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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023021581
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】ガスグリル
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/06 20060101AFI20230207BHJP
   F24C 3/08 20060101ALI20230207BHJP
   F23D 14/04 20060101ALI20230207BHJP
   F23Q 9/00 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
A47J37/06 366
F24C3/08 V
F23D14/04 Z
F23Q9/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021126529
(22)【出願日】2021-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】100092071
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 均
(74)【代理人】
【識別番号】100130638
【弁理士】
【氏名又は名称】野末 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】小林 慶太
(72)【発明者】
【氏名】横山 敬仁
【テーマコード(参考)】
3K017
4B040
【Fターム(参考)】
3K017AA03
3K017AB03
3K017AC01
3K017AD04
3K017AG03
3K017BB03
4B040AA03
4B040AA08
4B040AB03
4B040AC01
4B040AD04
4B040CA02
(57)【要約】
【課題】グリル上バーナを構成する複数の燃焼部のうち、任意の燃焼部を燃焼させることにより良好なグリル調理を行うことが可能で、耐久性に優れたガスグリルを提供する。
【解決手段】グリル上バーナ1は、中央側ガス燃焼用炎孔10dを有する中央側ガス燃焼部10aと、周辺側ガス燃焼用炎孔11d、12dを有する周辺側ガス燃焼部11a、12aと、中央側ガス燃焼部用の燃料ガスと、周辺側ガス燃焼部用の燃料ガスの少なくとも一方に点火する点火装置20とを備え、中央側ガス燃焼用炎孔に炎が形成され、周辺側ガス燃焼用炎孔に炎が形成されていないときに周辺側ガス遮断弁が開になると、中央側ガス燃焼用炎孔から、周辺側ガス燃焼用炎孔への火移りが行われ、周辺側ガス燃焼用炎孔に炎が形成され、中央側ガス燃焼用炎孔に炎が形成されていないときに、中央側ガス遮断弁が開になると、周辺側ガス燃焼用炎孔から、中央側ガス燃焼用炎孔への火移りが行われるようにする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被調理物を収容するグリル庫と、
前記グリル庫内において、前記被調理物を上方から加熱するグリル上バーナと、を備えるガスグリルにおいて、
前記グリル上バーナは、中央側ガス燃焼部と、平面視で前記中央側ガス燃焼部の周辺に位置する周辺側ガス燃焼部とを備えているとともに、前記中央側ガス燃焼部に供給される燃料ガスと、前記周辺側ガス燃焼部に供給される燃料ガスの少なくとも一方に点火を行う点火装置とを備え、かつ、
前記中央側ガス燃焼部は、燃料ガスの供給路である中央側ガス供給路と、中央側ガス遮断弁と、中央側ガス燃焼用炎孔とを備え、
前記周辺側ガス燃焼部は、燃料ガスの供給路である周辺側ガス供給路と、周辺側ガス遮断弁と、周辺側ガス燃焼用炎孔とを備えているとともに、
(a)前記中央側ガス遮断弁が開状態で、前記中央側ガス燃焼用炎孔に炎が形成されており、かつ、前記周辺側ガス遮断弁が閉状態で、前記周辺側ガス燃焼用炎孔に炎が形成されていない状態において、前記周辺側ガス遮断弁が開状態となった場合には、前記中央側ガス燃焼用炎孔に形成されている炎により、前記周辺側ガス燃焼用炎孔への火移りが行われ、
(b)前記周辺側ガス遮断弁が開状態で、前記周辺側ガス燃焼用炎孔に炎が形成されており、かつ、前記中央側ガス遮断弁が閉状態で、前記中央側ガス燃焼用炎孔に炎が形成されていない状態において、前記中央側ガス遮断弁が開状態となった場合には、前記周辺側ガス燃焼用炎孔に形成されている炎により、前記中央側ガス燃焼用炎孔への火移りが行われるように構成されていること
を特徴とするガスグリル。
【請求項2】
前記周辺側ガス燃焼部として複数の周辺側ガス燃焼部を備えており、
前記複数の周辺側ガス燃焼部の少なくとも1つが、平面視で前記中央側ガス燃焼部を取り囲む態様で配設されているとともに、
前記複数の周辺側ガス燃焼部のうちのいずれかの周辺側ガス燃焼部が備える周辺側ガス燃焼用炎孔に形成された炎が、他の周辺側ガス燃焼部が備える周辺側ガス燃焼用炎孔に火移り可能に構成されていること
を特徴とする前記請求項1に記載のガスグリル。
【請求項3】
前記周辺側ガス燃焼部として複数の周辺側ガス燃焼部を備えており、
前記周辺側ガス燃焼部の少なくとも1つが、前記グリル庫の後部の、前記グリル庫において発生する調理排気を前記グリル庫の後部から排気口に導く排気路に配設されて、前記調理排気に含まれる油煙や臭気成分を加熱焼失させるアフターバーナとして機能するように構成されていること
を特徴とする前記請求項1に記載のガスグリル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚や肉などの被調理物のグリル調理を行うのに用いられるガスグリルに関し、詳しくは、被調理物を上方から加熱するグリル上バーナを備えたガスグリルに関する。
【背景技術】
【0002】
魚や肉などの被調理物のグリル調理に用いられるガスグリルは、従来より広く用いられており、ガスグリルを備えたグリル付きガスコンロも、広く用いられている。
【0003】
そして、そのようなガスグリルとして、特許文献1には、グリル庫内で被調理物(被加熱物)を加熱するグリルバーナと、グリル庫で発生する、油煙や臭気成分を含む調理排気をグリル庫の後部から排気口に導く排気路と、排気路に配設されて調理排気に含まれる油煙や臭気成分を加熱焼失させるアフターバーナとを備えたガスグリルが開示されている。
【0004】
このガスグリルにおいては、アフターバーナがグリルバーナの後方に配設されているとともに、グリルバーナ用炎孔とアフターバーナ用炎孔との間には連絡用炎孔が配設されている。
そして、グリルバーナ用炎孔、連絡用炎孔、および、アフターバーナ用炎孔は、グリルバーナ用炎孔から連絡用炎孔に火移りした後、連絡用炎孔からアフターバーナ用炎孔に火移りする態様で配設されている。
【0005】
その結果、このガスグリルにおいては、アフターバーナに燃料ガスを供給するガス供給路およびアフターバーナ用の点火プラグなどの点火用部品を、グリルバーナ用のガス供給路および点火用部品とは別に設けることが不要になり、構造が簡潔で、製造コストを抑制することが可能な、アフターバーナを備えたガスグリルを実現することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-217307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記従来のガスグリルの場合、グリルバーナ用のガス供給路および点火用部品が、アフターバーナ用のガス供給路および点火用部品と共用されているため、グリルバーナと、アフターバーナをそれぞれ単独で燃焼させることができず、バーナの燃焼制御の自由度が低いという問題点がある。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するものであり、グリル上バーナが複数の燃焼部を備えたガスグリルであって、グリル上バーナを構成する複数の燃焼部のうち、任意の燃焼部を燃焼させることが可能で、適切な火加減による良好なグリル調理を行うことが可能で、かつ、点火装置の耐久性に優れ、信頼性の高いガスグリルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のガスグリルは、
被調理物を収容するグリル庫と、
前記グリル庫内において、前記被調理物を上方から加熱するグリル上バーナと、を備えるガスグリルにおいて、
前記グリル上バーナは、中央側ガス燃焼部と、平面視で前記中央側ガス燃焼部の周辺に位置する周辺側ガス燃焼部とを備えているとともに、前記中央側ガス燃焼部に供給される燃料ガスと、前記周辺側ガス燃焼部に供給される燃料ガスの少なくとも一方に点火を行う点火装置とを備え、かつ、
前記中央側ガス燃焼部は、燃料ガスの供給路である中央側ガス供給路と、中央側ガス遮断弁と、中央側ガス燃焼用炎孔とを備え、
前記周辺側ガス燃焼部は、燃料ガスの供給路である周辺側ガス供給路と、周辺側ガス遮断弁と、周辺側ガス燃焼用炎孔とを備えているとともに、
(a)前記中央側ガス遮断弁が開状態で、前記中央側ガス燃焼用炎孔に炎が形成されており、かつ、前記周辺側ガス遮断弁が閉状態で、前記周辺側ガス燃焼用炎孔に炎が形成されていない状態において、前記周辺側ガス遮断弁が開状態となった場合には、前記中央側ガス燃焼用炎孔に形成されている炎により、前記周辺側ガス燃焼用炎孔への火移りが行われ、
(b)前記周辺側ガス遮断弁が開状態で、前記周辺側ガス燃焼用炎孔に炎が形成されており、かつ、前記中央側ガス遮断弁が閉状態で、前記中央側ガス燃焼用炎孔に炎が形成されていない状態において、前記中央側ガス遮断弁が開状態となった場合には、前記周辺側ガス燃焼用炎孔に形成されている炎により、前記中央側ガス燃焼用炎孔への火移りが行われるように構成されていること
を特徴としている。
【0010】
本発明のガスグリルにおいては、
前記周辺側ガス燃焼部として複数の周辺側ガス燃焼部を備えており、
前記複数の周辺側ガス燃焼部の少なくとも1つが、平面視で前記中央側ガス燃焼部を取り囲む態様で配設されているとともに、
前記複数の周辺側ガス燃焼部のうちのいずれかの周辺側ガス燃焼部が備える周辺側ガス燃焼用炎孔に形成された炎が、他の周辺側ガス燃焼部が備える周辺側ガス燃焼用炎孔に火移り可能に構成されていること、
が好ましい。
【0011】
なお、本発明において、周辺側ガス燃焼部が、平面視で中央側ガス燃焼部を取り囲む態様で配設されているとは、例えば、周辺側ガス燃焼部が円形や楕円形の形状を有し、中央側ガス燃焼部と略同心状に配設されて、中央側ガス燃焼部を取り囲んでいる場合や、周辺側ガス燃焼部の平面形状が略U字状や略コ字状で、中央側ガス燃焼部を取り囲むように配設されている場合などを言う。
【0012】
また、本発明においては、複数の周辺側ガス燃焼部のいずれもが、円形、楕円形、略U字状、略コ字状などの形状であって、中央側ガス燃焼部と略同心状に配設され、中央側ガス燃焼部を何重にも取り囲む態様となるように構成されていてもよい。
【0013】
また、本発明のガスグリルにおいては、
前記周辺側ガス燃焼部として複数の周辺側ガス燃焼部を備えており、
前記周辺側ガス燃焼部の少なくとも1つが、前記グリル庫の後部の、前記グリル庫において発生する調理排気を前記グリル庫の後部から排気口に導く排気路に配設されて、前記調理排気に含まれる油煙や臭気成分を加熱焼失させるアフターバーナとして機能するように構成されていること、
が好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のガスグリルは上述のように構成されており、グリル上バーナを構成する中央側ガス燃焼部は中央側ガス供給路と、中央側ガス遮断弁とを備え、周辺側ガス燃焼部は、周辺側ガス供給路と、周辺側ガス遮断弁とを備えているので、グリル上バーナを構成する燃焼部のうち、任意の燃焼部を燃焼させて、適切な火加減によるグリル調理を行うことができる。
【0015】
また、本発明のガスグリルは、(a)中央側ガス遮断弁が開状態で、中央側ガス燃焼用炎孔に炎が形成されており、かつ、周辺側ガス遮断弁が閉状態で、周辺側ガス燃焼用炎孔に炎が形成されていない状態において、周辺側ガス遮断弁が開状態となった場合には、中央側ガス燃焼用炎孔に形成されている炎により、周辺側ガス燃焼用炎孔への火移りが行われ、(b)周辺側ガス遮断弁が開状態で、周辺側ガス燃焼用炎孔に炎が形成されており、かつ、中央側ガス遮断弁が閉状態で、中央側ガス燃焼用炎孔に炎が形成されていない状態において、中央側ガス遮断弁が開状態となった場合には、周辺側ガス燃焼用炎孔に形成されている炎により、中央側ガス燃焼用炎孔への火移りが行われるように構成されているので、中央側ガス燃焼部と周辺側ガス燃焼部のいずれか一方が燃焼中であれば、他方が消火中から点火を行う場合に、点火装置を作動させることなく点火することが可能になる。その結果、点火装置の使用頻度を少なくして、耐久性の高いガスグリルを提供することができる。
【0016】
なお、本発明のガスグリルにおいて、点火装置は、中央側ガス供給路によって中央側ガス燃焼用炎孔に供給される燃料ガスと、周辺側ガス供給路によって周辺側ガス燃焼用炎孔に供給される燃料ガスの少なくとも一方に点火することができるように構成されていればよく、その態様としては、中央側ガス燃焼用炎孔あるいは周辺側ガス燃焼用炎孔のいずれか一方にのみ点火することが可能な1つの点火装置を備えている態様、中央側ガス燃焼用炎孔および周辺側ガス燃焼用炎孔のいずれにも点火することが可能な1つの点火装置を備えている態様、中央側ガス燃焼用炎孔用の点火装置と、周辺側ガス燃焼用炎孔用の点火装置の両方を備えている態様など、種々の態様が例示される。
【0017】
また、中央側ガス燃焼部と周辺側ガス燃焼部のいずれか一方の炎孔の炎が、何らかの理由で消えてしまった場合にも、他方の炎孔から火移りするので、点火装置を使用することなく、常に炎孔に炎が形成されることになり、ガス漏れによる爆発的な点火が生じることを抑制して、安全性の高いガスグリルを提供することができる。
【0018】
また、周辺側ガス燃焼部として複数の周辺側ガス燃焼部を備え、複数の周辺側ガス燃焼部の少なくとも1つが、平面視で中央側ガス燃焼部を取り囲む態様で配設されているとともに、複数の周辺側ガス燃焼部のうちのいずれかの周辺側ガス燃焼部が備える周辺側ガス燃焼用炎孔に形成された炎が、他の周辺側ガス燃焼部が備える周辺側ガス燃焼用炎孔に火移り可能に構成されている場合、火移りが確実に行われるようにすることが可能になるとともに、被調理物に応じた適切な加熱量でグリル調理を行うことが可能になり、さらに省エネルギー性に優れ、良好なグリル調理を行うことが可能なガスグリルを提供することができる。
【0019】
また、複数の周辺側ガス燃焼部のうちのいずれかの周辺側ガス燃焼用炎孔の炎が消えても、他の周辺側ガス燃焼用炎孔からの火移りが行われるので、その都度点火装置を作動させることを必要とせず、常に炎孔に炎が形成された状態とすることが可能になり、ガス漏れによる爆発的な点火が生じることを抑制して、安全性の高いガスグリルを提供することができる。
【0020】
また、周辺側ガス燃焼部として複数の周辺側ガス燃焼部を備え、周辺側ガス燃焼部の少なくとも1つが、グリル庫の後部の、グリル庫において発生する調理排気をグリル庫の後部から排気口に導く排気路に配設されて、調理排気に含まれる油煙や臭気成分を加熱焼失させるアフターバーナとして機能するように構成されている場合、調理排気に含まれる油煙や臭気成分を加熱焼失させることが可能なアフターバーナを備えながら、専用の点火装置を備える必要がなく、清掃性に優れ、経済性の高いガスグリルを提供することが可能になる。
ただし、本発明のガスグリルにおいては、アフターバーナ用の点火装置を備えた構成とすることも可能である。
【0021】
また、アフターバーナ側の炎孔の炎が消えても、中央側ガス燃焼用炎孔や、他の周辺側ガス燃焼用炎孔に形成されている炎によって火移りが行われるので、点火装置を作動させなくても、アフターバーナ側の炎孔に炎が形成されることになり、ガス漏れによる爆発的な点火が生じることを抑制して、安全性の高いガスグリルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態にかかるガスグリルを備えたグリル付きガスコンロの外観構成を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態にかかるガスグリルを備えたグリル付きコンロの要部を示す側断面図である。
図3】本発明の実施形態にかかるガスグリルを構成するグリル上バーナの要部構成を示す下面図である。
図4】本発明の別実施形態1にかかるガスグリルを構成するグリル上バーナの構成を模式的に示す下面図である。
図5】本発明の別実施形態2にかかるガスグリルを構成するグリル上バーナの構成を模式的に示す下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明の実施形態を示して、本発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。なお、この実施形態では、本発明の要件を備えたガスグリルを有するグリル付きガスコンロを例にとって説明する。
【0024】
[実施形態]
まず、この実施形態にかかるガスグリルを有するグリル付きガスコンロの基本構成について説明する。
【0025】
<基本構成>
図1に示すグリル付きガスコンロ100は、ビルトイン型のグリル付きガスコンロ(以下、単に「ガスコンロ」ともいう)であり、ケース本体(コンロ本体)90、ケース本体90に配設されたコンロバーナ32a、32b、32c、魚などをグリル調理する際に用いられる、本発明の実施形態にかかるガスグリル33などを備えたグリル付きガスコンロである。
【0026】
ケース本体90の前面の左側上部および右側上部には、それぞれ上記複数のコンロバーナ32a、32b、32cの点火、消火、火力調節の操作を行うための加熱状態調節部35a、35b、35cが設けられている。
【0027】
すなわち、ケース本体90の前面の左側上部には、温度センサ付き標準火力ガスコンロ部(コンロバーナ)32aの点火、消火、火力調節の操作を行うための加熱状態調節部35aが配設されており、また、右側上部には、温度センサ付き高火力ガスコンロ部(コンロバーナ)32bの点火、消火、火力調節の操作を行うための加熱状態調節部35bと、温度センサ付き小火力ガスコンロ部(コンロバーナ)32cの点火、消火、火力調節の操作を行うための加熱状態調節部35cとが配設されている。
【0028】
さらに、ケース本体90の前面には、グリル扉33aが配置されており、ケース本体90の前面の右側上部には、電源スイッチ92が設けられている。
【0029】
また、この実施形態のグリル付きガスコンロ100において、ガスグリル33は、図1図2に示すように、上面がトッププレートTPで覆われたケース本体90内に収容されたグリル庫31と、このグリル庫31内の焼網36上に載置した被調理物(例えば魚)95(図2)を上方から加熱するグリル上バーナ1と、被調理物95を下方から加熱するグリル下バーナ2(図2)とを備えている。
【0030】
また、グリル庫31で、グリル上バーナ1およびグリル下バーナ2の燃焼により被調理物を加熱したときに発生する煙や燃焼ガスなどを含む調理排気をケース本体90外に排出する排気筒Hを備えている。なお、排気筒Hは、グリル庫31の後部に接続されている。
【0031】
なお、本実施形態のグリル付きガスコンロ100は、その前面にグリル側操作パネル93を備えており、グリル側操作パネル93には、ガスグリル33の点火・消火操作をするための点火・消火スイッチ93a、ガスグリル33による調理時間(焼成時間)を設定するためのタイマスイッチ(タイマ設定入力部)93b、上火、下火の火力を切り換えるための火力切替スイッチ93c、焼成するメニューを選んで該当する焼成物に対応した焼成制御を選択するためのメニュースイッチ93d、焼き加減を調整するための焼き加減スイッチ93e、上記タイマスイッチ(タイマ設定入力部)93b、火力切替スイッチ93c、メニュースイッチ93d、焼き加減スイッチ93eなどを操作して設定した各入力を取り消すための取消しスイッチ93fなどが配設されている。
【0032】
そして、上火、下火の火力を切り換える火力切替スイッチ93c、焼成物に対応した焼成制御を選択するためのメニュースイッチ93d、焼き加減を調整するための焼き加減スイッチ93eなどを操作することにより、グリルの火力調節(加熱状態調節)を行うことができるように構成されている。
【0033】
また、グリル庫31内には、調理排気の流れを整えるための整流板34が配設されている。
【0034】
<特徴的構成>
次に、この実施形態にかかるガスグリル33の特徴的な構成について説明する(図2図3参照)。
【0035】
この実施形態にかかるガスグリル33において、グリル上バーナ1は、中央側ガス燃焼部10aと、平面視で中央側ガス燃焼部10aの周辺(外側)に位置する2つの周辺側ガス燃焼部、すなわち、第1の周辺側ガス燃焼部11aと、第2の周辺側ガス燃焼部12aとを備えている。
【0036】
なお、第1の周辺側ガス燃焼部11aは、平面視で略U字状(あるいは略コ字状)の形状を有し、中央側ガス燃焼部10aを取り囲むように配設された燃焼部である。
【0037】
また、第2の周辺側ガス燃焼部12aは、平面視で中央側ガス燃焼部10aよりもグリル庫31内の後方(グリル庫31内の調理排気の流れの下流側)に位置する燃焼部であり、グリル庫31で発生する、油煙や臭気成分を含む調理排気をグリル庫31の後部から排気口91に導く排気路40に配設されて、調理排気に含まれる油煙や臭気成分を加熱焼失させるアフターバーナとして機能するように構成されている燃焼部である。
【0038】
また、中央側ガス燃焼部10aと、第1の周辺側ガス燃焼部11aとは、第1の金属板(隔壁)M1により仕切られ、第1の周辺側ガス燃焼部11aと、第2の周辺側ガス燃焼部12aとは、第2の金属板(隔壁)M2により仕切られた構成とされている。
【0039】
そして、中央側ガス燃焼部10aは、供給される燃料ガスの通路となる中央側ガス供給路10bと、中央側ガス供給路10bを開放し、または、遮断する中央側ガス遮断弁10cと、中央側ガス燃焼部10aに炎を形成するための中央側ガス燃焼用炎孔10dとを備えている。
【0040】
また、第1の周辺側ガス燃焼部11aは、供給される燃料ガスの通路となる第1の周辺側ガス供給路11bと、第1の周辺側ガス供給路11bを開放し、または、遮断する第1の周辺側ガス遮断弁11cと、第1の周辺側ガス燃焼部11aに炎を形成するための第1の周辺側ガス燃焼用炎孔11dとを備えている。
【0041】
さらに、アフターバーナとして機能する第2の周辺側ガス燃焼部12aは、供給される燃料ガスの通路となる第2の周辺側ガス供給路12bと、第2の周辺側ガス供給路12bを開放し、または、遮断する第2の周辺側ガス遮断弁12cと、第2の周辺側ガス燃焼部12aに炎を形成するための第2の周辺側ガス燃焼用炎孔12dとを備えている。
【0042】
また、グリル上バーナ1は、第1の周辺側ガス燃焼部11aと中央側ガス燃焼部10aの間の火移りを確実に行わせるための2つの火移り用炎孔11d1と、第1の周辺側ガス燃焼部11aと第2の周辺側ガス燃焼部(アフターバーナ)12aの間の火移りを確実に行わせるための火移り用炎孔12d1を備えている。
【0043】
なお、本実施形態にかかるガスグリル33は、火移り用炎孔11d1、12d1を備えることで、各燃焼部間で火移りが円滑にかつ確実に行われるようにしているが、例えば、火移りを行わせたい燃焼部を構成する炎孔(第1の周辺側ガス燃焼用炎孔11d、第2の周辺側ガス燃焼用炎孔12d、中央側ガス燃焼用炎孔10d)を互いに近接した位置に配設することにより、火移り用炎孔を設けることを必要とせずに、円滑かつ確実な火移りが行われるようにすることも可能である。
【0044】
また、本実施形態にかかるガスグリル33においては、第2の周辺側ガス燃焼部(アフターバーナ)12aと火移り用炎孔12d1の間に、第1の周辺側ガス燃焼部11aから第2の周辺側ガス燃焼部12aへの火移りを行わせるための連絡用炎孔12d2が配設されており、第1の周辺側ガス燃焼部11aから、第2の周辺側ガス燃焼部(アフターバーナ)12aへの火移りが確実に行われるように構成されている。なお、連絡用炎孔12d2は、本実施形態にかかるガスグリル33の場合のように、第1と第2の周辺側ガス燃焼部の距離が大きい場合に有意義である。
【0045】
また、この実施形態にかかるガスグリル33は、第1の周辺側ガス供給路11bによって第1の周辺側ガス燃焼用炎孔11dに供給される燃料ガスに点火を行う点火装置(点火プラグ)20を備えている。なお、本実施形態では、1つの点火装置(点火プラグ)20を備えた構成としている。
【0046】
また、本実施形態にかかるガスグリル33においては、点火装置(点火プラグ)20による第1の周辺側ガス燃焼部11aへの点火をより確実に行わせるため、第1の周辺側ガス燃焼用炎孔11dの近傍に、点火用炎孔11d2を備えている。
【0047】
すなわち、本実施形態にかかるガスグリル33においては、点火装置20が、第1の周辺側ガス燃焼用炎孔11dのうち、上バーナモジュールMの、図3における左辺側に配設された点火用炎孔11d2の近傍に配設されている。
【0048】
また、この実施形態では、上バーナモジュールMの下面を構成する1枚の金属板に所定のパータンで炎孔を形成するとともに、上バーナモジュールMの内部を第1および第2の金属板(隔壁)M1、M2(図3参照)で所定の領域に仕切ることにより、中央側ガス燃焼部10a、第1の周辺側ガス燃焼部11a、および、第2の周辺側ガス燃焼部12aを形成するようにしている。
【0049】
ただし、中央側ガス燃焼部10a用の金属板と、第1の周辺側ガス燃焼部11a用の金属板と、第2の周辺側ガス燃焼部12a用の金属板とをそれぞれ用意し、各金属板に所定の炎孔を形成することにより、中央側ガス燃焼部10a、第1の周辺側ガス燃焼部11a、および、第2の周辺側ガス燃焼部12aを形成するようにしてもよい。
【0050】
次に、本実施形態にかかるガスグリル33における、各燃焼部間の火移りの際の動作について説明する。
【0051】
本実施形態にかかるガスグリル33においては、中央側ガス遮断弁10cが開状態で、中央側ガス燃焼用炎孔10dに炎が形成されており、かつ、第1および第2の周辺側ガス遮断弁11c、12cが閉状態で、第1および第2の周辺側ガス燃焼用炎孔11d、12dに炎が形成されていない状態において、第1の周辺側ガス遮断弁11cが開状態となった場合には、中央側ガス燃焼用炎孔10dに形成されている炎により、第1の周辺側ガス燃焼用炎孔11dへの火移りが行われるように構成されている。
【0052】
さらに、第2の周辺側ガス遮断弁12cが開状態となった場合には、第1の周辺側ガス燃焼用炎孔11dに形成されている炎により、第2の周辺側ガス燃焼用炎孔12dへの火移りが行われるように構成されている。
【0053】
なお、中央側ガス燃焼用炎孔10dに形成されている炎から、第1の周辺側ガス燃焼用炎孔11dへの火移りは、中央側ガス燃焼用炎孔10dに近接した位置に配設された2箇所の火移り用炎孔11d1を介して確実に行われる。
【0054】
また、第1の周辺側ガス燃焼用炎孔11dに形成されている炎から、第2の周辺側ガス燃焼用炎孔12dへの火移りは、第1の周辺側ガス燃焼用炎孔11dに近接した位置に配設された火移り用炎孔12d1および連絡用炎孔12d2を介して確実に行われる。
【0055】
なお、第1の周辺側ガス燃焼部11aは燃焼させずに、中央側ガス燃焼部10aと第2の周辺側ガス燃焼部(アフターバーナ)12aを燃焼させたい場合には、例えば、中央側ガス燃焼部10a、第1の周辺側ガス燃焼部11aおよび第2の周辺側ガス燃焼部12aのいずれもを燃焼させた後、第1の周辺側ガス遮断弁11cを遮断して、第1の周辺側ガス燃焼部11aの燃焼を停止させることにより、第1の周辺側ガス燃焼部11aを燃焼させずに、中央側ガス燃焼部10aと第2の周辺側ガス燃焼部(アフターバーナ)12aを燃焼させることができる。
【0056】
また、第1の周辺側ガス遮断弁11cが開状態で、第1の周辺側ガス燃焼用炎孔11dに炎が形成されており、かつ、中央側ガス遮断弁10cが閉状態で、中央側ガス燃焼用炎孔10dに炎が形成されていない状態において、中央側ガス遮断弁10cが開状態となった場合には、第1の周辺側ガス燃焼用炎孔11dに形成されている炎により、中央側ガス燃焼用炎孔10dへの火移りが行われるように構成されている。
【0057】
なお、第1の周辺側ガス燃焼用炎孔11dに形成されている炎から、中央側ガス燃焼用炎孔10dへの火移りは、中央側ガス燃焼用炎孔10dに近接した位置に配設された、2箇所の火移り用炎孔11d1を介して確実に行われる。
【0058】
本実施形態にかかるガスグリル33は、上述のように構成されており、グリル上バーナ1を構成する中央側ガス燃焼部10aは中央側ガス供給路10bと、中央側ガス遮断弁10cを備え、第1および第2の周辺側ガス燃焼部11a、12aは、それぞれ、周辺側ガス供給路11b、12bと、周辺側ガス遮断弁11c、12cを備えているので、グリル上バーナ1を構成する燃焼部のうち、任意の燃焼部を燃焼させて、適切な火加減によるグリル調理を行うことが可能なガスグリルを提供することができる。
【0059】
本実施形態にかかるガスグリル33は上述のように構成されており、複数の燃焼部(中央側ガス燃焼部10a、第1および第2の周辺側ガス燃焼部11a、12a)のうちのいずれかが燃焼中であれば、その他の消火中の燃焼部に点火する場合に、燃焼中の燃焼部から火移りによって点火することができるので、消火中の燃焼部に点火する際の点火装置の使用頻度を少なくして、耐久性に優れたガスグリルを提供することができる。
【0060】
また、中央側ガス燃焼部10aと、第1および第2の周辺側ガス燃焼部11a、12aが燃焼している最中に、いずれかの炎孔の炎が消えてしまった場合(燃焼が停止してしまった場合)にも、燃焼中の他の炎孔からの火移りが行われるので、点火装置を使用することなく、燃焼させるべき炎孔に常に炎が形成された状態を維持することが可能になる。その結果、ガス漏れによる爆発的な点火が生じることを抑制して、安全性の高いガスグリルを提供することが可能になる。
【0061】
また、本実施形態のガスグリル33においては、第1の周辺側ガス燃焼部11aを、平面視で中央側ガス燃焼部を取り囲む略U字状の燃焼部としているので、火移りが確実に行われるようにすることが可能になるとともに、被調理物に応じた適切な加熱量でグリル調理を行うことが可能で、良好なグリル調理を行うことができるガスグリルを提供することが可能になる。
【0062】
また、本実施形態にかかるガスグリル33においては、第1および第2の2つの周辺側ガス燃焼部11a、12aのうち、第2の周辺側ガス燃焼部12aが、調理排気に含まれる油煙や臭気成分を加熱焼失させるアフターバーナとして機能するように構成されているので、アフターバーナを備えつつ、専用の点火装置を備える必要のない、経済性の良好なガスグリルを提供することができる。
【0063】
なお、上記実施形態では、中央側ガス燃焼部10aと第2の周辺側ガス燃焼部12aとの間で直接に火移りが生じないように構成されているが、中央側ガス燃焼部10aと第2の周辺側ガス燃焼部12aとの間で直接に火移りが生じるように、中央側ガス燃焼部10aと第2の周辺側ガス燃焼部12aとの間に火移り用炎孔(図示せず)を設けることも可能である。
【0064】
また、上記実施形態では、点火装置(点火プラグ)20を、第1の周辺側ガス燃焼用炎孔11d(詳しくは点火用炎孔11d2)の近傍に配設するようにしているが、第2の周辺側ガス燃焼部12aの近傍に点火装置(点火プラグ)を配設するようにしてもよい。その場合、第2の周辺側ガス燃焼部12aの近傍に点火用炎孔(図示せず)を設けることが好ましい。
【0065】
また、場合によっては、中央側ガス燃焼部10aを構成する中央側ガス燃焼用炎孔10dの近傍に点火装置(点火プラグ)を配設するようにしてもよい。その場合、中央側ガス燃焼部10aの近傍に点火用炎孔(図示せず)を設けることが好ましい。
【0066】
上述のように、本発明のガスグリル33においては、点火装置を、第1の周辺側ガス燃焼用炎孔11d、第2の周辺側ガス燃焼用炎孔12d、および、中央側ガス燃焼用炎孔10dのいずれか1つの近傍にのみ設けるようにすることが可能であり、その場合も、第1の周辺側ガス燃焼用炎孔11d、第2の周辺側ガス燃焼用炎孔12d、および、中央側ガス燃焼用炎孔10dの間の火移りにより、意図するすべての炎孔に点火するように構成することができる。
【0067】
また、本発明のガスグリル33においては、第1の周辺側ガス燃焼用炎孔11d、第2の周辺側ガス燃焼用炎孔12d、および、中央側ガス燃焼用炎孔10dのすべての炎孔に点火された後、中央側ガス燃焼部10a、第1の周辺側ガス燃焼部11a、第2の周辺側ガス燃焼部12aのうち、燃焼させる必要のない燃焼部へのガス供給路の供給を遮断することにより、上記燃焼部のうちの任意の燃焼部を燃焼させることができる。
【0068】
したがって、本実施形態のガスグリル33においては、中央側ガス燃焼部10a、第1の周辺側ガス燃焼部11a、第2の周辺側ガス燃焼部12aのいずれか1つに点火することができる点火装置を設けることで、任意の燃焼部を燃焼させ、他の燃焼部については燃焼させないようにすることができる。
【0069】
なお、本発明のガスグリル33においては、2つの点火装置(点火プラグ)を、上述の第1の周辺側ガス燃焼用炎孔11d、第2の周辺側ガス燃焼用炎孔12d、および、中央側ガス燃焼用炎孔10dのうちの2つの近傍に配設するように構成してもよく、また、点火装置(点火プラグ)を、上述の第1の周辺側ガス燃焼用炎孔11d、第2の周辺側ガス燃焼用炎孔12d、および、中央側ガス燃焼用炎孔10dの、それぞれの近傍に設けるようにすることも可能である。その場合にも、所定の燃焼部の炎孔から、他の燃焼部の炎孔に火移りするように構成することで、他の燃焼部の炎孔近傍に設けた点火装置を作動させる機会を減らして、全体としてのガスグリルの耐久性を向上させることができる。
【0070】
また、本発明のガスグリル33においては、1つの点火装置を、複数の燃焼部の点火装置として機能させるように構成することも可能である。
【0071】
また、本発明のガスグリル33においては、中央側ガス燃焼部10a、第1の周辺側ガス燃焼部11a、第2の周辺側ガス燃焼部12aの火力を、ガス流量調整弁により調整できるように構成することが望ましい。その場合、各燃焼部の火力を適切に調整してより良好なグリル調理を行うことが可能になる。
【0072】
<別実施形態1>
図4は、本発明の別実施形態1にかかるガスグリル133の要部構成を模式的に示す図であって、グリル上バーナ101の構成を模式的に示す下面図(グリル庫の上面側に配設されているグリル上バーナ101を下方から見た状態を示す図)である。
【0073】
このガスグリル133では、グリル上バーナ101は、1つの中央側ガス燃焼部110aと、その周辺(外側)に中央側ガス燃焼部110aを取り囲むように、略同心状に配設された第1の周辺側ガス燃焼部111aと、その周辺(外側)に第1の周辺側ガス燃焼部111aを取り囲むように、中央側ガス燃焼部110aと略同心状に配設された第2の周辺側ガス燃焼部112aとを備えている。
【0074】
そして、中央側ガス燃焼部110aは燃焼熱量が200kcal/h、第1の周辺側ガス燃焼部111aは燃焼熱量が300kcal/h、第2の周辺側ガス燃焼部112aは燃焼熱量が400kcal/hとなるように構成されている。
【0075】
この別実施形態1のガスグリル133の場合においても、中央側ガス燃焼部110a、第1の周辺側ガス燃焼部111a、第2の周辺側ガス燃焼部112aの火力は、ガス流量調整弁を用いて火力調整を行うことができるように構成することができる。その場合、各燃焼部の火力を適切に調整してより良好なグリル調理を行うことが可能になる。
【0076】
また、この別実施形態1のガスグリル133の場合、例えば、図4に示すように、第2の周辺側ガス燃焼部112aと第1の周辺側ガス燃焼部111aとの間の火移りを促進するための第1の火移り部(火移り用炎孔)131と、第1の周辺側ガス燃焼部111aと中央側ガス燃焼部110aとの間の火移りを促進するための第2の火移り部(火移り用炎孔)132を設けることにより、上記の燃焼部間の火移りをより確実にすることができる。
【0077】
なお、図4における第1および第2の火移り部(火移り用炎孔)131、132の配設態様はあくまで例示であって、他の態様とすることも可能である。
【0078】
この別実施形態1のガスグリル133においては、第2の周辺側ガス燃焼部112aからその内側の第1の周辺側ガス燃焼部111aに火移りし、さらには、第1の周辺側ガス燃焼部111aからその内側の中央側ガス燃焼部110aに火移りする、すなわち、第2の周辺側ガス燃焼部112aから第1の周辺側ガス燃焼部111aを経て、中央側ガス燃焼部110aに順次火移りするように構成されている。
【0079】
ただし、例えば、最初に中央側ガス燃焼部110aに点火されるようにして、中央側ガス燃焼部110aから、その外側の第1の周辺側ガス燃焼部111aへの火移りが行われ、さらに、第1の周辺側ガス燃焼部111aから、その外側の第2の周辺側ガス燃焼部112aへの火移りが行われるように構成することも可能である。
【0080】
また、このガスグリル133の場合、中央側ガス燃焼部110a、第1の周辺側ガス燃焼部111a、第2の周辺側ガス燃焼部112aの燃焼が開始した後に、燃焼させる必要がない燃焼部への燃料ガスの供給を停止することにより、燃焼させたい任意の燃焼部を燃焼させるようにすることが可能で、適切な火力で意図するグリル調理を行うことができる。
【0081】
また、この別実施形態1にかかるガスグリル133は、アフターバーナとして機能する周辺側燃焼部を備えていないが、本発明のガスグリルは、この別実施形態1のように、アフターバーナとしては機能しない複数の周辺側ガス燃焼部を備えた構成とすることも可能である。
【0082】
また、本発明においては、図4の第1および第2の周辺側ガス燃焼部111a、112aに加えて、さらにアフターバーナとして機能する第3の周辺側ガス燃焼部(図示せず)を備えた構成とすることも可能である。
【0083】
<別実施形態2>
図5は、本発明の別実施形態2にかかるガスグリル233の要部構成を模式的に示す図であって、グリル上バーナ201の構成を模式的に示す下面図である。
【0084】
この別実施形態2のガスグリル233の場合も、グリル上バーナ201は、1つの中央側ガス燃焼部210aと、中央側ガス燃焼部210aの周辺(外側)に中央側ガス燃焼部210aを取り囲むように、略同心状に配設された第1の周辺側ガス燃焼部211aと、第1の周辺側ガス燃焼部211aを取り囲むように、中央側ガス燃焼部210aと略同心状に配設された第2の周辺側ガス燃焼部212aとを備えている。
【0085】
そして、この別実施形態2のガスグリル233は、中央側ガス燃焼部210a、第1の周辺側ガス燃焼部211a、第2の周辺側ガス燃焼部212aの任意の一組の間の火移りを行わせることができるように配設された3つの火移り部(火移り用炎孔)231を備えている。
【0086】
この別実施形態2のガスグリル233における火移り部(火移り用炎孔)231は、
・第2の周辺側ガス燃焼部212aと第1の周辺側ガス燃焼部211aとの間の火移りを促進するための火移り部(火移り用炎孔)として機能するとともに、
・第1の周辺側ガス燃焼部211aと中央側ガス燃焼部210aとの間の火移りを促進するための火移り部(火移り用炎孔)としても機能し、さらに、
・第2の周辺側ガス燃焼部212aと中央側ガス燃焼部210aとの間の火移りを促進するための火移り部(火移り用炎孔)としても機能するように構成されている。
【0087】
この別実施形態2のガスグリル233においては、最も外周側に配設されている第2の周辺側ガス燃焼部212aと、その内側に配設されている第1の周辺側ガス燃焼部211aの間で、火移り部(火移り用炎孔)231を経て火移りが行われる。また、第1の周辺側ガス燃焼部211aと、中央側ガス燃焼部210aとの間でも、火移り部(火移り用炎孔)231を経て火移りが行われる。さらに、第2の周辺側ガス燃焼部212aと、最も内側に配設されている中央側ガス燃焼部210aとの間でも、火移り部(火移り用炎孔)231を経て、火移りが行われる。
【0088】
すなわち、この別実施形態2のガスグリル233においては、第1の周辺側ガス燃焼部211aと、第2の周辺側ガス燃焼部212aと、中央側ガス燃焼部210aの任意の燃焼部間で火移りを行わせることができるように構成されている。
【0089】
上述のように、この別実施形態2のガスグリル233によれば、
(1)中央側ガス燃焼部210a、第1の周辺側ガス燃焼部211a、および第2の周辺側ガス燃焼部212aのいずれか1つのみを単独で燃焼させてグリル調理を行うこと、
(2)中央側ガス燃焼部210a、第1の周辺側ガス燃焼部211a、第2の周辺側ガス燃焼部212aのうちの、任意の2つの組み合わせとなるように燃焼させてグリル調理を行うこと、
(3)中央側ガス燃焼部210a、第1の周辺側ガス燃焼部211a、第2の周辺側ガス燃焼部212aのすべてを燃焼させてグリル調理を行うこと、
ができることから、適切な火力で、効率よく良好なグリル調理を行うことができる。
【0090】
なお、この別実施形態2では、図5に示すように、3つの火移り部231により、任意の燃焼部間での火移りが可能になるようにしているが、火移り部の配設態様はあくまで例示であって、より多くの火移り部を設けるなど、他の態様とすることも可能である。
【0091】
本発明は、上記実施形態、別実施形態1、2に示した形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において種々の変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0092】
1 グリル上バーナ
2 グリル下バーナ
10a 中央側ガス燃焼部
10b 中央側ガス供給路
10c 中央側ガス遮断弁
10d 中央側ガス燃焼用炎孔
11a 第1の周辺側ガス燃焼部
11b 第1の周辺側ガス供給路
11c 第1の周辺側ガス遮断弁
11d 第1の周辺側ガス燃焼用炎孔
11d1 火移り用炎孔
11d2 点火用炎孔
12a 第2の周辺側ガス燃焼部(アフターバーナ)
12b 第2の周辺側ガス供給路
12c 第2の周辺側ガス遮断弁
12d 第2の周辺側ガス燃焼用炎孔
12d1 火移り用炎孔
12d2 連絡用炎孔
20 点火装置(点火プラグ)
31 グリル庫
32a、32b、32c コンロバーナ
33 ガスグリル
33a グリル扉
34 整流板
35a、35b、35c 加熱状態調節部
36 焼網
40 排気路
90 ケース本体(コンロ本体)
91 排気口
92 電源スイッチ
95 被調理物(例えば魚)
100 グリル付きガスコンロ
101 グリル上バーナ
110a 中央側ガス燃焼部
111a 第1の周辺側ガス燃焼部
112a 第2の周辺側ガス燃焼部
131 第1の火移り部(火移り用炎孔)
132 第2の火移り部(火移り用炎孔)
133 別実施形態1にかかるガスグリル
201 グリル上バーナ
210a 中央側ガス燃焼部
211a 第1の周辺側ガス燃焼部
212a 第2の周辺側ガス燃焼部
231 3つの火移り部(火移り用炎孔)
233 別実施形態2にかかるガスグリル
H 排気筒
M 上バーナモジュール
M1 第1の金属板(隔壁)
M2 第2の金属板(隔壁)
TP トッププレート
図1
図2
図3
図4
図5