(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023021547
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】空調装置
(51)【国際特許分類】
F04D 29/44 20060101AFI20230207BHJP
F04D 29/66 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
F04D29/44 P
F04D29/66 N
F04D29/44 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021126474
(22)【出願日】2021-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000109026
【氏名又は名称】ダイニチ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大平 享央
(72)【発明者】
【氏名】丸山 貴之
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB45
3H130AC11
3H130BA14B
3H130BA69A
3H130CA03
3H130DJ01X
3H130EA07B
(57)【要約】
【課題】ケーシングの吸気口に吸い込まれる空気流の衝突を抑制し、静音性に優れた空調装置を提供する。
【解決手段】吸気口101を有しファン8を内部に収納するケーシング10と、ケーシング10の吸気口101に設けられるとともにファン8の回転軸9aと直交する方向に開口する空気取入口13を有し空気取入口13から流入した空気を吸気口101へ導く導風路12と、導風路12内に配置され先端が吸気口101に向かって延びる整流部16と、を備えた空調装置であって、導風路12は線Xによって、空気取入口13から見てファン8の回転方向と同じ側である第一領域R1と、反対の側である第二領域R2とに分けられ、整流部16は第一領域R1に設けられる第一整流部161と、第二領域R2に設けられる第二整流部162を備え、第二整流部162を第一整流部161よりも空気取入口13から離れた位置に配置した。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を中心に左右どちらか一方に回転して該回転軸と交差する方向に送風するファンと、
前記ファンを内部に収納して、吸気口と吐出口とを有するケーシングと、
前記ケーシングの外方の前記吸気口側に設けられるとともに前記回転軸と直交する方向に開口する空気取入口を有し、前記空気取入口から流入した空気を前記吸気口へ導く導風路を形成する導風部と、
前記導風路内に配置され先端が前記吸気口に向かって延びる整流部と、を備え
前記導風路は、前記空気取入口から導風路に流入する空気の流れと平行かつ前記回転軸を通る線で二分割したとき、前記空気取入口から見てファンの回転方向と同じ側である第一領域と、前記空気取入口から見てファンの回転方向と反対の側である第二領域とに分けられ、
前記整流部は、前記第一領域に設けられる第一整流部と、前記第二領域に設けられる第二整流部を備え、
前記第二整流部は前記第一整流部より前記空気取入口から離れた位置に配置されている空調装置。
【請求項2】
水を蓄えた水槽を有し加湿空気を発生させる加湿部と、
前記加湿部の上方に設けられ、回転軸を中心に左右どちらか一方に回転して該回転軸と交差する方向に送風するファンと、
前記ファンを内部に収納して、吸気口と吐出口とを有するケーシングと、
前記ケーシングの側方に設けられるとともに、前記加湿部と連通する空気取入口を有し、前記空気取入口から流入した空気を前記吸気口へ導く導風路を形成する導風部と、
前記導風路内に配置され先端が前記吸気口に向かって延びる整流部と、を備え
前記導風路は、前記空気取入口から導風路に流入する空気の流れと平行かつ前記回転軸を通る線で二分割したとき、前記空気取入口から見てファンの回転方向と同じ側である第一領域と、前記空気取入口から見てファンの回転方向と反対の側である第二領域とに分けられ、
前記整流部は、前記第一領域に設けられる第一整流部と、前記第二領域に設けられる第二整流部を備え、
前記第二整流部は前記第一整流部より前記空気取入口から離れた位置に配置されている空調装置。
【請求項3】
前記第一領域または前記第二領域の少なくともいずれか一方には、前記第一整流部または前記第二整流部よりも空気取入口側に、先端が前記吸気口に向かって延びる補助整流部が設けられ、
前記補助整流部の先端と、前記第一整流部または前記第二整流部の先端とが、50度以下の角度をなして接触している請求項1または2記載の空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンの回転により装置内に取り込んだ空気に、加湿、温度調整、清浄化等を行い室内に放出する空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、室内の空気に対して、加湿、温度調整、清浄化等を行う空調装置が知られている。このような空調装置は、ファンの回転により装置内に室内の空気を取り入れ、取り入れた空気を加湿、温度調整、清浄化した後に室内に放出するようになっており、例えば、回転軸と交差する方向に風を送る遠心式のファンと、このファンを内部に収納し吸気口と吐出口が設けられたケーシングを備えて構成される。
【0003】
空調装置は、加湿装置であれば、加湿フィルタや水槽といった内部部品を備えており、これら内部部品の配置によっては遠心ファンに回転軸の方向から空気を取り入れることが難しい場合がある。この場合、例えば特許文献1のように、ケーシングに遠心ファンの回転軸と直交する方向に延びる空気吸込流路を設けた送風構造を用いることができる。
【0004】
そして、この空気吸込経路においてはファンの上流側に、取り入れた空気の流れを整流する整流部材が設けられる。この整流部材は紡錘形状、大Rの円弧形状、円柱体状などとすることができ、空気吸込流路の側面に略平行もしくは、空気吸込方向に傾斜して設置される。このように整流部材を配置することにより、ケーシングの空気吸込口付近に安定した空気流を形成し、風量-圧力特性を向上させて静音化するとともに、ファンを駆動するモータ動力の低減が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、空気吸込流路内では整流部材によって整流された空気がファンに流れ込む一方で、一部の空気は空気吸込流路内の下流端で折り返し、渦を巻く旋回流を発生させていた。そして、この旋回流が整流部材を通過した空気の流れと衝突し、空気の流れを乱すことで騒音値の悪化を引き起こしてしまっていた。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためのもので、整流部材の形状および配置を最適化することでケーシングの吸気口に吸い込まれる空気流の衝突を抑制し、静音性に優れた空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、回転軸を中心に左右どちらか一方に回転して該回転軸と交差する方向に送風するファンと、
前記ファンを内部に収納して、吸気口と吐出口とを有するケーシングと、
前記ケーシングの外方の前記吸気口側に設けられるとともに前記回転軸と直交する方向に開口する空気取入口を有し、前記空気取入口から流入した空気を前記吸気口へ導く導風路を形成する導風部と、
前記導風路内に配置され先端が前記吸気口に向かって延びる整流部と、を備え
前記導風路は、前記空気取入口から導風路に流入する空気の流れと平行かつ前記回転軸を通る線で二分割したとき、前記空気取入口から見てファンの回転方向と同じ側である第一領域と、前記空気取入口から見てファンの回転方向と反対の側である第二領域とに分けられ、
前記整流部は、前記第一領域に設けられる第一整流部と、前記第二領域に設けられる第二整流部を備え、
前記第二整流部は前記第一整流部より前記空気取入口から離れた位置に配置されている空調装置である。
【0009】
また、水を蓄えた水槽を有し加湿空気を発生させる加湿部と、
前記加湿部の上方に設けられ、回転軸を中心に左右どちらか一方に回転して該回転軸と交差する方向に送風するファンと、
前記ファンを内部に収納して、吸気口と吐出口とを有するケーシングと、
前記ケーシングの側方に設けられるとともに、前記加湿部と連通する空気取入口を有し、前記空気取入口から流入した空気を前記吸気口へ導く導風路を形成する導風部と、
前記導風路内に配置され先端が前記吸気口に向かって延びる整流部と、を備え
前記導風路は、前記空気取入口から導風路に流入する空気の流れと平行かつ前記回転軸を通る線で二分割したとき、前記空気取入口から見てファンの回転方向と同じ側である第一領域と、前記空気取入口から見てファンの回転方向と反対の側である第二領域とに分けられ、
前記整流部は、前記第一領域に設けられる第一整流部と、前記第二領域に設けられる第二整流部を備え、
前記第二整流部は前記第一整流部より前記空気取入口から離れた位置に配置されている空調装置である。
【発明の効果】
【0010】
上述のように構成することにより、ケーシングの吸気口に吸い込まれる空気流の衝突を抑制することができるため、静音性に優れた空調装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態の空調装置の一例である加湿装置の外観図である。
【
図2】本実施形態の空調装置の一例である加湿装置の断面構成図である。
【
図3】本実施形態の空調装置の一例である加湿装置の内部構成図である。
【
図4】本実施形態の空調装置の構成を示す分解図である。
【
図5】本実施形態の空調装置おいて導風路側からファンカバーを見た図である。
【
図7】整流部と補助整流部とが接触する角度と騒音値との関係を表したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
好適と考える本発明の実施形態を、本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0013】
本発明は、回転軸を中心に左右どちらか一方に回転して回転軸と交差する方向に送風するファンと、ファンを内部に収納して、吸気口と吐出口とを有するケーシングと、ケーシングの外方の吸気口側に設けられるとともに回転軸と直交する方向に開口する空気取入口を有し、空気取入口から流入した空気を吸気口へ導く導風路を形成する導風部と、導風路内に配置され先端が吸気口に向かって延びる整流部と、を備え、導風路は、空気取入口から導風路に流入する空気の流れと平行かつ回転軸を通る線で二分割したとき、空気取入口から見てファンの回転方向と同じ側である第一領域と、ファンの回転方向と反対の側である第二領域とに分けられ、整流部は、第一領域に設けられる第一整流部と、第二領域に設けられる第二整流部を備え、第二整流部は前記第一整流部より前記空気取入口から離れた位置に配置されている。これにより、導風路の下流で折り返した空気流は、第一整流部と第二整流部に沿った渦となり吸気口に向かうこととなる。加えて、第二整流部は第一整流部より空気取入口から離れた位置に設けることで、吸気口に向かう渦流の流れを妨げないため、スムーズに吸気口に導かれる。よって、空気流の衝突を抑制することができ、静音性に優れた空調装置となる。
【0014】
また、加湿空気を発生させる加湿部と、加湿部の上方に設けられ、回転軸を中心に左右どちらか一方に回転して回転軸と交差する方向に送風するファンと、ファンを内部に収納して、吸気口と吐出口とを有するケーシングと、ケーシングの側方に設けられるとともに加湿部と連通する空気取入口を有し、空気取入口から流入した空気を吸気口へ導く導風路を形成する導風部と、導風路内に配置され先端が吸気口に向かって延びる整流部と、を備え、導風路は、空気取入口から導風路に流入する空気の流れと平行かつ回転軸を通る線で二分割したとき、空気取入口から見てファンの回転方向と同じ側である第一領域と、ファンの回転方向と反対の側である第二領域とに分けられ、整流部は、第一領域に設けられる第一整流部と、第二領域に設けられる第二整流部を備え、第二整流部は前記第一整流部より前記空気取入口から離れた位置、つまり第一整流部の方が第二整流部よりも低い位置に配置されている。これにより、導風路の下流で折り返した空気流は、第一整流部と第二整流部に沿った渦となり吸気口に向かうこととなる。加えて、第二整流部は第一整流部より空気取入口から離れた位置に設けることで、吸気口に向かう渦流の流れを妨げないため、スムーズに吸気口に導かれる。よって、空気流の衝突を抑制することができ、静音性に優れた空調装置となる
【0015】
また、第一領域または第二領域の少なくともいずれか一方には、第一整流部または第二整流部よりも空気取入口側に、先端が吸気口に向かって延びる補助整流部を設けることで、空気取入口から流入した空気を吸気口に向かわせるように整流することができる。そして補助整流部の先端と、第一整流部または第二整流部の先端とが50度以下の角度をなして接触することで、より効果的に騒音を低減させることができる。
【実施例0016】
以下、本発明の一実施例を図面により説明する。本実施形態では、空調装置の一例として加湿装置を例に説明する。なお、空調装置は加湿装置に限らず、室内の空気を調節するものであればよく、このほか空気清浄装置、暖房装置、またはこれらを組み合わせた装置などであってもよい。
【0017】
図1は、本実施形態の空調装置の一例である加湿装置の外観図である。加湿装置は、本体1の上面に、加湿装置の動作を指示する各種ボタンを備えた操作部2と、装置内部で発生させた加湿空気を吹き出す吹出口3を備えている。そして、水を供給する給水タンク4が本体1の外装の一部を構成するように着脱可能に設けられている。
【0018】
図2は、本実施形態の空調装置の一例である加湿装置の断面構成図であり、
図3は、本実施形態の空調装置の一例である加湿装置の内部構成図である。加湿装置の本体1の底部には、給水タンク4から供給された水を一定水量貯える水槽51、水槽51内に配置され水槽51に貯えられた水を吸水して湿潤する加湿フィルタ52が配置されている。水槽51と加湿フィルタ52とで加湿部5が構成される。さらに、本体1の背面には、本体1内部に空気を取り入れる吸込口6が設けられている。
【0019】
また、加湿フィルタ52の上部には、本体1内に空気の流れを発生させる送風機7が設けられている。送風機7は、ファン8と、ファン8を駆動するモータ9から構成され、本実施形態のファン8は、略円筒形状のいわゆるシロッコファンであり、モータ9の回転軸9aの軸方向に細長く形成された複数の翼片81が回転軸9aに対して放射状に所定の間隔で配置されている。ファン8はこの回転軸9aを中心に回転し、回転軸9aと交差する方向に送風を行う。
【0020】
送風機7は、ケーシング10を介して本体1に取り付けられている。ケーシング10は、ファン8を内部に収容し、空気を吸い込む吸気口101と、本体1の吹出口3と連通し吸い込んだ空気を吐出する吐出口102を有している。なお、ケーシング10の詳細については後述する。また、
図2に示すように、ケーシング10の吸気口101の外方には、導風部11が設けられており、この導風部11によって吸気口101へ向かう空気の流路である導風路12が形成されている。
【0021】
導風部11は、加湿装置の本体1を構成する外装の一面1aとケーシング10の一部とによって構成され、その下端部にはファン8の回転軸9aと直交する方向に開口する空気取入口13を有している。この構成によって、空気取入口13から流入した空気は導風路12を通ってケーシング10の吸気口101へ導かれることとなる。
【0022】
上述の構成において、モータ9の駆動によりファン8が回転すると、ケーシング10の吸気口101から流入した空気が吐出口102から吐出される。この空気の流れによって、本体1背面の吸込口6から天面の吹出口3にいたる通風路に送風が行われる。また、通風路中の加湿フィルタ52の上流には、吸込口6から導入された空気を加熱して温風とするための温風用ヒータ18が設けられている。したがって、吸込口6から取り込まれた室内の空気は、温風用ヒータ18で加熱され、水槽51内の水を吸い上げて湿潤している加湿フィルタ52を通過する際に加湿空気となり、吹出口3より室内に放出されることで空気が加湿される。
【0023】
また、加湿装置を構成する部品を上述のように配置することで、本体1内のスペースを効率よく使用することができるので、小型かつ加湿能力に優れた加湿装置となる。
【0024】
次に、ケーシング10の詳細構造について
図4に基づいて説明する。
図4は、本実施形態の空調装置の構成を示す分解図である。ケーシング10は、ファンカバー14とモータカバー15とを組み合わせて構成される。ファンカバー14とモータカバー15の間にファン8が収容され、モータカバー15の背面にモータ9が取り付けられる。モータカバー15は、ファン8の外周を囲うように湾曲形成された周壁板151を有しており、吸気口101から吸いこまれた空気は、ファン8の内側から外側に向かって回転軸9aと交差する方向に吹き出されたのち、周壁板151に沿って流れ吐出口102から吐出される。
【0025】
ファンカバー14は、導風部11の一部を構成しており、外装の一面1aと当接してその間に導風路12を形成する。そして、吸気口101を備えるとともに、空気取入口13から導風路12内に流入した空気の流れを整流する整流部16を有している。
【0026】
図5は、本実施形態の空調装置において導風路側からファンカバーを見た図である。本実施形態においては、図示された方向から見て、ファン8は図の矢印で示すように右回転をするものである。ファンカバー14には、第一整流部161と第二整流部162が設けられており、第一整流部161と第二整流部162はともに、その先端が吸気口101に向かって延びるように配置されている。
【0027】
導風路12は、線Xで第一領域R1と第二領域R2とに分けることができる。線Xは、空気取入口13から導風路12に流入する空気の流れと平行でかつファン8の回転軸9aを通る仮想線であって、このXで導風路12を二分割したとき、空気取入口13から見てファン8の回転方向と同じ側が第一領域R1、空気取入口13から見てファン8の回転方向と反対の側が第二領域R2である。本実施形態ではファン8は右回転をしているので線Xの右側が第一領域R1、反対の左側が第二領域R2となる。そして、第一領域R1には第一整流部161が設けられ、第二領域R2には第二整流部162が設けられている。
【0028】
図6は、導風路内での空気の流れを示す図である。導風路12内では、空気取入口13から流入した空気が直接吸気口101に流れ込む一方で、一部の空気は導風路12の下流端で折り返し渦を巻くように吸気口101に向かう流れを発生させる。これにより、導風路12の下流側ではファン8の回転方向の渦流と逆回転方向の渦流が存在し、このままでは直接吸気口101に向かう流れと渦流とが衝突して乱流を発生させ、これが騒音の原因となってしまう。そこで、空気流の衝突を防ぐため、導風路12には第一整流部161と第二整流部162が設けられている。導風路12の下流で折り返した空気流は、第一整流部161と第二整流部162に沿った渦となり、吸気口101に向かうこととなるので、渦流がスムーズに吸気口101に導かれて空気流の衝突による乱流の発生を防ぐことができる。
【0029】
そして、第二整流部162は第一整流部161より空気取入口13から離れた位置、つまり加湿装置においては、第一整流部161の方が第二整流部162よりも低い位置なるように配置されている。本実施形態ではファン8が右回転をしており、ファン8の回転と同じ方向である第一領域R1の方に、第二領域R2よりも大きな空気流が形成され、この空気流が渦を巻く位置は第一領域R1の方が低くなる。空気流が渦を巻く前に整流部16に衝突すると、そこで乱流が発生してしまうことになる。そのため、第一領域R1の整流部16である第一整流部161の位置を低くすることで、渦流の流れを妨げないようにしている。これにより、スムーズに渦流を吸気口101に導くことができるため、効果的に騒音の発生が抑制される。
【0030】
整流部16は渦流を沿わせるために、湾曲もしくは屈曲した形状をしているが、整流部16の位置の高低は、それぞれの整流部16の最も下方の位置によって判断するものである。つまり、第一整流部161の下端L1が第二整流部162の下端L2よりも低い位置なるように配置されている。
【0031】
また、第二領域R2には、第二整流部162よりも空気取入口13側に補助整流部17が設けられている。補助整流部17は先端が吸気口101に向かって延びており、補助整流部17の先端と第二整流部162の先端が接触するように配置されている。このように補助整流部17を設けることにより、空気取入口13から流入した空気を吸気口101に向かわせるように整流することができる。また、第二整流部162と補助整流部17の先端同士が接触する角度は50度以下とするのがよい。
【0032】
図7は整流部(第二整流部)と補助整流部とが接触する角度と騒音値との関係を表したグラフである。右下ほど騒音値が低く静音性に優れていることを示している。グラフから分かるように、接触角度が10~50度の場合は、その騒音値に大きな違いは見られなかったが、接触角度が60度の場合は明らかに騒音値が上昇することがわかった。このことから、接触角度を50度以下とすることで、効果的に騒音を低減させることができる。
【0033】
なお、本実施形態では、第二領域R2にのみ補助整流部17を設けた構成を説明したが、補助整流部17は第一領域R1に設けてもよい。少なくとも第一領域R1および第二領域R2のいずれ一方に設けることで騒音を低減する効果を得ることができる。
【0034】
加湿装置内におけるケーシング10の配置は本実施形態に限るものではない。したがってケーシング10の配置によっては、導風路12から見たファン8の回転方向が左回転となるように構成とすることもできる。この場合、線Xの左側が第一領域R1、右側が第二領域R2となる。