(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023021471
(43)【公開日】2023-02-13
(54)【発明の名称】脳梗塞発症リスク予測方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6827 20180101AFI20230202BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20230202BHJP
【FI】
C12Q1/6827 Z ZNA
C12N15/12
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194528
(22)【出願日】2022-12-05
(62)【分割の表示】P 2018233549の分割
【原出願日】2018-12-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 平成30年 1月22日 American Heart Association(アメリカ心臓協会)主催のInternational Stroke Conference 2018(国際脳卒中学会2018)のウェブサイト https://www.ahajournals.org/toc/str/49/Suppl_1におけるhttps://www.ahajournals.org/doi/10.1161/str.49.suppl_1.WP116において抄録を公開、 平成30年 1月24日 American Heart Association(アメリカ心臓協会)主催のInternational Stroke Conference 2018(国際脳卒中学会2018)においてポスター形式にて公開、 平成30年 1月22日 American Heart Association(アメリカ心臓協会)主催のInternational Stroke Conference 2018(国際脳卒中学会2018)のウェブサイト https://www.ahajournals.org/toc/str/49/Suppl_1におけるhttps://www.ahajournals.org/doi/10.1161/str.49.suppl_1.91において抄録を公開、
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 平成30年 1月25日 American Heart Association(アメリカ心臓協会)主催のInternational Stroke Conference 2018(国際脳卒中学会2018)において公開 平成30年 3月 2日 一般社団法人日本脳卒中学会主催の第43回日本脳卒中学会学術集会のウェブサイト https://www.micenavi.jp/stroke2018/search/detail_program/id:571において予稿を公開、 平成30年 3月15日 一般社団法人日本脳卒中学会主催の第43回日本脳卒中学会学術集会においてポスター形式にて公開 平成30年 5月16日 一般社団法人日本神経学会主催の第59回日本神経学会学術大会のウェブサイト https://www.micenavi.jp/stroke2018/search/detail_program/id:571において抄録を公開、 平成30年 5月26日 一般社団法人日本神経学会主催の第59回日本神経学会学術大会においてポスター形式にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】510094724
【氏名又は名称】国立研究開発法人国立循環器病研究センター
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100561
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 正広
(74)【代理人】
【識別番号】100219690
【弁理士】
【氏名又は名称】堀坂 純美子
(72)【発明者】
【氏名】猪原 匡史
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 周平
(72)【発明者】
【氏名】川上 大輔
(57)【要約】
【課題】脳梗塞の発症確度を予測する方法を提供する。
【解決手段】脳梗塞未発症の被検者由来のサンプルにおけるRNF213 p.R4810K遺伝子多型の有無を検出する検出ステップと、前記検出ステップにおける前記RNF213 p.R4810K遺伝子多型の有無と、前記被験者の性別情報と、に基づいて当該被験者の脳梗塞発症確率が高い否かを判定する判定ステップと、を含む、脳梗塞発症リスクを予測する方法。RNF213 p.R4810K遺伝子多型からなる、脳梗塞発症リスクを性別情報を利用して予測するための遺伝子マーカー。RNF213 p.R4810K遺伝子がコードするポリペプチドからなる、脳梗塞発症リスクを性別情報を利用して予測するためのバイオマーカー。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳梗塞未発症の被検者由来のサンプルにおけるRNF213 p.R4810K遺伝子多型の有無を検出する検出ステップと、
前記検出ステップにおける前記RNF213 p.R4810K遺伝子多型の有無と、前記被験者の性別情報と、に基づいて当該被験者の脳梗塞発症確率が高いか否かを判定する判定ステップと、
を含み、
前記検出ステップにおいて、前記RNF213 p.R4810K遺伝子多型が検出された場合、前記判定ステップにおいて、当該被験者の性別が女性の場合には、前記RNF213 p.R4810K遺伝子多型を有する当該女性被験者は、前記RNF213 p.R4810K遺伝子多型を有しない者に比べて、頭蓋内前方循環動脈狭窄によるアテローム血栓性脳梗塞発症のリスクが高いと判定する、脳梗塞発症リスクを予測する方法。
【請求項2】
脳梗塞未発症の被検者由来のサンプルにおけるRNF213 p.R4810K遺伝子多型の有無を検出する検出ステップと、
前記検出ステップにおける前記RNF213 p.R4810K遺伝子多型の有無と、前記被験者の性別情報と、に基づいて当該被験者の脳梗塞発症確率が高いか否かを判定する判定ステップと、
を含み、
前記検出ステップにおいて、前記RNF213 p.R4810K遺伝子多型が検出された場合、前記判定ステップにおいて、当該被験者の性別が女性の場合には、前記RNF213 p.R4810K遺伝子多型を有する当該女性被験者は、前記RNF213 p.R4810K遺伝子多型を有する男性の場合に比べて、頭蓋内前方循環動脈狭窄によるアテローム血栓性脳梗塞発症のリスクがより高いと判定する、脳梗塞発症リスクを予測する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脳梗塞の発症リスクや発症時期の予測、及びそれらの研究分野に属し、特に、脳梗塞発症リスク予測方法、及び性別情報を利用した脳梗塞発症リスク予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、もやもや病の感受性遺伝子であるRNF213遺伝子多型(c.14576G>A,p.R4859K,rs112735431)は、モヤモヤ病のみならず、片側モヤモヤ病やアテローム性動脈硬化の頭蓋内主幹動脈狭窄(頭蓋内狭窄)とも有意に関連することが開示されており、一方、前記RNF213遺伝子多型は、頚部頸動脈狭窄、脳動脈瘤、脳内出血とは有意な関連は認められなかったことが開示されている。
【0003】
なお、非特許文献1におけるRNF213遺伝子多型についての(c.14576G>A,p.R4859K,rs112735431)という表記は、東北大学グループによる命名に基づいている。本明細書においては、京都大学グループによる命名に基づいて、同一のRNF213遺伝子多型をp.R4810K多型(c.14429G>A,rs112735431)又は単にp.R4810K多型と表記する。両者は、アミノ酸の数え方の違いによるものであり、同一の多型である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「RNF213ともやもや症候群(RNF213 and Moyamoya syndrome)」,宮脇哲,Niche Neuro-Angiology Conference 2016,http://nnac.umin.jp/nnac/NNAC_2016_files/%E5%AE%AE%E8%84%87%E5%85%88%E7%94%9F.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、脳梗塞の発症確度を予測する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
脳梗塞は、アテローム血栓性脳梗塞(atherothrombotic brain infarction)、ラクナ梗塞(lacunar infarction)、及び、脳塞栓(embolism)の3種類に分類される。
【0007】
本発明者らの検討により、RNF213 p.R4810K遺伝子多型とアテローム血栓性脳梗塞との間で有意に相関を有することがわかった。このことから、脳梗塞未発症の被検者由来のサンプルにおけるRNF213遺伝子多型の有無を検出することによって、当該被検者の脳梗塞の発症リスクや発症時期を予測する方法(あるいは補助的に予測する方法)が提供される。
【0008】
本発明は、以下の発明を含む。
(1) 脳梗塞未発症の被検者由来のサンプルにおけるRNF213 p.R4810K遺伝子多型の有無を検出する検出ステップと、
前記検出ステップにおける前記RNF213 p.R4810K遺伝子多型の有無と、前記被験者の性別情報とに基づいて、当該被験者の脳梗塞発症確率が高いか否かを判定する判定ステップと、
を含む、脳梗塞未発症の被検者の脳梗塞発症リスクを予測する方法。
【0009】
(2) 前記検出ステップにおいて、前記RNF213 p.R4810K遺伝子多型が検出された場合、前記判定ステップにおいて、前記RNF213 p.R4810K遺伝子多型を有しない者に比べて、当該被験者は脳梗塞発症のリスクが高いと判定する、上記(1)に記載の方法。
【0010】
(3) 前記検出ステップにおいて、前記RNF213 p.R4810K遺伝子多型が検出された場合、前記判定ステップにおいて、当該被験者の性別が女性の場合には男性の場合に比べて、当該被験者は脳梗塞発症のリスクがより高いと判定する、上記(1)又は(2)に記載の方法。
【0011】
(4) RNF213 p.R4810K遺伝子多型からなる、脳梗塞発症リスクを性別情報を利用して予測するための遺伝子マーカー。
【0012】
(5) RNF213 p.R4810K遺伝子がコードするポリペプチドからなる、脳梗塞発症リスクを性別情報を利用して予測するためのバイオマーカー。
【発明の効果】
【0013】
本発明の知見により、脳梗塞未発症の被検者に対して、早期の段階から脳梗塞発症の予測や予防・対策を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施例1において、患者選択手順の流れ図を示す。
【
図2】実施例1において、RNF213 p.R4810K多型の有無による脳卒中発症の平均年齢についての箱ひげ図である。
【
図3】実施例1において、脳卒中サブタイプ間におけるRNF213 p.R4810K多型のキャリア頻度の性別特異的な差異の棒グラフである。左側の棒が男性であり、右側の棒が女性である。
【
図4】実施例2において、患者選択手順の流れ図を示す。
【
図5】RNF213 p.R4810K多型の保有率を示す円グラフであり、左が実施例2における全70名の患者についての円グラフであり、右が既報告による一般集団についての円グラフである。
【
図6】実施例2において、性別間でのRNF213 p.R4810K多型の保有率の違いを示す円グラフであり、左が男性(N=44)についての円グラフであり、右が女性(N-26)についての円グラフである。
【
図7】実施例2において、M1/A1狭窄の有無によるRNF213 p.R4810K多型の保有率の違いを示す円グラフであり、左が狭窄あり(N=48)についての円グラフであり、右が狭窄なし(N=22)についての円グラフである。
【
図8】実施例2において、RNF213 p.R4810K多型を有する代表症例(表6におけるCase6)の画像データである。(A)はMRI拡散強調像であり、(B)はMRA画像であり、(C)は脳梗塞発症5年後のMRA画像である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
RNF213(Ring finger protein 213)(GenBank accession number NM_001256071.1)は、モヤモヤ病の疾患感受性遺伝子として近年に同定されたものであり、ヒト染色体領域17q25.3に存在する。
【0016】
RNF213 p.R4810K遺伝子多型は、配列番号2で表されるヌクレオチド配列における73097 G>Aの一塩基多型(SNP;Single Nucleotide Polymorphism)である。RNF213 p.R4810Kは、前記先行文献のようにモヤモヤ病感受性多型として知られている。
【0017】
本発明者らの研究により、RNF213 p.R4810K多型が、大動脈アテローム性動脈硬化症による虚血性脳卒中(すなわち、脳梗塞)のリスクを増加させることが判明した。本明細書中で、虚血性脳卒中とは、脳梗塞と同義である。
【0018】
虚血性脳卒中は、近年の早期死の1つの原因であり、特にアジアにおける障害および早期死の主要な原因であるが、虚血性脳卒中と遺伝的相関は未知のままである。主に東アジアで確認される、脳血管疾患であるモヤモヤ病は、RINGフィンガータンパク質213(RNF213)という感受性遺伝子と関連しており、その調節不全はマウスの脳における脳灌流を損なう。本発明者らは、したがって、RNF213は虚血性脳卒中においてより一般的な役割を果たすと仮説を立て、モヤモヤ病の最も一般的なリスクであるRNF213遺伝子のp.R4810K多型と、虚血性脳卒中およびそのサブタイプとの関連を調べた。
【0019】
RNF213 p.R4810K遺伝子多型は、配列番号2で表されるヌクレオチド配列における73097 G>Aの一塩基多型(SNP;Single Nucleotide Polymorphism)であり、脳梗塞発症リスクを予測するための、あるいは予測を補助するための遺伝子マーカーとなり得る。
【0020】
配列番号2は、ミステリン遺伝子及びその周辺領域の遺伝子[FLJ3520、NPTX1、CARD14、及びRaptor(KIAA1303)]を含むヒト第17番染色体DNAの部分ヌクレオチド配列であり、NCBIに登録されているContig #NT010783.15の第43560001~43795000番目のヌクレオチドに相当する。
【0021】
配列番号2で表されるヌクレオチド配列には、G又はAである第73097位のSNP(本明細書中73097 G>Aと略記する)の他にも、
T又はCである第4766位のSNP(4766 T>C)、
G又はAである第120764位のSNP(120764 G>A)、
G又はAである第152917位のSNP(152917 G>A)、及び
G又はAである第232102位のSNP(232102 G>A)も存在し得る。
【0022】
なお、本明細書において、SNPの位置は、配列番号2で表されるヌクレオチド配列におけるヌクレオチドの位置を基準に記載する。例えば、「第73097位のSNP」は、配列番号2で表されるヌクレオチド配列における第73097位のヌクレオチドにおけるSNPを意味する。「73097 G>A」等と記載する場合、「>」の記号の前にメジャーアレルの塩基(この場合G)を、後にマイナーアレルの塩基(この場合A)を記載している。
【0023】
また、本明細書においてヌクレオチド配列は、特にことわりのない限りDNAの配列として記載するが、ポリヌクレオチドがRNAである場合は、チミン(T)をウラシル(U)に適宜読み替えるものとする。
【0024】
本発明において、ポリヌクレオチドは、配列番号2で表されるヌクレオチド配列の連続した部分配列又はその相補配列に加えて、任意の付加的配列を含んでいてもよい。
【0025】
本発明において、ポリヌクレオチドは、好ましくは単離又は精製されている。
【0026】
本発明の上記方法の検出工程では、被検者から採取された生体試料において、73097 G>AのSNPを検出する。
【0027】
ヒトの人種は、特に限定されないが、好ましくは東アジア人(イーストアジアン/モンゴロイド)である。
【0028】
ここで、人種(race)は、ホモ・サピエンス種の中の、特定のサブグループとして区別可能な集団である。人種は、特有で、区別可能な、遺伝子の組合せを有し、その遺伝子の組合せによって作られる特徴(精神的、肉体的とも)によって同定される。同じ人種のメンバーは、共通の遺伝的祖先を共有し、その結果、類似の遺伝子組合せを共有するため、はっきり区別できる遺伝的特徴を共有している。
【0029】
例えば、世界の主要な人類集団について、23種類の遺伝子の情報に基づき、遺伝的近縁関係が調べられ、アフリカン(ネグロイド)、コーカソイド(白人)、オセアニアン(オーストラロイド)、イーストアジアン(モンゴロイド)及びネイティブアメリカンの5種に分類されている。
【0030】
東アジア人とは、日本、朝鮮、中国、台湾及びモンゴルの人々のいずれかを起源に持つ人という意味である。東アジア人は、好ましくは、日本人、朝鮮人、又は中国人である。
【0031】
当業者であれば、個人の身体的特徴、出身国、先祖の起源に関する情報等に基づいてその個人の人種を容易に特定することが可能である。
【0032】
上記方法において用いられる生体由来試料としては、ゲノムDNAを採取可能な任意の組織、細胞、体液等を使用することができるが、入手の容易性及び低侵襲性等の観点から、毛髪、爪、皮膚、粘膜、血液、血漿、血清、唾液などが好ましく用いられる。
【0033】
SNPの検出方法は、当該技術分野において周知である。例えば、RFLP(制限酵素切断断片長多型)法、PCR-SSCP(一本鎖DNA高次構造多型解析)法、ASO(Allele Specific Oligonucleotide)ハイブリダイゼーション法、シークエンス法、ARMS(Amplification Refracting Mutation System)法、変性濃度勾配ゲル電気泳動(Denaturing Gradient Gel Electrophoresis)法、RNAseA切断法、DOL(Dye-labeled Oligonucleotide Ligation)法、TaqMan PCR法、primer extension法、インベーダー法などが使用できる。
【0034】
また、RNF213 p.R4810K遺伝子がコードするポリペプチドは、配列番号1で表されるアミノ酸配列を含むポリペプチド(ここで、配列番号1で表されるアミノ酸配列における第4810番のアルギニンがリジンに置換されている)であり、脳梗塞発症リスクを予測するためのバイオマーカーとなり得る。
【0035】
すなわち、上述のように、RNF213 p.R4810KのSNPの変異は、ヒトミステリンの第4810番のアミノ酸置換(アルギニン→リジン)を伴うので、被験者から、ミステリンポリペプチドを単離し、その第4810番のアミノ酸を同定することによって、脳梗塞発症リスクを予測すること、あるいは予測するための補助が可能となる。
【実施例0036】
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に制限されるものではない。
【0037】
[実施例1:アテローム血栓性脳梗塞とRNF213p.R4810K多型との関連]
脳卒中死亡率は過去数十年間で減少している1)が、脳卒中は世界的に見ても、早期死亡の第2の主要原因であり、身体障害の主要原因でもある2)。世界人口の31%を占める東南アジアおよび東アジアでは、脳卒中が早期死亡の主要原因であり、脳卒中の発生率および罹患率は着実に増加している1,2)。疫学的研究は、脳卒中サブタイプの実質的な地理的差異および人種的差異を示唆している3,4)。心筋塞栓症は西欧諸国の虚血性脳卒中の一般的な病因学的サブタイプである5)。一方、頭蓋内動脈狭窄に起因する大動脈アテローム性動脈硬化症は、ほとんどのアジア諸国において主な病因である6)。環境リスク要因と遺伝的背景の違いが、アジアにおける大動脈アテローム性動脈硬化症の高い罹患率の主な理由であると考えられている。最近、大規模な多祖先ゲノムワイド関連メタアナリシスによって、脳卒中および脳卒中サブタイプに関連する32遺伝子座が同定された7)。この研究では、約800万の一塩基多型(SNPs)が検査された。しかし、この分析は、0.01未満(<0.01)のマイナーアレル頻度(minor-allele frequency;MAF)および虚血性脳卒中のアジア特異的な遺伝的決定因子が未知のままである、領域特異的な希少アレルを除外した。
【0038】
17q25.3上のリングフィンガータンパク質213遺伝子(RNF213)は、モヤモヤ病の感受性遺伝子として同定されている8,9)。モヤモヤ病患者の80%よりも多くについてRNF213 p.R4810K多型(c.14429G>A、rs112735431)が検出されたが、東アジアの健康被験者の対立遺伝子(アレル)キャリア頻度は約2%であった8,9)。RNF213は、AAA+ATPaseとE3リガーゼの両方として機能する591kDaタンパク質12)をコードし、頭蓋内の閉塞性閉塞病変の発症および低下した脳血流への補償適応に関連している13,14)。最近、2つの個別のセンター研究が、頭蓋内内頸動脈狭窄または近位中大脳動脈狭窄を有する東アジア非モヤモヤ患者におけるRNF213 p.R4810K多型の高い頻度(20~25%)を報告している10,15)。したがって、本発明者らは、この遺伝的変異がアジアにおける全体的な虚血性脳卒中と関連している可能性があると仮説を立てた。ここでは、国立循環器病研究センター(National Cerebral and Cardiovascular Center;NCVC)の研究に参加した急性虚血性脳卒中患者を分析し、RNF213 p.R4810K多型と虚血性脳卒中およびそのサブタイプとの関連性を調べた。
【0039】
(方法)
(研究デザインと参加者)
症例対照研究では、すべての患者の広範な臨床データおよび放射線データを含む国立循環器病研究センター(NCVC)の病院ベースの単一の集団(NCVCバイオバンク)を使用した。書面による同意がすべての試験参加者から得られ、この研究は国立循環器病研究センター(NCVC)の倫理委員会によって承認された。
【0040】
(研究)
本研究の参加者は、大阪、関西地区の脳卒中および心血管疾患専門の600床の第三次センターである国立循環器病研究センター(NCVC)で募集された。2012年6月から2017年5月に入院し、NCVCで包括的同意書に署名した非心原性脳塞栓症(大動脈アテローム性動脈硬化症(large-artery atherosclerosis)、小血管閉塞症(small-vessel occlusion)など)の日本人患者383例を本研究に含めた 。日本の厚生労働省のモヤモヤ病研究委員会の基準に基づき、心原性脳塞栓症cardioembolic stroke、確定的/おそらくモヤモヤ病と診断された患者は除外した
17)。患者選択手順の流れ図は
図1に詳述されている。
【0041】
人口統計学的データ、アテローム硬化性危険因子、放射線学的所見、および病歴は、脳卒中患者の前向き研究で収集されたデータベース(prospectively-collected database)から得られた。脳卒中サブタイプは、急性脳卒中治療についてのOrg 10172基準[the Trial of Org 10172 in Acute Stroke Treatment (TOAST) criteria]に従って分類された18)。脳血管病変は、磁気共鳴映像法(magnetic resonance imaging;MRI)およびMR血管造影(MR angiography)、またはCTおよびCT血管造影(CT angiography)によって同定された。前部循環狭窄(anterior circulation stenosis)は、Warfarin-Aspirin Symptomatic Intracranial Disease(WASID)の研究基準19)に従い、頭蓋内内頸動脈(intracranial internal carotid artery)、中大脳動脈(middle cerebral artery)または前大脳動脈(anterior cerebral artery)で50%を超える(>50%)の直径減少と定義された。同様に、後部循環狭窄(posterior circulation stenosis)は、頭蓋内、脊柱後、または後大脳動脈における上記の基準に従って定義された。
【0042】
対照被験者は、2007年から2015年の間に日本の関西地区で募集された。潜在的コントロール1,027人のうち、脳梗塞またはモヤモヤ病の病歴を有する16人の被験者を除外した。最終的に1,011人のコントロール被験者が選択された。静脈血液サンプルを入院時に収集し、分析まで-80℃で保存した。以前に記載されている8)ように、TaqMan SNP Assays(Applied Biosystems、Foster City、CA)および7300/7500 Real-Time PCR System(Applied Biosystems、Foster City、CA)を用いてp.R4810Kの遺伝子型決定を行った。
【0043】
SNPジェノタイピングは、Illumina HumanOmniExpress BeadChipとHumanExome BeadChipとの組み合わせ分析、またはIllumina Human OmniExpressExome BeadChip分析を用いて、理化学研究所生命医科学研究センター(RIKEN Center for Integrative Medical Sciences)で実施した。ハプロタイプフェージング(Haplotype phasing)および遺伝子型帰属(genotype imputation)は、成功率およびHardy-Weinberg平衡試験を含む品質管理基準に合格した遺伝子型データを有するろ過サンプルを用いて実施した。帰属された対立遺伝子の投与量を用いてゲノムワイド関連解析[genome-wide association study (GWAS)]を実施し、加法的遺伝モデルを有するロジスティック回帰モデルに適合させた。本発明者らは、共変量として、10の主成分、年齢、性別を取り入れた。詳細は先に記載されている7)。
【0044】
(統計分析Statistical analysis)
連続変数は平均±SDとして表し、スチューデントのt検定(Student’s t-test)を用いて比較した。カテゴリー変数は、数値とパーセンテージとして表現され、カイ2乗検定(chi-square test)と両側検定のフィッシャー正確検定(two-tailed Fisher’s exact test)を適宜用いて比較した。本発明者らは、RNF213多型と虚血性脳卒中のリスクとの間の関連性を、ホモ接合体の数が不十分であるために本研究で優性モデルと仮定して試験した。本発明者らはまた、帰属法(imputation methods)を用いた検証研究(replication studies)と比較するために、メタアナリシスのためのロジスティック加法モデル(log-additive model)の下での関連性を調べた。複数のロジスティック回帰モデル(logistic regression model)を用いて、潜在的な交絡因子を同時に制御した後、各脳卒中サブタイプについてオッズ比(OR Ratio)および95%信頼区間(95%CI)を計算した。モデルで考慮された変数は、年齢(連続)、性別、高血圧、脂質異常血症、糖尿病および喫煙であった。全ての分析は、JMP Pro 12.2ソフトウェア(SAS Institute Inc., Cary、NC)を用いて行った。
【0045】
確率値は両側であり、p<0.05は有意であると考えられた。 メタアナリシスは、p<5x10-8がゲノム全体で有意であると考えられる逆分散固定効果モデル(inverse variance fixed effects model)を用いて、Review Manager(RevMan)5.3ソフトウェア(The Nordic Cochrane Center、Denmark、Copenhagen)で行った。
【0046】
(結果)
本研究では、特に非心原性脳塞栓症脳卒中患者が登録された。上記包括的基準を満たした1,775人の非心原性脳塞栓症脳卒中患者のうち383人(21.6%)がNCVCバイオバンクに参加することに合意し、本研究で分析した。NCVCバイオバンクの参加者と非参加者の両方の患者の特徴は表1に示されている。また、本研究参加者のベースライン特性を表1に示す。
【0047】
【0048】
RNF213 p.R4810K多型は、非心原性脳塞栓症脳卒中患者の5.2%および健常対照者の2.1%に見出された(粗OR 2.60,95%CI 1.39-4.85、p=0.0019)。年齢、性別、およびアテローム性動脈硬化症の危険因子を調整した後、RNF213 p.R4810K多型と非心原性脳塞栓症脳卒中(non-cardioembolic)との関連は有意なままであった(調整されたOR 3.90, 95%CI 1.62-9.24、p=0.0026)。対照被験者と比較して、大動脈アテローム性動脈硬化症(large-artery atherosclerosis)は、多型と有意に関連していた(粗OR 5.19, 95%CI 2.53-10.64、p=2.6x10-6、調整されたOR 11.45, 95%CI 3.46-36.17、p=0.0001)(表2)。
【0049】
【0050】
RNF213 p.R4810K多型の有無による脳卒中患者間の比較において、脳卒中発症の平均年齢は非キャリアよりもRNF213多型で11歳低かった(58.1±15.5歳 対 69.1±13.2歳、p=0.0003)(
図2)。
図2は、RNF213 p.R4810K多型の有無による脳卒中発症の平均年齢についての箱ひげ図である。
【0051】
脳卒中患者において、RNF213多型キャリアは、非キャリアよりも、女性(55.0% 対 27.3%、p=0.011)をより多く含み、頭蓋内前部循環狭窄(60.0% 対 27.3%、p=0.004)および大動脈アテローム性動脈硬化症(65.0% 対 32.5%、p=0.012)のより高い頻度(frequency)を示した。頭蓋外内頸動脈(extracranial internal carotid artery)や後部循環狭窄(posterior circulation stenosis)の発生、及び、高血圧、糖尿病、脂質異常血症および喫煙発生率などの従来のアテローム性動脈硬化性危険因子は、多型キャリアと非キャリアの間で異ならなかった。以上の結果を表3にまとめて示す。
【0052】
【0053】
さらに、各脳卒中サブタイプにおける性別により階層化されたRNF213 p.R4810K多型のキャリア頻度についての詳細を表4に示す。また、
図3に、脳卒中サブタイプ間におけるRNF213 p.R4810K多型のキャリア頻度の性別特異的な差異を棒グラフに示す。左側の棒が男性であり、右側の棒が女性である。
【0054】
【0055】
表4に示すように、男性と女性いずれにおいても、RNF213 p.R4810K多型は、全非心原性脳塞栓症脳卒中(all non-cardioembolic)と、アテローム性動脈硬化症(atherothrombotic)とそれぞれに有意に関連しており、より好ましくは、RNF213 p.R4810K多型を有する女性と、全非心原性脳塞栓症脳卒中(調整されたOR 9.8, 95%CI 3.1-30.9、p<0.001)、RNF213 p.R4810K多型とアテローム性動脈硬化症(atherothrombotic)(調整されたOR 58.0, 95%CI 10.3-327.3、p<0.001)との間にそれぞれ有意な相関が見られた。
【0056】
以上のように、本研究により、RNF213 p.R4810K多型のキャリアは、脳卒中発症の平均年齢は11歳低かったことが明らかとなり、RNF213 p.R4810K多型のキャリア頻度は、急性非心原性脳塞栓症脳卒中(acute non-cardioembolic stroke)患者において、特にアテローム血栓性脳梗塞(atherothrombotic brain infarction)の女性患者において、非常に高いことが明らかとなった。
【0057】
結論として、RNF213 p.R4810K多型は、非心原性脳塞栓症脳卒中(non-cardioembolic stroke)の遺伝的リスク因子であり、性別情報と組み合わせることでアテローム血栓性脳梗塞(atherothrombotic brain infarction)のより好ましい遺伝的リスク因子とできる。
【0058】
[実施例2:頭蓋内動脈狭窄を伴う若年発症脳卒中とRNF213p.R4810K多型との関連]
RNF213はもやもや病の感受性遺伝子として同定され、RNF213 p.R4810K多型は日本人のもやもや病患者の90%以上が保有する。RNF213は、血管内皮機能の調整や血管新生に重要な役割を演じていると考えられているが、もやもや病のような特異的な血管障害を引き起こす機序については十分に解明されていない。一方、最近、日本を含むアジアの健常成人でも2-3%にこの遺伝子多型が認められ、もやもや病と診断されていない頭蓋内動脈狭窄患者では20-25%が同様にこの遺伝子多型を保有することが報告されている。もやもや病以外の脳血管障害においてもこの遺伝子多型がリスク因子となり得ることが示唆されている。
【0059】
本研究では60歳未満の若年性脳梗塞患者におけるRNF213 p.R4810K多型の保有率を調査し、この遺伝子多型と若年性脳梗塞との関連を明らかにすることを目的とした。ここで、本明細書における「若年性脳梗塞」との用語のうち、「若年性」とは、一般的に年齢満60歳までの(60歳の誕生日前)を意味する。
【0060】
(研究デザインと対象者)
本研究は国立循環器病研究センター(NCVC)のバイオバンク登録患者を対象とした単一施設横断研究である。頭蓋内動脈狭窄(Intracranial Arterial Stenosis)を有し20歳以上60歳未満の非心原性脳梗塞(non-cardioembolic stroke)もしくは一過性脳虚血発作(TIA:transient ischemic attacks)を発症した登録患者70名を全て対象とした。心原性脳塞栓症(cardioembolic stroke)およびもやもや病(moyamoya disease)と診断された症例は除外した。書面による同意がすべての対象者から得られ、この研究は国立循環器病研究センター(NCVC)の倫理委員会によって承認された。
【0061】
(選択基準)
対象者の選択基準は以下のとおりであった。
[1] 国立循環器病研究センター(NCVC)のバイオバンク事業に同意した患者。
[2] 20歳以上60歳未満で虚血性脳卒中もしくは一過性脳虚血発作を発症した患者。
[3] 以下の頭蓋内動脈の少なくとも1ヶ所に50%(直径)以上の狭窄もしくは閉塞を有する患者。
【0062】
頭蓋内内頚動脈(ICA;intracranial internal carotid artery)、
中大脳動脈(middle cerebral artery)M1-2 segment、
前大脳動脈(anterior cerebral artery)A1-2 segment、
後大脳動脈(posterior circulation stenosis)P1-2 segment、
脳底動脈。
【0063】
(除外基準)
心原性脳塞栓症の患者、
もやもや病の患者。
【0064】
【0065】
(方法)
脳梗塞病サブタイプは、急性脳卒中治療についてのOrg 10172基準[the Trial of Org 10172 in Acute Stroke Treatment (TOAST) criteria]に従って分類された。
RNF213 p.R4810K多型の有無と、動脈硬化危険因子、もやもや病の家族歴、及び頭蓋内狭窄の特徴を比較した。
静脈血液サンプルをDNAサンプルとして用いて、DNAサンプルを匿名化した上で京都大学大学院環境衛生学分野にて、TaqMan SNP Assays(Applied Biosystems、Foster City、CA)および7300/7500 Real-Time PCR System(Applied Biosystems、Foster City、CA)を用いてp.R4810Kの遺伝子型決定を行った。
【0066】
(統計分析Statistical analysis)
連続変数は平均±SDとして表し、スチューデントのt検定(Student’s t-test)を用いて比較した。カテゴリー変数は、数値とパーセンテージとして表現され、カイ2乗検定(chi-square test)と両側検定のフィッシャー正確検定(two-tailed Fisher’s exact test)を用いて比較した。各脳卒中サブタイプについてオッズ比(OR Ratio)および95%信頼区間(95%CI)を計算した。モデルで考慮された変数は、年齢(連続)、性別、高血圧、脂質異常血症、2型糖尿病、及び喫煙習慣であった。全ての分析は、JMP version 11.2.0 ソフトウェア(SAS Institute Inc., Cary、NC)を用いて行った。確率値は両側であり、p<0.05は有意であると考えられた。
【0067】
(結果)
全70名の患者背景とRNF213 p.R4810K多型との関連を表5に示す。表5において、カテゴリ変数は、患者数(%)で示す。RNF213 p.R4810K多型キャリア患者17名の特徴を表6に示す。
【0068】
【0069】
【0070】
表6における表記は以下を意味している。
Bil; bilateral
Rt; right
Lt; left
UE; undetermined etiology
LAA; large artery atherosclerosis
【0071】
図5は、RNF213 p.R4810K多型の保有率を示す円グラフであり、左が本研究の全70名の患者についての円グラフであり、右が既報告による一般集団についての円グラフである。
【0072】
図6は、本研究における性別間でのRNF213 p.R4810K多型の保有率の違いを示す円グラフであり、左が男性(N=44)についての円グラフであり、右が女性(N-26)についての円グラフである。
【0073】
図7は、本研究におけるM1/A1狭窄の有無によるRNF213 p.R4810K多型の保有率の違いを示す円グラフであり、左が狭窄あり(N=48)についての円グラフであり、右が狭窄なし(N=22)についての円グラフである。
【0074】
図8は、本研究におけるRNF213 p.R4810K多型を有する代表症例(表6におけるCase6)の画像データである。(A)は、MRI拡散強調像であり、左中大脳動脈領域に散在する高信号域が認められる。(B)は、MRA画像であり、左M1segmentに中等度狭窄が認められる。(C)は、脳梗塞発症5年後のMRA画像であり、左M1segmentの狭窄進行が認められる。
【0075】
RNF213 p.R4810K多型は17名(24%)の患者で認められ,女性に多かった(女性38% vs 男性16%,OR 3.3,95%CI 1.1-10.2,p=0.045)。中大脳動脈近位部(M1)もしくは前大脳動脈近位部(A1)に狭窄を有する患者のうち35%にこの遺伝子多型が見られた(OR 25.0,95%CI 1.4-437.8,p<0.01)。M1/A1狭窄を複数有する患者では56%がこの多型を保有していた(OR 5.1,95%CI 1.2-21.9,p=0.033)。
【0076】
(考察)
本研究は、前方循環系の脳動脈狭窄、特にM1もしくはA1狭窄を有する患者においてRNF213 p.R4810K多型の保有率が高いことを示した。高齢者と比較して血管リスクが少ない若年患者において高いp.R4810K多型保有率を認め、p.R4810K多型が脳梗塞発症と関連する可能性がある。また、頭蓋内前方・後方循環、遠位部の狭窄まで対象とした本研究において、M1/A1狭窄を有する患者に多く本遺伝子多型を認め、本遺伝子多型と、頭蓋内狭窄部位との関連が明らかとなった。
【0077】
(結論)
上記のことから、RNF213 p.R4810K多型は、前方循環系の脳動脈狭窄、特にM1もしくはA1狭窄を伴う若年発症非心原性脳梗塞患者と相関を有することがわかる。
【0078】
(参照文献)
1) Feigin VL, Forouzanfar MH, Krishnamurthi R, Mensah GA, Connor M, Bennett DA, Moran AE, Sacco RL, Anderson L, Truelsen T, O’Donnell M, Venketasubramanian N, Barker-Collo S, Lawes CMMM, Wang W, Shinohara Y, Witt E, Ezzati M, Naghavi M, Murray C, Global Burden of Diseases, Injuries and RFS 2010 (GBD 2010) and the GSEG. Global and regional burden of stroke during 1990-2010: findings from the Global Burden of Disease Study 2010. Lancet. 2014;383:245-254.
2) GBD 2015 Mortality and Causes of Death Collaborators. Global, regional, and national life expectancy, all-cause mortality, and cause-specific mortality for 249 causes of death, 1980-2015: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2015. Lancet. 2016;388:1459-1544.
3) Bang OY. Considerations when subtyping ischemic stroke in Asian patients. J Clin Neurol. 2016;12:129-136.
4) Gulli G, Rutten-Jacobs LCA, Kalra L, Rudd AG, Wolfe CDA, Markus HS. Differences in the distribution of stroke subtypes in a UK black stroke population - final results from the South London Ethnicity and Stroke Study. BMC Med. 2016;14:77.
5) Kolominsky-Rabas PL, Weber M, Gefeller O, Neundoerfer B, Heuschmann PU. Epidemiology of ischemic stroke subtypes according to TOAST criteria: incidence, recurrence, and long-term survival in ischemic stroke subtypes: a population-based study. Stroke. 2001;32:2735-2740.
6) Mehndiratta MM, Khan M, Mehndiratta P, Wasay M. Stroke in Asia: geographical variations and temporal trends. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2014;85:1308-1312.
7) Malik R, Chauhan G, Traylor M, Sargurupremraj M, Okada Y, Mishra A, Rutten-Jacobs L, Giese A-K, van der Laan SW, Gretarsdottir S, Anderson CD, Chong M, Adams HHH, Ago T, Almgren P, Amouyel P, Ay H, Bartz TM, Benavente OR, Bevan S, Boncoraglio GB, Brown RD, Butterworth AS, Carrera C, Carty CL, Chasman DI, Chen W-M, Cole JW, Correa A, Cotlarciuc I, Cruchaga C, Danesh J, de Bakker PIW, DeStefano AL, den Hoed M, Duan Q, Engelter ST, Falcone GJ, Gottesman RF, Grewal RP, Gudnason V, Gustafsson S, Haessler J, Harris TB, Hassan A, Havulinna AS, Heckbert SR, Holliday EG, Howard G, Hsu F-C, Hyacinth HI, Ikram MA, Ingelsson E, Irvin MR, Jian X, Jimenez-Conde J, Johnson JA, Jukema JW, Kanai M, Keene KL, Kissela BM, Kleindorfer DO, Kooperberg C, Kubo M, Lange LA, Langefeld CD, Langenberg C, Launer LJ, Lee J-M, Lemmens R, Leys D, Lewis CM, Lin W-Y, Lindgren AG, Lorentzen E, Magnusson PK, Maguire J, Manichaikul A, McArdle PF, Meschia JF, Mitchell BD, Mosley TH, Nalls MA, Ninomiya T, O’Donnell MJ, Psaty BM, Pulit SL, Rannikmae K, Reiner AP, Rexrode KM, Rice K, Rich SS, Ridker PM, Rost NS, Rothwell PM, Rotter JI, Rundek T, Sacco RL, et al. Multiancestry genome-wide association study of 520,000 subjects identifies 32 loci associated with stroke and stroke subtypes. Nat Genet. 2018;50:524-537.
8) Liu W, Morito D, Takashima S, Mineharu Y, Kobayashi H, Hitomi T, Hashikata H, Matsuura N, Yamazaki S, Toyoda A, Kikuta K, Takagi Y, Harada KH, Fujiyama A, Herzig R, Krischek B, Zou L, Kim JE, Kitakaze M, Miyamoto S, Nagata K, Hashimoto N, Koizumi A. Identification of RNF213 as a susceptibility gene for moyamoya disease and its possible role in vascular development. PLoS One. 2011;6:e22542.
9) Kamada F, Aoki Y, Narisawa A, Abe Y, Komatsuzaki S, Kikuchi A, Kanno J, Niihori T, Ono M, Ishii N, Owada Y, Fujimura M, Mashimo Y, Suzuki Y, Hata A, Tsuchiya S, Tominaga T, Matsubara Y, Kure S. A genome-wide association study identifies RNF213 as the first Moyamoya disease gene. J Hum Genet. 2011;56:34-40.
10) Miyawaki S, Imai H, Takayanagi S, Mukasa A, Nakatomi H, Saito N. Identification of a genetic variant common to moyamoya disease and intracranial major artery stenosis/occlusion. Stroke. 2012;43:3371-3374.
11) Miyatake S, Miyake N, Touho H, Nishimura-Tadaki A, Kondo Y, Okada I, Tsurusaki Y, Doi H, Sakai H, Saitsu H, Shimojima K, Yamamoto T, Higurashi M, Kawahara N, Kawauchi H, Nagasaka K, Okamoto N, Mori T, Koyano S, Kuroiwa Y, Taguri M, Morita S, Matsubara Y, Kure S, Matsumoto N. Homozygous c.14576G>A variant of RNF213 predicts early-onset and severe form of moyamoya disease. Neurology. 2012;78:803-810.
12) Morito D, Nishikawa K, Hoseki J, Kitamura A, Kotani Y, Kiso K, Kinjo M, Fujiyoshi Y, Nagata K. Moyamoya disease-associated protein mysterin/RNF213 is a novel AAA+ ATPase, which dynamically changes its oligomeric state. Sci Rep. 2014;4:4442.
13) Koizumi A, Kobayashi H, Hitomi T, Harada KH, Habu T, Youssefian S. A new horizon of moyamoya disease and associated health risks explored through RNF213. Environ Health Prev Med. 2016;21:55-70.
14) Morimoto T, Enmi J, Hattori Y, Iguchi S, Saito S, Harada KH, Okuda H, Mineharu Y, Takagi Y, Youssefian S, Iida H, Miyamoto S, Ihara M, Kobayashi H, Koizumi A. Dysregulation of RNF213 promotes cerebral hypoperfusion. Sci Rep. 2018;8:3607.
15) Bang OY, Chung J-W, Cha J, Lee MJ, Yeon JY, Ki C-S, Jeon P, Kim J-S, Hong SC. A Polymorphism in RNF213 Is a Susceptibility Gene for Intracranial Atherosclerosis. PLoS One. 2016;11:e0156607.
16) O’Donnell M, Xavier D, Diener C, Sacco R, Lisheng L, Zhang H, Pias P, Truelsen T, Chin SL, Rangarajan S, Devilliers L, Damasceno A, Mondo C, Lanas F, Avezum A, Diaz R, Varigos J, Hankey G, Teal P, Kapral M, Ryglewicz D, Czlonkowska A, Skowronska M, Lopez-Jaramillo P, Dans T, Langhorne P, Yusuf S, INTERSTROKE investigators. Rationale and design of INTERSTROKE: a global case-control study of risk factors for stroke. Neuroepidemiology. 2010;35:36-44.
17) Fukui M. Guidelines for the diagnosis and treatment of spontaneous occlusion of the circle of Willis (“moyamoya” disease). Research Committee on Spontaneous Occlusion of the Circle of Willis (Moyamoya Disease) of the Ministry of Health and Welfare, Japan. Clin Neurol Neurosurg. 1997;99 Suppl 2:S238-240.
18) Adams HP, Bendixen BH, Kappelle LJ, Biller J, Love BB, Gordon DL, Marsh EE. Classification of subtype of acute ischemic stroke. Definitions for use in a multicenter clinical trial. TOAST. Trial of Org 10172 in Acute Stroke Treatment. Stroke. 1993;24:35-41.
19) Chimowitz MI, Kokkinos J, Strong J, Brown MB, Levine SR, Silliman S, Pessin MS, Weichel E, Sila CA, Furlan AJ. The Warfarin-Aspirin Symptomatic Intracranial
Disease Study. Neurology. 1995;45:1488-1493.
20) Kim BJ, Kim JS. Ischemic stroke subtype classification: an Asian viewpoint. J stroke. 2014;16:8-17.
21) Park MG, Shin JH, Lee SW, Park HR, Park KP. RNF213 rs112735431 polymorphism in intracranial artery steno-occlusive disease and moyamoya disease in Koreans. J Neurol Sci. 2017;375:331-334.
22) Miyawaki S, Imai H, Shimizu M, Yagi S, Ono H, Mukasa A, Nakatomi H, Shimizu T, Saito N. Genetic variant RNF213 c.14576G>A in various phenotypes of intracranial major artery stenosis/occlusion. Stroke. 2013;44:2894-2897.
23) Kuroda S, Houkin K. Moyamoya disease: current concepts and future perspectives. Lancet Neurol. 2008;7:1056-1066.
24) Kuriyama S, Kusaka Y, Fujimura M, Wakai K, Tamakoshi A, Hashimoto S, Tsuji I, Inaba Y, Yoshimoto T. Prevalence and clinicoepidemiological features of moyamoya disease in Japan: findings from a nationwide epidemiological survey. Stroke. 2008;39:42-47.
25) Roy-O’Reilly M, McCullough LD. Sex differences in stroke: the contribution of coagulation. Exp Neurol. 2014;259:16-27.
26) Williams JE, Chimowitz MI, Cotsonis GA, Lynn MJ, Waddy SP, WASID Investigators. Gender differences in outcomes among patients with symptomatic intracranial arterial stenosis. Stroke. 2007;38:2055-2062.
27) Liu W, Senevirathna STMLD, Hitomi T, Kobayashi H, Roder C, Herzig R, Kraemer M, Voormolen MHJ, Cahova P, Krischek B, Koizumi A. Genomewide association study identifies no major founder variant in Caucasian moyamoya disease. J Genet. 2013;92:605-609.