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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023021104
(43)【公開日】2023-02-09
(54)【発明の名称】管理システムおよび管理方法
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/00 20060101AFI20230202BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
F25D23/00 301N
F25D11/00 101E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144661
(22)【出願日】2022-09-12
(62)【分割の表示】P 2021125739の分割
【原出願日】2021-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(72)【発明者】
【氏名】稲村 公孝
(72)【発明者】
【氏名】波多江 弘樹
【テーマコード(参考)】
3L045
3L345
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045BA01
3L045CA02
3L045DA01
3L045EA01
3L045LA18
3L045MA03
3L045MA12
3L045MA16
3L045PA01
3L045PA02
3L045PA03
3L045PA04
3L345AA03
3L345AA22
3L345AA26
3L345BB03
3L345CC01
3L345EE04
3L345EE33
3L345EE47
3L345EE48
3L345EE49
3L345EE53
3L345HH34
3L345HH36
3L345HH38
3L345HH42
3L345JJ08
3L345JJ11
3L345JJ17
3L345JJ18
3L345JJ25
3L345KK01
3L345KK02
3L345KK03
3L345KK04
(57)【要約】
【課題】 タイミングのよい報知を行うことが可能である管理システムおよび管理方法を提供すること。
【解決手段】 本発明の管理システムは、各々がショーケースに取り付けられた複数のセンサと、設定装置と、を備え、前記設定装置は、前記複数のセンサの上限温度を設定し、且つ、前記複数のセンサのいずれかの測定温度が前記上限温度を超えた期間が所定の期間以上継続した場合、当該センサが取り付けられた前記ショーケースが異常状態であることが報知される。
【選択図】 図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々がショーケースに取り付けられた複数のセンサと、
設定装置と、を備え、
前記設定装置は、前記複数のセンサの上限温度を設定し、且つ、前記複数のセンサのいずれかの測定温度が前記上限温度を超えた期間が所定の期間以上継続した場合、当該センサが取り付けられた前記ショーケースが異常状態であることが報知される、管理システム。
【請求項2】
前記各センサは、所定の周期で温度を測定し、
前記複数のセンサのいずれかの測定温度が前記上限温度を超えた測定回数が所定の回数以上継続した場合、当該センサが取り付けられた前記ショーケースが異常状態であることが前記設定装置に報知される、請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記複数のセンサのいずれかの測定温度が前記上限温度を超えた期間が所定の期間以上継続した場合、当該センサが取り付けられた前記ショーケースが異常状態であることが、前記設定装置の表示部にアラート表示される、請求項1または2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記設定装置は、前記ショーケースの霜取り運転で到達する庫内温度よりも低い温度に前記上限温度を設定可能である、請求項1ない3のいずれかに記載の管理システム。
【請求項5】
各々がショーケースに取り付けられた複数のセンサを用い、
前記複数のセンサの上限温度を設定する工程と、
前記複数のセンサのいずれかの測定温度が前記上限温度を超えた期間が所定の期間以上継続した場合、当該センサが取り付けられた前記ショーケースが異常状態であることを報知する工程と、を備える、管理方法。
【請求項6】
前記各センサは、所定の周期で温度を測定し、
前記報知する工程においては、前記複数のセンサのいずれかの測定温度が前記上限温度を超えた測定回数が所定の回数以上継続した場合、当該センサが取り付けられた前記ショーケースが異常状態であることを報知する処理を行う、請求項5に記載の管理方法。
【請求項7】
前記上限温度は、前記ショーケースの霜取り運転で到達する庫内温度よりも低い、請求項5または6に記載の管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理システムおよび管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
店舗に設置されたショーケースは、商品を適切な温度で陳列するためのものである。ショーケースの温度を監視するデバイスとして、温度を測定するセンサが広く用いられている。特許文献1には、従来のショーケース用のセンサが開示されている。このセンサでは、上限温度および下限温度が互いに異なる、3つのモードに設定可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開開平10-220946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のセンサでは、複数のモードの温度範囲の一部ずつが重なる場合、この重なった温度範囲においては、自動的にモードを切り替えることが不可能であった。
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、複数のモードの温度範囲の一部ずつが互いに重なる温度範囲において自動的にモードを切り替えることが可能であるセンサ、注意喚起を行う場合、タイミングのよい報知を行う無線通信システムおよび注意喚起を行う異常パターンの類型を学習する管理システムを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面によって提供されるセンサは、測温抵抗部、制御部、スイッチ部、無線通信部、第1抵抗を含む第1配線および前記第1抵抗よりも抵抗値が小さい第2抵抗を含む第2配線、を備えており、前記スイッチ部は、第1接点、第2接点および第3接点を有し、前記第1配線は、前記第1接点と前記制御部とに接続されており、前記第2配線は、前記第2接点と前記制御部とに接続されており、前記測温抵抗部は、前記第3接点に接続されており、前記スイッチ部は、前記第1接点と前記第3接点とを導通させる第1モードと、前記第2接点と前記第3接点とを導通させる第2モードと、を有し、前記第1モードでは、第1モード下限温度以上、第1モード上限温度以下である、第1温度範囲の測定が行われ、前記第2モードでは、前記第1モード下限温度よりも高く且つ前記第1モード上限温度以下である第2モード下限温度以上、前記第1モード上限温度よりも高い第2モード上限温度以下である、第2温度範囲の測定が行われ、前記第2モード下限温度以上前記第1モード上限温度以下の第1閾値温度と、前記第2モード下限温度以上前記第1閾値温度未満の第2閾値温度と、が設定されており、前記制御部は、前記第2モードに設定された状態であって、測定温度が、前記第1閾値温度よりも高い温度から前記第1閾値温度よりも低い温度に変化した場合に、前記スイッチ部を前記第1モードに設定し、且つ、前記第1モードに設定された状態であって、測定温度が、前記第2閾値温度よりも低い温度から前記第2閾値温度よりも高い温度に変化した場合に、前記スイッチ部を前記第2モードに設定する。
【0007】
本発明の第2の側面によって提供される無線通信システムは、各々が記憶部、無線通信部および制御部を有する複数の中継ユニットと、各々が測温抵抗部、制御部、スイッチ部および無線通信部を有する複数のセンサと、各々に識別アドレスが設定された前記複数の中継ユニットおよび前記複数のセンサの動作を制御する制御装置と、前記制御装置に前記複数の中継ユニットおよび前記複数のセンサの動作条件を設定し、前記複数のセンサの測定データを表示する設定装置と、を備える無線通信システムであって、前記センサの測定周期より、前記設定装置が前記制御装置から前記測定データを読み込む周期の方が短い。
【0008】
本発明の第3の側面によって提供される無線通信システムは、各々が記憶部、無線通信部および制御部を有する複数の中継ユニットと、各々が測温抵抗部、制御部、スイッチ部および無線通信部を有し、各々がショーケースに取り付けられた複数のセンサと、各々に識別アドレスが設定された前記複数の中継ユニットおよび前記複数のセンサの動作を制御する制御装置と、前記制御装置に前記複数の中継ユニットおよび前記複数のセンサの動作条件を設定し、前記複数のセンサの測定データを表示する設定装置と、を備える無線通信システムであって、前記センサの測定温度が管理温度を超えた場合に、前記制御装置は、当該センサの測定周期を第1周期から前記第1周期よりも短い第2周期に変更する制御信号を送信し、前記設定装置は、前記第2周期となった前記センサが取り付けられた前記ショーケースが、霜取り運転であると判断する。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記設定装置は、前記センサが前記第2周期に設定されている期間に、測定温度が前記管理温度よりも高い警告温度以上となった場合、または、前記第2周期に設定された期間が所定の期間以上継続した場合、前記ショーケースが故障であると判断する。
【0010】
本発明の第4の側面によって提供される管理システムは、店舗内に配置された本発明の第3の側面によって提供される無線通信システムと、前記無線通信システムの前記制御装置または前記設定装置から測定データをクラウドに送信し、前記クラウドは、通信部、処理部および保存部を有し、前記通信部が、前記測定データを受信し、前記店舗内の前記ショーケースに設置した前記各センサからの前記測定データを前記保存部に保存し、前記処理部が、前記各センサの前記第1周期および前記第2周期の設定状況に基づいて、前記各センサが取り付けられた前記ショーケースの霜取り運転の実施状況を学習し、当該ショーケースが霜取り運転を行っている正常状態か、故障を含む異常状態か、を識別する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数のモードの温度範囲の一部ずつが互いに重なる温度範囲において自動的にモードを切り替えることができる。
【0012】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る無線通信システムの設定方法を実行する前の無線通信システムを示すシステム構成図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る無線通信システムを示す配置図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る無線通信システムの照明器具を示すブロック図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る無線通信システムのセンサを示すブロック図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る無線通信システムの設定装置を示すブロック図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る無線通信システムの制御装置を示すブロック図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る無線通信システムのセンサが設けられるショーケースの一例を示す断面図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る無線通信システムの設定方法の一例を示すシーケンスダイアグラムである。
図9】本発明の第1実施形態に係る無線通信システムの設定方法の一例を示すシステム構成図である。
図10】本発明の第1実施形態に係る無線通信システムのセンサの測定例を示すグラフである。
図11】本発明の第1実施形態に係る無線通信システムの動作を示すフローチャートである。
図12】本発明の第1実施形態に係る無線通信システムの動作を示すグラフである。
図13】本発明の第1実施形態に係る無線通信システムのセンサの測定の他の例を示すグラフである。
図14】本発明の第1実施形態に係る無線通信システムの動作の他の例を示すフローチャートである。
図15】本発明の第1実施形態に係る無線通信システムのセンサの測定の他の例を示すグラフである。
図16】本発明の第1実施形態に係る無線通信システムのセンサの測定の他の例を示すグラフである。
図17】本発明の第1実施形態に係る無線通信システムの動作の他の例を示すフローチャートである。
図18】本発明の第2実施形態に係る無線通信システムを示すシステム構成図である。
図19】本発明の第2実施形態に係る無線通信システムの動作を示すシーケンスダイアグラムである。
図20】本発明の第3実施形態に係る無線通信システムを示すシステム構成図である。
図21】本発明の第3実施形態に係る無線通信システムの動作を示すシーケンスダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0015】
<第1実施形態>
図1図17は、本発明の第1実施形態に係るセンサ、無線通信システムおよび管理システムを示している。図1および図9に示すように、本実施形態の無線通信システムA1は、複数の照明器具L、複数のセンサDおよび制御装置Ctを備える無線通信ネットワークCn1と、複数の照明器具Lおよび複数のセンサDに無線通信ネットワークCn1で使用する識別アドレスを設定する設定装置Sdと、によって構成されている。無線通信システムA1は、複数の中継ユニットとしての複数の照明器具Lおよび複数のセンサDを介した無線通信を実現するシステムである。
【0016】
〔中継ユニット〕
中継ユニットは、無線通信を中継することにより、無線通信システムA1における無線通信を実現するためのユニットである。中継ユニットの具体的構成は何ら限定されず、無線通信の中継機能を備えていればよく、専用の無線中継ユニット、無線通信機能を具備する照明器具、センサ、無線タグ等の各種機器が挙げられる。
【0017】
〔照明器具L〕
照明器具Lは、本発明における中継ユニットの一具体例である。複数の照明器具Lは、たとえば屋内の照明に用いられ、天井、壁面、床面等の種々の箇所に設置される。また、照明器具Lは、屋外の照明に用いられる構成であってもよい。照明器具Lの具体的な形態は何ら限定されず、直管形照明や高天井照明、シーリングライト、ダウンライト、ベースライト、スポットライト等の種々の形態を適宜採用可能である。以降の説明においては、照明器具Lの一般的な構成を述べる場合に照明器具Lと称するとともに、複数の照明器具Lを区別する場合に照明器具L1、・・・照明器具Ln等の符号を適宜用いる場合がある。図1および図2における複数の照明器具L1~Lnは、それぞれの構成が同一であってもよいし、互いの一部が共通していてもよいし、互いに異なる構成、異なる形態であってもよい。以降の説明においては、特段の記載がない限り、複数の照明器具L1~Lnが同一の構成である場合を例に説明する。
【0018】
図3は、照明器具Lのブロック図である。照明器具Lは、光源部11、制御基板10、制御モジュール120、記憶部13、通信モジュール140および電源部15を備える。
【0019】
光源部11は、照明器具L1において発光機能を果たす部位であり、周囲を照らす照明用途を満足する光量を有する。光源部11の具体的構成は何ら限定されず、たとえば、基板と当該基板に列をなして搭載された複数のLEDとからなる。また、照明器具L1は、光源部11からの光を透過させる透明または半透明のカバー(図示略)を適宜有する。なお、中継ユニットとして、専用の無線中継ユニットが用いられた場合、光源部11は、周囲を照らす照明機能を発揮可能な光量を有するものではなく、たとえば動作状況を報知するインジケータとして機能する。
【0020】
制御基板10は、制御モジュール120、記憶部13および通信モジュール140が実装された基板である。制御基板10は、たとえば絶縁性材料からなる基材と、当該基材に形成された配線パターン(いずれも図示略)を有する。制御モジュール120、記憶部13および通信モジュール140は、たとえばはんだ等によって配線パターンに導通接合されており、配線パターンを介して相互に適宜導通している。
【0021】
制御モジュール120は、制御部12を有するモジュールであり、制御基板10に実装されている。制御モジュール120は、制御部12に加えて、記憶部や入出力部(いずれも図示略)を適宜有していてもよい。制御部12は、制御装置Ctからの点灯制御信号等に基づいて、照明器具Lの各部を制御するためのものである。制御部12の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。
【0022】
記憶部13は、制御モジュール120(制御部12)の制御に必要な情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリからなる。なお、記憶部13は、制御基板10に実装されるものに限定されず、照明器具Lの筐体に対して着脱可能に設けられるドングルに内蔵されてもよい。
【0023】
通信モジュール140は、無線通信部14を有するモジュールであり、本実施形態においては、制御基板10に実装されている。無線通信部14は、制御装置Ct、他の中継ユニット(照明器具L、センサD)および設定装置Sdと無線通信を行うための通信部であり、無線信号を送信および受信する。無線通信部14は、たとえば、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)通信によって制御部12と接続されているが、
これに限定されない。
【0024】
無線通信部14の機能を例示すると、後述する設定装置Sdからの識別信号や制御装置Ctからの制御信号等を受信し、受信したデータに含まれる信号を制御部12に送信する。また、各種信号や受信したことを示すアクノリッジ信号を設定装置Sdおよび制御装置Ct等に送信する。また、照明器具Lの動作状況を示すステータス信号を制御装置Ctに送信してもよい。
【0025】
本実施形態においては、複数の照明器具Lの各々が有する固有情報が、無線通信部14に記憶されている。固有情報の具体例は特に限定されず、たとえばMAC(Media Access
Control)アドレスや位置情報である。なお、固有情報は、無線通信部14の構成要素に記憶されていてもよいし、たとえば記憶部13に記憶されていてもよい。無線通信部14は、受信した信号のうち、自装置の固有情報に対する信号であると認識した場合、またはいわゆるブロードキャスト通信として全ユニットを対象に送信された場合に、当該信号を制御部12に伝達する。
【0026】
無線通信部14は、設定装置Sd、制御装置Ctおよび他の中継ユニット(照明器具L、センサD)と所定のプロトコルを用いた無線通信を行う。所定のプロトコルを用いた無線通信の通信周波数は何ら限定されず、たとえ920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯等が例示される。また、所定のプロトコルの具体例は特に限定されず、たとえば、BLE(Bluetooth Low Energy)を含むBluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Wi-Fi
(登録商標)などが例示される。所定のプロトコルに従った無線通信を行うために、無線通信部14には識別アドレスが設定される。
【0027】
電源部15は、光源部11、制御部12(制御モジュール120)および無線通信部14(通信モジュール140)等の動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部15は、たとえば商用の交流100Vまたは200V電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータとしての機能や、変圧機能等を有する。
【0028】
〔センサD〕
センサDは、本発明における中継ユニットの他の具体例である。センサDは、温度センサとして機能するものである。複数のセンサDの設置箇所は何ら限定されず、天井、壁面、床面等の種々の箇所や、屋内および屋外に設置された各種機器に取り付けられ、あるいは内蔵される。以降の説明においては、センサDの一般的な構成を述べる場合にセンサDと称するとともに、複数のセンサDを区別する場合にセンサD1、・・・センサDn等の符号を適宜用いる場合がある。図1および図2における複数のセンサD1~Dnは、それぞれの構成が同一であってもよいし、互いの一部が共通していてもよいし、互いに異なる構成、異なる形態であってもよい。以降の説明においては、特段の記載がない限り、複数のセンサD1~Dnが同一の構成である場合を例に説明する。
【0029】
図4は、センサDのブロック図である。センサDは、測温抵抗部31、制御基板30、制御モジュール320、記憶部33、通信モジュール340、電源部35、スイッチ部36、第1配線37および第2配線38を備える。なお、制御基板30、制御モジュール320(制御部32)、記憶部33および通信モジュール340(無線通信部34)は、照明器具Lの制御基板10、制御モジュール120(制御部12)、記憶部13および通信モジュール140(無線通信部14)と、それぞれの基本的な構成が共通するため、適宜説明を省略する。
【0030】
測温抵抗部31は、センサDの測温機能を発揮するための部位である。測温抵抗部31は、たとえば金属または金属酸化物からなる抵抗体を有する。当該抵抗体は、周囲の温度に応じて、抵抗値が変化する。すなわち、測温抵抗部31の抵抗値に基づいて、センサDが配置された環境の温度を測定することができる。本実施形態の測温抵抗部31は、センサDのその他の構成要素が収容された筐体(図示略)からケーブルを介して当該筐体の外部に設けられている。
【0031】
制御部32は、測温抵抗部31を用いた測定データを含む測定信号を生成し、無線通信部34(通信モジュール340)から送信させる処理を行う。また、後述の制御装置Ctからの制御信号に含まれる動作条件に基づいて、測温抵抗部31を用いた測温処理の条件を適宜設定する。センサDにおける動作条件としては、たとえば測温抵抗部31を用いた測定データを含む測定信号を送信する周期や、後述のスイッチ部36のモード設定等が挙げられる。
【0032】
スイッチ部36は、測温抵抗部31と制御モジュール320との間に電気的に介在しており、測温抵抗部31と制御モジュール320との接続状態を切り替えるものである。スイッチ部36は、第1接点361、第2接点362および第3接点363を有する。第3接点363には、測温抵抗部31が接続されている。スイッチ部36は、第1接点361と第3接点363とを導通させる第1モードと、第2接点362と第3接点363とを導通させる第2モードと、を有しており、第1モードと第2モードとを選択的に設定可能である。第1モードと第2モードとは、たとえば制御部32(制御モジュール320)からの指令によって自動的に切り替えられる。
【0033】
第1配線37は、スイッチ部36の第1接点361と制御モジュール320(制御部32)とに接続されている。第1配線37は、第1抵抗371を含む。第2配線38は、スイッチ部36の第2接点362と制御モジュール320(制御部32)とに接続されている。第2配線38は、第2抵抗381を含む。第2抵抗381の抵抗値は、第1抵抗371の抵抗値よりも小さい。すなわち、第1抵抗371の抵抗値は、第2抵抗381の抵抗値よりも大きい。
【0034】
図2および図7に示すように、本実施形態においては、センサDは、店舗等の屋内に設置されたショーケースScに取り付けられている。
【0035】
ショーケースScは、店頭等において食品等の商品を陳列するものである。ショーケースScは、商品を保温する機能を有するものが一般的であり、冷蔵用途や冷凍用途等があり、本実施形態のショーケースScは、冷蔵モードおよび冷凍モードに切り替え可能である。また、本実施形態のショーケースScは、庫内等に付着した霜を除去するための霜取り運転を行う。図示された例においては、ショーケースScは、筐体80、天部81、複数の棚部82、電源部83、ケーブル84および照明灯85を有している。
【0036】
筐体80は、ショーケースScの本体部分である。筐体80は、たとえば天部81や複数の棚部82を支持するための構造部材を有する。また、筐体80は、商品を冷却するための冷却装置(図示略)を含んでいてもよい。
【0037】
天部81は、ショーケースScの最上位に設けられており、複数の棚部82を上方から覆っている。天部81の先端の下面には、照明灯85が取り付けられている。
【0038】
複数の棚部82は、商品を陳列するための部位であり、上下方向に配列されている。各棚部82の下面には、照明灯85がそれぞれ取り付けられている。
【0039】
電源部83は、センサDを動作させるための電力を供給するものである。たとえば、電源部83は、商用の交流100V電力を、センサDの点灯に適した直流24V電力に変換する。図示された例においては、電源部83は、天部81の上方に設けられているが、これは一例であり、電源部83の構成や設置位置は特に限定されない。
【0040】
センサDは、たとえば天部81の上面に配置されている。また、測温抵抗部31は、センサDの本体から延びるケーブルを介して、たとえば天部81の下方に配置されている。測温抵抗部31は、ショーケースScの冷蔵または冷凍の対象となる空間である、商品の陳列空間の温度を測定可能な位置に配置される。
【0041】
本実施形態においては、後述の設定方法が完了すると、図9に示すように、複数の照明器具Lおよび複数のセンサDと制御装置Ctとによって、メッシュネットワークである無線通信ネットワークCn1が構築される。所定のプロトコルは、たとえば複数の照明器具Lおよび複数のセンサD間で各種データの転送に用いられるため、それらのデータ転送に必要となる転送速度や、信頼性を確保した上で、メッシュネットワークを構築できるプロトコルが選択される。無線通信ネットワークCn1が構築された後は、たとえば制御装置Ctからの制御信号が無線通信ネットワークCn1を介して各照明器具Lおよび各センサDに送信される。また、制御装置Ctが、商用通信回線を利用して、無線通信ネットワークCn1外のクラウド等の外部記憶装置にデータを転送してもよい。この場合、無線通信ネットワークCn1およびこれを構成する制御装置Ctおよび複数の中継ユニットは、データのノイズ除去およびデータの生成等の処理を行うエッジコンピュータとして機能しうる。
【0042】
〔設定装置Sd〕
設定装置Sdは、無線通信システムA1における複数の中継ユニットの識別アドレスおよび動作条件の設定を行うための装置である。また、設定装置Sdは、複数の照明器具L、複数のセンサDおよび複数のショーケースScの少なくともいずれかの状態を表示したり保存したりする機能を果たしてもよい。設定装置Sdの具体的構成は何ら限定されない。設定装置Sdの具体的構成は、何ら限定されず、たとえば、デスクトップPC、ノートPC、タブレット端末、スマートフォン等が挙げられる。
【0043】
図5に示すように、本実施形態の設定装置Sdは、表示部51、制御部52、記憶部53、無線通信部54、電源部55および操作部58を備える。
【0044】
表示部51は、設定装置Sdの操作等に必要な情報や画像を表示するためのものである。表示部51は、たとえば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイである。
【0045】
無線通信部54は、複数の中継ユニットおよび制御装置Ctと無線通信する機能を果たす。無線通信部54は、たとえば後述の識別信号を複数の中継ユニットに送信し、また後述の設定信号を制御装置Ctに送信する。無線通信部54は、所定のプロトコルを用いた無線通信を行うためのものである。所定のプロトコルを用いた無線通信の通信周波数は何ら限定されず、たとえ920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯等が例示される。また、所定のプロトコルの具体例は特に限定されず、たとえば、BLE(Bluetooth Low Energy)を含むBluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)などが例示
される。なお、無線通信部54が複数の中継ユニットおよび制御装置Ctと無線通信する際に用いるプロトコルは、無線通信システムA1が構築された後の無線通信ネットワークCn1で用いられるプロトコルと同じであることが好ましいが、異なるプロトコルであってもよい。
【0046】
制御部52は、設定装置Sdの各部を制御するためのものである。制御部52の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。記憶部53は、制御部52の制御に必要なプログラムや設定条件等の情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリ等からなる。
【0047】
電源部55は、表示部51、制御部52、無線通信部54および操作部58等の動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部55は、たとえば商用の交流100Vまたは200V電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータとしての機能や、変圧機能等を有するもの、あるいは充電可能なバッテリーである。バッテリーの充電方式は、接触式の充電器を利用するものでも、非接触式の充電器を利用するものでもよい。
【0048】
操作部58は、設定装置Sdを操作するためのものである。操作部58は、たとえばキーボードおよびマウス等である。なお、表示部51がタッチパネルとして機能する場合、操作端末Teは、操作部58を備えていなくてもよい。
【0049】
設定装置Sdは、複数の中継ユニットの固有情報を保有しており、これらがたとえば記憶部53に記憶されている。設定装置Sdが保有する固有情報は、たとえば照明器具LおよびセンサDが保有するMACアドレスであってもよい。
【0050】
〔制御装置Ct〕
制御装置Ctは、複数の中継ユニットの動作制御を行うものである。制御装置Ctは、本実施形態の場合には、複数の照明器具Lの点灯制御や複数のセンサDの測定制御を行う。制御装置Ctは、複数の中継ユニットが設置されている部屋と同じ部屋に設置されていてもよいし、同じ建物の別の部屋や別のフロアに設置されていてもよいし、別の建物に設置されていてもよい。制御装置Ctと複数の中継ユニットとがある程度離れている場合、制御装置Ctと複数の中継ユニットとは、無線通信だけでなく、有線通信と無線通信とを利用して互いに通信する構成であってもよい。なお、無線通信システムA1は、少なくとも1つの制御装置Ctを備えていればよく、他の構成において複数の制御装置Ctを備えていてもよい。
【0051】
図6は、制御装置Ctのブロック図である。本実施形態においては、制御装置Ctは、表示部21、制御部22、記憶部23、無線通信部24および電源部25を備える。
【0052】
表示部21は、後述する無線通信システムA1の動作においては、必ずしも必要ではないが、制御装置Ctの初期設定やメンテナンス等に用いられる。表示部21は、たとえば液晶ディスプレイ等のモニタ類であり、さらにタッチパネル機能を有してもよい。また、表示部21がタッチパネルとして機能することに代えて、制御装置Ctは、たとえばキーボードやマウス等の操作デバイスを別途備えていてもよい。さらに、制御装置Ctは、前述のモニタを利用する表示部21に加えて、HDMI(登録商標)接続された外部のデジタルサイネージを備えてもよい。
【0053】
制御部22は、複数の中継ユニットの動作制御を行う主要な構成要素であり、制御装置Ctの各部を制御するためのものである。たとえば、制御部22は、対象とする中継ユニットへ制御信号を送信するように、無線通信部24に制御信号を伝達する。制御部22の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。記憶部23は、制御部22の制御に必要なプログラムや設定条件等の情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリやハードディスクドライブ等からなる。
【0054】
無線通信部24は、複数の中継ユニットの無線通信部14および設定装置Sdの無線通信部54と無線通信を行うためのものである。無線通信部24の周波数帯や準拠する無線通信の規格は、上述のプロトコルを用いた無線通信である。後述の設定方法が完了すると、制御装置Ctは、図9に示すように、複数の中継ユニットとともに無線通信ネットワークCn1を構成する。無線通信部24は、たとえば、制御部22から複数の中継ユニットへの制御信号を無線通信ネットワークCn1を介して送信する。なお、制御装置Ctは、無線通信部24に加えて、インターネットに接続する有線または無線の通信回路を有していてもよい。
【0055】
電源部25は、表示部21、制御部22および無線通信部24等に動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部25は、たとえば商用の交流100Vまたは200V電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータとしての機能や、変圧機能等を有する。
【0056】
制御装置Ctは、複数の中継ユニットの固有情報を保有しており、これらがたとえば記憶部23に記憶されている。制御装置Ctが保有する固有情報は、たとえば照明器具LおよびセンサDが保有するMACアドレスであってもよい。
【0057】
次に、無線通信システムA1の設定方法の一例について、以下に説明する。なお、以下の設定方法は、無線通信システムA1を設定するための一例である。無線通信システムA1を設定する方法としては、種々の手法を適宜採用可能である。
【0058】
図1に示すように、本実施形態においては、複数の中継ユニットとしての複数の照明器具Lおよび複数のセンサDと制御装置Ctとが準備されており、設定装置Sdを用いて設定を行う。本例では、複数の照明器具L1~Lnと複数のセンサD1~Dnが準備されている。図2に示すように、複数の照明器具L1~Lnは、たとえば店舗の天井に所定の間隔で設けられている。複数のセンサD1~Dnは、店舗に設けられた複数のショーケースSc1~Scnに、個別に取り付けられている。
【0059】
〔第1ステップS1〕
図8に示すように、まず第1ステップS1を実行する。第1ステップS1では、設定装置Sdを用いて複数の中継ユニットの識別アドレスを決定する。本実施形態の第1ステップS1は、ステップS1-1~S1-3を含む。ステップS1-1では、複数の中継ユニットとしての複数の照明器具L1~Lnおよび複数のセンサD1~Dnが設置される場所である店舗等の情報を取得する。そして、たとえば設定装置Sdで実行する画像処理ソフトウエアなどを利用して、店舗の配置図を作成する。
【0060】
次いで、ステップS1-2では、設定装置Sd上に作成された配置図上に、複数の中継ユニットとしての複数の照明器具L1~Lnおよび複数のセンサD1~Dnのそれぞれを、アイコン等を用いて配置場所を決定する。たとえば、照明器具L1には、グループ番号「A」、グループ内アドレス「01」を割り当て、識別アドレスを「A-01」と決定する。これと同様に、複数の照明器具Lおよび複数のセンサDについて、グループ番号「A,B,C・・・」およびグループ内アドレス「01,02,03・・・」を適宜割り当て、各中継ユニットの識別アドレスを決定する。グループ番号およびグループ内アドレスの決定手法は、何ら限定されない。たとえば、配置図に基づいて、所定の半径内に位置するもの同士に同じグループ番号を割り当ててもよい。
【0061】
設定装置Sdは、複数の中継ユニット毎に、固有情報であるMACアドレスおよび識別アドレスを含む識別信号を生成し、各中継ユニット(照明器具LまたはセンサD)に向けて無線通信部54から送信する。
【0062】
次いで、ステップS1-3では、各中継ユニット(照明器具LまたはセンサD)において、通信モジュール140,340の無線通信部14,34が識別信号を受信し、制御モジュール120,320の制御部12,32に識別信号を転送する。識別信号を受けた制御モジュール120,320の制御部12,32は、識別アドレスを各々の記憶部13,33に記憶する。
【0063】
〔第2ステップS2〕
次に、第2ステップS2を実行する。第2ステップS2では、設定装置Sdを用いて各中継ユニットの動作条件を決定する。たとえば、設定装置Sdの表示部51に表示された配置図(たとえば、図2に示す配置図)に、各中継ユニットの識別アドレスを表示させる。次いで、各中継ユニットの配置状況等を考慮して、動作条件を決定する。たとえば、中継ユニットが照明器具Lである場合、動作条件は、光源部11の調光率、調色、所定のスケジュールに応じたON/OFF等を含む。中継ユニットがセンサDである場合、動作条件は、取り付けられたショーケースScの冷凍モード、冷蔵モード等の作業モードに対応するモードや、温度測定の周期等を含む。これらの動作条件を、複数の中継ユニット(複数の照明器具L1~Lnおよび複数のセンサD1~Dn)毎に決定する。
【0064】
〔第3ステップS3〕
次に、第3ステップS3を実行する。第3ステップS3では、無線通信ネットワークCn1を構築する。本実施形態の第3ステップS3は、ステップS3-1~S3-3を含む。ステップS3-1では、第1ステップS1(ステップS1-1~S1-3)で決定した複数の中継ユニットの識別アドレスと、第2ステップS2で決定した複数の中継ユニットの動作条件とを含む設定信号を、制御装置Ctに転送する。設定信号の転送は、Wi-Fi(
登録商標)などの無線通信のほか、USBケーブルを用いた有線通信によって行ってもよい。設定信号のデータ形式としては、たとえばCSVデータ形式が挙げられる。
【0065】
次いで、ステップS3-2では、たとえば無線通信で設定信号が転送された場合、制御装置Ctの無線通信部54が、設定信号を受信する。制御部52は、設定信号に含まれる識別アドレスおよび動作条件を、複数の中継ユニット(複数の照明器具L1~Lnおよび複数のセンサD1~Dn)毎に記憶部53に記憶する。各中継ユニットの区別には、設定信号に含まれる複数の中継ユニットの固有情報(MACアドレス等)を用いる。
【0066】
次いで、ステップS3-3では、複数の中継ユニットの識別アドレスを用いて、制御装置Ctが図9に示す無線通信ネットワークCn1を構築する。無線通信ネットワークCn1は、たとえば所定のプロトコルによるメッシュネットワークである。これにより、制御装置Ctと複数の中継ユニット(複数の照明器具L1~Lnおよび複数のセンサD1~Dn)は、無線通信ネットワークCn1を介したブロードキャスト通信が可能となる。なお、無線通信ネットワークCn1における無線通信は、電波干渉による信号の欠落を抑えるために、複数の周波数による送信を行うことが好ましい。たとえば、2.40GHz、2.44GHz、2.48GHzの3種類の周波数でブロードキャスト通信を順次実行する。
【0067】
〔第4ステップS4〕
次に、第4ステップS4を実行する。第4ステップS4では、無線通信ネットワークCn1を介して、制御装置Ctから複数の中継ユニットに各々の動作条件を含む制御信号を送信する。本実施形態の第4ステップS4は、ステップS4-1,S4-2を含む。ステップS4-1では、制御装置Ctの制御部22が、複数の中継ユニットの識別アドレスおよび動作条件を含む制御信号を生成する。次いで、制御部22は、無線通信部24から無線通信ネットワークCn1を介して制御信号をブロードキャスト通信によって送信する。複数の中継ユニット(複数の照明器具L1~Lnおよび複数のセンサD1~Dn)は、通信モジュール140,340の無線通信部14,34によって制御信号を受信する。制御モジュール120,320の制御部12,32は、制御信号に含まれる識別アドレスと、自ユニットの識別アドレスとを比較照合する。制御信号に含まれる識別アドレスが自ユニットの識別アドレスとは異なる場合、各中継ユニットは、次の中継ユニットに制御信号を転送する。
【0068】
次いで、ステップS4-2では、制御信号に含まれる識別アドレスが自ユニットの識別アドレスと一致した場合に、制御モジュール120,320の制御部12,32が、制御信号に含まれる動作条件を記憶部13,33に記憶する。すでに、記憶部13,33に動作条件が記憶されている場合、制御モジュール120,320の制御部12,32は、記憶部13,33の動作条件を受信した制御信号に含まれる動作条件に書き換える。
【0069】
以上の第1ステップS1~第4ステップS4を実行することにより、図9に示す無線通信ネットワークCn1の構築と、複数の中継ユニット(複数の照明器具L1~Lnおよび複数のセンサD1~Dn)の設定が完了する。
【0070】
〔第5ステップS5,第6ステップS6,第7ステップS7〕
第1ステップS1~第4ステップS4が完了すると、無線通信ネットワークCn1を用いて、たとえば第5ステップS5および第6ステップS6を実行する。第5ステップS5は、複数のセンサD1~Dnが、各々の動作条件に基づいて、ショーケースSc1~Scnの各々について測温する。そして、制御モジュール320の制御部32は、測定データを含む測定信号を生成し、通信モジュール340の無線通信部34から、無線通信ネットワークCn1を介して測定信号を制御装置Ctに送信する。また、複数の照明器具L1~Lnは、制御信号に含まれる動作条件に基づいて、制御部12が光源部11の点灯制御を行う。点灯制御としては、調光率、調色、所定のスケジュールに応じたON/OFF等である。
【0071】
複数のセンサD1~Dnにおける第5ステップS5の一例について説明する。複数のセンサD1~Dnが受信した制御信号の動作条件は、第1モードおよび第2モードに関する情報を含んでいる。第1モードは、図4に示すセンサDのスイッチ部36が、第1接点361と第3接点363とを導通させるモードである。第2モードは、スイッチ部36が、第2接点362と第3接点363とを導通させるモードである。
【0072】
本例においては、センサDが取り付けられたショーケースScが冷凍運転状態である場合に、第1モードとして、たとえば-30℃~10℃の温度範囲を測定する冷凍モードが割り当てられている。また、ショーケースScが冷蔵運転状態である場合に、第2モードとして、たとえば-10℃~30℃の温度範囲を測定する冷蔵モードが割り当てられている。
【0073】
制御モジュール320の制御部32は、通信モジュール340の無線通信部34が受信した制御信号の動作条件に基づいて、スイッチ部36を第1モードおよび第2モードのいずれかに切り替える制御を行う。第1モードおよび第2モードの切り替えは、制御信号に含まれる動作条件によっていずれかのモードを選択するように制御されてもよい。本実施形態では、後述するように、第1モードおよび第2モードの温度範囲が、たとえば制御信号の動作条件によって設定され、測温抵抗部31を用いて計測された温度と第1モードおよび第2モードの温度範囲とを、制御モジュール320の制御部32が比較することにより、制御部32がスイッチ部36をいずれかのモードに自動的に切り替える。
【0074】
制御モジュール320の制御部32が、スイッチ部36を第1モードに切り替えると、制御モジュール320の制御部32は、第1配線37を介して測温抵抗部31と接続される。一方、制御モジュール320の制御部32が、スイッチ部36を第2モードに切り替えると、制御モジュール320の制御部32は、第2配線38を介して測温抵抗部31と接続される。すなわち、ショーケースScが第1モードの冷凍運転状態である場合に、測温抵抗部31と制御部32とは、比較的抵抗値が大きい第1抵抗371を介して接続され、ショーケースScが第2モードの冷蔵運転状態である場合に、測温抵抗部31と制御部32とは、比較的抵抗値が小さい第2抵抗381を介して接続される。
【0075】
第6ステップS6では、各中継ユニットからの測定信号を制御装置Ctの無線通信部24が受信する。制御部22は、受信した測定信号に含まれる測定データを、記憶部23に記憶する処理や、表示部21に表示する処理等を行う。第6ステップS6のより詳細な例については、後述する。
【0076】
第7ステップS7では、制御装置Ctに記憶された測定データを、設定装置Sdが読み込む。設定装置Sdによる読み込みは、たとえば一定の時間間隔(周期)で行われる。設定装置Sdは、読み込んだ測定データについて、たとえばアプリケーションを利用して、より見やすいように複数の測定データをまとめて表示したり、店舗の店員へのアラート表示、定期的なレポート出力、等を行う。
【0077】
次に、センサDにおける第1モードと第2モードとが自動的に切り替えられる構成例について、図10および図11を参照して以下に説明する。
【0078】
図10に示すグラフは、いずれかのセンサDの測定を示しており、横軸が時間tであり、縦軸が測定温度Tである。図11は、センサDの第1モードおよび第2モードを自動的に切り替える動作を示すフローチャートである。図10において、第1モードのセンサDが測定対象として想定している温度範囲が、第1温度範囲Tr1であり、第2モードのセンサDが測定対象として想定している温度範囲が、第2温度範囲Tr2である。なお、第1モードのセンサDは、第1温度範囲Tr1を超えた範囲の温度を測定可能であってもよいし、第2モードのセンサDは、第2温度範囲Tr2を超えた範囲の温度を測定可能であってもよい。第1温度範囲Tr1は、第1モード下限温度TL1および第1モード上限温度TU1によって規定されている。第1モード下限温度TL1は、第1温度範囲Tr1の下限の温度である。第1モード上限温度TU1は、第1温度範囲Tr1の上限の温度である。第1モードが冷凍運転状態に対応する場合、第1モード下限温度TL1は、たとえば-30℃に設定され、第1モード上限温度TU1は、たとえば10℃に設定される。
【0079】
第2温度範囲Tr2は、第2モード下限温度TL2および第2モード上限温度TU2によって規定されている。第2モード下限温度TL2は、第2温度範囲Tr2の下限の温度である。第2モード上限温度TU2は、第2温度範囲Tr2の上限の温度である。第2モードが冷蔵運転状態に対応する場合、第2モード下限温度TL2は、たとえば-10℃に設定され、第2モード上限温度TU2は、たとえば30℃に設定される。
【0080】
第1温度範囲Tr1と第2温度範囲Tr2は、互いの一部ずつが重なる範囲に設定される。すなわち、第1モード上限温度TU1は、第2モード下限温度TL2よりも高い温度に設定される。
【0081】
また、本実施形態では、第1閾値温度TT1および第2閾値温度TT2が設定されている。第1閾値温度TT1は、第2モード下限温度TL2以上であって、第1モード上限温度TU1以下の温度である。第2閾値温度TT2は、第2モード下限温度TL2以上であって、第1閾値温度TT1未満の温度である。図10に示された例においては、第1閾値温度TT1が第1モード上限温度TU1よりも若干低い温度に設定されており、第2閾値温度TT2が第2モード下限温度TL2よりも若干高い温度に設定されているが、これは一例である。たとえば、第1閾値温度TT1を第1モード上限温度TU1と等しい温度に設定し、第2閾値温度TT2を第2モード下限温度TL2と等しい温度に設定してもよい。
【0082】
また、警告温度TWをさらに設定してもよい。警告温度TWは、第2モード上限温度TU2よりも高く、たとえば冷凍運転、冷蔵運転および霜取り運転等の正常状態においては、測定温度Tが到達しないと想定される温度である。本実施形態においては、たとえば35℃程度に設定される。
【0083】
第1モード下限温度TL1、第1モード上限温度TU1、第2モード下限温度TL2、第2モード上限温度TU2、第1閾値温度TT1、第2閾値温度TT2および警告温度TWの設定手法は、何ら限定されない。センサDの初期設定において、個別に設定されてもよいし、設定装置Sdおよび制御装置Ctのいずれかから送信される制御信号に、これらの温度を設定する情報が含まれていてもよい。
【0084】
同図においては、上述の第5ステップS5における各センサDの測定が、一定の時間間隔である第1周期Pr1で行われる。一方、上述の第7ステップS7における設定装置Sdによる測定データの読み込みは、一定の時間間隔である読込周期Praで行われる。読込周期Praは、第1周期Pr1よりも短い周期である。また、本実施形態においては、読込周期Praは、後述の第2周期Pr2よりも短い周期である。
【0085】
時刻t1においては、センサDは、第1モードに設定されている(ステップS21:Yes)。この際には、センサDは、第1温度範囲Tr1を対象とした測定を行う(図中の時刻t1を含む斜線範囲)。
【0086】
次に、時刻t2では、測定温度Tが第2閾値温度TT2よりも高い値となっている。また、時刻t2の測定温度Tは、第2閾値温度TT2よりも低い値である(ステップS22:Yes)。このセンサDの制御部32は、測定温度Tが第2閾値温度TT2よりも低い温度から第2閾値温度TT2よりも高い温度に変化したと判断し、スイッチ部36を第2モードに切り替える(ステップS23)。これにより、センサDは、第2温度範囲Tr2を対象とした測定を行う(図中の時刻t2以降を含む斜線範囲)。
【0087】
時刻t2以降は、図示されたグラフでは、測定温度Tが、第1閾値温度TT1を超える値となっている。ただし、図示されたグラフでは、測定温度Tは、第2モード上限温度TU2よりも低い値である。
【0088】
次に、時刻t3では、センサDは、第2モードに設定されている(ステップS21:No、ステップS24:Yes)。時刻t4では、測定温度Tが第1閾値温度TT1よりも低い値となっている。また、時刻t3の測定温度Tは、第1閾値温度TT1よりも高い値である(ステップS25:Yes)。センサDの制御部32は、測定温度Tが第1閾値温度TT1よりも高い温度から第1閾値温度TT1よりも低い温度に変化したと判断し、スイッチ部36を第1モードに切り替える(ステップS26)。これにより、センサDは、第1温度範囲Tr1を対象とした測定を行う(図中の時刻t4以降を含む斜線範囲)。
【0089】
次に、センサDの作用について説明する。
【0090】
センサDでは、第1モードに設定されている場合に、測定温度Tが第2閾値温度TT2よりも低い温度から第2閾値温度TT2よりも高い温度に変化すると、制御部32がスイッチ部36を第2モードに切り替える。また、第2モードに設定されている場合に、測定温度Tが第1閾値温度TT1よりも高い温度から第1閾値温度TT1よりも低い温度に変化すると、制御部32がスイッチ部36を第1モードに切り替える。したがって、第1温度範囲Tr1と第2温度範囲Tr2との一部ずつが重なるように設定されている場合であっても、第1モードと第2モードとを、制御装置Ct等からの制御指令によらず、センサDが自動的に行うことができる。
【0091】
センサDが取り付けられるショーケースScは、冷凍食品を陳列する際の冷凍運転(第1モード)と、冷蔵食品を陳列する際の冷蔵運転(第2モード)とが、切り替えられる。一般的にこれらの運転での管理温度は、HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point、食品等の安全性を確保しようとする衛生管理の手法)に基づいて、野菜、鮮魚、加工肉、冷凍食品などのそれぞれの食品ごとに異なる場合がある。たとえば、ある日に冷凍食品の特売を行うために、冷凍運転(第1モード)に設定されたショーケースScが、次の日には、特売が終了し、冷蔵運転(第2モード)に設定されることがある。このように、ショーケースScの冷凍運転(第1モード)と冷蔵運転(第2モード)とが頻繁に切り替えられる場合であっても、このショーケースScに取り付けられたセンサDを使用者等が設定装置Sd等を利用して設定処理を行うことなく、自動的に第1モードと第2モードとを切り替えることができる。
【0092】
また、図10に示すように、設定装置Sdによる読込周期Praは、センサDの測定周期である第1周期Pr1および第2周期Pr2よりも短い周期に設定されている。仮に、設定装置Sdによる読込周期Praが、センサDの測定周期である第1周期Pr1および第2周期Pr2よりも長い場合には、センサDによる複数回の計測データのいずれかを、設定装置Sdが読み込めず、読み込み漏れが生じるおそれがある。本実施形態の読込周期Praが測定周期よりも短いことにより、読み込み漏れを抑制することができる。特に、食品などの衛生管理を行う場合には、迅速な確認が必要となるため、注意喚起をタイミングのよい報知を行う無線通信システムを提供できる。また、センサDの測定周期は、センサDから送信する測定データを含む測定信号を、制御装置Ctが受信する間隔としてもよい。
【0093】
図12は、ステップS5におけるセンサDの測定信号の送信処理の一例を示している。時刻t1~t6は、たとえば上述の第1周期Pr1でステップS5を行う時刻であり、図10の時刻とは独立して定義されたものである。(a)のn回目の測定信号送信では、複数回の測定データを含む測定信号を送信する。図示された例においては、各測定信号が、連続した時刻t1~t3の3回の測定データを含んでいる。図中の実線白丸は、当該送信における測定信号に含まれる測定データを示している。
【0094】
(b)のn+1回目の測定信号送信では、時刻t2~t4の測定データを含む測定信号が送信される。図中の黒丸は、既に送信が完了した測定データを示している。ここで、無線通信ネットワークCn1の無線通信でのデータ欠損が生じた場合、n+1回目の測定信号送信が適切に完了できないことがある。この場合、時刻t4の測定データが、未だ送信されていない状態となる。図中の破線白丸は、送信されているべき測定データであって、未だ送信されていない測定データを示している。
【0095】
(c)のn+2回目の測定信号送信では、時刻t3~t5の測定データを含む測定信号が送信される。今回の送信が適切に行われると、n+1回目の測定信号送信で送信されなかった時刻t4の測定データが、センサDから制御装置Ctに送信される。
【0096】
(d)のn+3回目の測定信号送信で、時刻t4~t6の測定データを含む測定信号が送信される。この後は、たとえば、測定動作の一旦停止や完了の司令がなされるまで、同様の測定信号送信が行われる。
【0097】
このような構成によれば、無線通信ネットワークCn1において、偶発的なデータ欠損が生じた場合であっても、次回、または次々回の送信によって、データ送信を補うことが可能である。したがって、いずれかの測定信号(測定データ)が制御装置Ctの記憶部23に記憶されずに、データ記憶に漏れが生じることを抑制することができる。なお、1回の送信処理で送信される測定信号の個数は何ら限定されず、2つでもよいし、4つ以上でもよい。
【0098】
図13および図14は、上述の第6ステップS6および第7ステップS7における処理の一例を示している。図13は、図10と同様のグラフであり、時刻t1~t4は、上述の時刻とは独立して定義されたものである。図14は、当該処理を示すフローチャートである。
【0099】
図14のステップS5で、各センサDからの測定信号が、無線通信ネットワークCn1を介して制御装置Ctに送信される。時刻t1では、センサDのスイッチ部36は、第2モードに設定されている。また、このセンサDの測定周期は、第1周期Pr1に設定されている。測定温度Tは、第2温度範囲Tr2に含まれており、第2モード上限温度TU2よりも低い値である(ステップS6-1:No)。この場合、制御装置Ctは、当該センサDが取り付けられたショーケースScは、冷蔵運転または冷凍運転を行う通常の状態であると判断し、センサDによる測定を継続させる(ステップS6-3)。
【0100】
次に、時刻t2では、測定温度Tが第2モード上限温度TU2を超えている(ステップS6-1:Yes)。制御装置Ctは、この測定データを含む測定信号を受信すると、当該センサDの測定周期を、第2周期Pr2に設定するように、制御信号を送信する(ステップS6-2)。この制御信号を受けたセンサDの制御部32は、測定周期を第2周期Pr2に設定する。第2周期Pr2は、第1周期Pr1よりも短い周期であり、たとえば第1周期Pr1の1/10程度である。
【0101】
また、設定装置Sdは、制御装置Ctから各センサDの設定状態を読み取る。設定装置Sdは、測定周期が第2周期Pr2に設定されたセンサDが設置されたショーケースScが霜取り運転であると判断する(ステップS7-1)。設定装置Sdは、たとえば、当該ショーケースScが霜取り運転であることを、当該ショーケースScの動作履歴として記憶する。また、所定のアプリケーションによって、設定装置Sdの表示部51に霜取り運転であることを表示してもよい。
【0102】
次に、時刻t3では、測定温度Tが第2モード上限温度TU2よりも低い値となっている。そして、時刻t4の測定温度Tを含め、複数回の連続した測定温度Tが、第2モード上限温度TU2よりも低い値となっている。この状況を制御装置Ctから読み取った設定装置Sdは、当該センサDが取り付けられたショーケースScの霜取り運転が完了し、冷蔵運転等に移行したと判断する。そして、設定装置Sdからの指示により、測定周期を第1周期Pr1に設定する制御信号が、当該センサDに送信される。このセンサDでは、測定周期が第1周期Pr1に設定され、時刻t1以降の測定が行われる。
【0103】
このような構成によれば、測定温度Tが第2モード上限温度TU2よりも高い値になると、センサDの測定周期が第1周期Pr1よりも短い第2周期Pr2に設定される。このため、その後のショーケースScの温度変化がどのような履歴を辿るかを、より緻密に監視することが可能である。また、時刻t2において、霜取り運転であると判断することにより、設定装置Sdを操作する使用者等が、いずれかのショーケースScが霜取り運転であると推測されることをより迅速に認識することができる。特に、食品などの衛生管理を行う場合には、迅速な確認が必要となるため、注意喚起をタイミングのよい報知を行う無線通信システムを提供できる。
【0104】
図15図17は、上述の第6ステップS6および第7ステップS7における処理の他の例を示している。図15および図16は、図10および図13と同様のグラフであり、時刻t1~t6は、上述の時刻とは独立して定義されており、図15および図16においてもそれぞれ独立して定義されたものである。図17は、当該処理を示すフローチャートである。
【0105】
図15に示す例では、時刻t1に、センサDのスイッチ部36は、第2モードに設定されている。また、このセンサDの測定周期は、第1周期Pr1に設定されている。測定温度Tは、第2温度範囲Tr2に含まれており、第2モード上限温度TU2よりも低い値である(ステップS6-1:No)。この場合、制御装置Ctは、当該センサDが取り付けられたショーケースScは、冷蔵運転または冷凍運転を行う通常の状態であると判断し、センサDによる測定を継続させる(ステップS6-3)。
【0106】
次に、時刻t2では、測定温度Tが第2モード上限温度TU2を超えている(ステップS6-1:Yes)。制御装置Ctは、この測定データを含む測定信号を受信すると、当該センサDの測定周期を、第2周期Pr2に設定するように、制御信号を送信する(ステップS6-2)。この制御信号を受けたセンサDの制御部32は、測定周期を第2周期Pr2に設定する。
【0107】
ショーケースScが霜取り運転を行っている場合、ショーケースScの庫内温度は、たとえば第2モード上限温度TU2付近に設定され、警告温度TWよりも低い温度に制御される。このため、複数回の測定温度Tが、第2モード上限温度TU2に近い値となる。そして、時刻t3では、測定温度Tが第2モード上限温度TU2よりも低い値となる。しかし、時刻t3の後も、測定温度Tは第2モード上限温度TU2付近の値となっており、時刻t4には、測定温度Tは再び第2モード上限温度TU2よりも高い値となっている。この状況を設定装置Sdが制御装置Ctから読み取ると、設定装置Sdは、このセンサDが取り付けられたショーケースScは、霜取り運転を行っており、庫内温度は、霜取りに適した温度に適切に維持制御されていると判断する(ステップS7-1:Yes)。このため、設定装置Sdは、このセンサDの測定周期を第1周期Pr1に復帰させる制御信号を、制御装置Ctから送信させる(ステップS7-2)。これにより、時刻t4以降は、センサDが第1周期Pr1で測定を継続する。
【0108】
図16に示す例では、時刻t1において測定温度Tが第2モード上限温度TU2よりも低く(ステップS6-1:No)、時刻t2において測定温度Tが第2モード上限温度TU2よりも高い値となっている(ステップS6-1:Yes)。このため、このセンサDの測定周期が第2周期Pr2に変更される(ステップS6-2)。さらに、時刻t3では、霜取り運転であると判断できる状況を超えて(ステップS7-1:No)、測定温度が警告温度TWよりも高い値となっている(ステップS7-3:Yes)。この状況を、設定装置Sdが制御装置Ctから読み取ると、設定装置Sdは、このセンサDが取り付けられたショーケースScが冷蔵運転、冷凍運転、霜取り運転等が適切に設定された正常状態ではなく、冷蔵運転、冷凍運転、霜取り運転等のいずれにも該当しない異常状態であると判断する。この場合、設定装置Sdは、このショーケースScが異常状態であることを報知する(ステップS7-5)。異常状態の報知の具体例としては、たとえば設定装置Sdの表示部51にアラート表示をすること、あるいは、店舗の店員の携帯端末等にアラートメールを送信する、照明器具Lや警告灯(図示略)を点滅させる、スピーカ(図示略)から警告音を発する、等が挙げられる。
【0109】
時刻t4に測定温度Tが第2モード上限温度TU2よりも低くなると、制御装置Ctは、このセンサDの測定周期を第1周期Pr1に変更する。そして、時刻t5には、測定温度Tが、再び第2モード上限温度TU2よりも高い値となっている(S6-1:Yes)。このため、このセンサDの測定周期が、再び第2周期Pr2に変更される(S6-2)。時刻t5以降の複数回の測定では、測定温度Tは、警告温度TWよりも低い値である(ステップS7-3:No)。この場合、設定装置Sdは、このセンサDの測定周期が継続して第2周期Pr2に設定された回数が、予め定められた所定の回数以上になった場合に(ステップS7-4:Yes)、このセンサDが取り付けられたショーケースScは、たとえば時刻t6に異常状態であると判断し、報知する(ステップS7-5)。
【0110】
図15に示す例においても、ショーケースScの温度変化がどのような履歴を辿るかを、より緻密に監視することが可能である。また、時刻t2において、霜取り運転であると判断することにより、設定装置Sdを操作する使用者等が、いずれかのショーケースScが霜取り運転であると推測されることをより迅速に認識することができる。また、第2モード上限温度TU2を基準として、測定温度Tの温度変化を監視することにより、ショーケースScが安定して霜取り運転を行っていると認識できる場合に、測定周期を第1周期Pr1に設定し、測定回数が過度に多くなることを回避することができる。
【0111】
図16に示す例においては、測定温度Tが警告温度TWを超えた場合にショーケースScが故障と判断し、報知する(ステップS7-5)。これにより、安定した霜取り運転とは異なる状態にショーケースScが陥った場合に、設定装置Sdを操作する使用者等に当該異常をより早く認識させることができる。また、第2周期Pr2で計測を行う回数が所定回以上である場合は(ステップS7-4:Yes)、ショーケースScが安定した霜取り運転ではなく、庫内温度が意図せず高い温度に留まってしまっていることが懸念される。このような場合に、ショーケースScが故障であると判断することにより(ステップS7-5)、ショーケースScの様々な態様の故障に、より迅速に対応することができる。
【0112】
図18図19
図18および図19は、本発明の第2実施形態に係る無線通信システムを示している。本実施形態の無線通信システムA2は、計時ユニットTkを備えている。また、無線通信システムA2は、外部記憶装置Esを備えている。
【0113】
計時ユニットTkは、制御装置Ctおよび複数の中継ユニットとともに、無線通信ネットワークCn1を構成している。計時ユニットTkは、たとえばFM電波を受信することにより、標準時等の正確な時刻情報を保有している。計時ユニットTkは、時刻情報を含む時刻信号を無線通信ネットワークCn1を介して送信する。
【0114】
外部記憶装置Esは、無線通信ネットワークCn1の外部に設置されており、たとえばサーバ、商用クラウド等である。外部記憶装置Esと制御装置Ctとの通信は、たとえば商用インターネット回線や専用回線等が利用される。外部記憶装置Esは、無線通信システムA2を構成する複数の照明器具Lや複数のセンサDが設置された店舗等の特定空間から離れた場所において、外部使用者が随時アクセス可能とされている。制御装置Ctは、たとえば収集した測定データを外部記憶装置Esに保存してもよい。外部使用者は、外部記憶装置Esに保存された滞在人数等の情報をそのまま、または任意に加工して、種々に利用可能である。たとえば、外部使用者は、これらのデータをデジタルサイネージなどの電光掲示板、大型スクリーン(いずれも図示略)、移動端末に表示してもよい。
【0115】
図19は、無線通信システムA2の動作例を示している。ステップS11では、計時ユニットTkが、無線通信ネットワークCn1を介して複数の中継ユニット(複数の照明器具L1~Lnおよび複数のセンサD1~Dn)に時刻信号を送信する。各中継ユニットでは、時刻信号に含まれる時刻情報に基づいて、自ユニットの時刻合わせ処理を行う。この時刻合わせ処理は、すべての中継ユニットで実行してもよいし、一部の中継ユニットで実行してもよい。以降の説明においては、複数の照明器具Lにおいて時刻合わせ処理が実行され、複数のセンサDでは実行されない場合を例に説明する。
【0116】
次いで、センサD1が、たとえば第1周期Pr1で測定した測定データM1(たとえば、測定温度5℃)を含む測定信号Sm1を送信する(ステップS12-1)。測定信号Sm1を受信した照明器具Lnは、測定信号Sm1にタイムスタンプ(たとえば8:00)を付与し、無線通信ネットワークCn1を介して測定信号Sm1を転送する(ステップS13)。測定信号Sm1を受信した照明器具L1は、無線通信ネットワークCn1を介して測定信号Sm1を制御装置Ctに転送する(ステップS14-1)。
【0117】
照明器具L1から測定信号Sm1を受信した制御装置Ctは、照明器具L1以外の中継ユニットから送信される送信データのデータ量を確認し、測定データの格納処理を行うかを判断する(ステップS15-1)。当該データ量が所定量を超えている場合、照明器具L1からの測定信号Sm1のデータ受信を禁止する(ステップS15-2)。ステップS15-2を受けて、照明器具L1では、一定の時間間隔(たとえば20sec毎)で測定信号Sm1の転送を繰り返す(ステップS15-3)。
【0118】
また、センサDnは、たとえば第2周期Pr2で測定した測定データMn(たとえば測定温度4℃)を含む測定信号Smnを送信する(ステップS12-2)。測定信号Sm1を受信した照明器具Lnは、測定信号Smnにタイムスタンプ(たとえば8:20)を付与し、無線通信ネットワークCn1を介して測定信号Smnを転送する(ステップS16)。測定信号Smnを受信した照明器具L1は、無線通信ネットワークCn1を介して測定信号Smnを制御装置Ctに転送する(ステップS14-2)。
【0119】
照明器具L1から測定信号Sm1を受信した制御装置Ctは、照明器具L1以外の中継ユニットから送信される送信データのデータ量を確認し、測定データの格納処理を行うかを判断する(ステップS15-3)。当該データ量が所定量を超えていない場合、照明器具L1からの測定信号Sm1(測定時刻8:00、測定温度5℃)と測定信号Smn(測定時刻8:20、測定温度4℃)とを受信する(ステップS15-4)。
【0120】
本実施形態によっても、識別アドレスおよび動作条件を同一の設定装置を用いて設定することができる。また、複数のセンサDの個数が多数である場合には、大量のデータ送受が発生する。これらのデータ送受は、非同期で転送されるため、データ量の増大に伴って、通信トラフィックが逼迫し、データ欠損やノイズ発生が懸念される。本実施形態によれば、データ送受のピーク時のデータ量を低減することが可能であり、データ量の平準化を図ることが可能である。これにより、データ欠損やノイズ発生を抑制することができる。また、測定信号に、タイムスタンプが含まれていることにより、制御装置Ctでのデータ受信を意図的に禁止し、制御装置Ctによる測定信号の受信を遅らせたとしても、測定信号に含まれる測定データが、いずれの時刻に測定されたデータであるかを的確に把握することができる。
【0121】
図20および図21は、本発明の第3実施形態に係る無線通信システムおよび管理システムを示している。図20に示すように、本実施形態の管理システムBは、複数の無線通信システムA3とクラウドCLとを備えている。
【0122】
無線通信システムA3は、複数の照明器具L、複数のセンサDおよび制御装置Ctを備える無線通信ネットワークCn1と、複数の照明器具Lおよび複数のセンサDに無線通信ネットワークCn1で使用する識別アドレスを設定する設定装置Sdと、によって構成されており、無線通信システムA1,A2と共通または類似の構成要素を含む。また、無線通信システムA3においては、制御装置Ctおよび設定装置Sdの少なくともいずれか、または双方が、クラウドCLと通信を行う。制御装置Ctまたは設定装置SdとクラウドCLとの通信は、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよいし、双方が組み合わされた通信であってもよく、たとえば公衆通信網(インターネット)を介して通信を行う。複数の無線通信システムA3の各々は、たとえばチェーンストアを構成する各店舗に設置されている。
【0123】
クラウドCLは、たとえば商用クラウドサービス等によって構築されており、処理部61、保存部62および通信部63を有する。処理部61は、後述のクラウドCLの動作を制御するものであり、たとえばCPU等が用いられる。保存部62は、無線通信システムA3からの測定データ等を保存するものであり、半導体メモリ、ハードディスク等が用いられる。通信部63は、たとえば公衆通信網(インターネット)を介して、複数の無線通信システムA3と通信を行うものであり、有線通信および無線通信のいずれかまたは双方が可能である。
【0124】
図21は、管理システムB3の動作の一例を示している。ステップS31では、無線通信システムA3の各センサDが、温度測定を行い、測定信号を制御装置Ctに送信する。ステップS32では、制御装置Ctが受信した測定信号に含まれる測定データを記憶部23に保存する。ステップS33では、設定装置Sdが、制御装置Ctに記憶された測定データを読み込む。本例では、ステップS34で、設定装置SdがクラウドCLに測定データを送信する。また、設定装置Sdは、測定データに併せて、あるいは測定データに代えて、各センサDの測定周期(第1周期Pr1、第2周期Pr2)の時系列の設定状況、各センサDの第1モード、第2モードの時系列の設定状況、各ショーケースScの冷蔵運転、冷凍運転、霜取り運転、等の時系列の運転状況、各ショーケースScでの異常状態の発生状況、等をクラウドCLに送信してもよい。
【0125】
ステップS35では、クラウドCLの通信部63が無線通信システムA3から送信された測定データ等を受信する。ステップS36では、通信部63が受信した測定データ等を、処理部61が保存部62に保存する。ステップS37では、処理部61が一定のサイクルで、保存部62に保存された測定データ等を読み込む。そして、処理部61は、各無線通信システムA3の各センサDおよび各ショーケースScの履歴状況を示すデータを学習し、ショーケースScがどのような状態であるかを識別する。処理部61による学習としては、測定データや、各センサDの測定周期(第1周期Pr1、第2周期Pr2)の時系列の設定状況、各センサDの第1モード、第2モードの時系列の設定状況、各ショーケースScの冷蔵運転、冷凍運転、霜取り運転、等の時系列の運転状況、各ショーケースScでの異常状態の発生状況、等を繰り返し読み込み、蓄積する。そして、測定データや、各センサDの測定周期(第1周期Pr1、第2周期Pr2)の時系列の設定状況、各センサDの第1モード、第2モードの時系列の設定状況、各ショーケースScの冷蔵運転、冷凍運転、霜取り運転、等の時系列の運転状況と、各ショーケースScでの異常状態の発生状況との因果関係の推測モデルを構築する。推測モデルの構築には、たとえば従来公知の人工知能プログラム等を用いてもよい。
【0126】
処理部61は、設定装置Sdから送信されたデータに、いずれかのショーケースScが異常であることを示す情報が含まれていた場合、あるいは、学習に基づく識別によって、あるショーケースScに異常が発生していると推測される場合、アラート信号を送信する(ステップS39)。このアラート信号は、たとえば通信部63から、公衆通信網(インターネット)を介して、チェーンストアの本部にあるPCやサーバ等に送信される。
【0127】
このような構成によれば、クラウドCLを介して、本部のPCやサーバ等によって、各店舗のショーケースScの動作状況をより容易に管理することができる。本部では、たとえば、蓄積された各店舗の複数のショーケースScの動作状況を利用して、HACCP用の報告書を出力すること等が可能となる。
【0128】
測定データや、各センサDの測定周期(第1周期Pr1、第2周期Pr2)の時系列の設定状況、各センサDの第1モード、第2モードの時系列の設定状況、各ショーケースScの冷蔵運転、冷凍運転、霜取り運転、等の時系列の運転状況に基づいて、各ショーケースScでの異常状態の発生を推測することにより、多数の店舗に多数のショーケースScが設置されている場合等に、これら複数のショーケースScについて、統一的な基準で、異常状態の発生有無を把握することが可能である。また、より多くのショーケースScの運転状況を学習することにより、異常状態の発生の推測精度を高めることができる。
【0129】
本発明に係るセンサ、無線通信システムおよび管理システムは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るセンサ、無線通信システムおよび管理システムの具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0130】
D :センサ
A1,A2,A3:無線通信システム
B :管理システム
10 :制御基板
11 :光源部
12 :制御部
13 :記憶部
14 :無線通信部
15 :電源部
21 :表示部
22 :制御部
23 :記憶部
24 :無線通信部
25 :電源部
30 :制御基板
31 :測温抵抗部
32 :制御部
33 :記憶部
34 :無線通信部
35 :電源部
36 :スイッチ部
37 :第1配線
38 :第2配線
51 :表示部
52 :制御部
53 :記憶部
54 :無線通信部
55 :電源部
58 :操作部
61 :処理部61
62 :保存部62
63 :通信部63
80 :筐体
81 :天部
82 :棚部
83 :電源部
84 :ケーブル
85 :照明灯
120 :制御モジュール
140 :通信モジュール
320 :制御モジュール
340 :通信モジュール
361 :第1接点
362 :第2接点
363 :第3接点
371 :第1抵抗
381 :第2抵抗
Cn1 :無線通信ネットワーク
Ct :制御装置
CL :クラウド
Es :外部記憶装置
L :照明器具
M1,Mn :測定データ
Pr1 :第1周期
Pr2 :第2周期
Pra :読込周期
Sc :ショーケース
Sd :設定装置
T :測定温度
TL1 :第1モード下限温度
TL2 :第2モード下限温度
TT1 :第1閾値温度
TT2 :第2閾値温度
TU1 :第1モード上限温度
TU2 :第2モード上限温度
TW :警告温度
Te :操作端末
Tk :計時ユニット
Tr1 :第1温度範囲
Tr2 :第2温度範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21