IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住化エンバイロメンタルサイエンス株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023021610
(43)【公開日】2023-02-14
(54)【発明の名称】害虫防除用エアゾール
(51)【国際特許分類】
   A01N 25/00 20060101AFI20230207BHJP
   A01N 53/06 20060101ALI20230207BHJP
   A01N 53/08 20060101ALI20230207BHJP
   A01N 43/824 20060101ALI20230207BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20230207BHJP
   A01N 25/06 20060101ALI20230207BHJP
   A01M 7/00 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
A01N25/00 101
A01N53/06 110
A01N53/08 110
A01N43/824 C
A01P7/04
A01N25/06
A01M7/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021126575
(22)【出願日】2021-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】390000527
【氏名又は名称】住化エンバイロメンタルサイエンス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】川畑 朝子
(72)【発明者】
【氏名】宮本 和代
【テーマコード(参考)】
2B121
4H011
【Fターム(参考)】
2B121AA17
2B121CB07
2B121CB22
2B121CB28
2B121CC02
2B121EA03
4H011AC01
4H011BA01
4H011BA06
4H011BB10
4H011BB15
4H011BC01
4H011BC03
4H011DA21
4H011DB05
4H011DC05
4H011DE16
(57)【要約】
【課題】 床優れた防除効力を有するだけでなく保存安定性にも害虫防除用エアゾールを提供すること目的とする。
【解決手段】害虫防除成分、ベンジルアルコールおよびパラフィン系溶剤を含む殺虫原液ならびに噴射剤を含有するエアゾールであって、
前記害虫防除成分としてモンフルオロトリン、d・d-Tシフェノトリンおよびメトキサジアゾンを含有し、
前記噴射剤としてジメチルエーテルを含有し、
前記メトキサジアゾンの含有量に対する前記ベンジルアルコールの含有量が重量比で4倍以上であることを特徴とする害虫防除用エアゾール。

【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
害虫防除成分、ベンジルアルコールおよびパラフィン系溶剤を含む殺虫原液ならびに噴射剤を含有するエアゾールであって、
前記害虫防除成分としてモンフルオロトリン、d・d-Tシフェノトリンおよびメトキサジアゾンを含有し、
前記噴射剤としてジメチルエーテルを含有し、
前記メトキサジアゾンの含有量に対する前記ベンジルアルコールの含有量が重量比で4倍以上であることを特徴とする害虫防除用エアゾール。
【請求項2】
請求項1に記載の害虫防除用エアゾールからのメトキサジアゾンの噴射量が少なくとも3.50mg/秒となるように該エアゾールを噴射して、ピレスロイド系殺虫成分に対して抵抗性を示す害虫を防除する害虫防除方法。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は害虫防除用エアゾールに関する。
【背景技術】
【0002】
害虫防除成分としてモンフルオロトリンを含有するエアゾールが開発されている。(特許文献1)該エアゾールは優れた防除効力と保存安定性を有しているが、より効力が優れるエアゾールの開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-188194号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、優れた防除効力を有し保存安定性にも優れる害虫防除用エアゾールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に至った。すなわち本発明は、
[1]害虫防除成分、ベンジルアルコールおよびパラフィン系溶剤を含む殺虫原液ならびに噴射剤を含有するエアゾールであって、
前記害虫防除成分としてモンフルオロトリン、d・d-Tシフェノトリンおよびメトキサジアゾンを含有し、
前記噴射剤としてジメチルエーテルを含有し、
前記メトキサジアゾンの含有量に対する前記ベンジルアルコールの含有量が重量比で4倍以上であることを特徴とする害虫防除用エアゾール。
[2]上記の害虫防除用エアゾールからのメトキサジアゾンの噴射量が少なくとも3.50mg/秒となるように該エアゾールを噴射して、ピレスロイド系殺虫成分に対して抵抗性を示す害虫を防除する害虫防除方法。
を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、優れた防除効力を有するだけでなく保存安定性にも害虫防除用エアゾールを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の害虫防除用エアゾールに使用される害虫防除成分は、モンフルオロトリン、d・d-Tシフェノトリンおよびメトキサジアゾンを含有する。害虫防除成分の合計の含有量は、通常、エアゾール全体量に対し0.1~5.0重量%である。
【0008】
本発明の害虫防除用エアゾールに使用されるベンジルアルコールは、メトキサジアゾンの含有量に対し重量比で4倍以上となるように配合される。
【0009】
本発明の害虫防除用エアゾールに使用されるパラフィン系溶剤としては、ノルマルパラフィンやイソパラフィンなどが挙げられる。このうちノルマルパラフィンを使用することが好ましい。
【0010】
本発明の害虫防除用エアゾールに使用される噴射剤は、ジメチルエーテルを少なくとも含有する。LPGなど他の噴射剤成分と混合して使用してもよいが、ジメチルエーテル単独で使用が好ましい。
【0011】
殺虫原液に対しては、他の成分を含有させても良い。例えば、本発明に使用される害虫防除成分以外の他の害虫防除成分や効力増強剤が挙げられる。他の害虫防除成分としては、ピレトリン、アレスリン、プラレトリン、イミプロトリン、レスメトリン、テトラメトリン、フェノトリン、シフルトリン、ベーターシフルトリン、シペルメトリン、メトフルトリン、トランスフルトリン、プロフルトリン、エンペントリン、ビフェントリン、アルファシペルメトリン、ベータシペルメトリン、シータシペルメトリン、ゼータシペルメトリン、デルタメトリン、エトフェンプロックス、ペルメトリン、シラフルオフェン、トラロメトリン等のピレスロイド系化合物、ジクロルボス、フェニトロチオン、フェンチオン、クロルピリホス、ダイアジノン等の有機燐化合物、プロポクスル、カルバリル、フェノブカルブ等のカーバメート化合物、クロルフルアズロン、ヘキサフルムロン、ジフルベンズロン、シロマジン、1-( 2,6-ジフルオロベンゾイル)-3-[2-フルオロ-4-(1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロポキシ)フェニル]ウレア、エトキサゾール、ビストリフルロン等のキチン形成阻害物質、ピリプロキシフェン等の幼若ホルモン様物質、クロチアニジン、イミダクロピリド、ニテンピラム、アセタミプリド、チアクロプリド、チアメトキサム、ジノテフラン等のネオニコチノイド系化合物、アミドフルメト、クロルフェナピル、ピペロニルブトキシド、p-メンタン3,8-ジオールなどが挙げられる。
【0012】
効力増強剤としては、ピペロニルブトキサイド(PBO)、N-(2-エチルヘキシル)-5-ノルボルネン2,3-ジカルボキシイミド(MGK-264)などが挙げられる。
【0013】
本発明の害虫防除用エアゾールは、殺虫原液と噴射剤とを通常、7:3~3:7の体積比となるように公知のエアゾール容器に充填することにより得られる。
【0014】
本発明の害虫防除用エアゾールが防除対象とする害虫としては、イエバエ、オオイエバエ等のハエ類、アカイエカ、コガタアカイエカ、ネッタイイエカ、ヒトスジシマカ等の蚊類、チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリ等のゴキブリ類、トコジラミ類、ネコノミ、イヌノミ、ヒトノミ、ケオプスネズミノミ等のノミ類、ケナガコナダニ、コナヒョウヒダニ、クワガタツメダニ、ミナミツメダニ、イエダニ、フタトゲチマダニ、ヤマトマダニ、オウシマダニ、マダニ等のダニ類などが挙げられる。
【0015】
本発明の害虫防除用エアゾールは、前記殺虫原液と噴射剤との体積比のほか噴射孔、ステム孔、ハウジング孔、オリフィス径などを調整し、害虫防除用エアゾールからのメトキサジアゾンの噴射量を少なくとも3.50mg/秒とすると、ピレスロイド系殺虫成分に対して抵抗性を示す害虫に対しても優れた防除効果を有する。
【0016】
本発明の害虫防除用エアゾールは、例えば、害虫に対し直接噴霧して害虫を防除する、一般家屋、宿泊施設、飲食店、工場などの建物の屋内空間に噴霧して害虫を防除することができるほか、該建物の床面または壁面もしくは該建物に設置されるシンク、コンロなど害虫が徘徊する場所に予め殺虫原液を噴霧しておくといった予防的な方法でも害虫を防除することができる。
【0017】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。ただし本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0018】
〔実施例1〕
モンフルオロトリン 0.10重量部、メトキサジアゾン1.00重量部およびベンジルアルコール 5.00重量部を混合した。また、d・d-シフェノトリン 0.30重量部およびパラフィン系溶剤としてネオチオゾール 47.15重量部を混合した。これら混合液を混合し殺虫原液を得て、バルブ(ステム孔径φ0.3mm、ハウジング下孔径φ1.5mm、横孔径φ0.3mm 東洋エアゾール工業製)および噴射ボタン(噴射口径φ0.6mm 東洋エアゾール工業製)を備えた耐圧容器(AE180 北海製罐製)に充填し、さらに噴射剤としてジメチルエーテル 45.88重量部を充填し、本発明の害虫防除用エアゾールを得た。(メトキサジアゾンに対するベンジルアルコールの含有量:5倍)
【0019】
以下、表1に記載の処方に従い、前段と同様の手順にて各種害虫防除用エアゾールを作成した。表1に記載の数値は重量部を表わす。
【0020】
[表1]
【0021】
[感受性チャバネゴキブリに対する噴霧試験]
プラカップ内に感受性チャバネゴキブリを10匹入れ、実施例1~5および比較例1~2のそれぞれの害虫防除用エアゾールをチャバネゴキブリから60cm離れた位置から1秒間噴霧した。噴霧から24時間経過時の致死虫数を調査し致死率(%)を算出した。試験は4回行い、平均値を求めた。表2に結果を示す。
【0022】
[表2]
【0023】
〔実施例6〕
モンフルオロトリン 0.36重量部、メトキサジアゾン0.54重量部およびベンジルアルコール 2.16重量部を混合した。また、d・d-シフェノトリン 0.17重量部およびパラフィン系溶剤としてネオチオゾール 50.6重量部を混合した。これら混合液を混合し殺虫原液を得て、バルブ(ステム孔径φ0.3mm、ハウジング下孔径φ1.5mm、横孔径φ0.3mm 東洋エアゾール工業製)噴射ボタン(噴射口径φ0.6mm 東洋エアゾール工業製)、平パッキン(缶バルブ用平パッキン DME用 東京高分子株式会社製)を備えたエアゾール試験瓶(東京高分子株式会社製 容量100mL)に充填し、さらに噴射剤としてジメチルエーテル 46.2重量部を充填し、本発明の害虫防除用エアゾールを得た。(メトキサジアゾンに対するベンジルアルコールの含有量:4倍)
【0024】
以下、表3に記載の処方に従い、前段と同様の手順にて各種害虫防除用エアゾールを作成した。表3に記載の数値は重量部を表わす。
【0025】
[表3]
【0026】
[エアゾールの変質試験]
実施例6、7および比較例3~7の害虫防除用エアゾールについて、製造直後における析出物の有無および液分離の有無を確認した。表4に結果を示す。
【0027】
〔表4〕
析出物について (評価基準) 〇:析出物無 ×:析出物有
液分離について (評価基準) 〇:液分離無 ×:液分離有
【0028】
[抵抗性チャバネゴキブリに対する噴霧試験]
プラカップ内に抵抗性チャバネゴキブリを10匹入れ、実施例1~5のそれぞれのエアゾールをチャバネゴキブリから60cm離れた位置から1秒間噴霧した。噴霧から24時間経過時の致死虫数を調査し致死率(%)を算出した。試験は4回行い、平均値を求めた。表5に結果を示す。
【0029】
[表5]