されて、オペレータが存在するとの信号が発せられ、エアレータ2の少なくともトラクションドライブ16の動作が可能になる。
【0045】
オペレータの手の掌によりOPCベイル54をハンドル22と係合させている状態で、オペレータは次いで、現在係合しているOPCベイル54およびハンドル22のハンドグリップの周りにオペレータの手の掌を近づけたまま、いつでも指を伸ばすことを選択することができる。次いで、オペレータは、その伸ばした指を下方に伸ばして、エアレーションベイル56の対応するベイルグリップ60lまたは60rを掴み、次いでエアレーションベイル56をその軸線X2回りに上向きに回転させて、ハンドル22の対応するハンドグリップ24lまたは24rに対してエアレーションベイル56を更に閉じる又は近づけることができる。これにより、エアレーションスイッチまたはセンサ(図示せず)の状態が変化されて、以下に説明する本発明のエアレーション制御システムおよびエアレーション方法の様々な実施形態で使用される信号が提供される。
【0046】
制御コンソール20に搭載された他のスイッチには、3位置クルーズ制御スイッチ62が含まれ、3位置クルーズ制御スイッチ62は、エアレータ2の輸送またはエアレーション中にトラクション制御部28を回転位置に手動でかつ継続的に維持しなければならないオペレータを軽減するために、オフ、オン、および設定位置を有する。設定位置は、クルーズ制御速度としてトラクション制御部28の現在の回転位置によって確立されるフレーム4の現在の対地速度を記憶するために、オン位置にあるスイッチ62の一時的な押し下げを含む。オペレータは次いで、エアレーション制御システムのクルーズ制御機能がフレーム4の対地速度を設定対地速度に自動的に維持する間に、トラクション制御28を解除してもよい。これは、エアレーション動作モードではなく輸送動作モードにおけるクルーズコントロール機能の動作を説明し、すなわち、エアレーションベイル56はオペレータによってハンドル22に対して閉じられていない。
【0047】
制御コンソール20上には、2つの異なるエアレーションモードの間の選択をオペレータに可能にするためのエアレーションモード制御スイッチ64も設けられる。これら2つの異なるエアレーションモードは、エアレーションベイル56がハンドル22に対して閉じると異なった動作を行う。第1のモードは、エアレーションベイル56が閉じられるとタインヘッド14が直ちに解放されて地面と接触するよう低下してターフ表面のエアレーションを開始する、即時落下モードである。第2のモードは、本発明のエアレーション制御システムおよび方法の一実施形態が、エアレーションベイル56が閉じられるとタインヘッド14の落下を自動的に制御して、後により完全に説明するように、ターフ表面上の目標位置に到達したときにのみエアレーションが開始するようにする、遅延落下モードである。
【0048】
制御コンソール20上には、エアレーションが行われることを可能にするエアレーション動作モード、または、エアレーションが不能にされるとともに、エアレータ2が単に1つの場所から別の場所に駆動される輸送モードを選択するための別のトグル制御スイッチ66も設けられる。オペレータがスイッチ66を使用して、エアレーションモードまたは輸送モードのいずれかの動作を選択するとき、その選択は、各モードでエアレータ2を駆動することができる最大対地速度を支配する。一実施形態では、最大搬送速度を工場出荷時に予め設定することができ、調整不可能な、例えば、搬送時には4.0mph、エアレーション時には2.5mphとすることができる。あるいは、オペレータまたは監督者が、両方の最大対地速度を、Info Centerデータ表示/データ入力装置68を使用して、あらかじめ定められた限界内に動作可能に設定してもよい。トラクション制御部28の位置は、どのモードが選択されたかに応じて、制御システムにより多少の感度をもって読み取られ、その結果、全開トラクション制御が、トラクション制御部28がニュートラルに戻るにつれて各モードの対地速度を比例的にゼロに減少しながら、各モードで許容される最大対地速度を生成するようにされる。
【0049】
更に、バンプストップスイッチ70が、制御コンソール20の前方突出部26の前端に配置されている。オペレータは、エアレータ2の前方への動きを即座に停止し、タインヘッド14を持ち上げ、単にバンプストップスイッチ70にぶつかるかさもなければバンプストップスイッチ70を押し込むことによりタインアセンブリA-Fの回転を停止することができる。次いで、オペレータは、逆トラクションドライブを係合又は作動させて、オペレータからエアレータ2を離すことができる。更に、制御コンソール20は、低光条件で使用するためにフレーム4に担持された各種対地照明灯をオンおよびオフにするための光スイッチ72を担持する。
【0050】
トラクション制御部28、OPCベイル54、およびエアレーションベイル56は、操作の容易性が改善されるのを許容する。オペレータは通常、フレーム4の前でハンドルアセンブリ10の片側に立っている。オペレータが右利きであると仮定すると、オペレータはこのとき、ハンドル22の右手グリップ24rの側部および/またはわずかに前方または後方に立ち、オペレータの右手の親指がこのとき内側に向きつつ右手の掌がこのとき前方に向くようにオペレータの肩の周りに自身の腕を内側に回転させ、右手の掌を使用してハンドル22の右手グリップ24rに対しOPCベイル54の右手グリップ58rを閉じて保持することができる。自身の右腕がこのように容易に回転し、右手の指がハンドル22の右手グリップ24rの下側に巻き付いた状態で、オペレータの右手の親指は、トラクション制御部28の右サムホイール32rの切り欠き34内に自然かつ快適にフィットする。
【0051】
オペレータが向いているのと同じ前方にエアレータ2を前方に駆動するために、オペレータは次いで、右サムホイール32rの切り欠き34の前壁36fにある自身の右手の親指を使用して、トラクション制御部28の右サムホイール32rを前方/下方に回転させるだけでよい。エアレータ2の前方への移動速度は、右サムホイール32rがニュートラルからどれくらい前方に回転されるかによって設定される。オペレータはサムホイール32rへの右親指の圧力を解放することによって、またはサムホイール32rの切り欠き34から右手の親指を持ち上げて外すことによって、エアレータ2の前進運動を容易に停止することができ、いずれの場合も、トラクション制御部28のニュートラル復帰スプリングがトラクション制御部28を自動的にニュートラルに復帰させるのが可能になる。
【0052】
上記の例ではオペレータがトラクション制御部28をニュートラルに戻すことを許可せずに係合状態を維持すると仮定するけれども、ユーザが即時モードまたは遅延落下モードを選択したかどうかにかかわらず、単に、ハンドル22の右手グリップ24rから自身の右手の指を伸ばす又は外すことにより、ベイル56の右手グリップ60rまで下がってこれを握ることにより、次いで、ハンドル22の右手グリップ60rに対してエアレーションベイル56の右手グリップ60rを閉じるために自身の指で引き上げることにより、エアレーションを容易に開始することができる。オペレータの一方の手を用いてトラクションベイルをハンドル22のハンドグリップに対し閉じることによりトラクションドライブが係合される従来公知のエアレータでは、エアレーションを開始するためにオペレータは、オペレータの他方の手を用いて、制御コンソール20の他の場所に設けられた別個のスイッチを探索し、位置特定し、投入しなければならない。この両手の手順は、本発明のエアレータ2では、必要ない。オペレータは、トラクション及びエアレーション両方の片手制御を維持することができ、一方で、エアレーションを開始及び停止するために、オペレータが自身の身体を移動させ、又は、別の腕を用いて別の制御部に到達しもしくは自身の眼を前向きの視線から移動させる必要がない。
【0053】
オペレータがエアレータ2を逆方向に推進したければ、右利きのオペレータはこの場合、反転し後ろ向きになって、エアレータ2が移動しようとする方向を見る。オペレータは今や、ハンドル22の前方で、より中心の位置に立つことができ、右腕を自身の肩の周りに回転させる必要がなく、しかしながら自身の右腕を自然に吊り下げることができる。オペレータは次いで、ハンドル22、OPCベイル54、およびエアレーションベイル56の右手グリップを、オペレータの右手を使用して、オペレータの右手の指がこの場合はハンドルの上側の周りに巻き付けられることを除いて、上述した方法で把持することができる。オペレータの右手の親指が依然としてトラクション制御部28の右サムホイール32rの切り欠き34に自然に受け入れられながら、少なくともオペレータの右手の人差し指を使用して切り欠き34の様々な壁36bおよび36fを押すこともできる。オペレータがそのように位置しつつ、オペレータが自身の右手の親指および/または人差し指で後方/下方に押すと、オペレータの親指および/または人差し指が切り欠き34の後壁36bを押し、サムホイール32rおよびトラクション制御部28を後方/下方に回転させて、オペレータがサムホイール32rに圧力をかけ続ける限り、エアレータ2の逆運動を開始する。
【0054】
おそらくオペレータの左手の親指および/または人差し指を左サムホイール32lの切り欠き34の前壁36fおよび後壁36bに対して使用できるようにハンドル22、OPCベイル54、およびエアレーションベイル56の左手グリップを操作することを除いて、左利きのオペレータが上記と同様の操作容易性を有することは明らかである。
【0055】
図8はハンドル22、トラクション制御部28、OPCベイル54、およびエアレーションベイル56の代替形態を示し、これらを、図4から7に示されるようなそれらの対応物の代わりに使用してもよい。図8に示される構成要素における関連する変更点を参照すると、図4から7の対応する構成要素に使用されるのと同じ参照符号が、それにプライムが付加されて使用される。したがって、図8のハンドル22は22’として識別され、OPCベイル54は54’として識別され、他も同様である。加えて、構成要素同士間の関連する相違点のみが、本開示に断りのない限り図4から7の対応する構成要素と他の点では実質的に同一の構成要素とともに、説明される。
【0056】
図8に示されるように、ハンドル22’はもはやC字形ではなく、略閉ループ形状を有し、ハンドル22’の前側の中央は、後向きおよび下向きに延びるU字形部分23であって、後向きに延びるブラケット25を有する部分23によって閉じられている。ブラケット25により、ハンドル22’の閉じた後側を制御コンソール20に取り付けることにより提供される固定に加えて、ハンドル22’をその前部において制御コンソール20に固定することが可能になる。加えて、部分23はまた、ハンドル22’に追加の強度および安定性を提供する。ハンドル22’が、構造であって、これにより、オペレータがハンドルアセンブリ10を左右に揺動してフレーム4を操縦する構造である、ということを念頭に置きつつ、このことにより、ハンドル22’は、オペレータがハンドル22’に与える力に、より容易に耐えられるようになる。
【0057】
サムホイール32l’に関して図8に更に示されるように、サムホイール32l’の横方向外側は、凸状断面を有するリム33を有し、これは、ハンドル22’のハンドグリップ24l’とハンドル22’のU字形部分23の隣接する側部の頂部との間の接合部において、ハンドル22’のほぼ一致する凸形状の半径部35と重なる、すなわち、接近しつつ離間されまたはわずかに接触する。他方のサムホイール32r’およびハンドル22’のU字形部分23の他側の頂部にも同じ形状が存在する。したがって、サムホイール32l’および32r’は、サムホイール32l’および32r’の重なる凸状リム33とハンドグリップ24l’および24r’の凸状半径部35との間の接近した離間またはわずかな接触によって、それらの横方向外側において効果的に回転可能に支持される。加えて、サムホイール32l’および32r’は図4から7に教示されるやり方で、制御コンソール30でサムホイール32l’および32r’を支えるシャフト30の両端によって、それらの内側において回転可能に支持される。シャフト30によって提供される内側支持体と、サムホイール32l’および32r’の外側を半径部35と重ねることによって提供される外側支持体との両方は、ハンドグリップ24l’および24r’上においてサムホイール32l’および32r’の整列を維持するのを助け、ハンドル22’上におけるサムホイール32l’および32r’の円滑な回転を確実にするのを助ける。
【0058】
更に図8を参照すると、左右のハンドグリップ24l’および24r’それぞれの頂側、ならびにハンドル22’の左側および右側の隣接する後方部分は、ハンドル22’の縮径部分において上向きの凹チャネル27を有する。同様の浅い下向きのチャネル(図8では隠れている)が、左右のハンドグリップ24l’および24r’それぞれの底側、ならびにハンドル22’の左側および右側の隣接する後方部分に設けられる。上向きおよび下向きのチャネル27は、ベイル54’および56’がハンドグリップ24l’および24r’に対して閉じられたときにベイル直径の少なくとも一部がチャネル27内に入れ子になるように、OPCベイル54’およびエアレーションベイル56’の対応する部分と対をなすように設計される。このことにより、ベイル54’および56’のうちの1つ以上がハンドル22’に対して閉じられたときにオペレータが把持するのに必要な複合厚さを低減することにより、オペレータがハンドル22’に対してベイル54’および56’の両方を保持するのがより容易になる。
【0059】
図9Aおよび図9Bはそれぞれ、図4から図7の実施形態からのサムホイール32lと、図8の実施形態からの対応するサムホイール32l’とを示す。図9Bに示されるサムホイール32l’は切り欠き34’を有し、その傾斜した前壁36f’および後壁36b’は、図9Aに示されるサムホイール32lの対応物36fおよび36bよりも平坦である。加えて、図9Bに示されるサムホイール32l’の傾斜した前壁および後壁36f’、36b’は、図9Aに示されるサムホイール32lの対応物36fおよび36bよりも、サムホイール32l’上において、より高く位置付けられる。本出願人は、実質的に平坦で幾分高い前壁および後壁36f’、36b’を有する図9Bの構成が図9Aの構成よりも操作するのに快適であることを見出した。したがって、サムホイール32lおよび32rまたは321’および32r’における切り欠き34または34’の構成について多くの代替案が可能であり、それには、その前壁および後壁が、実質的に平面状で上向きパドルの前部および後部を単に備える切り欠きが全くないものが含まれる。
【0060】
動作制御の様々な他の修正は、当業者には明らかであろう。例えば、本発明のいくつかの実施形態におけるOPCベイル54を省略してもよい。更に、OPCベイル54およびエアレーションベイル56の左および右のベイルグリップは、単一のベイルの対向する端部を形成するのではなく、個々のベイルのように、互いに別々に回転可能であってもよい。
【0061】
動作センサ
ここで図2を参照すると、ターフ表面にエアレーションホールを形成するタインアセンブリAからFを示すために、タインヘッド14のカバーが取り外された状態でエアレータ2が後方から示されている。タインヘッド14の幅にわたって配置された6つの横並びのタインアセンブリAからFがある。各タインアセンブリはストンパ(踏みつけ)アーム74を有し、その上端は、横方向に延びる回転可能なクランクシャフト76であってタインヘッド14に軸支されたクランクシャフト76に、回転可能に軸支される。各ストンパアーム74の下端は、ターフ表面にエアレーションホールを形成するための複数のエアレーションタイン80、例えば3つのタイン、を搭載するタインホルダ78に、動作可能に接続される。タインアセンブリAからFの数および/または各タインアセンブリに担持されるタイン80の数を変更可能なことは明らかである。
【0062】
各タインアセンブリAからFは、クランクシャフト76によって、反復サイクルでもって鉛直方向に上下に往復運動され、各タインアセンブリによって担持されたタイン80は各動作周期において、エアレーションホールを形成するようにターフ表面内に駆動され、次いでターフ表面から引き出される。最も外側のタインアセンブリAおよびF、最も内側のタインアセンブリCおよびD、並びに中間のタインアセンブリBおよびEは対の形にグループ化され、各対AおよびF、BおよびE、ならびにCおよびDのタインアセンブリは、クランクシャフト76によって互いに同期して上下に駆動される。しかしながら、異なるタインアセンブリ対は、互いに120°位相がずれて回転する。タインアセンブリAからF内に担持されたタイン80は、地面の輪郭の変化に追従するためにタインヘッド14のフレーム4上を枢動する様々なターフガード18内のスロットを通って下向きに延在する。
【0063】
ここで図2および図8を参照すると、ベルト駆動式の、磁気特性を有する鋳鉄プーリ82がクランクシャフト76を回転させる。図8に最もよく示されるように、タインアセンブリ速度および位置センサ84、好ましくはホール効果センサ、がプーリ82の直径よりもわずかに小さい直径を有する仮想円の円周に沿って配置される。プーリ82は、仮想円の円周に沿って様々な幅のウェブW1,W2,W3,およびW4を有する。センサ84は、異なるウェブ幅を異なる長さのパルスとして読み取る。これにより、制御システムが、センサ84の出力を使用して、クランクシャフト76のオペレータが選択した回転速度、ひいてはタインアセンブリAからFの回転速度を決定することが可能になる。クランクシャフト76の速度を、スロットル制御を使用して原動機12の速度を設定することによってオペレータにより所望の速度に設定してもよい。というのは、原動機12からタインアセンブリAからFを駆動するための機械的パワートレインの使用を前提として、タインアセンブリAからFの回転速度が原動機の速度と共に直接変化するからである。
【0064】
加えて、センサ84の出力を別の目的のために使用することができる。プーリ82のウェブW1は、タインアセンブリFのストンパアーム74が取り付けられるジャーナル86を有する。これにより、制御システムは、ウェブW1に関連するパルスがセンサ84によって検出されて制御システムに報告されるときはいつでも、タインアセンブリFおよびその対のタインアセンブリAがタインヘッド14内のそれらの対の回転軌道内のどこにあるかを決定することができる。制御システムは他のタインアセンブリ対BおよびEならびにタインアセンブリ対CおよびDが対AおよびFから120°間隔でオフセットされていることを認識しているので、タインヘッド14内の他の対の位置を、対AおよびFについて検出された位置から外挿することができる。したがって、センサ84によって制御システムに提供される情報により、タインヘッド14内のタインアセンブリAからFの回転速度の決定だけでなく、タインヘッド14内のタインアセンブリAからFの場所または位置の決定も可能になる。以下でより詳細に説明されるように、この情報は制御システムによって使用される。
【0065】
ここで図3を参照すると、明確にするために上部カバーが取り外された状態で、タインヘッド14がエアレータ2の残りの部分から分離されて示されている。タインヘッド14は、横方向に離間された実質的に同一の2つの4バーリンク機構88によって、フレーム4に対し鉛直方向に移動するようフレーム4に取り付けられる。各4バーリンク機構88は、上側リンク90と、単一の下側フレーム94の1つの側部を構成する下側リンク92とを備える。上側および下側リンク90、92は、横方向に延在する水平旋回軸X3およびX4を中心にタインヘッド14上で旋回する前端を有する。上側および下側リンク90、92の後端は、エアレータ2のフレーム4上において、図3に示される、横方向に延在する水平旋回軸X5およびX6を中心に旋回する。図3では、明瞭にするために、エアレータ2の残りの部分が示されていない。
【0066】
油圧シリンダ96などの任意の適切なタイプのアクチュエータが、タインヘッド14とフレーム4との間に枢動可能に接続される。加圧流体がシリンダ96内に入り込んでピストンロッドをシリンダ96から延ばすと、タインヘッド14が上向きに持ち上げられる。反対に、加圧流体がシリンダ96から放出または搬出されると、タインヘッド14は重力の力によって下げられ、これは、1つ以上のリターンばね98によってアシストされてもよい。タインヘッド14が上昇および下降するときに、タインヘッド14は4バーリンク機構88、88の幾何学的形状により決定されるものとしてわずかな弧の形で揺動する。先ほど説明したタインヘッド14の取り付けは、本出願人の既存のProCore 648(登録商標)エアレータで使用されているものと同じである。
【0067】
本発明のタインヘッド14に関して異なるのは、エアレータ2のフレーム4に対するタインヘッド14の高さを決定するための高さセンサ100の使用である。ここで図9を参照すると、高さセンサ100は、必須ではないものの好ましくは、ブラケット102によってタインヘッド14の上部に固定されるホール効果センサである。タインヘッド14にはハブ106も固定されており、回転可能な磁石104が、磁石104が高さセンサ100に隣接するように、ハブ106内で回転可能である。タイロッド108の上端は図9に示されるように、フランジ110によって磁石104に結合され、一方、タイロッド108の下端は図3に示されるように、4バーリンク機構88、88の下側リンク92、92を含む下側フレーム94に結合される。
【0068】
フレーム4に対する及びターフ表面に対するタインヘッド14の鉛直運動中に、タイロッド108は、タインヘッド14の高さに応じてセンサの電圧出力を変化させるために、高さセンサ100に対して磁石104を回転させる。高さセンサ100はタインアセンブリAからFに取り付けられるタイン80なしで較正されて、シリンダ96の最大延長時にタインヘッド14の最高レベルの電圧読み取り値を提供し、タインヘッド14のターフガード18が水平ターフ表面と接触しているときにタインヘッド14の最低レベルの電圧読み取り値を提供する。これらの電圧間の範囲が予想される許容範囲内にある場合、この範囲は、完全に上昇したタインヘッドおよび完全に下降したタインヘッドのインジケータとして、制御システムによって使用される。したがって、高さセンサ100により出力されている電圧を制御システムに記憶されている基準電圧範囲と比較することによって、フレーム4に対するタインヘッド14の実際の高さが任意の瞬間に決定される。
【0069】
図3を更に参照すると、タインヘッド高さセンサ110と同じタイプの地面形状センサ112、すなわち、ホール効果センサおよび隣接する回転可能な磁石が、タインヘッド14内に担持される。エアレータ2が処理中のターフ表面上を移動するときにセンサ112が地面形状又は地形の変化を読み取るように、タイロッド114は少なくとも1つの旋回式ターフガード18を地面高さセンサ112の回転可能な磁石の部分に連結する。そのような地面形状の読み取り値は、地面形状が変化するときに選択済みホール深さを維持するために、エアレータ2の動作中にタインヘッド14の鉛直位置を自動的に調整するのに使用される。これは、本開示に参照により組み込まれる特許文献1に記載された方法で実質的に達成される。ただし、本開示に開示された地面形状センサ112が特許文献1に開示されたセンサシステムのものよりも精確な地面形状変化の読み取り値を提供することを除く。
【0070】
最後に、エアレータ2の対地速度を決定するために、センサ116も設けられる。一実施形態では、対地速度センサ116が前輪8を駆動するモータに関連付けられる。
【0071】
上記のセンサの特定のタイプの説明は、限定的なものではない。同じタイプの検知済み情報を検知し報告することができる任意の1以上のセンサを、先に説明したセンサの代わりに使用することができる。
【0072】
油圧システム修正
エアレータ2の動作を議論する前に、本発明のエアレータ2の一定の新しい特徴の動作を容易にするために、本出願人の従来技術のProCore(登録商標)648エアレータの油圧システムに様々な修正又は改良が行われた。これらの修正は図12および13に示されている。
【0073】
図12は、タインヘッド14を上昇させ落下させるために、加圧油圧流体が油圧システムによってシリンダ96にどのように供給されるかの改善を示す。持ち上げおよび低下ポンプ124からの加圧油圧液体をシリンダ96に供給する流体供給ライン122に第1の比例制御弁120rが挿入される。本願の次項で説明されるコントローラ118によってバルブ120rが選択的に起動されると、ピストンロッド97をシリンダ96から延出させてタインヘッド14をエアレータ2のフレーム4に対して上昇させるためにどの程度バルブ120rが開放されるかに応じて定まる可変程度まで、ポンプ124からの流体がシリンダ96に入る。流体リターンライン126に第2の比例制御弁120dが投入されて、シリンダ96内の加圧液体がシリンダ96から流出するのが許容され、ピストンロッド97が引っ込んでタインヘッド14を落下させるとともに、当該流体をポンプ122に関連付けられた油圧流体リザーバ128戻すことができるようにする。
【0074】
シリンダ96とリザーバ128の間のリターン流れに単一の比例制御弁120dを使用することにより、リターン流れがリザーバに戻されるのに3つの制御弁を介するようルート決定されるProCore(登録商標)648エアレータと比較して、圧力低下が大幅に低減される。したがって、制御弁120dが全開にされると、シリンダ96内の油圧流体は、より迅速にリザーバ128に戻ることができる。これにより、タインヘッド14がその完全に上昇した非動作位置から、完全に下降した動作位置に、より迅速に落下することが可能になる。この落下速度の増大は、本願の以下のセクションに記載される本発明の目標落下および/またはタフティング低減特徴、すなわち、オペレータが目標とした位置でタインヘッド14をターフ表面に係合させてエアレーションを開始するとともに、タフティングを最小化するようにタインヘッド14をターフ表面に係合させるように設計された落下、を容易にするのに役立つ。
【0075】
流体リターンライン126における単一の制御弁120dの使用に加えて、好ましくは、流体リターンライン126における通路のサイズを、以前にProCore(登録商標)648エアレータの油圧システムで使用されていたものと比較して、大きくすることにより、タインヘッド14の落下速度を更に大きくすることができる。流体リターンライン126はバルブマニホールド内に複数の通路を備え、これらの通路はそれらの通常のサイズと比較して、より大径に穿孔することができる。例えば、ProCore(登録商標)648エアレータの対応するバルブマニホールドの直径約6.35mm(0.250インチ)の特定の通路が、約305mm(約12インチ)の全通路長にわたり、約9.53mm(0.375インチ)のサイズに穿孔されている。このことと、前述したように流体リターンライン126において単一の制御バルブ120dのみを使用することとにより、本発明のタインヘッド14の初期降下速度を毎秒約610mm(約24インチ)とすることが可能となり、従来技術のProCore(登録商標)648エアレータのタインヘッドの初期落下速度である毎秒約432mm(約17インチ)と比較すると、本発明のエアレータ2のタインヘッド14の初期落下速度は約40%上昇している。
【0076】
ここで図13を参照すると、本発明のエアレータ2は全輪油圧トラクションドライブ16を有し、全輪油圧トラクションドライブ16では、後輪6、6を駆動するモータ6r、6rが互いには並列に接続されているが前輪8を駆動するモータ6fとは直列に接続されている。これは、従来技術のProCore(登録商標)648エアレータで使用されているのと同じ油圧トラクションドライブである。しかしながら、本発明のエアレータでは、前輪8を駆動するモータ6fの周りに油圧流を選択的にバイパスさせるために、電気作動式のオンオフバイパス弁130が流体供給ライン132内で使用されて、或るエアレーションパスの終了時で次のエアレーションパスの開始前の転回動作中に、前輪8の自由回転が可能になる。この理由は、本出願の以下のセクションにおいて更に詳細に記載される。
【0077】
エアレータの動作
本発明のエアレータ2では、オペレータがフレーム4の前端にありつつ、タインヘッド14はフレーム4の後端にある。これは望ましい。というのは、タインヘッド14のタインアセンブリAからFで中実のコアリングタインではなく中空のコアリングタインが使用されるときに、オペレータがターフ表面上に残っているコアの上を歩かず、したがって押しつぶさないからである。しかしながら、境界によって分離された異なるタイプのターフ表面を有するターフ表面、例えば、非限定的には、より高い切断高さに刈り取られた、より粗いターフ表面を有するカラーによって囲まれた、非常に低い切断高さに刈り取られた細かいターフ表面を有するゴルフコースグリーン、をエアレーションするときには、本明細書の「発明の背景」セクションに記載した理由から、グリーンのみをエアレーションし、カラーはエアレーションしないことが望ましい。
【0078】
このため、オペレータは、カラーではなく当該2つの間の境界のすぐ内側でグリーンをエアレーションし始めるように、ターフ表面を横切るエアレータ2の各パスの開始時に、タインアセンブリAからFの回転を開始してタインヘッド14をグリーンと係合させ始める瞬間又は時期を手動で合わせる必要がある。このような精度は、カラーをエアレーションするのを避けるためにタインヘッド14をちょうど正しい時間に持ち上げながら、タインヘッド14がグリーンをちょうど反対側の境界までエアレーションすることを可能にするために、パスの最後においても、必要とされる。単一のグリーンをエアレーションするために多くのパスが必要であり、多くのグリーンを一日でエアレーションする必要があるかもしれないことを考えると、オペレータの負担は大きく、そのような精度を維持することは困難である。熟練度の低いまたは経験の浅いオペレータは、目の前のタスクに必要な精度を適用できないおそれがある。それにもかかわらず、オペレータが即時落下動作モードを好む場合、またはエアレータ2があまり要求されないターフ表面をエアレーションするために使用されている場合には、オペレータは、モード制御スイッチ64を使用して、即時落下動作モードを選択することにより、エアレータ2の上述の動作モードを依然として選択するおそれがある。
【0079】
しかしながら、モード制御スイッチ64はまた、オペレータが遅延落下動作モードを選択することを可能にする。遅延落下動作モードでは、図18に概略的に示されるマイクロプロセッサベースの電子コントローラ118がグリーンを横切るエアレータ2の各パスの開始および終了時に、下降および上昇の決定を引き受ける。遅延液滴モードにおける本発明の第1の態様では、本発明のコントローラ118および制御方法は、各パスの開始時にオペレータがエアレーションを開始することを望むグリーン上の場所をオペレータが電子的に目標設定することを可能にする。タインヘッド14が標準搬送高さに持ち上げられた状態でこの目標開始位置がコントローラ118によって受信されると、コントローラ118は、タインヘッド14においてタインアセンブリAからFの回転を開始し、次いで、コントローラ118により決定された瞬間に落下するためにタインヘッド14を解放して、タインヘッド14がその完全に下げられた高さに達することを可能にするとともに、実質的にオペレータにより目標設定された開始位置においてターフ表面をエアレーションし始めることを可能にする。必要に応じて、コントローラ118によるタインヘッド14の解放は、タインヘッド14の落下速度の動作変動性を考慮するために、パスからパスへと追加的に調整される。遅延落下モードにおける本発明の第2の態様では、グリーンのタフティングを最小限に抑えるために、ターフ表面に入る第1の対のタインアセンブリを完全な所望のホール深さまで実質的に侵入させるように、コントローラ118によるタインヘッド14のタイミング合わせされた解放が更に調整されてもよい。
【0080】
グリーンを横切るエアレータ2の各パスの終わりに、本発明の第1の態様は更に、オペレータが各パスの終わりにエアレーションを終了することを望むグリーン上の場所をオペレータが電子的に目標設定することを可能にする。この目標終了位置がコントローラ118によって受信されると、コントローラ118は、その後、コントローラ118によって決定される瞬間にタインヘッド14を持ち上げて、タインヘッド14のタインアセンブリAからFが、実質的に、オペレータによって目標設定された終了位置で、ターフ表面から出るよう持ち上げられるのを可能にする。コントローラ118は次いで、タインヘッド14が標準搬送高さまで持ち上げられてタインアセンブリAからFがターフ表面から取り除かれた後に、タインアセンブリAからFをオフにする。本発明の第1および第2の態様は好ましくは、遅延落下動作モードにおいて一緒に使用するために、コントローラ118および本発明の制御方法において互いに組み合わされるが、所望であれば、エアレータにおいて互いに別々に使用されてもよい。
【0081】
エアレーションの遅延落下モードの間、オペレータは、クルーズコントロールスイッチのオン位置を選択することによって、クルーズコントロール機能を有効にしてもよい。クルーズコントロール機能は上述のように輸送モードで作動可能であるが、輸送モードではエアレーションの遅延落下モードとは異なるように機能する。クルーズコントロールシステムは、エアレーションの即時落下モードでの使用には利用できない。
【0082】
ここで、エアレーションの遅延落下モードが選択されており、クルーズコントロールが有効になっていると仮定する。以下でより詳細に説明するように、ターフ表面を横切る各エアレーションパスの目標開始位置および終了位置をそれぞれ、ハンドル22に対してエアレーションベイル56を閉じることによって、およびハンドル22からエアレーションベイル56を解放することによって、オペレータによるエアレーションの遅延滴モードにおいて設定してもよい。最初のパスの開始時にハンドル22に対しベイル56を最初に閉じてクルーズコントロールが有効にされた後、選択済み前後ホール間隔をタインアセンブリの既存の一定の回転速度において達成する対地速度であるとコントローラ118によって決定された対地速度が、コントローラ118によりクルーズコントロール速度として設定される。したがって、ターフ表面を横切る各エアレーションパス中、および、連続するパス同士間の転回動作中に、コントローラ118は、クルーズコントロール速度を自動的かつ連続的に維持し、このクルーズコントロール速度は、エアレーションジョブの開始前にオペレータ又はスーパバイザによりプリセットされてコントローラ118に記憶された任意の選択済み前後ホール間隔を達成するように設定されている。所望のホール間隔を達成するためにクルーズコントロール機能を使用する、電子的なコントローラ118によるエアレータ2のフレーム4の対地速度のこの電子的かつ自動の連続制御は、エアレータ技術における進歩である。
【0083】
ユーザがエアレーションベイル56を解放するときの各エアレーションパスの最後に、対地速度の制御は、クルーズコントロールシステムが係合された場合、遅延落下モードのエアレーションにおいてクルーズコントロールシステムと共に維持される。コントローラは、オペレータがそれ以上何もしなければ、オペレータが逆方向の2回目のパスのためにエアレータ2を整列させる転回動作中、クルーズコントロール速度を維持する。しかしながら、一部のオペレータが、転回中に、通常の更に遅いクルーズコントロール速度よりも、更に速い転回速度を使用することを望むかもしれない。したがって、ユーザは、トラクション制御部28を一時的に使用して、トラクション制御部28を促進させることにより転回中にクルーズコントロール速度からエアレータ2を増速させ、クルーズコントロール速度よりも高速の対地速度を達成することができる。転回が完了し、エアレータ2が次のエアレーションパスの開始に近づいたときにトラクション制御部28がニュートラルに戻るのを可能にするためにオペレータがトラクション制御部28を単に解放したときに、コントローラ118は、次のパスにおいて選択済みホール間隔を達成するために、クルーズコントロール速度の使用を再開する。
【0084】
ここで図13を参照すると、連続するエアレーションパス同士の間の各転回動作中に、コントローラ118は、前輪130への油圧流が前輪8を駆動する油圧モータをバイパスして前輪8をフリーホイールとなるようにバイパス弁130を作動させる。そのような転回の間、エアレータ2は、後輪6によってのみ駆動される。これにより、オペレータは、前輪8がグリーンのカラー上のターフ表面を擦ることなく、鋭く回転することができる。カラーはグリーン上のターフ表面ほど細かくないかまたは密接に刈り取られていないターフ表面を有するけれども、カラー上のターフ表面はしばしば、それ自体が非常に低い高さまで刈り取られ、ホイール損傷を受けやすいほど十分に細かい。カラーにおける転回中に前輪130をフリーホイールにすることにより、オペレータが前輪8を鋭く回転させて小回りさせても、カラーを損傷するおそれが低減される。
【0085】
グリーンを横切るエアレータ2の各後続パス中のエアレーションの遅延落下モードにおけるトラクションコントロール/クルーズコントロールシステムの機能はクルーズコントロールシステムがオペレータによって積極的に作動停止されない限り、上記と同じままである。この積極的な作動停止は、1)トラクション制御部28を後方に積極的にタッピングするかもしくは移動させることによる、2)OPCベイル54を解放することによる、3)クルーズコントロールスイッチ62をオフに設定することによる、または4)バンプストップ70を作動させもしくはヒットすることによる、という4つの異なる方法のうちの1つで行うことができる。
【0086】
特定のエアレーションジョブのためにコントローラ118にプリセットされなければならない多数のパラメータがある。前述のように、1つのパラメータは、タインアセンブリAからFによって形成されるエアレーションホールの所望の前後間隔である。別のパラメータは、エアレーションホールの所望の深さである。これらのパラメータは、オペレータ、スーパバイザなどによってエアレーションジョブのために選択された異なる値を有してもよい。これらのパラメータは、情報センタ68およびメニュー駆動パラメータ選択プロセスを使用してコントローラ118に入力される。
【0087】
タインヘッド14のタインアセンブリAからFに異なる長さのタインを使用してもよい。本発明の一実施形態では、エアレーションジョブで使用されている特定のタインの長さを入力し格納するための情報センタ68への直接入力はない。この実施形態では、以下に説明する目的のために、エアレーションジョブを開始する前に実行される較正手順であって、タインアセンブリAからFに設置されたタイン80の長さを考慮した較正手順がある。
【0088】
較正手順は、エアレータ2が水平面上に配置され、タインヘッド14が上昇位置にあり、タインが選択済み長さを有するようタインアセンブリAからF内に設置された状態で、始まる。タイン長さ較正をその一実施形態で実施するために、オペレータは、まず、タインヘッド14の上部カバーを取り外す。次に、オペレータは、タインアセンブリの最も外側の対AおよびFがクランクシャフト76に対して下死点において最も低い対になるまで、タインヘッド14内のプーリ82を手動で回転させる。較正手順で使用するために任意の対のタインアセンブリを選択することができるが、最も外側の対AおよびFのうちの1つのタインアセンブリAまたはFがオペレータに最も容易に見えるべきである。次いで、オペレータは、タインアセンブリAおよびF内のタイン80の先端および地面に係合しているホイール6および8が仮想地面を確立しつつタイン80が地面にちょうど接触するまで、タインヘッド14をゆっくりと下げる。タインヘッド14がこの位置で停止した状態で、オペレータは次に、情報センタ68または他の何らかの制御部上のボタンをクリックして、タイン80が仮想地平面に接触しているときの、エアレータ2のフレーム4に対するタインヘッド14の高さの高さセンサ100からの読取値を取得して、この読取値をコントローラ118に記憶させる。
【0089】
遅延落下モードで動作するときには、オペレータは、エアレータ2上の選択済み基準特徴が所望のエアレーション開始位置に達したときにエアレーションベイル56をハンドル22に対して閉じることによって、エアレーション開始位置を目標とする。一実施形態では、選択済み基準特徴は、前輪8の前部がターフ表面に接触する線である。基準特徴としてエアレータ2上の他の点又はスポットを使用することができるが、前輪8に隣接して立っているオペレータは、前輪8の前部がターフ表面に接触する場所を、容易に見ることができる。基準特徴と、タインヘッド14が完全に下げられた位置にあるタインアセンブリAからFの下死点位置との間の前後距離は、遅延距離として知られている固定の基準距離であり、コントローラ118に記憶されている。
【0090】
オペレータおよびエアレータ2がエアレーションパスを開始する前にゴルフコースのカラーとグリーンとの間の境界に近づくと、オペレータは、参照特徴が境界を横切るときに、下方を見て観察することができる。オペレータがこの目視観察をしたときに、オペレータに必要なのは、エアレーションベイル56をハンドル22に対して閉じることのみである。オペレータがエアレーションベイル56を閉じることを選択する瞬間は、オペレータにかかっている。しかしながら、グリーンの部分を未エアレーションのまま残すことなくグリーンのエアレーションされた領域を最大化するために、オペレータは、基準特徴がグリーンのカラーの上を通ってグリーン上にあるのをオペレータが観察するとすぐに、ベイルを閉じることが期待される。エアレーションが開始されるべき目標位置を確立するのは、エアレーションベイル56のこの手動閉じである。
【0091】
タインヘッド14がターフ表面に対して標準搬送高さに配置されつつエアレーションベイル56が閉じられると、コントローラ118は次いで、機械的ドライブトレイン内のクラッチをタインアセンブリAからFに係合させることによって、タインアセンブリAからFの回転を実質的に直ちに開始する。コントローラ118はまた、エアレータ2の対地速度を、コントローラ118にプリセットされた所望のホール間隔を達成するのに必要な速度に、設定または調整する。しかしながら、コントローラ118は、即時エアレーションモードで生じたであろうようなタインヘッド14の即時下降を行わない。
【0092】
代わりに、コントローラ118は、エアレータ2の対地速度および記憶された遅延距離を使用して、エアレーションベイル56が閉じられた後にエアレータ2によって移動される距離を監視しかつ決定する。公称落下速度として知られるパラメータは固定速度を含み、タインヘッド14は、タインヘッド14をその上昇位置に保持する流体圧がシリンダ96から放出された後に、1つ以上のリターンばね98が設けられる場合にはそのようなリターンばねのアシストを含む重力の影響下で、この固定速度でもって低下する。公称落下速度は、コントローラ118内に記憶されている。コントローラ118は、エアレーションベイル56が閉じられた後の移動リアルタイム距離、公称落下速度、および遅延距離を使用して、遅延距離の終了前に、計算済み距離においてシリンダ96から流体圧力を自動的に放出して、下降することと、ほぼ目標エアレーション開始位置で(例えば、所望のホール間隔のほぼプラスマイナス2/3以内で。ただし、所望であればこの公差を増大させてもよい。)、ターフ表面に接触しかつこれをエアレーションし始めることと、をタインヘッド14ができるようにする。
【0093】
ターフ表面を横切るパスの最後において、オペレータがエアレーションを終了することを望む位置に基準特徴が到達すると、オペレータは、エアレーションベイル56をハンドル22との接触から手動で解放することにより、所望のエアレーション終了位置を目標設定する。コントローラ118は、エアレーションベイル56の解放後の移動リアルタイム距離、固定上昇速度、および遅延距離を使用して、シリンダ96に流体圧力を自動的に印加して、タインヘッド14を持ち上げてターフ表面から離し、ほぼ目標エアレーション終了位置でターフ表面のエアレーションを停止する。タインヘッド14が低下される固定落下速度とタインヘッド14が持ち上げられる固定持ち上げ速度とは、シリンダ96の異なる低下および持ち上げ特性を考慮するために、互いに異なっていてもよい。
【0094】
ターフ表面を横切るエアレータのパス中のいくつかの状況では、タインヘッド14が、ゴルフコースのグリーンに埋め込まれたいくつかの物体、例えば、スプリンクラヘッド、スプリンクラシステム制御ボックス、またはグリーン上のカップなど、を飛び越えまたはジャンプして当該物体をたたいて損傷を与えるのを潜在的に回避するために、オペレータは、タインアセンブリAからFの回転を停止させることなく、タインヘッド14を迅速に昇降させることを望んでもよい。オペレータは、エアレータ2上の基準特徴、例えば前述の前輪8、が最初に物体に到達したときにエアレーションベイル56を開くことにより、その後、エアレータ2上の基準特徴が物体を通過したときにエアレーションベイル56を素早く再び閉じることにより、これを行うことができる。オペレータによるこれらの2つの動作の間の距離であって遅延距離よりも短い距離をエアレータ2が移動するとコントローラ118が決定したら、コントローラ118は、追加の目標開始および終了物体回避位置として、オペレータによるベイルの解放およびその後の閉じによってマークされる位置を記憶する。タインアセンブリAからFの回転を停止することなく、コントローラ118は次いで、目標開始物体回避位置に到達すると、タインヘッド14を自動的に持ち上げ、その後、目標終了物体回避位置に到達すると、現在のパスを中断することなく、タインヘッド14を自動的に下げる。
【0095】
目標開始および終了物体回避位置の確立を含んだ、ターフ表面上の物体を回避するための自動制御が本発明の第1の態様の一部として使用されるか否かにかかわらず、ターフ表面を横切るエアレータ2の各パスのための目標開始および終了位置の確立、ならびにそのような位置におけるタインヘッド14のそれぞれの下降および上昇の自動制御を含む本発明の第1の態様を、単独で使用してもよい。しかしながら、落下速度の経時的な変動を説明するために、必要であれば、エアレータ2の動作中にコントローラ118によって使用される公称落下速度の適応反復調整によって、本発明の第1の態様の性能を更に改善することができる。例えば、公称落下速度は、シリンダ96内の作動流体のあらかじめ定められた公称基準温度を使用して計算される。しかしながら、作動流体は典型的にはエアレータ2が動作しているときに加熱されるので、エアレーション中のシリンダ96内の実際の作動流体温度は、公称温度から変化する。この変化により、タインヘッド14の実際の落下速度が、コントローラ118に記憶された公称落下速度から変化する。
【0096】
コントローラ118は、タインヘッド高さセンサ100からの読み取り値を使用して、タインヘッド14の実際の落下速度と公称落下速度との間の変化を補正する。各パスの開始時であって、完全下降位置まで下げるためにタインヘッド14がコントローラ118により落下のために解放された後において、タインヘッド14が目標エアレーション開始位置においてそれがあるべき公称高さまで完全に下降した位置にあるべきであると、コントローラ118は、タインヘッド高さセンサ100から実際のタインヘッド高さを読み取る。落下速度が正確であれば、2つの高さの読み取り値は同じであるべきである。
【0097】
しかしながら、これら2つの間に差異がある場合、例えば、実際の高さの読取値が公称読取値を上回っていた場合、コントローラ118は、その差異を排除する試みにおいて、次のパスで使用する落下速度を適切に調整する。この反復調整は、その計算において制御システムにより使用される落下速度を可能な限り実際の落下速度に近づけるために、パスからパスへと続く。これにより、目標エアレーション開始位置にヒットするタインヘッド14の精度が、例えば、所望のホール間隔の約±1/3まで改善され、この許容誤差は所望であれば増加されてもよい。
【0098】
本発明の第2の態様の第2の部分は、コントローラ118によるさらなる調整であって、目標エアレーション開始位置にヒットするためにコントローラ118がタインヘッド14を落下のために解放する瞬間に関するさらなる調整にある。このさらなる改良は、タフティングの低減に関する。本発明者らの発見に基づくと、地面に入る第1の対のタインアセンブリは、直前の対のタインアセンブリにおけるタイン80の先端がエアレーションホールを形成することなくターフ表面の頂部に対してわずかに上方にあるかまたはこれをブラッシングする(これにかする)ときに、第1の対のタインアセンブリにおけるタイン80がターフ表面内に完全な所望のホール深さまで駆動されるのを可能にする角度において、そのようにする。先行する対のタインアセンブリのためのこの条件は、本開示で上述したタイン長さ較正手順であって、タインアセンブリのタイン80がターフ表面にエアレーションホールを形成することなくターフ表面にちょうど接触するときにフレーム4に対するタインヘッド14の高さをコントローラ118が読み取り記憶するタイン長さ較正手順において、確立されている。
【0099】
しかしながら、このタフティング除去特徴を提供するために、コントローラ118は、タインアセンブリAからFの回転速度、及び、タインヘッド14におけるタインアセンブリAからFの位置を知らなければならない。この情報は、タインアセンブリ速度及び位置センサ84によってコントローラ118に提供される。この情報を用いて、コントローラ118は更に、ターフ面に進入するタインアセンブリの進入対であって、第1の対を含む進入対を識別することができ、どの対のタインアセンブリがタインアセンブリAからFの回転方向に関して先行する対のタインアセンブリとなるかを識別することができる。したがって、目標エアレーション開始位置にヒットさせるためにタインヘッド14を落下のためにいつ解放するかを決定する際に、コントローラ118は必要に応じて、1対のタインアセンブリ(上記の先行する対)を、タイン長さ較正手順中に確立されたタインヘッド高さに配置し、次の対のタインアセンブリ(進入対)がターフ表面に入ってタフティングを引き起こすことなくエアレーションを開始するように、解放時間を調整することができる。
【0100】
本開示に記載される本発明の説明済み態様のいずれか他のものを必ずしも使用することなく、タフティング除去特徴をエアレータ2上で使用することができる。例えば、既存のProCore 648(登録商標)エアレータなどの、エアレーションの即時落下モードのみを有するエアレータでは、タフティングを除去する上述のタインアセンブリ位置決めを達成するために落下の即時性を遅延させるコントローラを有することが有利であろう。このことは依然として、タインヘッド高さセンサ110並びにタインアセンブリ速度および位置センサ84の存在を必要とする。また、コントローラ118、タインアセンブリAからF、およびトラクションドライブには、タインヘッド14の落下前に、速度上昇しかつ安定しかつ正しい位置を計算するのに十分な時間が必要である。タインアセンブリAからFが十分に迅速に速度を上げることができ、かつ、タインアセンブリAからFが速度を上げるまでトラクションドライブが停止または減速され、かつ、落下のためにタインヘッド14をいつ解放するかを計算するのに十分な時間をコントローラ118内のソフトウェアが有したならば、タフティング改善特徴を、ターゲティング特徴なしのエアレータにおいて使用できた。
【0101】
エアレータ2の、上述の目標落下及び/又はタフティング減少を達成する能力は、図12に示されたリターンバルブ120d及び流体リターンライン126に関して前述された油圧システム修正によって提供されるタインヘッド14の落下速度の増大により、促進される。コントローラ118は、タインヘッド14を落下させるのに必要な瞬間を算出するときに、前述の油圧システム修正によって提供される、より速い落下速度に基づいて、そのような決定を行う。その瞬間が到来すると、コントローラ118は直ちにバルブ120dを実質的に全開にし、流体がシリンダ96からできるだけ早く離れるのを可能にする。タインヘッド14がターフ表面に到達するのに必要な時間を減少させることは、目標開始エアレーション位置でタインヘッド14がターフ表面に到達するのに十分な時間があるのを確実にするのに役立つ。加えて、タインヘッド14が落下する追加の速度は、どのようなタインアセンブリにおいても、タインが最初にターフ表面に到達して、より強い力でターフ表面に係合して、より迅速にかつより深くターフ表面に打ち込まれるのを助ける。これは、タフティング改善目標を達成するのに役立つ。
【0102】
最後に、供給バルブ120f及びリターンバルブ120dの両方を、コントローラ118により、地面形状センサ112によって検出された地面形状の変化に応じて比例的に制御できることに留意する必要がある。この比例制御により、コントローラ118は、エアレーションパス中にタインヘッド14の高さをわずかに調整して、タインヘッド14をフレーム4に対し上向きに持ち上げてターフ表面の地面形状の地面形状の上昇を収容し、または、タインヘッド14をフレーム4に対して下向きに下げて地面形状の凹みに追従することが可能となる。
【0103】
本発明のいくつかの態様は、カラーによって囲まれたゴルフグリーンなどの、多くを求められる用途において特に有用であるが、多くの他のターフ表面上でエアレータ2を使用してもよいことは明らかである。スポーツ分野、公園、芝生、および、ターフ表面がエアレーションから利益を受ける任意の他の領域で、エアレータ2を使用してもよい。本発明の目標エアレーション特徴、すなわち、目標エアレーション開始位置およびエアレーション終了位置をオペレータが確立する能力、により、オペレータが周囲を認識するのを改善することが可能になる。この認識により、特に、「狭所又はタイトクォータ」用途におけるエアレータ動作が改善され、オペレータの訓練が容易になる。更に、障害物がエアレータのフレームの下に隠れてオペレータ位置から視認できないときにオペレータが障害物の位置を推測する必要がもはやないので、目標開始および終了物体回避位置をエアレーションパス内に確立する能力により、任意のターフ表面上での障害物回避がはるかに容易になる。オペレータが障害物に近づいてオペレータが障害物のすぐ隣にいる時点で障害物を通過したときに、エアレータ2により、障害物を目標設定することが可能になる。
【0104】
調整可能なハンドルアセンブリ
図14および図15を参照すると、ハンドルアセンブリ10に、オペレータの高さおよび/または好みに適合するようにハンドルアセンブリ10の高さを上向きおよび下向きに調整するための調整機構を設けてもよい。調整機構は、水平方向又は横方向に延びるピボット136であって、ハンドルアセンブリ10をフレーム部材138に旋回可能に接続するピボット136を備える。フレーム部材138は、前輪8を回転可能に搭載するマウント140(図1に示す)の後端に固定される。前輪マウント140およびフレーム部材138は、フレーム4に対して固定されない。フレーム4上での鉛直軸回りの前輪マウント140の回転により、オペレータが前輪8を操縦してフレーム4の方向、したがってエアレータ2の方向を制御することが可能になるからである。しかしながら、ハンドルアセンブリ10の調整可能性を説明し特許請求するという目的のために、フレーム部材138および前輪マウント140はフレーム4の固定部分ではないけれども、これらは、フレーム4の残りの部分に対して移動する部分であるにもかかわらず、フレーム4の一部であると考えられる。
【0105】
ここで図14および図15を参照すると、ハンドルアセンブリ10は、一対の離間した側壁144を有する細長いカラム142を含む。カラム142をフレーム部材138に旋回可能に取り付けるピボット136は、カラム142の下端に位置する。図16および図17に示すように、カラム142の上端は、制御コンソール20を担持するように適合されたマウント146を有する。制御コンソール20は、簡略化のために図15及び図16には示されていない。
【0106】
図14および図15に戻ると、フレーム部材138は、中央プレート148を含む。トーションばね150は、ピボット136を同心円状に取り囲む。トーションばね150のカールした一端152は、カラム142の一方の側壁144内の弓形の細長いスロット156を通過する細長いボルト154によって、当該一方の側壁144に対して適所にクランプされる。トーションばね150のカールした他端(図14および15では見えない)は、固定された位置でフレーム部材138の中央プレート148の隣接する側にクランプされる。ばね150によって提供されるバイアスであってハンドルアセンブリ10の重量に釣り合うバイアスを増減するために、ボルト154をスロット156に沿って異なる位置に移動させることにより、ばね150内の張力を選択的に調整することができる。
【0107】
フレーム部材128の中央プレート148の反対側は横方向突出部158を有し、この突出部158は、突出部158の上端において内向きに延びる係止ホール162の下に位置する鉛直面160を形成する。ポップピン保持器164は、保持器164をハンドルアセンブリ10に取り付けるために、カラム142の他方の側壁144に固定されるハウジング166を含む。図14では、ポップピン保持器164全体が図14の設置位置からわずかに外向きに引っ張られて、突出部158の鉛直面160を露出させて、示されている。
【0108】
ポップピン168は内側の拡大端部170を有し、拡大端部170は、ハウジング166内のばね(図示せず)によって、ハウジング166の外向きに突出部158の鉛直面160に向けて、連続的に付勢される。ハンドルアセンブリ10の重量の大部分がトーションばね150によって釣り合っているので、オペレータは、ハンドルアセンブリ10をピボット136回りに上向きまたは下向きに容易に旋回させてもよい。しかしながら、鉛直面160に作用するポップピン168の拡大端部170の力は、オペレータが選択した旋回可能に調整された位置にハンドルアセンブリ10を保持するのを助けるのに十分である。この調整可能性により、オペレータが、制御コンソール20の高さを、オペレータの背が高い場合には上向きに、低い場合には下向きに、より容易に調整することが可能になる。オペレータが必要とするのは、制御コンソール20のハンドル22を単につかみ、ハンドル22を上向きに持ち上げまたはハンドル22を下向きに押し下げることだけである。ポップピン168はハンドル22を、ハンドル22が配置された位置であって、鉛直方向に調整された位置に、保持する。
【0109】
エアレータ2が直立した非動作位置に置かれているときに、オペレータが駐車(パーキング)ブレーキ(図示せず)を容易にセットするのを助けることができるように、ハンドルアセンブリ10を追加的に操作することができる。オペレータは図17に最もよく示されるように、ハンドルアセンブリ10を、カラム142が鉛直である位置に旋回させるだけでよい。ハンドルアセンブリ10がこの位置に到達すると、ポップピン168の第1の端170が自動的に内向きに、ロックホール162内に飛び出して、ハンドルアセンブリ10をこの位置に確実にロックする。図15を参照すると、カラム142に取り付けられた駐車ケーブル172は、ハンドルアセンブリ10の鉛直位置に達したときに、駐車ブレーキに係合するように前方に引っ張られる。
【0110】
ポップピン168をこのロック状態から解放するために、ポップピン168の外側端部は、ポップピン168をばねの付勢力に抗し手動で引っ張り又は後退させてポップピン168の第1の端部170をロックホール162から引き出すためのノブ176に接続される。図14は、ノブ176の種々のランド178がハウジング166の頂部に設けられた溝180内で外向きにスライドしている、そのような後退を示す。ポップピン168が図14に示される程度まで引き出され、ポップピン168が係止ホール162と係合解除された状態では、オペレータは、ピボットハンドルアセンブリ10をピボットピン136回りに下向きに旋回して、ロックホール162を解放し、次いでノブ176を解放するだけでよい。これにより、ポップピン168の第1の端部170が鉛直面160に再係合することが可能になり、ハンドルアセンブリ10がオペレータによって選択された高さで操作位置に戻されるのが可能になる。それはまた、駐車ブレーキケーブル172上の張力を解放して、駐車ブレーキがその通常の係合解除状態にリセットされるのを可能にする。
【0111】
トーションばね150によって提供される重量釣り合いバランスは、ポップピン保持器164によって提供される位置保持と相まって、オペレータの高さまたは好みに合うようにハンドルアセンブリ10の角度方向を調整する際に、オペレータに比類のない容易さを提供する。加えて、ハンドルアセンブリ10を非作動位置に単に配置することによって、オペレータは、ハンドルアセンブリ10を所定の位置に更にロックすることなく、同時に駐車ブレーキを自動的にセットすることができる。これにより、エアレータ2の構造および動作が更に簡素化される。
【0112】
その他の修正
当業者には、本発明の様々な修正が明らかであろう。例えば、本発明はここに開示されたタイプの歩行エアレータでの使用に限定されず、オペレータがエアレータ2を手動で操縦することなくエアレータ2の横で地面上を歩行するエアレータであって、タインヘッド、トラクション、操縦、および他の制御部を有するハンドヘルドリモート制御コンソールを使用してエアレータ2を制御するエアレータに適合させることができる。あるいは、本発明を、オペレータがエアレータ2上に直接支えられ、またはエアレータ2がつながれた別個のビークル上に支えられるエアレータに適合させることができる。
【0113】
目標エアレーション開始位置および終了位置をマークする構成および方法は、オペレータによって閉じられ解放されなければならないエアレーションベイルである必要はない。例えば、フレーム4自体に担持されたセンサであって、異なるターフ表面同士間の境界を検出可能なセンサ、例えばターフ表面の異なる密度または色を感知可能な光学センサ、は、エアレータ2の移動を誘導および制御する以外にオペレータによるいかなる動作も必要とすることなく、パスの各終わりにおいて、目標エアレーション開始および終了位置を自動的にマークすることができる。パスの終わりに、そのような自動センサは、センサがカラーに到達するとすぐに、グリーン上のターフ表面およびカラー上のターフ表面からの変化を再び検出する。制御システムは、目標エアレーション終了位置をカラーの縁部ではなくカラーに隣接するグリーン上に戻す量だけ、この発生によって送信される目標エアレーション終了位置を調整する。自動センサを使用するこの実施形態を、独立した動作が可能な自律エアレータにも使用することもできる。
【0114】
また、障害物の位置を感知するためのシステムへの入力が与えられた場合に、スプリンクラヘッドなどのターフ表面の任意の場所の障害物を感知し回避するために、および、コントローラ118がタインヘッド14を障害物の上にまで持ち上げ、次いでタインヘッドが障害物を通過するとタインヘッド14を下げるために、本発明を使用することができる。このことは、障害物上のRFIDタグおよびエアレータ2上のRFIDリーダによって実行可能である。
【0115】
当業者には本発明の様々な他の修正が明らかであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【外国語明細書】