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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023021326
(43)【公開日】2023-02-10
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/43 20200101AFI20230202BHJP
【FI】
D06F33/43
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199842
(22)【出願日】2022-12-14
(62)【分割の表示】P 2020129832の分割
【原出願日】2020-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】戎家 嵩二
(57)【要約】
【課題】構成がシンプルでありつつ、洗濯槽を衛生的に維持することが可能な洗濯機の提供を目的とした。
【解決手段】洗濯機10は、洗濯槽排気部34及び洗濯槽吸気部32を有する水槽30及び回転槽40を含む洗濯槽20と、給水部82と、水槽30に供給された水を加熱するヒータと、ヒータにより加熱された水の温度を検知する温度センサと、ヒータが水没するように水を貯留できる貯留部と、貯留部に貯留された水をヒータにより加熱しつつ回転槽40を回転させるメンテナンス運転を実行する制御部110と、洗濯槽20に対して送風可能な送風装置72と、洗濯槽排気部34から洗濯槽吸気部32に至る経路である送風経路50と、を有し、洗濯槽20の排気側に連通した排気側連通部52が送風経路50に含まれ、メンテナンス運転において回転槽20の回転を開始するよりも前に排気側連通部52に水を流す。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯槽排気部および洗濯槽吸気部を有する水槽、及び前記水槽内に回転可能に設けられる回転槽を含む洗濯槽と、
前記水槽に対して給水する給水部と、
前記水槽に供給された水を加熱するヒータと、
前記ヒータにより加熱された水の温度を検知する温度センサと、
前記給水部により給水された水を前記ヒータが水没するように貯留できる貯留部と、
前記貯留部に貯留された水を前記ヒータにより加熱することでスチームを発生しつつ前記回転槽を回転させるメンテナンス運転を実行する制御部と、
前記洗濯槽に対して送風可能な送風部と、
前記送風部により送り出される空気が流れる経路であって、前記洗濯槽排気部から前記洗濯槽吸気部に至る経路である送風経路と、を有し、
前記洗濯槽の排気側に連通した連通部が前記送風経路に含まれ、
前記メンテナンス運転において前記回転槽の回転を開始するよりも前に、前記給水部から前記連通部に水を流すこと、を特徴とする洗濯機。
【請求項2】
洗濯槽排気部および洗濯槽吸気部を有する水槽、及び前記水槽内に回転可能に設けられる回転槽を含む洗濯槽と、
前記水槽に対して給水する給水部と、
前記水槽に供給された水を加熱するヒータと、
前記ヒータにより加熱された水の温度を検知する温度センサと、
前記給水部により給水された水を前記ヒータが水没するように貯留できる貯留部と、
前記貯留部に貯留された水を前記ヒータにより加熱することでスチームを発生しつつ前記回転槽を回転させるメンテナンス運転を実行する制御部と、
前記洗濯槽に対して送風可能な送風部と、
前記送風部により送り出される空気が流れる経路であって、前記洗濯槽排気部から前記洗濯槽吸気部に至る経路である送風経路と、を有し、
前記洗濯槽の排気側に連通した連通部が前記送風経路に含まれ、
前記メンテナンス運転よりも前に、前記給水部から前記連通部に水を流すこと、を特徴とする洗濯機。
【請求項3】
前記連通部は、水受部と接続され、
前記給水部により供給された水が前記水受部にて受け入れられ、前記水受部に受け入れられた水を前記連通部に流すこと、を特徴とする請求項1または2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記給水部にオゾン発生用の電極が設けられ、
前記電極への通水と同時にオゾン水を発生させることで、前記連通部にオゾン水を供給すること、を特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項5】
前記メンテナンス運転よりも後に、前記洗濯槽の内部にある水を排水する、請求項1~4のいずれかに記載の洗濯機。
【請求項6】
前記洗濯槽に温風を供給できる温風供給部を有し、
前記メンテナンス運転よりも後に、前記温風供給部から前記洗濯槽に温風を供給する、請求項1~5のいずれかに記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記特許文献1に開示されている洗濯機のようなものが提供されている。特許文献1の洗濯機は、水槽内に回転可能に設けられたドラムと、ドラムを回転駆動するモータと、水槽内へ給水する給水弁と、水槽内の水を排水する排水弁と、水槽に設けられた吹出口および取込口に連通接続された風路と、風路を通して水槽内に送風する送風ファンと、ミストを発生させるミスト発生部と、水槽内に送風される空気を加熱するヒータと、洗濯運転を制御する制御部とを備えたものである。この洗濯機は、制御部による制御により、水槽およびドラムの洗浄を行う槽洗浄運転を実行し、槽洗浄運転において、ヒータで加熱された空気と、ミスト発生部で発生したミストを水槽内に供給するものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-14703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の洗濯機においては、槽洗浄運転を実行するために複雑な構成とならざるを得ないという課題がある。具体的には、上記特許文献1の洗濯機においては、ミスト発生部においてミストを発生させると共に、ヒータによって加熱された空気(加熱空気)を発生させ、送風ファンを作動させてミスト及び加熱空気をそれぞれ水槽内へ供給する構成とされている。このように、特許文献1の洗濯機は、水槽及び洗濯脱水槽を洗浄するのに複雑な動作や構成とならざるを得ないという課題がある。
【0005】
そこで本発明は、構成がシンプルでありつつ、洗濯槽を衛生的に維持することが可能な洗濯機の提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決すべく提供される本発明の洗濯機は、水槽、及び前記水槽内に回転可能に設けられる回転槽を含む洗濯槽と、前記水槽に対して給水する給水部と、前記水槽に供給された水を加熱するヒータと、前記ヒータにより加熱された水の温度を検知する温度センサと、前記給水部により給水された水を前記ヒータが水没するように貯留できる貯留部と、前記貯留部に貯留された水を前記ヒータにより加熱しつつ前記回転槽を回転させるメンテナンス運転を実行する制御部と、を有すること、を特徴とするものである。
【0007】
本発明の洗濯機は、メンテナンス運転を行うことにより、給水部によって供給されて貯留部に貯留された水をヒータによって加熱してスチームを発生させつつ、回転槽を回転させることによりスチームを洗濯槽の各部に行き渡らせることができる。そのため、本発明の洗濯機は、メンテナンス運転を行うことにより、洗濯槽の内部温湿度を略均一に上昇させることができる。これにより、洗濯槽におけるカビの発生や増殖を抑制できる。また、本発明の洗濯機は、貯留部に水没させたヒータを作動させてスチームを発生させるものであり、簡易な構成でメンテナンス運転に必要なスチーム量を確保できるとともに、スチームの発生に要する時間を最小限に抑制できる。従来技術の洗濯機のように複雑な動作や構成を必要とすることなく、スムーズにメンテナンス運転を行える。従って、本発明によれば、構成がシンプルでありつつ、洗濯槽を衛生的に維持することが可能な洗濯機を提供できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、構成がシンプルでありつつ、洗濯槽を衛生的に維持することが可能な洗濯機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る洗濯機を示す斜視図である。
図2図1に示した洗濯機の分解斜視図である。
図3図1の洗濯機が備える水槽、回転槽、及び送風経路の排気側連通部を示した斜視図である。
図4図3に示した各部材を別の角度から見た状態を示す斜視図である。
図5】(a)は水槽に対する発熱部、温度センサ、及び貯留部の取り付け状態を示す斜視図、(b)は(a)に示した水槽における発熱部等の取り付け位置近傍を示す断面図である。
図6】発熱部及び温度センサを示す平面図である。
図7】送風経路の中間部及び吸気側連通部をなす部分、及びこれに付随するフィルタ装置、温風供給部等を示した斜視図である。
図8図7に示した各部材を別の角度から見た状態を示す斜視図である。
図9図1の洗濯機が備える温風供給部及び周辺部を示した斜視図である。
図10】制御部の構成を示すブロック図である。
図11】メンテナンス運転の動作フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る洗濯機10について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明においては、先ず洗濯機10の基本構成について説明し、詳細な説明が必要な部分については、別途概略構成の説明を行い、さらに説明が必要な部分については概略説明の後に詳述する。また、上下左右等の位置関係についての説明は、特に断りのない限り洗濯機10を通常に設置した状態を基準としたものである。
≪洗濯機10の概略構成について≫
【0011】
図1に示すように、洗濯機10は、いわゆるドラム型の洗濯機である。図2図3に示すように、洗濯機10は、筐体12の内部に、水槽30及び回転槽40を含む洗濯槽20、送風経路50、温風供給部70、給排水部80、フィルタ部100、制御部110等を備えている。以下、洗濯機10の基本的構成について、具体的に説明する。
【0012】
図2図3に示すように、筐体12は、洗濯機10を構成する水槽30や、回転槽40、送風経路50、温風供給部70、給排水部80、フィルタ部100等を収容するものである。筐体12は、正面12a、背面12b、左側面12c、右側面12d、天面12e、及び底面12fを有し、上下方向に長い略直方体状の形状とされている。
【0013】
図1に示すように、筐体12は、正面12aに開閉部14を有する。開閉部14は、例えば図示例のように正面視で略円形の扉を備えたものとすることができる。また、開閉部14は、例えば正面12aから見て側方(図示例では左側)の端部に設けたヒンジによって、開閉可能なように支持されている。また、開閉部14は、ヒンジとは反対側にロック機構18(図10参照)を備えている。また、筐体12は、正面12a側であって天面12e側の位置に操作パネル部16を有する。操作パネル部16は、開閉部14の上方に位置している。操作パネル部16には、電源スイッチ、洗濯モード等を選択するためのスイッチ、表示部等が設けられている。
【0014】
図2図4に示すように、洗濯槽20は、水槽30及びこれに収容される回転槽40を有するものである。また、洗濯槽20は、発熱部22、温度センサ24、貯留部26等を備えている。
【0015】
水槽30は、ダンパーなどのサスペンション構造によって筐体12内に収容され、支持されている。水槽30は、円筒形で軸線方向一端側が開口し、他端側が閉塞されたものである。水槽30は、軸線方向が筐体12の正面側から背面側に向かう方向に延び、正面側に開口する姿勢で、筐体12の内側に配されている。すなわち、水槽30は、筐体12の正面12aに設けられた開閉部14に対応する位置において開口するように配置されている。水槽30は、後に詳述する給排水部80(給水部82及び排水部84)に対して配管接続されている。これにより、水槽30は、給水部82により外部から供給された水を内部に貯留したり、内部にある水を排水部84を介して外部に排出したりすることができる。水槽30は、洗濯槽吸気部32や、洗濯槽排気部34を備えている。
【0016】
洗濯槽吸気部32は、水槽30において正面12a側の位置に設けられている。本実施形態では、水槽30が、正面12a側にガスケット36を有するものとされており、このガスケット36に洗濯槽吸気部32が設けられている。また、洗濯槽排気部34は、水槽30において背面12b側の位置に設けられている。また、水槽30は、洗濯槽吸気部32及び洗濯槽排気部34を介して、後に詳述する送風経路50に対して接続されている。これにより、水槽30は、送風経路50を流れる空気を正面12a側の洗濯槽吸気部32から導入し、背面12b側の洗濯槽排気部34から排出することができる。なお、洗濯槽吸気部32は、ガスケット36に設けることで、回転槽40に吸気する構成を一例として説明したが、洗濯槽吸気部32を介して回転槽40内に吹き込む構成であってもよい。
【0017】
回転槽40は、水槽30の内部において回転可能なように収容された槽である。回転槽40は、円筒形で有底のものである。回転槽40は、水槽30と同様に、筐体12の正面12aに設けられた開閉部14に対応する位置において開口するように配置されている。そのため、洗濯機10は、開閉部14を開くことにより、回転槽40に対して洗濯物を出し入れ可能とされている。回転槽40は、水槽30の後部に配設されたモータ等の駆動機からなる回転槽駆動部42(図10参照)により回転駆動可能とされている。回転槽40は、内外を連通する開口が周部に複数設けられている。そのため、洗濯機10は、水槽30に水を貯留することにより、回転槽40の内部にも水を導入することができる。また、洗濯機10は、水槽30から水を排水することにより、回転槽40からも水を排出することができる。
【0018】
図5に示すように、上述した発熱部22や、温度センサ24、貯留部26は、水槽30に設けられている。発熱部22は、水槽30の内周面と、回転槽40の外周面との間に形成される空間内に配されている。発熱部22は、水槽30の内周面であって、筐体12の内部において底面12f側となる位置において、後述する貯留部26の内部に収容された状態で設けられている。これにより、水槽30の内側に水が導入されると優先的に水が溜まる部分に発熱部22が配置されている。なお、便宜上、図5(a)のように発熱部22及び温度センサ24を図示しているが、これらは水槽30の母線方向に沿う方向であれば発熱部22の長手方向の向きを入れ替えて配置しても良い。
【0019】
図6に示すように、発熱部22は、通電により発熱するヒータ22aを屈曲させて形成されたものである。ヒータ22aは、例えばPTCヒータ等のヒータによって構成されている。発熱部22は、ヒータ22aの基端側に端子部22bを有する。発熱部22は、水槽30の母線方向に沿う方向に長手方向が向くように配置されている。
【0020】
温度センサ24は、発熱部22の近傍に配置されている。本実施形態では、図6に示すように、温度センサ24は、発熱部22の端子部22bからヒータ22aと同一方向に突出するように設けられている。これにより、ヒータ22aの近傍において温度を計測可能とされている。
【0021】
貯留部26は、水槽30の内周面であって、筐体12の内部において底面側となる位置に設けられている。図5(b)に示すように、貯留部26は、上述した発熱部22のヒータ22aを収容すると共に、給水部82により水槽30の内部に供給された水を貯留可能なものである。貯留部26は、発熱部22のヒータ22aを収容可能な大きさとされている。本実施形態では、貯留部26の高さ方向中間部にヒータ22aが設けられている。そのため、図5(b)において二点鎖線に示すように、貯留部26が満杯になる水位まで水を溜めると、ヒータ22aが完全に水没した状態になる。
【0022】
貯留部26の大きさ(容量)は、洗濯機10の洗濯容量等に応じて適宜変更すると良い。貯留部26は、1.0[L]~2.5[L]の範囲内の容量を有するものであると良く、1.5[L]~2.0[L]の範囲内であるとさらに良い。貯留部26は、発熱部22と同様に、水槽30の母線方向に沿う方向に長手方向が向くように配置されている。貯留部26は、内部に水を貯留することにより、発熱部22のヒータ22aを水没させることができる大きさとされている。貯留部26には、その高さ方向中間部の位置に発熱部22のヒータ22aが位置決め固定されている。また、貯留部26には、排水用の孔(図示せず)や弁(図示せず)が設けられている。そのため、後に詳述するメンテナンス運転を行うときに貯留部26に水を溜めつつ、メンテナンス運転が完了した後は水を排水してカビの発生等を抑制できる。
【0023】
図2図3に示すように、送風経路50は、水槽30の外部において、水槽30の洗濯槽排気部34から洗濯槽吸気部32に至る送風用の経路をなすものである。すなわち、図3図7、及び図8において破線による矢印で示すように、送風経路50は、水槽30の洗濯槽排気部34を上流側とし、これよりも気流の流れ方向下流側にある水槽30の洗濯槽吸気部32まで気流を到達させるための経路である。送風経路50を介して送風することにより、水槽30の内部に、正面側から背面側に向かう気流を発生させることができる。送風経路50は、水槽30の外側における気流の流れ方向上流側(洗濯槽排気部34側)から下流側(洗濯槽吸気部32側)に向けて、排気側連通部52(連通部)、中間部54、吸気側連通部56の3つの部位に大別することができる。
【0024】
排気側連通部52は、水槽30の洗濯槽排気部34に対して連通する部分である。排気側連通部52は、連通部58及び水受部60を有する。連通部58は、水槽30に対して背面12b側において立ち上がるように形成された通路である。連通部58は、一端側(下端側)において洗濯槽排気部34に接続されている。これにより、連通部58は、洗濯槽排気部34から排出された空気を、下方から上方に向かう方向に流すことができる。また、連通部58の他端側は、水受部60に接続されている。水受部60は、後に詳述する給水部82により供給された水を受け入れると共に、受け入れた水を連通部58に落とし込むことにより、連通部58の内周面を洗浄するためのものである。
【0025】
中間部54は、送風経路50において、水槽30の洗濯槽排気部34を上流側とし、水槽30の洗濯槽吸気部32まで流れる気流の流れ方向中間部に位置している。すなわち、中間部54は、送風経路50において、水槽30の洗濯槽排気部34に繋がる排気側連通部52よりも送風経路50における気流の流れ方向下流側に位置する部分である。中間部54は、水槽30に対して天面12e側に存在している。中間部54は、筐体12の背面12b側から正面12a側に向けて延びるように配置されている。中間部54には、後に詳述するフィルタ部100が配置される。これにより、送風経路50を通過する空気中に含まれているリント等の異物を除去可能とされている。また、中間部54は、フィルタ部100に設けられた外気導入部140や内気排出部130を介して、送風経路50に外気を導入したり、送風経路50を流れる空気を排出させたりすることができる。
【0026】
吸気側連通部56は、送風経路50において、水槽30の洗濯槽排気部34を上流側とし、水槽30の洗濯槽吸気部32まで流れる気流の流れ方向下流側に位置している。すなわち、吸気側連通部56は、送風経路50において、中間部54に対して下流側に連なり、水槽30の洗濯槽吸気部32に繋がる部分である。吸気側連通部56は、中間部54と同様に水槽30に対して天面12e側に存在している。吸気側連通部56には、後に詳述する温風供給部70が配置される。これにより、中間部54においてフィルタ部100により異物が除去された空気を、温風供給部70が備える加熱装置74によって加熱することができる。吸気側連通部56は、終端部において洗濯槽吸気部32に接続されている。
【0027】
温風供給部70は、水槽30に設けられた洗濯槽吸気部32に温風を供給するためのものである。図9に示すように、温風供給部70は、送風装置72、及び加熱装置74を有する。送風装置72は、送風経路において気流を形成するためのものであり、例えば従来公知の送風ファン等によって構成できる。また、加熱装置74は、送風装置72の作動により送風経路50を流れる空気を加熱するものである。加熱装置74は、従来公知の電気式のヒータ等によって構成できる。
【0028】
図2図3に示すように、給排水部80は、給水部82、及び排水部84を有する。給水部82は、外部の給水源に接続される給水路を有し、水槽30に対して水を供給可能とされている。給水部82は、例えば、給水源から供給された水をそのまま水槽30に供給可能なものや、水槽30に至る給水路の中途において、別途設けられた投入部において投入された洗剤や柔軟剤等を水に混合させた混合水の状態で水槽30に供給可能なものとすることができる。排水部84は、給水部82とは別に水槽30に対して接続された排水路を有する。排水部84は、水槽30内にある水を前述した排水路を介して排出可能とされている。
【0029】
フィルタ部100は、上述した送風経路50の中途にある中間部54に配されるものである。フィルタ部100は、空気中に含まれているリント等の異物を捕集するためのものである。
【0030】
制御部110は、洗濯機10の動作制御を行うものである。制御部110は、図10に示すように洗濯機10の各部に対して電気的に接続されている。これにより、各部から制御部110に情報を入力したり、制御部110から各部に対して制御信号を出力したりすることができる構成とされている。具体的には、制御部110は、上述した操作パネル部16や、ロック機構18、回転槽駆動部42、発熱部22、温度センサ24、温風供給部70等、上述した洗濯機10を構成する各部に接続されている。また、制御部110は、記憶部112、タイマ114、報知部116、給水制御部118、排水制御部120、発熱制御部122等に接続されている。制御部110は、マイクロコンピュータで構成されている。
【0031】
記憶部112は、EEPROM、RAM等を含み、情報を記憶するために設けられたものである。記憶部112は、各種の運転コースに含まれる工程を実行するためのコンピュータプログラムを記憶している。また、記憶部112は、コンピュータプログラムの実行に用いられる各種パラメータや各種制御フラグを記憶する。タイマ114は、洗濯機10の運転に際し、洗濯運転や乾燥運転の運転時間等、時間計測が必要な場面において使用される。報知部116は、洗濯機10の動作状態等を報知するためのものである。報知部116は、例えば表示や音声等によって洗濯機10の動作状態を報知できるものとされている。また、給水制御部118及び排水制御部120は、給水部82及び排水部84に設けられた弁(図示せず)の動作制御を行うことにより、洗濯槽20等への給水及び排水を制御するものである。発熱制御部122は、ヒータ22aへの通電制御を行うことにより発熱部22の出力を調整するものである。
【0032】
制御部110は、記憶部112に記憶されているコンピュータプログラムを実行することにより、洗濯機10の全体の動作を制御する。すなわち、制御部110は、操作パネル部16を介してユーザから受け付けた要求や、温度センサ24をはじめとする各部に設けられたセンサ等から受信した検知信号に基づき、記憶部112に記憶されているコンピュータプログラムを実行する。これにより、制御部110は、ロック機構18や、発熱部22、回転槽駆動部42、温風供給部70、タイマ114、報知部116、給水制御部118、排水制御部120等に制御信号を出力し、各部の動作制御を行う。これにより、制御部110は、操作パネル部16を介してユーザから受け付けた要求に応じた運転を行うように各部を動作させる。
【0033】
洗濯機10は、概ね上述したような構成とされている。以下、上述した制御部110の制御のもとで行われる洗濯機10の動作について説明する。なお、以下の説明においては、洗濯機10の動作の概要について説明した後、洗濯機10に特有の動作について詳細に説明する。
【0034】
≪洗濯機10の動作概要≫
洗濯機10は、給排水部80により洗濯槽20に水を供給し、水槽30の内部で回転槽40を回転させることにより、回転槽40の中に投入された洗濯物の洗濯やすすぎを行う運転(洗濯運転)を行うことができる。また、洗濯槽20から水を抜いた状態で回転槽40を水槽30の内部で回転させることにより、洗濯物の脱水を行う運転(脱水運転)を行うこともできる。さらに、洗濯機10は、温風供給部70を作動させることにより、水槽30に接続された送風経路50を介して温風を循環させ、回転槽40内の洗濯物を乾燥する運転(乾燥運転)を行うこともできる。
【0035】
洗濯機10は、操作パネル部16を介してユーザから受け付けた要求に応じ、上述した各運転をそれぞれ個別に行うことが可能であるが、各運転を所定の順番で実施することにより、洗濯物の洗濯から、すすぎ、脱水、乾燥まで一連の動作として行うこともできる。また、本実施形態の洗濯機10は、これらの運転に加えて、洗濯槽20の内部においてスチームを発生させつつ、回転槽40を回転させることによりメンテナンス運転を行うことができる。メンテナンス運転についても、他の運転とは別に単独で実施したり、他の運転(図示例では脱水運転)に続いて一連の動作として行うこともできる。以下、メンテナンス運転について詳細に説明する。
【0036】
≪メンテナンス運転について≫
メンテナンス運転は、洗濯槽20を衛生的に維持するために行われる運転である。メンテナンス運転は、洗濯槽20に設けられた貯留部26に水を貯留した状態で発熱部22を作動させることによりスチームを発生させつつ、回転槽40を回転させることによって行われる。メンテナンス運転を行うことにより、洗濯槽20の内部温度を略均一に昇温させることができる。また、洗濯機10においては、温度センサ24の検知温度が所定温度Tを越えるまで、メンテナンス運転が継続される。具体的には、所定温度Tは、洗濯槽20の汚染抑制の観点からして、カビ等の菌類をはじめとする洗濯槽20の汚染原因となるものの発生や増殖の抑制等を考慮して最適な温度以上となるように規定される。本実施形態においては、カビを殺菌することを想定し、所定温度Tが50℃以上に設定されている。
【0037】
また、メンテナンス運転における回転槽40の回転速度Rmは、洗濯運転、すすぎ運転、及び脱水運転における回転槽40の回転速度のうち最大となる最大回転速度Rwよりも低速とされる。メンテナンス運転における回転速度Rmは、最大回転速度Rwの60~100[%]の範囲内であると良く、70~90[%]の範囲であるとさらに良い。本実施形態では、回転速度Rmは、最大回転速度Rwの80[%]とされている。
【0038】
洗濯機10は、送風装置72による送風を停止した状態においてメンテナンス運転を行う。また、洗濯機10は、メンテナンス運転を単独で行うのではなく、回転槽40に洗濯物を投入した状態で行われる洗濯運転や脱水運転、乾燥運転等に加えてメンテナンス運転を行う場合には、洗濯物を投入した状態で行う運転(以下、「洗濯物投入運転」とも称す)の後にメンテナンス運転を行う。また、洗濯機10は、回転槽40の内部に洗濯物が存在していないと想定される状態においてメンテナンス運転を行う。本実施形態では、洗濯物投入運転の後にメンテナンス運転を行う場合に、開閉部14が一旦開状態とされた後、開閉部14が再び閉状態に戻されることを条件として、回転槽40から洗濯物を取り出す作業が完了したものと推認し、メンテナンス運転を行う。なお、洗濯機10は、洗濯物の取り出しが不完全であるにも関わらずメンテナンス運転が開始された場合を想定し、例えば、ユーザが一時停止ボタンを押下して、一旦メンテナンス運転を停止した後、回転槽40から洗濯物を取り出して、再度メンテナンス運転を開始することもできる等の構成にすると良い。また、洗濯機10は、メンテナンス運転が行われた後に、排水制御部120による制御のもと排水部84の動作制御を行い、洗濯槽20の内部にある水を排水する。さらに、洗濯機10は、メンテナンス運転が行われた後に、制御部110による制御のもと、温風供給部70から洗濯槽20に温風を供給し、洗濯槽20を乾燥させる。
【0039】
以下、メンテナンス運転を行う場合における洗濯機10の動作について、図11のフローチャートを参照しつつ詳細に説明する。
【0040】
(ステップ1)
ステップ1において、制御部110は、メンテナンス運転の実施要求があるか否かを確認する。具体的には、制御部110は、操作パネル部16を介してユーザがメンテナンス運転を行うように設定を行ったか否かを確認する。制御部110は、メンテナンス運転の実施要求があると判断した場合に、制御フローをステップ2に進める。
【0041】
(ステップ2)
ステップ2において、制御部110は、メンテナンス運転を単独で行うように動作設定がなされたのか、洗濯物を回転槽40に投入して行う運転(洗濯物投入運転)に加えてメンテナンス運転を行うように動作設定がなされたのかを確認する。ここで、メンテナンス運転を単独で行うように動作設定がなされている場合には、制御部110は、制御フローをステップ5に進め、そうでない場合には制御フローをステップ3に進める。
【0042】
(ステップ3)
ステップ3において、制御部110は、洗濯物投入運転が完了したか否かの確認を行う。ここで、洗濯物投入運転の完了が確認された場合、制御部110は、制御フローをステップ4に進める。
【0043】
(ステップ4)
ステップ4において、制御部110は、回転槽40から洗濯物が取り出されたか否かを確認する。洗濯物の取り出し確認は、例えばユーザが洗濯物を取り出した後に、その旨を示すボタン操作等が行われたか否かによって確認したり、重量センサによって回転槽40の重量変化を検知したり、回転槽40を回転させた際のモータ負荷(電流値)から回転槽40に洗濯物があるか否かを確認したりする方法によって行うことができる。本実施形態では、上述したように、開閉部14が一旦開状態とされた後、開閉部14が再び閉状態に戻されることを条件として、回転槽40から洗濯物を取り出す作業が完了したものと推認する。ステップ4において洗濯物が取り出されたことが確認された場合、制御部110は、制御フローをステップ5に進める。
【0044】
(ステップ5)
ステップ5において、制御部110は、給水制御部118による制御のもと、貯留部26への給水を行わせる。貯留部26に対する給水量が所定量に達すると、発熱部22のヒータ22aが貯留部26の内部において水没した状態になる。このような状態になると、制御部110は、制御フローをステップ6に進める。
【0045】
(ステップ6)
ステップ6において、制御部110は、発熱制御部122による制御のもと、ヒータ22aに通電して発熱させる。これにより、貯留部26に貯留されている水の加熱が開始される。これにより、貯留部26に貯留されている水によりスチームが形成される。また、ステップ6において、制御部110は、回転槽駆動部42の制御のもと、回転槽40を回転させる。このとき、制御部110は、洗濯運転等の場合に比べて低い回転速度で回転槽40を回転させる。具体的には、制御部110は、メンテナンス運転における回転速度Rmが、洗濯運転、すすぎ運転、及び脱水運転における回転槽40の回転速度のうち最大となる最大回転速度Rwの60~100[%]の範囲内(本実施形態では、最大回転速度Rwの80[%])となるように回転速度を調整して回転槽40を回転させる。これにより、洗濯槽20の各部にスチームを行き渡らせることができる。その後、制御部110は、制御フローをステップ7に進める。
【0046】
(ステップ7)
ステップ7において、制御部110は、温度センサ24の検知温度tが所定温度T以上になっているか否かを確認する。検知温度tが所定温度T(本実施形態では50℃)以上になったことが確認されると、制御部110は、制御フローをステップ8に進める。
【0047】
(ステップ8)
ステップ8において、制御部110は、ヒータ22aに通電を停止すると共に、回転槽40の回転を停止させる。その後、制御部110は、制御フローをステップ9に進める。
【0048】
(ステップ9)
ステップ9において、制御部110は、排水制御部120による制御のもと、排水部84に設けられた弁を開き、洗濯槽20から排水させる。これにより、ステップ6において発生させたスチームによる水分を洗濯槽20から排出させる。その後、制御部110は、排水制御部120による制御のもと弁を閉じ、制御フローをステップ10に進める。
【0049】
(ステップ10)
ステップ10において、制御部110は、温風供給部70を作動させて洗濯槽20に温風を供給し、洗濯槽20を乾燥させる。洗濯槽20に対して温風の供給が所定時間以上になる等して、洗濯槽20が乾燥したと想定される状態になると、制御部110は温風供給部70を停止させる。これにより、一連の制御フローが完了する。
【0050】
上述した洗濯機10は、従来技術における各種課題を解決するための手段として、以下のような構成を備え、効果を発揮するものとされている。
【0051】
(1)本実施形態の洗濯機10は、水槽30、及び水槽30内に回転可能に設けられる回転槽40を含む洗濯槽20と、水槽30に対して給水する給水部82と、水槽30に供給された水を加熱するヒータ22aと、ヒータ22aにより加熱された水の温度を検知する温度センサ24と、給水部82により給水された水をヒータ22aが水没するように貯留できる貯留部26と、貯留部26に貯留された水をヒータ22aにより加熱しつつ回転槽40を回転させるメンテナンス運転を実行する制御部110と、を有することを特徴とするものである。
【0052】
本実施形態の洗濯機10は、メンテナンス運転を行うことにより、給水部82によって供給されて貯留部26に貯留された水をヒータ22aによって加熱してスチームを発生させつつ、回転槽40を回転させることによりスチームを洗濯槽20の各部に行き渡らせることができる。そのため、本実施形態の洗濯機10は、メンテナンス運転を行うことにより、洗濯槽20の内部温湿度を略均一に上昇させることができる。また、本実施形態の洗濯機10においては、温度センサ24の検知温度が所定温度Tを越えるまで、メンテナンス運転が継続される。このように、本実施形態の洗濯機10は、メンテナンス運転を行うことにより、洗濯槽20の各部を確実に高温高湿(高湿熱)状態にするため、カビの発生や増殖を抑制できる。また、本実施形態の洗濯機10は、貯留部26に水没させたヒータ22aを作動させてスチームを発生させるものであるため、簡易な構成でメンテナンス運転に必要なスチーム量を確保できるとともに、スチームの発生に要する時間を最小限に抑制できる。従って、本実施形態の洗濯機10は、構成がシンプルでありつつ、洗濯槽20を衛生的に維持することができる。
【0053】
(2)本実施形態の洗濯機10は、温度センサ24の検知温度tが所定温度Tを越えるまで、メンテナンス運転が継続されるものである。
【0054】
かかる構成とされているため、洗濯機10は、メンテナンス運転において洗濯槽20の各部を確実に高湿熱状態にするので、カビの発生や増殖を抑制できる。
【0055】
なお、上記実施形態においては、温度センサ24の検知温度tが所定温度Tを越えることを、メンテナンス運転を終了させるための条件とした例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、洗濯機10は、メンテナンス運転の開始後の所定のタイミングから、所定時間(例えば、メンテナンス運転開始直後から30分)が経過するまでメンテナンス運転を継続させるようにしたり、メンテナンス運転の運転時間を室温に応じて変化させる(例えば、室温が低温である場合に、高温である場合よりも長時間にする等)ようにしたりしても良い。また、メンテナンス運転を終了させるための終了条件として、例えば、温度センサ24の検知温度tが所定温度Tを越えることに加えて、メンテナンス運転の運転時間が所定時間(例えば30分)を越えることを終了条件として加える等して、複数の条件をメンテナンス運転の終了条件として設けても良い。
【0056】
また、本実施形態の洗濯機10は、操作パネル部16を介してユーザがメンテナンス運転を行うように運転条件の設定をすることを、メンテナンス運転の実施条件とした例として示したが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、ユーザによる運転条件の設定に加えて、あるいはユーザによる運転条件の設定代えて、所定のタイミングにおいて自動的にメンテナンス運転を行われるようにしても良い。さらに具体的には、制御部110が洗濯運転の実施回数をカウントして記憶しておき、洗濯運転の実施回数が所定の回数(例えば5回)に達することを条件として、ユーザによる設定の有無によらず、メンテナンス運転を行うようにしたり、所定の周期(例えば週に1回)で自動的にメンテナンス運転を行うようにしたりしても良い。
【0057】
(3)本実施形態の洗濯機10は、回転槽40に投入された洗濯物を洗濯する洗濯運転、洗濯物をすすぐすすぎ運転、及び洗濯物を脱水する脱水運転を行うことができ、制御部110が、メンテナンス運転における回転槽40の回転速度Rmを、前記洗濯運転、前記すすぎ運転、及び前記脱水運転における前記回転槽40の回転速度のうち最大となる最大回転速度Rwよりも低速となるように制御すること、を特徴とするものである。
【0058】
かかる構成とすることにより、ヒータ22aによって給水された水を加熱して形成されたスチームを、洗濯槽20の内部において略均等に行き渡らせ、殺菌効果を高めることができる。
【0059】
なお、本実施形態では、メンテナンス運転における回転槽40の回転速度Rmを、最大回転速度Rwよりも低速となるように制御する例を示したが、本発明はこれに限定されない。具体的には、例えば、回転速度Rmを最大回転速度Rwよりも低速としなくてもスチームを洗濯槽20の内部において略均等に行き渡らせることができる場合や、スチームを洗濯槽20の各部に行き渡らせるための他の構成を設けた場合等においては、回転速度Rmを最大回転速度Rwと略同一とする等しても良い。
【0060】
(4)本実施形態の洗濯機10は、洗濯槽20に対して送風可能な送風部(送風装置72)を有し、メンテナンス運転が、送風部(送風装置72)による送風を停止した状態において行われること、を特徴とするものである。
【0061】
本実施形態の洗濯機10は、従来技術のように加熱空気や加湿空気を送るために送風装置72を作動させる必要がないため、メンテナンス運転を行うために必要な構成や動作制御として複雑なものを設ける必要がない。
【0062】
なお、本実施形態では、送風装置72による送風を停止した状態でメンテナンス運転を行う例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、必要に応じて送風装置72による送風を行うようにしても良い。
【0063】
ここで、上述したメンテナンス運転を行う場合、洗濯等を終えた状態の洗濯物が回転槽40の内部に存在したままの状態であると、メンテナンス運転による殺菌効果が低減してしまう懸念がある。
【0064】
(5)かかる知見に基づき、本実施形態の洗濯機10は、回転槽40への洗濯物の投入口を開閉する開閉部14を有し、メンテナンス運転が、回転槽40に洗濯物を投入した状態で行われる洗濯運転、すすぎ運転、及び脱水運転の後であって、開閉部14が開状態とされた後、閉状態に戻されることを条件として行われるものとされている。
【0065】
かかる構成によれば、洗濯機10は、上述したような構成とされているため、回転槽40に洗濯物が投入されたままの状態でメンテナンス運転が行われるのを防止できる。これにより、メンテナンス運転による洗浄効果や殺菌効果をより一層高めることができる。
【0066】
なお、本実施形態では、開閉部14が一旦開状態とされた後、開閉部14が再び閉状態に戻されることを条件として、回転槽40から洗濯物を取り出す作業が完了したものと推認して、メンテナンス運転を行う例を示したが、本発明はこれに限定されない。
【0067】
具体的には、洗濯機10は、例えば、重量センサによって回転槽40の重量変化を検知したりして、洗濯物の取り出し確認を行ってからメンテナンス運転を行うようにしても良い。また、洗濯機10は、前述した方法を複数組み合わせることにより洗濯物の取り出し確認を行うようにしても良い。例えば、洗濯機10は、開閉部14が一旦開状態とされた後、重量センサによって回転槽40の重量が減少することが確認され、その後に開閉部14が再び閉状態に戻されることを条件として、回転槽40から洗濯物を取り出す作業が完了したものと判断してメンテナンス運転を行うようにしても良い。また、洗濯機10は、メンテナンス運転に先立ち、音や表示等を出力させることにより、洗濯物の取り出しを促すための報知を行うようにしても良い。なお、洗濯物の取り出しが不完全であるにも関わらずメンテナンス運転が開始された場合は、ユーザが一時停止ボタンを押下して、一旦メンテナンス運転を停止した後、回転槽40から洗濯物を取り出して、再度メンテナンス運転を開始することもできる。
【0068】
(6)本実施形態の洗濯機10は、メンテナンス運転が、回転槽40に投入された洗濯物のすすぎを行うすすぎ運転よりも後に行われること、を特徴とするものである。
【0069】
本実施形態の洗濯機10は、洗濯物のすすぎを行うすすぎ運転によって洗濯槽の汚染源となりうる洗剤カスが除去された後にメンテナンス運転を行うことができる。これにより、メンテナンス運転による洗濯槽20の洗浄効果や殺菌効果をより一層高めることができる。
【0070】
なお、洗濯機10は、メンテナンス運転を行う直前にすすぎ運転を行う場合、温水を用いてすすぎ運転を行うようにすると良い。また、すすぎ運転を複数回(例えば2回)行う場合には、少なくともメンテナンス運転の前に行われるすすぎ運転を温水により行うようにすると良い。この場合、30℃~60℃の温度範囲の温水を用いることにより、衣類等の種類や生地の特性等に応じて適切な温度の温水を選択できるとともに、洗濯槽20の槽内温湿度を高めた状態でメンテナンス運転を開始することができ、メンテナンス運転による洗濯槽20の洗浄効果や殺菌効果をより一層高めることができる。
【0071】
また、洗濯運転やすすぎ運転を終えた後に脱水運転を行い、その後にメンテナンス運転を行うようにする場合には、温風を洗濯槽20に供給しながら脱水運転を行うようにすると良い。これにより、予め室温よりも高い温度の空気によって洗濯槽20の槽内温湿度を高めた状態でメンテナンス運転を開始することができ、メンテナンス運転による洗濯槽20の洗浄効果や殺菌効果をより一層高めることができる。
【0072】
ここで、上述したメンテナンス運転を行った後、洗濯槽20の内部に水分が残存していると、新たにカビが発生する原因になりかねない。
【0073】
(7)かかる知見に基づき、本実施形態の洗濯機10は、メンテナンス運転よりも後に、洗濯槽20の内部にある水を排水するものとされている。
【0074】
かかる構成によれば、メンテナンス運転の後に洗濯槽20の内部に水分が残るのを回避し、新たなカビの発生を抑制できる。
【0075】
(8)また、本実施形態の洗濯機10は、洗濯槽20に温風を供給できる温風供給部70を有し、メンテナンス運転よりも後に、温風供給部70から洗濯槽20に温風を供給すること、を特徴とするものである。
【0076】
かかる構成によれば、温風供給部70から供給された温風により、洗濯槽20の乾燥を促進させることができる。これにより、メンテナンス運転の後に洗濯槽20の内部に水分が残るのを回避し、新たなカビの発生を抑制できる。
【0077】
なお、本実施形態では、メンテナンス運転の後に洗濯槽20の内部に水分が残ることによるカビの発生まで配慮して、メンテナンス運転の後に洗濯槽20から排水すると共に、温風供給部70から洗濯槽20に温風を供給する例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、洗濯機10は、メンテナンス運転の後に洗濯槽20から排水すること、及び温風供給部70から洗濯槽20に温風を供給することのいずれか一方又は双方を省略するものであっても良い。なお、洗濯槽20からの排水、及び洗濯槽20への温風の供給の双方を行わないこととする場合には、他の構成を設ける等して、洗濯槽20に水分が残存することによるカビの発生等を抑制可能なようにすることが望ましい。また、温風供給部70において加熱装置74によって空気を加熱して温風として供給する代わりに、加熱装置74を作動させず、送風装置72のみを作動させることにより、室温程度の空気を洗濯槽20に供給するようにしても良い。
【0078】
ここで、洗濯機10において、洗濯運転等に伴い発生するリントは、カビの発生や増殖の温床となりうると考えられる。そのため、洗濯機10においては、メンテナンス運転においてスチームによって洗濯槽20のメンテナンスを行うのに加えて、リントを除去するための動作を行うと良い。また、メンテナンス運転に先立ってリントの除去を行うことにより、メンテナンス運転による洗濯槽20の洗浄効果や殺菌効果をより一層高めることができる。
【0079】
(9)上述した知見に基づけば、本実施形態の洗濯機10は、洗濯槽20に対して送風可能な送風部と、洗濯槽20の排気側に連通した連通部58と、を有し、メンテナンス運転よりも前に、給水部82から連通部58に水を流すようにすると良い。
【0080】
かかる構成によれば、メンテナンス運転よりも前に、連通部58に付着したリントを水によって洗い流し、メンテナンス運転による洗濯槽20の洗浄効果や殺菌効果をより一層高めることができる。
【0081】
また、上述したように連通部58に水を流すことによってリントを洗い流すこととする場合、給水部82にオゾン発生用の電極を設けることにより、当該電極への通水と同時に所定濃度(好ましくは「0.3ppm~1.5ppm」、より好ましくは「0.5ppm~1.0ppm」)のオゾン水を発生させ、オゾン水を連通部58に供給可能にすると良い。これにより、連通部58におけるカビの発生や増殖をより一層効果的に抑制できる。
【0082】
本発明は、上述した実施形態や変形例等として示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示および精神から他の実施形態があり得る。上述した実施形態の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また実施形態の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素または発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成してもよい。これらについても本願の補正または分割出願等において権利取得する意思を有する。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、洗濯機全般において好適に利用できる。
【符号の説明】
【0084】
10 :洗濯機
14 :開閉部
16 :操作パネル部
20 :洗濯槽
22a :ヒータ
24 :温度センサ
26 :貯留部
30 :水槽
40 :回転槽
58 :連通部
70 :温風供給部
72 :送風装置
74 :加熱装置
82 :給水部
110 :制御部
Rm :回転速度
Rw :回転速度
T :所定温度
t :検知温度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11